JP5100134B2 - 生分解性防草シート - Google Patents

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Description

本発明は生分解性防草シートに関するものである。
近年、公園、宅地、道路をはじめ多くの場所で緑化が盛んに行われている。それと同時に美観の維持などの観点から、雑草を防ぐための様々な除草手段がとられている。除草手段としては、人手による除草や除草剤などが用いられてきたが、近年、人件費や周囲の環境に与える影響などの問題点から、雑草の繁殖を抑える手段として、各種の防草シートが用いられるようになってきている。例えば、生分解性を有しないがポリエチレンテレフタレート等からなる樹脂シートや、金属製シートや、紙製シートなどが提案されている。
これらのうち、生分解性を有しない樹脂シ−トや金属製シートは、土壌表面や土中で分解しないために使用後の回収が手間になるばかりか、回収後、不要になったシートの廃棄処理が環境汚染の原因になる可能性がある。一方、紙製シートは、強力が低いために施工時に破れ等が生じやすく、また、透水性に劣るため雨水が溜まるなどの問題点がある。
このような問題点を解決する防草シートとして、特許文献1や特許文献2には、生分解性の熱可塑性脂肪族ポリエステルからなる不織布にて構成された防草シートが提案されている。これらの防草シートは、生分解性を有しているため、回収の手間や周りの環境に与える影響などを低減できる。
特開平11−229260号公報 特開2005−229862号公報
しかし、特許文献1の防草シートは、強力・伸度、遮光性、透水性などに改善の余地がある。特許文献2の防草シートは、特許文献1の防草シートを改善したものであるが、構成繊維同士を熱接着することで不織布化したものであるため、露地に敷いた場合に堅く、柔軟性に欠け、このため地面との密着性が十分であるとはいえない。したがって、石等による凹凸が多数存在する場所や、地面の傾斜がきつい場所に敷設した場合には、防草シートしての性能を十分に発揮できないことがある。
このような点を解決することを目的として、本発明者らは、生分解性を有する防草シートにおいて、遮光性、透水性、地面との密着性を合わせ持たせるために鋭意検討を行った。遮光性を上げるためには、シートの目付をあげることが考えられるが、しかし、単純に目付をあげると堅くなり、透水性、柔軟性が極端に落ちるという問題があった。
本発明は、生分解性を有する防草シートであって、所要の遮光性と透水性とを保ったうえで地面との密着性を備えた防草シートを提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために、本発明は、下記の特徴を有するものである。
(1)ポリ乳酸系重合体を主体成分とする長繊維を構成繊維とするとともに前記構成繊維同士が三次元交絡することで一体化された不織布にて形成され、JIS L 1906に準じて測定された10%伸長時の荷重が100N/5cm幅以下であることを特徴とする生分解性防草シート。
(2)JIS L 1055に準じて測定された遮光率が95%以上であることを特徴とする(1)の生分解性防草シート。
(3)長繊維の単糸繊度が1〜15デシテックスであり、JIS Z 8729に準じて測定されたL*値が40以下であり、目付が100〜300g/mであることを特徴とする(2)の生分解性防草シート。
(4)引張強力が250〜850N/5cm幅であり、貫通抵抗が10N以上であり、JIS A 1218に準じて測定された透水係数が2.0×10−2〜1.5×10−1cm/secであることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかの生分解性防草シート。
本発明の防草シートは、生分解性を有するポリ乳酸系重合体を主体成分とする繊維を構成繊維とし、構成繊維同士が三次元交絡することで一体化された不織布にて形成され、10%伸長時の荷重が100N/5cm幅以下であるため、所要の遮光性や透水性を保ったうえで、柔軟性を有し、このため地面との密着性を持った防草シートとすることができる。
本発明の生分解性防草シートは、生分解を有するポリ乳酸系重合体を主体成分とする長繊維を構成繊維とした不織布により形成される必要がある。このような生分解性の繊維を用いることで、一定期間が経過した後のシートは微生物によりほぼ完全に分解されるため、シートを取り外して廃棄処理を行う手間が省け、しかも自然環境を汚染することがない。
まず、本発明の防草シートに用いるポリ乳酸系重合体について説明する。ポリ乳酸系重合体としては、ポリ−D−乳酸、ポリ−L−乳酸、D−乳酸とL−乳酸との共重合体(D、L−乳酸共重合体)であって、融点が150℃以上のもの、あるいはこれらのブレンド体が挙げられる。ポリ乳酸系重合体の融点が150℃以上であると、高い結晶性を有しているため、紡糸の際の冷却性が良好となり、例えばスパンボンド法により良好に不織布を得ることができる。また、スパンボンド法による高速紡糸によってポリ乳酸系重合体の結晶配向が進み、得られる防草シートの耐熱性、耐候性、機械的強力が優れたものとなる。
ポリ乳酸系重合体として共重合体を用いる場合には、共重合体の融点が150℃以上となるように、D−乳酸とL−乳酸の共重合比を決定する。このためには、D、L−乳酸共重合体において、共重合比(モル比)が、L−乳酸あるいはD−乳酸のいずれかが95モル%以上100モル%未満となるようにすればよい。共重合比が前記範囲を外れると、共重合体の融点が150℃未満となり、または非晶性となって、本発明の防草シートを形成しにくくなる。
本発明の防草シートを構成するポリ乳酸系重合体からなる繊維は、顔料などをあらかじめ練り込んだポリマーを紡糸した繊維である原着繊維であることが好ましい。このような原着繊維を用いると、繊維に予め顔料が含まれているため後加工による染色が不要になり、染色による熱劣化がなくなり、また工程数が減るため低コスト化が図れる。さらに、繊維化した後の染色では着色しにくいポリ乳酸系重合体からなる繊維であっても、良好な着色が得られる。
本発明の防草シートに用いる繊維は、本発明の目的を阻害しない範囲で、ポリ乳酸系重合体以外の他の重合体を共重合あるいはブレンドしたものであっても差支えなく、また、さまざまな添加剤などを含有したものであっても差支えない。
本発明の防草シートを形成する不織布は、構成繊維同士の三次元交絡構造を有することが必要である。このような不織布は、いわゆるスパンボンド法によってウェブを形成し、得られたウェブに例えばニードルパンチ処理を施すか、または一旦ウェブを巻き取った後でニードルパンチ処理などを施すことで、得ることができる。このような処理を施すことによって、厚み方向においても構成繊維同士の絡合により形態を保持した不織布を形成することができる。このような不織布を用いることにより、不織布の中間ロードを低下させて、防草シートを施工する際に地面の凹凸に追従しやすく、地面と密着させて敷設することができる。
つまり、本発明の防草シートは、JIS L 1906に準じて測定された10%伸長時の荷重が100N/5cm幅以下であるため、地面に密着させて敷設することができる。
本発明の防草シートにおいて、JIS L 1906に準じて測定された10%伸長時の荷重が100N/5cm幅以下であるようにするためには、防草シートを形成する不織布の構成繊維を三次元交絡させるための条件を適宜選択すればよい。例えばニードルパンチ処理によって構成繊維を三次元交絡させる場合は、パンチ密度を150パンチ/cm以下とすることがよい。また、ウェブをニードルパンチ機に供給する速度と、パンチ処理後の不織布をニードルパンチ機から排出する速度とを適宜に調節することによっても、10%伸長時の荷重を100N/5cm幅以下とすることができる。すなわち、通常、これらの速度は等速としているが、供給速度よりも排出速度を遅く設定することによって、不織布の内部に十分なたるみを持つ繊維を形成させることで、防草シートを引張るときの応力を小さく設定することができる。つまり、排出速度/供給速度の比を1未満とする。なお、この比の下限値は、0.9程度とすることが適当である。
本発明の防草シートは、JIS L 1055に準じて測定された遮光率が95%以上であることが好ましい。遮光性が95%より小さくなると、十分な防草効果を得にくくなる。本発明においては、不織布の構成繊維が三次元交絡構造を有することを前提として、その構成繊維の単糸繊度を1〜15デシテックス、防草シートのL*値を40以下、防草シートの目付を100〜300g/mの範囲でそれぞれ調整することにより、遮光率を95%以上とすることができる。これによって、雑草の繁殖を抑えて十分な防草効果を得ることができる。
繊維の単糸繊度が1デシテックス未満であると、繊維が細すぎて上記の遮光率を達成できないばかりか、製糸工程において操業性を損ないやすく、また防草シートとした際の分解速度が速すぎて防草効果が一時的なものとなりやすくなる。反対に単糸繊度が15デシテックスを越えると、今度は繊維が太すぎて上記の遮光率を達成できないばかりか、紡出糸条の冷却性に劣り、また得られる不織布の柔軟性を損なうため防草シートとして使用する際の作業性に支障を来すことになる。そのため、単糸繊度は、より好ましくは2〜12デシテックス、いっそう好ましくは3〜8デシテックスである。
防草シートの目付が100g/m未満であると、目付が十分でなく、このため上記の遮光率を達成できないばかりか、例えばニードルパンチを用いて三次元交絡させるときに操業性を損なうことになる。反対に目付が300g/mを越えると、目付が大きすぎて、シートが生分解する際の分解速度が遅くなりすぎ、またシートの製造コストが高くなる。
なお、ポリ乳酸系重合体繊維の単糸繊度と防草シートの目付とは密接な関係にあり、例えば、単糸繊度が細い場合には同一目付でも緻密なシートとなるが、生分解に伴う機械的強力の低下が速いため十分な防草効果を持続しにくくなる。また、繊維自体の機械的強力が低い場合には、シートとしての一定強力を得るために、単糸繊度および目付を大きくすることが必要である。目付が上記の範囲となる防草シートは、一工程で得られたものであっても良いし、2枚以上の不織布を積層して得たものであってもよい。
本発明の防草シートは、上記の原着繊維を用いることなどによって、JIS Z 8729に準じて測定されたL*値が40以下であることが好ましい。L*値は、明度を表すものであり、L*値が100に近づくほど明度が高く白色になり、一方、L*値が0に近づくほど明度が低く黒色になることを示す。防草シートのL*値を40以下にすることにより、防草シートの遮光性を高め、防草シートよりも下方に光を透過しにくくして雑草の生育を妨げることができる。防草シートのL*値を40以下とするための方法としては、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料を選択することが挙げられる。また、敷設する場所や美観等に応じて他の顔料を添加し、色度を適宜選択して、茶、緑等の色彩にすることもできる。本発明の防草シートは、その色調として、JIS Z 8729に準じて測定されたa*値が+2〜+10、b*値が+2〜+15の範囲であることが好ましい。この範囲であることにより、雑草の生育を抑制すると共に周囲の美観を損なわない防草シートを得ることができる。
本発明によれば、ポリ乳酸系重合体繊維の単糸繊度、L*値および防草シートの目付を上記範囲で調整することで、遮光率だけでなくシートが生分解する際の分解速度も制御することができる。
本発明においては、防草シートの縦方向(MD方向)の引張強力が250N/5cm幅以上850N/5cm幅以下であることが好ましい。縦方向の引張強力が250N/5cm幅以上でないと、防草シートとして実用的な機械的強力を有しているとはいい難く、施工時に破れやすく作業性に劣る傾向となる。また縦方向の引張強力が850N/5cm幅以下でないと、シートが硬くなり防草シートとして実用的ではなくなる。引張強力は、JIS L 1906に準じて、後述の方法により測定した値をいう。
本発明の防草シートは、実際の使用時の状況を考慮すると、引裂強力が5N以上であることが好ましい。
本発明の防草シートの透水係数は、2.0×10−2cm/sec以上1.5×10−1cm/sec以下であることが好ましい。透水係数が2.0×10−2cm/sec以上であることによって、降雨等による水が防草シート表面に溜まることなく、すみやかに防草シートの厚み方向に水を浸透させることができる。また、防草シートを用いて植栽を行っている場合は、植物に充分な水分を補給することができ、さらには液肥の散布も可能である。また、透水係数の上限が1.5×10−1cm/sec以下であることによって、シートを構成している繊維間空隙が広くなりすぎるのを抑制し、遮光性を維持することができる。なお、防草シートに親水性油剤を付与することにより透水係数を制御することができる。
本発明の防草シートを形成する、構成繊維を三次元交絡させた不織布の貫通抵抗は、後述の方法で測定したときの値が10N以上であることが好ましい。10N以下である場合は、例えば、チガヤやヨシといった出芽力が強くしかも茎径が太く強い雑草に対して十分な防草効果を発揮しないことがある。
本発明の防草シートは、不織布にて形成されるものであるが、その不織布の少なくとも片面が表面平滑処理されているものでもよい。表面平滑処理は、ニードルパンチを施した不織布を、表面が滑らかな一対のフラットロール間に通すことによって行う。このとき、少なくとも一方のロールが加熱されていることにより、不織布の表面を平滑にすることができる。また、これによって防草シートの厚みの調整を行うこともできる。不織布に表面平滑処理を施すことにより、地面から伸びた草木が防草シートの外側表面より突出することを防止できて、良好な防草効果を奏することができる。この表面平滑処理は、不織布の片面だけに施してもよいし、両面に施してもよい。
ポリ乳酸系重合体からなる繊維の繊維形態は、特に限定されるものではなく、繊維横断面は、通常の丸断面の他にも、中空断面、異形断面、並列型複合断面、多層型複合断面、芯鞘型複合断面、分割型複合断面など、その目的と用途に応じて任意の繊維横断面形態を採用することができる。
複合断面においてポリ乳酸系重合体と組み合わされる異種の重合体としては、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体が挙げられる。
具体的に、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタン酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。これらの誘導体である酸無水物を用いてもよい。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル乳酸、ロイシン酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、メチル酪酸、カプロラクトン、バレロラクトン等が挙げられる。なかでも、乳酸を用いることが好ましい。
上記の繊維横断面のほかに、ポリ乳酸系重合体と、ポリ乳酸系重合体以外の重合体との共重合比やブレンド比などを適宜選択することによって、防草シートとした際の生分解速度を制御することができ、使用目的に応じた生分解速度を有する防草シートとすることができる。
以下に本発明の防草シートの製造方法を説明する。本発明の防草シートを構成するための長繊維不織布は、いわゆるスパンボンド法にて効率よく製造したものについてニードルパンチなどを用いて繊維を三次元交絡することで、製造することができる。すなわち、上述のポリ乳酸系重合体を主体成分とする材料を加熱溶融して紡糸口金から吐出させ、得られた紡出糸条を従来公知の横型吹付や環状吹付などの冷却装置を用いて冷却し、その後、エアーサッカーなどの吸引装置にて牽引細化する。引き続き、吸引装置から排出された糸条群を開繊させた後、スクリーンから成るコンベアの如き移動堆積装置上に堆積させてウェブとする。次いで、この移動堆積装置上に形成されたウェブに、エンボス装置または超音波融着装置などを用いて、部分的な仮の熱圧着を施す。この仮の熱圧着を施したウェブにニードルパンチ処理を施すか、または一旦ウェブを巻き取った後でニードルパンチ処理を施すことで、ウェブの構成繊維同士を絡合させ、この絡合をウェブの厚み方向においても行うことにより、形態保持した不織布を形成する。
このとき、ニードルパンチの条件は、上述のように、10%伸長時の荷重を100N/5cm幅以下とすることを目的として、150パンチ/cm以下とすることが重要であるが、その下限を20パンチ/cmとして、その範囲を20〜150パンチ/cmとすることが、不織布の機械的特性や繊維同士の絡合性の点から好ましい。パンチ密度が20パンチ/cm未満では、構成繊維同士の絡合が不十分で、不織布の引裂強力等の機械的特性が向上せず、このため非常に弱く、しかも毛羽のある不織布となりやすい。またパンチ密度が150パンチ/cmを超えると、上述のように10%伸長時の荷重を100N/5cm幅以下とすることが困難になるうえに、繊維同士は十分に絡合するものの、繊維が部分的に切断されやすくなるため、不織布の引張強力等の機械的特性が劣ることになりやすい。このため、20〜60パンチ/cmの範囲がより好ましい。
上述の紡出糸条の牽引細化の工程に関し、本発明においては、紡出糸条を1000〜6000m/分の高速で牽引細化することが好ましい。紡出糸条を牽引細化する際に牽引速度が1000m/分未満では、重合体の配向結晶化が進まず、得られる不織布の機械的強力が低下したり生分解速度が過度に促進されたりする。逆に、牽引速度が6000m/分を越えると、製糸性が急激に悪化して糸切れを起こしやすくなる。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、下記の実施例、比較例において、各特性値の測定は次の方法により実施した。
(1)目付(g/m):不織布から縦10cm×横10cmの試料片各10点を作製し、標準状態における各試料片の質量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算して、不織布の目付(g/m)とした。
(2)L*値、a*値、b*値:色彩色差計(ミノルタ社製:データプロセッサ DP−300、測定ヘッド CR−310)を用い、測定箇所の試料の目付が300g/m以上となるようにシートを折りたたんで測定した。測定の際は、測定個所を変えて4個所測定し、得られた値の平均値を、L*値、a*値、b*値とした。なお、シートの表裏面の形態が異なるものについては、各面共に2個所ずつ測定し、それらの平均値をL*値、a*値、b*値とした。
(3)厚み(mm):JIS L 1096の6.5に基づき試料片10個を作成し、測定した。
(4)引裂強力(N):JIS L 1096のシングルタング法に基づき試料片10個を作成し、測定した。
(5)引張強力(N/5cm幅)及び引張伸度(%):JIS L 1906に記載のストリップ法に準じて測定した。すなわち、長さ20cm、幅5cmの試料片10点を作成し、各試料について、定速伸張型引張試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTM−4−1−100)を用い、つかみ間隔10cm、引張速度200mm/minで伸張し、得られた縦方向(MD方向)の切断時荷重値(N/5cm幅)の平均値を引張強力とした。また引張強力の測定時に破断伸度も求めた。すなわち、上記の切断時において防草シートの縦方向(MD方向)と横方向(CD方向)とについて破断伸度を平均値をそれぞれ測定し、測定された二つの平均値のさらなる平均値を破断伸度(%)とした。
(6)融点(℃):パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
(7)メルトフローレート(g/10分):ASTM−D1238(L)に基づき、210℃、20.2Nで測定した。
(8)繊度(デシテックス):ウェブの状態における繊維径を50本顕微鏡にて測定し、密度補正して求めた繊度の平均値を繊度(デシテックス)とした。
(9)遮光率(%):JIS L 1055.6A法により測定した。
(10)透水係数(cm/sec):JIS A 1218の3.1(1)に記載の定水位試験に基づき、透水面積1cm、水位10cm、透水時間60secとして、JIS L 1908の押圧荷重2kPaの厚さの試験結果を用いて、透水係数を求めた。
(11)貫通抵抗(N):直径が10mmの貫通穴を有する試料台の上に試料を固定し、この貫通穴を通る圧縮棒を、圧縮試験機を用いて押圧速度10mm/minで試料に押し付け、試料を貫通した時の値を貫通抵抗とした。
(12)生分解性:不織布を約58℃に維持された熟成コンポスト中に埋没させ、3ヶ月後に取り出した場合において、不織布がその形態を保持していないとき、あるいは、その形態を保持していても引張強力が埋没前の強力初期値に対して50%を超えるときは、生分解性が認められるとして、「○」と評価した。また、そうでないときは、生分解性が認められないとして、「×」と評価した。
(13)防草効果:下記のように評価した。
○:雑草の繁殖はなく、十分な除草効果が認められる
×:雑草が繁殖し、除草効果が認められない
実施例1
防草シ−トを形成するに際し、長繊維不織布をスパンボンド法にて作成した。まず、長繊維を形成するために、融点168℃、メルトフローレート65g/10分のポリ乳酸(D/L=1.4モル%/98.6モル%)80質量%と、顔料としてのカ−ボンブラック20質量%とを練り混み含有したマスタ−バッチを用いた。そして、顔料が溶融重合体中に0.7質量%になるようにポリ乳酸とマスターバッチとを計量配合して溶融し、紡糸口金を用いて、紡糸温度210℃、単孔吐出量1.7g/minの条件下で、溶融紡糸を行った。
吐出糸条を冷却装置にて冷却した後、引き続き紡糸口金の下方に設けたエアーサッカーにて牽引速度5000m/minで牽引細化し、公知の開繊機を用いて開繊し、移動するスクリーンコンベア上にウェブとして捕集堆積させた。
次いで、このウェブを、ロール温度110℃としたエンボスロールとフラットロールとからなるエンボス装置に通して部分的に熱圧着し、単糸繊度が3.3デシテックスの長繊維からなる目付が100g/mの長繊維不織ウェブを得た。得られたウェブを2枚積層し、パンチ数45パンチ/cmの条件でニードルパンチし、厚さ2.0mm、目付200g/mの長繊維不織布製の防草シートを得た。得られた防草シートの物性、防草効果、生分解性を表1に示す。
実施例2
実施例1に比べ、得られたウェブを3枚積層して、その目付を300g/mとした積層ウェブに、ニードルパンチを行った。それ以外は実施例1と同様にして、目付300g/mの防草シートを得た。得られた防草シートの物性、防草効果、生分解性を表1に示す。
実施例1、2ともに高い防草効果を示した。また、10%伸長時の荷重が100N/5cm幅以下であったことから、地面との密着性が高いことが確認された。
Figure 0005100134
比較例1
実施例1に比べ、エンボス装置のロール温度を135℃に設定した。また、ニードルパンチは行わなかった。それ以外は実施例1と同様にして、目付200g/mの不織布を作成して防草シートを得た。得られた防草シートの物性、防草効果、生分解性を表1に示す。ニードルパンチを行っていないので、エンボスロールからなる部分熱圧着装置による部分的な熱圧着状態がニードルパンチ処理による解除を受けずに残っていることで、圧接が十分に効いており、実施例1、2と比較して初期ロードが高く、伸度が低下していた。このため、シートが堅く、露地に敷いた際に、破れたり、露地の「でこぼこ」に追随が困難であったりすると予想されるものであった。したがって、草の生長を制御する効果(防草効果)が不十分なものであった。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸系重合体を主体成分とする長繊維を構成繊維とするとともに前記構成繊維同士が三次元交絡することで一体化された不織布にて形成され、JIS L 1906に準じて測定された10%伸長時の荷重が100N/5cm幅以下であることを特徴とする生分解性防草シート。
  2. JIS L 1055に準じて測定された遮光率が95%以上であることを特徴とする請求項1記載の生分解性防草シート。
  3. 長繊維の単糸繊度が1〜15デシテックスであり、JIS Z 8729に準じて測定されたL*値が40以下であり、目付が100〜300g/mであることを特徴とする請求項2記載の生分解性防草シート。
  4. 引張強力が250〜850N/5cm幅であり、貫通抵抗が10N以上であり、JIS A 1218に準じて測定された透水係数が2.0×10−2〜1.5×10−1cm/secであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の生分解性防草シート。
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