JP4582886B2 - 耐候性長繊維不織布 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性を要する生活資材、工業資材、産業資材、土木資材および農業資材に特に適する耐候性長繊維不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、生活資材や産業・土木資材、農業資材等の素材として、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等のなどの熱可塑性重合体よりなる種々の不織布が用いられている。近年、省資源、経済性の追求が見直されるとともに、従来、使い捨てにされていた一部の用途、例えば農業用べたがけシートといった農業用資材などにおいても3年ないし4年といった繰り返し使用が求められるようになってきた。これらの要望に伴い、従来の不織布よりもさらに優れた耐候性を具備した不織布が熱望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、屋外や屋内での使用において、長期に亘る紫外線等の照射に対して強度保持率の高い、耐候性が向上してなる不織布を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するために種々の検討を行った結果、本発明に到達した。本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
【0005】
すなわち本発明は、芯鞘型複合長繊維にて構成され、構成繊維同士が部分的な熱接着部により接合してなり、熱接着部の大きさが0.1〜1.0mm 、熱接着密度が2〜80個/cm であり、前記芯鞘型複合長繊維は、ポリ乳酸系重合体を芯成分、ポリエチレンまたはポリプロピレンを鞘成分とし、芯部を構成するポリ乳酸が鞘部を構成するポリエチレンまたはポリプロピレンにより、繊維表面に露出しないように完全に被覆されており、かつ不織布の切断部以外は繊維端が存在しない連続繊維であることを特徴とする耐候性長繊維不織布を要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に本発明を詳細に説明する。
本発明の耐候性長繊維不織布は、ポリ乳酸系重合体を芯成分とし、生分解性を有しない熱可塑性重合体を鞘成分とする芯鞘型複合長繊維にて構成される。
【0007】
本発明に用いるポリ乳酸系重合体としては、ポリ(D−乳酸)と、ポリ(L−乳酸)と、D−乳酸とL−乳酸との共重合体と、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体と、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体と、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体との中から選ばれるいずれかの重合体あるいはこれらのブレンド体が好ましい。
【0008】
ポリ乳酸系重合体としてポリ(D−乳酸)あるいはポリ(L−乳酸)のようなホモポリマーを用いる場合には、特に、製糸工程での製糸性の改善と得られる繊維並びに不織布の柔軟性の向上を目的として、可塑剤を添加することが望ましい。この場合の可塑剤としては、トリアセチレン、乳酸オリゴマー、ジオクチルフタレート等が用いられ。その添加量としては、1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%とするのがよい。
【0009】
また、ポリ乳酸系共重合体として乳酸と共重合させるドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシカプリル酸等が挙げられるが、これらの中でも特に、ヒドロキシカプロン酸またはグリコール酸を用いることがコストの点から好ましい。
【0010】
用いるポリ乳酸系重合体の融点は、120℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは、140℃以上である。例えば、ポリ乳酸のホモポリマーであるポリ(L−乳酸)やポリ(D−乳酸)の融点は約180℃であるが、光学純度が低くなるとともに結晶化が低下し、融点降下が大きくなる傾向にある。光学純度は、耐熱性や生分解性に影響をする要因になる。したがって、ポリ乳酸系重合体として前記コポリマーを用いる場合には、コポリマーの融点が120℃以上となるようにモノマー成分の共重合量比を決定することが好ましく、本発明においては、光学純度が90%以上のポリ乳酸を用いることが好ましい。
【0011】
本発明に用いるポリ乳酸系重合体の数平均分子量は、約20,000以上、好ましくは約40,000以上のものを用いることが、得られる繊維特性の点や不織布製造時の製糸性の点で好ましい。
【0012】
本発明に用いる芯鞘型複合長繊維の鞘成分を構成する生分解性を有しない熱可塑性重合体を配する。本発明において、生分解性とは、自然界において、微生物が関与して低分子量化合物に分解されるものをいう。したがって、物の形態は小さくなるものの(単に細かく砕けるものの)、高分子の分子量そのものについては変化しない、いわゆる崩壊性のものとは区別される。
【0013】
このような重合体としては、耐候性の点から、コポリマーよりもホモポリマーを用いうることが必要であり、また、芯成分であるポリ乳酸系重合体よりも融点が5℃以上低いことが必須であることから、ポリオレフィン系重合体であるポリエチレンまたはポリプロピレンを用いることが必須である。なお、本発明において、融点を有さないものについては、軟化点を融点とみなすことができる。
【0014】
ポリエチレンとしては、ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて測定したメルトインデックス(以下、MIと略記する。)が5〜90g/10分の範囲であるポリエチレンが好適に用いられる。MIが5g/10分未満のポリエチレンを用いると、溶融紡糸の際に、溶融温度を極端に高くしなければ高速溶融紡糸を行うことができない。また、極端な高温下における紡糸では、原料ポリマーの熱分解を促進させ紡糸口金面に汚れが付着しやすく、操業性が著しく損なわれるため好ましくない。一方、MIが90g/10分を超えると、強度の高い繊維を得ることができにくく、本発明の目的とする不織布を得ることができない。以上のごとき理由によって、さらには20〜80g/10分のポリエチレンを用いることが好ましい。
【0015】
ポリプロピレンとしては、ASTM−D−1238(L)に記載の方法に準じて測定したメルトフローレート(以下、MFRと略記する。)が5〜90g/10分のポリプロピレンが好適に用いられる。MFRが5g/10分未満のポリプロピレンを用いると、ポリエチレンのMIが5g/10分未満の場合と同様の理由により好ましくない。一方、MFRが80g/10分を超える場合もまた、ポリエチレンのMIが90g/10分を超える場合と同様の理由により好ましくない。以上のごとき理由によって、さらには20〜80g/10分のポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0016】
また、本発明に用いるポリオレフィンとしては、チーグラーナッタ触媒もしくはメタロセン触媒いずれの触媒を用いて重合されたポリオレフィンであってもよい。メタロセン触媒を用いて重合されたポリオレフィンは、ポリマーの分子量をコントロールすることが容易であり、分子量分布をシャープにすることができるため、不織布を熱処理する場合に、熱処理温度を決定しやすい。
【0017】
本発明に用いる芯成分および鞘成分を構成する重合体には、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤が添加されても良い。一般的に紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し、紫外線による重合体の劣化を防止するものである。また、一般的に酸化防止剤は、特に屋外で使用される場合において、蓄熱と存在する酸素とにより生じる重合体の熱酸化を防止するためのものである。また、繊維の耐候性を損なわない範囲において、潤滑剤や顔料、安定剤等の添加剤を添加してもよい。
【0018】
次に本発明の複合長繊維に適用される繊維断面形状について説明する。本発明の芯鞘型複合断面においては、芯部のポリ乳酸系重合体を鞘部の重合体で完全に被覆した芯鞘型複合断面で構成されるものである。また繊維断面の形状は、円形、楕円形、多角形、多葉形、中空形などそれに類似する形状であればよい。
【0019】
ポリ乳酸系重合体は生分解性であり微生物との接触により生分解が起こる。したがって、本発明では、芯部のポリ乳酸を鞘部の生分解性を有しない重合体で完全に被覆することにより、芯部のポリ乳酸系重合体が外部と接触することを防ぐことができ、長期に亘って耐候性を保持することが可能となる。また、本発明の不織布は長繊維で構成されている。すなわち、長繊維は長さがエンドレスであるため、布帛の切断部以外は、繊維端が存在していないため、芯部のポリ乳酸系重合体の露出がほとんどなく、使用において生分解することはない。
【0020】
複合長繊維の芯部と鞘部と複合比率は質量比で(芯部)/(鞘部)=1/5〜5/1の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、1/3〜3/1である。(芯部)/(鞘部)の複合比率が1/5を下回ると、芯部のポリ乳酸系重合体の相対量が減るため、得られた長繊維不織布の耐候性が損なわれ、目的とする耐候性長繊維不織布を得にくい。一方、(芯部)/(鞘部)の複合比率が5/1を超えると、部分的熱接着してなる不織布を得る際、接着部において溶融または軟化する重合体の量が減少するため、得られた長繊維不織布の初期強力が著しく劣るものとなる。
【0021】
本発明に用いる芯鞘型複合繊維の単糸繊度は、不織布の用途に応じて適宜選択すればよいが、一般に1〜10デシテックスの範囲であることが好ましい。単糸繊度が1デシテックスを下回ると、紡糸口金の複雑となり、また、製糸工程において糸切れが発生するなど曳糸性に問題を生じる他、生産性の低下など操業効率の悪化を招く。一方、単糸繊度が10デシテックスを超えると、紡出糸条の冷却性に劣り、柔軟性も損なわれる傾向となる。これらの理由により、単糸繊度はさらに好ましくは1.5〜8デシテックスの範囲であることがよい。
【0022】
本発明の長繊維不織布の目付は、使用目的によって適宜選択すればよく、特に限定するものではないが、一般的には10g/m2以上が好ましい。目付が10g/m2未満では、柔軟性に優れるもの、機械強力に劣る傾向になる。上限は特に限定されないが、200g/m2程度とする。
【0023】
本発明の長繊維不織布の形態としては、機械的強力が必要であるため、構成繊維同士が部分的に熱接着されてなる不織布であることが必要である
【0024】
部分的熱接着は、例えば、エンボス加工処理または超音波融着処理によって長繊維不織布に点状の熱接着部が形成されるものである。具体的には加熱されたエンボスロールと表面が平滑なフラットロールとの間、もしくは一対のエンボスロールの間に長繊維ウエブを通して、エンボスロールの凸部が当接する部位の構成繊維を熱により軟化または溶融させて点状の熱接着部を形成する方法、またはパターンロール上で超音波による高周波を印可してパターン部に当接する構成繊維に点状の接着部を形成する。
【0025】
熱接着部は、長繊維不織布の全面に間隔を置いて部分的に配置したものであって、散点状の熱接着部であっても、直線状や格子状等の直線状の熱接着部であってもよい。散点状の場合、個々の熱接着部の形態は、丸形、楕円形、菱形、三角形、T型、井形、長方形などの任意の形態が採用される。この形態は、明瞭な形態であってもよく、また、ある程度不明瞭な形態であってもよい。また、個々の熱接着部の大きさは、0.1〜1.0mm であることが必要である。熱接着点密度は、2〜80個/cm であることが必要であり、2〜80個/cmであるのが好ましく、4〜60個/cmであるのがさらに好ましい。この熱接着部は、構成繊維同士を固定して、長繊維不織布の形態を維持するものであるから、熱接着部の大きさが、0.1mm未満であったり、あるいはその密度が2個/cm未満であったりすると、寸法安定性に劣り好ましくない。一方、個々の熱接着部の大きさが、1.0mmを超えたり、その密度が80個/cmを超えると、熱接着部が相対的に多くなり、得られた長繊維不織布の柔軟性や嵩高性が低下する。長繊維不織布の表面積に対する熱接着部の総面積(熱接着率)は、4〜40%であるのが好ましく、特に10〜20%であるのが好ましい。熱接着率が4%未満であると、その密度が低すぎる場合と同様に、寸法安定性が劣る傾向となり、一方、40%を超えると、その熱接着点密度が多すぎる場合と同様に、柔軟性や嵩高性が低下する。
【0026】
次に、本発明の耐候性長繊維不織布の好ましい製造方法について説明する。本発明の耐候性長繊維不織布は、通常の複合紡糸装置を用いて行うことができる。
まず芯部となるポリ乳酸系重合体と、また鞘部となる重合体とを個別に溶融し、芯部のポリ乳酸系重合体と鞘部の重合体をの複合比率を質量比で(芯部)/(鞘部)=1/5〜5/1の範囲となるように個別に計量した後、芯部にポリ乳酸系重合体を、鞘部にその重合体を配して、芯鞘型複合紡糸口金より吐出した紡出糸条を冷却空気流などを用いた公知の冷却装置によって冷却する。次いで、エアーサッカーなどの公知の引き取り手段を用いて、目標繊度となるように牽引細化して引き取る。牽引細化した複合長繊維は公知の開繊装置にて開繊せしめた後、スクリーンコンベアなどの移動式捕集面上に開繊堆積させて長繊維ウェブとする。
【0027】
溶融紡糸において、紡糸温度は用いる重合体によって異なるものの、通常は、用いる重合体のうち融点の高い方の重合体の融点をTm(℃)としたときに(Tm+15)℃〜(Tm+130)℃の温度範囲で溶融するのが好ましい。溶融温度が(Tm+15)℃より低い場合、高速気流による曳糸性、引き取り性に劣り、逆に溶融温度が(Tm+130)℃を超えると、冷却過程での結晶化が遅れ、紡出糸条間で密着を生じたり開繊性に劣るばかりでなく重合体自身の熱分解も進行し、柔軟で均一な地合の不織布を得ることが困難となる。
【0028】
本発明における牽引速度は、3000m/分以上であることが好ましく、より好ましくは3500m/分以上にすることにより、不織布の寸法安定性を向上させることができる。牽引速度が3000m/分未満であると、紡出糸条の冷却性・可紡性および開繊性に劣るばかりでなく、得られた不織布の機械的性能および寸法安定性に劣るものとなる。
【0029】
次に、得られた長繊維ウェブを熱接着装置に通して、部分的に熱圧接して目的とする耐候性長繊維不織布を得る。
不織ウェブに部分的な熱接着処理を施す際の熱処理温度、すなわち、ロールの表面温度は、鞘部の重合体の融点をTmとしたとき、(Tm−50)〜Tm℃の範囲で熱接着することが好ましい。ロール表面温度が(Tm−50)℃より低い場合、熱接着部の接着十分に行えず得られる不織布の寸法安定性に劣るものとなり、逆に、Tm℃を超えると、融解した重合体がロールに付着するなどして操業性を著しく損なうばかりでなく、柔軟で風合いのよい不織布を得難くなる。さらに好ましい熱処理温度は、(Tm−40)〜(Tm−5)℃である。
【0030】
また、本発明においては、所望によっては、熱接着処理後の長繊維不織布に、バインダー樹脂等をディップ法、コーティング法、泡含浸法などをよって付与してもよい。
【0031】
【実施例】
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にによってなんら限定されるものではない。
実施例において各種物性値の測定を次の方法で実施した。
【0032】
(1)ポリ乳酸系重合体の溶融流量(g/10分);ASTM−D−1238に記載の方法に準じ、溶融温度を210℃として測定した。
【0033】
(2)融点(℃);パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、試料質量を5g、昇温速度を20/分として測定して得た融解吸熱曲線の最大値を与える温度を融点(℃)とした。
【0034】
(3)目付(g/m2);標準状態の試料から試料長20cm、試料幅5cmの試料片を10点を作成し、平衡水分にした後、各試料片の重量(g)を秤量し、得られた値を単位面積あたりに換算し、目付(g/m2)とした。
【0035】
(4)不織布強力(N/5cm幅);JIS−L−1096Aに記載の方法に準じて測定した。すなわち、試料長が20cm、試料幅5cmの試料片を10点を作成し、各試料片毎に不織布縦方向について、定速伸長型引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い、引張速度20cm/分、つかみ間隔10cmで伸長し、得られた切断時荷重値の平均値を強力(N/5cm幅)とした。
【0036】
(5)強力保持率(%);耐候性の指標である強力保持率を次のようにして求めた。すなわち、ウェザーメーターを用いた耐候性試験において、300時間光線照射後の引張強力(S1)を標準状態で測定し、光線照射前の試料の初期引張強力(S0)に対する強力保持率(%)を次式で示しこれを比較した。強力保持率が70%以上を保持している場合、耐候性が良好であると評価した。
強力保持率(%)=(S1/S0)×100
【0037】
実施例1
芯成分として、融点170℃、溶融流量30g/10分、密度1.25g/m3、L−乳酸/D乳酸の共重合比が99/1のポリ乳酸(以下、PLAと略記する。)を用いた。また、鞘成分として、融点129℃、MI25g/10分、密度0.95g/m3で、チグラーナッタ触媒を用いて重合された高密度ポリエチレン(以下、HDPEと略記する。)を用いた。
【0038】
前記2成分を(PLA)/(HDPE)の複合比率(質量比)が1/1となるよう個別に計量した後、個別のエクストルーダー型溶融押し出し機を用いて、温度200℃で溶融し、芯鞘型複合断面となる紡糸口金を用い、単孔吐出量1.4g/分で溶融紡糸した。この紡出糸条を公知の冷却装置を用いて冷却した後、口金の下方に設置されたエアーサッカーを用いて、牽引速度が3500m/分で牽引細化し、公知の開繊装置にて開繊した。次に、開繊せしめた糸条を移動するスクリーンコンベア上に単糸繊度4.0デシテックスの芯鞘型複合長繊維として開繊堆積させて長繊維ウエブを得た。
【0039】
得られた長繊維ウエブは、エンボス装置を用いて熱接着処理を施し、目付が15g/m2の長繊維不織布を得た。熱接着条件は、熱接着部の面積が0.7mm2の彫刻模様で、熱融着区域密度が20個/cm2、熱接着率が15%であるエンボスロールと表面が平滑なフラットロールを用い加工温度を127℃として長繊維不織布を得た。
【0040】
実施例2
実施例1において、鞘成分としてMFRが35g/10分、融点160℃、密度0.91g/m3のポリプロピレン(以下、PPと略記する。)を用い、熱接着処理の際の加工温度135℃としたこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0041】
比較例1
実施例1において、鞘成分を用いずに、融点260℃、密度1.3g/m3のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)ポリエチレンテレフタレートのみを溶融紡糸したこと、溶融紡糸の際の単孔吐出量1.8g/分、エアーサッカーの牽引速度5000m/分としたこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0042】
比較例2
実施例2において、芯成分を用いずに、鞘成分として用いたポリプロピレンのみを溶融紡糸したこと、溶融紡糸の際の溶融温度を210℃としたこと以外は、実施例2と同様にして長繊維不織布を得た。
【0043】
得られた実施例1〜2、比較例1〜2の長繊維不織布の物性を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0004582886
【0045】
表1から明らかなように、実施例1〜2の長繊維不織布は、芯部にポリ乳酸系重合体、鞘部にポリエチレンまたはポリプロピレンが配された芯鞘型複合繊維からなり、耐候性評価において強力保持率が高く、優れた耐候性を有するものであった。
【0046】
一方、比較例1〜2の長繊維不織布は、初期の強力は高いものの、耐候性評価における強力保持率には劣るものであり、長期に亘る屋外等の使用には不向きなものであった。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、そのメカニズムは定かではないが、耐候性に優れるポリ乳酸系重合体を芯部に配し、ポリエチレンまたはポリプロピレンを鞘部に配してなる芯鞘構造を有する複合長繊維を採用することによって、鞘部が芯部のポリ乳酸系重合体を完全に被覆することで、ポリ乳酸系重合体が外部との接触を絶たせ、生分解をすることなく、屋外での長期に亘る使用でも強力保持率が向上してなる耐候性に優れた長繊維不織布を得ることができたものである。

Claims (3)

  1. 芯鞘型複合長繊維にて構成され、構成繊維同士が部分的な熱接着部により接合してなり、熱接着部の大きさが0.1〜1.0mm 、熱接着密度が2〜80個/cm であり、前記芯鞘型複合長繊維は、ポリ乳酸系重合体を芯成分、ポリエチレンまたはポリプロピレンを鞘成分とし、芯部を構成するポリ乳酸が鞘部を構成するポリエチレンまたはポリプロピレンにより、繊維表面に露出しないように完全に被覆されており、かつ不織布の切断部以外は繊維端が存在しない連続繊維であることを特徴とする耐候性長繊維不織布。
  2. 芯鞘型複合長繊維の鞘部を構成するポリエチレンまたはポリプロピレンの融点が芯成分の融点よりも5℃以上低いことを特徴とする請求項1に記載の耐候性長繊維不織布。
  3. 芯部を構成するポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の共重合比が、モル比で、L−乳酸/D−乳酸=99/1〜100/0であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐候性長繊維不織布。
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