JP2006118065A - ポリ乳酸複合繊維 - Google Patents

ポリ乳酸複合繊維 Download PDF

Info

Publication number
JP2006118065A
JP2006118065A JP2004304369A JP2004304369A JP2006118065A JP 2006118065 A JP2006118065 A JP 2006118065A JP 2004304369 A JP2004304369 A JP 2004304369A JP 2004304369 A JP2004304369 A JP 2004304369A JP 2006118065 A JP2006118065 A JP 2006118065A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polylactic acid
acid resin
fiber
resin
lactic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004304369A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4578932B2 (ja
Inventor
Daisuke Sakai
大介 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Ester Co Ltd filed Critical Nippon Ester Co Ltd
Priority to JP2004304369A priority Critical patent/JP4578932B2/ja
Publication of JP2006118065A publication Critical patent/JP2006118065A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4578932B2 publication Critical patent/JP4578932B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】ポリ乳酸樹脂からなり、比較的容易に得ることができ、優れた捲縮発現性を示すポリ乳酸複合繊維を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bとが単繊維内において接合されてなる複合繊維であって、ポリ乳酸樹脂Bはポリ乳酸樹脂Cとポリ乳酸樹脂Dとの混合物であり、ポリ乳酸樹脂Dがポリ乳酸樹脂B中の10〜50質量%含有されており、かつポリ乳酸樹脂A、C、DはL−乳酸および/またはD−乳酸からなるものであって、L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが特定範囲を満足するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、植物由来のポリ乳酸樹脂が単繊維内において接合されてなる複合繊維であって、優れた捲縮発現性能を有するポリ乳酸複合繊維に関するものである。
従来より、クッション材などの中綿用途などには、粘度や収縮率の異なるポリエチレンテレフタレートなどの2種類のポリエステルを並列的または偏心的に接合した複合繊維とし、延伸や熱処理によって捲縮を発現させた繊維が使用されている。
合成繊維の中でも特にポリエステル繊維は、その優れた寸法安定性、耐候性、機械的特性、耐久性、さらにはリサイクル性等から、衣料、産業資材として不可欠のものとなっており、様々な分野、用途において広く使用されている。
しかし、最近は、ポリエチレンテレフタレートなどの従来の合成樹脂が石油を原料としていることから、石油の枯渇を促進させる問題が生じるため、石油の枯渇を遅延する目的から、植物由来であるポリ乳酸樹脂が注目されるようになっている。
ポリ乳酸樹脂を使用した繊維として、特許文献1では、分子量や光学純度の異なる2種類のポリ乳酸を並列的または偏心的に接合し、捲縮が発現できるようにした複合繊維が提案されている。この発明においては、ポリ乳酸複合繊維は優れた捲縮発現性能を有するものであったが、2種類のポリ乳酸の分子量と光学純度が特定式の範囲を満足する必要があるため、分子量と光学純度を調整する工程が必要であった。そこで、さらに容易に得ることができ、かつ優れた捲縮発現性能を有するポリ乳酸繊維が要望されていた。
特開2003−201629号公報
本発明は、上記の問題を解決し、ポリ乳酸樹脂からなり、比較的容易に得ることができ、優れた捲縮発現性能を有するポリ乳酸複合繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bとが単繊維内において接合されてなる複合繊維であって、ポリ乳酸樹脂Bはポリ乳酸樹脂Cとポリ乳酸樹脂Dとの混合物であり、ポリ乳酸樹脂Dはポリ乳酸樹脂B中の10〜50質量%含有されており、かつポリ乳酸樹脂A、C、DはL−乳酸および/またはD−乳酸からなるものであって、下記条件(1)〜(3)を同時に満足することを特徴とするポリ乳酸複合繊維を要旨とするものである。
(1)ポリ乳酸樹脂Aは、L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが98.0/2.0以上である。
(2)ポリ乳酸樹脂Cは、L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが98.0/2.0以上である。
(3)ポリ乳酸樹脂Dは、L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが90.0/10.0〜93.0/7.0である。
本発明のポリ乳酸複合繊維は、優れた捲縮発現性能を有するものであり、比較的容易に得ることができるので、クッション材などの中綿用途、貼布材などの伸縮性不織布用途等をはじめ、様々な用途に好適に使用することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸複合繊維は、ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bが、単繊維内において接合されてなる複合繊維である。単繊維内において接合されている形態としては、捲縮発現性能を向上させるためには、並列的又は偏心的に接合されてなる複合繊維とすることが好ましい。つまり、並列的とは2成分が例えばサイドバイサイド型のように貼り合わされている形状であり、偏心的とは2成分が例えば芯鞘型に貼り合わされており、芯部と鞘部の中心点が一致せずにずれているものをいう。
そして、ポリ乳酸樹脂Bはポリ乳酸樹脂Cとポリ乳酸樹脂Dとの混合物である。
本発明のポリ乳酸複合繊維におけるポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂C、Dとは、ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とする共重合物である。ポリ乳酸を製造するための乳酸としては、D体のみ、L体のみ、D体とL体の混合物のいずれでもよい。ポリ乳酸を主体とする共重合物としては、乳酸(D体のみ、L体のみ、D体とL体の混合物のいずれでもよい。)と、例えばε−カプロラクトン等の環状ラクトン類、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸等のα−オキシ酸類、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、コハク酸、セバシン酸等のジカルボン酸類から選ばれるモノマーの一種又は二種以上とを共重合したものが挙げられる。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂A、ポリ乳酸樹脂C、ポリ乳酸樹脂Dがそれぞれ以下の条件(1)〜(3)を満足し、ポリ乳酸樹脂Dがポリ乳酸樹脂B中の10〜50質量%含有されていることが必要である。
これにより、ポリ乳酸樹脂Aは低収縮成分となり、ポリ乳酸樹脂Cとポリ乳酸樹脂Dとの混合物であるポリ乳酸樹脂Bは、ポリ乳酸樹脂Cにポリ乳酸樹脂Dを混合させることにより、高収縮成分とすることができ、複合繊維を構成する2成分(ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂B)が収縮差を有することにより、優れた捲縮発現性能を有する繊維とすることができる。
まず、条件(1)として、ポリ乳酸樹脂Aは、L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが98.0/2.0以上であり、中でも98.5/1.5以上が好ましく、さらには99.0/1.0以上が好ましい。L/D又はD/Lが98.0/2.0未満である場合、つまりL/D又はD/Lが97.0/3.0であったり、95.0/5.0というように、主体とするL−乳酸中のD−乳酸の含有割合や、主体とするD−乳酸中のL−乳酸の含有割合が多い場合、ポリ乳酸樹脂Aの収縮が高くなり、高収縮成分であるポリ乳酸樹脂Bとの差が少なくなり、複合繊維は捲縮発現性に劣るものとなる。
次に、条件(2)として、ポリ乳酸樹脂Cは、L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが98.0/2.0以上であり、中でも98.5/1.5以上が好ましく、さらには99.0/1.0以上が好ましい。L/D又はD/Lが98.0/2.0未満である場合、つまりL/D又はD/Lが97.0/3.0であったり、95.0/5.0というように、主体とするL−乳酸中のD−乳酸の含有割合や、主体とするD−乳酸中のL−乳酸の含有割合が多い場合、ポリ乳酸樹脂Bの結晶性が低下し、延伸工程での融着等が発生しやすくなり、好ましくない。
さらに条件(3)として、ポリ乳酸樹脂Dは、L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが90.0/10.0〜93.0/7.0である。L/D又はD/Lが90.0/10.0未満である場合、つまりL/D又はD/Lが89.0/11.0であったり、85.0/15.0というように、主体とするL−乳酸中のD−乳酸の含有割合や、主体とするD−乳酸中のL−乳酸の含有割合が多い場合、ポリ乳酸樹脂Bの結晶性が低下し、延伸工程での融着等が発生しやすくなり、好ましくない。
一方、L/D又はD/Lが93.0/7.0を超える場合、つまりL/D又はD/Lが95.0/5.0であったり、98.0/2.0というように、主体とするL−乳酸中のD−乳酸の含有割合や、主体とするD−乳酸中のL−乳酸の含有割合が少ない場合、ポリ乳酸樹脂Bの収縮が低くなり、低収縮成分であるポリ乳酸樹脂Aとの差が少なくなり、捲縮発現性に劣るものとなる。
そして、ポリ乳酸樹脂Dの含有量は、ポリ乳酸樹脂B中の10〜50質量%であり、中でも15〜45質量%が好ましく、さらには25〜40質量%とすることが好ましい。
上記したように、ポリ乳酸樹脂Cは主たる成分であるL−乳酸またはD−乳酸の比率が高く、低収縮成分であるが、ポリ乳酸樹脂Dは、主たる成分であるL−乳酸またはD−乳酸の比率が低く、高収縮成分である。このような高収縮成分であるポリ乳酸樹脂Dを10〜50質量%混合することによってポリ乳酸樹脂Bを高収縮成分とすることができ、ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bとの間に収縮差が生じ、延伸や熱処理により捲縮が発現する捲縮発現性能を有する繊維とすることができる。
ポリ乳酸樹脂Dの含有量がポリ乳酸樹脂B中の10質量%未満であると、ポリ乳酸樹脂Bを高収縮成分とすることが困難となり、捲縮発現性能に劣るものとなる。一方、50質量%を超えると、ポリ乳酸樹脂Bの結晶性が低下し、延伸工程での融着等が起こり、好ましくない。
また、本発明においては、捲縮発現性能を考慮して、ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bが粘度差を有することが好ましく、このため、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量を小さく、ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量を大きくすることが好ましい。ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量をポリ乳酸樹脂Aより大きくするためには、中でも、ポリ乳酸樹脂C、Dの数平均分子量ともにポリ乳酸樹脂Aより大きいことが好ましい。
そして、ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bとの数平均分子量の差は、10000〜30000とすることが好ましい。
なお、ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量は、次式のようにして算出するものである。
〔ポリ乳酸樹脂Cの数平均分子量×ポリ乳酸樹脂Cのポリ乳酸樹脂B中の含有割合(質量%/100)〕+〔ポリ乳酸樹脂Dの数平均分子量×ポリ乳酸樹脂Dのポリ乳酸樹脂B中の含有割合(質量%/100)〕
ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量は55000〜73000とすることが好ましい。ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量が55000未満であると、低粘度となるため、紡糸時に製糸性が悪化する傾向があり好ましくない。また、数平均分子量が73000より大きいと、ポリ乳酸樹脂Bとの粘度差が小さくなり、捲縮発現性が低下しやすくなるため好ましくない。
ポリ乳酸樹脂Cの数平均分子量は78000〜95000であることが好ましい。数平均分子量が78000未満であると、ポリ乳酸樹脂Aとの粘度差が小さくなり、捲縮発現性が低下しやすくなるため好ましくない。また、数平均分子量が95000より大きいと、高粘度となるため、溶融押出が困難となる傾向があり好ましくない。
ポリ乳酸樹脂Dの数平均分子量は60000〜110000であることが好ましい。数平均分子量が60000未満であると、ポリ乳酸樹脂Bとポリ乳酸樹脂Aとの粘度差が小さくなり、捲縮発現性が低下しやすくなるため好ましくない。また、数平均分子量が110000より大きいと、ポリ乳酸樹脂Bが高粘度となり、溶融押出が困難となる傾向があり好ましくない。
また、本発明の複合繊維においては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ポリ乳酸樹脂の耐久性を高めることを目的として、ポリ乳酸樹脂に脂肪族アルコール、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、エポキシ化合物などの末端封鎖剤を添加してもよい。
また、本発明のポリ乳酸樹脂には、可塑剤等の目的として、脂肪族ポリエステルや、脂肪族−芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの他の樹脂を、本発明の目的を損なわない範囲(10質量%以下程度)で混合してもよい。
さらには、各種顔料、染料、撥水剤、吸水剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属粒子、結晶核剤、滑剤、可塑剤、抗菌剤、香料その他の添加剤を混合していてもよい。
次に、図面を用いて、本発明の複合繊維の形状について説明する。図1〜3は、本発明の複合繊維の好ましい形状の実施態様を示す単繊維の横断面模式図である。図において、aはポリ乳酸樹脂Aを、bはポリ乳酸樹脂Bを、cは中空部をそれぞれ示す。
前記したように、本発明においては、ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bが、単繊維内において接合されてなる複合繊維であって、自発捲縮性能を向上させるためには、並列的又は偏心的に接合されていることが好ましい。
図1は並列的(サイドバイサイド型)に接合された例であり、図2は偏心的に接合された例(芯鞘型)であり、図3は並列的に接合された例であって中空部を有する例である。図3に示すように本発明の繊維においては、単繊維の横断面形状において中空部を有するものでもよい。
また、単繊維の横断面形状は、円形のみならず、長円形、ひょうたん形、多角形、多葉形、アルファベット形、その他各種の非円形(異形)、中空形などのいずれであってもよく、用途等に応じて任意に選択すればよい。
ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bとの複合比率(断面積比)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択すればよい。通常、複合比は1/10〜10/1の範囲、中でも1/5〜5/1の範囲が好ましく、さらには1/3〜3/1とすることが好ましい。
また、本発明の繊維は長繊維、短繊維のいずれであってもよいが、短繊維とする場合には、繊維長は使用目的に応じて任意に選ばれるが、5〜80mmが好ましく、中でも20〜70mmとすることが好ましい。
繊度も同様に使用目的に応じて任意に選ばれるが、通常、単糸繊度0.1〜50デシテックス(dtex)とすることが好ましく、中でも0.5〜30dtexとすることが好ましい。
本発明のポリ乳酸複合繊維は捲縮発現性能を有するものであるが、中でも、短繊維とし、不織布などの繊維構造物にした後に捲縮を発現させる潜在捲縮繊維とすることが好ましい。
本発明のポリ乳酸複合繊維を潜在捲縮繊維とする場合は、製造工程中では捲縮を発現させず、得られた繊維を用いて布帛(織編物や不織布)とした後、熱処理を施すことにより捲縮を発現させることが好ましい。発現させる捲縮数は、使用用途に応じて任意に設定すればよいが、嵩高性や伸縮性を付与するためには、捲縮数が40個/25mm以上となることが好ましい。中でも伸縮性を付与するためには、捲縮数が50〜100個/25mmとすることが好ましい。
捲縮数は、ポリ乳酸樹脂中のL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lや分子量、複合構造の偏心度合いや、延伸倍率、熱処理時の温度等によって適宜調整することができる。
また、本発明のポリ乳酸複合繊維は、布帛の作成工程中にネップや未開繊トラブルが発生しないようにするため、繊維の製造工程の最終工程において通常の押し込み式捲縮装置などにより、8〜20個/25mmの機械捲縮を付与することが好ましい。
次に、本発明のポリ乳酸系自発捲縮繊維の製造方法について、一例を用いて説明する。
なお、ポリ乳酸樹脂Cとポリ乳酸樹脂Dを混合する方法は任意でよく、チップを適当な混合装置、たとえばV型ブレンダーやダブルコーン型ブレンダーなで混合するなどしてチップブレンドする方法、別々に溶融した後、エクストルーダーなどの駆動部を有する混練装置、またはスタティックミキサーなどの駆動部を有さない静的混練素子により混合してチップ化する方法、別々に溶融した後、エクストルーダーなどの駆動部を有する混練装置で混合した後、直接紡糸する方法などがある。
本発明の繊維は、両成分を通常使用される複合紡糸装置を用いて、複合紡糸することにより得ることができる。まず、ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bを並列的や偏心的に接合されるようにして紡糸し、紡糸した糸条を横吹付や環状吹付等の冷却装置を用いて冷却した後、油剤を付与する。続いて引き取りローラを介して未延伸糸として巻取機に巻取る。次に、巻取られた未延伸糸を周速の異なるローラ群間で延伸し、必要に応じて押し込み型の捲縮装置などで機械捲縮を付与した後に目的とする長さにカットする。
また、長繊維とする場合は、延伸後そのまま捲き取り、必要に応じて、撚糸、仮撚加工等の加工を行う。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。なお、実施例における特性値等の測定法及び評価は次の通りである。
(1)ポリ乳酸中のL−乳酸とD−乳酸の含有割合(L/D)
超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液の等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムにはsumichiral OA6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(2)数平均分子量
ポリ乳酸樹脂を10mg/mlの濃度になるように、クロロホルムに溶解して、クロロホルムを溶媒として、Gel Permeation Chromatography(GPC)法により測定した。検出器は屈折率計を使用し、分子量の標準物質としてポリスチレンを使用した。
(3)単糸繊度(dtex)
JIS L−1015 8.5.1(正量繊度)A法により測定した。
(4)捲縮数
JIS L1015 8.12.1のけん縮数に基づき測定した。
なお、熱処理後の捲縮数は、繊維を120℃で15分間自由収縮可能な条件で熱処理することによって捲縮を発現させた後、測定した。
(5)紡糸性
2錘で6時間紡糸し、糸切れ回数が5回以下を○(合格)とし、糸切れ回数が5回を超えたものを×とした。
(6)融着の有無
延伸時に90℃で緊張熱処理を行った際の単糸の融着の有無を目視にて判定し、以下のように2段階で評価した。
単糸の融着がない場合:○、単糸の融着がある場合:×
(7)伸張率
得られた不織布を幅5cmに切断し、30g荷重時の長さL0と240g荷重時の長さL1を測定し、次式より伸張率を算出した。
伸張率(%)=〔(L1−L0)/L0〕×100
本発明では80%以上を合格とした。
実施例1
ポリ乳酸樹脂Aとして、L−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂であって、L/Dが98.6/1.4、数平均分子量64300であるものを用いた。ポリ乳酸樹脂Bとして、L−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂であって、L/Dが98.8/1.2、数平均分子量83920であるポリ乳酸樹脂Cと、L−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂であって、L/Dが91.3/8.7、数平均分子量85110であるポリ乳酸樹脂Dとの混合物であって、ポリ乳酸樹脂Dがポリ乳酸樹脂Bの30質量%を占めるものを用いた。なお、ポリ乳酸樹脂Bは、ポリ乳酸樹脂C、Dをチップブレンドして得たものである。
ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bを複合紡糸装置に導入し、複合比1/1にて、図1に示すような並列型(サイドバイサイド型)となるようにして、孔数が713の紡糸口金より、吐出量430g/分、220℃で複合紡糸した。紡糸した糸条を引取速度1100m/minで引き取り、未延伸糸を得た。この時、紡糸時の糸切れはなく、操業性は極めて良好であった。
得られた未延伸糸を集束して糸条束とし、延伸温度60℃、延伸速度100m/min、延伸倍率3.00倍で延伸した後、90℃で緊張熱処理を行い、次いで、押し込み式捲縮装置で機械捲縮を付与した後、カット長51mmに切断して、繊度2.2dtexの短繊維を得た。
得られた短繊維をローラカードを用いて、速度20m/minで開繊してウエブを形成し、針密度192本/cmでニードルパンチ処理を施した後、熱風通過式熱処理機を用い、120℃で2分間熱処理を施した。この熱処理により繊維の捲縮を発現させ、目付150g/mの不織布を得た。
実施例2〜4、比較例1〜3
ポリ乳酸樹脂B中のポリ乳酸樹脂Dの含有量を表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様に行い、ポリ乳酸複合繊維(短繊維)と不織布を得た。
比較例4
ポリ乳酸樹脂AのL/Dを表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様に行い、ポリ乳酸複合繊維(短繊維)と不織布を得た。
比較例5
ポリ乳酸樹脂CのL/Dを表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様に行い、ポリ乳酸複合繊維(短繊維)と不織布を得た。
比較例6〜7
ポリ乳酸樹脂DのL/Dを表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様に行い、ポリ乳酸複合繊維(短繊維)と不織布を得た。
実施例1〜4、比較例1〜7で得られた繊維(短繊維)及び不織布の特性値等を表1に示す。
表1より、明らかなように、実施例1〜4の複合繊維は紡糸時の糸切れや延伸時に融着が生じることなく、操業性よく得ることができ、捲縮発現性も良好であり、これらの繊維から得られた不織布は伸張率も高いものであった。 一方、比較例1、2の複合繊維は、ポリ乳酸樹脂B中のポリ乳酸樹脂Dの含有量が少なかったため、捲縮発現性に劣るものであった。また、これらの複合繊維から得られた不織布は伸張率の低いものであった。比較例3の複合繊維は、ポリ乳酸樹脂B中のポリ乳酸樹脂Dの含有量が多すぎたため、ポリ乳酸樹脂Bの結晶性が低下し、延伸工程で融着が発生し、繊維を得ることができなかった。比較例4の複合繊維は、ポリ乳酸樹脂AのL/Dが98.0/2.0未満であったため、ポリ乳酸樹脂Bとの収縮差が小さくなり、捲縮発現性に劣るものであった。また、この複合繊維から得られた不織布は伸張率の低いものであった。比較例5の複合繊維は、ポリ乳酸樹脂CのL/Dが98.0/2.0未満であったため、ポリ乳酸樹脂Bの結晶性が低下し、延伸工程での融着が発生し、繊維を得ることができなかった。比較例6の複合繊維は、ポリ乳酸樹脂DのL/Dが93.0/7.0を超えるものであったため、ポリ乳酸樹脂Bの収縮性が低くなり、低収縮成分であるポリ乳酸樹脂Aとの差が少なくなり、捲縮発現性に劣るものであった。また、この複合繊維から得られた不織布は伸張率の低いものであった。比較例7の複合繊維は、ポリ乳酸樹脂DのL/Dが90.0/10.0未満であったため、ポリ乳酸樹脂Bの結晶性が低下し、延伸工程での融着が発生し、繊維を得ることができなかった。
本発明の複合繊維の一実施態様(並列的に接合)を示す単繊維の横断面模式図である。 本発明の複合繊維の他の実施態様(偏心的に接合)を示す単繊維の横断面模式図である。 本発明の複合繊維の他の実施態様(並列的に接合かつ中空部を有する)を示す単繊維の横断面模式図である。

Claims (1)

  1. ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bとが単繊維内において接合されてなる複合繊維であって、ポリ乳酸樹脂Bはポリ乳酸樹脂Cとポリ乳酸樹脂Dとの混合物であり、ポリ乳酸樹脂Dはポリ乳酸樹脂B中の10〜50質量%含有されており、かつポリ乳酸樹脂A、C、DはL−乳酸および/またはD−乳酸からなるものであって、下記条件(1)〜(3)を同時に満足することを特徴とするポリ乳酸複合繊維。
    (1)ポリ乳酸樹脂Aは、L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが98.0/2.0以上である。
    (2)ポリ乳酸樹脂Cは、L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが98.0/2.0以上である。
    (3)ポリ乳酸樹脂Dは、L−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが90.0/10.0〜93.0/7.0である。
JP2004304369A 2004-10-19 2004-10-19 ポリ乳酸複合繊維 Active JP4578932B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004304369A JP4578932B2 (ja) 2004-10-19 2004-10-19 ポリ乳酸複合繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004304369A JP4578932B2 (ja) 2004-10-19 2004-10-19 ポリ乳酸複合繊維

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006118065A true JP2006118065A (ja) 2006-05-11
JP4578932B2 JP4578932B2 (ja) 2010-11-10

Family

ID=36536203

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004304369A Active JP4578932B2 (ja) 2004-10-19 2004-10-19 ポリ乳酸複合繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4578932B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63264913A (ja) * 1987-04-21 1988-11-01 Bio Material Yunibaasu:Kk ポリ乳酸繊維
JPH1088425A (ja) * 1996-09-09 1998-04-07 Shimadzu Corp 自発巻縮性複合繊維
JP2002227034A (ja) * 2001-01-29 2002-08-14 Toray Ind Inc 黒発色性に優れたポリ乳酸繊維構造物及びその製造方法
JP2003105629A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Unitika Ltd 耐熱性に優れたポリ乳酸ステレオコンプレックス繊維およびそれからなる繊維製品
JP2003306834A (ja) * 2002-04-17 2003-10-31 Nippon Ester Co Ltd 潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63264913A (ja) * 1987-04-21 1988-11-01 Bio Material Yunibaasu:Kk ポリ乳酸繊維
JPH1088425A (ja) * 1996-09-09 1998-04-07 Shimadzu Corp 自発巻縮性複合繊維
JP2002227034A (ja) * 2001-01-29 2002-08-14 Toray Ind Inc 黒発色性に優れたポリ乳酸繊維構造物及びその製造方法
JP2003105629A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Unitika Ltd 耐熱性に優れたポリ乳酸ステレオコンプレックス繊維およびそれからなる繊維製品
JP2003306834A (ja) * 2002-04-17 2003-10-31 Nippon Ester Co Ltd 潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維

Also Published As

Publication number Publication date
JP4578932B2 (ja) 2010-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2000078839A1 (fr) Resine d'acide polyactique, articles textiles obtenus a l'aide de cette resine, et procedes de production de ces articles textiles
JP2004353161A (ja) ポリエステル複合繊維
CA2388867A1 (en) Poly(trimethylene terephthalate) tetrachannel cross-section staple fiber
JP2006200085A (ja) ポリ乳酸短繊維とその製造方法及び不織布
JP2000080531A (ja) ポリ乳酸繊維を含有する混紡糸
JP2007284846A (ja) ポリエステル複合繊維
JP4578932B2 (ja) ポリ乳酸複合繊維
JP4809015B2 (ja) ポリ乳酸系伸縮性不織布およびその製造方法
JP2016030879A (ja) 海島複合繊維
JP6084398B2 (ja) 芯鞘型複合繊維の製造方法
JP4270734B2 (ja) 嵩高性を有する生分解性繊維の製造方法
JP3886808B2 (ja) ポリ乳酸自発捲縮繊維
JP4263954B2 (ja) 潜在捲縮性ポリ乳酸複合短繊維及び短繊維不織布
JP2002069796A (ja) ポリ乳酸系織編物
JP4620997B2 (ja) ポリ乳酸系自発捲縮繊維
JP4795278B2 (ja) バインダー繊維及びこれを用いてなる不織布
JPH09209216A (ja) 自発巻縮性複合繊維
JPH11158732A (ja) 偏芯芯鞘複合ポリエステル繊維
JP2004100101A (ja) パイル編布用生分解性地糸及びパイル編布
JP2003306834A (ja) 潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維
JP3736945B2 (ja) 潜在捲縮性ポリエステル複合繊維
JP6691857B2 (ja) ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法
JPH09302529A (ja) 自発巻縮性複合繊維
JP2008057057A (ja) ポリ乳酸系繊維およびポリ乳酸系不織布
JPH03185116A (ja) ポリエステル系複合繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100701

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100810

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100825

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130903

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4578932

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130903

Year of fee payment: 3