JP2019077968A - 繊維集合体、これを用いた吸油材及び繊維集合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の繊維集合体において、本数基準で10〜80%の極細繊維が繊維束を形成することを特徴とする繊維集合体である。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の繊維集合体において、嵩密度が0.005〜0.2g/cm3であることを特徴とする繊維集合体である。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維集合体を用いることを特徴とする吸油材である。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維集合体の製造方法において、加熱した溶融樹脂を吐出できる10箇所以上の液ノズルと、液ノズルから吐出される溶融樹脂に熱風を吹き出して繊維状に延伸する1箇所以上の熱風ノズルを備えるメルトブロー用口金であって、液ノズルと熱風ノズルは、それぞれ一定の断面形状を有する柱状中空体であり、互いに近接し、液ノズルが円形の断面形状からなり直径D1の円周上に0.3〜2mmの略等間隔で配置され、熱風ノズルが、液ノズルが配置されている円と同じ中心を有する直径D2の円周上全体にリング状の断面形状で配置され、D2はD1よりも小さいか又は大きいとともに、液ノズルの中心軸の延長線と熱風ノズルの中心軸の延長線が口金下面の下方側において交差するように配置されているメルトブロー用口金を用いて、液ノズルから吐出し加熱した溶融樹脂に対して、熱風ノズルから吹き出した熱風により繊維状に延伸させた極細繊維を捕集板上に堆積させることを特徴とする繊維集合体の製造方法である。
請求項4の吸油材の発明は、繊維束を骨格とする繊維集合体とすることにより、油を強く吸い上げていくことができ、微細な空間に油を保持する能力に優れ、保形性が高くへたりにくい油吸着材となる。特に、高粘性の廃油やC重油などの油吸着材として有用である。
請求項5の繊維集合体の製造方法の発明は、かかる嵩高く保形性の高い繊維集合体が、比較的単純な構造を有するメルトブロー用口金から1種類の溶融樹脂を吐出して熱風により延伸させ堆積させることにより得ることができる。
なお、繊維束径5μm以上の繊維束は、繊維集合体にいくつ含まれてもよく、束幅5μm未満の繊維束では骨格として充分でなく嵩高性や保形性が低下する。また、繊維束は極細繊維同士が略長さ方向に集合しているが、必ずしも長さ方向に揃っている必要はなく、絡み合ったり捩じられていてもよい。さらに、繊維束を形成する極細繊維は、略長さ方向全体に接着している必要はなく、繊維束がばらけない程度に極細繊維同士の少なくとも一部が接着しても良い。
こうした繊維束は、繊維束を形成しない他の極細繊維と絡み合いながら繊維集合体を構成することで、繊維束を骨格として繊維集合体の嵩高性や保形性の向上に役立つ。
それにより、本発明の繊維集合体により構成される吸油材は、比表面積が大きい極細繊維からなるため、高い吸油性を発揮できる。さらに極細繊維が略長さ方向に束状に集合し少なくとも一部が接着し適度な隙間を有する繊維束を形成しているため、吸油できる空間を保ちつつ圧縮されても元の形状に復元しやすく、嵩高性や保形性に優れている。
また、かかる繊維束は十分な長さを有することが好ましい。繊維束の一部が油と接触すれば、毛細管現象により繊維束全体ひいては繊維集合体全体に吸油が進行することとなるからである。
さらに、溶融樹脂を吐出する方向にはメッシュ状のベルトコンベアが設けられており、微細化された樹脂繊維が走行中のベルト上に集積されることで極細繊維からなる繊維集合体が形成される。
図3は、図2のA−A線に沿ったメルトブロー用口金の断面図であるが、1箇所の液ノズル22の中心軸Prと直径D1A(及びD2A)の円の中心を含んでいる。そして、図3に示すように、液ノズル22の中心軸Prの延長線と熱風ノズル24の中心軸Pgの延長線が口金下面20aの下方側の点Xにおいて角度θ1で交差するように構成されている。
なお、溶融樹脂を吐出する液ノズル22に実際に熱風を吹き付け微細な繊維に延伸させるのは、リング状の断面形状を有する熱風ノズル24全体の内、その液ノズルから最短距離にある側の熱風ノズルである。そこで、熱風ノズル24の中心軸Pgとして図3に示す位置を採用している。他の液ノズル22についても、同様に、その他の液ノズル22から最短距離にある側の熱風ノズルを考慮すればよい。
なお、液ノズル22の断面の大きさは、必ずしもすべて同じとする必要はなく、繊維径に分布をもたせるため、上記範囲内で変えても良い。
図2及び図3では、口金20において、液ノズル22を傾斜させている。代わりに熱風ノズル24を傾斜させても良いし、両方とも傾斜させても良い。ただし、これらの場合でも、中心軸Prの延長線と中心軸Pgの延長線が成す角度θ1は、30度以内が好ましい。
逆に、直径D2Aが直径D1Aより大きい場合でも、同じく微細な繊維からなる極細繊維を多数得ることができ、また、溶融樹脂と熱風ガスのそれぞれの導入経路の切り分けが容易であることなど同様である。
さらに、液ノズル22が円周上に接近して複数配置されているため、これらの多数の極細繊維は、口金20から吐出し延伸した極細繊維全体が絡み合いながら集合して少なくとも一部が接着した繊維束と、該繊維束などと絡み合う単繊維の極細繊維とからなる繊維集合体を構成することとなる。そして、こうした繊維集合体は、複数の繊維束と該繊維束などと絡み合った多数の単繊維が延伸方向に捩じられ嵩高なロープ状の外観となる傾向がみられる。こうしたロープ状の外観の繊維集合体は、吸油材に適用した場合、油の吸着が繊維束ひいてはロープに沿って進行しやすく好ましい。
(1)平均繊維径及び繊維束径
繊維集合体の任意の場所から、2〜3cm×2〜3cmの測定サンプルを3個採取し、走査型電子顕微鏡で倍率を500〜3000倍に調節して採取したサンプルから写真を各2枚ずつ、計6枚を撮影し、写真1枚当たりから繊維の直径がはっきり確認できるものについて測定し、平均した値を平均繊維径とした。
さらに、写真に含まれる繊維同士が略長さ方向に束状に集合した繊維束についても、その繊維束径を同様に測定した。
(2)繊維束の割合
上記の撮影した写真から繊維1本1本をカウントし、構成する全繊維本数を計測した。この内2本以上の繊維が束状に収束し接着している繊維束ごとに、それぞれの繊維束を構成する繊維の本数をカウントし、それらを合計して繊維束を構成する繊維本数を求めた。そして、全繊維本数に占める繊維束を構成する繊維本数の割合(%)を、100×繊維束を構成する繊維本数/全繊維本数から算出した。
(3)吸油量
規定量の繊維集合体からなる吸油材(1.5g)を装填したステンレス製円筒金網(φ90mm)を廃エンジンオイルに5分間浸透させた後、廃エンジンオイルから取り出し、5分間放置した。その前後の質量変化を測定し、吸油量を求めた。
ポリプロピレンを溶融した樹脂を、押し出し機に取り付けた図2に示すメルトブロー用口金20と同様でかつ以下の口金条件を有する口金を用い、以下の運転条件により紡糸した。
<口金条件>
口金形状 φ85mm×25mm
D1A 42mm
D2A 38mm
液ノズル φ0.35mm×108
熱風ノズル リング状ノズル×1
θ1 10度
液ノズル間隔(d) 0.73mm
<運転条件>
押出機温度 250℃
樹脂吐出量 5〜20kg/hr
熱風(空気)温度 300℃
熱風(空気)流量 0.2〜0.5Nm3/分
ここで、口金の温度は約300℃であり、紡糸の開始から終了まであまり変動がみられずほぼ一定であった。
メルトブロー用口金より吐出された溶融したポリプロピレン樹脂は、熱風ノズルより吹出した高速高温気流により延伸され、微細な樹脂繊維が絡み合い捩じられてロープ状にてベルトコンベア上に堆積した繊維集合体が得られた。
図4は、かかる繊維束を含む繊維集合体を低倍率で撮影した顕微鏡写真の一例であって、ベルト上に集積した繊維集合体を一方向にひろげることができ、溶融樹脂の吹き出し方向にロープ状に纏まった繊維集合体を示している。
図5は、本実施例により得られた極細繊維からなる繊維集合体を500倍に拡大して撮影した走査型電子顕微鏡の写真の一例である。微細な単繊維である極細繊維が長さ方法に束状に集合し、極細繊維同士の少なくとも一部が接着した繊維束がいくつか形成されているとともに、繊維束を構成しない多くの極細繊維が繊維束や極細繊維同士と絡まりながら分布していた。
なお、極細繊維の平均繊維径は0.55μmであった。また、それぞれの繊維束の繊維束径は、いずれも5μm以上であり、全繊維本数に占める繊維束を構成する繊維本数の割合は、28%であった。そして、得られた繊維集合体の嵩密度は、0.020g/cm3であった。
続いて、本実施例の繊維集合体について、吸油量の測定をおこなったところ、吸油量は60gであった。その際、吸油後の繊維集合体にへたりがみられず保形性に問題が見られなかった。
ポリプロピレンを溶融した樹脂を、押し出し機に取り付けた図2に示すメルトブロー用口金20と同様でかつ以下の口金条件を有する口金を用い、以下の運転条件により紡糸した。ここで、実施例1と口金条件及び運転条件が同じ条件の項目については省略した。
<口金条件>
液ノズル φ0.35mm×78
液ノズル間隔 1.15mm
<運転条件>
樹脂吐出量 5〜13kg/hr
熱風(空気)温度 330℃
ここで、口金の温度は約330℃であり、紡糸の開始から終了まであまり変動がみられずほぼ一定であった。
メルトブロー用口金より吐出された溶融したポリプロピレン樹脂は、熱風ノズルより吹出した高速高温気流により延伸され、微細な樹脂繊維が絡み合い捩じられてロープ状にてベルトコンベア上に堆積した繊維集合体が得られた。
図6は、本実施例により得られた極細繊維からなる繊維集合体を1000倍に拡大して撮影した走査型電子顕微鏡の写真の一例である。微細な単繊維である極細繊維が長さ方法に束状に集合し、極細繊維同士の少なくとも一部が接着した繊維束がいくつか形成されているとともに、繊維束を構成しない多くの極細繊維が繊維束や極細繊維同士と絡まりながら分布していた。
なお、極細繊維の平均繊維径は0.75μmであった。また、それぞれの繊維束の繊維束径は、いずれも5μm以上であり、全繊維本数に占める繊維束を構成する繊維本数の割合は、21%であった。そして、得られた繊維集合体の嵩密度は、0.022g/cm3であった。
続いて、本実施例の繊維集合体について、吸油量の測定をおこなったところ、吸油量は50gであった。その際、吸油後の繊維集合体にへたりがみられず保形性に問題が見られなかった。
ポリプロピレンを溶融した樹脂を、押し出し機に取り付けた図2に示すメルトブロー用口金20と同様で、かつ以下の口金条件を有する口金を用い、以下の運転条件により紡糸した。ここで、実施例1と口金条件及び運転条件が同じ条件の項目については省略した。
<口金条件>
液ノズル φ0.35mm×45
液ノズル間隔 2.25mm
<運転条件>
樹脂吐出量 5〜13kg/hr
熱風(空気)温度 300℃
ここで、口金の温度は約300℃であり、紡糸の開始から終了まであまり変動がみられずほぼ一定であった。
メルトブロー用口金より吐出された溶融したポリプロピレン樹脂は、熱風ノズルより吹出した高速高温気流により延伸され、微細な樹脂繊維が絡み合い捩じられてロープ状にてベルトコンベア上に堆積した繊維集合体が得られた。
しかし、繊維束径が5μm以上の繊維束が少なく、繊維束を構成しない多くの極細繊維が互いに絡まりながら分布していた。なお、極細繊維の平均繊維径は1.05μmであった。また、全繊維本数に占める繊維束を構成する繊維本数の割合は3%であった。さらに、得られた繊維集合体の嵩密度は、0.014g/cm3であった。
続いて、本実施例の繊維集合体について、吸油量の測定をおこなったところ、吸油量は42gであり、吸油後の繊維集合体にへたりがみられ保形性に劣っていた。
20a:口金下面
22:液ノズル
24:熱風ノズル
200:押出機
200a:液導入配管
200b:液導入口
300:熱風生成装置
300a:熱風導入配管
300b:熱風導入口
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の繊維集合体を用いることを特徴とする吸油材である。
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の繊維集合体の製造方法において、加熱した溶融樹脂を吐出できる10箇所以上の液ノズルと、液ノズルから吐出される溶融樹脂に熱風を吹き出して繊維状に延伸する1箇所以上の熱風ノズルを備えるメルトブロー用口金であって、液ノズルと熱風ノズルは、それぞれ一定の断面形状を有する柱状中空体であり、互いに近接し、液ノズルが円形の断面形状からなり直径D1の円周上に0.3〜2mmの略等間隔で配置され、熱風ノズルが、液ノズルが配置されている円と同じ中心を有する直径D2の円周上全体にリング状の断面形状で配置され、D2はD1よりも小さいか又は大きいとともに、液ノズルの中心軸の延長線と熱風ノズルの中心軸の延長線が口金下面の下方側において交差するように配置されているメルトブロー用口金を用いて、液ノズルから吐出し加熱した溶融樹脂に対して、熱風ノズルから吹き出した熱風により繊維状に延伸させた極細繊維を捕集板上に堆積させることを特徴とする繊維集合体の製造方法である。
請求項2の吸油材の発明は、繊維束を骨格とする繊維集合体とすることにより、油を強く吸い上げていくことができ、微細な空間に油を保持する能力に優れ、保形性が高くへたりにくい油吸着材となる。特に、高粘性の廃油やC重油などの油吸着材として有用である。
請求項3の繊維集合体の製造方法の発明は、かかる嵩高く保形性の高い繊維集合体が、比較的単純な構造を有するメルトブロー用口金から1種類の溶融樹脂を吐出して熱風により延伸させ堆積させることにより得ることができる。
Claims (5)
- 極細繊維からなる繊維集合体であって、
前記極細繊維の平均繊維径は0.2〜4μmであり、
前記極細繊維の少なくとも一部は、略長さ方向に束状に集合し少なくとも一部が接着した繊維束径5μm以上の繊維束を形成することを特徴とする繊維集合体。 - 本数基準で10〜80%の前記極細繊維が前記繊維束を形成することを特徴とする請求項1に記載の繊維集合体。
- 嵩密度が0.005〜0.2g/cm3であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維集合体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の繊維集合体を用いることを特徴とする吸油材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の繊維集合体の製造方法において、
加熱した溶融樹脂を吐出できる10箇所以上の液ノズルと、前記液ノズルから吐出される溶融樹脂に熱風を吹き出して繊維状に延伸する1箇所以上の熱風ノズルを備えるメルトブロー用口金であって、前記液ノズルと前記熱風ノズルは、それぞれ一定の断面形状を有する柱状中空体であり、互いに近接し、前記液ノズルが円形の断面形状からなり直径D1の円周上に0.3〜2mmの略等間隔で配置され、前記熱風ノズルが、前記液ノズルが配置されている円と同じ中心を有する直径D2の円周上全体にリング状の断面形状で配置され、D2はD1よりも小さいか又は大きいとともに、前記液ノズルの中心軸の延長線と前記熱風ノズルの中心軸の延長線が前記口金下面の下方側において交差するように配置されているメルトブロー用口金を用いて、
前記液ノズルから吐出し加熱した前記溶融樹脂に対して、前記熱風ノズルから吹き出した熱風により繊維状に延伸させた極細繊維を捕集板上に堆積させることを特徴とする繊維集合体の製造方法。
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