JP3736945B2 - 潜在捲縮性ポリエステル複合繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸縮性に優れ、かつ、遮光性(透け防止性)を有する布帛を得るのに適した潜在捲縮性ポリエステル複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維は、力学的性質、熱安定性、ウォッシャブル性等に優れており、衣料用、産業資材用、インテリア用等極めて広い分野に使用されている。その中で、スポーツ衣料等の織編物あるいはハップ材基布用等の不織布には機能性及びフィット性等の要求から伸縮性に富んだものが求められている。
【0003】
また、繊維製品の多様化とコストダウンの要求により、目付の小さい薄地の布帛とすることが多いが、薄地とすると遮光性が低下し、透けて見えるようになるという問題があった。
【0004】
従来、伸縮性を有する布帛を得る方法として、潜在捲縮能を有するポリエステル複合繊維を用いる方法が知られている。例えば、伸縮性布帛用に適する繊維として、特開平9−157955号公報には、実質的にエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステルとイソフタル酸と2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパンとを共重合したエチレンテレフタレート単位主体の共重合ポリエステルとからなる潜在捲縮性複合繊維が開示されている。
【0005】
また、ポリエステル繊維の遮光性を高める方法として、二酸化チタンを多量に含有させる方法が知られているが、上記のような複合繊維において、共重合ポリエステルに二酸化チタンを多量に含有させると、溶融紡糸時に濾圧上昇が速いと同時に糸切れが多発して、製糸性が極めて悪いという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決し、製糸性良く製造することができ、伸縮性に優れ、かつ、遮光性を有する布帛を得るのに適した潜在捲縮性ポリエステル複合繊維を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するもので、その要旨は次の通りである。実質的にエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステルAとイソフタル酸(IPA)2〜5モル%と2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン(BA・EO)3〜6モル%とを共重合したエチレンテレフタレート単位主体の共重合ポリエステルBとが偏心的に接合した複合繊維であって、ポリエステルAは極限粘度が 0.55 〜 0.75 、二酸化チタンを 1.5 〜 2.5 重量%含有し、共重合ポリエステルBは極限粘度が 0.65 〜 0.82 、二酸化チタン含有量が 0.01 〜 0.4 重量%であり、 170℃における自由収縮熱処理で50個/25mm以上のスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮能を有することを特徴とするポリエステル複合繊維。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明において、ポリエステルAとしては、実質的にエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステルが用いられ、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーが好ましい。
【0010】
また、共重合ポリエステルBは、エチレンテレフタレート単位を主たる構成単位とし、IPAとBA・EOとを共重合成分とするものである。
【0011】
共重合ポリエステルBにおけるIPAの共重合割合は2〜5モル%とすることが必要である。IPAの共重合割合が2モル%未満では、実質的に大きな捲縮が得られず、一方、5モル%を超えると、融点が低下するため、熱安定性が損なわれる。
また、BA・EOの共重合割合は3〜6モル%とすることが必要である。BA・EOの共重合割合が3モル%未満では、収縮特性が不十分となり、布帛にした場合、その伸縮性が悪く、十分な伸縮機能が得られない。一方、この共重合割合が6モル%を超えると、融点が低下したり、繊維の強力低下が著しいため、好ましくない。
【0012】
ポリエステルAは、極限粘度が0.55〜0.75、共重合ポリエステルBは、極限粘度が0.65〜0.82のものが好ましい。
【0013】
本発明においては、複合繊維に二酸化チタンを比較的多量に含有させるが、ポリエステルAの二酸化チタン含有量が 1.3重量%以上、好ましくは 1.5〜2.5 重量%、共重合ポリエステルBの二酸化チタン含有量が 0.5重量%以下、好ましくは0.01〜0.4 重量%となるようにする。ポリエステルAの二酸化チタン含有量が 1.3重量%未満であると遮光効果が不十分となり、共重合ポリエステルBの二酸化チタン含有量が 0.5重量%を超えると製糸性が悪化する。
【0014】
なお、ポリエステルA及び共重合ポリエステルBは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の共重合成分を含有していてもよく、難燃剤、制電剤、抗菌剤、セラミックス等種々の改質剤や添加剤を含有していてもよい。
【0015】
本発明の複合繊維は、ポリエステルAと共重合ポリエステルBとが偏心的に接合した複合繊維であって、弛緩熱処理によってスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮性繊維である。複合形態は、特に限定されないが、芯鞘型よりもサイドバイサイド型の方が捲縮発現能が優れている点で好ましい。
【0016】
また、本発明の複合繊維は、170 ℃における自由収縮熱処理で50個/25mm以上のスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮能を有することが必要である。伸縮性を有する布帛を得るためには、捲縮を発現させた時、布帛を構成する繊維が30個/25mm以上、好ましくは40個/25mm以上のスパイラル捲縮を有するようにすることが必要で、そのためには原綿状態で50個/25mm以上のスパイラル捲縮発現能を有することが必要である。
【0017】
また、梳綿工程でネップや未開繊部の発生しない原綿とすることが必要である。一般にネップや未開繊部の発生は、捲縮数、捲縮形態と密接な関係にあり、機械捲縮の場合、捲縮数が8個/25mm未満では未開繊部が発生しやすく、18個/25mmを超えるとネップが発生しやすい。また、梳綿工程以前でスパイラル捲縮を発現させた場合、ネップが発生し易く、ウエブの均斉度が悪くなるほか、ウエブの素抜けが発生し易い。
したがって、50個/25mm以上のスパイラル捲縮発現能を有する潜在捲縮性複合繊維に8〜18個/25mmの機械捲縮を付与すると好ましい原綿となる。
【0018】
機械捲縮を付与する方法としては、スタッフィングボックス式、加熱ギヤ式等が採用できるが、一般にスタッフィングボックス式が採用される。
【0019】
本発明の複合繊維は、所定量の二酸化チタンを配合したポリエステルAと共重合ポリエステルBとを用いて、常法によって製糸することにより製造することができる。この際、共重合ポリエステルBの共重合組成、複合比、紡糸速度、延伸倍率及び熱処理温度等を適切に選定することにより、前記の潜在捲縮特性を有する繊維とすることができる。
【0020】
本発明の複合繊維は、紡績糸又は布帛とした後に、弛緩熱処理することによりスパイラル捲縮を発現し、高伸縮性を有し、かつ、遮光性を有する布帛を与えるものである。
【0021】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。
なお、実施例における特性値等の測定法は次の通りである。
(a) 極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合溶媒を用い、温度20℃で測定した。
(b) 二酸化チタン含有量(TiO2)
ポリエステルを円板状に溶融成形し、リガク社製X線スペクトロメータ−3270を用いて測定した。
(c) 繊度
JIS L 1015 7-5-1-1A の方法により測定した。
(d) 強伸度
JIS L 1015 7-7-1の方法により測定した。
(e) 捲縮数
JIS L 1015 7-12-1 の方法により測定した。
なお、潜在捲縮の顕在化は、短繊維を 170℃で15分間自由収縮可能な条件で熱処理することにより行った。
(f) 伸長率
不織布を幅5cmに切断し、30g荷重時の長さL0 と 240g荷重時の長さL1 を測定し、次式より伸長率を算出した。
伸長率 (%) =〔 (L1−L0)/L0 〕×100
(g) 遮光率
東京光学機械社製の光電池照度計SIP−5型を用いて測定した。
【0022】
実施例1
ポリエステルAとして、〔η〕が0.68で、二酸化チタンを2.01重量%含有したポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステルBとして、〔η〕が0.80で、二酸化チタンを0.02重量%含有したIPA4モル%とBA・EO 4.5モル%とを共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルを用い、複合重量比1/1で、複合溶融紡糸装置によって、円形紡糸孔を 344個有する紡糸口金を用い、紡糸温度 282℃、引取速度1170m/分、吐出量 189g/分で、サイドバイサイド型複合繊維を紡糸した。(製糸性は良好であった。)
得られた未延伸糸を75万dのトウ状に集束し、延伸倍率2.81倍、延伸温度62℃で延伸し、 122℃で緊張熱処理を行い、スタッフィングボックスで機械捲縮を付与した後、カットしてカット長51mmの短繊維を得た。
次に、この短繊維をローラカードを用いて、速度20m/分で開繊してウエブとし、ニードルパンチ処理を施した後、熱風通過式熱処理機で、 170℃で3分間熱処理して、表1に示した目付けの不織布を作成した。
原綿及び不織布の特性値等を表1に示す。
【0024】
実施例3〜4
共重合ポリエステルBの共重合量を表1に示すように変え、その他は実施例1と同様にして短繊維を得た。(製糸性は良好であった。)
この短繊維を用いて、実施例1と同様にして不織布を得た。
原綿及び不織布の特性値等を表1に示す。
【0025】
比較例1
ポリエステルAとして、〔η〕が0.68で、二酸化チタンを0.50重量%含有したポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステルBとして、〔η〕が0.81で、二酸化チタンを0.43重量%含有したIPA4モル%とBA・EO 4.5モル%とを共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルを用い、その他は実施例1と同様にして短繊維を得た。
この短繊維を用いて、実施例1と同様にして不織布を得た。
原綿及び不織布の特性値等を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
比較例2
ポリエステルAとして、〔η〕が0.68で、二酸化チタンを1.50重量%含有したポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステルBとして、〔η〕が0.82で、二酸化チタンを0.60重量%含有したIPA4モル%とBA・EO 4.5モル%とを共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルを用い、実施例1と同様な条件で製糸した。
紡糸、延伸時に糸切れが多発し、製糸性が悪かった。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、製糸性良く製造することができ、伸縮性に優れ、かつ、遮光性(透け防止性)を有する布帛を得るのに適した潜在捲縮性ポリエステル複合繊維が提供される。
Claims (2)
- 実質的にエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステルAとイソフタル酸2〜5モル%と2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン3〜6モル%とを共重合したエチレンテレフタレート単位主体の共重合ポリエステルBとが偏心的に接合した複合繊維であって、ポリエステルAは極限粘度が 0.55 〜 0.75 、二酸化チタンを 1.5 〜 2.5 重量%含有し、共重合ポリエステルBは極限粘度が 0.65 〜 0.82 、二酸化チタン含有量が 0.01 〜 0.4 重量%であり、 170℃における自由収縮熱処理で50個/25mm以上のスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮能を有することを特徴とするポリエステル複合繊維。
- 8〜18個/25mmの機械捲縮が付与されている請求項1記載の潜在捲縮性ポリエステル複合繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP19681497A JP3736945B2 (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | 潜在捲縮性ポリエステル複合繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19681497A JP3736945B2 (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | 潜在捲縮性ポリエステル複合繊維 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH1143822A JPH1143822A (ja) | 1999-02-16 |
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ID=16364111
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19681497A Expired - Lifetime JP3736945B2 (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | 潜在捲縮性ポリエステル複合繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Families Citing this family (1)
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JP4602856B2 (ja) * | 2005-07-06 | 2010-12-22 | 日本エステル株式会社 | 潜在捲縮性ポリエステル複合繊維 |
-
1997
- 1997-07-23 JP JP19681497A patent/JP3736945B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1143822A (ja) | 1999-02-16 |
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