JPH1161560A - 生分解性短繊維およびその製造方法 - Google Patents

生分解性短繊維およびその製造方法

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JPH1161560A
JPH1161560A JP22692097A JP22692097A JPH1161560A JP H1161560 A JPH1161560 A JP H1161560A JP 22692097 A JP22692097 A JP 22692097A JP 22692097 A JP22692097 A JP 22692097A JP H1161560 A JPH1161560 A JP H1161560A
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biodegradable
yarn
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spinning
short fiber
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JP22692097A
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Naoji Ichinose
直次 一瀬
So Yamaguchi
創 山口
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性を有し、かつ紡出糸条の冷却性およ
び機械的性能に優れ、また、熱接着性を有する短繊維を
提供する。 【解決手段】 メルトフローレート値が(1)式を満足
する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、
中空断面用あるいは多葉断面用の紡糸口金を介して、
(2)式を満足する紡糸温度で溶融紡糸し、さらに、
(3)式を満足する延伸倍率で延伸し、得られた延伸糸
条に機械捲縮を付与した後、所定長に切断して、中空断
面の短繊維1あるいは多葉断面の短繊維を得る。 10≦メルトフローレート値(g/10分)≦70
…(1) 但し、ASTM D1238(E)に記載の方法に準じ
る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150
…(2) 但し、Tm ;融点 0.5×UE+1≦延伸倍率≦0.85×UE+1 但し、UE;未延伸糸の破断伸度(%)/100

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性を有し、
かつ、紡出糸条の冷却性および繊維の機械的性能に優
れ、また熱接着性を有し、不織布素材として好適な生分
解性短繊維およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、衛生材料、一般生活資材、産
業資材用の素材として、不織布が広く使用されており、
これら不織布を構成する繊維素材としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの重合体が知られ
ている。しかし、これらの素材からなる不織布は、自己
分解性が無く、普通の自然環境下では化学的に非常に安
定である。従って、使い捨て型の不織布は使用後、焼却
あるいは埋め立てといった方法で処理されているのが現
状である。我が国では、焼却処理が広く行なわれている
が、プラント建設や公害防止設備の設置に多大の費用が
必要とされ、しかも廃棄ガスにより公害を生じる等、自
然・生活環境保護の観点からして問題である。一方、埋
め立てに関しては、前述したように素材が通常の自然環
境下で化学的に安定であるため土中で長期間にわたっ
て、元の状態のまま保持されるという問題がある。これ
らの問題を解決する方法として、生分解性を有する繊維
を用いて、短期間のうちに、自然に分解される新しい不
織布が要望されている。
【0003】一般に生分解性を有する繊維としては、木
綿、麻に代表されるセルロース系繊維あるいは、絹に代
表される蛋白質繊維が挙げられる。しかし、これらのい
わゆる天然繊維は、非熱可塑性であることから、繊維間
を熱接着させて不織布とするいわゆるエンボス法やサー
マルボンド法を採用することができないと同時に短期間
では分解されず、長期間にわたり不織布形態が保持さ
れ、自然環境保護や生活環境保護の点で好ましくない。
【0004】また、生分解性短繊維として、乾式法ある
いは溶液浸漬法により得られるビスコ−スレ−ヨン短繊
維、湿式紡糸法により得られるキュプラレーヨン長繊維
やビスコースレーヨン長繊維などを切断してなる短繊
維、またはキチンやコラーゲンなどの天然物の化学繊維
が知られている。しかしながら、これら従来の生分解性
短繊維は、機械的強度が低いうえに、親水性であるた
め、吸水・湿潤時の機械的強度低下が著しく、さらに素
材自体が非熱可塑性であるため熱接着性を有しないな
ど、種々の問題を抱えていた。
【0005】また、最近、生分解性のフイルムとして、
ポリエチレンに澱粉を配合したものがあり、そのフイル
ムは買い物袋の素材として使用されている。しかし、ポ
リエチレンは将来的にも分解することがないので、本来
の意味での生分解性フイルムとは言えない。しかも、不
織布に適用するような繊維を得ることは容易ではなく、
現在、澱粉入りの繊維は得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問題
を解決するもので、生分解性を有し、紡出糸条の冷却性
および繊維の機械的性能に優れ、また熱接着性を有する
生分解性短繊維およびその製造方法を提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
を解決すべく日々鋭意検討の結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の構成を要旨とするものであ
る。
【0008】1.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルからなり、繊維断面が中空断面であることを特
徴とする生分解性短繊維。 2.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルから
なり、繊維断面が多葉断面であることを特徴とする生分
解性短繊維。
【0009】3.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルが、ポリブチレンサクシネートであることを特
徴とする生分解性短繊維。 4.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルが、
ブチレンサクシネートを主繰り返し単位とし、かつブチ
レンサクシネートの共重合量比が70モル%以上の共重
合体であることを特徴とする生分解性短繊維。
【0010】5.メルトフローレート値が(1)式を満
足する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステル
を、中空断面用の紡糸口金を介して、(2)式を満足す
る紡糸温度で溶融紡糸し、さらに、(3)式を満足する
延伸倍率で延伸し、得られた延伸糸条に機械捲縮を付与
し、所定長に切断して、中空断面の生分解性短繊維を得
ることを特徴とする生分解性短繊維の製造方法。
【0011】 10≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(E)に記載の方法に準じ
る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 0.5×UE+1≦延伸倍率≦0.85×UE+1 …(3) 但し、UE;未延伸糸の破断伸度(%)/100 6.メルトフローレート値が(1)式を満足する生分解
性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、多葉断面用
の紡糸口金を介して、(2)式を満足する紡糸温度で溶
融紡糸し、さらに、(3)式を満足する延伸倍率で延伸
し、得られた延伸糸条に機械捲縮を付与し、所定長に切
断して、多葉断面の生分解性短繊維を得ることを特徴と
する生分解性短繊維の製造方法。
【0012】 10≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(E)に記載の方法に準じ
る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 0.5×UE+1≦延伸倍率≦0.85×UE+1 …(3) 但し、UE;未延伸糸の破断伸度(%)/100 7.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルがポ
リブチレンサクシネートであることを特徴とする生分解
性短繊維の製造方法。
【0013】8.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルが、ブチレンサクシネートを主繰り返し単位と
し、かつブチレンサクシネートの共重合量比が70モル
%以上の共重合体であることを特徴とする生分解性短繊
維の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】次に本発明を詳細に説明する。本
発明における生分解性熱可塑性脂肪族ポリエステルをま
ず説明する。
【0015】例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸のよ
うなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらを構成する
繰り返し単位要素による共重合体が、また、ポリ(ε−
カプロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のよ
うなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)が、さら
に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−
ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロエ
ート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3
−ヒドロキシオクタノエートのようなポリ(β−ヒドロ
キシアルカノエート)およびこれらを構成する繰り返し
単位要素とポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4
−ヒドロキシブチレートを構成する繰り返し単位要素と
の共重合体が挙げられる。またグリコールとジカルボン
酸の縮重合体からなるものとして、例えば、ポリエチレ
ンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチ
レンアジペート、ポリエチレンアゼテート、ポリブチレ
ンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチ
レンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサ
メチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレートま
たはこれらを構成する繰り返し単位要素による共重合体
が挙げられる。
【0016】本発明における熱可塑性脂肪族ポリエステ
ルは、数平均分子量が約20,000以上、好ましくは
40,000以上、さらに好ましくは60,000以上
のものが、製糸性および得られる糸条の特性の点で好ま
しい。また、重合度を高めるために少量のジイソシアネ
ートやテトラカルボン酸二無水物などで鎖延長したもの
でも良い。
【0017】また、本発明において、生分解性を有する
熱可塑性脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンサ
クシネート、あるいはブチレンサクシネートを主繰り返
し単位とする共重合体が好適に用いられる。このとき、
ブチレンサクシネートの共重合量比が70モル%以上で
あるのが特に好ましい。ブチレンサクシネートの共重合
量比が70モル%未満であると、融点、結晶化温度が低
下し、断面を中空化あるいは異形化しても、または、結
晶核剤の添加などを行っても、紡出糸条を十分に冷却す
ることが困難であり、さらに、得られた糸の寸法安定性
および機械的強度が低下するため好ましくない。この理
由により、ブチレンサクシネートの共重合量比は75モ
ル%以上がより好ましい。
【0018】さらに、本発明においては、前述したとこ
ろの生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルに必
要に応じて、例えば光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤な
どの各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添
加することができる。
【0019】本発明において、繊維断面は中空断面でな
ければならない。中空断面は丸断面に比較して、内部に
比熱が小さい空気を含んでいるため、紡糸口金より紡出
した糸条の冷却性を向上させるに著しく効果がある。さ
らに、中空率すなわち(a2/A2 )×100で示され
る値が5〜30%の範囲にあることが好ましい。但し、
ここでAは中空断面の糸の直径、aは中空断面の中空部
の直径を示す(図1参照)。中空率が5%未満であると
紡出糸条の冷却性に劣り、密着の無い糸を得にくくな
る。逆に、中空率が30%を超えると、冷却性には優れ
るものの、経時的に中空部がパンクしやすくなり、製糸
性および得られる繊維の機械的性能が低下する。この理
由により、中空率は10〜25%がより好ましい。
【0020】本発明は、中空断面の代わりに多葉断面で
あってもよい。多葉断面において単位ポリマー重量当り
の表面積は丸断面と比較し大きくなるため、中空断面と
同様、紡出糸条の冷却性を向上させるに効果がある。こ
の断面においては異形度すなわちB/bで示される値が
2〜4の範囲にあることが好ましい。但し、ここでBは
多葉断面の外接円の直径、bは多葉断面の内接円の直径
を示す(図2参照)。異形度が2未満であると紡出糸条
の冷却性に劣り、密着の無い糸を得にくくなる。逆に、
異形度が4を超えると、冷却性には優れるものの製糸性
および得られる繊維の機械的性能が低下する。この理由
により、異形度は2.5〜3.5がより好ましい。ま
た、葉数は異形度の関係上3〜8の範囲が良い。
【0021】本発明は、繊度が2〜10デニールである
ことが好ましい。繊度が2デニール未満であると、高い
中空率、異形度が得られないばかりか生産量の低下およ
び製糸性に劣り好ましくない。逆に、繊度が10デニー
ルを超えると、いかに中空断面あるいは多葉断面であっ
ても、太くなり過ぎて冷却性に劣り均斉度に優れた繊維
を得ることは困難となる。この理由により、繊度は2.
5〜8デニールがより好ましい。
【0022】次に本発明の製造方法について説明する。
生分解性を有する前述の重合体すなわち、ポリブチレン
サクシネート、あるいはブチレンサクシネートを主繰り
返し単位とし、かつブチレンサクシネートの共重合量比
が70モル%以上の共重合体であり、しかも、重合体の
MFR値が10〜70g/10分である重合体を好適材
料として用い、紡糸温度(Tm +40)℃〜(Tm +1
50)℃で溶融し、中空断面あるいは多葉断面用の紡糸
口金より吐出した紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却
し、仕上げ油剤を付与した後、紡糸速度300〜200
0m/分の引き取りローラーを介して未延伸糸とする。
この未延伸糸をいったん巻き取った後、公知の延伸機を
用いて延伸処理を施す。得られた延伸糸条に機械捲縮を
付与し所定長に切断することにより目的とする短繊維を
得る。
【0023】重合体のメルトフローレート値(以降MF
R値と呼称する)は、10〜70g/10分であること
が重要である。但し、本発明のMFR値は全て、AST
MD1238(E)に記載の方法に準じて測定したもの
である。MFR値が10g/10分未満であるとあまり
にも高粘度であるために、紡出糸条の細化がスムーズに
行われず、得られる短繊維は太繊度で均斉度に劣るもの
となる。逆に、MFR値が70g/10分を超えるとあ
まりにも低粘度であるために、紡糸工程において糸切れ
が発生し、操業性を損なうとともに、得られる短繊維も
均斉度に劣るものとなる。
【0024】紡糸温度は、(Tm +40)℃〜(Tm
150)℃でなければならない。但し、ここでTm は重
合体の融点を示す。紡糸温度が(Tm +40)℃未満で
あると重合体中に未溶融物を多く含有するため、製糸性
が低下し、操業性を著しく損なうことになる。逆に、紡
糸温度が(Tm +150)℃を超えると重合体が熱分解
したり、紡出糸条が密着し易くなり好ましくない。
【0025】紡糸速度は、300〜2000m/分とす
ることが好ましい。紡糸速度が300m/分未満である
と、得られる短繊維の均斉度が劣るばかりか、所望の中
空率、異形度が得られないこととなる。一方、2000
m/分を超えると、紡糸工程において紡出糸条の密着、
糸切れが発生し易いとともに、得られる短繊維の機械的
特性に劣ることとなる。
【0026】延伸処理における延伸倍率は、未延伸糸の
破断伸度(UE)に対し、下記の範囲であることが必要
である。すなわち、 0.5×UE+1≦延伸倍率≦0.85×UE+1 ここで延伸倍率が0.5×UE+1未満であると延伸時
における延伸張力が均一に付与できず、得られる延伸糸
の均斉度、機械的物性および寸法安定性に劣るため好ま
しくない。逆に、延伸倍率が0.85×UE+1を超え
ると延伸時に糸切れが発生し、操業性を著しく損なうと
ともに、得られる短繊維も均斉度に劣るものとなる。
【0027】延伸温度は使用する重合体により適宜選択
して行うことができるが、通常、50℃〜80℃の範囲
で行うと、糸切れの発生もなく操業性は良好であり、さ
らに得られる短繊維の均斉度に優れることから好まし
い。しかし延伸温度は、用いる素材により決定されるも
のであって、特に規制するものではない。
【0028】本発明の生分解性短繊維は、優れた機械的
特性さらに優れた生分解性を合わせ有するものである。
中空断面、多葉断面を選択することにより、紡出糸条の
冷却性は向上し、それによって紡出糸条同士の密着を防
止し、均斉度に優れた生分解性短繊維を得ることができ
る。
【0029】また、中空断面繊維においては、外周部分
から侵食をはじめた微生物は中空部分に侵入し、貫通す
る孔が形成される結果、単位ポリマー重量当りの表面積
が大きくなるため、微生物による生分解速度は促進され
る。多葉断面繊維においても、単位ポリマー重量当りの
表面積は丸断面と比較し大きくなるため、微生物による
生分解速度は促進される。
【0030】さらに、中空断面を選択した場合は軽量
性、保温性に、多葉断面を選択した場合は光沢性に、各
々優れた生分解性短繊維を得ることができる。
【0031】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定され
るものではない。
【0032】実施例において、各特性値の測定を次の方
法により実施した。 ・MFR値(g/10分);ASTM D1238
(E)に記載の方法に準じて測定した。
【0033】・融点(℃);パーキンエルマ社製示差走
差型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の
条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与
える温度を融点とした。
【0034】・結晶化温度(℃);パーキンエルマ社製
示差走差型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃
/分の条件で測定し、得られた固化発熱曲線において極
値を与える温度を結晶化温度とした。
【0035】・中空率(%);日本光学社製光学顕微鏡
を用い、糸断面写真を撮影し、図1に示す如く、中空断
面の糸1の直径(A)および中空断面の中空部2の直径
(a)を求め、次式より中空率を求めた。
【0036】中空率(%)=(a2 /A2 )×100
【0037】・異形度;日本光学社製光学顕微鏡により
糸断面写真を撮影し、図2に示す如く、多葉断面の糸3
の内接円の直径(b)および外接円の直径(B)を求
め、次式より異形度を求めた。
【0038】異形度=B/b
【0039】・引張強度(g/d)、伸度(%);JI
S−L−1013に記載の方法に準じて測定した。すな
わち、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウィン社製
テンシロンUTM−4−1−100)を用いて試料長が
30cm、つかみ間隔5cm、20回/5cmの撚りを
加え、引張速度5cm/分で伸長し、得られた切断時荷
重値(g)を単位太さ当りに換算し、その平均値を繊維
の引張強度(g/d)とした。また、同時に得られた切
断時伸長率(%)の平均値を伸度(%)とした。これら
の処方においてはいずれも測定回数20回とし、その値
は平均値で示した。
【0040】・生分解性能;得られた短繊維10gの試
料を土中に埋設し、6ヶ月後に取り出し、この短繊維の
強力が埋設前の強力初期値に対して50%以下に低下し
ている場合、生分解性能が良好(;○)であるとし、強
力が埋設前の強力初期値に対して50%を超える場合、
生分解性能が不良(;×)であると評価した。
【0041】実施例1 MFR値が30g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて、糸断面
が図1に示す中空断面の短繊維を製造した。すなわち、
前記重合体チップをエクストルーダ型押出し機を用いて
180℃で溶融し、これを中空断面となる紡糸孔を82
0個有する図3に示す紡糸口金を通して単孔吐出量を
1.20g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した
後で、紡糸速度を1000m/分として巻き取った。こ
の未延伸糸糸条を複数本引き揃え、延伸温度70℃、延
伸倍率3.5倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸比を7
0%とした)で延伸し、次いで、スタッフイングボック
スを用いて機械捲縮を付与し、長さ51mmに切断し
て、単繊維繊度が3.0デニ−ル、引張強度が3.6g
/dの短繊維を得た。なお、中空率は14%であった。
製造条件、操業性、糸の物性、生分解性能を表1に示
す。
【0042】実施例2 MFR値が15g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を1.17g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を1000m/分として巻き取っ
た。この未延伸糸糸条を複数本引き揃え、延伸温度75
℃、延伸倍率3.0倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸
比を70%とした)で延伸し、次いで、スタッフイング
ボックスを用いて機械捲縮を付与し、長さ51mmに切
断して、単繊維繊度が3.0デニ−ル、引張強度が4.
1g/dの短繊維を得た。なお、中空率は21%であっ
た。製造条件、操業性、糸の物性、生分解性能を表1に
示す。
【0043】実施例3 MFR値が70g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて、180
℃で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐
出量を1.26g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷
却した後で、紡糸速度を1000m/分として巻き取っ
た。この未延伸糸糸条を複数本引き揃え、延伸温度65
℃、延伸倍率3.7倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸
比を70%とした)で延伸し、次いで、スタッフイング
ボックスを用いて機械捲縮を付与し、長さ51mmに切
断して、単繊維繊度が3.0デニ−ル、引張強度が3.
3g/dの短繊維を得た。なお、中空率は9%であっ
た。製造条件、操業性、糸の物性、生分解性能を表1に
示す。
【0044】実施例4 MFR値が25g/10分で、融点99℃、結晶化温度
49℃のブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=85/15モル%の共重合体チップを用いて160℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を1.20g/分として溶融紡出した。紡出糸条を冷
却した後で、紡糸速度を1000m/分として巻き取っ
た。この未延伸糸糸条を複数本引き揃え、延伸温度55
℃、延伸倍率3.2倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸
比を70%とした)で延伸し、次いで、スタッフイング
ボックスを用いて機械捲縮を付与し、長さ51mmに切
断して、単繊維繊度が3.0デニ−ル、引張強度が3.
4g/dの短繊維を得た。なお、中空率は17%であっ
た。製造条件、操業性、糸の物性、生分解性能を表1に
示す。
【0045】実施例5 MFR値が25g/10分で、融点91℃、結晶化温度
35℃のブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=70/30モル%の共重合体チップを用いて150℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を1.02g/分として溶融紡出した。紡出糸条を冷
却した後で、紡糸速度を1000m/分として巻き取っ
た。この未延伸糸糸条を複数本引き揃え、延伸温度50
℃、延伸倍率3.2倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸
比を70%とした)で延伸し、次いで、スタッフイング
ボックスを用いて機械捲縮を付与し、長さ51mmに切
断して、単繊維繊度が3.0デニ−ル、引張強度が3.
2g/dの短繊維を得た。なお、中空率は19%であっ
た。製造条件、操業性、糸の物性、生分解性能を表1に
示す。
【0046】実施例6 実施例1と同一原料を用いて155℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.07g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1000m/分として巻き取った。この未延伸糸糸
条を複数本引き揃え、延伸温度70℃、延伸倍率3.1
倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸比を70%とした)
で延伸し、次いで、スタッフイングボックスを用いて機
械捲縮を付与し、長さ51mmに切断して、単繊維繊度
が3.0デニ−ル、引張強度が3.7g/dの短繊維を
得た。なお、中空率は20%であった。製造条件、操業
性、糸の物性、生分解性能を表1に示す。
【0047】実施例7 実施例1と同一原料を用いて250℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.23g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1000m/分として巻き取った。この未延伸糸糸
条を複数本引き揃え、延伸温度70℃、延伸倍率3.7
倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸比を70%とした)
で延伸し、次いで、スタッフイングボックスを用いて機
械捲縮を付与し、長さ51mmに切断して、単繊維繊度
が3.0デニ−ル、引張強度が3.0g/dの短繊維を
得た。なお、中空率は7%であった。製造条件、操業
性、糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0048】実施例8 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を0.72g/
分として溶融紡出した。紡出糸条を冷却した後で、紡糸
温度を800m/分として巻き取った。この未延伸糸糸
条を複数本引き揃え、延伸温度70℃、延伸倍率3.9
倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸比を70%とした)
で延伸し、次いで、スタッフイングボックスを用いて機
械捲縮を付与し、長さ38mmに切断して、単繊維繊度
が2.0デニ−ル、引張強度が3.5g/dの短繊維を
得た。なお、中空率は13%であった。製造条件、操業
性、糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0049】実施例9 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を2.83g/
分として溶融紡出した。紡出糸条を冷却した後で、紡糸
温度を800m/分として巻き取った。この未延伸糸糸
条を複数本引き揃え、延伸温度75℃、延伸倍率4.2
倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸比を70%とした)
で延伸し、次いで、スタッフイングボックスを用いて機
械捲縮を付与し、長さ102mmに切断して、単繊維繊
度が7.0デニ−ル、引張強度が3.1g/dの短繊維
を得た。なお、中空率は25%であった。製造条件、操
業性、糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0050】実施例10 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を0.74g/
分として溶融紡出した。紡出糸条を冷却した後で、紡糸
温度を400m/分として巻き取った。この未延伸糸糸
条を複数本引き揃え、延伸温度70℃、延伸倍率5.3
倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸比を70%とした)
で延伸し、次いで、スタッフイングボックスを用いて機
械捲縮を付与し、長さ51mmに切断して、単繊維繊度
が3.0デニ−ル、引張強度が4.2g/dの短繊維を
得た。なお、中空率は13%であった。製造条件、操業
性、糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0051】実施例11 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.42g/
分として溶融紡出した。紡出糸条を冷却した後で、紡糸
温度を1800m/分として巻き取った。この未延伸糸
糸条を複数本引き揃え、延伸温度70℃、延伸倍率2.
5倍(未延伸糸の破断伸度に対し延伸比を70%とし
た)で延伸し、次いで、スタッフイングボックスを用い
て機械捲縮を付与し、長さ51mmに切断して、単繊維
繊度が3.0デニ−ル、引張強度が3.3g/dの短繊
維を得た。なお、中空率は15%であった。製造条件、
操業性、糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0052】実施例12 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、図2に
示す三角断面となる紡糸孔を820個有する紡糸口金を
通して単孔吐出量を1.26g/分として溶融紡出し
た。紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度を1000m/
分として巻き取った。この未延伸糸糸条を複数本引き揃
え、延伸温度70℃、延伸倍率3.6倍(未延伸糸の破
断伸度に対し延伸比を70%とした)で延伸し、次い
で、スタッフイングボックスを用いて機械捲縮を付与
し、長さ51mmに切断して、単繊維繊度が3.0デニ
−ル、引張強度が3.8g/dの短繊維を得た。なお、
異形度は3.2であった。製造条件、操業性、糸の物
性、生分解性能を表2に示す。
【0053】比較例1 MFR値が5g/10分で、融点114℃、結晶化温度
74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃で
溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量
を1.20g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却し
た後で、紡糸速度を1000m/分として巻き取った
が、紡糸工程において糸切れが発生し未延伸糸を得るこ
とができなかった。なお、糸切れして得た未延伸糸の中
空率は31%であった。製造条件および操業性を表3に
示す。
【0054】比較例2 MFR値が80g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を0.95g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を1000m/分として巻き取った
が、紡糸工程において糸条間にやや密着が発生し糸切れ
も多かった。この未延伸糸糸条を複数本引き揃え、延伸
温度65℃、延伸倍率3.8倍(未延伸糸の破断伸度に
対し延伸比を70%とした)で延伸し、次いで、スタッ
フイングボックスを用いて機械捲縮を付与し、長さ51
mmに切断して、単繊維繊度が3.0デニ−ル、引張強
度が2.1g/dの短繊維を得た。なお、中空率は5%
であった。製造条件、操業性、糸の物性、生分解性能を
表3に示す。
【0055】比較例3 MFR値が25g/10分で、融点86℃、結晶化温度
28℃のブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=65/35モル%の共重合体チップを用いて160℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を1.20g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を1000m/分として巻き取った
が、紡糸工程において糸条間の密着が発生し、未延伸糸
を得ることができなかった。なお、密着して得た未延伸
糸の中空率は16%であった。製造条件および操業性を
表3に示す。
【0056】比較例4 実施例1と同一原料を用いて125℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.20g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1000m/分として巻き取ったが、紡糸工程にお
いて糸切れが多発し未延伸糸を得ることができなかっ
た。なお、糸切れして得た未延伸糸の中空率は31%で
あった。製造条件および操業性を表3に示す。
【0057】比較例5 実施例1と同一原料を用いて290℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.20g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1000m/分として巻き取ったが、紡糸工程にお
いて糸条間に融着が発生し、未延伸糸を得ることができ
なかった。なお、融着して得た未延伸糸の中空率は4%
であった。製造条件および操業性を表3に示す。
【0058】比較例6 MFR値が5g/10分で、融点114℃、結晶化温度
74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃で
溶融し、実施例12と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を1.20g/分として溶融紡出した。紡出糸条を冷
却した後で、紡糸速度を1000m/分として未延伸糸
として巻き取ったが、紡糸工程において糸条の糸切れが
発生し、未延伸糸を得ることができなかった。なお、糸
切れして得た未延伸糸の異形度は4.1であった。製造
条件および操業性を表4に示す。
【0059】比較例7 MFR値が80g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例12と同一の紡糸口金を通して単孔吐
出量を1.20g/分として溶融紡出した。紡出糸条を
冷却した後で、紡糸速度を1000m/分として未延伸
糸として巻き取ったが、紡糸工程において糸条間の密着
が発生し、未延伸糸を得ることができなかった。なお、
密着して得た未延伸糸の異形度は1.2であった。製造
条件および操業性を表4に示す。
【0060】比較例8 実施例1の未延伸糸を用い、この未延伸糸糸条を複数本
引き揃え、延伸温度70℃、延伸倍率4.2倍(未延伸
糸の破断伸度に対し延伸比を90%とした)で延伸した
が、延伸工程において糸切れが発生し、短繊維を得るこ
とができなかった。製造条件および操業性を表4に示
す。
【0061】比較例9 実施例1の未延伸糸を用い、この未延伸糸糸条を複数本
引き揃え、延伸温度70℃、延伸倍率2.4倍(未延伸
糸の破断伸度に対し延伸比を40%とした)で延伸し、
次いで、スタッフイングボックスを用いて機械捲縮を付
与し、長さ51mmに切断して、単繊維繊度が4.0デ
ニ−ル、引張強度が1.8g/dの短繊維を得た。製造
条件、操業性、糸の物性、生分解性能を表4に示す。
【0062】比較例10 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、本発明
の断面の範囲外である丸断面となる紡糸孔を820個有
する紡糸口金を通して、単孔吐出量を1.20g/分と
して溶融紡出した。紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度
を1000m/分として未延伸糸として巻き取ったが、
紡糸工程において糸条間の密着が発生し、未延伸糸を得
ることができなかった。製造条件および操業性を表4に
示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】表1から明らかなように、実施例1は、生
分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルからなる短
繊維を中空断面形状とし、そのMFR値、共重合量比な
らびに紡糸条件、延伸条件ともに本発明の範囲内である
ので、紡出糸条の冷却性および製糸性も良好で、得られ
た短繊維は均斉度に優れ、十分な機械的強度を有し、か
つ、優れた生分解性能を有するものであった。
【0066】実施例2は、本発明のMFR値の範囲の下
限であるMFR値が15g/10分の高粘度重合体を用
いたが、本発明の範囲内であるので紡出糸条のパンク発
生および糸切れ等も無く、得られた短繊維は均斉度に優
れ、さらに十分な機械的特性を有し、かつ、優れた生分
解性能を有するものであった。
【0067】実施例3は、本発明のMFR値の範囲の上
限であるMFR値が70g/10分の低粘度重合体を用
いたが、本発明の範囲内であるので実施例1よりも機械
的特性は若干劣るものの、紡出糸条の密着発生および糸
切れ等も無く、得られた短繊維は優れた生分解性能を有
するものであった。
【0068】実施例4は、本発明の共重合量比範囲であ
るブチレンサクシネート/エチレンサクシネート=85
/15モル%の共重合体を用いたが、共重合量比が本発
明の範囲内であり紡糸温度も低温であるので、実施例1
より機械的特性にはやや劣るものの、紡出糸条の密着発
生および糸切れ等も無く、得られた短繊維は実施例1よ
りもさらに優れた生分解性能を有するものであった。
【0069】実施例5は、本発明の共重合量比範囲の上
限であるブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=70/30モル%の共重合体を用いたが、共重合量比
が本発明の範囲内であり紡糸温度も低温であるので、実
施例1より機械的特性にはやや劣るものの、紡出糸条の
密着発生および糸切れ等も無く、得られた短繊維は実施
例4よりもさらに優れた生分解性能を有するものであっ
た。
【0070】実施例6は、紡糸温度を本発明の紡糸温度
範囲内の下限である155℃と低温にしたが、紡糸温度
が本発明の範囲内であるので、紡出糸条のパンク発生お
よび糸切れ等も無く、得られた短繊維は、優れた機械的
特性および生分解性能を有するものであった。
【0071】実施例7は、紡糸温度を本発明の紡糸温度
範囲内の上限である250℃と高温にしたが、紡糸温度
が本発明の範囲内であるので、実施例1よりも機械的特
性にはやや劣るものの、紡出糸条の密着発生および糸切
れ等も無く、得られた短繊維は優れた生分解性能を有す
るものであった。
【0072】実施例8は、本発明の好ましい繊度範囲で
ある下限の2デニールを適用したが、紡出糸条の糸切れ
の発生も無く、得られた短繊維は実施例1よりもさらに
優れた生分解性能を有するものであった。
【0073】実施例9は、本発明の好ましい繊度範囲で
ある上限の7デニールを適用したが、紡出糸条の密着発
生も無く、得られた短繊維は実施例1よりも機械的特性
にはやや劣るものの、優れた生分解性能を有するもので
あった。
【0074】実施例10は、本発明の紡糸速度範囲の下
限である400m/分を適用したが、紡糸速度が本発明
の範囲内であるので、紡出糸条の密着発生も無く、延伸
倍率を適正化することにより短繊維が得られ、得られた
短繊維は機械的特性には実施例1よりも優れるものであ
った。
【0075】実施例11は、本発明の紡糸速度範囲の上
限である1800m/分を適用したが、紡糸速度が本発
明の範囲内であるので、紡出糸条の糸切れの発生も無
く、延伸倍率を適正化することにより短繊維が得られ、
得られた短繊維は実施例1よりも機械的特性にはやや劣
るものの、優れた生分解性能を有するものであった。
【0076】実施例12は、糸断面形状が三角断面であ
るが、異形度および紡出条件が本発明の範囲内であるの
で、紡出糸条の密着発生および糸切れも無く、得られた
短繊維は、機械的特性および生分解性能に優れるもので
あった。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】これに対して、表3および表4から明らか
なように、比較例1は、MFR値が本発明の範囲外であ
る5g/10分の高粘度重合体であるので、紡出糸条の
中空率が31%と余りにも高いため、紡出糸条のパンク
発生および糸切れが多く、目標とした短繊維を得ること
ができなかった。比較例2は、MFR値が本発明の範囲
外である80g/10分の低粘度重合体であるので、紡
出糸条の中空率が5%と余りにも低いため、紡出糸条間
にやや密着が発生し、それに起因して糸切れも多かっ
た。得られた短繊維も機械的特性に劣るものであった。
【0080】比較例3は、本発明の共重合量比範囲外の
ブチレンサクシネート/エチレンサクシネート=65/
35モル%の共重合体を用いたので、紡糸温度を低温に
し中空断面を用いたにもかかわらず、融点および結晶化
温度が余りにも低いため、紡出糸条間に密着が発生し、
目標とした短繊維を得ることができなかった。
【0081】比較例4は、本発明の紡糸温度範囲外の1
25℃を適用したので、余りにも紡糸温度が低いため、
重合体の未溶物が発生し紡出糸条の糸切れが多く、目標
とした短繊維を得ることができなかった。
【0082】比較例5は、本発明の紡糸温度範囲外の2
90℃を適用したので、余りにも紡糸温度が高いため、
紡出糸条の密着が発生し、目標とした短繊維を得ること
ができなかった。
【0083】比較例6は、糸断面形状が三角断面であ
り、MFR値が本発明の範囲外である5g/10分の高
粘度重合体であるので、紡出糸条の異形度が4.1と余
りにも高いため、紡出糸条の糸切れが発生し、目標とし
た短繊維を得ることができなかった。
【0084】比較例7は、糸断面形状が三角断面であ
り、MFR値が本発明の範囲外である80g/10分の
低粘度重合体であるので、紡出糸条の異形度が1.2と
余りにも低いため、紡出糸条の密着が発生し、目標とし
た短繊維を得ることができなかった。
【0085】比較例8は、実施例1で得られた未延伸糸
を、本発明の範囲外の90%で延伸したので、余りにも
延伸倍率が高く、このため延伸工程において糸切れが発
生し、目標とした短繊維を得ることができなかった。
【0086】比較例9は、実施例1で得られた未延伸糸
を、本発明の範囲外の40%で延伸したので、余りにも
延伸倍率が低く、このため繊度の均斉度および機械的特
性に著しく劣り、目標とした短繊維を得ることができな
かった。
【0087】比較例10は、本発明の範囲外である丸断
面を適用したので、密着が発生し、目標とした短繊維を
得ることができなかった。
【0088】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、紡出糸条
の冷却性、可紡性に優れ、機械的強度に優れる生分解性
短繊維を提供することができる。
【0089】特に繊維断面形状として、中空断面、多葉
断面を選択することにより、紡出糸条の冷却性は向上
し、それによって糸条同士の密着を防止し、均斉度に優
れた生分解性短繊維を得ることができる。
【0090】また、中空断面繊維においては、外周部分
から侵食をはじめた微生物は中空部分に侵入し、貫通す
る孔が形成される結果、単位ポリマー重量当りの表面積
が大きくなるため、微生物による生分解速度は促進され
る。多葉断面繊維においても、単位ポリマー重量当りの
表面積は丸断面と比較し大きくなるため、微生物による
生分解速度は促進される。
【0091】さらに、中空断面を選択した場合は軽量
性、保温性に、多葉断面を選択した場合は光沢性に、各
々優れた生分解性短繊維を得ることができる。本発明に
よる短繊維は、衛生材料、生活関連用素材、産業用素材
として極めて好適である。しかもこの短繊維は、生分解
性を有するので、その使用後に完全に生分解消失するた
め、自然環境保護の観点からも有益であり、あるいは、
例えば堆肥化して肥料とするなど再利用を図ることもで
きるため資源の再利用の観点からも有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空断面短繊維のモデル図である。
【図2】本発明の多葉断面短繊維のモデル図である。
【図3】本発明の中空断面短繊維を製造する際に使用す
る紡糸口金のモデル図である。
【符号の説明】
1 中空断面の短繊維 2 中空部 3 多葉断面の短繊維

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルからなり、繊維断面が中空断面であることを特徴
    とする生分解性短繊維。
  2. 【請求項2】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルからなり、繊維断面が多葉断面であることを特徴
    とする生分解性短繊維。
  3. 【請求項3】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルが、ポリブチレンサクシネートであることを特徴
    とする請求項1または2記載の生分解性短繊維。
  4. 【請求項4】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルが、ブチレンサクシネートを主繰り返し単位と
    し、かつブチレンサクシネートの共重合量比が70モル
    %以上の共重合体であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の生分解性短繊維。
  5. 【請求項5】 メルトフローレート値が(1)式を満足
    する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、
    中空断面用の紡糸口金を介して、(2)式を満足する紡
    糸温度で溶融紡糸し、さらに、(3)式を満足する延伸
    倍率で延伸し、得られた延伸糸条に機械捲縮を付与し、
    所定長に切断して、中空断面の生分解性短繊維を得るこ
    とを特徴とする生分解性短繊維の製造方法。 10≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(E)に記載の方法に準じ
    る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 0.5×UE+1≦延伸倍率≦0.85×UE+1 …(3) 但し、UE;未延伸糸の破断伸度(%)/100
  6. 【請求項6】 メルトフローレート値が(1)式を満足
    する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、
    多葉断面用の紡糸口金を介して、(2)式を満足する紡
    糸温度で溶融紡糸し、さらに、(3)式を満足する延伸
    倍率で延伸し、得られた延伸糸条に機械捲縮を付与し、
    所定長に切断して、多葉断面の生分解性短繊維を得るこ
    とを特徴とする生分解性短繊維の製造方法。 10≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(E)に記載の方法に準じ
    る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 0.5×UE+1≦延伸倍率≦0.85×UE+1 …(3) 但し、UE;未延伸糸の破断伸度(%)/100
  7. 【請求項7】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルがポリブチレンサクシネートであることを特徴と
    する請求項5または6記載の生分解性短繊維の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルが、ブチレンサクシネートを主繰り返し単位と
    し、かつブチレンサクシネートの共重合量比が70モル
    %以上の共重合体であることを特徴とする請求項5また
    は6記載の生分解性短繊維の製造方法。
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