JPH11140766A - ポリオレフィン複合長繊維不織布 - Google Patents

ポリオレフィン複合長繊維不織布

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JPH11140766A
JPH11140766A JP9311857A JP31185797A JPH11140766A JP H11140766 A JPH11140766 A JP H11140766A JP 9311857 A JP9311857 A JP 9311857A JP 31185797 A JP31185797 A JP 31185797A JP H11140766 A JPH11140766 A JP H11140766A
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fiber
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Akitaka Kawano
晃敬 川野
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】極めて優れた紡糸性、強度、地合、柔軟性及び
熱接着性を有するポリオレフィン複合長繊維不織布を提
供する。 【解決手段】芯成分と鞘成分からなる複合長繊維によっ
て構成された繊度が1〜10デニールの複合不織布にお
いて、前記芯成分は、Q値が2.5〜4.0のポリプロ
ピレンであり、前記鞘成分が、高活性メタロセンに触媒
によって重合されたQ値が1.5〜2.7のポリエチレ
ンからなり、且つ鞘成分の繊維軸に直交する繊維断面積
に占める重量比率が30〜90重量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療・衛生資材、
一般工業資材などの広い分野において使用可能で、特
に、衣料品、使いすておむつ、生理用ナプキンなどの衛
生材料の表面材料に適している強度と柔軟性に優れる芯
鞘型ポリオレフィン複合長繊維不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を溶融押出機において溶融
紡糸し、紡出された連続フィラメント群を高速エアーで
延伸しながら引き取り、帯電させて開繊し、次いで移動
している捕集用の網からなる支持体上に捕集・堆積さ
せ、このウェブを加熱ロールからなる熱エンボス装置で
長繊維同士を溶融接着し、形態安定性を付与して得られ
るスパンボンド不織布は、他の乾式不織布や湿式不織布
と比較し生産性が高く、連続長繊維から構成されている
ので引張り強度などの機械的性質に優れている。
【0003】特に、このスパンボンド不織布の中でも、
ナイロンのようなポリアミドあるいはポリエチレンテレ
フタレートのような芳香族ポリエステルを原料として製
造した不織布に対し、ポリオレフィンからなるスパンボ
ンド不織布は、その比重が小さいこと及びフィラメント
自体の柔軟性が優れていることから、使いすておむつ、
シーツ、生理用ナプキンなどの衛生材料の表面材料分野
への進出がはかられるようになってきた。
【0004】しかしながら、熱可塑性樹脂が単成分から
なるスパンボンド不織布においては、加熱により熱接着
させると、接着点は、繊維形状が維持されずにフィルム
化されてしまい、風合いが著しく損なわれて好ましくな
いので、この点を改善するため、成分の異なる樹脂から
構成される複合長繊維を構成繊維とする複合不織布が提
案されてきた。
【0005】例えば、従来から繊維表面の一部、または
全部を、その繊維を構成する熱可塑性樹脂で覆うことに
より、例えば芯鞘型の繊維を形成させることにより、軟
化点の相違を利用して接着性と接着後の風合いを改善す
る不織布が知られている(特開昭42−21318号公
報、特開昭43−1776号公報など)。
【0006】また、特公昭54−38214号公報に
は、ポリプロピレンのような繊維形成能を有する結晶性
重合体を芯成分とし、該重合体より少なくとも40℃低
い軟化点を有するポリスチレン、ポリエチレン、エチレ
ン−プロピレン共重合体などから選ばれた重合体を鞘成
分とした場合、従来の紡糸と延伸の2工程により複合長
繊維を製造する方法では、芯と鞘の界面での親和力が弱
いので延伸性が悪く、延伸条件によっては各成分が剥離
するという欠点を有するが、複合紡出の際、紡出された
フィラメント群を毎分3,200〜9,800mの速度
で引き取り、一挙に変形、冷却、固化を行うことによっ
て前記欠点を解消した複合長繊維不織布の製造方法が開
示されている。
【0007】ポリオレフィンからなる芯鞘型複合長繊維
不織布として、芯成分がポリプロピレン樹脂、鞘成分が
ポリエチレン樹脂という構成は、最も一般的である。例
えば、特開平2−61156号公報には、エチレンとオ
クテン−1とのコポリマーで、オクテン−1を実質的に
1〜10重量%含有し、密度が0.900〜0.940
g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンを複合長繊維の
鞘成分とし、芯成分としてメルトフローレートが5〜4
5g/10分のポリプロピレンで、前記低密度ポリエチ
レンとポリプロピレンの重量比が20:80〜80:2
0の芯鞘型複合長繊維からなる不織布が開示されてい
る。
【0008】また、特開平5−186951号公報に
は、複合長繊維の鞘成分として高密度ポリエチレンに高
密度ポリエチレン重量当たりポリプロピレンを2〜25
重量%ブレンドしてQ値(重量平均分子量/数量平均分
子量)を3.5以下とし、芯成分としてメルトフローレ
ートが5〜70g/10分のポリプロピレンを用い、低
目付においても地合の良好な熱接着性を有する芯鞘型複
合長繊維不織布が開示されている。
【0009】しかしながら、前記したように芯成分にポ
リプロピレン、鞘成分にポリエチレンを用いる構成のポ
リオレフィンからなる複合長繊維不織布は、製造コスト
が低く、比重が小さく、さらに柔軟性が優れるという利
点があるにもかかわらず、芯成分のポリプロピレンの重
量比が少なくなると、不織布を構成する長繊維の強度が
弱くなり、しいてはそのような長繊維で構成される複合
長繊維不織布の強度も弱いという致命的な欠点があるば
かりでなく、長繊維の強度の弱さが故に不織布を製造す
る際に糸切れが多発し、製造コストが高くなるという欠
点があった。
【0010】また、このような芯鞘型複合長繊維不織布
を最近普及してきたパンツ型の使い捨ておむつの表面材
料に用いる場合、ヒートシール性を付与するため鞘成分
であるポリエチレンの重量比を増やす必要があるが、前
記したように不織布の強度が弱いが故に、加工時のヒー
トシール強度も不足するという問題点があった。
【0011】さらに、特公平8−14069号公報に
は、芯成分をポリエチレンテレフタレート、鞘成分をポ
リエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンとし、鞘/
芯=0.2〜3.0とする複合不織布が開示されてい
る。この不織布は、不織布を構成する長繊維及び不織布
の強度、及び得られた不織布のヒートシール性を十分に
付与することができるが、ポリエチレンテレフタレート
はポリオレフィンと比較して剛度が高く、しいては得ら
れる不織布の剛度も高くなるため、前記したようなパン
ツ型の使いすておむつの表面材料といった衛生材料用途
には不適であった。
【0012】このように、強い強度及び熱接着性を有
し、望ましくはさらに優れた柔軟性も併せ持ち、芯成分
にポリプロピレン、鞘成分にポリエチレンという構成の
ポリオレフィンからなる複合長繊維不織布の出現が強く
求められているのが現状である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、開繊
性、紡糸性、強度及び熱接着性を有しながら、柔軟性及
び風合いに極めて優れる芯鞘型複合長繊維不織布を提供
することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる状況
に鑑み、ポリオレフィンからなる芯鞘型複合長繊維不織
布において、主に強度を担う芯成分としてポリプロピレ
ンを用いる場合、この樹脂の強度に関する前記問題点を
解決し、前記鞘成分として用いられるポリエチレンの開
繊性、紡糸性及び熱接着性を改善すべく鋭意研究した結
果、芯成分として分子量の分布幅を示すQ値を特定範囲
に調整したポリプロピレンを使用することと、鞘成分と
してQ値を特定範囲に調整した、高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレンを使用することによっ
て、鞘成分の重量比を増加させても優れた強度を有する
ことに着眼し、前記鞘成分と芯成分を組み合わせること
により優れた開繊性、紡糸性、強度及び熱接着性を有し
ながら、柔軟性と風合いに優れる芯鞘型複合長繊維不織
布が得られることを見いだし、本発明を完成させるに至
った。
【0015】本発明は、芯成分と鞘成分からなる複合長
繊維によって形成された繊度が1〜10デニールからな
るポリオレフィン複合不織布において、前記芯成分が、
重量平均分子量を数量平均分子量で除した値で定義され
るQ値が2.5〜4.0のポリプロピレンと、前記鞘成
分が、高活性メタロセン触媒を用いて重合され、Q値が
1.5〜2.7のポリエチレンからなり、且つ鞘成分の
繊維軸に直交する繊維断面積に占める重量比率が30〜
90重量%であることを特徴とするポリオレフィン複合
長繊維不織布である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、公知の複合長繊維用の
溶融押出し紡糸機を用いて、異なった熱可塑性樹脂を溶
融押出し紡糸した芯成分と鞘成分からなる複合長繊維不
織布であって、芯成分がQ値を特定範囲に調整されたポ
リプロピレンから構成され、鞘成分が高活性メタロセン
触媒を用いて重合された特定のポリエチレン構成された
長繊維からなり、該長繊維は、エジェクターにより高速
高圧エアーで引き取られ、繊度が1〜10デニールの範
囲とし、次いで前記長繊維を移動している捕集用支持体
上に捕集・堆積させてウェブを形成し、その後熱エンボ
スロールにより熱接着させたものである。
【0017】本発明において鞘成分に用いられるポリエ
チレンは、高活性メタロセン触媒を用いて重合されたも
のであることが必須条件で、このようなポリエチレンは
従来のチーグラー・ナッタ触媒では実現不可能な均一性
の高い分子鎖構造と、高いアイソタクティシティー(立
体規則性を示す指標)を有し、溶融粘度が低く、溶融紡
糸中に適切な条件によって高結晶化度と、高繊維軸配向
が得られ易くなるので、高い強度の長繊維が具現できる
ようになる。
【0018】前記ポリエチレンは、重量平均分子量を数
量平均分子量で除したものとして定義されるQ値が1.
5〜2.7、好ましくは1.8〜2.3の範囲のもので
なければならない。
【0019】本発明でいうQ値とは、ゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィーにより求められる重合体の
重量平均分子量と数量平均分子量の比と定義され(重量
平均分子量/数量平均分子量)、この値は、樹脂の分子
量の分布幅を示すものであり、熱可塑性樹脂を溶融押出
機で溶融紡糸する際のフィラメントの製造適性と加工性
に大きく影響するものであることが知られている。
【0020】すなわち、Q値が大きくなるということは
分子量分布の幅が広くなることを意味し、Q値が大きい
樹脂を溶融押出し紡糸機において溶融紡糸した場合、紡
出された長繊維フィラメント群を伸張する際に樹脂の粘
度が大きくなりすぎて、紡糸性が低下する。
【0021】本発明において好適に用いられる高活性メ
タロセン触媒を用いて重合されたポリエチレンのQ値は
1.5〜2.7の範囲にあり、Q値が2.7を超えて大
きい場合は糸切れが多発するため不適である。しかしな
がら、Q値が1.5未満のポリエチレンは合成条件を厳
密にしてもポリエチレン自体の製造が困難で入手が容易
ではなく、たとえ製造できたとしても、製造コストが極
めて高くなるので適さない。
【0022】また、本発明の鞘成分として用いる高活性
メタロセン触媒により重合されたポリエチレンの、JI
S K 7210に記載された方法で測定した温度19
0℃、加重2.16kgの条件におけるメルトフローレ
ートは10〜50g/10分、さらに好ましくは15〜
35g/10分の範囲である。メルトフローレートが1
0g/10分未満のポリエチレンは、溶融温度を高くし
なければ高速度での溶融紡糸が容易ではなくなり、高い
温度での紡糸では口金面の汚れが発生しやすくなるので
操業上好ましくない。逆に、メルトフローレートが50
g/10分を超えると、糸切れが発生し易くなり、得ら
れる複合長繊維不織布の風合いが低下するばかりでな
く、強度も低下するので適さない。
【0023】なお、鞘成分として用いる前記ポリエチレ
ンには、必要に応じて潤滑剤、顔料、安定剤、抗菌剤な
どの添加剤を含有させてもよい。
【0024】本発明において複合長繊維の芯成分として
用いられる熱可塑性のポリプロピレンのQ値は2.5〜
4.0、好ましくは2.7〜3.7の範囲である。ポリ
プロピレンのQ値が4.0を超える場合は、溶融紡糸の
際に糸切れが多発し、繊度10デニール以下の複合長繊
維不織布を安定して製造することが困難となり適さな
い。一方、Q値が2.5未満のポリプロピレンは、合成
条件を厳密にしてもポリプロピレン自体の製造が困難で
入手が容易ではなく、たとえ製造できたとしても、製造
コストが極めて高くなるので適さない。
【0025】本発明における複合長繊維の芯成分として
用いられるポリプロピレンのJISK 7210に記載
された方法で測定された温度230℃、加重2.16k
gの条件でのメルトフローレートは10〜100g/1
0分、好ましくは30〜70g/10分の範囲のもので
ある。メルトフローレートが10g/10分未満のポリ
プロピレンは、紡糸の際に溶融温度を極端に高くしなけ
れば高速度での溶融紡糸が容易にできず、また、そのよ
うな極端な高温度での紡糸では口金面の汚れが発生しや
すく、操業上好ましくない。逆に、メルトフローレート
が100g/10分を超えると、糸切れが発生し易くな
り、得られる複合長繊維不織布の風合いが低下するばか
りでなく、強度も低くなるので好ましくない。
【0026】本発明においては、芯鞘型長繊維不織布を
構成する複合長繊維の繊維軸に直交する繊維断面積に占
める鞘成分の高活性メタロセン触媒を用いて重合された
ポリエチレンの重量比率は30〜90重量%である。こ
の重量比率が30重量%未満の場合は、繊維強度は高く
なるが、接着強度が弱くなるばかりでなく、例えば衛生
材料の表面材として使用した場合、柔軟性が十分ではな
くなるため適さない。逆に、重量比率が90重量%を超
えると、接着強度は高くなるが、繊維強度が弱すぎるた
めに、得られる不織布の強度が弱くなり実用上適さな
い。
【0027】本発明の用いられる複合長繊維の繊度は1
〜10デニールの範囲である。長繊維の繊度が10デニ
ールを超えると、繊維径が太くなりすぎ、得られる不織
布が硬くなり風合いが低下し、逆に、繊度が1デニール
未満のものは製造が困難である。複合長繊維の断面形状
としては、円形断面の他に異形あるいは扁平とすること
もできる。
【0028】本発明では複合不織布のJIS L 19
06で測定した単位面積当たりの質量(g/m2)を目
付と定義し、この目付は、10〜100g/m2の範囲
である。目付が100g/m2を超えると不織布が硬く
なりすぎて風合いが悪くなり、逆に、目付が10g/m
2未満では、不織布の強度が低くなりすぎて不織布を安
定して製造することができなくなる。
【0029】本発明における溶融紡糸温度は、芯成分、
鞘成分ともに230〜270℃の範囲から選ばれた同じ
温度でそれぞれの樹脂が溶融紡糸される必要があるが、
紡糸温度を前記範囲外で行うと紡糸性が悪くなり、満足
のできる不織布が得られ難くなる。つまり、紡糸温度が
230℃未満の場合は、紡糸速度を高くするには高いエ
アー圧力が必要となり、糸切れを発生せずに繊度1〜1
0デニールの繊維を得ることは困難である。逆に、紡糸
温度が270℃を超えると、紡出されたフィラメントの
強度が弱くなり、糸切れが多発し易くなるばかりでな
く、ノズル表面が汚れやすくなり、長時間操業したとき
にノズル表面汚れによる糸切れも増加するので適さな
い。
【0030】溶融紡糸する際の前記温度範囲から選ばれ
た同じ温度とは、本発明では、芯成分と鞘成分のそれぞ
れの樹脂が実質的に同じ溶融紡糸温度で紡糸されること
を意味し、前記溶融紡糸温度の範囲内で温度は±1.5
℃、好ましくは±1.0℃まで許容される。芯成分と鞘
成分の樹脂の溶融紡糸温度の差の絶対値が3℃を超えて
大きくなると、溶融押出し後の複合糸条体の冷却がスム
ーズにいかなくなり、糸条体への冷却不均一による歪み
が残るので、良好な紡糸性が実現できなくなり、しいて
は糸切れが発生し、不織布が不均一になる。
【0031】前記鞘成分の高活性メタロセン触媒で重合
されたポリエチレンと芯成分のポリプロピレンは、溶融
押出し紡糸機のそれぞれの口金から同じ温度で押し出さ
れて紡糸された後は、エジェクターにより高速エアーで
引き取って、延伸され、次いで形成された多数の長繊維
を衝突板に当てて摩擦帯電させ、電荷による反発力で開
繊させる。この場合、帯電方法として、コロナ放電処理
を行うこともできる。
【0032】次に、均一に開繊された前記の多数の長繊
維フィラメント群は、捕集用のエンドレスに回転してい
る網製の支持体上に捕集・堆積され、ウェブとされる。
【0033】本発明においては、支持体上に集積された
多数の長繊維からなるウェブは、次いで規則的な間隔で
繊維同士の融着区域を設け、熱接着するためいわゆる熱
エンボスが施される。この熱エンボスによる長繊維同士
の熱接着は、公知の方法がそのまま適用できる。例え
ば、前記ウェブを加熱した凸凹ロールと平滑ロールの間
に導入し、加熱と加圧処理を施すことにより、凸凹ロー
ルの凸部に対応した不織布の繊維同士が融着する事によ
って形成される。この場合、ロールの温度は鞘成分の融
点より3〜20℃、好ましくは5〜15℃低い温度に維
持される。ロール温度と樹脂の融点の差が3℃未満で
は、ロールによる熱圧着処理時に繊維がロールに付着
し、製造トラブルの原因となるため適さない。逆に、ロ
ール温度と樹脂の融点差が20℃を超えると、融着部分
の形成が不十分となり、不織布の強度が著しく低下する
ばかりでなく、毛羽立ちが激しくなるため好ましくな
い。
【0034】凸凹ロールと平滑ロールで熱圧着処理を施
す場合の線圧は、10〜80kg/cm、好ましくは2
0〜60kg/cmである。圧力が10kg/cm未満
では、熱圧着処理による融着区域の形成が不十分となる
ことがあり、80kg/cmを超えると。融着区域がフ
ィルム状になり、不織布の風合いが損なわれるため適さ
ない。融着区域を形成する方法としては、集積された連
続長繊維ウェブを凸凹ロールと超音波ホーンの間に導入
し、超音波処理を施すことにより、凸部に対応した点融
着部分を形成することも可能である。
【0035】本発明においては、個々の融着区域の面積
は、0.03〜4mm2の範囲である。融着区域の面積
が0.03mm2未満では、不織布の強度が不足するた
め好ましくない、逆に、融着面積が4mm2を超える
と、得られる不織布が硬くなりすぎる。融着の面積の総
和は、複合長繊維不織布の全表面積の2〜30面積%で
ある。融着面積の総和が2面積%未満では、不織布の強
度が不足し、融着面積が30面積%を超えると不織布が
硬くなる。
【0036】以上詳細に説明したように、本発明の複合
長繊維不織布は、細デニールの複合長繊維であっても糸
切れ率が極めて少なく高速度の紡糸の紡糸により極めて
容易にウェブが形成され、高活性メタロセン触媒を用い
て重合されたポリエチレンが鞘成分に用いられているた
め優れた開繊性、紡糸性、柔軟性、強度及び熱接着性を
有する複合長繊維不織布が得られ、これらは必要に応じ
て種々加工されて、衛生材料、医療用基材、衣料用基
材、家庭用基材、産業用基材などに使用される。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明は勿論これらに限定されるものでは
ない。なお、実施例及び比較例において%とあるのは特
に断らない限り重量%を示す。
【0038】実施例1 芯成分としてメルトフローレートが50g/10分、Q
値が2.7のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が1.7、融点91℃の高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレン(日本ポリケム社製)
を準備した。
【0039】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を80%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、
紡出されたフィラメント群をエジェクターにより高速エ
アーで引き取りながら延伸して開繊し、エンドレスに回
転して移動しているワイヤー製捕集支持体上に捕集・堆
積させウェブを形成させた。
【0040】次いで、このウェブを85℃に加熱した凸
凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30kg/c
mで熱エンボスを施し、凸凹ロールの凸部に対応する部
分を融着させることにより、目付25g/m2の芯鞘型
複合長繊維不織布を得た。
【0041】個々の融着区域の面積は0.12mm2
融着区域の面積の総和は、不織布の全表面積当たり6面
積%、長繊維の繊度は2.0デニールであった。得られ
た不織布の紡糸性、引張強度、地合、柔軟性及びヒート
シール強度について以下の試験方法で試験し品質を評価
した。
【0042】試験方法 (1)紡糸性 樹脂の紡糸性を、溶融紡糸時の糸切れの多寡で評価し
た。評価は以下の5段階で行った。 5:糸切れはなく、紡糸性は極めて良好である。 4:糸切れはほとんどなく、紡糸性は良好である。 3:糸切れは少しあるが、問題はなく、紡糸性は普通で
ある。 2:糸切れがかなりあり、紡糸性は不良である。 1:糸切れが非常に多く、紡糸性は極めて不良ある。
【0043】(2)引張強度(N/50mm) JIS L 1906に示された方法で行った。 (3)地合(点) 得られた長繊維不織布の地合を、官能で評価した。評価
は以下の5段階で行った。 5:不織布の地合が非常に優れている。 4:不織布の地合が優れている。 3:不織布の地合が普通である。 2:不織布の地合が劣る。 1:不織布の地合が非常に劣る。
【0044】(4)柔軟性(点) モニター20人による官能評価により柔軟性を評価し
た。モニターは、不織布を手で揉み、不織布の柔軟性を
判定した。評価は、次の基準による0点〜5点で示し、
その合計点数(100点満点)を柔軟性として表し、9
0点以上を合格とした。 5点:不織布の柔軟性が非常に優れている。 4点:不織布の柔軟性が優れている。 3点:不織布の柔軟性が普通である。 2点:不織布の柔軟性が劣る。 1点:不織布の柔軟性が非常に劣る。
【0045】(5)ヒートシール強度(N/50mm) 得られた不織布を、幅30mm×長さ100mmの大き
さにカットする。カットしたサンプルを2枚重ねて下記
の条件でヒートシールを行った。 温度:鞘成分の融点より−5℃ 圧力:4.2kg/cm2 シール位置:サンプル端から25mm ヒートシール強度は、引張試験機((株)東洋精機製作
所製ストログラフV1−B)を用いて次のようにして測
定した。得られたサンプルのシール部反対側の各端を、
引張試験機のつかみ具につかみ具間長100mmで装着
し、引張速度200mm/minで引張り、その最大荷
重を50mm幅当たりの値に換算した。その測定を10
回行い、平均値を算出しヒートシール強度とした。
【0046】実施例2 芯成分としてメルトフローレートが45g/10分、Q
値が2.7のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が2.4、融点91℃の高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレン(日本ポリケム社製)
を準備した。
【0047】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を80%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、
紡出されたフィラメント群をエジェクターにより高速エ
アーで引き取りながら延伸して開繊し、エンドレスに回
転して移動しているワイヤー製捕集支持体上に捕集・堆
積させウェブを形成させた。
【0048】次いで、このウェブを85℃に加熱した凸
凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30kg/c
mで熱エンボスを施し、凸凹ロールの凸部に対応する部
分を融着させることにより、目付25g/m2の芯鞘型
複合長繊維不織布を得た。
【0049】個々の融着区域の面積は0.12mm2
融着区域の面積の総和は、不織布の全表面積当たり6面
積%、長繊維の繊度は9.1デニールであった。作製し
た複合長繊維不織布の品質を実施例1と同様に評価し
た。
【0050】実施例3 芯成分としてメルトフローレートが50g/10分、Q
値が3.8のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が2.4、融点91℃の高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレン(日本ポリケム社製)
を準備した。
【0051】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を40%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、
紡出されたフィラメント群をエジェクターにより高速エ
アーで引き取りながら延伸して開繊し、エンドレスに回
転して移動しているワイヤー製捕集支持体上に捕集・堆
積させウェブを形成させた。
【0052】次いで、このウェブを85℃に加熱した凸
凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30kg/c
mで熱エンボスを施し、凸凹ロールの凸部に対応する部
分を融着させることにより、目付25g/m2の芯鞘型
複合長繊維不織布を得た。
【0053】個々の融着区域の面積は0.12mm2
融着区域の面積の総和は、不織布の全表面積当たり6面
積%、長繊維の繊度は2.0デニールであった。作製し
た複合長繊維不織布の品質を実施例1と同様に評価し
た。
【0054】実施例4 芯成分としてメルトフローレートが45g/10分、Q
値が3.8のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が1.7、融点91℃の高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレン(日本ポリケム社製)
を準備した。
【0055】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を30%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、
紡出されたフィラメント群をエジェクターにより高速エ
アーで引き取りながら延伸して開繊し、エンドレスに回
転して移動しているワイヤー製捕集支持体上に捕集・堆
積させウェブを形成させた。
【0056】次いで、このウェブを85℃に加熱した凸
凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30kg/c
mで熱エンボスを施し、凸凹ロールの凸部に対応する部
分を融着させることにより、目付25g/m2の芯鞘型
複合長繊維不織布を得た。個々の融着区域の面積は0.
12mm2、融着区域の面積の総和は、不織布の全表面
積当たり6面積%、長繊維の繊度は2.0デニールであ
った。作製した複合長繊維不織布の品質を実施例1と同
様に評価した。
【0057】比較例1 芯成分としてメルトフローレートが50g/10分、Q
値が2.7のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が2.5、融点113℃の高密度ポリエチレン
(日本ポリケム社製)を準備した。
【0058】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を80%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、
紡出されたフィラメント群をエジェクターにより高速エ
アーで引き取りながら延伸して開繊し、エンドレスに回
転して移動しているワイヤー製捕集支持体上に捕集・堆
積させウェブを形成させた。
【0059】次いで、このウェブを105℃に加熱した
凸凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30kg/
cmで熱エンボスを施し、凸凹ロールの凸部に対応する
部分を融着させることにより、目付25g/m2の芯鞘
型複合長繊維不織布を得た。個々の融着区域の面積は
0.12mm2、融着区域の面積の総和は、不織布の全
表面積当たり6面積%、長繊維の繊度は2.0デニール
であった。作製した複合長繊維不織布の品質を実施例1
と同様に評価した。
【0060】比較例2 芯成分としてメルトフローレートが50g/10分、Q
値が2.7のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が1.7、融点91℃の高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレン(日本ポリケム社製)
を準備した。
【0061】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を20%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、
紡出されたフィラメント群をエジェクターにより高速エ
アーで引き取りながら延伸して開繊し、エンドレスに回
転して移動しているワイヤー製捕集支持体上に捕集・堆
積させウェブを形成させた。
【0062】次いで、このウェブを85℃に加熱した凸
凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30kg/c
mで熱エンボスを施し、凸凹ロールの凸部に対応する部
分を融着させることにより、目付25g/m2の芯鞘型
複合長繊維不織布を得た。個々の融着区域の面積は0.
12mm2、融着区域の面積の総和は、不織布の全表面
積当たり6面積%、長繊維の繊度は2.0デニールであ
った。作製した複合長繊維不織布の品質を実施例1と同
様に評価した。
【0063】比較例3 芯成分としてメルトフローレートが50g/10分、Q
値が2.7のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が1.7、融点91℃の高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレン(日本ポリケム社製)
を準備した。
【0064】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を95%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、
紡出されたフィラメント群をエジェクターにより高速エ
アーで引き取りながら延伸して開繊し、エンドレスに回
転して移動しているワイヤー製捕集支持体上に捕集・堆
積させウェブを形成させた。
【0065】次いで、このウェブを85℃に加熱した凸
凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30kg/c
mで熱エンボスを施し、凸凹ロールの凸部に対応する部
分を融着させることにより、目付25g/m2の芯鞘型
複合長繊維不織布を得た。個々の融着区域の面積は0.
12mm2、融着区域の面積の総和は、不織布の全表面
積当たり6面積%、長繊維の繊度は2.0デニールであ
った。作製した複合長繊維不織布の品質を実施例1と同
様に評価した。
【0066】比較例4 芯成分としてメルトフローレートが45g/10分、Q
値が3.8のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が2.4、融点91℃の高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレン(日本ポリケム社製)
を準備した。
【0067】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を80%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、
紡出されたフィラメント群をエジェクターにより高速エ
アーで引き取りながら延伸して開繊し、エンドレスに回
転して移動しているワイヤー製捕集支持体上に捕集・堆
積させウェブを形成させた。
【0068】次いで、このウェブを85℃に加熱した凸
凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30kg/c
mで熱エンボスを施し、凸凹ロールの凸部に対応する部
分を融着させることにより、目付25g/m2の芯鞘型
複合長繊維不織布を得た。個々の融着区域の面積は0.
12mm2、融着区域の面積の総和は、不織布の全表面
積当たり6面積%、長繊維の繊度は11.2デニールで
あった。作製した複合長繊維不織布の品質を実施例1と
同様に評価した。
【0069】比較例5 芯成分としてメルトフローレートが50g/10分、Q
値が3.8のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が2.4、融点91℃の高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレン(日本ポリケム社製)
を準備した。
【0070】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を80%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、不織布を構成
する長繊維の繊度を0.8デニールにしようとしたが、
糸切れが多発し不織布を製造することができなかった。
【0071】比較例6 芯成分としてメルトフローレートが45g/10分、Q
値が4.3のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が1.7、融点91℃の高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレン(日本ポリケム社製)
を準備した。
【0072】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を80%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、
紡出されたフィラメント群をエジェクターにより高速エ
アーで引き取りながら延伸して開繊し、エンドレスに回
転して移動しているワイヤー製捕集支持体上に捕集・堆
積させウェブを形成させた。
【0073】次いで、このウェブを85℃に加熱した凸
凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30kg/c
mで熱エンボスを施し、凸凹ロールの凸部に対応する部
分を融着させることにより、目付25g/m2の芯鞘型
複合長繊維不織布を得た。個々の融着区域の面積は0.
12mm2、融着区域の面積の総和は、不織布の全表面
積当たり6面積%、長繊維の繊度は2.0デニールであ
った。作製した複合長繊維不織布の品質を実施例1と同
様に評価した。
【0074】比較例7 芯成分としてメルトフローレートが45g/10分、Q
値が2.7のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製)
と、鞘成分としてメルトフローレートが20g/10
分、Q値が3.0、融点91℃の高活性メタロセン触媒
を用いて重合されたポリエチレン(日本ポリケム社製)
を準備した。
【0075】次に、溶融押出し紡糸機において芯鞘型複
合紡糸用口金を使用して、不織布を構成する複合長繊維
の繊維軸に直交する繊維断面に占める鞘成分の重量比率
を80%とし、前記の樹脂をそれぞれ250±1℃に加
熱して溶融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、
紡出されたフィラメント群をエジェクターにより高速エ
アーで引き取りながら延伸して開繊し、エンドレスに回
転して移動しているワイヤー製捕集支持体上に捕集・堆
積させウェブを形成させた。
【0076】次いで、このウェブを85℃に加熱した凸
凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30kg/c
mで熱エンボスを施し、凸凹ロールの凸部に対応する部
分を融着させることにより、目付25g/m2の芯鞘型
複合長繊維不織布を得た。個々の融着区域の面積は0.
12mm2、融着区域の面積の総和は、不織布の全表面
積当たり6面積%、長繊維の繊度は2.0デニールであ
った。作製した複合長繊維不織布の品質を実施例1と同
様に評価した。
【0077】実施例及び比較例で得られた結果を表1に
示した。
【表1】
【0078】表1から明らかなように、本発明の条件に
合致する場合には、溶融押出機によって樹脂を溶融紡糸
する際に糸切れが無く、得られた芯鞘型複合長繊維不織
布は、高強度でありながら、地合、柔軟性及びヒートシ
ール強度に極めて優れている(実施例1〜4)。
【0079】これに対して、鞘成分にチーグラー・ナッ
タ触媒で重合した高密度ポリエチレンを使用すると、紡
糸性が劣るばかりでなく、高強度が得られない(比較例
1)。また、鞘成分の重量比率が30重量%未満である
と十分なヒートシール強度が得られなくなり(比較例
2)、逆に、鞘成分の重量比率が90重量%を超えて大
きくなると得られる不織布の強度が十分になるばかりで
なく紡糸性も劣る(比較例3)。さらに、不織布を構成
する長繊維の繊度が10デニールを超えて大きくなる
と、得られる不織布の柔軟性が十分ではなくなり(比較
例4)、逆に、不織布を構成する長繊維の繊度を1デニ
ール未満にするか、または芯成分及び鞘成分に使用する
樹脂のQ値を規定の範囲を超えて大きくすると、紡糸性
が悪化する(比較例5、6、7)。
【0080】
【発明の効果】本発明は、開繊性、紡糸性を満足した複
合長繊維が得られ、高い強度を有し、且つ優れた柔軟
性、風合い、地合及び熱接着性を有するポリオレフィン
複合長繊維不織布を提供するという効果を奏する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯成分と鞘成分からなる複合長繊維によ
    って形成された繊度が1〜10デニールからなるポリオ
    レフィン複合不織布において、前記芯成分が、重量平均
    分子量を数量平均分子量で除した値で定義されるQ値が
    2.5〜4.0のポリプロピレンであり、前記鞘成分
    が、高活性メタロセン触媒を用いて重合され、Q値が
    1.5〜2.7のポリエチレンからなり、且つ鞘成分の
    繊維軸に直交する繊維断面積に占める重量比率が30〜
    90重量%であることを特徴とするポリオレフィン複合
    長繊維不織布。
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