JP3666059B2 - 生分解性繊維及びこれを用いた不織布 - Google Patents

生分解性繊維及びこれを用いた不織布 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、生分解性繊維に関し、特に室温での経時安定性の良い生分解性繊維に関する。
【0002】
【従来技術・発明が解決しようとする課題】
従来、生活資材、農業資材、漁業資材、土木資材に使用されている繊維として、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド等の合成繊維が挙げられる。これらの繊維は、使用後自然界に放置されると、分解されにくく、その為にいろいろな問題が生じるものであった。例えば、これらの生活資材、農業資材、土木資材等は、分解されにくい為、使用後は土中に埋める、焼却する等の処理が必要となり、土中に埋めると生分解性が低いため、その土地の利用方法には制限があった。また、漁業資材においては、水中に放置されることが多く、海洋を汚す等の問題があった。このような問題を解決する為に、土中または水中で分解される素材を用いることが考えられてきたが、充分なものは得られていない。
【0003】
従来の生分解性ポリマーとしては、セルロース、セルロース誘導体、キチン、キトサン等の多糖類、タンパク質、ポリ3−ヒドロキシブチレートや3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体等の微生物により作られるポリマー、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルが知られている。
主に使用されているセルロース系のコットン、再生セルロースは安価であるが、熱可塑性でないためバインダーを必要とし、該バインダー繊維としてポリオレフィン、ポリエステル繊維等を用いるため、生分解されにくいという問題があった。
微生物により作られるポリ3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体等は、高価であるため用途が限定され、また強度が低いという問題があった。
ポリカプロラクトンは、比較的安価な生分解性ポリマーであるが、融点が約60℃と低く、この温度は自然界において、夏期の流通段階で起こり得る温度であり、耐熱性という点で問題があった。
【0004】
さらには、安価な素材としてポリエチレンに澱粉を混合した素材が検討されているが、生分解性において満足いく物でなく、均一な機械特性の繊維を得ることができていない。
特開平4−108331号公報には、グリコール酸及び/又は乳酸を構造単位とする加水分解性ポリエステル繊維に、その繊維より加水分解性が低い分解性重合体をコートした釣り糸が開示されているが、後加工を必要とする問題があった。また、ポリ乳酸は、比較的安定なポリマーであるが、室温での経時安定性(強度保持率)に問題があり、特に強度が低下するという問題があった。
【0005】
このように従来技術においては、強度及び実用耐熱性を持ち、室温での経時安定性(強度保持率)が良く、微生物により速やかで、且つ優れた生分解性をもつ熱可塑性生分解性繊維がなく、実用性があり且つ比較的安価な生分解性繊維を得ることができなかった。
【0006】
本発明の課題は、このような事情に鑑み、ポリ乳酸系の生分解性繊維において経時安定性(強度保持率)が改善され、且つ強度をもつような生分解性繊維を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、生分解性繊維に、ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とする共重合物からなる熱可塑性樹脂を用いて、低分子量化合物の含量を制御することで上記問題を解決するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
(1) ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とする共重合物からなる熱可塑性樹脂を含んでなり、低分子量化合物の含量が1重量%以下であることを特徴とする生分解性繊維、
(2) 融点が120〜200℃の範囲にあるか又は流動開始温度が100〜180℃の範囲にある (1)記載の生分解性繊維、
(3) 前記熱可塑性樹脂が、水酸基を持つ化合物によって該熱可塑性樹脂中のカルボキシル基をエステル化されてなるものである (1)または(2) 記載の生分解性繊維、
(4) 引張強度2.5g/d以上、引張破断伸度10%以上である (1)〜(3) のいずれかに記載の生分解性繊維、
(5) 引張強度2.5g/d以上、引張破断伸度10%以上、結節強度1.5g/d以上である (1)〜(3) のいずれかに記載の生分解性繊維、
(6) マルチフィラメントの形態である (1)〜(5) のいずれかに記載の生分解性繊維、
(7) モノフィラメントの形態である (1)〜(5) のいずれかに記載の生分解性繊維、
(8) 短繊維の形態である (1)〜(7) のいずれかに記載の生分解性繊維、
(9)(8)記載の生分解性繊維を用いてなる短繊維不織布、
(10) (1)〜(3) のいずれかに記載の生分解性繊維を用いてなる長繊維不織布に関する。
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とする共重合物からなる。
ポリ乳酸を製造するための乳酸としては、D体のみ、L体のみ、D体とL体の混合物のいずれでもよい。
ポリ乳酸を主体とする共重合物としては、乳酸(D体のみ、L体のみ、D体とL体の混合物のいずれでもよい。)と、例えばε−カプロラクトン等の環状ラクトン類、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸等のα−オキシ酸類、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、コハク酸、セバシン酸等のジカルボン酸類から選ばれるモノマーの一種又は二種以上とを共重合したものが挙げられる。中でも、ポリマーの重合性の点から、環状ラクトン類及びグリコール類が好ましい。
共重合の割合としては特に限定されないが、乳酸100重量部に対して、共重合させるモノマーは100重量部以下が好ましく、1〜50重量部がより好ましい。
【0010】
また、上記熱可塑性樹脂が、水酸基を持つ化合物によって該熱可塑性樹脂中のカルボキシル基をエステル化されてなるものであっても良い。
水酸基を持つ化合物としては、例えばオクチルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数が6以上の高級アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類が挙げられる。水酸基を持つ化合物で熱可塑性樹脂の分子末端のカルボキシル基をエステル化処理することにより、溶融紡糸時の熱安定性および溶融紡糸後の繊維の経時安定性を改善することができる。中でも、紡糸延伸性の点から、炭素数6〜18の高級アルコールが好ましい。
【0011】
熱可塑性樹脂の合成は、自体既知の方法で行えば良く、例えば、触媒存在下にてL−ラクチドを開環重合し必要に応じて再沈澱精製し熱可塑性樹脂を得る。また共重合するモノマー、又はオリゴマーとL−ラクチドを触媒存在下にて開環重合し必要に応じ再沈澱精製し共重合熱可塑性樹脂を得る。
【0012】
本発明に用いる熱可塑性樹脂は、その粘度平均分子量が5×103 以上であることが好ましく、より好ましくは1×104 〜1×106 である。5×103 未満では繊維として、充分な強度が得られない傾向があり、1×106 を越えると、紡糸時高粘度となり製糸性が劣る傾向がある。
【0013】
ここで粘度平均分子量〔MV〕は、ηsp/C=7.79×10-4MV0.73〔式中、ηsp/Cは還元比粘度(dl/g)、MVは粘度平均分子量である〕に基づいたものである。
【0014】
また、本発明に用いる熱可塑性樹脂は、その還元比粘度が0.5〜19(dl/g)であることが好ましく、より好ましくは1.0〜6.0(dl/g)である。熱可塑性樹脂の還元比粘度が0.4(dl/g)未満であると、引張強度が不足である傾向があり、20(dl/g)を越えると、紡糸時粘度が高く加工性が良くない傾向がある。
【0015】
ここで還元比粘度とは、試料を精秤し、0.5g/dlとなるようにクロロホルムに溶解し、該溶液について、25℃でウベローデ型粘度計を用いて測定したものである。
【0016】
熱可塑性樹脂の平均分子量は、重合開始剤、及び重合条件により調整できる。
【0017】
本発明の生分解性繊維は、上記熱可塑性樹脂を通常の溶融紡糸法、例えばスピンドロー法、高速紡糸法に付すことにより得ることができる。
【0018】
溶融紡糸時の熱可塑性樹脂の温度は、その融点以上且つ230℃以下であることが望ましい。より好ましいのは、生分解性繊維の融点以上210℃以下である。230℃を越えると、生分解性繊維中にラクチドを再生成しやすい傾向があり、熱劣化する傾向がある。
【0019】
溶融紡糸された未延伸糸は、空冷もしくは、20〜60℃の水浴又は、油浴中で冷却した後、通常一度巻き取った後、1段又は2段以上の延伸工程で延伸される。全延伸倍率は、使用目的と要求性能により異なるが、通常2〜8倍、好ましくは3〜7倍に延伸する。
【0020】
本発明の生分解性繊維は、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上の融点を有する。かくして、流通における製品の温度安定性、例えば夏期における80℃程度の保管にも耐えることができる。また、紡糸時の熱可塑性樹脂の熱安定性の点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
【0021】
本発明において生分解性繊維の融点とは、島津製作所製DSC−50を用い、10℃/分の速度で昇温して測定したものである。
【0022】
生分解性繊維の融点は、環状ラクトン類、グリコール類、ジカルボン酸等を共重合させることにより調整できる。また、乳酸のD/L体比を変えることでも調整できる。
【0023】
生分解性繊維は、DSCで結晶融解ピークを示さない場合は、その流動開始温度は好ましくは100〜180℃、より好ましくは120〜180℃である。軟化点が100℃未満であれば、耐熱性が低く、用途を満足しない傾向があり、180℃を越えると、不織布等の熱加工性が低くなる傾向がある。
【0024】
ここで流動開始温度とは、ヤナコ社製の精密融点測定機を用い、せん断応力を加え、流動を示した温度を流動開始温度とする。昇温温度は5℃/分である。
【0025】
生分解性繊維の流動開始温度は、共重合物、及び共重合比により調整できる。
【0026】
また、本発明の生分解性繊維は、その中に含まれる低分子量化合物の量が1重量%以下である。好ましくは0.5重量%以下であり、さらに好ましくは0.3重量%である。生分解性繊維中の低分子量化合物の含量が1重量%を越えると、室温での経時安定性が悪くなる。
【0027】
本発明において低分子量化合物とは、乳酸、ラクチド、ラクチル乳酸を示し、低分子量化合物の含量とは、乳酸、ラクチド、ラクチル乳酸の合計量で表す。
【0028】
ここで低分子量化合物の含量とは、液体クロマトグラフィー法に基づき、オクタデシルシラン(ODS)カラムを用いて逆相高速液体クロマトグラフィーにて測定したものである。
【0029】
生分解性繊維中の低分子量化合物の含量は、熱可塑性樹脂中の低分子量化合物の含量を低下させたり、紡糸中の低分子量化合物の生成をおさえることにより調整できる。
すなわち、熱可塑性樹脂中の低分子量化合物を減圧除去、又は溶媒に溶解し再沈澱精製したり、紡糸中の解重合をおさえる触媒(重合後は除去するか、又は失活させることが望ましい)を用いたりすること等である。
【0030】
本発明の生分解性繊維は、その引張強度が2.5g/d以上、引張破断伸度が10%以上であることが好ましい。
【0031】
本発明の生分解性繊維の引張強度は、前記のように2.5g/d以上であることが好ましく、より好ましくは4g/d以上である。
引張強度が2.5g/dに満たないと、土木建築資材用途、漁業資材用途、農業資材用途、その他産業資材用途、衣料用途として用いるには、引張強度が不足であって好ましくない。
【0032】
本発明において引張強度とは、JIS L1013に準じて測定したものである。
【0033】
生分解性繊維の引張強度は、紡糸延伸条件により調整できる。
【0034】
また、本発明の生分解性繊維は、糸物性の点から、その引張破断伸度が10%以上であることが好ましく、20〜100%の範囲であることがより好ましい。
【0035】
本発明において引張破断伸度とは、JIS L1013に準じて測定したものである。
【0036】
生分解性繊維の引張破断伸度は、紡糸延伸条件により調整できる。
【0037】
本発明の生分解性繊維は、引張強度及び引張破断伸度が上記範囲であることに加えて、その結節強度が1.5g/d以上であることが好ましく、2.0g/d以上がより好ましい。
結節強度が1.5g/dに満たないと、土木建築資材用途、漁業資材用途、農業資材用途、その他産業資材用途、衣料用途として用いる場合に要求される糸物性を満足できない傾向がある。
【0038】
本発明において結節強度とは、JIS L1013に基づいて測定したものである。
【0039】
本発明の生分解性繊維は、マルチフィラメント又はモノフィラメント、或いは短繊維又は長繊維不織布の形態として用いることができる。
【0040】
上記モノフィラメントとは、1本からなる繊維のことで、前記紡糸法によって得ることができる。
【0041】
上記マルチフィラメントとは、モノフィラメントが2〜100本の束となった繊維のことであり、これらは、モノフィラメントと同様の方法によって得ることができる。
【0042】
また、短繊維とは、繊維長2〜80mm程度の長さを有する繊維であり、紡績糸、湿式不織布、乾式不織布等に用いられる。通常、紡績糸に用いる場合、繊維長は20〜80mm、好ましくは30〜70mm、湿式不織布に用いる場合は2〜10mm、好ましくは2〜8mm、乾式不織布に用いる場合は20〜80mm、好ましくは20〜70mm程度である。本発明の短繊維は、例えば溶融紡糸し、延伸した後、又は高速紡糸した後、得られることができる。
【0043】
上記湿式不織布とは、液体中に短繊維を分散し抄造後、乾燥することにより得られる不織布であり、乾式不織布とは、カード、ローラ等で開繊後、ウェッバーによりウェッブとし、必要に応じ部分的、又は全体に融着させたり、三次元に交絡させた不織布である。
【0044】
生分解性短繊維には、カード開繊性を良くするために、捲縮加工を加えることができる。捲縮加工方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができ、例えば押し込みギアー法、スタフィングボックス法を使用することができる。
【0045】
捲縮数は5〜50コ/25mm、好ましくは10〜30コ/25mmが好適である。捲縮数が5コ/25mmより少ないと、開繊時未開繊部分が生じ易い傾向があり、50コ/25mmを越えると均一な開繊が得られない傾向がある。
ここで捲縮数とは、JIS L1015に準じて測定したものである。
【0046】
また、捲縮率は5%以上であり、好ましくは8%以上である。捲縮率が5%未満であると、カードにかけた時、均一なウェブが得にくく、疎密部分が発生する傾向がある。
ここで捲縮率とは、JIS L1015に準じて測定したものである。
【0047】
本発明の生分解性繊維を用いてなる短繊維不織布は、上記短繊維を用い、自体既知の方法で製造すればよいが、例えば短繊維をローラーカードによりカーディングし、ウェブとし、必要に応じてニードルパンチ加工、カレンダー加工、エンボス加工等により交絡または接着することにより製造できる。また、必要により繊維方向性をランダムウェバーにより変えることができる。
【0048】
また、本発明の生分解性繊維を用いてなる長繊維不織布は、自体既知の方法で製造すればよいが、例えばスパンボンド法またはメルトブロー法により製造することができる。
スパンボンド法とは、熱可塑性樹脂を融点以上に加熱溶融し、紡糸口金より紡出し、紡出された長繊維を冷却固化しながら下部に設置されたエアーサッカー等の引取り手段により2000m/min以上の引取り速度により牽引し、その後開繊し定速で移動しているエンドレスの捕集面に補集しウェブとし、これをエンボス加工、カレンダー加工により全体または部分的に熱圧着する、或いはニードルパンチ加工、水流交絡加工により交絡する方法である。
メルトブロー法とは、熱可塑性樹脂を融点以上に加熱溶融し一直線に配列された紡糸孔を有する紡糸口金より吐出し紡糸ノズルの両サイドから高速噴出する高温高圧エアーによってマイクロファイバー化する。その後定速で移動しているエンドレスの捕集面に補集しウェブとし、これをエンボス加工、カレンダー加工により全体または部分的に熱圧着する、或いはニードルパンチ加工、水流交絡加工により交絡する方法である。
【0049】
本発明の生分解性繊維には、帯電防止性、集束性を考慮して、ラウリルホスフェートカリウム塩等のアニオン系界面活性剤、四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、脂肪族高級アルコールや高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物等のノニオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールブロック共重合体等のポリアルキレングリコール類、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル類を一種又は二種以上付与することができる。
【0050】
本発明に用いる生分解性繊維には、熱可塑性樹脂、ポリカプロラクトン等の他の脂肪族ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアミノ酸等のポリマー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム等の無機物、デンプン、タンパク質、食品添加物等を一種又は二種以上、適量混合することができ、機械特性、生分解特性等を種々変化させることができる。
【0051】
本発明の生分解性繊維には、上記以外に必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の公知の添加剤が配合されていてもよい。
【0052】
【実施例】
以下実施例をあげて、本発明をさらに説明する。また、各測定法を以下に説明する。
【0053】
低分子量化合物の含量は、液体クロマトグラフィー法に基づき、オクタデシルシラン(ODS)カラムを用いて逆相高速液体クロマトグラフィーにて測定した。
【0054】
還元比粘度は、試料を精秤し、0.5g/dlとなるようにクロロホルムに溶解し、該溶液について、25℃でウベローデ型粘度計を用いて測定した。
【0055】
引張強度、引張破断伸度および結節強度は、JIS L1013に基づいて測定した。
【0056】
融点は、島津製作所製DSC−50を用い、10℃/分の速度で昇温して測定した。
【0057】
強度保持率は、繊維の初期の引張強度と、室温25℃、相対湿度60%中に12ヵ月放置した後の繊維の引張強度を測定し、(式2)により求めた。
強度保持率(%)=(T/T0 )×100 (式2)
〔式中、Tは室温25℃、相対湿度60%中に12ヵ月放置後の繊維の引張強度(g/d)、T0 は繊維の初期引張強度(g/d)である〕
【0058】
生分解性については、土壌中に、繊維を埋没させ、6ヵ月後の分解状態を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)にて評価した。形状が失われている場合(表面に凹凸が生じる、破断する等)を生分解性良好とした。
【0059】
実施例1
還元比粘度が1.57である、分子末端のカルボキシル基をラウリルアルコールでエステル化したポリ乳酸を、紡糸温度190℃で直径3mmの紡糸孔を20個有する紡糸ノズルから、紡速300m/minで溶融紡糸した。未延伸糸を一旦巻取った後、140℃で4.5倍に延伸し、単糸繊度2.1d、低分子量化合物含量0.2重量%の繊維を得た。
【0060】
実施例2
還元比粘度が1.54であるポリ乳酸を、紡糸温度200℃で直径0.3mmの紡糸孔を20個有する紡糸ノズルから、紡速300m/minで溶融紡糸した。未延伸糸を一旦巻取った後、140℃で4.5倍に延伸し、単糸繊度2.2d、低分子量化合物含量0.4重量%の繊維を得た。
【0061】
実施例3
還元比粘度が1.55であるポリ乳酸を、紡糸温度190℃で直径0.3mmの紡糸孔を20個有する紡糸ノズルから、紡速300m/minで溶融紡糸した。未延伸糸を一旦巻取った後、140℃で4.5倍に延伸し、単糸繊度2.2d、低分子量化合物含量0.9重量%の繊維を得た。
【0062】
実施例4
還元比粘度が1.73であるポリ乳酸を、紡糸温度190℃で直径1.0mmの紡糸孔を1個有する紡糸ノズルから溶融紡糸し、水浴中(30℃)で固化させ、紡速20m/minで紡糸した。未延伸糸を一旦巻取った後、140℃で5倍に延伸し、繊度380d、低分子量化合物含量0.8重量%の繊維を得た。
【0063】
比較例1
還元比粘度が1.56であるポリ乳酸を、紡糸温度190℃で直径0.3mmの紡糸孔を20個有する紡糸ノズルから、紡速300m/minで溶融紡糸した。未延伸糸を一旦巻取った後、140℃で4.5倍に延伸し、単糸繊度2.0d、低分子量化合物含量3.0重量%の繊維を得た。
【0064】
比較例2
還元比粘度が1.56であるポリ乳酸を、紡糸温度220℃で直径0.3mmの紡糸孔を20個有する紡糸ノズルから、紡速300m/minで溶融紡糸した。未延伸糸を一旦巻取った後、140℃で4.5倍に延伸し、単糸繊度2.1d、低分子量化合物含量2.2重量%の繊維を得た。
【0065】
比較例3
還元比粘度が1.54であるポリ乳酸を、紡糸温度230℃で直径0.3mmの紡糸孔を20個有する紡糸ノズルから、紡速300m/minで溶融紡糸した。未延伸糸を一旦巻取った後、140℃で4.5倍に延伸し、単糸繊度2.1d、低分子量化合物含量5.1重量%の繊維を得た。
【0066】
比較例4
還元比粘度が1.78であるポリ乳酸を、紡糸温度190℃で直径1.0mmの紡糸孔を1個有する紡糸ノズルから溶融紡糸し、水浴中(30℃)で固化させ、紡速20m/minで紡糸した。未延伸糸を一旦巻取った後、140℃で5倍に延伸し、繊度380d、低分子量化合物含量3.5重量%の繊維を得た。
【0067】
実施例1〜4、比較例1〜4で得られた繊維物性値、及び生分解性の評価結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0003666059
【0069】
表1より本発明の生分解性繊維が、優れた生分解性と良好な物性を有し、室温での強度保持率も良く、耐熱性にも優れていることが分かった。
【0070】
実施例5
実施例1で得られた生分解性繊維を、スタフィングボックス法で捲縮加工した後、64mmにカットし、生分解性短繊維を得た。得られた短繊維をランダムウェッバーにより目付け100g/m2 のウェブとした後、ニードルパンチ処理し不織布を得た。
【0071】
実施例6
還元比粘度が1.51の分子末端カルボキシル基をラウリルアルコールでエステル化したポリ乳酸を、スパンボンド法で目付100g/cm2 の不織布を得た。紡糸条件は、紡糸温度200℃で直径0.3mmの紡糸孔を有する紡糸ノズルから吐出量=0.8g/min.孔、牽引速度=3500m/min.であった。スパンボンド不織布の低分子量化合物の含量は0.5%で、融点は173℃であった。
【0072】
実施例7
還元比粘度が1.21のポリ乳酸を、紡糸温度210℃、空気温度210℃、吐出量=0.8g/min.孔の条件でメルトブロー法により平均繊維径3.5μm、目付100g/cm2 のメルトブロー不織布を得た。メルトブロー不織布の低分子量化合物の含量は0.8%で、融点は172℃であった。
【0073】
実施例5、6、7の不織布の生分解性を評価したところ生分解性は良好であった。
【0074】
【発明の効果】
本発明の生分解性繊維は、ポリ乳酸系の生分解性繊維であり、しかも経時安定性(強度保持率)に優れ、且つ強度及び実用耐熱性をもち、実用性があり且つ比較的安価な生分解性繊維である。また、本発明の生分解性繊維は、生活資材、農業資材、漁業資材、土木建築資材、その他産業資材、衣料に好適であり、自然界において完全生分解性を有する。

Claims (9)

  1. ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とする共重合物からなり、末端カルボキシル基が炭素数6〜18の高級アルコール類によってエステル化された還元比粘度(dl/g)が1.0〜1.73の熱可塑性樹脂を紡糸して得られた、低分子量化合物の含量が1重量%以下であることを特徴とする生分解性繊維。
  2. 炭素数6〜18の高級アルコール類がラウリルアルコールである、請求項1記載の生分解性繊維。
  3. 融点が120〜200℃の範囲にあるか又は流動開始温度が100〜180℃の範囲にある請求項1又は2記載の生分解性繊維。
  4. 引張強度2.5g/d以上、引張破断伸度10%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性繊維。
  5. マルチフィラメントの形態である請求項1〜のいずれかに記載の生分解性繊維。
  6. モノフィラメントの形態である請求項1〜のいずれかに記載の生分解性繊維。
  7. 短繊維の形態である請求項1〜のいずれかに記載の生分解性繊維。
  8. 請求項記載の生分解性繊維を用いてなる短繊維不織布。
  9. 請求項1又は2に記載の生分解性繊維を用いてなる長繊維不織布。
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