JPH11286864A - 生分解性不織布 - Google Patents

生分解性不織布

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JPH11286864A
JPH11286864A JP10093236A JP9323698A JPH11286864A JP H11286864 A JPH11286864 A JP H11286864A JP 10093236 A JP10093236 A JP 10093236A JP 9323698 A JP9323698 A JP 9323698A JP H11286864 A JPH11286864 A JP H11286864A
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JP
Japan
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fiber web
lactic acid
polymer
long fiber
mol
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JP10093236A
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English (en)
Inventor
Akitaka Kawano
晃敬 川野
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、生分解速度をコントロールで
き、強度、地合に優れる長繊維ウェブからなる生分解性
不織布を提供することにある。 【解決手段】L−乳酸またはD−乳酸単位を80モル%
以上含有するポリ乳酸重合体からなる長繊維ウェブの片
面または両面に、1,4−ブタンジオールとコハク酸か
ら合成されるポリブチレンサクシネート重合体をウレタ
ン結合により高分子量化した重合体からなる長繊維ウェ
ブを積層し、熱融着により繊維同士が融着した区域を間
隔を置いて設けてなる生分解性不織布。また、該L−乳
酸またはD−乳酸単位を80モル%以上含有するポリ乳
酸重合体からなる長繊維ウェブの平均繊度が1〜10デ
ニール、目付が5〜50g/m2、該1,4−ブタンジ
オールとコハク酸から合成されるポリブチレンサクシネ
ート重合体をウレタン結合により高分子量化した重合体
からなる長繊維ウェブの平均繊度が1〜10デニール、
目付が5〜50g/m2である生分解性不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度で良好な地
合を有し、且つ堆肥中、湿った土中、あるいは活性汚泥
を含む水中、海水中などで微生物により完全に分解可能
であり、且つその生分解速度をコントロール可能な、衛
生・医療用品の基材、衣料、家庭用、産業用品基材、農
業用資材などとして幅広く使用可能な生分解性不織布に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】長繊維を構成繊維とするスパンボンド不
織布は、短繊維を構成繊維とする短繊維不織布と比較
し、高強度で且つ比較的安価であるため、種々の用途に
使用されている。このスパンボンド不織布を構成する繊
維素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
エステル、ポリアミドなどの重合体が一般的である。し
かし、これらの素材からなるスパンボンド不織布は、微
生物などによる生分解性がなく、普通の自然環境下では
化学的に非常に安定である。
【0003】従って、使い捨て型の長繊維ウェブは、使
用後、消却あるいは埋め立てといった方法で処理されて
いるのが現状である。日本では焼却処理が広く行われて
いるが、多大の費用が必要とされるだけでなく、例えば
ポリアミドであるナイロン系の不織布の場合には、シア
ンガスのような有毒ガスを発生する恐れもあるため、廃
棄プラスチックスによる公害が発生しつつあり、この廃
棄プラスチックス処理の問題をどのように解決していく
かが自然環境保護や生活環境保護の点で大きな社会問題
となっている。
【0004】一方埋め立てに関しては、素材が化学的に
安定であるため、土中で長期間にわたって元の状態で残
るという問題がある。このような問題を解決する方法と
して、生分解性を有する素材を使用することで、短期間
のうちに自然に分解される新しいスパンボンド不織布が
要望されている。
【0005】微生物分解性を有する重合体として、キチ
ンなどの多糖類、カット・グット(腸線)や再生コラー
ゲンなどのタンパク質やポリペプチド(ポリアミノ
酸)、微生物が自然界で作るポリ−3−ヒドロキシブチ
レートやポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−3−
ヒドロキシカプロレートのような微生物ポリエステル、
ポリグリコリドやポリラクチドなどの合成脂肪族ポリエ
ステルなどが知られている。しかし、これらの重合体か
ら繊維を製造する場合は、スパンボンド不織布に不可欠
な溶融紡糸性が非常に乏しく、一般に使用されるスパン
ボンド不織布製造装置では加工できないといった問題が
ある。
【0006】また、素材のコストが極めて高いため、使
いすておむつや生理用品のカバーストックなどの衛生材
料、拭取布、包装材料などの一般使い捨て生活資材とし
ては不向きである。
【0007】以上の問題を解決するために、特開平4−
57953号公報においては微生物分解性重合物のポリ
カプロラクトンを3〜30%含むポリエチレンからなる
スパンボンド不織布が提案されている。しかし、ポリエ
チレンは半永久的に分解することがないので、本来の意
味での微生物分解性不織布とはいえない。また、特開平
5−214648号公報には、ポリ−ε−カプロラクト
ン及び/またはポリ−β−ポロピオラクトンからなるス
パンボンド不織布が提案されている。この場合、微生物
分解性を完全に持たせることができたが、ポリ−ε−カ
プロラクトンの融点が60℃前後で、ポリ−β−ポロピ
オラクトンの融点が100℃前後であり、熱安定性が不
良であるため、実用材料として向かないといった問題が
ある。
【0008】また、特開平7−48768号公報、特開
平7−34369号公報において、更に本発明者らが、
特開平8−60513号公報において、グリコールと脂
肪族ジカルボン酸またはその誘導体成分を構成単位とし
て含むことを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂による
スパンボンド不織布を提案した。この長繊維ウェブは前
記問題点をほぼ解決したものの、実用上紡糸性と生分解
性を共に満足するものは得られていないのが実状であ
る。
【0009】即ち、溶融紡糸に適し、スパンボンド不織
布に使用することが可能な上記脂肪族ポリエステルとし
ては、例えば、1,4−ブタンジオールとコハク酸から
合成される脂肪族ポリエステル重合体であるポリブチレ
ンサクシネートのような樹脂の場合は溶融紡糸性が良好
で、強度と風合いの優れる生分解性不織布が得られる
が、樹脂の融点が115℃以下であるため用途によって
は、特に産業用資材では耐熱性が不十分であるばかりで
なく、生分解速度のコントロールが困難である欠点もあ
る。
【0010】更に、L−乳酸またはD−乳酸単位を80
モル%以上含有するポリ乳酸重合体のような樹脂は、溶
融紡糸性が良好で、強度に優れる長繊維ウェブが得られ
るが、長繊維ウェブが硬いため、使いすておむつや生理
用品のカバーストックなどの衛生材料、拭取布、包装材
料などには不向きであるばかりでなく、生分解速度のコ
ントロールが困難であるという欠点もある。生分解性不
織布は、目的や用途によって分解速度や寿命の異なるも
のが必要とされる。従って生分解速度を広範囲に変えら
れるような生分解性不織布、つまり広範囲且つ自由に分
解性が変えられるようなものが望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生分
解速度をコントロールでき、強度、地合に優れる長繊維
ウェブからなる生分解性不織布を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる現状
に鑑み、生分解速度をコントロールでき、且つ強度、地
合に優れる長繊維ウェブに関して鋭意研究した結果、特
定範囲のL−乳酸またはD−乳酸単位を80モル%以上
含有するポリ乳酸重合体からなる長繊維ウェブの片面ま
たは両面に、特定の1,4−ブタンジオールとコハク酸
から合成されるポリブチレンサクシネート重合体をウレ
タン結合により高分子量化した重合体樹脂からなる長繊
維ウェブを積層することにより、生分解速度をコントロ
ールでき、強度、地合に優れる生分解性不織布を得られ
ることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】本発明は、L−乳酸またはD−乳酸単位を
80モル%以上含有するポリ乳酸重合体からなる長繊維
ウェブの片面または両面に、1,4−ブタンジオールと
コハク酸から合成されるポリブチレンサクシネート重合
体をウレタン結合により高分子量化した重合体からなる
長繊維ウェブが積層され、熱融着により繊維同士が融着
した区域を間隔を置いて設けてなる生分解性不織布であ
る。また本発明は、該L−乳酸またはD−乳酸単位を8
0モル%以上含有するポリ乳酸重合体からなる長繊維ウ
ェブの平均繊度が1〜10デニール、目付が5〜50g
/m2、該1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成
されるポリブチレンサクシネート重合体をウレタン結合
により高分子量化した重合体からなる長繊維ウェブの平
均繊度が1〜10デニール、目付が5〜50g/m2
あることを特徴とする生分解性不織布に関するものであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に使用可能な脂肪族ポリエ
ステル樹脂としては、1,4−ブタンジオールとコハク
酸から合成されるポリブチレンサクシネート重合体に更
にイソシアネートを添加し、ポリブチレンサクシネート
重合体の間をポリウレタン結合させたもので、数平均分
子量が10000以上で融点が110〜120℃の範囲
にあり、且つJIS K 7210に記載された方法
(190℃、2.16kg荷重)で測定したメルトフロ
ーレートが10〜70g/10分の範囲のものである。
【0015】つまり、メルトフローレートが10g/1
0分未満のポリブチレンサクシネートをウレタン結合さ
せたものは溶融粘度が高すぎて、溶融温度を高くしなけ
れば高速度での溶融紡糸が容易ではなくなり、高い温度
での紡糸は口金面の汚れが発生し易くなり、操業上適さ
ない。逆に、メルトフローレートが70g/10分を超
えると、糸切れが発生し易くなり、得られる生分解性不
織布の風合いが悪化するばかりでなく、強度も低下する
ため適さない。
【0016】なお、1,4−ブタンジオールとコハク酸
から合成されるポリブチレンサクシネート重合体をウレ
タン結合により高分子量化した重合体に必要に応じて、
例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤などの他、
滑剤、ワックス剤、着色剤、結晶化促進剤などの各種添
加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加すること
ができる。
【0017】本発明に使用されるポリ乳酸重合体は、L
−乳酸単位またはD−乳酸単位を80モル%以上含有す
るポリ乳酸重合体が好適である。乳酸モノマーは光学活
性の炭素を有しており、そのため、ポリ乳酸には光学異
性体であるD体とL体とがあることが知られているが、
両者を共重合すると融点は低下し、光学純度があまり低
くなると融点が低すぎて、本発明の目的の1つである良
好な紡糸性が得られなくなる。使用されるポリ乳酸重合
体における乳酸単位の光学純度(L体またはD体の比
率)は好ましくは80モル%以上、より好ましくは95
モル%以上、更に好ましくは98モル%以上である。
【0018】一般には乳酸を発酵法で生産するとL体が
生産されるので、工業的にはL−乳酸の方が大量且つ安
価に入手しやすく、本発明によるポリ乳酸重合体は通常
L−乳酸を主体とするものである。しかしながら、D−
乳酸を主体とする重合体であってもL−乳酸の場合と同
様の物性のものを得ることができる。
【0019】上述した本発明に使用するポリ乳酸重合体
もポリブチレンサクシネートをウレタン結合させたもの
と同様に、JIS K 7210に記載された方法(2
00℃、2.16kg荷重)で測定したメルトフローレ
ートが10〜70g/10分の範囲のものが適してい
る。メルトフローレートが10g/10分未満のポリ乳
酸は溶融粘度が高すぎて、溶融温度を高くしなければ高
速度での溶融紡糸が容易ではなくなり、高い温度での紡
糸は口金面の汚れが発生し易くなり、操業上適さない。
逆に、メルトフローレートが70g/10分を超える
と、糸切れが多発し、得られる長繊維ウェブの地合が悪
化するばかりでなく、強度も低下するため適さない。
【0020】また、ポリ乳酸樹脂は、ポリブチレンサク
シネートをウレタン結合させたものと同様に、必要に応
じて、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤など
の他、滑剤、ワックス剤、着色剤、結晶化促進剤などの
各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加す
ることができる。
【0021】長繊維ウェブを製造する際に押し出し紡糸
機において、1,4−ブタンジオールとコハク酸から合
成されるポリブチレンサクシネート重合体をウレタン結
合により高分子量化した重合体、またはL−乳酸または
D−乳酸単位を80モル%以上含有するポリ乳酸重合体
を加熱溶融し、紡糸する場合の溶融温度は、樹脂の融点
より50〜135℃だけ高くする。溶融温度と重合体の
融点の差が50℃未満の場合、溶融した樹脂の粘度が高
く、高速度での溶融紡糸が容易ではなくなり、操業上適
さない。逆に、溶融温度が樹脂の融点より135℃を超
えて高くなると、樹脂の融点からの温度の隔たりが大き
すぎるため、押出し紡糸機の多数の口金から樹脂を紡糸
する場合に冷却が難しくなり、繊維同士の融着や糸切れ
を生じ易くなるばかりでなく、樹脂の安定性が低下し、
分解が発生する恐れがある。
【0022】前記1,4−ブタンジオールとコハク酸か
ら合成されるポリブチレンサクシネート重合体をウレタ
ン結合により高分子量化した重合体は、溶融押出し紡糸
機の口金から押し出されて紡糸された後は、エジェクタ
ーにより高速エアーで引き取って、延伸され、次いで形
成された多数の長繊維フィラメントを衝突板に当てて摩
擦帯電させ、電荷による反発力で開繊させる。この場
合、帯電方法として、コロナ放電処理を行うことも可能
である。
【0023】本発明の1,4−ブタンジオールとコハク
酸から合成されるポリブチレンサクシネート重合体をウ
レタン結合により高分子量化した重合体からなる長繊維
ウェブを構成する長繊維の平均繊度は1〜10デニール
の範囲であるのが好ましい。長繊維の平均繊度が10デ
ニールを超えて大きくなると、繊維径が太くなりすぎて
得られる長繊維ウェブの柔軟性と地合が低下するため適
さないことがある。逆に、長繊維の平均繊度が1デニー
ル未満のものは紡糸性が不良になるため適さないことが
ある。長繊維ウェブを構成する長繊維の断面形状として
は、円形断面の他に異形あるいは扁平とすることもでき
る。
【0024】本発明における1,4−ブタンジオールと
コハク酸から合成されるポリブチレンサクシネート重合
体をウレタン結合により高分子量化した重合体からなる
長繊維ウェブの目付は、5〜50g/m2の範囲である
のが好ましい。目付が50g/m2を超えると、積層後
に得られる長繊維ウェブが硬くなりすぎて、柔軟性が低
下し、風合いが悪くなるため適さないことがある。逆
に、5g/m2未満では、長繊維ウェブの強度が低くな
るばかりでなく、長繊維ウェブに風合いを付与する効果
が低下するため適さないことがある。
【0025】前記L−乳酸またはD−乳酸単位を80モ
ル%以上含有するポリ乳酸重合体は、溶融押出し紡糸機
の口金から押し出されて紡糸された後は、エジェクター
により高速エアーで引き取って、延伸され、次いで形成
された多数の長繊維フィラメントを衝突板に当てて摩擦
帯電させ、電荷による反発力で開繊させる。この場合、
帯電方法として、コロナ放電処理を行うことも可能であ
る。
【0026】本発明に用いられるL−乳酸またはD−乳
酸単位を80モル%以上含有するポリ乳酸重合体からな
る長繊維ウェブを構成する長繊維の平均繊度は1〜10
デニールの範囲であるのが好ましい。長繊維の平均繊度
が10デニールを超えると、繊維径が太くなりすぎて、
得られる長繊維ウェブの地合と柔軟性が低下し、平均繊
度が1デニール未満のものは製造が困難になるため適さ
ないことがある。
【0027】本発明におけるL−乳酸またはD−乳酸単
位を80モル%以上含有するポリ乳酸重合体からなる長
繊維ウェブの目付は、5〜50g/m2の範囲であるの
が好ましい。目付が50g/m2を超えると、積層後に
得られる長繊維ウェブが硬くなりすぎて、柔軟性が低下
するため適さないことがある。逆に、5g/m2未満で
は、長繊維ウェブの強度が低くなりすぎるため適さない
ことがある。
【0028】本発明でL−乳酸またはD−乳酸単位を8
0モル%以上含有するポリ乳酸重合体からなる長繊維ウ
ェブの両面に1,4−ブタンジオールとコハク酸から合
成されるポリブチレンサクシネート重合体をウレタン結
合により高分子量化した重合体からなる長繊維ウェブを
積層すると、該ポリ乳酸重合体からなる長繊維ウェブの
片面のみに該ポリブチレンサクシネート重合体をウレタ
ン結合したものを積層する長繊維ウェブと比較して得ら
れる長繊維ウェブの表裏差がなくなり、更に良好な風合
いの長繊維ウェブを得ることができるばかりでなく、生
分解速度をコントロールする効果を容易にすることもで
き、更に好ましい。
【0029】本発明でL−乳酸またはD−乳酸単位を8
0モル%以上含有するポリ乳酸重合体からなる長繊維ウ
ェブの両面に1,4−ブタンジオールとコハク酸から合
成されるポリブチレンサクシネート重合体をウレタン結
合により高分子量化した重合体からなる長繊維ウェブを
製造する場合、前述したように積層・製造される。
【0030】本発明においては、L−乳酸またはD−乳
酸単位を80モル%以上含有するポリ乳酸重合体からな
る長繊維ウェブの片面または両面に1,4−ブタンジオ
ールとコハク酸から合成されるポリブチレンサクシネー
ト重合体をウレタン結合により高分子量化した重合体か
らなる長繊維ウェブを積層した不織ウェブに、シート状
の形態保持と強度を付与する目的で、規則的な間隔で繊
維同士の自己融着区域を設ける。この自己融着区域は、
ウェブを加熱した凸凹ロールと平滑ロールの間に導入
し、加熱と加圧処理を施すことにより、凸凹ロールの凸
部に対応した部分が融着することによって形成される。
【0031】この場合、ロールの温度は、使用する1,
4−ブタンジオールとコハク酸から合成されるポリブチ
レンサクシネート重合体をウレタン結合により高分子量
化した重合体の融点より5〜50℃低い温度である。ロ
ール温度と樹脂の融点の差が5℃未満では、ロールによ
る熱圧着処理時に繊維がロールに付着し、製造トラブル
の原因となる。逆に、ロール温度と樹脂の融点の差が5
0℃を超えて大きくなると、自己融着部分の形成が不十
分となり、長繊維ウェブの強度が著しく低下するので適
さない。
【0032】凸凹ロールと平滑ロールで熱圧着処理を施
す場合の線圧は、10〜80kg/cmである。線圧が
10kg/cm未満では、熱圧着処理による自己融着区
域も形成が不十分となり、80kg/cmを超えて大き
くなると、熱圧着処理時に凸凹ロールの凸部による長繊
維の切断が生じてしまい、いずれも長繊維ウェブの強度
が低下するので適さない。
【0033】本発明においては、個々の自己融着区域の
面積は、0.03〜4mm2の範囲であることが好まし
い。自己融着区域の面積が0.03mm2未満では、得
られる長繊維ウェブの強度が不足するため適さない。逆
に、自己融着区域の面積が4mm2を超えると、得られ
る長繊維ウェブが硬くなりすぎて、柔軟性が低下するた
め適さない。
【0034】自己融着区域の面積の総和は、生分解性不
織布の全表面積の2〜30%であることが好ましい。自
己融着区域の面積の総和が2%未満では、得られる長繊
維ウェブの強度が不足するため適さない。逆に、自己融
着面積が30%を超えると、得られる長繊維ウェブが硬
くなりすぎて、柔軟性が低下するため適さない。
【0035】以上説明したように、1,4−ブタンジオ
ールとコハク酸から合成されるポリブチレンサクシネー
ト重合体をウレタン結合により高分子量化した重合体か
らなる長繊維ウェブ上に、L−乳酸またはD−乳酸単位
を80モル%以上含有するポリ乳酸重合体からなる長繊
維ウェブを積層し、両面に積層する場合には、更に前出
した1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成される
ポリブチレンサクシネート重合体をウレタン結合により
高分子量化した重合体からなる長繊維ウェブを積層させ
た3層ウェブを熱融着により繊維同士が融着することに
より得られる生分解性不織布は、製造に際し、紡糸性と
開繊性に優れ、生分解性をコントロール可能であり、且
つ高強度でありながら優れた柔軟性と風合いを有するの
で衛生材料、医療用基材、衣料用基材、家庭用基材、産
業用基材などとして好適に使用することが可能である。
【0036】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもちろんこれらに限定されるもの
ではない。尚、実施例及び比較例において、%は特に断
りのない限り重量%である。
【0037】実施例1 メルトフローレートが31g/10分、融点が118℃
の1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成されるポ
リブチレンサクシネート重合体をウレタン結合により高
分子量化した重合体(昭和高分子社製、商品名:ビオノ
ーレ)を準備し、溶融押出機において紡糸用口金を用い
て、前記の樹脂を190℃に加熱溶融し、多数の微細孔
から押出し、紡糸した後、紡出されたフィラメント群を
エジェクターにより高速エアーで引き取りながら延伸し
て開繊し、移動するワイヤー製捕集用支持体上に捕集・
堆積させウェブを形成させた。得られた長繊維フィラメ
ントの平均繊度は1.3デニール、目付は6g/m2
った。
【0038】次に、メルトフローレートが20g/10
分、融点が163℃のL−乳酸またはD−乳酸単位を8
0モル%以上含有するポリ乳酸重合体(カネボウ合繊社
製、商品名:ラクトロン)を準備し、溶融押出機におい
て紡糸用口金を用いて、前記の樹脂を220℃に加熱溶
融し、多数の微細孔から押出し、紡糸した後、紡出され
たフィラメント群をエジェクターにより高速エアーで引
き取りながら延伸して開繊し、1,4−ブタンジオール
とコハク酸から合成されるポリブチレンサクシネート重
合体をウレタン結合により高分子量化した重合体からな
る長繊維ウェブを搬送しながら移動するワイヤー製捕集
用支持体上に捕集・堆積させウェブを形成させた。得ら
れた長繊維フィラメントの平均繊度は1.5デニール、
目付は7g/m2あった。
【0039】更に、前述した1,4−ブタンジオールと
コハク酸から合成されるポリブチレンサクシネート重合
体をウレタン結合により高分子量化した重合体からなる
長繊維ウェブを同じ方法で製造し、積層したウェブの上
に捕集・堆積させた。
【0040】次いで、この積層ウェブを110℃に加熱
した凸凹ロールと平滑ロールの間に導入し、線圧30k
g/cmで凸凹ロールの凸部に対応する部分を融着する
ことにより、生分解性不織布を得た。個々の自己融着区
域の面積は、0.12mm2であり、自己融着区域の面
積の総和は4面積%であった。
【0041】得られた生分解性不織布を下記の試験方法
で試験し、その品質を評価した。 試験方法 (1)紡糸性 溶融紡糸時の糸切れ数の多少で評価した。評価は以下の
5段階で評価した。 5点・・・糸切れはなく、紡糸性は極めて良好である。 4点・・・糸切れがほとんどなく、紡糸性は良好であ
る。 3点・・・糸切れがあるが問題はなく、紡糸性は普通で
ある。 2点・・・糸切れがかなり多く、紡糸性は悪い。 1点・・・糸切れが極めて多く、紡糸性は極めて悪い。
【0042】(2)地合(点) 得られた長繊維ウェブの地合を官能で評価した。評価は
以下の5段階で評価した。 5点・・・長繊維ウェブの地合が非常に優れている。 4点・・・長繊維ウェブの地合が優れている。 3点・・・長繊維ウェブの地合が普通である。 2点・・・長繊維ウェブの地合が劣る。 1点・・・長繊維ウェブの地合が非常に劣る。
【0043】(3)生分解性不織布の引張強度(N/5
0mm) JIS L 1906に示された方法で行った。 (4)柔軟性(点) モニター20人による官能評価により柔軟性を評価し
た。モニターは、長繊維ウェブを手で揉み、長繊維ウェ
ブの柔軟性を判定した。評価は、以下の基準により1〜
5点で示し、その合計点数(100点満点)を柔軟性と
して表し、90点以上を合格とした。 5点・・・長繊維ウェブの柔軟性が非常に優れている。 4点・・・長繊維ウェブの柔軟性が優れている。 3点・・・長繊維ウェブの柔軟性が普通である。 2点・・・長繊維ウェブの柔軟性が劣る。 1点・・・長繊維ウェブの柔軟性が非常に劣る。
【0044】(5)生分解速度(月) 大きさ10cm×25cmにカットした長繊維ウェブを、牛
糞堆肥含有用土(重量構成比率:牛糞堆肥20%、土7
6%、ピートモス4%)に、深さ15cmで各100枚埋
設し、1ヶ月毎に2枚ずつ取り出して重量を測定し、形
態がバラバラになり、重量減が50重量%以上になる期
間(月)を測定し、平均値を算出して微生物分解速度と
した。なお、観察は36ヶ月行った。
【0045】実施例2 1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成されるポリ
ブチレンサクシネート重合体をウレタン結合により高分
子量化した重合体からなる長繊維ウェブの平均繊度を
9.3デニール、目付を6g/m2、L−乳酸またはD
−乳酸単位を80モル%以上含有するポリ乳酸重合体か
らなる長繊維ウェブの平均繊度を9.7デニール、目付
を7g/m2としたこと以外は実施例1と同様にして生
分解性不織布を製造した。得られた長繊維ウェブを実施
例1と同様の試験法により試験し、その品質を評価し
た。
【0046】実施例3 1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成されるポリ
ブチレンサクシネート重合体をウレタン結合により高分
子量化した重合体からなる長繊維ウェブの平均繊度を
1.2デニール、目付を45g/m2、L−乳酸または
D−乳酸単位を80モル%以上含有するポリ乳酸重合体
からなる長繊維ウェブの平均繊度を1.3デニール、目
付を48g/m2としたこと以外は実施例1と同様にし
て生分解性不織布を製造した。得られた長繊維ウェブを
実施例1と同様の試験法により試験し、その品質を評価
した。
【0047】実施例4 1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成されるポリ
ブチレンサクシネート重合体をウレタン結合により高分
子量化した重合体からなる長繊維ウェブの平均繊度を
9.3デニール、目付を45g/m2、L−乳酸または
D−乳酸単位を80モル%以上含有するポリ乳酸重合体
からなる長繊維ウェブの平均繊度を9.7デニール、目
付を48g/m2としたこと以外は実施例1と同様にし
て生分解性不織布を製造した。得られた長繊維ウェブを
実施例1と同様の試験法により試験し、その品質を評価
した。得られた結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】表1から明らかなように、本発明の条件
に合致する場合には、溶融押出機によって樹脂を溶融紡
糸する際に糸切れがなく、得られる生分解性不織布は、
高強度でありながら柔軟性と地合に優れ、且つ生分解速
度をコントロールすることができる。本発明は、製造時
の紡糸性に優れ、且つ高い強度と良好な地合、柔軟性を
有した生分解性不織布を提供するという効果を奏する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】L−乳酸またはD−乳酸単位を80モル%
    以上含有するポリ乳酸重合体からなる長繊維ウェブの片
    面または両面に、1,4−ブタンジオールとコハク酸か
    ら合成されるポリブチレンサクシネート重合体をウレタ
    ン結合により高分子量化した重合体からなる長繊維ウェ
    ブを積層し、熱融着により繊維同士が融着した区域を間
    隔を置いて設けてなることを特徴とする生分解性不織
    布。
  2. 【請求項2】該L−乳酸またはD−乳酸単位を80モル
    %以上含有するポリ乳酸重合体からなる長繊維ウェブの
    平均繊度が1〜10デニール、目付が5〜50g/
    2、該1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成さ
    れるポリブチレンサクシネート重合体をウレタン結合に
    より高分子量化した重合体からなる長繊維ウェブの平均
    繊度が1〜10デニール、目付が5〜50g/m2であ
    ることを特徴とする生分解性不織布。
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