JPH09291457A - 複合長繊維の積層不織布 - Google Patents

複合長繊維の積層不織布

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JPH09291457A
JPH09291457A JP8105044A JP10504496A JPH09291457A JP H09291457 A JPH09291457 A JP H09291457A JP 8105044 A JP8105044 A JP 8105044A JP 10504496 A JP10504496 A JP 10504496A JP H09291457 A JPH09291457 A JP H09291457A
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Fumihiko Shimizu
文彦 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 嵩高で風合が優れ、且つ引張強度の高い不織
布を提供する。 【解決手段】 低融点成分である高密度ポリエチレン
と、高融点成分であるポリプロピレンの2種類のポリマ
ーで単糸が構成されるサイドバイサイド型あるいは芯鞘
型の複合長繊維からなるウェブ層で、ポリマーの配合比
率が異なる少なくとも2種類のウェブ層を積層し、無押
圧下において、該積層ウェブを加熱気体中に導入するこ
とにより、低融点成分を溶融固化させ長繊維相互間を固
着させて積層不織布を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、2種類のポリマ
ーから構成される複合長繊維ウェブを積層することによ
り製造される、引張強度及び風合に優れた不織布に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】 従来から、2種類以上のフィラメント
を混合する方法は多数あるが、一般には、混紡、混繊ま
たは交撚等のように紡糸後巻き取ったフィラメントを混
合するものが知られている。しかしながら、このような
方法は紡糸フィラメントを直接ウェブ化する場合には適
用できないことは明らかである。そこで連続して生産が
できるスパンボンド不織布の製造方法を利用することが
考えられた。このスパンボンド不織布の製造方法は、熱
可塑性樹脂を溶融紡糸して集束されたフィラメント群を
得、このフィラメント群に同電荷を付与して、フィラメ
ント相互間の反発力によって開繊し、引続き開繊された
長繊維を捕集コンベア上に集積して繊維ウェブを得、そ
の後一定の手段でフィラメント相互間を固着するという
ものである。この方法は、繊維形成から不織布製造に至
るまでが、連続して行えるため、生産コストの面で優位
性がある。
【0003】不織布の製造方法において、フィラメント
相互間の固着手段として、熱エンボス方式が提案されて
いる。この熱エンボス方式は、繊維ウェブを加熱された
凹凸ロールと平滑ロールとの間に導入して、長繊維相互
間を固着させるものである。即ち、凹凸ロールの凸部に
よって加熱及び加圧された繊維ウェブの区域において、
熱可塑性である長繊維を軟化又は溶融させて、その区域
をフィルム化せしめ、長繊維相互間をこの区域で強固に
一体化させようというものである。しかしながら、この
ようにして得られた不織布は、フィルム化した区域が存
在するため、嵩高性や柔軟性の面で劣り、更にフィルム
化した区域の曲げ剛性が大きく、全体として風合が悪い
という欠点があった。
【0004】このため、凹凸ロール表面に占める凸部の
割合を少なくし、表面材中のフィルム化した区域を減少
させて、嵩高性や柔軟性を向上させ、更に曲げ剛性を低
下させようという試みもなされている。しかし、不織布
中のフィルム化した区域は、長繊維相互間を固着させる
ためのものであるから、この区域を減少させると、不織
布の引張強度が低下するという新たな欠点を惹起するの
である。このようなことから、凹凸ロール表面に占める
凸部の割合はそのままにして、一個々々の凸部の面積を
微小にし即ち凸部の数を増加させて、一個々々のフィル
ム化した区域の面積を小さくし、全体として風合を向上
させようという試みもなされている。しかし、一個々々
の凸部の面積を微小にするにも限界があり、目的とする
ような風合を得ることは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 すなわち、いわゆる
スパンボンド法を利用しかつ熱エンボス方式で不織布を
得ようとすると、引張強度が充分あり風合の優れた不織
布は容易に得られないという欠点がある。そこで、本発
明者等は、熱エンボス方式を採用せずに、他の方式で不
織布を得ることを検討し、加熱気体中に導入することに
より、長繊維相互間を固着する方法が最適であると考え
たが、この方法においても、充分な引張強度を付与する
と風合が低下し、逆に風合を向上させると引張強度が低
下するという傾向があり、満足できる結果は得られなか
った。
【0006】このため、本発明者等は更に検討を重ねた
結果、繊維ウェブの組成や繊維ウェブを構成する長繊維
の種類に工夫が足りないことに想い至った。そこで、2
種類の融点の異なる成分(ポリマー)から単糸が構成さ
れるサイドバイサイド型あるいは芯鞘型複合長繊維より
なり、これらの2種類の成分(ポリマー)の配合比率が
異なった複合長繊維ウェブ層を積層し、加熱気体中に導
入することによって、長繊維相互間を固着するという方
法を考案し、本発明を完成するに至った。本発明の目的
は、スパンポンド法を利用し、充分な引張強度を持ち且
つ嵩高で優れた風合を示す不織布を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明の第1は、融点
の異なる2種類のポリマーで単糸が構成されるサイドバ
イサイド型あるいは芯鞘型の複合長繊維からなるウェブ
層が複数積層されてなる積層不織布であって、前記低融
点ポリマーが密度0.94〜0.97g/cm3の高密
度ポリエチレンで、高融点ポリマーがポリプロピレンで
あり、これらのポリマーの配合比率を変えることにより
少なくとも2種類のウェブ層を形成し、これらのウェブ
層が複数積層され、加熱気体によって、ウェブ層の低融
点成分が溶融固化され長繊維相互間が固着されてなるこ
とを特徴とする複合長繊維の積層不織布である。
【0008】本発明の第2は、前記ウェブ層の積層体
が、無押圧下において、加熱気体により溶融固化されて
長繊維相互間が固着されてなることを特徴とする第1の
発明の複合長繊維の積層不織布である。本発明の第3
は、前記ウェブ層の積層体が、低融点ポリマーである高
密度ポリエチレンを40〜70重量%、高融点ポリマー
であるポリプロピレンを60〜30重量%とした柔軟性
があるウェブA層と、同様に高密度ポリエチレンを10
〜25重量%、ポリプロピレンを90〜75重量%とし
た引張強度に優れたウェブB層との2層積層体であるこ
とを特徴とする第1の発明あるいは第2の発明に記載の
複合長繊維の積層不織布である。得られる不織布は、ウ
ェブA層とウェブB層の両方の特徴を兼ね備え、風合と
強度に優れた不織布である。
【0009】
【発明の実施の形態】 本発明に係る不織布は、融点の
異なる2種類のポリマーで単糸が構成され、該ポリマー
の配合比率の異なった少なくとも2種類のウェブ層より
なる積層不織布である。まず、本発明において使用する
サイドバイサイド型複合長繊維による繊維ウェブ(ウェ
ブ層)の製造方法について説明する。
【0010】サイドバイサイド型複合長繊維は、横断面
が略半月状の低融点成分と高融点成分とを、両者の弦部
分が当接された状態で貼り合わされたものである。本発
明に使用される低融点成分のポリマーとしては、密度が
0.94〜0.97g/cm3の高密度ポリエチレンが
使用される。特に、密度が0.945〜0.965g/
cm3のものを使用するのが好ましい。密度が0.94
g/cm3未満のポリエチレンを使用すると、帯電装置
によって付与される電荷量が少なくなり、長繊維相互間
の反発力による開繊性が不良になるので、好ましくな
い。この高密度ポリエチレンの具体例としては、メルト
フローレートが10〜50の範囲のものを使用するのが
好ましい。メルトフローレートがこの範囲外になると、
溶融紡糸して複合長繊維が得られにくくなる傾向が生じ
る。
【0011】本発明に使用される高融点成分のポリマー
としては、ポリプロピレンを使用するが、中でもアイソ
タクチックポリプロピレンが好ましく、これは比較的結
晶化度が高く、且つ融点も高いものであるため、融点を
上昇させて、低融点成分として使用する高密度ポリエチ
レンが溶融する温度で軟化または溶融しにくくすること
が出来る。また、帯電性を良好にして開繊性をよくする
ことが出来る。従って、高融点成分のポリマーはアイソ
タクチックポリプロピレンを主成分とするポリプロピレ
ンである。該ポリプロピレンの具体例としては、メルト
フローレートが10〜80の範囲のものを使用するのが
好ましい。メルトフロレートがこの範囲外となると、溶
融紡糸して複合長繊維が得られにくくなる傾向が生じ
る。
【0012】本発明に係るサイドバイサイド型複合長繊
維の全表面における低融点成分の占有率は、10〜70
重量%であるのが好ましい。低融点成分の占有率が10
重量%未満になると、相対的に繊維表面に露出している
低融点成分の割合が少なくなり、長繊維相互間の接触点
における結合が少なくなって、得られる不織布に十分な
引張強度が付与できなくなる傾向が生じる。逆に、低融
点成分の占有率が70重量%を超えると、相対的に繊維
表面に露出している低融点成分の割合が多くなり、長繊
維相互間の接触点における結合が多くなって、得られる
不織布の風合が低下する傾向が生じるため好ましくな
い。
【0013】本発明において使用するサイドバイサイド
型複合長繊維は、従来公知の複合溶融紡糸法によって製
造することができる。紡糸温度は、採用する低融点成分
及び高融点成分の融点等によって適宜決定しうる事項で
あるが、一般的には、180〜280℃の範囲で複合溶
融紡糸するのが好ましい。180℃未満であったり、或
いは280℃を超えると、安定的に紡糸しにくくなる傾
向が生じるからである。
【0014】従来公知の複合溶融紡糸法によってサイド
バイサイド型複合長繊維を得た後、この複数本の長繊維
を集束させて高速気流牽引装置に導入する。高速気流牽
引装置によって、長繊維は延伸及び牽引されて所定の繊
度となった後、高速気流牽引装置の出口に設置された帯
電装置(反射板)によって電荷が付与される。そして、
各長繊維には同電荷が付与されることになるから、各長
繊維相互間の反発力によって開繊され、その後捕集コン
ベア上に長繊維が集積せしめられる。このようにして、
サイドバイサイド型複合長繊維が集積してなる繊維ウェ
ブ(ウェブ層)が得られるのである。
【0015】次に本発明において使用する芯鞘型複合長
繊維による繊維ウェブ(ウェブ層)の製造方法について
説明する。繊維ウェブ(ウェブ層)は芯鞘型複合長繊維
で構成され、芯成分は前記高融点成分のポリプロピレン
よりなり、鞘成分は前記低融点成分の高密度ポリエチレ
ンよりなる。
【0016】本発明に係る芯鞘型複合長繊維の全重量に
おける低融点成分の占有率が、10〜70%重量である
のが好ましい。低融点成分の占有率が10%重量未満に
なると、低融点成分は融着成分として働くため、長繊維
相互間の結合が弱くなり、得られる不織布に十分な引張
強度を付与できなくなる傾向が生じる。逆に、低融点成
分の占有率が70%重量を超えると、長繊維相互間の結
合が強くなり、得られる不織布の風合が低下する傾向が
生じるため好ましくない。
【0017】本発明において使用する芯鞘型複合長繊維
は、従来公知の複合溶融紡糸法によって製造することが
できる。紡糸温度は、採用する低融点成分及び高融点成
分の融点等によって適宜決定しうる事項であるが、一般
的には、180〜280℃の範囲で複合溶融紡糸するの
が、好ましい。180℃未満であったり、或いは280
℃を超えると、安定的に紡糸しにくくなる傾向が生じる
からである。
【0018】従来公知の複合溶融紡糸法によって芯鞘型
複合長繊維を得た後、この複数本の長繊維を集束させて
高速気流牽引装置に導入する。高速気流牽引装置によっ
て、長繊維は延伸及び牽引されて所定の繊度となった
後、高速気流牽引装置の出口に設置された帯電装置(反
射板)によって電荷が付与される。そして、各長繊維に
は同電荷が付与されることになるから、各長繊維相互間
の反発力によって開繊され、その後捕集コンベア上に長
繊維が集積せしめられる。このようにして、芯鞘型複合
長繊維が集積してなる繊維ウェブが得られるのである。
【0019】以上のようにして、サイドバイサイド型あ
るいは芯鞘型の複合長繊維からなるウェブ層が得られる
が、2種類の低融点成分(ポリマー)と高融点成分(ポ
リマー)の配合比率を変えて、ウェブ層を少なくとも2
種類製造し、これらのウェブ層を複数積層する。また各
ウェブ層の製造方法は、サイドバイサイド型複合長繊
維、芯鞘型複合長繊維を組み合わせて製造してもかまわ
ないし、同一の種類でもかまわない。例えば、ウェブが
A層とB層の2層の場合、ウェブA層はサイドバイサイ
ド型複合長繊維ウェブ層、ウェブB層は芯鞘型複合長繊
維ウェブ層として製造してもかまわないし、逆でも構わ
ない。また、ウェブA層、B層の両方ともサイドバイサ
イド型複合長繊維ウェブ層でもよいし、両方とも芯鞘型
複合長繊維ウェブ層でも構わない。
【0020】本発明は、柔軟性があり(嵩高であり)か
つ引張強度が優れた不織布を得ることを目的としている
が、まず柔軟性のあるウェブ層を得るには、剛性の小さ
い高密度ポリエチレンを使用し、さらに複合長繊維の高
密度ポリエチレンの配合比率を多くする。つまり複合長
繊維の低融点成分である高密度ポリエチレンの占有率
(重量比率)を、サイドバイサイド型複合長繊維、芯鞘
型複合長繊維のいずれにおいても30〜70%、好まし
くは40〜70%とすることで、高密度ポリエチレンを
多く配合し、柔軟性に富んだウェブ層が得られる。次に
引張強度をもたせるためには、比較的剛性の大きいポリ
プロピレンを使用し、かつ複合長繊維のポリプロピレン
の配合比率を多くする。つまり複合長繊維の低融点成分
である高密度ポリエチレンの占有率(重量比率)を、サ
イドバイサイド型複合長繊維、芯鞘型複合長繊維のいず
れにおいても10%〜30%未満、好ましくは10〜2
5%とすることで、低融点成分を少なくし、逆に高融点
成分であるポリプロピレンの配合率を多くして、引張強
度に富んだウェブが得られる。
【0021】このようにして得られる柔軟性に優れたウ
ェブ層と引張強度の高いウェブ層を積層することによ
り、柔軟性に優れかつ引張強度の高い不織布を製造する
ことが出来る。また使用目的に応じて、柔軟性(風合)
と引張強度のバランスを自由に変更してもよく、低融点
成分である高密度ポリエチレンと高融点成分のポリプロ
ピレンの配合比率を範囲内であれば任意に変更してもよ
い。
【0022】以上のようにして得られたサイドバイサイ
ド型あるいは芯鞘型複合長繊維のウェブ層で、低融点成
分である高密度ポリエチレンと高融点成分のポリプロピ
レンの配合比率が異なるウェブ層を積層し、積層ウェブ
を加熱気体中に導入する。ここで、加圧ロール等によっ
て積層ウェブを実質的に圧縮加圧しないで、いわゆる無
押圧下において加熱気体中に積層ウェブを導入すると、
ウェブが圧縮されないので、嵩高で柔軟性がある不織布
を得るためにより好ましい。積層ウェブを加熱気体中に
導入するには、積層ウェブを熱風循環式又は熱風透過式
等の回転乾燥機、若しくは赤外線加熱式炉等に導入すれ
ばよい。加熱気体の温度は、積層ウェブ中のサイドバイ
サイド型複合長繊維中の低融点成分、あるいは芯鞘型複
合長繊維中の鞘成分が溶融する温度であって、高融点成
分が溶融又は軟化しない温度であれば良い。
【0023】積層ウェブを、一定温度の加熱気体中に導
入することにより、積層ウェブを構成するサイドバイサ
イド型複合長繊維中の低融点成分、あるいは芯鞘型複合
長繊維中の鞘成分が溶融する。そして、加熱気体中を積
層ウェブが通過した後、放熱して前記の低融点成分が固
化する。これによって、長繊維の低融点成分同士が接触
して固着するのである。このようにして、長繊維相互間
が固着され、形態安定性に優れた不織布が得られる。
【0024】以上のようにして得られる本発明の不織布
は、単糸の低融点成分である高密度ポリエチレンの占有
率(重量比率)を30〜70%とした柔軟性があるウェ
ブA層と、同じく高密度ポリエチレンの占有率(重量比
率)を10%〜30%未満とした引張強度に優れたウェ
ブB層が複数積層され、さらに単糸の低融点成分である
高密度ポリエチレン部分が溶融固化によって接合されて
おり、柔軟性があり嵩高で、かつ引張強度にも優れてい
る。図1に本発明の不織布の1例を示す。本図の不織布
は、ウェブ層が柔軟性があるウェブA層6と、引張強度
に優れたウェブB層7の2層から成っている例である。
【0025】本発明において使用するサイドバイサイド
型複合長繊維あるいは芯鞘型複合長繊維の繊度は、1〜
5デニールであるのが好ましい。繊度を1デニール未満
にするのは、溶融紡糸法ではフィラメントの製造上困難
である。逆に、繊度が5デニールを超えると、長繊維自
体の曲げ剛性が大きくなって、得られる不織布の風合が
低下する傾向が生じる。
【0026】また本発明の不織布の目付は、任意に決定
しうる事項であるが、一般的に10〜50g/m2であ
るのが好ましい。目付が10g/m2未満であると、不
織布が薄すぎて取り扱いにくく製造しにくくなる傾向が
生じる。逆に、目付が50g/m2を超えると、不織布
が厚くなりすぎて曲げ剛性等が大きくなり、不織布の風
合が低下する傾向が生じる。また不織布中の各ウェブ層
の目付の比率も、引張強度と風合のバランスが良ければ
任意に設定しうる事項である。
【0027】
【実施例】 実施例において使用する不織布の各種物性
値及び測定方法は、以下のとおりである。 (1)目付:不織布1m2当たりの重量(g)を測定し
た。 (2)引張強度:JIS L 1096に準拠したテン
シロン引張試験によって縦及び横方向の引張強度を測定
し、その平均値を引張強度とした。 (3)風合:モニター20人による触感テストで柔らか
さを判定した。テストの方法は、実施例及び比較例に係
る不織布を手指で把持してもらい、次の基準で評価し、
その平均値を求めた。 4点:非常に柔らかい。3点:やや柔らかい。2点:や
や硬い。1点:非常に硬い。
【0028】実施例1 図2に示した装置を使用してウェブA層6、ウェブB層
7の順で積層された不織布を以下の方法によって製造し
た。まずウェブA層6は、高融点成分としてアイソタク
チックポリプロピレン(メルトフローレート40、融点
163℃)を準備し、低融点成分として高密度ポリエチ
レン(メルトフローレート20、融点135℃、密度
0.94g/cm3)を準備した。そして、アイソタクチ
ックポリプロピレンを230℃に加熱して溶融させなが
ら第一押出機(図示せず)から押し出し、一方高密度ポ
リエチレンを230℃に加熱して溶融させながら第二押
出機(図示ぜず)から押し出し、サイドバイサイド型複
合紡糸孔を備えた紡糸口金1から両成分の合計吐出量が
1g/分/孔となるようにして、両成分を吐出し、複合
長繊維群2を得た。この複合長繊維群2を高速気流牽引
装置3によって、牽引及び延伸して、繊度が約2.5デ
ニールのサイドバイサイド型複合長繊維を得た。この複
合長繊維中における高融点成分/低融点成分の重量比
は、50:50であった。
【0029】サイドバイサイド型複合長繊維群2が高速
気流牽引装置3から排出された後、高速気流牽引装置3
の下方に設けられた帯電装置4によって、複合長繊維に
は同電荷が付与され、相互の反発力によって開繊され
た。その後、金網製の捕集コンベア5上に複合長繊維が
集積されて、目付12.5g/m2のウェブA層6が得
られた。次にウェブB層7は複合長繊維中における高融
点成分/低融点成分の重量比を80:20にする以外は
上記のウェブA層6と同じ方法で製造した。これらのウ
ェブA層6とウェブB層7とが積層されて、合計目付が
25g/m2の積層ウェブが得られた。
【0030】そして、これらの積層ウェブを、加熱気体
流が充満している熱風循環式の回転乾燥機8に導入す
る。この際、加熱気体の温度は150℃であり、この加
熱気体を積層ウェブの厚み方向に通過させる。これによ
って、高密度ポリエチレンよりなる低融点成分が溶融
し、低融点成分同士の長繊維が接触している箇所におい
て固着し、長繊維相互間が固着結合された。以上のよう
にして、目付25g/m2の不織布10が得られた。
【0031】実施例2 まずウェブA層は、芯成分を形成する熱可塑性樹脂とし
てアイソタクチックポリプロピレン(メルトフローレー
ト40、融点163℃)を準備し、鞘成分を形成する熱
可塑性樹脂として高密度ポリエチレン(メルトフローレ
ート20、融点135℃、密度0.94g/cm3)を準
備した。そして、アイソタクチックポリプロピレンを2
30℃に加熱して溶融させながら第一押出機から押し出
し、一方高密度ポリエチレンを230℃に加熱して溶融
させながら第二押出機から押し出し、芯鞘型複合紡糸孔
を備えた紡糸口金1から両成分の合計吐出量が1g/分
/孔となるようにして、両成分を吐出し、複合長繊維群
を得た。この複合繊維群を高速気流牽引装置3によっ
て、牽引及び延伸して、繊度が約2.5デニールの芯鞘
型複合長繊維を得た。この複合長繊維中における芯成分
/鞘成分の重量比は、50:50であった。
【0032】芯鞘型複合長繊維群2が高速気流牽引装置
3から排出された後、高速気流牽引装置3の下方に設け
られた帯電装置4によって、複合長繊維には同電荷が付
与され、相互の反発力によって開繊された。その後、金
網製の捕集コンベア5上に複合長繊維が集積されて、目
付12.5g/m2の繊維ウェブA層6が得られた。次
にウェブB層は複合長繊維中における芯成分/鞘成分の
重量比を80:20にする以外は上記のウェブA層と同
じ方法で製造した。これらのウェブA層とウェブB層と
が積層されて、合計目付が25g/m2の積層ウェブが
得られた。
【0033】そして、これらの積層ウェブを、加熱気体
流が充満している熱風循環式の回転乾燥機に導入する。
この際、加熱気体の温度は150℃であり、この加熱気
体が積層ウェブの厚み方向に通過した。これによって、
高密度ポリエチレンよりなる低融点成分が溶融し、低融
点成分同士の長繊維が接触している箇所において固着
し、長繊維相互間が固着結合された。以上のようにし
て、目付25g/m2の不織布が得られた。
【0034】比較例1 熱可塑性樹脂としてアイソタクチックポリプロピレン
(メルトフローレート40、融点163℃)を準備し
た。そして、アイソタクチックポリプロピレンを230
℃に加熱して溶融させながら押出機から押し出し、紡糸
口金孔から吐出量1g/分/孔となるようにして、アイ
ソタクチックポリプロピレンを吐出し、吐出繊維群を得
た。この吐出繊維群を高速気流牽引装置によって、牽引
及び延伸して、繊度が約2.2デニールのアイソタクチ
ックポリプロピレン長繊維を得た。アイソタクチックポ
リプロピレン長繊維群が高速気流牽引装置から排出され
た後、高速気流牽引装置の下方に設けられた帯電装置に
よって、各長繊維には同電荷が付与され、相互の反発力
によって開繊された。その後、金網製の捕集コンベア上
に長繊維が集積されて、目付25g/m2の繊維ウェブ
が得られた。そして、この繊維ウェブを、実施例1と同
様の方法で170℃の加熱気体が充満している熱風循環
式の回転乾燥機に導入して、目付25g/m2の不織布
が得られた。
【0035】比較例2 実施例1と同様の方法で繊維ウェブを得た後、上段が凹
凸ロールで下段が平滑ロールである一対のロール間に導
入した。凹凸ロールには、多数の凸部が設けられてお
り、この凸部の先端は丸型で直径が0.6mmであった。
また、凹凸ロールの温度は115℃であり、平滑ロール
の温度は110℃であった。さらに、ロール加圧の線圧
は30kg/cmであり、繊維ウェブを上記のロール間
に導入することによって、凹凸ロールの凸部が当接した
繊維ウェブの区域には、加熱及び加圧が施され、その区
域がフィルム化した。フィルム化した区域は、長繊維群
が溶融固化しており、これによって長繊維相互間が固着
結合された不織布が得られた。なお、フィルム化した区
域の総面積は、不織布の表面積に対して0.5%面積で
あった。実施例1及び2、比較例1及び2によって得ら
れた不織布の物性値及び評価は、表1に示すとおりであ
った。
【0036】
【表1】 表1より明らかなとおり、比較例1に係る不織布は、ア
イソタクチックポリプロピレン長繊維単独で構成された
繊維ウェブを使用して製造したため、長繊維相互間の固
着部分が多く、引張強度は高いものの、柔軟性という風
合の点で、実施例に係る不織布に比べて、劣るものであ
った。また、比較例2に係る不織布は、凹凸ロールの凸
部による加熱及び加圧によって形成されたフィルム化を
もち、このフィルム化した部分で長繊維相互間を結合さ
せてなるものである。従って、比較例2の如く、良好な
風合を持つようにフィルム化区域を少なくすると、フィ
ルム化区域以外の区域における長繊維相互間がほとんど
固着されておらず、実施例に係る不織布に比べて、引張
強度が低いものであった。また、加圧によって風合も低
下している。従って、実施例に係る不織布は、比較例に
比べ風合が優れていると共に引張強度も充分で、風合と
引張強度のバランスも良い。
【0037】
【発明の効果】 本発明に示すように、低融点成分であ
る高密度ポリエチレンと高融点成分であるポリプロピレ
ン(主にアイソタクチックポリプロピレン)の2種類の
ポリマーで単糸が構成されるサイドバイサイド型あるい
は芯鞘型の複合長繊維からなる複合長繊維ウェブで、高
密度ポリエチレンとポリプロピレンの配合比率を変えた
ウェブ層を積層し、加熱気体中に導入して、低融点成分
同士を溶融固化して得られる不織布は、嵩高性が良く従
って柔軟で風合に優れると共に、長繊維相互間の多くの
接触点で長繊維が固着しているので、引張強度も高く優
れた不織布である。また、製造方法も複雑でない。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る積層不織布の模式的横断面
図を示したものである。
【図2】本発明の一例に係る積層不織布の製造工程の説
明図を示したものである。
【符号の説明】
1:紡糸口金 2:複合長繊維群 3:高速気流牽引装置 4:帯電装置 5:捕集コンベア 6:ウェブA層 7:ウェブB層 8:熱風循環式回転乾燥機 9:巻取り機 10:不織布の巻取ロール

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点の異なる2種類のポリマーで構成さ
    れるサイドバイサイド型あるいは芯鞘型の複合長繊維か
    らなるウェブ層が複数積層されてなる積層不織布であっ
    て、前記低融点ポリマーが密度0.94〜0.97g/
    cm3の高密度ポリエチレンで、高融点ポリマーがポリ
    プロピレンであり、これらのポリマーの配合比率を変え
    ることにより少なくとも2種類のウェブ層を形成し、こ
    れらのウェブ層が複数積層され、加熱気体によって、ウ
    ェブ層の低融点成分が溶融固化され長繊維相互間が固着
    されてなることを特徴とする複合長繊維の積層不織布。
  2. 【請求項2】 前記ウェブ層の積層体が、無押圧下にお
    いて、加熱気体により溶融固化されて長繊維相互間が固
    着されてなることを特徴とする請求項1に記載の複合長
    繊維の積層不織布。
  3. 【請求項3】 前記ウェブ層の積層体が、高密度ポリエ
    チレンを40〜70重量%、ポリプロピレンを60〜3
    0重量%としたウェブA層と、高密度ポリエチレンを1
    0〜25重量%、ポリプロピレンを90〜75重量%と
    したウェブB層との2層積層体であることを特徴とする
    請求項1あるいは請求項2に記載の複合長繊維の積層不
    織布。
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