JPH1161618A - 極細繊維不織布及びその製造方法 - Google Patents

極細繊維不織布及びその製造方法

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JPH1161618A
JPH1161618A JP9230673A JP23067397A JPH1161618A JP H1161618 A JPH1161618 A JP H1161618A JP 9230673 A JP9230673 A JP 9230673A JP 23067397 A JP23067397 A JP 23067397A JP H1161618 A JPH1161618 A JP H1161618A
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JP
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fiber
component
nonwoven fabric
composite
polymer component
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JP9230673A
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English (en)
Inventor
Takashi Nozu
堯 野津
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 拭き布として好適な不織布を提供する。 【解決手段】 この不織布6は複合型長繊維で構成され
る。該長繊維は、低融点の熱可塑性重合体成分Aと高融
点の熱可塑性重合体成分Bとが複合されてなる。成分A
と成分Bは、繊維の表面に露出している。不織布6中に
は融着区域7と割繊区域8とが交互に隣合いながら配列
し、割繊により生じた重合体成分Aのみよりなる繊維A
と重合体成分Bのみよりなる繊維Bとが実質的に三次元
交絡している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極細繊維不織布に
関し、詳細には主として拭き布として用いるのに好適な
極細繊維不織布及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、拭き布として各種の不織布が
用いられている。古くは、比較的太繊度の繊維よりなる
乾式短繊維不織布やスパンボンド不織布が用いられてい
た。しかしながら、これらの不織布は塵埃除去性能に劣
るため、近年、細繊度の繊維よりなる乾式短繊維不織布
やスパンボンド不織布が多く用いられてきた。細繊度の
繊維は太繊度の繊維に比べて細かい塵埃を良好に吸着
し、あるいは絡め取り塵埃除去性能に優れているもので
ある。しかしながら、細繊度の繊維からなる不織布は太
繊度の繊維に比べて剛性が低く、その結果、全体に柔軟
過ぎるという問題を有している。不織布が全体として柔
軟過ぎると、それを拭き布として使用した場合に取り扱
いにくく、また取り扱い中に長い毛羽が発生するという
欠点が生じるのである。例えば、支持体に不織布を貼り
付けて拭き布として使用するような場合、支持体に不織
布を貼り付けにくいという問題があった。また、拭き布
が柔軟過ぎると、手で把持して清掃する場合においても
拭き布が丸まり易く、被清掃面を滑らかに擦りにくいと
いう問題があった。このような問題を解決すべく、細繊
度の繊維からなる不織布中に剛性の高いモノフィラメン
ト(繊度の大きいモノフィラメント)を縦方向及び/又
は横方向に挿入した不織布製拭き布が提案されている。
しかしながら、この不織布製拭き布には、不織布の製造
工程中に繊度の大きいモノフィラメントを挿入する工程
を設けなければならず、その製造が煩雑になるという問
題がある。
【0003】ところで、出願人は、特願平6−5089
05号(特開平6−808083号)において、複合型
長繊維よりなる繊維ウエブに間隔を置いた熱融着区域を
設けた後、この熱融着区域外の非融着区域において複合
型長繊維を分割割繊した極細繊維不織布を提案した。こ
の極細繊維不織布中の融着区域は、高融点成分と低融点
成分とが接合されてなる複合型長繊維における低融点成
分のみの軟化又は溶融によって形成されているものであ
り、分割割繊により生じた高融点成分のみからなる繊維
は繊維形態を維持したまま自由な状態で融着区域中に残
存している。したがって、この不織布は、極細繊維を直
接熱融着した場合に比べてフイルム状になりにくく、融
着区域が破断し易くなったり、あるいは剛直になり過ぎ
るということが少なく、拭き布として取り扱い易いもの
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの点
に鑑み、剛性の向上した極細繊維不織布を提供するもの
である。特に、特開平6−808083号の極細繊維か
らなる不織布をさらに改良するものであって、融着区域
外の非融着区域における複合型長繊維の分割割繊により
生じた極細繊維群に実質的な三次元交絡を形成すること
によって、十分な引張強力と寸法安定性を有し、柔軟性
は若干低減するものの剛性が適度に向上しており、嵩高
性に優れ、毛羽の発生が少なく、拭き布としての取り扱
い易さに優れる不織布を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記問題を
解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達した。すなわ
ち、本発明は、以下の構成をその要旨とするものであ
る。 1)熱可塑性重合体成分Aと、該重合体成分Aに対し非
相溶性であり、かつ該重合体成分Aの融点よりも30〜
180℃高い融点を持つ熱可塑性重合体成分Bとが複合
されると共に、少なくとも該重合体成分Aがその表面に
露出している複合型長繊維で形成された極細繊維不織布
であって、該複合型長繊維中の該成分Aのみの軟化又は
溶融により該複合型長繊維相互間が融着されてなる融着
区域が間隔を置いて設けられており、該融着区域外の非
融着区域には、該複合型長繊維の分割割繊により生じた
成分Aのみよりなる繊維A、該複合型長繊維の分割割繊
により生じた成分Bのみよりなる繊維B及び分割割繊さ
れなかった未割繊複合型長繊維が、実質的に三次元交絡
しながら混在していることを特徴とする極細繊維不織
布。 2)熱可塑性重合体成分Aと、該重合体成分Aに対し非
相溶性であり、かつ該重合体成分Aの融点よりも30〜
180℃高い融点を持つ熱可塑性重合体成分Bとが複合
されると共に、少なくとも該重合体成分Aがその表面に
露出している複合型長繊維を集積して繊維ウエブを成形
した後、該繊維ウエブの間隔を置いた所定の区域に厚み
方向に亙って熱を与え、該成分Aのみを軟化又は溶融さ
せることにより、該複合型長繊維相互間を融着させた融
着区域が間隔を置いて設けられている繊維フリースを
得、その後、該繊維フリースに座屈加工を施すことによ
り、非融着区域に存在する該複合型長繊維を分割割繊し
て、成分Aのみよりなる繊維A及び成分Bのみよりなる
繊維Bを生成させた後、高圧液体流処理を施すことによ
り、成分Aのみよりなる繊維A、成分Bのみよりなる繊
維B及び分割割繊されなかった未割繊複合型長繊維間に
実質的な三次元交絡を形成することを特徴とする極細繊
維不織布の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明において使用する複合型長繊維について説
明する。この複合型長繊維は、熱可塑性重合体成分A
と、該重合体成分Aに対し非相溶性であり、かつ該重合
体成分Aの融点よりも30〜180℃高い融点を持つ熱
可塑性重合体成分Bとが複合されたものである。そし
て、該重合体成分Aは、少なくとも複合型長繊維の表面
に露出しているものである。重合体成分Aとして熱可塑
性を示す重合体を採用する理由は、重合体成分Aの溶融
又は軟化によって複合型長繊維相互間を融着させるため
である。したがって、重合体成分Aは、少なくともその
一部が複合型長繊維の表面に露出していなければならな
い。重合体成分Aが露出していないと、その融着によっ
て他の複合型長繊維と結合させることができないからで
ある。さらに、該重合体成分Bは、該重合体成分Aより
もその融点が30〜180℃高く、好ましくは40〜1
60℃高く、最も好ましくは50〜140℃高いもので
ある。両重合体成分の融点差が30℃未満であると、重
合体成分Aを溶融又は軟化させた場合に重合体成分Bも
軟化もしくは劣化し易くなって複合型長繊維の繊維形態
が壊れるということが起こり、形成される融着区域の機
械的強力が低下し、破断し易くなるからである。また、
融着区域がフイルム状となって不織布全体が剛直になり
過ぎるからである。一方、両重合体成分の融点差が18
0℃を超えると、複合型長繊維自体を複合溶融紡糸法で
製造するのが困難になる。なお、重合体成分AやBの融
点は、以下の方法で測定したものである。すなわち、パ
ーキンエルマ社製DSC−2C型を用い、昇温速度20
℃/分で室温より昇温して得られる融解吸収曲線の極値
を与える温度を融点とした。また、該重合体成分Aと該
重合体成分Bとは、非相溶性の重合体でなければならな
い。これは、重合体成分Aと重合体成分Bとの親和性を
低下させ、分割割繊に際して成分Aと成分Bとを剥離し
易くするためである。すなわち、複合型長繊維に分割割
繊の機能を付与するためである。また、成分A及び成分
B共に複合型長繊維の表面に露出していることが必要で
ある。
【0007】重合体成分Aと重合体成分Bとの具体的な
組み合わせ(成分A/成分B)としては、ポリアミド系
重合体/ポリエステル系重合体、ポリオレフイン系重合
体/ポリエステル系重合体、ポリオレフイン系重合体/
ポリアミド系重合体等を採用することができる。ポリエ
ステル系重合体としては、ポリエチレンテレフタレート
やポリブチレンテレフタレートあるいはこれらを主成分
とする共重合ポリエステル等を採用することができる。
ポリアミド系重合体としては、ナイロン6、ナイロン4
6、ナイロン66、ナイロン610あるいはこれらを主
成分とする共重合ナイロン等を使用することができる。
ポリオレフイン系重合体としては、ポリプロピレン、高
密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレンあるいはエチレン−
プロピレン共重合体等を採用することができる。なお、
成分A又は成分B中には、所望に応じて、潤滑剤、顔
料、艶消し剤、熱安定剤、耐光剤、紫外線吸収剤、制電
剤、導電剤、蓄熱剤、抗菌剤等が添加されていてもよ
い。
【0008】複合型長繊維における重合体成分A及び成
分Bの複合方法としては、上記した要件を満足するもの
であればどのような形態であっても差し支えない。具体
的には、複合型長繊維の横断面が図1〜図4に示した形
態になるように複合するのが好ましい。重合体成分A及
び重合体成分B共に複合型長繊維の表面に露出している
必要がある。図中、斜線部で示した部分が成分Bで、散
点部が成分Aである。なお、図2中の斜線も散点も施さ
れていない中心部は空洞であってもよく(中空繊維)、
また成分A及び成分B以外の重合体成分で形成されてい
てもよい。図1〜図4で示した複合型長繊維は、断面が
ほぼ円形であって点対称型となっているが、これに限ら
れることはなく、異形断面で非対称型のものであっても
よいことは勿論である。重合体成分Aと成分Bを複合す
る際の量的割合も任意に決定し得る事項であるが、一般
的に、成分A/成分B=20〜80/80〜20(重量
部)である。成分Aが20重量部未満になると、融着に
よる複合型長繊維相互間の結合力が低下し、得られる不
織布に十分な引張強力を付与しにくくなる傾向が生じ
る。一方、成分Aが80重量部を超えると、複合型長繊
維相互間の融着が激しくなって融着区域に孔が開き、結
果的に得られる不織布の引張強力が低下する傾向が生じ
る。
【0009】また、本発明において採用する複合型長繊
維の単糸繊度は、これも任意に決定し得る事項である
が、2〜12デニールであるのが好ましく、特に2〜1
0デニールであるのがより好ましい。複合型長繊維の単
糸繊度が2デニール未満であると、複合型長繊維が細す
ぎて製造しにくくなる傾向が生じ、しかも生産性が低下
する。一方、単糸繊度が12デニールを超えると、複合
型長繊維が太すぎるために低目付で地合いの良好な不織
布が得られにくくなる傾向が生じる。
【0010】以上のような複合型長繊維を用い、これを
集積して繊維ウエブが形成されるのである。複合型長繊
維の製造及び繊維ウエブの形成は、以下のような方法で
行なうのが好ましい。すなわち、まず、前記したポリオ
レフイン系重合体のような熱可塑性重合体成分Aを準備
する。そして、重合体成分Aに対し非相溶性でかつ成分
Aの融点よりも30〜180℃高い融点を持つ熱可塑性
重合体成分Bを準備する。そして、成分A及びBを複合
紡糸口金を備えた溶融紡糸装置に導入し、従来公知の複
合溶融紡糸法によって複合型長繊維を得る。複合紡糸口
金に重合体成分A及びBを導入する際、成分A及び成分
Bが得られる複合型長繊維の表面に露出するようにしな
ければならない。成分A及び成分Bを溶融紡糸するに
は、各々の融点よりも20〜60℃高い温度に加熱して
やればよい。したがって、成分Aと成分Bの融点差が1
80℃を超えると、溶融状態の成分Bの熱的影響によっ
て成分Aがその融点よりも極めて高い温度に加熱され、
成分Aが熱分解したり劣化する恐れがある。紡糸温度が
上記の温度範囲よりも低いと、紡糸速度を高速度にしに
くくなり、また細繊度の複合型長繊維が得られにくくな
る。一方、紡糸温度が上記の温度範囲を超えて高いと、
成分A及び成分Bの流動性が大きくなって溶融紡糸時に
糸切れが多発する傾向が生じる。糸切れが起こると、切
断端部が玉状の塊となり、得られる不織布中にこの塊が
混在する結果、不織布の品位が低下する傾向が生じる。
また、成分A及びBの流動性が大きくなると、紡糸孔付
近が汚れ易くなって一定時間毎に紡糸孔の洗浄が必要と
なり、紡糸操業性が低下する傾向が生じる。
【0011】溶融紡出した複合型長繊維は、その後冷却
され、エアーサツカ等の牽引手段で牽引・引取られる。
エアーサツカは、通常エアージエツトとも呼ばれ、空気
の吸引と送出し作用により繊維の搬送と繊維の延伸を行
なわせるものである。エアーサツカで牽引された複合型
長繊維群は、延伸されながらエアーサツカの出口に搬送
される。なお、当然ながら、エアーサツカでの牽引・引
取に代わりロールを用いることもでき、この場合、ロー
ルでの牽引に連続してエアーサツカで引取る方法が好ま
しい。引取られた複合型長繊維は、エアーサツカの出口
に設けられた開繊装置によって開繊される。開繊方法と
しては、従来公知の方法が採用され、例えばコロナ放電
法や摩擦帯電法等が採用される。そして、この開繊され
た複合型長繊維は、移動する金網製等の捕集コンベア上
に集積され、繊維ウエブが形成されるのである。
【0012】次いで、この繊維ウエブの所定の区域に厚
み方向にわたって熱を与え融着区域を形成する。すなわ
ち、その区域における複合型長繊維の重合体成分Aのみ
を軟化又は溶融させて複合型長繊維相互間を融着させて
融着区域を形成する。この所定の区域は間隔を置いて設
けられ、繊維ウエブ中に散点状の形態で配設されてなる
ものである。この所定の区域において、熱は厚み方向に
わたってほぼ同程度の温度になるように与えられるもの
である。熱が厚み方向にわたって与えられず、繊維ウエ
ブの表面又は裏面のみに与えられると、繊維ウエブの中
間層において複合型長繊維の成分Aが十分に軟化又は溶
融せず、複合型長繊維相互間が十分に融着せず、得られ
る不織布の引張強力や寸法安定性の向上が図れないた
め、好ましくない。この融着区域の面積は、繊維ウエブ
中に所望の大きさで形成することができるが、本明にお
いては、0.1〜1.0mm2 の範囲で、その密度すな
わち融着区域密度が4〜80点/cm2 のものであるの
がよい。この融着区域は、繊維ウエブ中に所望の割合で
形成することができるが、本発明においては、得られる
不織布の全面積に対する全融着区域の面積の比が2〜5
0%となるような割合で形成するのが好ましい。不織布
の全面積に対する融着区域の面積の比が2%未満である
と、不織布の引張強力や寸法安定性といった機械的特性
が低下する傾向が生じる。一方、不織布の全面積に対す
る融着区域の面積の比が50%を超えると、複合型長繊
維が融着している区域が多くなって得られる不織布の柔
軟性が低下し過ぎ、剛直になり過ぎる傾向が生じ、しか
も後の座屈加工処理で複合型長繊維を分割割繊するに際
し、割繊率が向上しない。
【0013】このような熱の付与方法としては、例え
ば、エンボスロール(凹凸ロールのことである。以下同
じ。)と平滑ロールとよりなるエンボス装置あるいは一
対のエンボスロールよりなるエンボス装置を使用し、エ
ンボスロールを加熱して繊維ウエブにその凸部を押圧す
ればよい。この凸部はエンボスロール面に散点状、直線
状、曲線状等に配設されなるものである。なお、このエ
ンボスロールの一個一個の凸部の先端面形状は必ずしも
円形である必要はなく、楕円形、菱形、三角形、T形、
直線形、曲線形、井形等任意の形状を採用することがで
きる。この際、エンボスロールは、重合体成分Aの融点
以下の温度に加熱されているのが、好ましい。エンボス
ロールが成分Aの融点を超える温度に加熱されている
と、繊維ウエブに押圧された凸部以外の区域においても
成分Aが溶融し、融着区域の面積が所定の割合よりも多
くなり、得られる不織布の柔軟性が低下する傾向が生じ
る。融着区域形成温度(エンボスロール温度)は、重合
体成分Aの融点以下の温度とし、好ましくは成分Aの融
点より5〜30℃低い温度とする。そして、この融点よ
り高い温度で融着区域を形成しようとすると、エンボス
ロール装置に繊維ウエブが固着し著しく操業性を悪化さ
せることとなる。融着区域形成温度が成分Aの融点に近
い温度であると、融着が強固なものとなるため、不織布
の寸法安定性が向上する。また、後の高圧液体流処理
で、融着区域外の非融着区域において複合型長繊維の分
割割繊により生じた成分Aのみよりなる繊維A、該複合
型長繊維の分割割繊により生じた成分Bのみよりなる繊
維B及び分割割繊されなかった未割繊複合型長繊維に三
次元交絡を形成するに際し、該融着区域は崩壊すること
なくその形態を保持し、したがって得られる不織布は、
引張強力や寸法安定性といった機械的特性に優れたもの
となる。一方、重合体成分Aの融点より30℃以上低い
温度で融着区域を形成しようとすると、該融着区域は繊
維形態を保持した仮融着の状態となり、後の高圧液体流
処理で、該融着区域は崩壊して繊維状のものとなり、複
合型長繊維の分割割繊により生じた成分Aのみよりなる
繊維A、該複合型長繊維の分割割繊により生じた成分B
のみよりなる繊維B及び分割割繊されなかった未割繊複
合型長繊維のいずれもが自由度に富むこととなるため、
得られる不織布は柔軟性が向上するものの、引張強力や
寸法安定性といった機械的特性が低下する。なお、融着
区域は、超音波溶着装置を使用して形成してもよい。超
音波溶着装置は繊維ウエブの所定の区域に超音波を照射
することによって、その区域における複型長繊維の相互
間の摩擦熱で重合体成分Aを溶融させるものである。
【0014】以上のようにして、所定の区域において複
合型長繊維相互間が融着された繊維フリースを得る。そ
して、この繊維フリースに座屈加工を施す。座屈加工の
方法としては、繊維フリースをロールに導入する際、導
入速度を導出速度よりも大きくして繊維フリースを屈曲
させる座屈圧縮法が基本的に採用される。具体的には、
一対のロール間に繊維フリースを導入する方法、一本の
ロールと押え板との間に繊維フリースを導入する方法、
一本のロールに導入した後、上部押え板と下部押え板
(櫛状押え板)との間に繊維フリースを導入する方法等
が挙げられる。このような座屈圧縮法を適用するための
装置としては、マイクレツクス社製のマイクロクレーパ
機や上野山機工社製のカムフイツト機等を採用するのが
好ましい。図5は、マイクレツクス社製のマイクロクレ
ーパ機の例で、一本のロール1と押え板2との間に繊維
フリース5を導入する方法を示す。
【0015】以上のように、座屈加工が施された割繊区
域(融着区域外の区域)で複合型長繊維が分割割繊さ
れ、重合体成分Aのみよりなる繊維A及び重合体成分B
のみよりなる繊維Bが生成され、さらに一部未割繊の複
合型長繊維が残存しているのである。複合型長繊維の繊
度よりも細繊度の繊維A及び繊維Bが生成することによ
って割繊区域は柔軟性が向上し、塵埃除去機能が向上す
るのである。この座屈加工が施された割繊域での割繊率
は70%以上であるのが好ましく、特に90%以上であ
るのがより好ましい。割繊率が70%未満になると、繊
維A及びBの生成割合が少なくなり拭き布としての塵埃
除去機能が十分に向上しなくなる恐れがある。ここでい
う割繊率とは、以下のような測定方法で測定されるもの
である。すなわち、座屈加工が施された繊維ウエブの任
意の10個所を選び、その割繊域内の断面を100倍に
拡大して走査型電子顕微鏡写真を撮影する。次いで、各
断面写真毎にランダムに30本のフイラメントを選び、
下記式(1)により割繊率を求め、得られた値の平均値
をその繊維ウエブの割繊率とする。 割繊率(%)=(30/N)×100 (1) 式(1)において、Nは完全に割繊されたと仮定したと
きの重合体成分Aからなるフイラメント及び重合体成分
Bからなるフイラメントの全フイラメントの総数であ
る。
【0016】以上のようにして、融着区域外の非融着区
域において複合型長繊維が割繊された繊維フリースを得
る。そして、この繊維フリースに高圧液体流処理を施
す。高圧液体流処理では、その装置として、例えば孔径
が0.05〜1.5mm、特に0.1〜0.4mmの噴
射孔を孔間隔0.05〜5mmで一列あるいは複数列に
多数配列した装置を用いる。噴射孔から高圧力で水流す
なわち高圧液体流を噴射し、多孔性支持部材上に載置し
た繊維ウエブに衝突させる。これにより、融着区域外の
非融着区域に存在する複合型長繊維の分割割繊により生
じた成分Aのみよりなる繊維A、該複合型長繊維の分割
割繊により生じた成分Bのみよりなる繊維B及び分割割
繊されなかった未割繊複合型長繊維は、各繊維同士が三
次元的に交絡し、その結果、得られた不織布は、毛羽発
生の少ないものとなる。噴射孔の配列は、前記繊維ウエ
ブの進行方向(機械方向)と直行する方向(横方向)に
列状に配列する。高圧液体流としては、常温あるいは温
水を用いることができる。噴射孔と前記繊維ウエブとの
間の距離は、10〜150mmとするのがよい。この距
離が10mm未満であると、この処理により得られる不
織布の地合が乱れ、一方、この距離が150mmを超え
ると液体流が前記繊維ウエブに衝突したときの衝撃力が
低下して三次元交絡が十分に形成されない傾向にある。
この高圧液体流の処理圧力は、製造方法や不織布の要求
特性によって決定されるが、一般的には、20〜200
kg/cm2 Gの高圧液体流を噴出するのがよい。な
お、処理するウエブの目付等にも左右されるが、前記処
理圧力の範囲内において、処理圧力が低いと嵩高で柔軟
性に優れた不織布を得ることができ、処理圧力が高いと
繊維同士の交絡度合いが高く緻密な形態を有し、例えば
フイルター性能に優れた不織布を得ることができる。高
圧液体流の圧力が20kg/cm2G未満であると、三
次元交絡が十分に形成されず、得られる不織布は使用時
に毛羽が発生し易いものとなる。一方、高圧液体流の圧
力が200kg/cm2 Gを超えると、水圧による打撃
により極端な場合には繊維が切断され、得られる不織布
は表面に繊維切断端による毛羽を有するものとなる傾向
にある。高圧液体流処理に際して用いる前記繊維ウエブ
を担持する多孔性支持部材としては、例えば、20〜2
00メツシユの金網製あるいは合成樹脂製等のメツシユ
スクリ−ンや有孔板など、高圧液体流が繊維ウエブを貫
通するものであれば特に限定されない。なお、繊維ウエ
ブの片面より高圧液体流処理を施した後、引き続き交絡
の施された繊維ウエブを反転して再度高圧液体流処理を
施すことにより、表裏共に繊維が緻密に交絡した不織布
を得ることができる。高圧液体流処理を施した後、処理
後の前記不織布から過剰水分を除去する。この過剰水分
を除去するに際しては、公知の方法を採用するとよい。
例えば、マングルロール等の絞り装置を用いて過剰水分
をある程度機械的に除去し、引き続きサクシヨンバンド
方式の熱風循環式乾燥機等の乾燥装置を用いて残余の水
分を除去する。
【0017】以上、詳述したように本発明の不織布は、
複合型長繊維相互間を融着させた融着区域と非融着区域
とを有し、該非融着区域においては座屈加工によって該
複合型長繊維が分割割繊されて重合体成分Aのみよりな
る繊維A、重合体成分Bのみよりなる繊維Bが生成さ
れ、かつ高圧液体流処理によって成分Aのみよりなる繊
維A、成分Bのみよりなる繊維B及び分割割繊されなか
った未割繊複合型長繊維間に実質的な三次元交絡が形成
されてなるものである。そして、この不織布は、ニード
ルパンチ法や高圧液体流法による割繊及び三次元交絡の
形成と比較して、以下のような利点を有するものであ
る。すなわち、複合型長繊維にニードルパンチや高圧液
体流を施すことによって衝撃が与えられ、これによって
複合長繊維を割繊すると共に三次元交絡を形成すること
はできるが、この複合長繊維を割繊するに足る大きな衝
撃力すなわち大きな運動エネルギによって分割割繊され
た繊維同士や複合型長繊維が三次元的に強固に交絡す
る。したがって、分割割繊した区域において各繊維相互
間が絡み合って緻密な状態となり、柔軟性は勿論のこと
嵩高性においても大幅に低下するのである。また、各繊
維相互間が高度に絡み合うと、塵埃除去性能も低下する
恐れがある。これに対して、座屈加工による割繊に続き
高圧液体流による三次元交絡の形成を行うという本発明
の不織布は、融着区域が崩壊することなく非融着区域に
おける複合型長繊維が十分に割繊され、しかも非融着区
域における繊維同士が三次元的に交絡し、得られる不織
布において若干の柔軟性低下は認められるものの、かか
る三次元交絡の形成によって剛性が向上し、引張強力と
寸法安定性といった機械的特性を保持しつつ、柔軟性と
剛性という相反する特性を両立させることができたもの
である。なお、本発明では、座屈加工による割繊と高圧
液体流による三次元交絡の形成を個別に行うため、割繊
と交絡の度合いを個々に制御できることは、いうまでも
ない。
【0018】複合型長繊維の割繊によって生成した重合
体成分Aのみよりなる繊維Aの繊度としては、0.05
〜4.0デニールであるのが好ましい。一方、重合体成
分Bのみよりなる繊維Bの繊度としては、0.05〜
0.8デニールであるのが好ましい。繊維Aと繊維Bの
繊度は、同一であってもよいが、繊維Aの方が相対的に
太繊度である場合(繊維Bの繊度の1.5〜3倍程度の
太さ)が多い。これは、図1又は図4で示したような複
合型長繊維すなわち重合体成分Bは複合型長繊維の表面
に多数分割されて配置されているのに対し、重合体成分
Aは複合型長繊維の中心部に分割されずに配置されてい
る複合型長繊維を採用するような場合があるからであ
る。
【0019】この複合型長繊維の繊維長は無限大といえ
る程度の長いものであり、したがって、この複合型長繊
維は割繊区域と融着区域とに跨っている。そして、融着
区域においては、複合型長繊維は重合体成分Aの融着に
よって相互に結合しており、割繊されず、当初の複合型
長繊維の状態で存在するのである。
【0020】次に、本発明の不織布の一具体例を、図6
及び図7に基づいて説明する。図6は、割繊された不織
布の平面図を模式的に表した図である。図7は、図6で
示した不織布6のX−X線断面端面図である。図中、7
は融着区域を示しており、この例では円形の融着区域7
が散点状に点在している。また、融着区域7以外の全区
域は非融着区域すなわち割繊区域8である。図7からも
明らかなように、割繊区域8は、割繊により繊維A及び
繊維Bを生成しているので、比較的嵩高となっている。
また、融着区域7は、複合型長繊維中の重合体成分Aの
軟化又は溶融によって、複合型長繊維相互間が結合して
いるので、最も厚み(見掛けの厚み)の薄いものとなっ
ている。
【0021】本発明の不織布の全体としての目付は、任
意に決定し得る事項であるが、一般的には、10〜25
0g/m2 程度である。特に、拭き布として使用する場
合には、30〜100g/m2 程度が好ましい。以上、
本発明の不織布が、主として拭き布に使用される場合を
中心にして説明してきたが、この不織布は、その他の種
々の用途に用いられるものであることは、いうまでもな
い。例えば、比較的低目付の不織布は、ベツドシーツ、
枕カバー等の寝具類、生理用ナプキンや使い捨ておむつ
等の衛生材料の吸収材、家庭用又は工業用の油吸着材等
の用途に好適に使用される。また、比較的高目付の不織
布は、フイルタ材、寝袋や寝具の中入れ綿、生活用資
材、増量材、袋物、カーペツトや人工皮革用基布、農業
用ハウスカーテン、吸収材料、建築物やその壁内の保温
材等の用途に好適に使用される。
【0022】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説
明する。なお、実施例における各特性の測定を次の方法
により行った。 重合体の融点(℃):パ−キンエルマ社製の示差走査型
熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分で測定
した融解吸熱ピ−クの最大値を与える温度を融点とし
た。 ポリエステルの相対粘度(イ):フエノールとテトラク
ロルエタンとの等重量混合溶液を溶媒とし、この溶媒1
00ccに試料0.5gを溶解し温度20℃の条件下で
常法により求めた。 ナイロンの相対粘度(ロ):濃度96重量%の硫酸を溶
媒とし、この溶媒100ccに試料1.0gを溶解し温
度25℃の条件下で常法により求めた。 ポリエチレンのメルトインデツクス:ASTM D12
38(E)に記載の方法に準じた。 不織ウエブ構成繊維の分割割繊後の単糸繊度(デニー
ル):電子顕微鏡を用いて試料の横断面写真を撮影して
断面積を算出し、密度補正をして求めた。 不織布の引張強力(kg/5cm幅・100g/
2 ):JIS L−1096に記載のストリツプ法に
準じた。すなわち、不織布から試料長(測定長)10c
m、試料幅5cmの試料片10点を作成し、各試料片毎
に不織布の機械方向(以下、MDと略称する。)と横方
向(以下、CDと略称する。)について、東洋ボールド
ウイン社製定速伸長型引張試験機テンシロンUTM−4
−1−100型を用い引張速度10cm/分の条件下で
伸長して最大荷重を測定し、得られた最大荷重値(kg
/5cm幅)の平均値を不織布の目付100g/m2
たりに換算した値を不織布の引張強力(kg/5cm幅
・100g/m2 )とした。 不織布の引張伸度(%):不織布の引張強力測定と同様
にして各試料片を伸長して最大荷重時の伸度(%)を求
め、得られた伸度の平均値を不織布の伸度(%)とし
た。 不織布の剛軟度(g):JIS L1096Eに記載の
ハンドルオメータ法に準じた。すなわち、不織布から試
料長20cm、試料幅20cmの試料片3点を作成し、
各試料片毎に不織布の機械方向と横方向について、上野
山機工社製「フウアイメーター」MODEL FM−2
型を用いスリツト幅10mmの条件下で測定し、得られ
た値の平均値を不織布の剛軟度(g)とした。 嵩高性の評価:不織布の嵩高性を官能検査でもって、次
の3段階で評価した。すなわち、○を良好、△をやや良
好、×を不良と評価した。 毛羽発生の評価:不織布の毛羽発生を目視でもって、次
の3段階で評価した。すなわち、○を毛羽の発生が殆ど
ない、△をやや毛羽が発生、×を毛羽の発生が多いと評
価した。
【0023】
【実施例】
実施例1 熱可塑性重合体成分Aとして融点が130℃で、メルト
インデツクス〔ASTM D1238(E)に記載の方
法に準拠して測定〕が20g/10分である高密度ポリ
エチレンを、一方、熱可塑性重合体成分Bとして融点が
258℃で、フエノールとテトラクロルエタンとの等量
混合溶液で溶解したときの温度20℃における相対粘度
(イ)が1.38であるポリエチレンテレフタレートを
準備し、かかる重合体成分A及び重合体成分Bを用いて
複合溶融紡糸した。溶融紡糸に際しては、図1に示すよ
うな断面形態の複合型長繊維が得られるような分割用8
葉型紡糸孔を有する紡糸口金を備えた複合紡糸装置を使
用した。そして、単孔吐出量が1.20g/分であっ
て、かつ成分Aの吐出量が0.60g/分で成分Bの吐
出量が0.60g/分となるようにして複合溶融紡糸し
た。なお、紡糸温度については、成分Aについて230
℃とし、成分Bについて285℃とした。複合溶融紡出
した後、紡糸口金下120cmの位置に配設したエアー
サツカを介して複合型長繊維を牽引し、速度4000m
/分で引取った。このようにして得られた複合型長繊維
は、その横断面が図1に示したような形態であり、その
単糸繊度は2.70デニールであった。引き続いて、牽
引した複合型長繊維群をコロナ放電により開繊し、移動
するコンベアーネツト上に堆積して繊維ウエブを形成さ
せた。この繊維ウエブを、温度120℃に加熱されたエ
ンボスロールと温度120℃に加熱された平滑ロールと
の間に導入した。この結果、エンボスロールの凸部に当
接した繊維ウエブの区域が厚み方向にわたって加熱さ
れ、複合型長繊維のポリエチレンが軟化して、複合型長
繊維相互間が融着された。エンボスロールの凸部に対応
する融着区域は、散点状に配置され、その総面積は不織
布の全表面積に対して14%であった。
【0024】次に、上記のようにして得られた繊維フリ
ース、すなわち融着区域においては複合型長繊維相互間
が結合されており、非融着区域においては複合型長繊維
が単に集積されただけの繊維フリースに、図5に示した
ような座屈加工装置(マクレツクス社製のマイクロクレ
ーパーI)を使用し、加工速度50m/分、フラツト供
給ロール1の温度50℃、押え板2の圧力3kg/cm
2 の条件下で座屈加工を施した。なお、図5中、5は繊
維フリース、6は得られた織布である。座屈加工後の不
織布は、非融着区域である割繊区域においては、この加
工によって複合型長繊維の割繊により生成した単糸繊度
0.17デニールの極細ポリエチレンテレフタレート繊
維と単糸繊度1.4デニールのポリエチレン繊維とが非
交絡状態で混在集積されていた。一方、融着区域(非割
繊区域)においては、ポリエチレンの融着によって複合
型長繊維相互間が結合されていた。割繊区域における複
合型長繊の割繊率は、90%であった。
【0025】次に、座屈加工後の不織布を100メツシ
ユの金網上に積載して高圧液体流処理を施した。高圧液
体流処理は、孔径0.12の噴射孔が孔面積0.62m
mで配設された高圧液体流処理装置を、また液体として
常温の水を用い、前記座屈加工後の不織布の上方50m
mの位置から水流圧力30kg/cm2 Gの条件下で行
った。この処理の後、得られた不織布から過剰水分の除
去と乾燥処理を施し、目付50g/m2 の本発明の不織
布を得た。得られた不織布は、非融着区域(割繊区域)
に混在する極細ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリ
エチレン繊維及び分割割繊されなかった未割繊複合型長
繊維が三次元的に交絡しており、嵩高性に優れ、しかも
毛羽の発生が殆どないものであった。この不織布の割繊
率、引張強力と引張伸度、剛軟度等の評価結果は、以下
のとおりであった。 割繊率 :92 % 引張強力(MD):12.4kg/5cm幅・100g/m2 (CD): 7.4kg/5cm幅・100g/m2 引張伸度(MD):41.0% (CD):56.2% 剛軟度 (MD):26 g (CD):25 g 嵩高性の評価 :○ 毛羽発生の評価 :○
【0026】実施例2 熱可塑性重合体成分Aとして融点が225℃で、硫酸相
対粘度(ロ)が2.57であるナイロン6を、一方、熱
可塑性重合体成分Bとして実施例1で用いたものと同じ
ポリエチレンテレフタレートを準備し、かかる重合体成
分A及び重合体成分Bを用いて複合溶融紡糸した。溶融
紡糸に際しては、図2に示すような断面形態の複合型長
繊維が得られるような16分割用中空放射型複合紡糸孔
を有する紡糸口金を使用し、成分Aの紡糸温度を270
℃とした以外は実施例1と同様にして、複合溶融紡糸を
行なった。複合溶融紡出した後、引取速度を3800m
/分とした以外は実施例1と同様にしてエアーサッカー
で牽引し、横断面が図2に示したような形態であり、そ
の単糸繊度が2.84デニールの複合型長繊維からなる
繊維ウエブを得た。この繊維ウエブを、エンボスロール
及び平滑ロールの温度を220℃とした以外は実施例1
と同様にして両ロール間に導入し、融着区域においては
複合型長繊維相互間が結合されており、非融着区域にお
いては複合型長繊維が単に集積されただけの繊維フリー
スを得た。
【0027】次に、実施例1と同様にして、上記のよう
にして得られた繊維フリースに座屈加工を施した。座屈
加工後の不織布は、非融着区域である割繊区域において
は、この加工によって複合型長繊維の割繊により生成し
た単糸繊度0.18デニールの極細ポリエチレンテレフ
タレート繊維と単糸繊度が同一のナイロン6繊維とが非
交絡状態で混在集積されていた。一方、融着区域(非割
繊区域)においては、ナイロン6の融着によって複合型
長繊維相互間が結合されていた。割繊区域における複合
型長繊の割繊率は、87%であった。
【0028】次に、実施例1と同様にして、上記のよう
にして得られ座屈加工後の不織布に高圧液体流処理を施
し、過剰水分の除去と乾燥処理を施して、目付50g/
2の本発明の不織布を得た。得られた不織布は、非融
着区域(割繊区域)に混在する極細ポリエチレンテレフ
タレート繊維、ナイロン6繊維及び分割割繊されなかっ
た未割繊複合型長繊維が三次元的に交絡しており、嵩高
性に優れ、しかも毛羽の発生が殆どないものであった。
この不織布の割繊率、引張強力と引張伸度、剛軟度等の
評価結果は、以下のとおりであった。 割繊率 :89 % 引張強力(MD):22.4kg/5cm幅・100g/m2 (CD):15.2kg/5cm幅・100g/m2 引張伸度(MD):42.4% (CD):54.2% 剛軟度 (MD):40 g (CD):44 g 嵩高性の評価 :○ 毛羽発生の評価 :○
【0029】実施例3 実施例1で使用したのと同じポリエチレンテレフタレー
トと高密度ポリエチレンを準備し、かかる重合体成分A
及び重合体成分Bを用いて複合溶融紡糸した。溶融紡糸
に際しては、図2に示したものと同類の断面形態の複合
型長繊維が得られるような48分割用(それぞれ24分
割からなる。)中空放射型複合紡糸孔を有する紡糸口金
を使用し、ポリエチレンテレフタレートと高密度ポリエ
チレンの吐出量の重量比(ポリエチレンテレフタレート
/ポリエチレン)を1.5/1とした以外は実施例1と
同様にして、複合溶融紡糸を行った。複合溶融紡出した
後、引取速度を3600m/分とした以外は実施例1と
同様にしてエアーサッカーで牽引し、横断面が図2に示
したものと同類の48分割断面形態であり、その単糸繊
度が3.0デニールの複合型長繊維からなる繊維ウエブ
を得た。この繊維ウエブを、コンベアーベルト速度を変
更する以外は実施例1と同様にして、融着区域において
は複合型長繊維相互間が結合されており、非融着区域に
おいては複合型長繊維が単に集積されただけの繊維フリ
ースを得た。
【0030】次に、この繊維フリースに、実施例1と同
様の座屈加工を施して、不織布を得た。座屈加工後の不
織布は、非融着区域である割繊区域においては、この加
工によって複合型長繊維の割繊により生成した単糸繊度
0.08デニールの極細ポリエチレンテレフタレート繊
維と単糸繊度0.05デニールの極細ポリエチレン繊維
とが非交絡状態で混在集積されていた。一方、融着区域
(非割繊区域)においては、ポリエチレンの融着によっ
て複合型長繊維相互間が結合されていた。割繊区域にお
ける複合型長繊の割繊率は、85%であった。
【0031】そして、実施例1と同様にして、上記のよ
うにして得られ座屈加工後の不織布に高圧液体流処理を
施し、過剰水分の除去と乾燥処理を施して、目付25g
/m2 の本発明の不織布を得た。得られた不織布は、非
融着区域(割繊区域)に混在する極細ポリエチレンテレ
フタレート繊維、ポリエチレン繊維及び分割割繊されな
かった未割繊複合型長繊維が三次元的に交絡しており、
嵩高性に優れ、しかも毛羽の発生が殆どないものであっ
た。この不織布の割繊率、引張強力と引張伸度、剛軟度
等の評価結果は、以下のとおりであった。 割繊率 :87 % 引張強力(MD):15.2kg/5cm幅・100g/m2 (CD): 7.3kg/5cm幅・100g/m2 引張伸度(MD):40.1% (CD):44.2% 剛軟度 (MD):28 g (CD):30 g 嵩高性の評価 :○ 毛羽発生の評価 :○
【0032】以上の結果から明らかなように、実施例1
〜3の不織布は、十分な引張強力と適度の伸度を持って
おり、取り扱い時に破断したり損傷したりしにくいもの
である。また、剛軟度の値が比較的低くて十分な柔軟性
があり、嵩高性に優れ、しかも毛羽発生が少なく、例え
ば拭き布として使用した場合に、清掃時の取り扱いやす
さに優れているものである。
【0033】
【発明の効果】本発明の不織布は、融着区域と非融着区
域すなわち割繊区域とが点在しているものであって、割
繊区域内における融着区域には、複合型長繊維の分割に
より発現した極細の繊維Aと繊維Bとが混在している。
したがって、この不織布を拭き布として用いたとき、極
細の繊維A及びBによる塵埃除去性能に優れるという効
果を奏する。また、この不織布は、複合型長繊維相互間
が重合体成分Aの軟化又は溶融によって融着した融着区
域が不織布中に散点状に存在しているため、良好な引張
強力及び適当な伸度を有する。したがって、この不織布
を拭き布として用いたとき、破断あるいは損傷しにくい
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における複合型長繊維の横断面の一例
を示した図である。
【図2】 本発明における複合型長繊維の横断面の一例
を示した図である。
【図3】 本発明における複合型長繊維の横断面の一例
を示した図である。
【図4】 本発明における複合型長繊維の横断面の一例
を示した図である。
【図5】 本発明において、座屈加工に使用する装置の
一例を拡大して示した側面図である。
【図6】 本発明の一例にかかる融着区域と非融着区域
(割繊区域)とを有する不織布の平面図である。
【図7】 図6で示した融着区域と非融着区域(割繊区
域)とを有する不織布のX−X線断面図である。
【符号の説明】 1 座屈加工機のロール 2 座屈加工機の押さえ板 5 繊維フリース 6 融着区域と非融着区域(割繊区域)とを有する不織
布 7 融着区域 8 非融着区域(割繊区域)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性重合体成分Aと、該重合体成分
    Aに対し非相溶性であり、かつ該重合体成分Aの融点よ
    りも30〜180℃高い融点を持つ熱可塑性重合体成分
    Bとが複合されると共に、少なくとも該重合体成分Aが
    その表面に露出している複合型長繊維で形成された極細
    繊維不織布であって、該複合型長繊維中の該成分Aのみ
    の軟化又は溶融により該複合型長繊維相互間が融着され
    てなる融着区域が間隔を置いて設けられており、該融着
    区域外の非融着区域には、該複合型長繊維の分割割繊に
    より生じた成分Aのみよりなる繊維A、該複合型長繊維
    の分割割繊により生じた成分Bのみよりなる繊維B及び
    分割割繊されなかった未割繊複合型長繊維が、実質的に
    三次元交絡しながら混在していることを特徴とする極細
    繊維不織布。
  2. 【請求項2】 繊維Aの単糸繊度が0.05〜4.0デ
    ニール、繊維Bの単糸繊度が0.05〜0.8デニール
    である請求項1記載の極細繊維不織布。
  3. 【請求項3】 不織布の全面積に対する融着区域の比率
    が2〜50%である請求項1又は2記載の極細繊維不織
    布。
  4. 【請求項4】 熱可塑性重合体成分Aと、該重合体成分
    Aに対し非相溶性であり、かつ該重合体成分Aの融点よ
    りも30〜180℃高い融点を持つ熱可塑性重合体成分
    Bとが複合されると共に、少なくとも該重合体成分Aが
    その表面に露出している複合型長繊維を集積して繊維ウ
    エブを成形した後、該繊維ウエブの間隔を置いた所定の
    区域に厚み方向に亙って熱を与え、該成分Aのみを軟化
    又は溶融させることにより、該複合型長繊維相互間を融
    着させた融着区域が間隔を置いて設けられている繊維フ
    リースを得、その後、該繊維フリースに座屈加工を施す
    ことにより、非融着区域に存在する該複合型長繊維を分
    割割繊して、成分Aのみよりなる繊維A及び成分Bのみ
    よりなる繊維Bを生成させた後、高圧液体流処理を施す
    ことにより、成分Aのみよりなる繊維A、成分Bのみよ
    りなる繊維B及び分割割繊されなかった未割繊複合型長
    繊維間に実質的な三次元交絡を形成することを特徴とす
    る極細繊維不織布の製造方法。
  5. 【請求項5】 非融着区域における複合型長繊維の割繊
    率が70%以上である請求項4記載の極細繊維不織布の
    製造方法。
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