JP2002065079A - 幼木保護シート - Google Patents

幼木保護シート

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JP2002065079A
JP2002065079A JP2000261169A JP2000261169A JP2002065079A JP 2002065079 A JP2002065079 A JP 2002065079A JP 2000261169 A JP2000261169 A JP 2000261169A JP 2000261169 A JP2000261169 A JP 2000261169A JP 2002065079 A JP2002065079 A JP 2002065079A
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Japan
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sheet
fiber
polylactic acid
young tree
strength
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JP2000261169A
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English (en)
Inventor
Atsushi Matsunaga
篤 松永
Yukihiro Kihara
幸弘 木原
Hironobu Ishiwatari
裕信 石渡
Yuji Okada
雄二 岡田
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い透光率と優れた耐候性とを有する幼木保
護シートを提供する。 【解決手段】 ポリ乳酸系重合体からなる長繊維不織布
で構成され、透光率60%以上、引張強力50N/5c
m幅以上、かつウエザーメーターを用いた耐候性試験に
おいて下式(1)から求められる強力保持率が50%以
上であることを特徴とする幼木保護シート。 (1) 強力保持率(%)=(S1/S0)×100 なお、(1)式において、S1;300時間照射後の試
料の抗張積、S0;照射前の試料の抗張積である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に自然界におい
て幼木を育成する際に、幼木の成長時に種々の動物から
幼木を保護するために木の幹に巻きつけて使用する幼木
保護シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、幼木保護用のシートには、幼
木の成長に必要な太陽光線は通過し、しかも幼木の表皮
を食べにくる動物から幼木を保護するために種々の工夫
がなされてきた。また、かかるシートには、上記透光性
やシートの硬さ等、種々の性能の他に、太陽光線に直接
的又は間接的に長時間暴露されて使用されるものである
ので、そのような状態で長期間使用した場合でもシート
強度が低下しにくい耐候性が要求されている。
【0003】現在、幼木保護シートとして、寒冷紗が用
いられているが以下のような問題がある。すなわち、寒
冷紗はテープ状のフィルムのごときものが堆積・接着さ
れてなるものであるため、シートの強力が十分でなく、
幼木が成長時に幹が大きくなるが、その変化に対して耐
えられず、幹の凹凸部分に接している部分より破け、そ
の破けた部分より動物がシートを食いちぎって表皮を食
べて、幼木の成長を阻害するという問題がある。
【0004】このような寒冷紗に代えて、芳香族ポリエ
ステルやポリアミド等の熱可塑性合成重合体からなる長
繊維不織布を幼木保護シートとして用いることが考えら
れる。不織布は、繊維を構成している重合体が十分に分
子配向しているため、シート強力の点で優れている。し
かし、これらの熱可塑性合成重合体からなる不織布は、
初期のシート強力は確かに優れているものの、長期間に
亘る野外での使用における耐候性の点では、熱可塑性重
合体単独では十分な耐候性を持たないため、何らかの耐
候剤を添加する必要がある。しかしながら、熱可塑性重
合体に耐候剤を添加した場合、繊維製造工程における溶
融紡糸の際に耐候剤が熱分解してしまうことが多く、得
られた繊維は、十分な耐候性を発現し難い。耐熱分解性
の高い耐候剤を採用するということも考えられるが、十
分な効果を有する耐候剤は未だ見出されていないのが現
状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題を
解決し、高い透光率と優れた耐候性とを有する幼木保護
シートを提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明らは、前記問題を
解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達した。すなわ
ち、本発明は、ポリ乳酸系重合体からなる長繊維不織布
で構成され、透光率60%以上、引張強力50N/5c
m幅以上であり、かつウエザーメーターを用いた耐候性
試験において下式(1)から求められる強力保持率が5
0%以上であることを特徴とする幼木保護シートを要旨
とするものである。 (1) 強力保持率(%)=(S1/S0)×100 なお、(1)式において、S1;300時間照射後の試
料の抗張積、S0;照射前の試料の抗張積とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の幼木保護シートは、ポリ
乳酸系重合体からなる長繊維不織布で構成される。ポリ
乳酸系重合体は、熱可塑性の脂肪族ポリエステルであっ
て、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸と
L−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン
酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との
共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸
との共重合体との群から選ばれる重合体あるいはこれら
のブレンド体が用いられる。
【0008】乳酸と共重合するヒドロキシカルボン酸と
しては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉
草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、
ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げ
られる。これらの中でも特に、ヒドロキシカプロン酸ま
たはグリコール酸を用いることが低コストの点から好ま
しい。
【0009】用いるポリ乳酸系重合体の融点は、100
℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは、12
0℃以上である。例えば、ポリ乳酸のホモポリマーであ
るポリ(L−乳酸)やポリ(D−乳酸)の融点は約18
0℃であるが、ポリ乳酸系重合体として前記コポリマー
を用いる場合には、コポリマーの融点が100℃以上と
なるようにモノマー成分の共重合量比を決定することが
好ましく、本発明においては、光学純度が90%以上の
ポリ乳酸を用いることが好ましい。光学純度は、耐熱性
や生分解性に影響をする要因であり、光学純度が低くな
るとともに結晶化が低下し、融点降下が大きくなる傾向
にある。
【0010】本発明に用いるポリ乳酸系重合体の数平均
分子量は、約20,000以上、好ましくは約40,00
0以上のものを用いることが、得られる繊維特性の点や
不織布製造時の製糸性の点で好ましい。
【0011】本発明における長繊維を構成するポリ乳酸
系重合体の結晶化度は、10〜40質量%の範囲にある
ことが好ましい。結晶化度が10質量%未満であると、
分子配向が十分でなく、結晶性が低すぎるため、繊維の
残留伸度が高くなる。その結果、得られる不織布は、寸
法安定性や機械的特性に劣る傾向となる。一方、結晶化
度が40質量%を超えると、得られる不織布の寸法安定
性、機械的特性および熱的安定性は優れるが、繊維の剛
性が高くなりすぎ、伸度が低くなりすぎるため好ましく
ない。
【0012】長繊維を構成するポリ乳酸系重合体の結晶
化度は、ポリ乳酸系重合体に例えばタルク、窒化ホウ
素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン等
の結晶核剤を添加することや、長繊維を溶融紡糸する際
に高速で引き取ることや、得られた不織布に熱処理を施
すこと等により達成することができる。結晶核剤を添加
すると繊維の結晶化を促進させ、得られるシートの機械
的強度や耐熱性を向上させることができ、しかも製造時
の溶融紡出・冷却工程での紡出糸状間の融着(いわゆる
ブロッキング)の発生を防止することができる。結晶核
剤の添加量は、0.1〜3.0質量%、好ましくは0.5
〜2.0質量%である。
【0013】本発明に用いる長繊維の繊維形態として
は、単一のポリ乳酸系重合体からなる単相形態のもので
あっても、異なる光学純度を有する2種のポリ乳酸系重
合体からなる複合形態のものであってもよい。複合形態
としては、芯鞘型複合断面、偏心芯鞘型複合断面、サイ
ドバイサイド型複合断面、多葉型複合断面等が挙げられ
る。
【0014】2種のポリ乳酸系重合体を用いる場合は、
両者の光学純度差は2〜10%であることが好ましく、
繊維表面の少なくとも一部に低い光学純度を有するポリ
乳酸重合体を配していることが好ましい。光学純度が低
いポリ乳酸系重合体は、光学純度が高いポリ乳酸系重合
体と比較して融点が低い。したがって、このような融点
が低い重合体を繊維表面の少なくとも一部に存在させる
ことにより、熱処理の際に、光学純度の低い重合体のみ
を軟化または溶融させて、繊維同士を接着させるバイン
ダー成分として機能させ、一方、光学純度の高い重合体
は熱の影響を受けることなく、繊維の機械的強度を維持
させることができる。2種のポリ乳酸系重合体の光学純
度差が2%未満であると、両者の軟化点または融点の差
が小さいため、熱処理の際に光学純度の高い重合体まで
もが熱による影響を受けることとなり、2成分を用いる
効果が奏されない。
【0015】本発明に用いる長繊維の単糸繊度は、5〜
17デシテックスであることが好ましく、より好ましく
は7〜11デシテックスである。単糸繊度が5デシテッ
クス未満であると、不織布の機械的強度には優れるもの
の、繊維間の空隙が小さくなるため、目付によっては、
太陽光線が透過しにくくなり幼木の成長を妨げる傾向と
なる。一方、単糸繊度が17デシテックスを超えると、
太陽光線の透過には優れているものの、熱接着してなる
不織布を得ようとした場合、繊維が太いために熱接着点
における強力が減少し、高い不織布強力を有するものが
得難くなる。
【0016】本発明の幼木保護シートの目付は、50〜
100g/m2であることが好ましい。目付が50g/
2未満であると、太陽光線の透過性は優れているもの
の、シートの強力が低い傾向となるため、幼木に捲いて
の使用の際に、風雨や紫外線等に晒されることにより、
また、物が当たったり、動物が噛み付く等により破れや
すく、本発明の目的を達成しにくくなる。一方、目付が
100g/m2を超えると、シートの機械的強度には優
れるものの、太陽光線の透過性に劣る傾向となり、幼木
の成長を妨げるものとなる。
【0017】本発明が目的とする透光率、シート強力、
シートの硬さを得る上で、長繊維の単糸繊度とシートの
目付とは密接な関係があり、上記単糸繊度とシート目付
の好ましい範囲内において、適宜選択するとよい。
【0018】本発明の幼木保護シートは、透光率が60
%以上である。透光率が60%未満であると、太陽光線
を十分透過することができなくなるため、幼木の成長を
妨げ悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0019】本発明の幼木保護シートは、ウエザーメー
タを用いた耐侯性試験において下式(1)から求められ
る強力保持率すなわち光線照射前の試料の抗張積(強力
×伸度)S0に対する300時間照射後の試料の抗張積
(強力×伸度)S1の比(%)が50%以上のものであ
る。 (1)強力保持率(%)=(S1/S0)×100 シートの耐侯性は、シートの強力および伸度がシートを
野外で暴露した状態においたときに、気候の変化等によ
って低下することが無いかを示す指標である。気候の変
化等によって、シートの強力および伸度が低下するもの
は、幼木保護シートとして野外での長期間の使用に耐え
得ることができない。シートの強力保持率が50%未満
であると、野外で幼木保護シートとして使用した際に、
経時的に強力が低下するため、その結果、シートの耐用
年数が短く、風雨により、また、動物等が噛み付くこと
により破れやすく、本発明の目的を達成することができ
ない。
【0020】本発明の幼木保護シートは、引張強力が5
0N/5cm幅以上であることが必要であり、より好ま
しくは80N/5cm幅以上である。強力が50N/5
cm幅未満であると、幼木保護シートとして幼木に捲く
際の張力や幹の凹凸に当たることにより破断しやすくな
り、また、鹿等の動物が幼木保護シートを容易に食いち
ぎることが可能となるため好ましくない。なお、シート
の引張強力は、長繊維を構成する重合体の種類や、長繊
維の単糸繊度およびその強度、シートの目付、不織布化
のための接着条件等によって決定され、これらの条件を
適宜選択することによって上記引張強力をシートに具備
させることができる。
【0021】本発明に用いる長繊維不織布の形態として
は、熱により接着した熱接着不織布、接着剤により接着
した不織布、ニードルパンチ法やスパンレース法により
繊維同士が機械的に交絡してなる不織布、また、上述し
たボンディング手段を併用してなる不織布のいずれであ
ってもよい。本発明においては、高い機械的強力を得る
ことができる点で、構成繊維同士が部分的に熱接着され
てなる不織布を用いることが好ましい。
【0022】部分的熱接着は、例えば、エンボス加工処
理または超音波融着処理によって長繊維不織布に点状の
熱接着部が形成されるものである。具体的には加熱され
たエンボスロールと表面が平滑なフラットロールとの
間、もしくは一対のエンボスロールの間に長繊維ウエブ
を通して、エンボスロールの凸部が当接する部位の構成
繊維を熱により軟化または溶融させて点状の熱接着部を
形成する方法、またはパターンロール上で超音波による
高周波を印可してパターン部に当接する構成繊維に点状
の接着部を形成する。
【0023】次に、本発明の幼木保護シートの好ましい
製造方法について説明する。本発明の幼木保護シートを
構成する長繊維不織布は、スパンボンド法によって効率
よく製造することができる。すなわち、上述したポリ乳
酸系重合体を加熱溶融して紡糸口金から吐出し、得られ
た紡出糸条を従来公知の横型吹き付けや環状吹き付け等
の冷却装置を用いて牽引細化し、引き続き、排出された
糸条群を開繊した後、メッシュスクリーン等からなるコ
ンベアの如き移動堆積装置上に開繊堆積させて長繊維ウ
エブとする。次いで、この移動堆積装置上に形成された
長繊維ウエブを、エンボス装置または超音波融着装置等
の部分熱接着装置に通布して部分的熱接着部を形成する
ことによって長繊維不織布を得る。
【0024】本発明において、上述の牽引細化する際の
牽引速度は、3000〜6000m/分とするのが好ま
しい。牽引速度が3000m/分未満であると、重合体
の配向結晶化が進行せず、得られる不織布の機械的強度
が向上しない。一方、牽引速度が6000m/分を超え
ると、製糸性が急激に悪化し、糸切れを生じ操業性に劣
る。なお、重合体には、上述した結晶核剤を添加するこ
とにより、溶融紡出に際して紡出糸条の冷却性が向上す
るため好ましい。
【0025】部分的熱接着処理の際、個々の熱接着部の
形状は、必ずしも円形である必要はなく、楕円、四角、
十字等のいずれでもよく、また、その個々の熱接着部
は、0.1〜1.2mm2の面積を有し、その密度、す
なわち接着点密度が4〜80点/cm2、好ましくは1
0〜60点/cm2であるのがよい。また、長繊維不織
布の全表面積に対する全熱接着部の面積の比、すなわち
熱接着面積率は5〜50%、好ましくは10〜20%と
するのがよい。この接着面積率が5%未満であると、長
繊維不織布の機械的特性および寸法安定性が劣るものと
なる。一方、接着面積率が50%を超えると、長繊維不
織布を構成する繊維の大半が熱融着していまい、長繊維
不織布の引き裂き強力に劣るものとなる。また、熱接着
処理の際のロール表面温度は、長繊維を構成している重
合体のうち低融点を有する重合体の融点をTmとしたと
き、Tm未満〜(Tm−40℃)程度とする。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定さ
れるものではない。
【0027】実施例において、各物性値は次のようにし
て求めた。 (1)融点(℃);パーキンエルマ社製の示差走査熱量
系DSC-7型を用い、昇温速度を10℃/分として測定
して得た融解吸熱曲線の極値を与える温度を融点(℃)
とした。
【0028】(2)ポリ乳酸系重合体の溶融流量(以
下、MFRと略記する。)(g/10分);ASTM
D1238記載の方法に準じ、溶融温度を210℃とし
て測定した。
【0029】(3)固有粘度;フェノールと四塩化エタ
ンとの等質量混合溶液を溶媒とし、試料濃度0.5g/
dl、温度20℃で測定した。
【0030】(4)冷却性;紡出糸条を目視にて観察
し、下記の3段階で評価した。 ○;密着糸が認められない。 △;密着糸がわずかであるが認められる。 ×;大部分が密着し、開繊不可能である。
【0031】(5)開繊性;開繊装置より排出した紡出
糸条で形成された不織ウエブを目視にて観察し、下記の
3段階で評価した。 ○;構成繊維の大部分が分繊され、密着糸又は収束糸が
認められない。 △;密着糸又は収束糸はわずかであるが認められる。 ×;構成繊維の大部分が密着し、開繊性が不良である。
【0032】(6)単糸繊度(デシテックス:以下、d
texと略記する。);ウエブ状態における繊維50本
の直径を顕微鏡にて測定し、密度補正して求めた繊度の
平均値を単糸繊度(dtex)とした。
【0033】(7)目付(g/m2);標準状態の試料
から縦10cm×横10cmの試料片10点を作成し、
平行水分に至らしめた後、各試料片の重量(g)を秤量
し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、目
付(g/m2)とした。
【0034】(8)引張強力(N/5cm幅);JIS
L1906に記載のストリップ法に準じて測定した。
すなわち、試料長が20cm、試料幅が5cmの試料片
10点を作成し、定速伸長形引張試験機(オリエンテッ
ク社製テンシロンUTM−4−1−100)を用いて、
各試料片毎につかみ間隔10cm、引張速度20cm/
分で伸長し、最大引張強力(N/5cm)を求め、得ら
れた最大引張強力の平均値を不織布の引張強力(N/5
cm)とした。
【0035】(9)硬さ;10人のパネラーの手触りに
よる官能検査を行い、下記3段階の評価をした。 ○:硬い △:やや硬い ×:軟らかい
【0036】(10)透光率(%);光源(レフラン
プ)と受光部の照度計との間に試料を置いたときの照度
(B)と、試料を置かないときの照度(A)とを測定
し、下記式より透光率(%)を求めた。 透光率(%)=(B/A)×100
【0037】(11)強力保持率(%);耐候性の指標
である強力保持率を次のようにして求めた。すなわち、
ウエザーメーターを用いた耐候性試験において、光源照
射前の試料の抗張積(強力×伸度)S0と300時間照
射後の試料の抗張積(強力×伸度)S1とを上記引張強
力の測定と同様にして測定し、また、伸度は最大引張強
力時の伸度を測定し、下式から強力保持率(%)を求め
た。 強力保持率(%)=(S1/S0)×100
【0038】(13)生分解性能;試料片を土中に埋設
し、1年、2年及び3年経過後に取り出して試料片の形
態を観察し、以下の3段階で評価した。 ○:試料片が埋設後2年経過するまでは、不織布の形態
を保持し、3年〜5年経過時点で崩壊していた。 △:試料片が埋設後2年経過するまでに不織布の形態を
崩壊させていた。 ×:試料片が埋設後3年以上経過しても不織布の形態を
保持していた。
【0039】実施例1 光学純度95.5%、融点150℃、MFR60g/1
0分のポリ乳酸重合体(低融点ポリ乳酸)を鞘成分、光
学純度98.5%、融点170℃、MFR50g/10
分のポリ乳酸重合体(高融点ポリ乳酸)を芯成分とする
芯鞘型複合長繊維を溶融紡出し、この芯鞘型複合長繊維
よりなる不織布を作成した。
【0040】具体的には、タルク(以下、TAと略称す
る。)を20質量%練り込み含有させたマスターバッチ
を用いてポリ乳酸に対するタルク含有率が0.5質量%
となるように計量配合した上記低融点ポリ乳酸と、同じ
くタルク含有率が0.5質量%の上記高融点ポリ乳酸と
を個別のエクストルーダー型溶融押し出し機を用いてそ
れぞれ溶融した後、紡糸温度210℃、単孔吐出量3.
9g/分の条件下で低融点ポリ乳酸が鞘部で高融点ポリ
乳酸が芯部[複合比(質量比)=1/1]となるように
芯鞘型複合紡糸口金より溶融紡出した。
【0041】紡出糸状を冷却装置にて冷却した後、引き
続いて紡糸口金の下方に設けたエアーサッカーにて牽引
速度5000m/分で牽引細化し、公知の開繊機を用い
て開繊し、移動するメッシュスクリーンコンベア上に長
繊維ウエブとして捕集堆積させた。
【0042】ついで、この長繊維ウエブを温度115℃
に加熱されたエンボスロールと表面平滑な金属ロールと
からなる部分熱接着装置に通して部分的熱接着処理を施
して、単糸繊度7.7dtexの長繊維からなり目付5
0g/m2の長繊維不織布によって構成される本発明の
幼木保護シートを得た。
【0043】実施例2 実施例1において、長繊維を溶融紡糸する際、牽引速度
を4000m/分として長繊維の単糸繊度を9.7dt
exとした以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布
より構成される本発明の幼木保護シートを得た。
【0044】実施例3 実施例1において、長繊維を溶融紡糸する際、単孔吐出
量を2.8g/分、単糸繊度5.5dtexとした以外
は、実施例1と同様にして長繊維不織布より構成される
本発明の幼木保護シートを得た。
【0045】実施例4 実施例1において、長繊維不織布の目付を75g/m2
とした以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布より
構成される本発明の幼木保護シートを得た。
【0046】実施例5 光学純度98.5%、融点170℃、MFR50g/1
0分のポリ乳酸重合体と、この原料に対してタルクを2
0質量%練り込み含有させたマスターバッチを用い、ポ
リ乳酸に対するタルクの含有率が0.5質量%となるよ
うに計量配合して溶融した後、紡糸温度210℃、単孔
吐出量を2.8g/分の条件で紡糸口金より溶融紡出し
た。
【0047】紡出糸状を冷却装置にて冷却した後、引き
続いて紡糸口金の下方に設けたエアーサッカーにて牽引
速度5000m/分で牽引細化し、公知の開繊機を用い
て開繊し、移動するメッシュスクリーンコンベア上に長
繊維ウエブとして捕集堆積させた。
【0048】次いで、この長繊維ウエブを温度140℃
に加熱されたエンボスロールと表面平滑な金属ロールと
からなる部分熱接着装置に通して部分的熱接着処理を施
して、単糸繊度5.5dtexの長繊維からなり目付5
0g/m2の長繊維不織布によって構成される本発明の
幼木保護シートを得た。
【0049】比較例1 融点260℃、固有粘度0.7のポリエチレンテレフタ
レート(以下、PETと略記する。)チップを溶融した
後、紡糸温度290℃、単孔吐出量を3.9g/分の条
件下で溶融紡出し、紡出糸状を冷却装置にて冷却した
後、引き続いて紡糸口金の下方に設けたエアーサッカー
にて牽引速度5000m/分で牽引細化し、公知の開繊
機を用いて開繊し、移動するメッシュスクリーンコンベ
ア上に長繊維ウエブとして捕集堆積させた。
【0050】次いで、この長繊維ウエブを温度230℃
に加熱されたエンボスロールと表面平滑な金属ロールと
からなる部分熱接着装置に通して部分的接着処理を施し
て、単糸繊度が7.7dtexの長繊維からなる目付が
50g/m2の長繊維不織布により構成される幼木保護
シートを得た。
【0051】得られた実施例1〜5、比較例1のシート
の各種物性を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】実施例1〜5で得られたシートは、いずれ
も70%以上の透光率を有するところから、幼木保護シ
ートとして用いたとき良好な幼木の生長が望め、また耐
候性を示す強力保持率はいずれも50%以上と高く、耐
候性も良好である。さらに、圧縮剛軟度が示す硬さの値
も高いため、鹿等の動物に容易に食いちぎられることな
く、幼木を保護することができるものである。また、長
繊維を構成しているポリ乳酸系重合体は、生分解性を有
する重合体であるので、使用後に土中に埋設することに
より、埋没後の3年経過後には完全に分解でき廃棄処理
の必要がないものであった。
【0054】これに対し、比較例1で得られたシート
は、不織布構成繊維の重合体としてポリエチレンテレフ
タレートを用いているため、初期の機械的強力には優れ
るものの、強力保持率が低く、耐候性に劣るものであ
り、屋外での長期の使用において強力および伸度を保持
することはできず、長期での幼木保護シートとしての使
用には適するものではなかった。
【0055】
【発明の効果】本発明の幼木保護シートは、特定の透光
率と特定の引張強度を有するものであるので、幼木を成
長させるのに必要な光を十分に透過させることができ、
かつ、動物が容易に食いちぎることなく幼木を保護し成
長させることができるものである。さらに、シートを構
成する長繊維がポリ乳酸系重合体からなり、ポリ乳酸系
重合体は、その化学構造式からも分かるように得られる
繊維は硬いため、動物が食い付きにくい。また、そのメ
カニズムは明らかではないが、ポリ乳酸系重合体からな
る繊維は耐候性に優れるため、本発明のシートは、ウエ
ザーメーターを用いた耐候性試験における強力保持率が
50%以上となり、屋外における使用においてのシート
の強力低下を防ぐことができ、耐用年数を長くすること
ができる。
【0056】また、ポリ乳酸系重合体は、生分解性を有
するものであるため、一定期間が経過した後の幼木保護
シートは微生物の存在下で、ほぼ完全に分解させること
ができる。したがって、幼木保護シートとして使用後、
回収して廃棄処理する手間が省け、しかも自然環境を汚
染することがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 雄二 東京都中央区日本橋室町3−4−4 ユニ チカ株式会社東京本社内 Fターム(参考) 2B024 DB03 GA07 4L041 AA08 AA09 AA15 BA02 BA05 BA21 BC06 BC20 BD03 BD11 BD20 CA05 CB07 DD01 DD05 DD23 4L047 AA26 AA27 AB03 BB08 BB09 CA19 CB01 CB10 CC16 EA10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸系重合体からなる長繊維不織布
    で構成され、透光率60%以上、引張強力50N/5c
    m幅以上であり、かつウエザーメーターを用いた耐候性
    試験において下式(1)から求められる強力保持率が5
    0%以上であることを特徴とする幼木保護シート。 (1) 強力保持率(%)=(S1/S0)×100 なお、(1)式において、S1;300時間照射後の試
    料の抗張積、S0;照射前の試料の抗張積とする。
  2. 【請求項2】 長繊維が、光学純度が共に90%以上
    で、光学純度の差が2〜10%である2種の光学純度の
    異なるポリ乳酸系重合体からなり、繊維表面の少なくと
    も一部に低い光学純度を有するポリ乳酸重合体が配され
    ていることを特徴とする請求項1記載の幼木保護シー
    ト。
  3. 【請求項3】 長繊維の単糸繊度が5〜17デシテック
    ス、不織布の目付が50〜100g/m2であることを
    特徴とする請求項1または2に記載の幼木保護シート。
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