JPH1161620A - 成形用長繊維不織布およびその製造方法、同不織布を用いてなる容器形状品およびその製造方法 - Google Patents

成形用長繊維不織布およびその製造方法、同不織布を用いてなる容器形状品およびその製造方法

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JPH1161620A
JPH1161620A JP22692297A JP22692297A JPH1161620A JP H1161620 A JPH1161620 A JP H1161620A JP 22692297 A JP22692297 A JP 22692297A JP 22692297 A JP22692297 A JP 22692297A JP H1161620 A JPH1161620 A JP H1161620A
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JP22692297A
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Fumio Matsuoka
文夫 松岡
Yoshihiko Mineta
喜彦 峰田
Yasuhiro Yonezawa
安広 米沢
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易に深絞り成形品を得ることができ、しか
も成形品にヒートシール性を具備させることができる成
形用長繊維不織布を提供する。 【解決手段】 エステル系重合体の芯成分と、この芯成
分よりも融点が低いオレフィン系重合体の鞘成分とで構
成された芯鞘型複合長繊維が集積され、これら繊維相互
間が鞘成分の軟化又は溶融によって融着された融着区域
が散点状に設けられている。前記芯成分の複屈折率が
0.010〜0.080であり、前記鞘成分の複屈折率
は芯成分の複屈折率よりも低く、乾熱90℃雰囲気下で
測定した縦方向破断伸度と横方向破断伸度との和が16
0%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、深絞り成形に有用
な成形用長繊維不織布、その製造方法、同不織布を用い
てなる容器形状品、その製造方法、に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】この種の成形性不織布としては、従来か
ら、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不
織布の利用が検討されている(特開昭51−40475
号公報)。しかし、加熱成形時に繊維に熱劣化を生じて
その物性が低下するために、十分満足するものが得られ
ていない。
【0003】一方、その改良として、半延伸状態のポリ
エチレンテレフタレート繊維からなる成形性不織布が提
案されている。この種の成形性不織としては、例えば、
特開昭59−179856号公報、 特開昭60−199
957号公報、 特開昭60−199961号公報、 特開
昭63−120154号公報などに記載されたものがあ
る。
【0004】しかし、これらは、いずれもポリエチレン
テレフタレートの単一成分からなる長繊維にて構成され
ているため、成形時の不織布の延展性、保形性に難点が
ある。このため、成形直前に基布を予熱したり、成形用
金型の加熱温度を高くしたりするなどの処方を取り入れ
ても、成形時の張力が高く、品質の安定した成形物が得
られにくいという問題点がある。またヒートシール性に
乏しく、このため成形品の適用範囲がきわめて狭くなる
という問題点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
を解決し、容易に深絞り成形品を得ることができ、しか
も成形品にヒートシール性を具備させることができるよ
うにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達したも
のである。すなわち、本発明は、(1)エステル系重合
体の芯成分と、この芯成分よりも融点が低いオレフィン
系重合体の鞘成分とで構成された芯鞘型複合長繊維が集
積され、これら繊維相互間が鞘成分の軟化又は溶融によ
って融着された融着区域が散点状に設けられ、前記芯成
分の複屈折率が0.010〜0.080であり、前記鞘
成分の複屈折率は芯成分の複屈折率よりも低く、乾熱9
0℃雰囲気下で測定した縦方向破断伸度と横方向破断伸
度との和が160%以上であることを特徴とする成形用
長繊維不織布と、(2)芯成分のエステル系重合体と、
このエステル系重合体よりも融点の低い鞘成分のオレフ
ィン系重合体とで芯鞘型複合繊維糸条を紡糸し、得られ
た糸条を冷却固化させ、次にこの糸条を3500m/分
以下で牽引・開繊したうえで繊維ウェブとし、その後、
前記鞘成分を軟化させて繊維ウェブの繊維相互間を疑似
接着させ、引き続いて前記鞘成分を軟化又は溶融させて
繊維相互間を融着させた融着区域を散点状に形成するこ
とで、前記繊維ウェブを一体化することを特徴とする成
形用長繊維不織布の製造方法と、(3)エステル系重合
体の芯成分と、この芯成分よりも融点が低いオレフィン
系重合体の鞘成分とで構成された芯鞘型複合長繊維が集
積され、これら繊維相互間が鞘成分の軟化又は溶融によ
って融着された融着区域が散点状に設けられ、前記芯成
分の複屈折率が0.010〜0.080であり、前記鞘
成分の複屈折率は芯成分の複屈折率よりも低く、乾熱9
0℃雰囲気下で測定した縦方向破断伸度と横方向破断伸
度との和が160%以上である成形用長繊維不織布を用
いてなり、前記成形用長繊維不織布のプレス成形により
容器状に形成されていることを特徴とする容器形状品
と、(4)芯鞘型長繊維不織布を予熱して鞘成分を軟化
溶融させ、その後に、加熱された金型によって前記不織
布をプレス成形することを特徴とする容器形状品の製造
方法と、を要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る芯鞘型複合長繊維からなる成形用長繊維不
織布は、特定の芯鞘型複合長繊維を構成繊維とするもの
である。この芯鞘型複合長繊維は、芯成分としてエステ
ル系重合体が採用され、また鞘成分として、このエステ
ル系重合体よりも融点の低いオレフィン系重合体が採用
されるものである。この理由は、不織布に低温ヒートシ
ール性を保有するためであり、鞘成分の融点付近の低温
で他素材とのヒートシールが可能となるためである。こ
の芯鞘型複合長繊維は、芯成分と鞘成分とが同心であっ
ても構わないし、やや偏心していても特に構わない。
【0008】鞘成分のオレフィン系重合体としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレンあるいはエチレンを主体と
する共重合体、プロピレンを主体とする共重合体等が挙
げられる。ポリエチレンとしては、線状低密度ポリエチ
レン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等があ
り、これらのポリエチレンは、ASTM−D−1238
Eの方法で測定したメルトインデックス値が10〜80
g/10分であることが好ましい。メルトインデックス
値が10g/10分未満であると、溶融粘度が高過ぎて
製糸性が劣るからであり、またメルトインデックス値が
80g/10分を超えると、溶融粘度が低過ぎて、ヌメ
リ感が発生したり、紡出繊維の冷却に劣り密着を生じ易
いためである。一方、ポリプロピレンの粘度は、AST
M−D−1238Lの方法で測定したメルトフローレー
ト値が20〜70g/10分であることが好ましい。メ
ルトフローレート値が20g/10分未満であると、溶
融粘度が高過ぎて製糸性が劣るからであり、またメルト
フローレート値が70g/10分を超えると、溶融粘度
が低過ぎて、ヌメリ感が発生したり紡出繊維の冷却に劣
り密着を生じ易いためである。
【0009】芯成分としては、エステル系重合体である
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレ
ートを採用でき、又は主たる繰り返し単位がエチレンテ
レフタレート、ブチレンテレフタレート単位であるポリ
エステルを採用できる。後者のポリエステルの場合、エ
チレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単
位は、少なくとも85モル%以上であるのが好ましい。
ポリエステルを形成する成分の具体例としては、セバシ
ン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、グルタ
ール酸、アジピン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、ナフタル酸などのジカルボン酸成分、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレン
グリコール、などのジオール成分が挙げられる。
【0010】なお、ポリオレフィンやポリエステル中に
は、必要に応じて、艶消し剤、顔料、光安定剤、熱安定
剤、酸化防止剤、結晶化促進剤、抗菌剤等の各種添加剤
を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
【0011】芯鞘型複合長繊維の繊度は、30デニール
以下、特に15デニール以下であることが好ましい。繊
度が30デニールを超えると、長繊維の剛性が高くなっ
て、粗硬感が強くなり、汎用的な用途に使用しにくくな
るので好ましくない。また溶融紡糸工程において、紡出
糸条の冷却固化に支障を来したりするので好ましくな
い。
【0012】芯鞘型複合長繊維中における、芯成分と鞘
成分との重量比は、芯成分1重量部に対して鞘成分が
0.1〜5重量部であるのが好ましく、特にこれが0.
2〜4重量部であるのが最も好ましい。鞘成分は、融着
区域において複合長繊維相互間を融着させる成分である
ため、その重量割合が0.1重量部未満になると、融着
が不十分となり、不織布の引張強力が低くなる恐れがあ
る。一方鞘成分が5重量部を超えると、融着区域におけ
る融着が激しくなって、融着区域中において繊維形態を
維持している箇所の割合が少なくなり、このため風合い
が硬くなると共に不織布強力が低下する恐れがある。
【0013】成形性の不織布を構成している芯鞘型複合
長繊維の構成成分の複屈折率は、芯成分が鞘成分よりも
高く、また芯成分の複屈折率が0.010〜0.080
であることが必要である。芯成分の複屈折率が0.01
0未満であると、芯成分の軸方向における分子配向の程
度が不十分となり、後述する成形時の予熱段階で収縮し
てしまって成形ができなくなるという問題点が発生する
ことがある。また、芯成分の複屈折率が0.080を超
えると、芯成分の軸方向における分子配向の程度が過度
となって、成形時の応力に応じきれなくなり、深絞り成
形ができなくなる恐れが生じる。したがって、芯成分の
複屈折率は、上述のように0.010〜0.080であ
ることが必要であるが、好ましい範囲は0.015〜
0.075、より好ましい範囲は、0.020〜0.0
70、最も好ましい範囲は0.025〜0.065であ
る。
【0014】鞘成分の複屈折率が芯成分のそれよりも低
い理由は、分子配向の程度を下げてバインダー特性とし
ての効果をより発揮させるためであり、できるかぎり低
い方が不織布の接着強力を上げる観点から良い。また、
鞘成分よりも芯成分の複屈折率を高くすることで、成形
時の熱安定性を具備させることができる。
【0015】しかし、鞘成分につき全く配向が進んでい
ないと、繊維を紡糸した際に糸条間の密着が生じ、開繊
性の良い均一な地合いの不織布が得られにくいといった
問題が生ずることがある。したがって、鞘成分の複屈折
率は、0.001〜0.030が妥当な範囲である。好
ましくは0.002〜0.027、より好ましくは0.
003〜0.025、最も好ましくは0.004〜0.
020である。
【0016】長繊維不織布中には、芯鞘型複合長繊維相
互間が融着された融着区域が、散点状に多数設けられて
いることが必要である。この融着区域は、複合長繊維間
が鞘成分の軟化または溶融によって融着したものであ
り、これに対し芯成分は、軟化または溶融せずに、繊維
形態を維持したままあるいは若干変形した繊維形態で存
在する。その散点状に多数設けられた融着区域の形態
は、丸型、楕円型、スリット型、十字型、十葉型、三角
型、三葉型、四角型、五角型、六角型、八角型、ひし
形、T型、井型、長方形四葉型、五葉型、六葉型、八葉
型、卍型等の任意の形態を採用できる。この散点状に多
数設けられた融着区域は、圧着面積率で示し測定される
ものである。
【0017】この圧着面積率は、3〜50%が好まし
い。3%未満であると、不織布の柔軟性は向上するが、
不織布強力の低下をきたしたり、不織布が擦れた場合に
毛羽立ちが発生し易くなったりして、実用面から問題が
生じる。また、圧着面積率が50%を超えると、不織布
自体が極めて硬くなり、ハンドリング性が悪くなる。ま
た成形時の応力が高くなり、成形性の観点からも問題と
なることがある。したがって、圧着面積率が4〜40%
であることが、より好ましい。これらの点圧着部で融着
されることによって不織布は形態保持されるのであり、
しかも、その他の部分は熱圧着されないため、不織布の
曲げ易さ、ハンドリングのよさ、延展性などが付与され
るのである。また融着区域の大きさは、0.1〜2.0
mm2 程度であることが好ましい。
【0018】圧着点の密度は、6〜150個/cm2
好ましい。6個/cm2 未満であると、不織布の柔軟性
は向上するが、不織布強力が低下しやすくなったり、ま
た不織布が擦れた場合に毛羽立ちが発生し易くなったり
して、実用面から問題が生じる。また、圧着点の密度が
150個/cm2 を超えると、不織布自体が極めて硬く
なり、ハンドリング性が悪くなる。したがって、圧着部
の密度が8〜120個/cm2 であるのがより好まし
い。さらに、圧着点の密度が10〜100個/cm2
あるのが最も好ましい。
【0019】不織布を90℃の乾熱雰囲気下で引張った
時の縦方向の破断伸度と横方向の破断伸度との和は、1
60%以上であることが必要である。これは、容器形状
品の成形時の基布の延展は縦方向と横方向との両方に寄
与し、その結果これらの和が深絞り成形性に良否を与え
るためである。そして成形時においては、深絞り比すな
わち成形金型における成形品の深さ/相当口径が0.3
を超えるものでは、少なくともこの値が160%必要と
なるからである。
【0020】本発明は、この深絞り比が0.4以上、好
ましくは、0.5以上、最も好ましくは、0.6以上と
なるような成形が可能な、成形用長繊維不織布やその製
造方法などを目指したものである。したがって、本発明
の不織布ではこの破断伸度を160%以上とするが、好
ましくは、180%以上、最も好ましくは、200%以
上である。
【0021】本発明の不織布を100℃の乾熱雰囲気下
で1分間熱処理した際の面積収縮率は、5%以下である
ことが好適である。この面積収縮率が大き過ぎると、こ
の不織布を用いて容器形状品を成形する直前の予熱の際
や、成形時の金型による加熱の際に、不織布が幅入りし
て、成形金型に見合った目標の成形物が得られなくなる
問題や、成形物の品質管理上の問題が生じやすくなる。
【0022】本発明の不織布の目付は、特に限定しな
い。比較的低目付の不織布は、通気性や排水性を重視し
た分野、例えば排水口フィルターや水切りネット用の成
形品の用途に適している。これに対し比較的高目付の不
織布は、植木用ポットやフィルターなどの、広範囲の用
途に展開できる。
【0023】不織布を構成する芯鞘型複合長繊維におい
ては、上述のように芯成分よりも鞘成分の方が融点が低
いことが必要であるが、その融点差が90℃以上である
ことが好適である。このように芯成分と鞘成分との融点
差を90℃以上とすることで、この不織布を用いて容器
形状品を成形するための熱処理の際に許容される温度範
囲を広くすることができ、また得られる成形品の品質を
安定させることができる。
【0024】次に、本発明の成形用長繊維不織布の製造
方法を説明する。なお、本発明の成形用長繊維不織布
は、他の方法によって製造されたものであっても差し支
えない。
【0025】本発明の成形用長繊維不織布を製造するた
めには、一般に公知の溶融複合紡糸によるスパンボンド
法を適用することができる。すなわち、まずエステル系
重合体と、このエステル系重合体よりも融点が低いオレ
フィン系重合体とを個別に溶融計量し、エステル系重合
体を芯成分とするとともにオレフィン系重合体を鞘成分
とした芯鞘型複合紡糸を行えばよい。この場合の複合紡
糸口金は、通常の芯鞘型複合口金装置のものを使用する
ことができる。引き続いて、紡出された複合繊維を、吹
付装置で冷却固化し、さらにエアーサッカーなどの引き
取り手段で3500m/分以下の速度で牽引−開繊させ
る。そして、移動するコンベヤネット上にその繊維糸条
を堆積させて繊維ウェブとする。
【0026】本発明では、その後の熱処理によって、こ
の芯鞘型複合長繊維の鞘成分を軟化させて繊維ウェブ表
層の繊維相互間を疑似接着させる。そして、引き続きこ
の芯鞘型複合長繊維の鞘成分の軟化又は溶融によって繊
維相互を融着させて融着区域を散点状に設ける。これに
より繊維ウエブを一体化させ、その後に捲取機で巻き取
って不織布を製造することができる。
【0027】本発明においては、繊維糸条をエアーサッ
カーなどにより牽引する際には、糸切れが生じない範囲
内でできるだけ低紡速にすることが望ましい。なぜな
ら、このように低紡速とすることで、上述のように芯成
分の複屈折率を0.01〜0.08の範囲とし、かつ鞘
成分の複屈折率を芯成分の複屈折率よりも低くし、好ま
しくは0.001〜0.030の範囲として、繊維の配
向すなわち結晶化を低め、成形加工の観点から熱変形し
やすくさせるためである。
【0028】すなわち、エステル系重合体を芯部としか
つオレフィン系重合体を鞘部とした芯鞘構造の複合繊維
を紡糸する際には、鞘部の成分の紡糸応力が殆ど芯部に
集中するため、本発明の場合における芯部のエステル系
重合体は、繊維の配向が鞘部よりも幾分高くなる。これ
に対し鞘部のオレフィン系重合体は、バインダー成分と
して寄与するため、より配向が少なくてよいのである
が、その通りの性状となる。このようにすることで、芯
成分のエステル系重合体がある程度配向され、かつその
周囲を鞘成分が覆った構成となるため、熱劣化をきわめ
て少なくすることができる。
【0029】こうするために、上述のように牽引速度は
3500m/分以下とするが、好ましくは3000m/
分以下、より好ましくは2800m/分以下、最も好ま
しくは2500m/分以下である。なお、この牽引速度
は、1500m/分程度の低速であっても、繊維及び不
織布自体の熱劣化は生じない。
【0030】本発明においては、繊維ウェブとした後
に、上述のように芯鞘型複合長繊維の鞘成分を軟化させ
ることによって繊維ウェブ表層の繊維相互間を疑似接着
させる。その理由は、上述のようにウェブを構成する長
繊維自体の結晶化が余り進んでいないことで、熱収縮率
が高く、したがって直接に次の熱圧着処理工程に導入す
ると、ウェブの収縮乱れや大幅な幅入りが生じ、品位の
悪い不織布しか得られない、という問題の発生を防ぐた
めである。また、このようにウェブ表層の繊維相互間を
疑似接着させることで、コンベヤネットから熱圧着処理
工程へのウェブ移行がスムーズとなり、操業性の向上を
図ることが可能となる。
【0031】その際には、温度条件を、芯鞘型複合長繊
維の鞘成分の融点よりも80℃低い温度からこの融点よ
りも50℃低い温度までの範囲とし、かつ線圧として、
0.1〜5kg/cm程度の圧力を付与することで、繊
維ウェブ表層の繊維相互間を良好に疑似接着させること
ができる。
【0032】次に、この繊維ウェブに対し、芯鞘型複合
長繊維の鞘成分の軟化又は溶融によって融着された融着
区域を散点状に形成する際には、乾式不織布用に一般に
使用されている公知の熱エンボス加工機や超音波溶着機
の装置を適用することができる。
【0033】例えば、熱エンボス加工機を適用する場合
の加工温度は、一般的には、熱接着成分すなわち鞘成分
の融点よりも50℃低い温度から、この鞘成分の融点よ
りも5℃低い温度までの範囲を好適に適用できる。鞘成
分の融点よりも5℃低い温度を超えた温度とすると、不
織布の風合いが硬くなって、ハンドリングが悪く、不織
布化のための操業性が低下しやすくなる。また、深絞り
成形時の加工性も悪くなりやすくなる。一方、鞘成分の
融点よりも50℃低い温度未満の温度とすると、ウェブ
が熱圧着されず不織布の形態保持性が低下しやすくな
る。また熱エンボス加工温度が低いとウェブが彫刻ロー
ルに取られ、操業性良く不織布を製造することができに
くくなる。上述のように加工温度はいずれも融点以下の
温度であるが、鞘成分の軟化点がその加工温度の範囲内
にあり、しかも彫刻ロールの圧着ポイント部で圧力が付
与されることにより、確実に融着された状態となる。
【0034】また、不織布を製造する上では、この不織
布の地における点圧着の模様が、不織布強力、柔軟性、
風合いなどに影響するため重要であり、彫刻ロールの彫
刻面積やその形状が一つのポイントとなる。彫刻面積の
基準は、熱圧着させる時の圧着面積率で示すことがで
き、この圧着面積率の好ましい範囲は上述の通りであ
る。
【0035】一方、超音波溶着機を用いて融着区域を散
点状に形成する際には、彫刻ロールと超音波溶着機構を
もった支持体との間に繊維ウェブを通布し、20kHz
程度の超音波を発振すればよい。溶着状態を変更する場
合には、用いる素材によって超音波の波長を適宜変更す
ればよい。この場合の線圧としては、熱エンボス加工機
の場合とは異なって0.5〜2kg/cm程度を用いれ
ばよい。また、圧着面積率は4〜50%が好ましい。こ
の超音波溶着により点圧着を施す方法は、点圧着部以外
の繊維が殆ど熱の影響を受けず、風合いが硬くならない
ため、より好ましい。
【0036】本発明においては、このようにして得られ
た不織布のプレス成形によって、容器形状品が得られ
る。この容器形状品は、フランジ部と、このフランジ部
から3次元方向に突出した容器部とを有するように構成
するのが好適である。
【0037】このような容器形状品を製造する際には、
上述の成形用不織布をまず予熱し、その後に金型を用い
てプレス成形する。この予熱によって、互いに接触する
繊維の鞘成分どうしを融着させ、それによって最終成形
品に耐摩耗性や撥水性を付与することができる。また構
成繊維の接触部のみが鞘成分どうしによって融着し、接
触部以外では融着は生じないため、最終成形品に通気性
を付与することもできる。
【0038】この予熱の際には、不織布を構成する繊維
の鞘成分の軟化温度以上かつその芯成分の軟化温度以下
の温度範囲で処理を行うことで、繊維の鞘成分どうしが
良好に融着する。この処理温度が鞘成分の軟化温度未満
であると、処理温度が低過ぎて、鞘成分どうしを良好に
融着させにくくなる。また芯成分の軟化温度を越える
と、鞘成分のみならず芯成分もが軟化するので、所要の
繊維形態を維持させにくくなる。
【0039】金型を用いたプレス成形に際し、その金型
の温度は、芯成分のガラス転移温度以上かつ鞘成分の融
点未満とするのが好適である。金型の温度が芯成分のガ
ラス転移温度よりも低いと、プレス成形性が悪化しやす
くなって、所要の深絞り加工を行いにくくなる。反対に
金型が鞘成分の融点を越えた温度となると、この鞘成分
が溶融してしまって、やはりプレス成形性が悪化しやす
くなる。
【0040】上述のように、プレス成形を行う材料とし
ての不織布を構成する芯鞘型複合長繊維の芯成分の複屈
折率を0.010〜0.080とし、鞘成分の複屈折率
を芯成分の複屈折率よりも低く、好ましくは0.001
〜0.030の範囲として、繊維の配向すなわち結晶化
を低めることで、プレス成形加工の際に熱変形しやす
く、したがって良好な成形性を確保することができる。
また、上記不織布における乾熱90℃雰囲気下で測定し
た縦方向破断伸度と横方向破断伸度との和を160%以
上としたことで、上述のようにプレス成形時に良好に深
絞り加工することができる。さらに、上述のように不織
布の構成繊維における芯成分と鞘成分との融点差を90
℃以上とすることで、予熱時およびプレス成形時に許容
される温度範囲を広くすることができ、また得られる成
形品の品質を安定させることができる。
【0041】本発明によれば、プレス成形を行う材料と
しての不織布を構成する芯鞘型複合長繊維の芯成分より
も鞘成分の融点が低いため、プレス成形によって得られ
た容器形状品にヒートシール性を付与することができ
る。
【0042】また、予熱の段階とプレス成形の段階とに
おいて材料としての不織布を加熱するため、構成繊維に
熱収縮応力が付与される。このため、得られた容器形状
品は、プレス加工されたにもかかわらず、良く目が詰ま
っており、極端な延伸点が存在しないものとすることが
できる。したがって、たとえば育苗用の容器に適用した
場合には、良好な根切り性を付与することができる。
【0043】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。なお、以下の実施例および比較例における各種
特性の測定及び評価は、次の方法により実施した。
【0044】(1)重合体の融点: パーキンエルマ社
製の示差走査型熱量計 DSC−2型を用い、昇温速度
20℃/分で測定した融解吸収曲線の極値を与える温度
を融点とした。
【0045】(2)繊維の芯成分および鞘成分の複屈折
率: カールツアイスイエナ社製の干渉顕微鏡 インタ
ファコを用い、封入剤として流動パラフィンとα−ブロ
ムナフタリンとの混合液を用いた。そして、芯部と鞘部
との繊維の太さを考慮して繊維を径方向に多層に分割
し、表層からの2層の複屈折率の平均値を鞘成分の複屈
折率とし、中心部からの2層の複屈折率の平均値を芯成
分の複屈折率とした。
【0046】(3)不織布の強力、伸度: 東洋ボール
ドウイン社製の テンシロンUTM−4−1−100を
用い、JIS L−1096に記載のストリップ法にし
たがい測定した。すなわち、試料幅5cm、試料長15
cmの、不織布の縦方向(MD)の試料と横方向(C
D)の試料とを各々10個準備し、掴み間隔10cm、
引張速度10cm/分で測定した。 その場合の最大の個
々の引張強力を平均化した値をもって不織布の引張強力
とした。また、その時の破断時の伸度を平均化した値を
もって不織布の引張伸度とした。
【0047】(4)不織布の引裂強力: JIS L−
1096に記載のペンジュラム法にしたがい測定した。
【0048】(5)圧着面積率: 不織布の小片を走査
型電子顕微鏡で拡大撮影し、最小繰返単位の面積に対す
る点圧着されている部分の面積の総和の比率を個々に1
0回測定したときの平均値で、不織布の圧着面積率を測
定した。
【0049】(6)不織布の乾熱雰囲気下の面積収縮
率: 1m×1mの大きさの試料の中に、不織布の縦方
向が5cmかつ横方向が5cmとなる大きさの枠を4か
所記載した。その後、四フッ化エチレン樹脂製のシート
のうえに上記試料を置き、熱風循環型熱処理機を用い
て、加熱温度100℃、熱処理時間1分で処理した。そ
の後に放冷し、上記枠の個々の長さを測定し、最初に記
載した元の面積から熱処理後の面積を減算して、その差
についての元の面積に対する割合を算出して、面積収縮
率(%)としてた。なお、それらを平均化して、HSで
示した。
【0050】(7)加熱雰囲気下の破断伸度: インス
トロン社製の加熱雰囲気下引張試験機 MODEL11
22を用い、JIS L−1096に記載のストリップ
法にしたがい測定した。すなわち、試料幅5cm、試料
長15cmの、不織布の縦方向(MD)の試料と横方向
(CD)の試料とを各々10個準備し、掴み間隔10c
m、引張速度10cm/分、内部の雰囲気温度100
℃、温度保持時間1分で測定した。 その時の破断時の伸
度を平均化して、不織布の破断伸度とした。
【0051】(8)耐摩耗性: 縦20cm×横3cm
の試験片を作成し、摩擦試験機(学振型)を用いて測定
した。すなわち、JIS L−0803の綿布3号を摩
擦布として用いて、荷重500gで100往復摩擦させ
た。その後、試験片の外観変化を下記の判定基準に照ら
して判定し、耐摩耗性を評価した。
【0052】 3級:全く毛羽立ちがない 2級:少し毛羽立ちがあるが目立たない 1級:毛羽立ちが目立つ
【0053】(9)成形性: クランプに保持した不織
布を100℃の雰囲気下で30秒予熱し、次に直ちに加
熱金型上に移動させて、プレス成形を行った。金型は、
上径50mmφ、下径40mmφ、深さ40mm、底部
の隅部の曲率半径3mmであった。またプラグとのクリ
アランスは0.5mmとし、金型及びプラグの温度は共
に70℃に保持させた。成形後は冷却し、成形物を取り
出して深さを測り、金型との深さの比による熱セット率
を求め、下記の基準で判定を行った。また成形物の外観
検査を行い、下記の基準で成形性の判定を行った。
【0054】熱セット率 ○: 熱セット率が90%以上 △: 熱セット率が70%以上90%未満 ×: 熱セット率が70%未満 外観検査 ◎: 成形物に異常が全く認められない ○: 成形物はおおむね良好 △: 成形斑がややある ×: 成形斑が目立つまたは穴あきがある
【0055】(実施例1)融点が132℃、密度が0.
958g/cm3 、メルトインデックス値(MI値)が
ASTMのD−1238(E)の方法で測定して20g
/分の高密度ポリエチレンを230℃で溶融し、これを
鞘成分として用いた。また、融点が256℃、固有粘度
が0.70(フェノール:テトラクロルエタン=1:1
の混合溶媒中で、20℃で測定)のポリエチレンテレフ
タレートを290℃で溶融し、これを芯成分として用い
た。そして、これら鞘成分と芯成分とを個別に溶融計量
し、通常の丸孔を有する芯鞘型複合紡糸用口金装置(温
度290℃)を用い、単孔吐出量を0.85g/分(芯
鞘複合比は容積比で1:1)として紡出した。
【0056】その後、冷却装置を介してエアーサッカー
で紡出糸条を2500m/分で牽引し、開繊し、移動す
るコンベヤネット上に堆積して、繊度が3.0デニール
の繊維ウェブを得た。この繊維の芯成分の複屈折率は
0.050、また鞘部の複屈折率は0.008であっ
た。
【0057】この繊維ウェブを、加熱回転ロール(温度
が70℃、線圧が0.5kg/cm)に接触させ、ウェ
ブの表層を疑似接着させた。その後、圧着面積率が15
%、圧着部密度が22個/cm2 、圧着部面積が0.7
mm2 の彫刻ロールと、フラットロールとを備えた熱エ
ンボス加工機で、加工温度を120℃、線圧を40kg
/cmとして、上述の表層疑似接着ウェブを点圧着し
た。これにより、目付が約100g/m2 の長繊維不織
布を製造した。また、上述のようにして不織布の特性を
測定した。
【0058】その不織布を成形加工用基布とし、上述の
条件で成形加工を行って、成形性を評価した。以上の結
果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1から明らかなように、安定した操業状
態で長繊維不織布を得ることができた。得られた不織布
は、熱安定性を持ち、成形加工のために必要な基本性能
を有するものであって、成形性が良好で深絞り成形に好
適であることが分かった。
【0061】(実施例2)単孔吐出量を1.17g/
分、紡糸速度が3500m/分とした。そして、それ以
外は実施例1と同じ処方で、長繊維不織布を製造し、そ
の特性を測定した。得られた不織布を成形加工用基布と
し、成形加工を行って、成形性を評価した。その結果を
表1に示す。
【0062】表1から明らかなように、得られた長繊維
不織布は、芯部と鞘部の複屈折率が共に比較的高く、加
熱雰囲気下の破断伸度(MD+CD)がやや低い状態に
あるため、成形性がやや劣る傾向にあった。しかし、操
業性、熱安定性を持ち、成形加工に具備する基本性能は
有するものであった。
【0063】(実施例3)融点が126℃、密度が0.
938g/cm3 、メルトインデックス値(MI値)が
ASTMのD−1238(E)の方法で測定して26g
/分の線状低密度ポリエチレンを220℃で溶融して、
鞘成分として用いた。芯成分は実施例1と同じとした。
そして、単孔吐出量を1.00g/分、紡糸速度を30
00m/分、熱エンボス加工時における加工温度を11
0℃とした。そして、それ以外は実施例1と同じ処方と
して、目付が約100g/m2 の長繊維不織布を製造し
た。また、その不織布を成形加工用基布とし、成形加工
を行って、成形性を評価した。その結果を表1に示す。
【0064】表1から明らかなように、得られた成形用
不織布は、常温下での引張伸度はやや低いものの加熱雰
囲気下の破断伸度(MD+CD)は高い状態にあるた
め、成形性が良好であり、深絞り成形に好適であること
が分かった。
【0065】(実施例4)単孔吐出量を1.79g/
分、紡糸速度を2300m/分、単糸繊度を7.0デニ
ール、熱エンボス加工時における加工温度を105℃と
した。そして、それ以外は実施例3と同じ処方として、
目付が約100g/m2 の長繊維不織布を製造し、その
特性を測定した。また、その不織布を成形加工用基布と
し、成形加工を行って、成形性を評価した。その結果を
表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】表2から明らかなように、得られた成形用
不織布は、成形性が良好であり、深絞り成形に好適であ
ることが分かった。
【0068】(実施例5)単孔吐出量を2.22g/
分、紡糸速度を2000m/分、単糸繊度を10.0デ
ニール、熱エンボス加工時における加工温度を100℃
とした。そして、それ以外は実施例4と同じ処方とし
て、目付が約100g/m2 の長繊維不織布を製造し、
その特性を測定した。また、その不織布を成形加工用基
布とし、成形加工を行って、成形性を評価した。その結
果を表2に示す。
【0069】表2から明らかなように、得られた成形用
不織布は、成形性が良好であり、深絞り成形に好適であ
ることが分かった。
【0070】(実施例6)融点が161℃、密度が0.
920g/cm3 、メルトフローレート値(MFR値)
がASTMのD−1238(L)の方法で測定して35
g/分の結晶性ポリプロピレンを230℃で溶融し、鞘
成分として用いた。芯成分は実施例1と同じとした。ま
た、熱エンボス加工時における加工温度を145℃とし
た。そして、それ以外は実施例1と同じ処方として、目
付が約100g/m2 の長繊維不織布を製造し、その特
性を測定した。また、その不織布を成形加工用基布と
し、成形加工を行って、成形性を評価した。その結果を
表2に示す。
【0071】表2から明らかなように、得られた成形用
不織布は、成形性が良好であり、深絞り成形に好適であ
ることが分かった。
【0072】(比較例1)単孔吐出量を1.33g/
分、紡糸速度を4000m/分としたこと以外は実施例
1と同じ処方で、目付が約100g/m2 の長繊維不織
布を製造し、その特性を測定した。また、その不織布を
成形加工用基布とし、成形加工を行って、成形性を評価
した。その結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】表3から明らかなように、得られた長繊維
不織布は、通常の機械的特性は優れているものの、紡糸
速度が高過ぎたために加熱雰囲気下の引張伸度(MD+
CD)が低く、成形用不織布としては不適であり、成形
性が劣っていた。
【0075】(比較例2)通常の単軸型溶融押し出し機
を適用し、融点が256℃、固有粘度が0.70(フェ
ノール:テトラクロルエタン=1:1の混合溶媒中、2
0℃で測定)のポリエチレンテレフタレートを290℃
で溶融計量し、丸孔を有する単一型紡糸用口金装置(温
度290℃)を用い、単孔吐出量を1.67g/分とし
て紡出した。その後、冷却装置を介してエアーサッカー
で5000m/分で牽引し、開繊し、移動するコンベヤ
ネット上に堆積して、繊度が3.0デニールの繊維ウェ
ブを得た。この繊維ウェブを、圧着面積率が15%、圧
着部密度が22個/cm2 、圧着部面積が0.7mm2
の彫刻ロールと、フラットロールとからなる熱エンボス
加工機で、加工温度が230℃、線圧が40kg/cm
の条件で点圧着し、目付が約100g/m2 の長繊維不
織布を製造した。またその不織布の特性を測定した。さ
らに、その不織布を成形加工用基布とし、成形加工を行
って、成形性を評価した。その結果を表3に示す。
【0076】表3から明らかなように、得られた長繊維
不織布は、通常の機械的特性は優れているものの、その
構成繊維は本発明品のような芯鞘構造ではなく、また牽
引速度も高過ぎたため、加熱雰囲気下の引張伸度(MD
+CD)が低く、成形用不織布としては不適であり、成
形性は著しく劣っていた。
【0077】(比較例3)単孔吐出量を0.83g/
分、紡糸速度を2500m/分、熱エンボス加工温度を
150℃とした。そして、それ以外は比較例2と同じ処
方で、目付が約100g/m2 の長繊維不織布を製造
し、その特性を測定した。また、その不織布を成形加工
用基布とし、成形加工を行って、成形性を評価した。そ
の結果を表3に示す。
【0078】表3から明らかなように、得られた長繊維
不織布は、加熱雰囲気下の引張伸度(MD+CD)が高
いものの、その構成繊維は本発明品のような芯鞘構造で
はなく、また、それにもかかわらず上記のように紡糸速
度を2500m/分にしか設定しなかったため、耐摩耗
性が悪く、しかも成形用不織布としては不適であり、成
形性は著しく劣っていた。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、エステル系重合体と、
このエステル系重合体よりも融点が低いオレフィン系重
合体とを用いた芯鞘型の複合長繊維から構成され、構成
繊維の配向度が制御された特定の長繊維不織布を成形用
基布として用いるので、低温での深絞り成形性が良好
で、かつ熱劣化も生じない。この成形用不織布は、成形
加工に伴う温度条件の幅が広く、成形品の品質が極めて
安定であり、成形加工における操業上も問題がない。ま
た、芯鞘型複合繊維の鞘成分として、芯成分に比べ融点
が低いオレフィン系重合体を配しているので、成形後に
おいてもヒートシール性が良好であり、食品型容器、各
種生活資材用通気通液成形容器、自動車内装用各種成形
材、育苗用成形容器、インテリア寝装材、フィルターな
ど汎用に展開できるものである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エステル系重合体の芯成分と、この芯成
    分よりも融点が低いオレフィン系重合体の鞘成分とで構
    成された芯鞘型複合長繊維が集積され、これら繊維相互
    間が鞘成分の軟化又は溶融によって融着された融着区域
    が散点状に設けられ、前記芯成分の複屈折率が0.01
    0〜0.080であり、前記鞘成分の複屈折率は芯成分
    の複屈折率よりも低く、乾熱90℃雰囲気下で測定した
    縦方向破断伸度と横方向破断伸度との和が160%以上
    であることを特徴とする成形用長繊維不織布。
  2. 【請求項2】 鞘成分の複屈折率が0.001〜0.0
    30であることを特徴とする請求項1記載の成形用長繊
    維不織布。
  3. 【請求項3】 100℃の乾熱雰囲気下で1分間熱処理
    した時の面積収縮率が5%以下であることを特徴とする
    請求項1または2記載の成形用長繊維不織布。
  4. 【請求項4】 芯成分と鞘成分との融点差が90℃以上
    であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか
    1項記載の成形用長繊維不織布。
  5. 【請求項5】 請求項1から4までのいずれか1項に記
    載の成形用長繊維不織布を製造するための方法であっ
    て、芯成分のエステル系重合体と、このエステル系重合
    体よりも融点の低い鞘成分のオレフィン系重合体とで芯
    鞘型複合繊維糸条を紡糸し、得られた糸条を冷却固化さ
    せ、次にこの糸条を3500m/分以下で牽引・開繊し
    たうえで繊維ウェブとし、その後、前記鞘成分を軟化さ
    せて繊維ウェブの繊維相互間を疑似接着させ、引き続い
    て前記鞘成分を軟化又は溶融させて繊維相互間を融着さ
    せた融着区域を散点状に形成することで、前記繊維ウェ
    ブを一体化することを特徴とする成形用長繊維不織布の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 エステル系重合体の芯成分と、この芯成
    分よりも融点が低いオレフィン系重合体の鞘成分とで構
    成された芯鞘型複合長繊維が集積され、これら繊維相互
    間が鞘成分の軟化又は溶融によって融着された融着区域
    が散点状に設けられ、前記芯成分の複屈折率が0.01
    0〜0.080であり、前記鞘成分の複屈折率は芯成分
    の複屈折率よりも低く、乾熱90℃雰囲気下で測定した
    縦方向破断伸度と横方向破断伸度との和が160%以上
    である成形用長繊維不織布を用いてなり、前記成形用長
    繊維不織布のプレス成形により容器状に形成されている
    ことを特徴とする容器形状品。
  7. 【請求項7】 フランジ部と、このフランジ部から3次
    元方向に突出した容器部とを有することを特徴とする請
    求項6記載の容器形状品。
  8. 【請求項8】 請求項6または7に記載の容器形状品を
    製造するための方法であって、芯鞘型長繊維不織布を予
    熱して前記鞘成分を軟化溶融させ、その後に、加熱され
    た金型によって前記芯鞘型長繊維不織布をプレス成形す
    ることを特徴とする容器形状品の製造方法。
  9. 【請求項9】 芯鞘型長繊維不織布における芯成分と鞘
    成分との融点差を90℃以上とすることを特徴とする請
    求項8記載の容器形状品の製造方法。
  10. 【請求項10】 鞘成分の軟化温度以上かつ芯成分の軟
    化温度以下の範囲の温度で予熱することを特徴とする請
    求項8または9記載の容器形状品の製造方法。
  11. 【請求項11】 金型温度を芯成分のガラス転移温度以
    上かつ鞘成分の融点以下の範囲の温度とすることを特徴
    とする請求項8から10までのいずれか1項記載の容器
    形状品の製造方法。
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