JP2916224B2 - 繊維成型体 - Google Patents
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Description
本発明は不織布等の繊維構造体を加熱処理することに
よつて得られる嵩高性及び伸長性に優れた繊維成型体に
関するものである。
よつて得られる嵩高性及び伸長性に優れた繊維成型体に
関するものである。
従来、熱バインダー繊維を含有した繊維集合体は、衛
生材料や衣料などの分野で多用されている。熱バインダ
ー繊維を通常の繊維に混合した不織布の熱成形あるいは
絞り成型に関しては、例えば、鞘部の融点が130〜160
℃、芯部の融点が250℃以上であるポリエステル複合繊
維、あるいは融点が100〜180℃の熱融着性繊維と通常の
繊維からなる成型ブラジヤーカツプ用不織布が特開昭55
−148267号公報、特開昭56−302号公報に、低融点繊維
を含む繊維絡合不織布を加熱絞り成型加工することが特
公昭63−543号公報に、低融点成分と高融点成分とから
なる複合繊維を含む繊維ウエブを成形した接着芯地が特
開昭58−136878号公報に提案されている。
生材料や衣料などの分野で多用されている。熱バインダ
ー繊維を通常の繊維に混合した不織布の熱成形あるいは
絞り成型に関しては、例えば、鞘部の融点が130〜160
℃、芯部の融点が250℃以上であるポリエステル複合繊
維、あるいは融点が100〜180℃の熱融着性繊維と通常の
繊維からなる成型ブラジヤーカツプ用不織布が特開昭55
−148267号公報、特開昭56−302号公報に、低融点繊維
を含む繊維絡合不織布を加熱絞り成型加工することが特
公昭63−543号公報に、低融点成分と高融点成分とから
なる複合繊維を含む繊維ウエブを成形した接着芯地が特
開昭58−136878号公報に提案されている。
従来の熱バインダー繊維は繊維間の接合固定に関して
は十分満足しうるものであつたが、従来の熱バインダー
繊維を用いて製造された繊維成型体は伸長性や嵩高性が
不足しており、これらの特性について十分に満足した成
型体は未だ得られていないのが現状である。 本発明の目的は嵩高性と伸長性に優れ形態の安定繊維
成型体を提供することである。
は十分満足しうるものであつたが、従来の熱バインダー
繊維を用いて製造された繊維成型体は伸長性や嵩高性が
不足しており、これらの特性について十分に満足した成
型体は未だ得られていないのが現状である。 本発明の目的は嵩高性と伸長性に優れ形態の安定繊維
成型体を提供することである。
すなわち、本発明は、熱バインダー繊維を含有する繊
維成型体において、該熱バインダー繊維が、2種のポリ
エステル重合体成分(A)及び(B)とから構成され、
該成分(A)はイソフタル酸を20〜80モル%共重合した
改質ポリエチレンテレフタレートであり、成分(B)
は、実質的にポリエチレンテレフタレートまたはポリブ
チレンテレフタレートであり、かつ、30ケ/25mm以上の
三次元捲縮を有するポリエステル複合繊維であることを
特徴とする繊維成型体である。 尚、本発明における繊維成型体とは、熱バインダー繊
維を含む、不織布、編物、織物またはこれらを組み合せ
た積層物を材料とし、これを(必要に応じて成形用型に
供給し)、加熱処理することによつて得られる。例え
ば、ブラジヤーカツプ、型パツドのような成型体を意味
するものである。 本発明において使用される熱バインダー繊維は、主と
して2種類のポリエステル重合体から構成され、そのう
ちポリエステル重合体成分(A)としては、イソフタル
酸を20〜80モル%共重合した改質ポリエチレンテレフタ
レートを用い、一方のポリエステル重合体成分(B)と
しては、実質的にポリエチレンテレフタレートまたはポ
リブチレンテレフタレートを用い、これら二種類のポリ
エステル重合体を偏心芯鞘型、又はサイドバイサイド型
に複合紡糸した繊維であつて、乾熱処理における捲縮形
態が三次元捲縮で捲縮数30ケ/25mm以上の捲縮を発現す
る潜在捲縮能を有する繊維であり、熱処理前においては
繊度1〜15デニール、捲縮数0〜20ケ/25mmであるポリ
エステル複合繊維が好ましい。ここで、30ケ/25mm以上
の三次元捲縮を発現させるための乾熱処理は、高温すぎ
るとポリマーの溶融等を招き、得ようとする成型体の嵩
高性が不十分となるので、80℃程度の低温でも30ケ/25m
m以上発現できる複合繊維であることが好ましい。 複合繊維に80〜130℃の温度条件下で熱融着する熱融
着型バインダー機能を付与せしめるために、(A)成分
としては、前述したようにジカルボン酸成分の20〜80モ
ル%がイソフタル酸であるポリエチレンテレフタレート
系ポリマーを用いることが必要であるが、イソフタル酸
と共に、たとえば金属スルホネート基を有するイソフタ
ル酸を0〜6モル%共重合、またグリコール成分の0〜
15モル%がジエチレングリコール(DEG)で置換されて
いてもよい。 金属スルフオネート基を有するイソフタル酸としては
5−ナトリウムスルフオイソフタル酸、5−カリウムス
ルフオイソフタル酸、5−リチウムスルフオイソフタル
酸が挙げられる。 イソフタル酸の共重合割合が20モル%未満では乾燥、
熱処理時の収縮応力の発現が弱く捲縮発現性が劣り、成
型体が硬くなり好ましくない。80モル%を超えると適度
の重合度のポリマーを安定に得ることが難しくなり、か
つ捲縮堅牢性が著しく低下する。好ましくは30〜60モル
%である。また金属スルフオネート基を有するイソフタ
ル酸を併用する場合、この成分が6モル%を超えると重
合体の溶融粘度が高くなりすぎ縮合反応において適度の
重合度のポリマーを安定に得ることが難かしくなり、紡
出時の結晶性が高くなるため経時変化を起こし易くなり
延伸性の低下をきたし、十分な潜在捲縮性を有する複合
繊維は得られにくい。さらに成分(A)の重合体には、
高熱収縮性を大きく損わない範囲で上記以外の共重合成
分が導入されていてもよい。また成分(A)の重合体の
固有粘度は0.45〜0.66が好ましい。 重合体成分(A)を得る方法としては、ポリエチレン
テレフタレートを製造する際にジカルボン酸成分の20〜
80モル%がイソフタル酸となる様に原料を配合し、また
上記金属スルフオネート基を有するイソフタル酸等を必
要により添加し共重合させる方法が挙げられる。これ以
外にも、予めイソフタル酸を高割合で共重合したポリエ
チレンテレフタレート重合体を作製しておき、また必要
により金属スルフオネート基を有するイソフタル酸等を
高割合で共重合したポリエチレンテレフタレート重合体
も作製しておき、これらを共重合割合としてそれぞれ20
〜80モル%および0〜6モル%の範囲となるようにポリ
エチレンテレフタレートと混合するマスターバツチ方式
等によつても得ることができる。 重合体成分(B)にはポリエチレンテレフタレートや
ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルが用いら
れる。もちろん、捲縮発現効果を著しく減少させない限
り重合体成分(B)は共重合が行なわれていてもよい。 なお潜在捲縮性バインダー繊維として種々のものが公
知であるが、本発明で規定する成分(A)と(B)の組
合せからなる繊維が、嵩高性、均一な捲縮性、さらに捲
縮形態の耐久性の点で際立つて優れている。 繊維には、必要に応じ無機物質として例えば酸化チタ
ン、酸化ジルコニウム、酸化硅素、アルミナ等の金属酸
化物、その他のセラミツクス、難燃剤、抗菌剤、消臭
剤、芳香剤、ドデシルベンゼンスルフオン酸ソーダのよ
うな親水化剤等の添加剤を混合してもよい。さらに成分
(A)、(B)の重合体には繊維の捲縮性を大きく損わ
ない範囲で他のポリマーが添加されていてもよい。 使用する紡糸口金は、円型、三角型、十字型、偏平
型、T字型などの孔形を有する複合型口金が考えられる
が、勿論これらに限定されるものではなく、また複合形
態も特に限定されないが、一般に偏心芯鞘型よりもサイ
ドバイサイド型の方が捲縮発現力が優れている点で好ま
しい。 本発明において使用される熱バインダー繊維は前記成
分(A)、(B)の2種類の重合体成分を270〜290℃の
範囲で前記の口金を用い、複合比率(A):(B)=40
〜60:60〜40の範囲で偏心芯鞘型又はサイドバイサイド
型、好ましくは前述したようにサイドバイサイド型の複
合繊維とするのが特に好ましい。2種類の重合体成分の
紡出時の溶融粘度は常に(A)>(B)であり、溶融粘
度差が100〜1000poiseの範囲であることが優れた潜在捲
縮能を有する熱バインダー繊維を得る上で好ましい。複
合比率が50:50から外れるに従い口金吐出部でニーイン
グ現象を起しやすくなるので(A):(B)=45〜55:5
5〜45の範囲が最も好ましい。 なお、上記溶融粘度は、約285℃の時の値である。 また、本発明で使用する繊維は熱処理後に三次元捲
縮、特に、スパイラル捲縮を有することが繊維成型体に
嵩高性、柔軟性、伸縮性を付与するうえで重要であり、
殊に、スパイラル捲縮数とその時の捲縮の形状(曲率)
がシヤープであることが望まれ、具体的には80℃の乾熱
処理により捲縮数は30ケ/25mm以上のスパイラル捲縮を
発現することが重要であり、特に、40ケ/25mm以上であ
ることが好ましい。捲縮数が30ケ/25mm未満では嵩高
性、柔軟性および伸縮性が著しく低下してしまう。 また、熱処理時に、収縮率が高いと繊維成型体が著し
く硬くなり、寸法安定性・伸縮性も低下し好ましくない
ため、90℃における熱収縮率が35%以下であるのが好ま
しい。 尚、繊維の捲縮数はJIS L 1015−7−12−1により測
定することができ、成型体中での捲縮数は捲縮径から計
算して求めることができる。 本発明の繊維成型体は、上記のような熱バインダー繊
維を10重量%以上、好ましくは50〜90重量%含む不織
布、編物、織物等またはこれらを組み合せた繊維構造体
を常法によつて製造し、これを、型に供し加熱加圧する
ことにより、潜在捲縮の顕在化と熱融着を行ない所望の
形状の成型体にすることができる。その際、先に低めの
温度である程度の捲縮の発現を行つてから、二段目の熱
処理で熱融着と更なる捲縮発現を行うことも可能であ
る。 不織布について具体的に説明すると、熱バインダー繊
維と必要に応じて他の繊維を混合し、通常の乾式法ある
いは湿式法で繊維ウエブを作り、ニードルパンチ法、水
流噴射法などの繊維絡合手段で不織布とする。この不織
布は熱バインダー繊維の低融点ポリマーが軟化接合する
温度以上であつて、他の成分および他の繊維を溶融しな
い温度で熱処理し、繊維間を溶融接合する。また、この
熱処理を二段階に処理して、一段目の熱処理を熱バイン
ダー繊維の一成分ポリマーが収縮する条件下で行い、繊
維に自発捲縮を発現させ、二段目の熱処理で熱バインダ
ー繊維の低融点ポリマーで繊維間を接合固定すると、嵩
高性あるいは高繊維密度の不織布で伸長性のある、形態
の安定な繊維成型体が得られる。 また、本発明の成型体を製造するにあたり、任意の不
織布、編織布を積層し、積層体とした繊維成型体として
もよい。更に、繊維成型体は染色、捺染などの仕上げ処
理を行つてもよい。 尚、他の繊維としては、通常使用されるポリエステル
繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフイン系繊維、ポリア
クリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、再生セル
ロース繊維、天然繊維などから選ばれた1種以上の繊維
を使用することができる。 次に、本発明の繊維成型体を図面で説明する。 第1図は本発明の繊維成型体を構成する熱バインダー
繊維であるサイド−バイ−サイド型複合繊維の断面模式
図であり、第1図(1)は円形断面繊維で、ほぼ2分し
て2種類のポリマーが接合した断面模式図、第1図
(2)は楕円形あるいは偏平形の断面繊維で、短径方向
を境界として2種類のポリマーが接合した断面模式図、
第1図(3)は楕円形あるいは偏平形の断面繊維で、長
径方向を境界として2種類のポリマーが接合した断面模
式図で、1は重合体成分(B)、2は重合体成分(A)
である。 第2図は、不織布からなる本発明の繊維成型体の断面
模式図であり、3は通常の繊維、4は熱バインダー繊維
である。 第3図は不織布と布帛の積層体からなる本発明の繊維
成型体の断面模式図であり、3は通常の繊維、4は熱バ
インダー繊維、5は布帛である。 第4図は繊維集合体を成型したブラジヤーカツプの断
面模式図である。 第5図は繊維集合体を成型した型パツドの断面模式図
である。 本発明の繊維成型体は、例えば、ブラジヤーカツプの
芯体、成型肩パツドなどの服飾用副資材、成型帽子、靴
の中敷き、車両用の内装材、詰物、袋、煮出し袋などに
使用できる。
維成型体において、該熱バインダー繊維が、2種のポリ
エステル重合体成分(A)及び(B)とから構成され、
該成分(A)はイソフタル酸を20〜80モル%共重合した
改質ポリエチレンテレフタレートであり、成分(B)
は、実質的にポリエチレンテレフタレートまたはポリブ
チレンテレフタレートであり、かつ、30ケ/25mm以上の
三次元捲縮を有するポリエステル複合繊維であることを
特徴とする繊維成型体である。 尚、本発明における繊維成型体とは、熱バインダー繊
維を含む、不織布、編物、織物またはこれらを組み合せ
た積層物を材料とし、これを(必要に応じて成形用型に
供給し)、加熱処理することによつて得られる。例え
ば、ブラジヤーカツプ、型パツドのような成型体を意味
するものである。 本発明において使用される熱バインダー繊維は、主と
して2種類のポリエステル重合体から構成され、そのう
ちポリエステル重合体成分(A)としては、イソフタル
酸を20〜80モル%共重合した改質ポリエチレンテレフタ
レートを用い、一方のポリエステル重合体成分(B)と
しては、実質的にポリエチレンテレフタレートまたはポ
リブチレンテレフタレートを用い、これら二種類のポリ
エステル重合体を偏心芯鞘型、又はサイドバイサイド型
に複合紡糸した繊維であつて、乾熱処理における捲縮形
態が三次元捲縮で捲縮数30ケ/25mm以上の捲縮を発現す
る潜在捲縮能を有する繊維であり、熱処理前においては
繊度1〜15デニール、捲縮数0〜20ケ/25mmであるポリ
エステル複合繊維が好ましい。ここで、30ケ/25mm以上
の三次元捲縮を発現させるための乾熱処理は、高温すぎ
るとポリマーの溶融等を招き、得ようとする成型体の嵩
高性が不十分となるので、80℃程度の低温でも30ケ/25m
m以上発現できる複合繊維であることが好ましい。 複合繊維に80〜130℃の温度条件下で熱融着する熱融
着型バインダー機能を付与せしめるために、(A)成分
としては、前述したようにジカルボン酸成分の20〜80モ
ル%がイソフタル酸であるポリエチレンテレフタレート
系ポリマーを用いることが必要であるが、イソフタル酸
と共に、たとえば金属スルホネート基を有するイソフタ
ル酸を0〜6モル%共重合、またグリコール成分の0〜
15モル%がジエチレングリコール(DEG)で置換されて
いてもよい。 金属スルフオネート基を有するイソフタル酸としては
5−ナトリウムスルフオイソフタル酸、5−カリウムス
ルフオイソフタル酸、5−リチウムスルフオイソフタル
酸が挙げられる。 イソフタル酸の共重合割合が20モル%未満では乾燥、
熱処理時の収縮応力の発現が弱く捲縮発現性が劣り、成
型体が硬くなり好ましくない。80モル%を超えると適度
の重合度のポリマーを安定に得ることが難しくなり、か
つ捲縮堅牢性が著しく低下する。好ましくは30〜60モル
%である。また金属スルフオネート基を有するイソフタ
ル酸を併用する場合、この成分が6モル%を超えると重
合体の溶融粘度が高くなりすぎ縮合反応において適度の
重合度のポリマーを安定に得ることが難かしくなり、紡
出時の結晶性が高くなるため経時変化を起こし易くなり
延伸性の低下をきたし、十分な潜在捲縮性を有する複合
繊維は得られにくい。さらに成分(A)の重合体には、
高熱収縮性を大きく損わない範囲で上記以外の共重合成
分が導入されていてもよい。また成分(A)の重合体の
固有粘度は0.45〜0.66が好ましい。 重合体成分(A)を得る方法としては、ポリエチレン
テレフタレートを製造する際にジカルボン酸成分の20〜
80モル%がイソフタル酸となる様に原料を配合し、また
上記金属スルフオネート基を有するイソフタル酸等を必
要により添加し共重合させる方法が挙げられる。これ以
外にも、予めイソフタル酸を高割合で共重合したポリエ
チレンテレフタレート重合体を作製しておき、また必要
により金属スルフオネート基を有するイソフタル酸等を
高割合で共重合したポリエチレンテレフタレート重合体
も作製しておき、これらを共重合割合としてそれぞれ20
〜80モル%および0〜6モル%の範囲となるようにポリ
エチレンテレフタレートと混合するマスターバツチ方式
等によつても得ることができる。 重合体成分(B)にはポリエチレンテレフタレートや
ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルが用いら
れる。もちろん、捲縮発現効果を著しく減少させない限
り重合体成分(B)は共重合が行なわれていてもよい。 なお潜在捲縮性バインダー繊維として種々のものが公
知であるが、本発明で規定する成分(A)と(B)の組
合せからなる繊維が、嵩高性、均一な捲縮性、さらに捲
縮形態の耐久性の点で際立つて優れている。 繊維には、必要に応じ無機物質として例えば酸化チタ
ン、酸化ジルコニウム、酸化硅素、アルミナ等の金属酸
化物、その他のセラミツクス、難燃剤、抗菌剤、消臭
剤、芳香剤、ドデシルベンゼンスルフオン酸ソーダのよ
うな親水化剤等の添加剤を混合してもよい。さらに成分
(A)、(B)の重合体には繊維の捲縮性を大きく損わ
ない範囲で他のポリマーが添加されていてもよい。 使用する紡糸口金は、円型、三角型、十字型、偏平
型、T字型などの孔形を有する複合型口金が考えられる
が、勿論これらに限定されるものではなく、また複合形
態も特に限定されないが、一般に偏心芯鞘型よりもサイ
ドバイサイド型の方が捲縮発現力が優れている点で好ま
しい。 本発明において使用される熱バインダー繊維は前記成
分(A)、(B)の2種類の重合体成分を270〜290℃の
範囲で前記の口金を用い、複合比率(A):(B)=40
〜60:60〜40の範囲で偏心芯鞘型又はサイドバイサイド
型、好ましくは前述したようにサイドバイサイド型の複
合繊維とするのが特に好ましい。2種類の重合体成分の
紡出時の溶融粘度は常に(A)>(B)であり、溶融粘
度差が100〜1000poiseの範囲であることが優れた潜在捲
縮能を有する熱バインダー繊維を得る上で好ましい。複
合比率が50:50から外れるに従い口金吐出部でニーイン
グ現象を起しやすくなるので(A):(B)=45〜55:5
5〜45の範囲が最も好ましい。 なお、上記溶融粘度は、約285℃の時の値である。 また、本発明で使用する繊維は熱処理後に三次元捲
縮、特に、スパイラル捲縮を有することが繊維成型体に
嵩高性、柔軟性、伸縮性を付与するうえで重要であり、
殊に、スパイラル捲縮数とその時の捲縮の形状(曲率)
がシヤープであることが望まれ、具体的には80℃の乾熱
処理により捲縮数は30ケ/25mm以上のスパイラル捲縮を
発現することが重要であり、特に、40ケ/25mm以上であ
ることが好ましい。捲縮数が30ケ/25mm未満では嵩高
性、柔軟性および伸縮性が著しく低下してしまう。 また、熱処理時に、収縮率が高いと繊維成型体が著し
く硬くなり、寸法安定性・伸縮性も低下し好ましくない
ため、90℃における熱収縮率が35%以下であるのが好ま
しい。 尚、繊維の捲縮数はJIS L 1015−7−12−1により測
定することができ、成型体中での捲縮数は捲縮径から計
算して求めることができる。 本発明の繊維成型体は、上記のような熱バインダー繊
維を10重量%以上、好ましくは50〜90重量%含む不織
布、編物、織物等またはこれらを組み合せた繊維構造体
を常法によつて製造し、これを、型に供し加熱加圧する
ことにより、潜在捲縮の顕在化と熱融着を行ない所望の
形状の成型体にすることができる。その際、先に低めの
温度である程度の捲縮の発現を行つてから、二段目の熱
処理で熱融着と更なる捲縮発現を行うことも可能であ
る。 不織布について具体的に説明すると、熱バインダー繊
維と必要に応じて他の繊維を混合し、通常の乾式法ある
いは湿式法で繊維ウエブを作り、ニードルパンチ法、水
流噴射法などの繊維絡合手段で不織布とする。この不織
布は熱バインダー繊維の低融点ポリマーが軟化接合する
温度以上であつて、他の成分および他の繊維を溶融しな
い温度で熱処理し、繊維間を溶融接合する。また、この
熱処理を二段階に処理して、一段目の熱処理を熱バイン
ダー繊維の一成分ポリマーが収縮する条件下で行い、繊
維に自発捲縮を発現させ、二段目の熱処理で熱バインダ
ー繊維の低融点ポリマーで繊維間を接合固定すると、嵩
高性あるいは高繊維密度の不織布で伸長性のある、形態
の安定な繊維成型体が得られる。 また、本発明の成型体を製造するにあたり、任意の不
織布、編織布を積層し、積層体とした繊維成型体として
もよい。更に、繊維成型体は染色、捺染などの仕上げ処
理を行つてもよい。 尚、他の繊維としては、通常使用されるポリエステル
繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフイン系繊維、ポリア
クリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、再生セル
ロース繊維、天然繊維などから選ばれた1種以上の繊維
を使用することができる。 次に、本発明の繊維成型体を図面で説明する。 第1図は本発明の繊維成型体を構成する熱バインダー
繊維であるサイド−バイ−サイド型複合繊維の断面模式
図であり、第1図(1)は円形断面繊維で、ほぼ2分し
て2種類のポリマーが接合した断面模式図、第1図
(2)は楕円形あるいは偏平形の断面繊維で、短径方向
を境界として2種類のポリマーが接合した断面模式図、
第1図(3)は楕円形あるいは偏平形の断面繊維で、長
径方向を境界として2種類のポリマーが接合した断面模
式図で、1は重合体成分(B)、2は重合体成分(A)
である。 第2図は、不織布からなる本発明の繊維成型体の断面
模式図であり、3は通常の繊維、4は熱バインダー繊維
である。 第3図は不織布と布帛の積層体からなる本発明の繊維
成型体の断面模式図であり、3は通常の繊維、4は熱バ
インダー繊維、5は布帛である。 第4図は繊維集合体を成型したブラジヤーカツプの断
面模式図である。 第5図は繊維集合体を成型した型パツドの断面模式図
である。 本発明の繊維成型体は、例えば、ブラジヤーカツプの
芯体、成型肩パツドなどの服飾用副資材、成型帽子、靴
の中敷き、車両用の内装材、詰物、袋、煮出し袋などに
使用できる。
次に、本発明を実施例で具体的に説明する。なお、実
施例中の部および%は断りのない限り重量に関するもの
である。 実施例1 ポリエチレンテレフタレート(融点266℃)とイソフ
タル酸を30モル%共重合したポリエチレンテレフタレー
ト(溶融温度117℃)をサイド−バイ−サイド接合型複
合紡糸機 複合比1:1で溶融紡糸し、延伸して単繊維繊
度2drのサイド−バイ−サイド型複合繊維とし、機械捲
縮を付与した後、繊維長51mmに切断して熱バインダー繊
維とした。この熱バインダー繊維80%、ポリエチレンテ
レフタレート繊維(単繊維繊度2dr、繊維長51mm)20%
を混綿し、乾式法で平均重量90g/m2の繊維ウエブを作
り、繊維ウエブを4枚積層してニードルパンチ法で絡合
処理を行い、次いで平均温度100℃の熱風中で1分間熱
処理して平均重量410g/m2、平均厚み4.0mm、見かけ密度
0.103g/cm3の嵩高性不織布を得た。この不織布の熱バイ
ンダー繊維は40個/25mmの立体捲縮が発現し、良好な絡
合状態であつた。次いで、ブラジヤーカツプ用金型を用
い、クリアランス3mm、金型温度140℃、プレス時間30秒
で上記不織布をプレス成型した。 得られたブラジヤーカツプは繊維密度が高くて弾性が
あり、形態安定性の良好な成型品であつた。 比較のために、熱バインダー繊維に実施例1と同じ共
重合ポリエステルを鞘成分、ポリエチレンテレフタレー
トを芯成分とした同心芯鞘型複合繊維を作り、同様にし
て不織布とし、熱処理して得た不織布は平均重量377g/m
2、平均厚み2.7mm、見かけ密度0.14g/cm3の高密度不織
布であつた。この不織布は厚みが薄いため、金型のクリ
アランスを2.7mmとして同様にプレス成型した。 得られたブラジヤーカツプは硬くて弾性が小さく、へ
こみの回復性が悪いものであつた。
施例中の部および%は断りのない限り重量に関するもの
である。 実施例1 ポリエチレンテレフタレート(融点266℃)とイソフ
タル酸を30モル%共重合したポリエチレンテレフタレー
ト(溶融温度117℃)をサイド−バイ−サイド接合型複
合紡糸機 複合比1:1で溶融紡糸し、延伸して単繊維繊
度2drのサイド−バイ−サイド型複合繊維とし、機械捲
縮を付与した後、繊維長51mmに切断して熱バインダー繊
維とした。この熱バインダー繊維80%、ポリエチレンテ
レフタレート繊維(単繊維繊度2dr、繊維長51mm)20%
を混綿し、乾式法で平均重量90g/m2の繊維ウエブを作
り、繊維ウエブを4枚積層してニードルパンチ法で絡合
処理を行い、次いで平均温度100℃の熱風中で1分間熱
処理して平均重量410g/m2、平均厚み4.0mm、見かけ密度
0.103g/cm3の嵩高性不織布を得た。この不織布の熱バイ
ンダー繊維は40個/25mmの立体捲縮が発現し、良好な絡
合状態であつた。次いで、ブラジヤーカツプ用金型を用
い、クリアランス3mm、金型温度140℃、プレス時間30秒
で上記不織布をプレス成型した。 得られたブラジヤーカツプは繊維密度が高くて弾性が
あり、形態安定性の良好な成型品であつた。 比較のために、熱バインダー繊維に実施例1と同じ共
重合ポリエステルを鞘成分、ポリエチレンテレフタレー
トを芯成分とした同心芯鞘型複合繊維を作り、同様にし
て不織布とし、熱処理して得た不織布は平均重量377g/m
2、平均厚み2.7mm、見かけ密度0.14g/cm3の高密度不織
布であつた。この不織布は厚みが薄いため、金型のクリ
アランスを2.7mmとして同様にプレス成型した。 得られたブラジヤーカツプは硬くて弾性が小さく、へ
こみの回復性が悪いものであつた。
第1図は本発明の繊維成型体を構成する熱バインダー繊
維であるサイド−バイ−サイド型複合繊維の断面模式図
であり、第1図(1)は円形断面繊維、第1図(2)、
(3)は楕円形あるいは偏平形の断面繊維、第2図は本
発明の不織布からなる繊維成型体の断面模式図、第3図
は熱バインダー繊維を含む不織布と布帛の積層体からな
る本発明の繊維成型体の断面模式図であり、第4図は繊
維集合体を成型したブラジヤーカツプの断面模式図であ
り、第5図は繊維集合体を成型した肩パツトの断面模式
図である。 1……ポリエステル重合体成分(B) 2……ポリエステル重合体成分(A) 3……通常の繊維、4……熱バインダー繊維、5……布
帛。
維であるサイド−バイ−サイド型複合繊維の断面模式図
であり、第1図(1)は円形断面繊維、第1図(2)、
(3)は楕円形あるいは偏平形の断面繊維、第2図は本
発明の不織布からなる繊維成型体の断面模式図、第3図
は熱バインダー繊維を含む不織布と布帛の積層体からな
る本発明の繊維成型体の断面模式図であり、第4図は繊
維集合体を成型したブラジヤーカツプの断面模式図であ
り、第5図は繊維集合体を成型した肩パツトの断面模式
図である。 1……ポリエステル重合体成分(B) 2……ポリエステル重合体成分(A) 3……通常の繊維、4……熱バインダー繊維、5……布
帛。
Claims (1)
- 【請求項1】熱バインダー繊維を含有する繊維成型体に
おいて、該熱バインダー繊維が、2種のポリエステル重
合体成分(A)及び(B)とから構成され、該成分
(A)はイソフタル酸を20〜80モル%共重合した改質ポ
リエチレンテレフタレートであり、成分(B)は、実質
的にポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテ
レフタレートであり、かつ、30ケ/25mm以上の三次元捲
縮を有するポリエステル複合繊維であることを特徴とす
る繊維成型体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2211139A JP2916224B2 (ja) | 1990-08-08 | 1990-08-08 | 繊維成型体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2211139A JP2916224B2 (ja) | 1990-08-08 | 1990-08-08 | 繊維成型体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04100960A JPH04100960A (ja) | 1992-04-02 |
JP2916224B2 true JP2916224B2 (ja) | 1999-07-05 |
Family
ID=16601029
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2211139A Expired - Fee Related JP2916224B2 (ja) | 1990-08-08 | 1990-08-08 | 繊維成型体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2916224B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010196223A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-09 | Kuraray Kuraflex Co Ltd | 不織繊維集合体及びクッション材 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5607766A (en) * | 1993-03-30 | 1997-03-04 | American Filtrona Corporation | Polyethylene terephthalate sheath/thermoplastic polymer core bicomponent fibers, method of making same and products formed therefrom |
DE19525858C1 (de) * | 1995-07-15 | 1996-11-14 | Freudenberg Carl Fa | Einlegesohle für Schuhe und Verfahren zur Herstellung |
-
1990
- 1990-08-08 JP JP2211139A patent/JP2916224B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010196223A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-09 | Kuraray Kuraflex Co Ltd | 不織繊維集合体及びクッション材 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04100960A (ja) | 1992-04-02 |
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