JP3292786B2 - 生分解性長繊維不織布およびその製造方法 - Google Patents

生分解性長繊維不織布およびその製造方法

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JP3292786B2 JP4767995A JP4767995A JP3292786B2 JP 3292786 B2 JP3292786 B2 JP 3292786B2 JP 4767995 A JP4767995 A JP 4767995A JP 4767995 A JP4767995 A JP 4767995A JP 3292786 B2 JP3292786 B2 JP 3292786B2
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孝一 長岡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療・衛生材料、生活
資材あるいは産業資材など、幅広い用途に用いられる生
分解性長繊維不織布およびその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から、医療・衛生材料や一般生活関
連材あるいは一部の産業資材用の素材としてポリエチレ
ンやポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどの
熱可塑性重合体からなる不織布が知られている。これら
の不織布は、通常の自然環境下では化学的に安定な前記
のような重合体から構成されるため自己分解性がなく、
したがって使い捨て用途では、焼却あるいは埋め立てと
いう方法で処理されているのが実情である。焼却処理に
関しては、プラント建設や公害防止設備の設置に多大の
費用が必要とされ、しかも廃棄ガスにより公害を生じる
など、自然・生活環境保護の観点からして問題である。
一方、埋め立てに関しては、前述したように素材が通常
の自然環境下で化学的に安定であるため土中で長期間に
わたって元の状態のまま保持されるという問題がある。
そこで、これらの問題を解決するために、種々の生分解
性を有する素材からなる不織布が開発されている。
【0003】生分解性不織布としては、例えば乾式法あ
るいは溶液浸漬法により得られるビスコースレーヨン短
繊維不織布、湿式法により得られるキュプラレーヨン長
繊維不織布やビスコースレーヨン長繊維不織布、キチン
やコラーゲンのような天然物の化学繊維からなる不織
布、コットンからなるスパンレース不織布などが知られ
ている。しかしながら、これらは機械的強度が低くかつ
親水性であるため吸水・湿潤の時の機械的強度の低下が
著しい。また、素材自体が非熱可塑性であるため熱接着
性を有しないなど、種々の問題を抱えていた。
【0004】これらの問題を解決する生分解性不織布と
して、例えば、特開平5−93318号公報「微生物分
解性複合繊維及びその不織布」や、特開平5−1954
07号公報「熱塑性エンドレスフィラメントからなるス
パンボンド不織布及びその製造方法」が提案されてい
る。しかし、これら生分解性不織布は、重合体の融点や
結晶化温度が低く、紡出糸条の冷却性および可紡性に劣
るため、スパンボンド法による不織布の製造には適用し
難く、しかも全融タイプであることから、柔軟性の高い
不織布を得ることは困難であった。
【0005】生分解性長繊維不織布の製造においてこの
ような問題が生じるのは、一般的に生分解性を有する重
合体の融点が低く、とりわけ結晶化温度が低いことや結
晶化速度が遅いことに起因する。すなわち、溶融紡出後
の冷却、牽引細化、捕集、堆積工程において、糸条間で
密着が発生するために十分な開繊を行なうことができ
ず、得られる不織布の地合いは極めて劣るものとなり、
また、本来期待される生分解性能を十分に発揮できない
などの問題を生じることとなる。
【0006】また、繊維横断面形状に関しては、従来の
単相型では、繊維が一成分のみで構成されるので、スパ
ンボンド法により不織布を製造する場合、融点および結
晶化温度の比較的高い生分解性を有する重合体を用いて
紡出糸条の冷却性および開繊性を重視すると、得られる
不織布の生分解性能に劣り、逆に、生分解性能を重視し
融点および結晶化温度の比較的低い生分解性を有する重
合体を用いると、紡出糸条の冷却性および開繊性が劣る
という問題が生じるものであった。さらに、生分解性能
の制御は、適用する重合体の種類および繊度などを変更
することにより幾分かは可能ではあるが、製糸、製反工
程においては微妙な制御は不可能であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な問題を解決するもので、不織布の地合いに優れ、かつ
生分解性能が制御可能であるとともに不織布の機械的特
性、紡出糸条の冷却性、可紡性さらに開繊性に優れ、さ
らに熱接着機能を有する生分解性長繊維不織布およびそ
の製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく、鋭意検討の結果本発明に至った。すなわ
ち、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
【0009】(1)生分解性環状型複合長繊維からなる
不織ウエブが、部分的に熱圧接されて所定の形態を保持
している不織布であって、前記生分解性環状型複合長繊
維が、生分解性を有する第1の脂肪族ポリエステルから
なる高融点成分と、この高融点成分よりも融点の低い生
分解性を有する第2の脂肪族ポリエステルからなる低融
点成分から形成され、この複合長繊維の繊維横断面にお
いて、高融点成分および低融点成分が周方向の一定範囲
ずつを交互に占め、かつ繊維横断面に中空部を有し、高
融点成分および低融点成分が繊維軸方向に連続するとと
もに繊維表面ならびに中空部に露出していることを特徴
とする生分解性長繊維不織布。
【0010】(2)高融点成分がポリブチレンサクシネ
ートであり、低融点成分がブチレンサクシネートを主繰
り返し単位とし、かつブチレンサクシネートの共重合量
比が70〜90モル%の共重合ポリエステルであること
を特徴とする生分解性長繊維不織布。
【0011】(3)低融点成分が、ブチレンサクシネー
トにエチレンサクシネートあるいはブチレンアジペート
を共重合せしめた共重合ポリエステルであることを特徴
とする生分解性長繊維不織布。
【0012】(4)繊維横断面において、高融点成分の
周長合計を(Lt)とし、低融点成分の周長合計を(l
t)としたとき、 (lt/Lt)×100(%) で示される低融点成分の高融点成分に対する周長比率
が、5〜25%であることを特徴とする生分解性長繊維
不織布。
【0013】(5)高融点成分/低融点成分の複合比が
95/5〜80/20(重量比)であることを特徴とす
る生分解性長繊維不織布。
【0014】(6)繊維横断面において、糸の直径を
(A)、中空部の直径を(a)としたとき、 (a2 /A2 )×100(%) で示される中空率が、5〜30%であることを特徴とす
る生分解性長繊維不織布。
【0015】(7)繊維横断面における低融点成分のセ
グメント数が1〜3であり、かつ単糸繊度が1.5〜1
0デニールであることを特徴とする生分解性長繊維不織
布。
【0016】(8)低融点成分同士が熱圧接されてな
り、少なくとも高融点成分同士は熱圧接されていないこ
とを特徴とする生分解性長繊維不織布。
【0017】(9)生分解性環状型複合長繊維からなる
不織ウエブが、部分的に熱圧接されて所定の形態を保持
している不織布の製造方法であって、前記生分解性環状
型複合長繊維が、生分解性を有する第1の脂肪族ポリエ
ステルからなる高融点成分と、この高融点成分よりも融
点の低い生分解性を有する第2の脂肪族ポリエステルか
らなる低融点成分から形成され、この複合長繊維の繊維
横断面において、高融点成分および低融点成分が周方向
の一定範囲ずつを交互に占め、かつ繊維横断面に中空部
を有し、高融点成分および低融点成分が繊維軸方向に連
続するとともに繊維表面ならびに中空部に露出するよう
に環状型複合長繊維を溶融紡糸し、この環状型複合長繊
維を牽引速度2000m/分以上で牽引細化した後、不
織ウエブとなし、この不織ウエブを熱圧接装置により部
分的に熱圧接させることを特徴とする生分解性長繊維不
織布の製造方法。
【0018】(10)低融点成分の融点を(Tm)℃と
したときに、 (Tm−25)℃〜(Tm+10)℃ の範囲を満足する温度で、エンボスロールにて部分的に
熱圧接させることを特徴とする生分解性長繊維不織布の
製造方法。
【0019】(11)超音波発振器を用いた超音波融着
装置により、部分的に熱圧接させることを特徴とする生
分解性長繊維不織布の製造方法。 次に本発明を詳細に説明する。
【0020】本発明に適用される長繊維は、生分解性を
有する脂肪族ポリエステル2成分により形成される。す
なわち、本発明に適用される長繊維は、高融点成分の脂
肪族ポリエステルと低融点成分の脂肪族ポリエステルと
で構成された複合長繊維である。一般に、高融点成分
は、紡出糸条の冷却性および開繊性には優れるものの、
結晶化度が高いため生分解性能には劣り、逆に、低融点
成分は、紡出糸条の冷却性および開繊性には劣るもの
の、結晶化度が低いため生分解性能には優れる。例え
ば、繊維横断面が高融点成分単相の場合には、製糸性お
よび不織布化には優れるものの、目標とする生分解性能
を得ることができない。一方、繊維横断面が低融点成分
単相の場合には、紡出糸条の冷却性に劣り不織布すら得
ることができない。本発明によれば、繊維横断面におい
て、生分解性能には劣るが冷却性および開繊性に優れる
高融点成分を細分化するとともに、冷却性および開繊性
には劣るが生分解性能に優れる低融点成分を細分化し、
細分化した両成分を円周方向に交互に配列させることに
より、冷却性、開繊性および生分解性能のいずれにも優
れる不織布を得ることができるのである。
【0021】従って、本発明における長繊維では、高融
点成分と低融点成分との融点差を5℃以上とすることが
好ましく、さらに好ましくは10℃以上とするのが良
い。高融点成分と低融点成分との融点差が5℃未満であ
ると、繊維横断面が単相の場合のような全融タイプに近
づくため、次工程における不織布の部分熱圧接において
低融点成分のみならず高融点成分であっても熱的なダメ
ージを生じることとなり、得られる不織布は機械的特性
と柔軟性とを伴せ持つことができないものとなる。
【0022】まず、本発明における環状型複合長繊維を
形成する脂肪族ポリエステルについて説明する。高融点
成分はポリブチレンサクシネートであることが好まし
い。低融点成分は、ブチレンサクシネートを主繰り返し
単位とし、これに他の脂肪族ポリエステルを構成する繰
り返し単位要素を共重合させたものであることが好まし
い。前記ブチレンサクシネートに共重合せしめる他の脂
肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリグリコール酸
やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこ
れらを構成する繰り返し単位要素による共重合体が、ま
た、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロピオ
ラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエー
ト)が、さらに、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネー
ト、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒド
ロキシカプロエート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエ
ート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエートのようなポ
リ(β−ヒドロキシアルカノエート)およびこれらを構
成する繰り返し単位要素とポリ−3−ヒドロキシバリレ
ートやポリ−4−ヒドロキシブチレートを構成する繰り
返し単位要素との共重合体が挙げられる。またグリコー
ルとジカルボン酸の縮重合体からなるものとして、例え
ば、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネ
ート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼテー
ト、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンアジペー
ト、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバ
ケート、ポリネオペンチルオキサレートまたはこれらを
構成する繰り返し単位要素による共重合体が挙げられ
る。以上の脂肪族ポリエステルのなかで、ポリエチレン
サクシネートならびにポリブチレンアジペートが、製糸
性および生分解性能に優れるなどの理由により、特に好
適に用いられる。
【0023】前記低融点成分を構成する共重合体におい
ては、ブチレンサクシネートの共重合量比が70〜90
モル%であることが好ましい。ブチレンサクシネートの
共重合量比が70モル%未満であると、生分解性能には
優れるものの、紡出糸条の冷却性および開繊性に劣り、
目的とする長繊維ひいては不織布が得られないこととな
る。逆に、90モル%を超えると、冷却性および開繊性
には優れるものの、生分解性能に劣り本発明の目的とす
るものではない。
【0024】本発明で適用する重合体のメルトフロレー
ト値(以降、MFR値と記す)は、高融点成分が20〜
70g/10分であり、低融点成分が15〜50g/1
0分であることが好ましい。但し、本発明におけるMF
R値は、ASTM−D−1238(E)記載の方法に準
じて測定したものである。高融点成分のMFR値が20
g/10分未満および/または低融点成分のMFR値が
15g/10分未満であると、あまりにも高粘度である
ため、紡出糸条の細化がスムーズに行われず操業性を損
なう結果となり、しかも得られる繊維は太繊度で均斉度
に劣るものとなる。逆に、高融点成分のMFR値が70
g/10分および/または低融点成分のMFR値が50
g/10分を超えると、あまりにも低粘度であるため、
複合断面が不安定となるばかりか、紡糸工程において糸
切れが発生し操業性を損なうとともに、得られる不織布
の機械的特性が劣る結果となる。これらの理由により、
高融点成分のMFR値は25〜65g/10分、低融点
成分のMFR値は18〜45g/10分であることがさ
らに好ましい。
【0025】また、高融点成分の粘度は低融点成分の粘
度より低い方が好ましい。一般に、熱可塑性樹脂の複合
紡糸において得られる繊維横断面は、低粘度成分が高粘
度成分を被覆しようとする力が働く。すなわち、本発明
においては、生分解性能には劣るものの紡出糸条の冷却
性に優れる高融点成分を低粘度にすることにより、繊維
表面における低融点成分の露出比率を減少させ、紡出糸
条の密着を防止しさらに開繊性を良化させるとともに、
低融点成分の楔状形態を安定化できるのである。
【0026】本発明において、高融点成分および低融点
成分に適用される脂肪族ポリエステルは、数平均分子量
が約20,000以上、好ましくは40,000以上、
さらに好ましくは60,000以上のものが、製糸性お
よび得られる糸条の特性の点で良い。また、重合度を高
めるために少量のジイソシアネートやテトラカルボン酸
二無水物などで鎖延長したものでも良い。さらに、高融
点成分または低融点成分に、あるいは両成分ともに、必
要に応じて、例えば艶消し剤、顔料、光安定剤、熱安定
剤、酸化防止剤、結晶化促進剤などの各種添加剤を本発
明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
【0027】次に、本発明に適用される複合長繊維の繊
維横断面形状について説明する。本発明の環状型複合断
面においては、高融点成分と低融点成分とが周方向の一
定範囲ずつを交互に占め、かつ繊維横断面に中空部を有
し、高融点成分および低融点成分が繊維軸方向に連続す
るとともに繊維表面ならびに中空部に露出していること
が必要である。高融点成分と低融点成分とが交互に配列
されていることにより、例えば、低融点成分が冷却性お
よび開繊性に劣る重合体であっても、隣接する高融点成
分により紡出糸条の冷却性および開繊性を向上できるの
である。また、高融点成分が生分解性能に劣る重合体で
あっても隣接する低融点成分の生分解性能が優れるた
め、経時的に低融点成分が分解すると高融点成分が繊度
が極細い楔状の薄片として取り残される状態となり、不
織布としての生分解性能には優れる結果となるのであ
る。また、繊維横断面に中空部を有することにより、紡
出糸条の冷却性を向上させ、さらに、生分解速度を促進
させることができる。すなわち、低融点成分の分解が進
行すると中空部が有るために高融点成分が弧状の薄片と
して取り残される状態となり生分解速度が促進するので
ある。さらに、高融点成分および低融点成分のいずれも
が繊維軸方向に連続していることが、繊維横断面の安定
性、製糸性および繊維の機械的特性を高めるために必要
である。また、前記両成分のいずれもが繊維表面ならび
に中空部に露出していることが、紡出糸条の冷却性、開
繊性および生分解性能の促進、制御のために必要であ
る。たとえば低融点成分が繊維横断面の中空部まで貫通
していない場合には、高融点成分が弧状になるのに時間
を要するため生分解性能には劣る結果となる。
【0028】本発明に適用される複合長繊維の繊維横断
面において、低融点成分の高融点成分に対する周長比率
は、5〜25%の範囲が好ましい。ここで、周長比率と
は、図1に示すように、高融点成分1の各セグメントの
周長を(L1 )〜(L3 )、低融点成分2の各セグメン
トの周長を(l1 )〜(l3 )、高融点成分1の周長合
計を(Lt)とし、低融点成分2の周長合計を(lt)と
したとき、次式で表される値である。但し、ここでセグ
メントとは、繊維横断面における最小構成単位のことで
ある。 周長比率(%)=(lt/Lt)×100 但し、Lt=L1 +L2 +L3 lt=l1 +l2 +l3 周長比率が5%未満であると、低融点成分の繊維表面積
があまりにも少ないので、紡出糸条の冷却性および開繊
性には優れるものの生分解性能には劣る結果となる。逆
に、周長比率が25%を超えると、生分解性能には優れ
るものの、紡出糸条の冷却性、開繊性および不織布の柔
軟性に劣る結果となる。この理由により、低融点成分の
高融点成分に対する周長比率は、さらに好ましくは10
〜20%が良い。
【0029】また、周長比率と同様に、本発明において
は、高融点成分/低融点成分の複合比が95/5〜80
/20(重量比)であることが好ましい。複合比がこの
範囲を外れると紡出糸条の冷却性、開繊性および生分解
性能の全てを併せて満足することができず、好ましくな
い。この理由により、高融点成分/低融点成分の複合比
は、さらに好ましくは90/10〜85/15(重量
比)が良い。
【0030】また、本発明に適用される複合長繊維の繊
維横断面において、中空率は5〜30%であることが好
ましい。ここで、中空率とは、図1に示すように、繊維
横断面における糸の直径を(A)、中空部3の直径を
(a)としたとき、次式で示される値である。 中空率(%)=(a2 /A2 )×100 中空率が5%未満であると、冷却性および生分解速度の
促進には不充分であり、逆に、中空率が30%を超える
と、製糸段階において中空部がパンクしたり高速製糸性
に劣ることとなり好ましくない。この理由により、中空
率は、さらに好ましくは18〜25%が良い。
【0031】本発明に適用される複合長繊維の繊維横断
面において、低融点成分のセグメント数は1〜3である
ことが好ましい。ここで、セグメント数とは、繊維横断
面において、低融点成分が占める最小構成単位の存在数
である。低融点成分のセグメント数が3を超えると、紡
出糸条の冷却性および開繊性に劣り、また、得られる不
織布の柔軟性にも劣る結果となる。
【0032】本発明に適用される複合長繊維の単糸繊度
は1.5〜10デニールであることが好ましい。1.5
デニール未満であると、製糸工程における糸切れの増
大、生産量の低下および繊維横断面形状の不安定さなど
により好ましくない。逆に、10デニールを超えると紡
出糸条の冷却性に劣るとともに生分解性能にも劣る結果
となる。この理由により、単糸繊度は、さらに好ましく
は2〜8デニールが良い。
【0033】以上のように、本発明は、生分解性能を異
にする高融点成分および低融点成分で構成された環状型
複合長繊維よりなる不織布であって、2成分の周長比
率、2成分の複合比、低融点成分のセグメント数、中空
率、単糸繊度を組み合わせることにより、要求する紡出
糸条の冷却性、開繊性、生分解性能を制御することがで
きるのである。
【0034】次に、本発明の生分解性長繊維不織布の製
造方法について説明する。本発明の生分解性長繊維不織
布の製造は、通常の複合紡糸装置を用いて行なうことが
できる。まず、前述したところの生分解性を有する脂肪
族ポリエステルすなわち高融点成分としてポリブチレン
サクシネート、低融点成分としてブチレンサクシネート
の共重合量比が70〜90モル%であるブチレンサクシ
ネートを主繰り返し単位とした共重合ポリエステルを別
々に溶融し、高融点成分/低融点成分の複合比が95/
5〜80/20(重量比)となるように個別に計量した
後、前述の周長比率、低融点成分のセグメント数、中空
率、単糸繊度を満足する繊維横断面構造を形成可能な環
状型複合紡糸口金より吐出した紡出糸条を公知の冷却装
置にて冷却する。次いで、エアーサッカーを用いて目標
繊度となるよう牽引細化して引き取られる。牽引細化し
た複合長繊維は公知の開繊器具にて開繊せしめた後、ス
クリーンコンベアなどの移動式捕集面上に開繊堆積させ
て不織ウエブとする。その後、この不織ウエブを熱圧接
装置を用い部分的に熱圧接して生分解性長繊維不織布が
得られるのである。
【0035】溶融紡糸において、紡糸温度は、用いる脂
肪族ポリエステルによって異なるものの、少なくとも重
合体のMFR値と繊維形成性すなわち製糸性とを勘案す
れば適宜設定することができる。通常は、紡糸温度を重
合体の融点より少なくとも40℃高い温度とし、特に1
20〜300℃とするのが好ましい。紡糸温度が120
℃未満であると、重合体の溶融粘度が高過ぎるため溶融
押出機を用いて重合体を押出すことが困難となり、逆
に、紡糸温度が300℃を超えると、重合体が熱分解を
し始めるため、いずれも好ましくない。
【0036】牽引細化については、牽引速度は2000
m/分以上であることが必要であり、特に2500m/
分以上とすると不織布の寸法安定性が向上するため好適
である。牽引速度が2000m/分未満であると、糸条
の分子配向並びに結晶化が不十分なため、糸条が密着す
るとともに開繊性も悪化し目標とする不織布が得られな
いこととなる。
【0037】不織ウエブに部分的な熱圧接処理を施すに
際しては、加熱されたエンボスロールと表面が平滑な金
属ロールとを用いて長繊維間に点状融着区域を形成する
方法、あるいは超音波融着装置を用いパターンロール上
で超音波による高周波を印加してパターン部の長繊維間
に点状融着区域を形成する方法が採用される。さらに詳
しくは、前記部分的な熱圧接とは、不織ウエブの全表面
積に対して特定の領域を有し、すなわち、個々の熱圧接
領域は丸型,楕円型,菱型,三角型,T字型,井型など
任意の形状であってよいが、0.1〜1.0mm2 の面
積を有し、その密度すなわち圧接点密度が2〜80点/
cm2 、好ましくは4〜60点/cm2であるのがよ
い。圧接点密度が2点/cm2 未満であると熱圧接後の
ウェブの機械的特性や形態保持性が向上せず、逆に、圧
接点密度が80点/cm2 を超えると柔軟性と嵩高性が
向上せず、いずれも好ましくない。また、ウェブの全表
面積に対する全熱圧接領域の面積の比すなわち圧接面積
率は2〜30%好ましくは4〜20%であるのが良い。
この圧接面積率が2%未満であると熱圧接後のウェブの
寸法安定性が向上せず、したがって、この不織布の寸法
安定性が劣り、好ましくない。逆に、圧接面積率が30
%を超えると、得られた不織布の柔軟性および嵩高性を
損なうとともに、生分解性能にも劣ることとなるため好
ましくない。
【0038】加熱されたエンボスロールを用いる場合、
ロールの表面温度すなわち加工温度は高融点成分の融点
以下の温度としなければならない。高融点成分の融点を
超えると、熱圧接装置に重合体が固着し操業性を著しく
損なうばかりか、不織布の風合いが硬くなり柔軟な不織
布が得られない。さらに好ましくは、加工温度は、低融
点成分の融点を(Tm)℃としたとき、(Tm−25)
℃〜(Tm+10)℃の範囲にあることが良い。加工温
度が(Tm−25)℃未満であると得られる不織布の機
械的機能および毛羽立防止性が劣る結果となり好ましく
ない。加工温度が低融点成分の融点以上となる場合もあ
るが、本発明においては低融点成分の周長比率が25%
以下のため、低融点成分が固着することはない。
【0039】超音波融着装置を用いる場合、周波数が約
20KHzの通常ホーンと呼称される超音波発振器と、
円周上に点状または帯状に凸状突起部を具備するパター
ンロールとからなる装置が採用される。前記超音波発振
器の下部に前記パターンロールが配設され、不織ウエブ
を超音波発振器とパターンロールとの間に通すことによ
り部分的に熱融着することができる。このパターンロー
ルに配設される凸状突起部1列あるいは複数列であって
も良く、また、その配設が複数列の場合には、並列ある
いは千鳥型のいずれの配列でも良い。
【0040】なお、このエンボスロールあるいは超音波
融着装置を用いる部分的な熱圧接処理は、連続工程ある
いは別工程のいずれであっても良い。熱圧接処理につい
ては、前述の加熱されたエンボスロールあるいは超音波
融着装置のいづれを選択しても良いが、不織布の使用用
途に応じ、特に柔軟性が要求される医療・衛生材料や拭
き取り布などの一般生活関連材としては、超音波融着装
置を用いると、優れた性能を有する不織布を得ることが
できる。
【0041】また、本発明における生分解性長繊維不織
布は、その構成繊維間が部分的に熱圧接されておれば良
く、さらに詳しくは、低融点成分同士が熱圧接されてな
り、少なくとも、高融点成分同士は融着されていないこ
とが、生分解性能および柔軟性を保持させるうえで重要
である。
【0042】本発明の生分解性長繊維からなる不織布の
目付は、使用目的により選択されるため特に限定される
ものではないが、一般的には10〜150g/m2 の範
囲が好ましく、より好ましくは15〜70g/m2 の範
囲である。目付が10g/m 2 未満では柔軟性および生
分解速度には優れるものの機械的強力に劣り実用的では
ない。逆に、目付が150g/m2 を超えると、不織布
が硬い風合いのものとなり、柔軟性に劣るものとなる。
【0043】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定さ
れるものではない。
【0044】実施例において、各物性値の測定を次の方
法により実施した。 ・メルトフローレート値(g/10分);ASTM−D
−1238(E)に記載の方法に準じて温度190℃で
測定した。(以降、MFR値と記す)
【0045】・融点(℃);パーキンエルマ社製示差走
査型熱量計DSC−2型を用い、試料重量を5mg、昇
温速度を20℃/分として測定して得た融解吸熱曲線の
最大値を与える温度を融点(℃)とした。
【0046】・結晶化温度(℃);パーキンエルマ社製
示差走査型熱量計DSC−2型を用い、試料重量を5m
g、昇温速度を20℃/分として測定して得た固化発熱
曲線の最大値を与える温度を結晶化温度(℃)とした。
【0047】・周長比率(%);日本光学社製光学顕微
鏡を用い、糸横断面写真を撮影し、図1に示す如く、環
状型複合断面における高融点成分1の各周長(L1 〜L
3 )および低融点成分2の各周長(l1 〜l3 )を求
め、次式より周長比率を求めた。 周長比率(%)=(lt/Lt)×100 但し、Lt=L1 +L2 +L3 lt=l1 +l2 +l3
【0048】・中空率(%);日本光学社製光学顕微鏡
を用い、糸横断面写真を撮影し、図1に示す如く、糸1
の直径(A)および中空部3の直径(a)を求め、次式
より中空率を求めた。 中空率(%)=(a2 /A2 )×100
【0049】・冷却性;紡出糸条を目視して下記の3段
階にて評価した。 ○;密着糸が認められない。 △;密着糸がわずかではあるが認められる。 ×;大部分が密着し、開繊不可能である。
【0050】・開繊性;開繊器具より吐出した紡出糸条
にて形成された不織ウエブを、目視にて下記の3段階に
て評価した。 ○;構成繊維の大部分が分繊され、密着糸および収束糸
が認められない。 △;密着糸および収束糸がわずかではあるが認められ
る。 ×;構成繊維の大部分が密着し、開繊性が不良である。
【0051】・目付け(g/m2 );標準状態の試料か
ら試料長が10cm、試料幅が10cmの試料片10点
を作成し平衡水分にした後、各試料片の重量(g)を秤
量し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、
目付け(g/m2 )とした。
【0052】・不織布の強力(kg/5cm幅);JI
S−L−1096Aに記載の方法に準じて測定した。す
なわち、試料長が20cm、試料幅が5cmの試料片1
0点を作成し、試料片毎に不織布の縦方向について、定
速伸張型引張り試験機(東洋ボールドウイン社製テンシ
ロンUTM−4−1−100)を用いて、引張り速度1
0cm/分で伸張し、得られた切断時荷重値の平均値を
強力(kg/5cm幅)とした。
【0053】・不織布の圧縮剛軟度(g);試料長が1
0cm、試料幅が5cmの試料片5点を作成し、各試料
片毎に横方向に曲げて円筒状物とし、各々その端部を接
合したものを圧縮剛軟度測定試料とした。次いで、各測
定試料毎にその軸方向について、定速伸長型引長試験機
(東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−
100)を用い、圧縮速度5cm/分で圧縮し、得られ
た最大荷重値(g)の平均値を圧縮剛軟度(g)とし
た。なお、この圧縮剛軟度とは、値が小さいほど柔軟性
が優れることを意味するものである。
【0054】・生分解性能;不織布を土中に埋設し、6
ヶ月後に取り出し、不織布がその形態を保持していない
場合、あるいは、その形態を保持していても強力が埋設
前の強力初期値に対して50%以下に低下している場
合、生分解性能が良好(;○)であるとし、強力が埋設
前の強力初期値に対して50%を超える場合、生分解性
能が不良(;×)であると評価した。
【0055】実施例1 高融点成分として、MFR値が40g/10分で融点1
14℃、結晶化温度75℃のポリブチレンサクシネート
を、低融点成分として、MFR値が30g/10分で融
点102℃、結晶化温度52℃のブチレンサクシネート
/エチレンサクシネート=85/15(モル%)の共重
合ポリエステルを用いて、環状型複合長繊維よりなる不
織布を製造した。すなわち、前記2成分を、高融点成分
/低融点成分の複合比が89/11(重量比)となるよ
うに個別に計量した後、個別のエクストルーダ型溶融押
出し機を用いて温度180℃で溶融し、図2に示すよう
な繊維横断面(低融点成分セグメント数=1)となる紡
糸口金を用い、単孔吐出量1.8g/分で環状型複合長
繊維を溶融紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置に
て冷却した後、口金の下方に設置したエアーサッカーを
用いて、牽引速度が4100m/分で牽引細化して引き
取った。次いで、公知の開繊器具にて開繊し、移動する
スクリーンコンベア上に単糸繊度4.0デニール、低融
点成分の高融点成分に対する周長比率が11%、中空率
が19.8%の複合長繊維からなる不織ウエブとして開
繊堆積させた。この不織ウエブをエンボスロールからな
る熱圧接装置にて熱圧接して目付けが30g/m2 の生
分解性長繊維不織布を得た。熱圧接条件としては、面積
が0.6mm2 の彫刻模様で圧接点密度が20点/cm
2 、圧接面積率が15%で配設されたエンボスロールと
表面が平滑な金属ロールとを用い、加工温度を107℃
とした。操業性および不織布物性、生分解性能を表1に
示す。
【0056】実施例2 低融点成分としてMFR値が25g/10分で融点10
5℃、結晶化温度29℃のブチレンサクシネート/ブチ
レンアジペート=80/20(モル%)の共重合ポリエ
ステルを用いること以外は実施例1と同一条件下にて、
環状型複合長繊維を溶融紡出した。この紡出糸条を公知
の冷却装置にて冷却した後、エアーサッカーを用いて、
牽引速度が3900m/分で牽引細化して引き取った。
次いで、公知の開繊器具にて開繊し、移動するスクリー
ンコンベア上に単糸繊度4.2デニール、低融点成分の
高融点成分に対する周長比率が11%、中空率が19.
4%の複合長繊維からなる不織ウエブとして開繊堆積さ
せた。この不織ウエブをエンボスロールからなる熱圧接
装置にて熱圧接して目付けが30g/m2 の生分解性長
繊維不織布を得た。熱圧接条件は、加工温度を108℃
とすること以外は実施例1と同一条件で実施した。操業
性および不織布物性、生分解性能を表1に示す。
【0057】実施例3 低融点成分としてMFR値が25g/10分で融点90
℃、結晶化温度25℃のブチレンサクシネート/エチレ
ンサクシネート=70/30(モル%)の共重合ポリエ
ステルを用いること以外は実施例1と同一条件下にて、
環状型複合長繊維を溶融紡出した。この紡出糸条を公知
の冷却装置にて冷却した後、エアーサッカーを用いて、
牽引速度が3600m/分で牽引細化して引き取った。
次いで、公知の開繊器具にて開繊し、移動するスクリー
ンコンベア上に単糸繊度4.5デニール、低融点成分の
高融点成分に対する周長比率が11%、中空率が17.
9%の複合長繊維からなる不織ウエブとして開繊堆積さ
せた。この不織ウエブをエンボスロールからなる熱圧接
装置にて熱圧接して、目付けが30g/m2 の生分解性
長繊維不織布を得た。熱圧接条件は、実施例1と同一条
件で実施した。操業性および不織布物性、生分解性能を
表1に示す。
【0058】実施例4 低融点成分としてMFR値が25g/10分で融点11
0℃、結晶化温度52℃のブチレンサクシネート/ブチ
レンアジペート=90/10(モル%)の共重合ポリエ
ステルを用いること以外は実施例1と同一条件下にて、
環状型複合長繊維を溶融紡出した。この紡出糸条を公知
の冷却装置にて冷却した後、エアーサッカーを用いて、
牽引速度が4200m/分で牽引細化して引き取った。
次いで、公知の開繊器具にて開繊し、移動するスクリー
ンコンベア上に単糸繊度3.9デニール、低融点成分の
高融点成分に対する周長比率が11%、中空率が20.
0%の複合長繊維からなる不織ウエブとして開繊堆積さ
せた。この不織ウエブをエンボスロールからなる熱圧接
装置にて熱圧接して、目付けが30g/m2 の生分解性
長繊維不織布を得た。熱圧接条件は、実施例1と同一条
件で実施した。操業性および不織布物性、生分解性能を
表1に示す。
【0059】実施例5 実施例1と同一の2成分を原料とし、高融点成分/低融
点成分の複合比が80/20(重量比)となるように個
別に計量した後、図1に示すような繊維横断面(低融点
成分セグメント数=3)となる紡糸口金を用いること以
外は実施例1と同一条件下にて、環状型複合長繊維を溶
融紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却し
た後、エアーサッカーを用いて牽引速度が3900m/
分で牽引細化して引き取った。次いで、公知の開繊器具
にて開繊し、移動するスクリーンコンベア上に単糸繊度
4.3デニール、低融点成分の高融点成分に対する周長
比率が20%、中空率が19.1%の複合長繊維からな
る不織ウエブとして開繊堆積させた。この不織ウエブを
エンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目
付けが30g/m2 の生分解性長繊維不織布を得た。熱
圧接条件は、実施例1と同一条件で実施した。操業性お
よび不織布物性、生分解性能を表1に示す。
【0060】実施例6 実施例1と同一の2成分を原料とし、高融点成分/低融
点成分の複合比が80/20(重量比)となるように個
別に計量した後、単孔吐出量を1.0g/分とすること
以外は実施例1と同一条件下にて、環状型複合長繊維を
溶融紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却
した後、エアーサッカーを用いて、牽引速度が4000
m/分で牽引細化して引き取った。次いで公知の開繊器
具にて開繊し、移動するスクリーンコンベア上に単糸繊
度2.3デニール、低融点成分の高融点成分に対する周
長比率が20%、中空率が14.1%の複合長繊維から
なる不織ウエブとして開繊堆積させた。この不織ウエブ
をエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、
目付けが30g/m2 の生分解性長繊維不織布を得た。
熱圧接条件は、実施例1と同一条件で実施した。操業性
および不織布物性、生分解性能を表1に示す。
【0061】実施例7 実施例1と同一の2成分を原料とし、高融点成分/低融
点成分の複合比が95/5(重量比)とすること以外は
実施例1と同一の条件下にて、環状型複合長繊維を溶融
紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した
後、エアーサッカーを用いて、牽引速度が4300m/
分で牽引細化して引き取った。次いで公知の開繊器具に
て開繊し、移動するスクリーンコンベア上に単糸繊度
3.8デニール、低融点成分の高融点成分に対する周長
比率が5%、中空率が20.9%の複合長繊維からなる
不織ウエブとして開繊堆積させた。この不織ウエブをエ
ンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付
けが30g/m2 の生分解性長繊維不織布を得た。熱圧
接条件は、実施例1と同一条件で実施した。操業性およ
び不織布物性、生分解性能を表2に示す。
【0062】実施例8 高融点成分としてMFR値が65g/10分で融点11
4℃、結晶化温度75℃のポリブチレンサクシネート
を、低融点成分としてMFR値が48g/10分で融点
102℃、結晶化温度52℃のブチレンサクシネート/
エチレンサクシネート=85/15(モル%)の共重合
ポリエステルを用い、紡糸温度を230℃とすること以
外は実施例1と同一条件下にて、環状型複合長繊維を溶
融紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却し
た後、エアーサッカーを用いて、牽引速度が4300m
/分で牽引細化して引き取った。次いで、公知の開繊器
具にて開繊し、移動するスクリーンコンベア上に単糸繊
度3.8デニール、低融点成分の高融点成分に対する周
長比率が11%、中空率が5.0%の複合長繊維からな
る不織ウエブとして開繊堆積させた。この不織ウエブを
エンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目
付けが30g/m2 の生分解性長繊維不織布を得た。熱
圧接条件は、実施例1と同一条件で実施した。操業性お
よび不織布物性、生分解性能を表2に示す。
【0063】実施例9 高融点成分としてMFR値が25g/10分で融点11
4℃、結晶化温度75℃のポリブチレンサクシネート
を、低融点成分としてMFR値が20g/10分で融点
102℃、結晶化温度52℃のブチレンサクシネート/
エチレンサクシネート=85/15(モル%)の共重合
ポリエステルを用いたこと以外は実施例1と同一条件下
にて、環状型複合長繊維を溶融紡出した。この紡出糸条
を公知の冷却装置にて冷却した後、エアーサッカーを用
いて、牽引速度が3200m/分で牽引細化して引き取
った。次いで、公知の開繊器具にて開繊し、移動するス
クリーンコンベア上に単糸繊度5.1デニール、低融点
成分の高融点成分に対する周長比率が11%、中空率が
30.0%の複合長繊維からなる不織ウエブとして開繊
堆積させた。この不織ウエブをエンボスロールからなる
熱圧接装置にて熱圧接して、目付けが30g/m2 の生
分解性長繊維不織布を得た。熱圧接条件は、実施例1と
同一条件で実施した。操業性および不織布物性、生分解
性能を表2に示す。
【0064】実施例10 実施例1と同一条件下にて、環状型複合長繊維を溶融紡
出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した
後、エアーサッカーを用いて、牽引速度が2000m/
分で牽引細化して引き取った。次いで、公知の開繊器具
にて開繊し、移動するスクリーンコンベア上に単糸繊度
8.1デニール、低融点成分の高融点成分に対する周長
比率が11%、中空率が19.8%の複合長繊維からな
る不織ウエブとして開繊堆積させた。この不織ウエブを
エンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目
付けが30g/m2 の生分解性長繊維不織布を得た。熱
圧接条件は、実施例1と同一条件で実施した。操業性お
よび不織布物性、生分解性能を表2に示す。
【0065】実施例11 実施例1と同一条件下にて、環状型複合長繊維を溶融紡
出、次いで、牽引細化、開繊し、単糸繊度4.0デニー
ル、低融点成分の高融点成分に対する周長比率が11
%、中空率が19.8%の複合長繊維からなる不織ウエ
ブとして開繊堆積させた。この不織ウエブを超音波融着
装置にて熱圧接して、目付けが30g/m 2 の生分解性
長繊維不織布を得た。熱圧接条件は、面積が0.6mm
2 の彫刻模様で圧接点密度が20点/cm2 、圧接面積
率が15%で配設されたロールを用い、周波数を19.
15KHZ とした。操業性および不織布物性、生分解性
能を表2に示す。
【0066】実施例12 実施例1と同一条件下にて、環状型複合長繊維を溶融紡
出、次いで牽引細化、開繊し、単糸繊度4.0デニー
ル、低融点成分の高融点成分に対する周長比率が11
%、中空率が19.8%の複合長繊維からなる不織ウエ
ブとして開繊堆積させた。この不織ウエブをエンボスロ
ールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付けが30
g/m2 の生分解性長繊維不織布を得た。熱圧接条件
は、加工温度を77℃とした以外は実施例1と同一条件
で実施した。操業性および不織布物性、生分解性能を表
3に示す。
【0067】実施例13 実施例1と同一条件下にて、環状型複合長繊維を溶融紡
出、次いで、牽引細化、開繊し、単糸繊度4.0デニー
ル、低融点成分の高融点成分に対する周長比率が11
%、中空率が19.8%の複合長繊維からなる不織ウエ
ブとして開繊堆積させた。この不織ウエブをエンボスロ
ールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付けが30
g/m2 の生分解性長繊維不織布を得た。熱圧接条件
は、加工温度を112℃とした以外は実施例1と同一条
件で実施した。操業性および不織布物性、生分解性能を
表3に示す。
【0068】比較例1 低融点成分としてMFR値が25g/10分で融点84
℃、結晶化温度22℃のブチレンサクシネート/エチレ
ンサクシネート=60/40(モル%)の共重合ポリエ
ステルを用いること以外は実施例1と同一条件下にて、
環状型複合長繊維を溶融紡出した。この紡出糸条を公知
の冷却装置にて冷却した後、エアーサッカーを用いて、
牽引速度が3650m/分で牽引細化して引き取った。
次いで、公知の開繊器具にて開繊し、移動するスクリー
ンコンベア上に単糸繊度4.4デニール、低融点成分の
高融点成分に対する周長比率が11%、中空率が17.
3%の複合長繊維からなる不織ウエブとして開繊堆積さ
せた。操業性を表3に示す。
【0069】比較例2 実施例1と同一の高融点成分を単独で用い、繊維横断面
が単相型になる紡糸口金を用いたこと以外は実施例1と
同一条件下にて、単相型長繊維を溶融紡出した。この紡
出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、エアーサッカ
ーを用いて牽引速度が4300m/分で牽引細化して引
き取った。次いで、公知の開繊器具にて開繊し、移動す
るスクリーンコンベア上に単糸繊度3.8デニールの長
繊維からなる不織ウエブとして開繊堆積させた。この不
織ウエブをエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧
接して、目付けが30g/m2 の生分解性長繊維不織布
を得た。熱圧接条件は、実施例1と同一条件で実施し
た。操業性および不織布物性、生分解性能を表3に示
す。
【0070】比較例3 実施例1と同一の2成分を用い、繊維横断面が芯鞘型に
なる紡糸口金を用いて芯部が高融点成分に、鞘部が低融
点成分になり、かつ2成分の複合比が50/50(重合
比)にしたこと以外、実施例1と同一条件下にて、芯鞘
型複合長繊維を溶融紡出した。この紡出糸条を公知の冷
却装置にて冷却した後、エアーサッカーを用いて牽引速
度が4400m/分で牽引細化して引き取った。次い
で、公知の開繊器具にて開繊し、移動するスクリーンコ
ンベア上に単糸繊度3.7デニールの長繊維からなる不
織ウエブとして開繊堆積させた。操業性を表3に示す。
【0071】比較例4 実施例1と同一の2成分を原料とし、高融点成分/低融
点成分の複合比が70/30(重量比)としたこと以外
は実施例1と同一の条件下にて、環状型複合長繊維を溶
融紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却し
た後、エアーサッカーを用いて、牽引速度が3800m
/分で牽引細化して引き取った。次いで公知の開繊器具
にて開繊し、移動するスクリーンコンベア上に単糸繊度
4.3デニール、低融点成分の高融点成分に対する周長
比率が30%、中空率が17.5%の複合長繊維からな
る不織ウエブとして開繊堆積させた。操業性を表4に示
す。
【0072】比較例5 実施例1と同一の2成分を原料とし、高融点成分/低融
点成分の複合比が97/3(重量比)としたこと以外は
実施例1と同一の条件下にて、環状型複合長繊維を溶融
紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した
後、エアーサッカーを用いて、牽引速度が4300m/
分で牽引細化して引き取った。次いで公知の開繊器具に
て開繊し、移動するスクリーンコンベア上に単糸繊度
3.8デニール、低融点成分の高融点成分に対する周長
比率が3%、中空率が21.5%の複合長繊維からなる
不織ウエブとして開繊堆積させた。この不織ウエブをエ
ンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付
けが30g/m2 の生分解性長繊維不織布を得た。熱圧
接条件は、実施例1と同一条件で実施した。操業性およ
び不織布物性、生分解性能を表4に示す。
【0073】比較例6 高融点成分としてMFR値が83g/10分で融点11
4℃、結晶化温度75℃のポリブチレンサクシネート
を、低融点成分としてMFR値が60g/10分で融点
102℃、結晶化温度52℃のブチレンサクシネート/
エチレンサクシネート=85/15(モル%)の共重合
ポリエステルを用い、紡糸温度を260℃としたこと以
外は実施例1と同一条件下にて、環状型複合長繊維を溶
融紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却し
た後、エアーサッカーを用いて、牽引速度が4200m
/分で牽引細化して引き取った。次いで、公知の開繊器
具にて開繊し、移動するスクリーンコンベア上に単糸繊
度3.9デニール、低融点成分の高融点成分に対する周
長比率が11%、中空率が2.0%の複合長繊維からな
る不織ウエブとして開繊堆積させた。操業性を表4に示
す。
【0074】比較例7 高融点成分としてMFR値が18g/10分で融点11
4℃、結晶化温度75℃のポリブチレンサクシネート
を、低融点成分としてMFR値が13g/10分で融点
102℃、結晶化温度52℃のブチレンサクシネート/
エチレンサクシネート=85/15(モル%)の共重合
ポリエステルを用いたこと以外は実施例1と同一条件下
にて、環状型複合長繊維を溶融紡出した。この紡出糸条
を公知の冷却装置にて冷却した後、エアーサッカーを用
いて、牽引速度が2800m/分で牽引細化して引き取
った。次いで、公知の開繊器具にて開繊し、移動するス
クリーンコンベア上に単糸繊度5.8デニール、低融点
成分の高融点成分に対する周長比率が11%、中空率が
35.0%の複合長繊維からなる不織ウエブとして開繊
堆積させた。操業性を表4に示す。
【0075】比較例8 実施例1と同一の条件下にて、環状型複合長繊維を溶融
紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した
後、エアーサッカーを用いて、牽引速度が1800m/
分で牽引細化して引き取った。次いで、公知の開繊器具
にて開繊し、移動するスクリーンコンベア上に単糸繊度
10.8デニール、低融点成分の高融点成分に対する周
長比率が11%、中空率が19.8%の複合長繊維から
なる不織ウエブとして開繊堆積させた。操業性を表5に
示す。
【0076】比較例9 実施例1と同一条件下にて、環状型複合長繊維を溶融紡
出、次いで、牽引細化、開繊し、単糸繊度4.0デニー
ル、低融点成分の高融点成分に対する周長比率が11
%、中空率が19.8%の複合長繊維からなる不織ウエ
ブとして開繊堆積させた。この不織ウエブをエンボスロ
ールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付けが30
g/m2 の生分解性長繊維不織布を得た。熱圧接条件
は、加工温度を57℃とした以外は実施例1と同一条件
で実施した。操業性および不織布物性、生分解性能を表
5に示す。
【0077】比較例10 実施例1と同一の条件下にて、環状型複合長繊維を溶融
紡出、次いで、牽引細化、開繊し、単糸繊度4.0デニ
ール、低融点成分の高融点成分に対する周長比率が11
%、中空率が19.8%の複合長繊維を溶融紡糸し、不
織ウエブとして開繊堆積させた。この不織ウエブをエン
ボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付け
が30g/m2 の生分解性長繊維不織布を得た。熱圧接
条件は、加工温度を120℃とした以外は実施例1と同
一条件で実施した。操業性を表5に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】表1、表2および表3から明らかなよう
に、実施例1は、低融点成分としてブチレンサクシネー
ト/エチレンサクシネート共重合ポリエステルを用いた
本発明の環状型複合長繊維を適用しているので、紡出糸
条の冷却性、可紡性、および開繊性も良好であり、機械
的性能にも優れるものであった。また、この不織布は良
好な生分解性能を有することが認められた。
【0084】実施例2は、低融点成分としてブチレンサ
クシネート/ブチレンアジペート共重合ポリエステルを
用いた本発明の環状型複合長繊維を適用しているので、
紡出糸条の冷却性、可紡性、および開繊性も良好であ
り、機械的性能にも優れるものであった。また、この不
織布は良好な生分解性能を有することが認められた。
【0085】実施例3は、低融点成分として用いるブチ
レンサクシネート/エチレンサクシネート共重合ポリエ
ステルのブチレンサクシネート共重合量比が実施例1よ
りも低いにもかかわらず、本発明の環状型複合長繊維を
適用しているので、紡出糸条の冷却性、可紡性、および
開繊性も良好であり、機械的性能にも優れるものであっ
た。また、この不織布は良好な生分解性能を有すること
が認められた。
【0086】実施例4は、低融点成分として用いるブチ
レンサクシネート/ブチレンアジペート共重合ポリエス
テルのブチレンサクシネート共重合量比が実施例2より
も高いにもかかわらず、本発明の環状型複合長繊維を適
用しているので、紡出糸条の冷却性、可紡性、および開
繊性も良好であり、機械的性能にも優れるものであっ
た。また、この不織布は良好な生分解性能を有すること
が認められた。
【0087】実施例5は、低融点成分のセグメント数が
実施例1よりも多いにもかかわらず、本発明の環状型複
合長繊維を適用しているので、紡出糸条の冷却性、可紡
性、および開繊性も良好であり、機械的性能にも優れる
ものであった。また、この不織布は良好な生分解性能を
有することが認められた。
【0088】実施例6は、低融点成分の複合比を上げた
が、繊度を細くし、本発明の環状型複合長繊維を適用し
ているので、紡出糸条の冷却性、可紡性、および開繊性
も良好であり、機械的性能にも優れるものであった。ま
た、生分解性能は実施例1で得られた不織布よりさらに
良好な結果が得られた。
【0089】実施例7は、高融点成分の複合比を上げた
が、本発明の環状型複合長繊維を適用しているので、紡
出糸条の冷却性、可紡性、および開繊性も良好であり、
機械的性能にも優れるものであった。また、この不織布
は良好な生分解性能を有することが認められた。
【0090】実施例8は、高融点成分および低融点成分
を低粘度とし紡糸温度を上げ、中空率を実施例1よりも
低くしたにもかかわらず、本発明の環状型複合長繊維を
適用しているので、紡出糸条の冷却性、可紡性、および
開繊性も良好であり、機械的性能にも優れるものであっ
た。また、この不織布は良好な生分解性能を有すること
が認められた。
【0091】実施例9は、高融点成分および低融点成分
を高粘度とし、中空率を実施例1よりも高くしたにもか
かわらず、本発明の環状型複合長繊維を適用しているの
で、紡出糸条がパンクすることもなく、冷却性、可紡
性、および開繊性も良好であり、機械的性能にも優れる
ものであった。また、この不織布は良好な生分解性能を
有することが認められた。
【0092】実施例10は、牽引速度を実施例1よりも
遅くしたにもかかわらず、本発明の環状型複合長繊維を
適用しているので、紡出糸条の冷却性、可紡性、および
開繊性も良好であり、機械的性能にも優れるものであっ
た。また、この不織布は良好な生分解性能を有すること
が認められた。
【0093】実施例11は、実施例1で得られた不織ウ
エブを、超音波融着装置を用い熱圧接しているので、不
織布物性において若干機械的性能に劣るものの柔軟性に
優れる不織布が得られた。
【0094】実施例12は、熱圧接工程における加工温
度を低くしたにもかかわらず、本発明の環状型複合長繊
維を適用しているので、機械的性能にはやや劣るもの
の、特に柔軟性には優れるものであった。また、この不
織布は良好な生分解性能を有することが認められた。
【0095】実施例13は、熱圧接工程における加工温
度を高くしたにもかかわらず、本発明の環状型複合長繊
維を適用しているので、柔軟性にはやや劣るものの、機
械的性能には優れるものであった。また、この不織布は
良好な生分解性能を有することが認められた。
【0096】これに対して、表3、表4および表5から
明らかなように、比較例1は、低融点成分として用いる
ブチレンサクシネート/エチレンサクシネート共重合ポ
リエステルのブチレンサクシネート共重合量比が低く本
発明の範囲外であるので、低融点成分の融点および結晶
化温度があまりにも低いために紡出糸条が密着し、さら
に開繊性も不良であり目標とした不織布を得ることがで
きなかった。
【0097】比較例2は、実施例1と同一の高融点成分
を用いたものの、繊維横断面が本発明範囲外である単相
型であるので、不織布の機械的性能には優れるものの、
不織布を6ヶ月間土中に埋設し、その後に掘り出して観
察したところ不織布形態を維持しており、不織布の強力
も埋設前の強力初期値に対して91%であり、生分解性
能には著しく劣るものであった。
【0098】比較例3は、実施例1と同一の原料を用い
たものの、繊維横断面が本発明の範囲外である芯鞘型で
あるので、紡出糸条が密着し、さらに開繊度も不良であ
り目標とした不織布が得ることができなかった。
【0099】比較例4は、低融点成分の複合比が高く本
発明の範囲外であるので、紡出糸条が密着し、さらに開
繊度も不良であり目標とした不織布が得ることができな
かった。
【0100】比較例5は、高融点成分の複合比が高く本
発明の範囲外であるので、得られた不織布の生分解性能
は著しく劣るものであった。
【0101】比較例6は、高融点成分および低融点成分
を低粘度とし紡糸温度を上げたため、中空率が低く本発
明の範囲外であるので、紡出糸条が密着し、さらに開繊
度も不良であり目標とした不織布が得ることができなか
った。
【0102】比較例7は、高融点成分および低融点成分
を高粘度としたため、中空率が高く本発明の範囲外であ
るので、紡糸工程において紡出糸条の中空部がパンクす
るという重大な問題が発生し、目標とした不織布が得る
ことができなかった。
【0103】比較例8は、牽引速度が遅く本発明の範囲
外であるので、紡出糸条の牽引張力が低く、冷却性およ
び開繊性が不良であり、目標とした不織布が得ることが
できなかった。
【0104】比較例9は、熱圧接工程における加工温度
が低く本発明の範囲外であるので、得られた不織布は機
械的性能に劣り、また毛羽が発生し易く到底使用に耐え
るものではなかった。
【0105】比較例10は、熱圧接工程における加工温
度が高く本発明の範囲外であるので、エンボスロールに
不織ウエブが固着し、目標とした不織布を得ることがで
きなかった。
【0106】
【発明の効果】本発明によれば、不織布の地合いに優
れ、かつ生分解性能が制御可能であるとともに不織布の
機械的特性、紡出糸条の冷却性、可紡性さらに開繊性に
優れ、しかも熱接着機能を有する生分解性長繊維不織布
およびその製造方法を提供することができる。
【0107】本発明の不織布は、おむつや生理用品その
他の医療・衛生材料素材、使い捨ておしぼりやワイピン
グクロスなどの拭き取り布、使い捨て包装材、家庭・業
務用の生ごみ捕集用袋その他廃棄物処理材などの生活関
連用素材、あるいは、農業・園芸・土木用に代表される
産業用資材の各素材として好適である。しかもこの不織
布は、生分解性を有するので、その使用後に完全に分解
消失するため、自然環境保護の観点からも有益であり、
あるいは、例えば堆肥化して肥料とするなど再利用を図
ることもできるため資源の再利用の観点からも有益であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の環状型複合長繊維の繊維横断面のモデ
ル図である。
【図2】本発明の環状型複合長繊維の繊維横断面のモデ
ル図である。
【符号の説明】
1 高融点成分 2 低融点成分 3 中空部 4 環状型複合長繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D01F 8/14 D01F 8/14 B (56)参考文献 特開 平6−207323(JP,A) 特開 平9−78428(JP,A) 特開 平8−35121(JP,A) 特開 平7−34369(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 D01F 1/00 - 13/04

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性環状型複合長繊維からなる不織
    ウエブが、部分的に熱圧接されて所定の形態を保持して
    いる不織布であって、前記生分解性環状型複合長繊維
    が、生分解性を有する第1の脂肪族ポリエステルからな
    る高融点成分と、この高融点成分よりも融点の低い生分
    解性を有する第2の脂肪族ポリエステルからなる低融点
    成分から形成され、この複合長繊維の繊維横断面におい
    て、高融点成分および低融点成分が周方向の一定範囲ず
    つを交互に占め、かつ繊維横断面に中空部を有し、高融
    点成分および低融点成分が繊維軸方向に連続するととも
    に繊維表面ならびに中空部に露出していることを特徴と
    する生分解性長繊維不織布。
  2. 【請求項2】 高融点成分がポリブチレンサクシネート
    であり、低融点成分がブチレンサクシネートを主繰り返
    し単位とし、かつブチレンサクシネートの共重合量比が
    70〜90モル%の共重合ポリエステルであることを特
    徴とする請求項1記載の生分解性長繊維不織布。
  3. 【請求項3】 低融点成分が、ブチレンサクシネートに
    エチレンサクシネートあるいはブチレンアジペートを共
    重合せしめた共重合ポリエステルであることを特徴とす
    る請求項1または2記載の生分解性長繊維不織布。
  4. 【請求項4】 繊維横断面において、高融点成分の周長
    合計を(Lt)とし、低融点成分の周長合計を(lt)と
    したとき、 (lt/Lt)×100(%) で示される低融点成分の高融点成分に対する周長比率
    が、5〜25%であることを特徴とする請求項1から3
    までのいずれか一項に記載の生分解性長繊維不織布。
  5. 【請求項5】 高融点成分/低融点成分の複合比が95
    /5〜80/20(重量比)であることを特徴とする請
    求項1から4までのいずれか一項に記載の生分解性長繊
    維不織布。
  6. 【請求項6】 繊維横断面において、糸の直径を
    (A)、中空部の直径を(a)としたとき、 (a2 /A2 )×100(%) で示される中空率が、5〜30%であることを特徴とす
    る請求項1から5までのいずれか一項に記載の生分解性
    長繊維不織布。
  7. 【請求項7】 繊維横断面における低融点成分のセグメ
    ント数が1〜3であり、かつ単糸繊度が1.5〜10デ
    ニールであることを特徴とする請求項1から6までのい
    ずれか一項に記載の生分解性長繊維不織布。
  8. 【請求項8】 低融点成分同士が熱圧接されてなり、少
    なくとも高融点成分同士は熱圧接されていないことを特
    徴とする請求項1から7までのいずれか一項に記載の生
    分解性長繊維不織布。
  9. 【請求項9】 生分解性環状型複合長繊維からなる不織
    ウエブが、部分的に熱圧接されて所定の形態を保持して
    いる不織布の製造方法であって、前記生分解性環状型複
    合長繊維が、生分解性を有する第1の脂肪族ポリエステ
    ルからなる高融点成分と、この高融点成分よりも融点の
    低い生分解性を有する第2の脂肪族ポリエステルからな
    る低融点成分から形成され、この複合長繊維の繊維横断
    面において、高融点成分および低融点成分が周方向の一
    定範囲ずつを交互に占め、かつ繊維横断面に中空部を有
    し、高融点成分および低融点成分が繊維軸方向に連続す
    るとともに繊維表面ならびに中空部に露出するように環
    状型複合長繊維を溶融紡糸し、この環状型複合長繊維を
    牽引速度2000m/分以上で牽引細化した後、不織ウ
    エブとなし、この不織ウエブを熱圧接装置により部分的
    に熱圧接させることを特徴とする生分解性長繊維不織布
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 低融点成分の融点を(Tm)℃としたと
    きに、 (Tm−25)℃〜(Tm+10)℃ の範囲を満足する温度で、エンボスロールにて部分的に
    熱圧接させることを特徴とする請求項9記載の生分解性
    長繊維不織布の製造方法。
  11. 【請求項11】 超音波発振器を用いた超音波融着装置に
    より、部分的に熱圧接させることを特徴とする請求項9
    記載の生分解性長繊維不織布の製造方法。
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