JP3970625B2 - マルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布およびその製造方法 - Google Patents

マルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパンボンド不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スパンボンド法により得られる不織布、すなわち、熱可塑性重合体を溶融し、紡出させた糸条群を高速気流で引き取り、延伸、開繊してネットコンベア上に捕集、堆積させて不織ウエブを形成し、繊維同士を熱接着等により一体化した長繊維からなる不織布は、乾式不織布や湿式不織布に比べて生産性が高く、また、引張強度等の機械的性質に優れていることでよく知られている。
【0003】
そして、スパンボンド不織布は、建築、土木、車輌等の産業・工業用資材や、医療材料、衛生材料、生活資材、農業・園芸・林業資材等の様々な分野に好適に使用されており、また、これらの分野において様々な用途に用いられており、その用途が広がるにつれて、スパンボンド不織布に求められる要求性能も多岐にわたってきている。
【0004】
例えば、農業・園芸・林業資材の分野において、幼木等の植物や農作物を育成する際に、様々な外敵より守り、かつ良好に育成することができるために、不織布等で囲ったり、覆ったりしている。このとき、不織布には、外敵より守るためや取り扱い性から適度な強度を必要とし、また、良好に育成できるための十分な通気性と透光性が求められる。
【0005】
スパンボンド不織布において、通気性や透光性を向上させるためには、1平方メートルあたりの重量(以後、目付と称する)を小さくする等して、単位面積に占める繊維量(長さ)を減少させることにより、開口面積(繊維が存在しない部分の面積)を大きくすることができる。ところが、単位面積に占める繊維量を減少させた不織布は、不織布強力が著しく劣るため、不織布の強力と通気性・透光性の両方を共に満足できることは困難である。
【0006】
また、上記の要求性能を共に満足する方法として、不織布を構成する単繊維の単糸繊度を極端に大きくすることも考えられる。しかし、スパンボンド法により単糸繊度の極めて大きいものを溶融紡糸しようとすると、繊度が極めて大きいために溶融紡出された紡糸糸条を冷却させるためには、極めて長い距離の冷却ゾーンを要し、また、極めて高い吸引能力を有するエアーサッカーを要することとなり、これらを制御する装置が複雑となり、これを可能とするような設備は現実的でない。したがって、生産設備等の点から、単糸繊度を大きくすることには限界があり、繊度を大きくするに従って、紡糸性や開繊性が悪化するため、現状のスパンボンド法では、単糸繊度が15デシテックスを超えるものを得ることは操業上困難とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような問題を解決し、操業に支障をきたすことなく生産することが可能で、多岐にわたる要求性能を満足できるようなスパンボンド不織布を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者はかかる状況に鑑み、鋭意検討を行った。スパンボンド不織布は、その製法において、溶融紡糸した糸条をエアーサッカーに導入し、高速で牽引・延伸した後、開繊器により個々の単繊維をばらばらに開繊させ、堆積させるということが常識であったが、その常識を破り、開繊器により個々の単繊維をばらばらにせずに、意図的にマルチフィラメント糸を形成することにより、様々な要求性能を満足することができる新規なスパンボンド不織布を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、熱可塑性重合体からなる複数の単繊維が収束することにより形成されるマルチフィラメント糸から構成されるスパンボンド不織布であり、マルチフィラメント糸同士は熱接着していることにより形態を保持していることを特徴とするマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布を要旨とするものである。
【0010】
また、本発明は、熱可塑性重合体を溶融紡出し、紡出糸条をエアーサッカーに導入して牽引・延伸し、単繊維が収束してなる状態のマルチフィラメント糸をエアーサッカーより排出し、マルチフィラメント糸を移動式捕集面上に堆積してマルチフィラメント糸からなるウエブを形成し、次いで熱処理によりマルチフィラメント糸同士を熱接着させることを特徴とするマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布の製造方法を要旨とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のスパンボンド不織布は、熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸から構成される。
【0012】
本発明におけるマルチフィラメント糸は、マルチフィラメント糸を構成する複数の単繊維が容易にばらばらにならないように収束されているものであるが、マルチフィラメント糸が撚りを有することによって収束していてもよく、また、マルチフィラメント糸を構成する単繊維同士が、単繊維を構成している熱可塑性重合体の表面の一部が溶融または軟化することにより融着していることによって収束していてもよい。さらには、マルチフィラメント糸に撚りがかかった状態で、単繊維同士が、単繊維を構成している熱可塑性重合体の表面の一部が溶融または軟化することにより融着しているものであってもよい。
【0013】
マルチフィラメント糸が撚りを有する場合、その撚り数は、1T/10cm以上、好ましくは5T/10cm以上であればよい。撚り数が1T/10cm未満であると、複数の単繊維が収束せずにばらけて分散しやすくなり、本発明が目的とするものではなくなる。なお、撚り数の上限は特に限定されない。
【0014】
また、マルチフィラメント糸が、単繊維同士が融着しているものの場合、その融着の程度であるが、容易にばらばらにならない程度に融着し、個々の単繊維は繊維形態を十分に維持しているものであっても、また、単繊維を構成している熱可塑性重合体の表面の一部のみでなく、内部まで溶融または軟化し、単繊維同士の境界面が明確でない程、強固に融着しているものであってよい。
【0015】
本発明におけるマルチフィラメント糸は、熱可塑性重合体からなるものである。熱可塑性重合体としては、従来よりスパンボンド不織布に用いられた熱可塑性重合体を用いればよく、ポリエステル系重合体、生分解性のポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体を用いればよい。また、共重合体であってもよく、例えば、ポリエステル系共重合体を使用する場合、アルキレンテレフタレートを主成分として、イソフタル酸、アジピン酸等の酸成分や、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のジオール成分を共重合したものが挙げられる。
【0016】
また、これらの重合体には、用途等の必要に応じて、艶消し剤、顔料、防炎剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0017】
マルチフィラメント糸を構成する単繊維の形態としては、1種の重合体からなる単相形態であっても、2種以上の重合体からなる複合形態であってもよい。
【0018】
本発明において、マルチフィラメント糸として、単繊維同士が融着しているものである場合や、不織布形態の保持としてマルチフィラメント糸同士が熱接着していることから、単繊維の形態は、芯成分に高融点重合体を配し、鞘成分に低融点重合体を配してなる芯鞘型複合型であることが好ましい。単繊維の形態が、芯鞘型複合型であると、後述する製造方法により、単繊維同士が融着しているマルチフィラメント糸を効率的に製造することができる。また、芯成分においては、分子が十分に配向しているため繊維の強度が高く、一方、鞘成分は、単繊維同士を融着させるバインダーとしての機能させること、また、それぞれのマルチフィラメント糸同士を接着させるバインダーとして機能させることができるため好ましい。
【0019】
単繊維の断面形状については、特に限定されず、一般的な円形断面はもとより、偏平断面、多角形断面、中空部を有する中空断面等、適宜選択することができる。
【0020】
本発明のスパンボンド不織布を構成するマルチフィラメント糸の総繊度については、特に限定されず、用途等の要求性能に応じて適宜選択すればよい。なお、本発明のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布が、従来の単繊維がばらばらに堆積されてなるスパンボンド不織布と比較して優位な効果を奏するには、15デシテックス以上であることが好ましく、さらには、30デシテックス以上であることが好ましい。マルチフィラメント糸の総繊度を15デシテックス以上とすることにより、剛性、引裂強力、通気性、透光性等の性能に優れたものとなる。マルチフィラメント糸の総繊度の上限は特に限定されず、用途等に応じて適宜選択すればよい。
【0021】
マルチフィラメント糸を構成する単繊維の単糸繊度およびマルチフィラメント糸を構成する単繊維数は、マルチフィラメント糸の総繊度やスパンボンド不織布を使用する用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。単繊維の単糸繊度に関しては、5〜15デシテックス程度とする。単繊維同士を融着させてマルチフィラメント糸を得ようとする場合には、5デシテックス未満であると、紡糸工程で繊維が冷えやすいため、単繊維同士を収束させて融着させることが困難となる。一方、15デシテックスを超えると、繊維が冷えにくいために単繊維の融着が過剰となり、目的とするマルチフィラメント糸を得ることが、通常の設備では製造することが困難であり、現実的でない。
【0022】
本発明のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布は、熱接着していることによって形態を保持している。ここで熱接着とは、単繊維を構成する熱可塑性重合体が熱により溶融または軟化することによって接着しているものである。具体的には、熱エンボス加工によって形成される部分熱圧着部を有することにより熱接着しているものであっても、また、熱カレンダー加工による熱処理により熱接着しているもの、熱風処理により熱接着しているものでもよい。また、これらの方法を併用したものでもよい。本発明においては、スパンボンド不織布の形態安定性の点から、熱と圧力とを付加することにより熱接着しているもの、すなわち、熱エンボス加工または熱カレンダー加工によるものであることが好ましい。
【0023】
本発明のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布の目付は、15g/m2以上であることが好ましい。目付が、15g/m2未満であると、形態保持性に劣る傾向となり、取り扱い性が困難となりやすい。上限は特に限定されず、用途、コスト等に応じて適宜選択すればよい。
【0024】
本発明のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布は、それ単独で使用する以外に、他の素材と複合することもできる。すなわち、他の通常の単繊維がばらばらに積層されてなるスパンボンド不織布や、短繊維不織布、メルトブローン不織布、紙、織編物、フィルム等と貼り合わせて使用する複合材料として使用してもよい。
【0025】
次に、本発明のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布の好ましい製造方法について説明する。
【0026】
まず、紡糸口金を用いて熱可塑性重合体を溶融紡出し、紡出糸条(複数の単繊維群)をエアーサッカーに導入して、目的繊度となるように牽引・延伸し、複数の単繊維が収束してなる状態のマルチフィラメント糸をエアーサッカーより排出する。
【0027】
紡出した複数の単繊維が収束してなる状態のマルチフィラメント糸をエアーサッカーより排出させるには、エアーサッカー内で撚りを掛けることが好ましい。エアーサッカー内で撚りを掛ける方法としては、エアーサッカー内の牽引エアーの流れを渦巻き流とすることが好ましい。具体的には、エアーサッカーの入口もしくは内部に羽根を取り付けることにより、また、その羽根を動かすことにより渦巻き流とする方法、エアーサッカーの入口もしくは内部にエアーを吹付けて渦巻き流とする方法が挙げられる。
【0028】
また、エアーサッカーに導入前またはエアーサッカー内で複数の単繊維同士を融着させてマルチフィラメント糸とすることが好ましい。具体的には、紡糸口金から溶融紡出された紡出糸条において、個々の単繊維が完全に冷えきっていない状態(単繊維同士が融着可能な状態)のときにガイド等により複数の単繊維同士を密着させることにより融着させて、その後、エアーサッカーに導入する方法が挙げられる。また、エアーサッカーの導入口を小さく設計し、個々の単繊維が完全に冷えきっていない状態(単繊維同士が融着可能な状態)でエアーサッカーに導入し、エアーサッカーの導入口が小さいために、単繊維同士が密着してそれぞれを融着させる方法が挙げられる。単繊維同士が融着してなるマルチフィラメント糸をエアーサッカーより排出するためには、単繊維同士を密着させる際に、融着可能な状態であることが必要であるため、口金と密着させる位置(ガイドの位置あるいはエアーサッカーの導入口)までの距離や牽引速度等は、用いる熱可塑性重合体、単孔突出量等によって適宜設定する。また、単繊維同士を融着させる際、単繊維を構成する熱可塑性重合体の状態によって、単繊維同士の融着状態(容易にばらばらにならない程度の融着、強固な融着等)を決定することができる。
【0029】
次いで、エアーサッカーより排出されたマルチフィラメント糸は、移動式捕集面上に堆積してマルチフィラメント糸からなるウエブを形成する。マルチフィラメント糸を移動式捕集面上に堆積させる際、エアーサッカーより排出直後のマルチフィラメント糸にエアー等を吹付けることにより、マルチフィラメント糸を幅方向に振って堆積させることが好ましい。エアーの吹付けとしては、左右より交互に吹付けることにより、マルチフィラメント糸はゆるやかな螺旋を描いて移動式捕集面上にループ状に堆積させることができるため、ランダムなループ状に堆積させることができて好ましい。
【0030】
次いで、得られたマルチフィラメント糸からなるウエブに、熱処理を施して、マルチフィラメント糸同士を熱接着して、マルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布を得る。
【0031】
熱処理としては、一対のエンボスロールからなるエンボス装置、あるいはエンボスロールとフラットロールからなるエンボス装置を用いた熱エンボス加工、一対のフラットロールからなるカレンダー装置による熱カレンダー加工、熱風乾燥機等に通して熱処理を行う熱風処理等が挙げられ、形態安定性の点から熱エンボス加工または熱カレンダー加工を行うことが好ましい。
【0032】
熱エンボス加工については、エンボスロールの凸部の面積、配設密度によって、得られるスパンボンド不織布が有する部分熱圧着部の個々の大きさ、部分熱圧着部の配設密度、圧接面積率が決定される。エンボスロールの凸部の面積、圧接面積率(ロールの全表面積に対する全凸部の面積の比)は、得られるスパンボンド不織布の形態が保持できるものであれば特に限定されないが、凸部の面積は0.1〜5mm2程度、圧接面積率10〜60%(ロールの全表面積に対する全凸部の面積の比)程度であればよく、用途や要求性能により適宜選択すればよい。なお、本発明のスパンボンド不織布において、特に総繊度が100デシテックス以上の繊度の大きなマルチフィラメント糸からなるものである場合で、例えば、目付が30g/m2以下程度の低目付のものでは、単位面積あたりに占めるマルチフィラメント糸の本数が少ないため、2次元的(面的)に見たときに多数の大きな空隙(開口)部分が存在する。したがって、形態保持性を考慮すると、凸部の面積が大きく、かつ圧接面積率が大きい方が好ましい。また、カレンダー装置により熱処理を施すことも好ましい。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各特性値は、以下のようにして求めた。
(1) ポリエステルの極限粘度[η];フェノールと四塩化エタンとの等質量比の混合溶媒100ccに試料0.5gを溶解し、測定した。
【0034】
(2) 融点(℃);パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を用い、昇温速度20℃/分で測定した。
【0035】
(3) 不織布の引張強力(N/5cm幅);合繊長繊維不織布試験法(JISL 1906)に準じて、東洋ボールドウイン社製テンシロンRTM−500型を用いて、幅50mm、長さ200mmの試験片を、把持間隔100mm、引張速度100mm/分の条件で測定し、試料10点の平均値を求め、引張強力とした。なお、引張強力については、不織布のMD方向(機械方向)、CD方向(MD方向に直交する方向)共に求めた。
【0036】
(4)不織布の引裂強力(N);JIS L 1906の引裂き強さ ペンジュラム法により不織布のMD方向の引裂き強力を測定した。
【0037】
(5)透光率(%);JIS L 1906 透光性に準じ、照度は500lxとして測定した。
【0038】
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(融点260℃、極限粘度0.70)からなるチップを原料とし、公知の溶融紡糸装置を用い、繊維断面が丸断面となる孔数30ホールの紡糸口金より、紡糸温度280℃で溶融紡出した。紡糸口金とエアーサッカーまでの距離は60cmに設定し、紡出糸条は、エアーサッカーの導入口が小さくなっている(直径5mm)エアーサッカーに導入した。このとき、ひとつのエアーサッカーに30本の単繊維を導入した。そして、エアーサッカーにて、単繊維の繊度が5.0デシテックスとなるように牽引速度4000m/分で牽引すると同時に、エアーサッカー内で単繊維同士を密着させて融着し、30本の単繊維が融着により収束した総繊度が150デシテックスのマルチフィラメント糸をエアーサッカーより排出させた。
【0039】
エアーサッカーより排出したマルチフィラメント糸は、左右よりエアを吹付ける横振り装置にて、螺旋状に回転させながら、コンベアネット上に捕集・堆積させて、マルチフィラメント糸からなるウエブとした。
【0040】
このウエブを、エンボスロール(エンボス凸部の面積0.9mm2、面積率21%)とフラットロールとからなる熱エンボス装置に導き、両ロールの表面温度230℃、線圧294N/cmの条件下で部分的に熱圧接処理を施し、目付50g/m2のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布を得た。
【0041】
実施例2
実施例1と同様にして、目付100g/m2のスパンボンド不織布を製造した。
【0042】
実施例3
ポリエチレンテレフタレート(融点260℃、極限粘度0.70)からなるチップと、ポリエチレン(融点125℃、メルトフローレート(JIS K 6922に記載の方法により、温度190℃、荷重21.18Nで測定)25g/10分)からなるチップとを原料として用意し、公知の芯鞘型複合溶融紡糸装置を用い、繊維断面が芯鞘型となる孔数42ホールの複合紡糸口金より、芯部にポリエチレンテレフタレートを、鞘部にポリエチレンが配されるようにして、質量比(1/1)の割合で、紡糸温度280℃で溶融紡出した。紡糸口金とエアーサッカーまでの距離は60cmに設定し、紡出糸条は、エアーサッカーの導入口が小さくなっている(直径5mm)エアーサッカーに導入した。このとき、ひとつのエアーサッカーに14本の単繊維を導入した。そして、エアーサッカーにて、単繊維の繊度が10デシテックスとなるように牽引速度4000m/分で牽引すると同時に、エアーサッカー内で単繊維同士を密着させて融着し、14本の単繊維が融着により収束した総繊度が140デシテックスのマルチフィラメント糸をエアーサッカーより排出させた。
【0043】
エアーサッカーより排出したマルチフィラメント糸は、左右よりエアを吹付ける横振り装置にて、螺旋状に回転させながら、コンベアネット上に捕集・堆積させて、マルチフィラメント糸からなるウエブとした。
【0044】
このウエブを、エンボスロール(エンボス凸部の面積0.9mm2、面積率21%)とフラットロールとからなる熱エンボス装置に導き、両ロールの表面温度120℃、線圧500N/cmの条件下で部分的に熱圧接処理を施し、目付100g/m2のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布を得た。
【0045】
実施例4
実施例1において、紡糸口金とエアーサッカーまでの距離を120cmとしたこと、エアーサッカーとして、エアーサッカーの導入口は小さくなっておらず、導入口に静翼が取り付けられたものを用いたこと以外は実施例1と同様にしてマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布を得た。
【0046】
なお、エアーサッカーの導入口に静翼を取り付けたことにより、エアーサッカー内に牽引エアーの流れを渦巻き流とし、得られたスパンボンド不織布を構成するマルチフィラメント糸は撚りを有することにより収束したものであり、単繊維同士は融着しているものではない。
【0047】
比較例1
実施例1において、紡糸口金と吸引装置の距離を120cmとしたこと、エアーサッカーの導入口が小さくなっていないものを用いてエアーサッカー内で単繊維同士を密着させず、エアーサッカーより排出後、開繊器にて単繊維同士を開繊させて移動する捕集面上に捕集・堆積させたこと、ウエブの目付を15g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を製造した。
【0048】
得られた実施例1〜4、比較例1の不織布の物性評価を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0003970625
【0050】
表1からも明らかなように、実施例1〜4のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布は、目付が50g/m2、100g/m2と高いものでありながら、空隙(開口)部分が存在するものであり、比較例1のような低目付のものと同程度の優れた透光性を有するものであった。また、引裂強力にも優れ、実用上問題ない機械的強力を有するものであった。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、マルチフィラメント糸から構成されるスパンボンド不織布であり、マルチフィラメント糸を構成している単繊維の繊度、構成本数を適宜選択することにより、マルチフィラメント糸の総繊度を決定することができるため、従来の単繊維がばらばらに堆積してなるスパンボンド不織布が対応できなかったような多岐にわたる要求性能を期待できるものである。すなわち、従来は、15デシテックスを超える単繊維からなるスパンボンド不織布を製造することは、操業上等から困難であったが、スパンボンド不織布の構成繊維の単位としてマルチフィラメント糸を採用し、総繊度が15デシテックスを超えるマルチフィラメント糸とすることにより、機械的強力と良好な通気性・透光性とを同時に満足することができるスパンボンド不織布を得ることができる。また、マルチフィラメント糸の総繊度は、適宜選択することができるため、極めて大きい総繊度のものとすることも可能であり、優れた剛性を不織布に付与することもできる。
【0052】
また、本発明のスパンボンド不織布は、複数の単繊維の集合体であるマルチフィラメント糸からなるため、特に引裂強力に優れる。
【0053】
本発明のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布は、前述したように単繊維の繊度、構成本数、マルチフィラメント糸の総繊度を適宜選択する幅が広く、またさらに目付量とも併せて適宜選択することによって、様々な用途に応じた様々な要求性能を満足することが期待でき、建築、土木、車輌等の産業・工業用資材や、医療材料、衛生材料、生活資材、農業・園芸・林業資材等の様々な分野の様々な用途に好適に使用することができるものである。

Claims (8)

  1. 熱可塑性重合体からなる複数の単繊維が収束することにより形成されるマルチフィラメント糸から構成されるスパンボンド不織布であり、マルチフィラメント糸同士は熱接着していることにより形態を保持していることを特徴とするマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布。
  2. マルチフィラメント糸は、撚りを有していることを特徴とする請求項1記載のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布。
  3. マルチフィラメント糸は、マルチフィラメント糸を構成する単繊維同士が、単繊維を構成している熱可塑性重合体の表面の一部が溶融または軟化することにより融着していることを特徴とする請求項1または2記載のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布。
  4. マルチフィラメント糸の総繊度が15デシテックス以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布。
  5. マルチフィラメント糸を構成している単繊維が、芯成分に高融点重合体を配し、鞘成分に低融点重合体を配してなる芯鞘型複合繊維であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布。
  6. 熱可塑性重合体を溶融紡出し、紡出糸条をエアーサッカーに導入して牽引・延伸し、単繊維が収束してなる状態のマルチフィラメント糸をエアーサッカーより排出し、マルチフィラメント糸を移動式捕集面上に堆積してマルチフィラメント糸からなるウエブを形成し、次いで熱処理によりマルチフィラメント糸同士を熱接着させることを特徴とするマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布の製造方法。
  7. エアーサッカー内で撚りを掛けることにより単繊維同士が収束してなるマルチフィラメント糸とすることを特徴とする請求項6記載のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布の製造方法。
  8. エアーサッカーに導入前またはエアーサッカー内で単繊維同士を融着させてマルチフィラメント糸とすることを特徴とする請求項6または7に記載のマルチフィラメント糸からなるスパンボンド不織布の製造方法。
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