JP4076369B2 - ポリエステル系熱接着性中空複合短繊維及び不織布 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、短繊維からなる乾式不織布や湿式不織布等の不織布分野において主体繊維を熱接着するための熱接着性繊維であって、柔軟性と嵩高性及び耐熱性を有する不織布を得るのに好適なポリエステル系熱接着性中空複合短繊維及びこれから得られる不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合成繊維、特にポリエステル繊維は、その優れた寸法安定性、耐候性、機械的特性、耐久性、さらにはリサイクル性等の点から、衣料、産業資材として不可欠のものとなっており、不織布分野においても多く使用されている。
【0003】
このポリエステル繊維からなる不織布分野において、最近、柔軟性と嵩高性及び耐熱性を兼ね備えた不織布が望まれている。
従来のポリエステル系短繊維からなる不織布には、主体繊維を熱接着するために熱接着性複合短繊維が使用されており、一般的には、芯部にポリエチレンテレフタレート、鞘部にイソフタル酸を共重合した低融点ポリマーを配した熱接着性複合短繊維が用いられている。
【0004】
しかし、この熱接着性複合短繊維の芯成分に使用しているポリエチレンテレフタレートはポリマー自体の剛性が高いため、不織布に柔軟性を付与することが困難であった。
このような問題を解決する方法として、熱接着性複合短繊維の繊度を細くすることにより、繊維の剛性を低減し、不織布に柔軟性を付与することも数多く試みられている。
【0005】
しかしながら、製糸工程において1dtex前後の細繊度繊維を得ようとすると、操業性の悪化を招いたり、製糸工程が煩雑なものとなったりするなど、容易に熱接着性複合短繊維を得ることは困難であった。
【0006】
一方、不織布に耐熱性を付与するために、特開平7−119011号公報や特開平9−132850号公報には、芯部にポリエチレンテレフタレート、鞘部にテレフタル酸成分、脂肪族ラクトン成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分を共重合した低融点ポリマーを配した熱接着性複合短繊維を用いることが提案されている。
【0007】
このような熱接着性複合短繊維は、耐熱性については従来のポリエステル系熱接着性複合短繊維よりも良好であるが、繊維形状が芯鞘構造であるため、得られる不織布の嵩高性に劣り、柔軟性も十分なものではなかった。
【0008】
また、不織布に耐熱性と柔軟性を付与するために、特開2001-115340号公報には、芯部にポリトリメチレンテレフタレート、鞘部にテレフタル酸成分、脂肪族ラクトン成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分を共重合した低融点ポリマーを配した熱接着性複合短繊維を用いることが提案されている。
【0009】
なるほど、この熱接着性複合短繊維は、耐熱性と柔軟性については従来のポリエステル系熱接着性複合短繊維よりも良好であるが、やはり繊維形状が芯鞘構造であるため、得られる不織布の嵩高性には劣るものであった。
このように、不織布に柔軟性と嵩高性及び耐熱性を付与することが可能である熱接着性複合短繊維は、未だに得られていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決し、優れた柔軟性と嵩高性及び耐熱性を有する不織布を得ることができる熱接着性中空複合短繊維及びその不織布を提供することを技術的な課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行い、本発明に到達した。すなわち、本発明は、次の構成を有するものである。
(1)主たる繰り返し単位がアルキレンテレフタレートであるポリエステルAと、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分を含有し、かつ、アジピン酸成分及び/又は脂肪族ラクトン成分を含有する共重合ポリエステルであり、ガラス転移点20〜80℃、結晶化温度80〜130℃、融点130〜180℃である低融点ポリエステルBとで構成されたサイドバイサイド型複合繊維であって、繊維軸方向に連続する中空部を有し、中空率が10〜30%であり、低融点ポリエステルBが溶融することにより、ポリエステルAで形成されたC型断面形状のものとなることを特徴とするポリエステル系熱接着性中空複合短繊維。
(2)(1)記載のポリエステル系熱接着性中空複合短繊維を含むことを特徴とする不織布。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱接着性中空複合短繊維は、主たる繰り返し単位がアルキレンテレフタレートであるポリエステル(ポリエステルA)と低融点ポリエステル(ポリエステルB)とで構成されたサイドバイサイド型の複合繊維である。ポリマー同士が剥離したり、製糸工程、加工工程で操業性が悪化することがないようにするため、本発明では複合繊維の両成分ともにポリエステルを使用する。
【0013】
本発明において、ポリエステルAは、紡糸の操業性、原綿物性、コスト等を考慮し、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略する。)を用いることが好ましい。
ポリエステルBは低融点ポリエステルであり、熱処理により溶融するが、ポリエステルAは不織布を構成する主体繊維とともに、不織布を形成する成分となる。したがって、得られる不織布の効果を損なわない範囲であれば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール成分、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体などの芳香族ジオール成分、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸成分などを共重合したものでもよく、さらに、安定剤、蛍光剤、顔料、抗菌剤、消臭剤、強化剤等を添加したものでもよい。
【0014】
一方、ポリエステルBは、ガラス転移点(Tg)が20〜80℃、結晶化温度(Tc)が80〜130℃、融点(Tm)が130〜180℃であることが必要である。
Tgが20℃未満では、溶融紡糸時に単糸間の密着が発生し、製糸性が悪くなり、一方、Tgが80℃を超えると、製糸工程において高温で延伸することが必要になり、延伸による塑性変形と同時に部分的な結晶化が始まり、糸切れが発生するなど、延伸性が低下する。
【0015】
また、ポリエステルBのTcが80℃未満では、熱延伸工程において結晶化が進行してしまうため、次の熱処理工程において安定な結晶構造を再構築することが困難となる。一方、Tcが130℃を超えるとTmも並行して高まり、高温で熱処理する必要が生じて、熱接着処理時にA成分の分解が起こりやすくなるばかりか、経済的にも不利となる。
【0016】
さらに、ポリエステルBのTmが130℃未満では、たとえ繊維化しても、高温雰囲気下で使用した場合、耐熱性を得ることができない。一方、Tmが180℃を超えると、不織布化する際に高温下での熱処理が必要となり、経済的にも不利となるので好ましくない。また、ポリエステルAとの融点差も縮小し、加工性が悪化するとともに、得られる不織布の柔軟性も乏しくなる。
【0017】
ポリエステルBは、具体的には、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分を含有し、かつ、アジピン酸成分と脂肪族ラクトン成分の少なくとも一成分を含有する共重合ポリエステルである。これらの共重合量を調整することにより、上記したような低融点のポリエステルとすることができる。
【0018】
まず、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分を含有することでTmを180℃程度にすることができる。このとき、エチレングリコール成分と1,4−ブタンジオール成分のモル比を50/50とすると、Tmを最も低くすることができる。さらに、アジピン酸成分と脂肪族ラクトン成分の少なくとも一成分を共重合させることにより、Tmをさらに低下させることができる。
【0019】
1,4−ブタンジオール成分を共重合することにより、得られる不織布に柔軟性を付与することができる。従って、上記のTmとの関係を考慮して、エチレングリコール成分と1,4−ブタンジオール成分のモル比を40/60〜60/40とすることが好ましい。
【0020】
さらに、脂肪族ラクトン成分を単独で共重合する場合、全酸成分(テレフタル酸成分及び脂肪族ラクトン成分の合計)に対して10〜20モル%となるようにすることが好ましい。脂肪族ラクトン成分が10モル%未満では結晶性はよくなるが、Tmが180℃を超えやすく、不織布化する際、高温下での熱処理が必要となり、加工性等が悪化するため好ましくない。また、20モル%を超えると、Tg、Tc、Tmの各温度が低くなり、紡糸時に密着が発生したり、製糸性が低下しやすい。上記した熱特性を満足しうる脂肪族ラクトン成分としては、炭素数4〜11のラクトンが好ましく、中でも好適なラクトンとして、ε−カプロラクトンやδ−バレロラクトンが挙げられる。
【0021】
アジピン酸成分を単独で共重合する場合も、全酸成分(テレフタル酸成分及びアジピン酸成分の合計)に対して10〜20モル%となるようにすることが好ましい。また、脂肪族ラクトン成分とアジピン酸成分を併用する場合も、全酸成分に対して10〜20モル%となるようにすることが好ましい。これらの範囲外のものであると、上記の脂肪族ラクトン成分の場合と同様の理由で好ましくない。
【0022】
なお、低融点共重合ポリエステルであるポリエステルBは、本発明の効果を損なわない範囲で、イソフタル酸、フタル酸、セバシン酸、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの共重合成分を少量含有していてもよい。
【0023】
次に、本発明の繊維は、ポリエステルAとポリエステルBがサイドバイサイド型に貼り合わされたものであり、中空部を有するものである。このような形とすることにより、低融点ポリエステルであるポリエステルBが溶融すると、ポリエステルAのみがC型断面形状のものとなり、嵩高性に優れた不織布を得ることが可能となる。
【0024】
ポリエステルAとポリエステルBの構成比(A/B)は、体積比で40/60〜60/40であることが好ましく、特に、45/55〜55/45であることがより好ましい。ポリエステルAの割合が60%を超えると、熱接着性が低下して不織布性能が低下するため好ましくない。一方、ポリエステルAの割合が40%未満ではポリエステルBが溶融した後のポリエステルAのC型形状が小さいものとなり、得られる不織布は嵩高性が不足し、ペーパーライクなものになるため好ましくない。
【0025】
そして、本発明の熱接着性中空複合短繊維は、繊維軸方向に連続する中空部を有し、中空部の割合である中空率が10〜30%であることが必要である。なお、中空率とは繊維軸方向に対して垂直方向の繊維の断面積に占める中空部の断面積をいう。中空率が10%未満では、得られる不織布の嵩高性が不十分となる。一方、中空率が30%を超えると、溶融紡糸時に中空割れが発生し、紡糸操業性、品位が低下するため好ましくない。
【0026】
本発明の熱接着性中空複合短繊維は、糸条をカットして短繊維とするものであるが、その繊維長は特に限定されるものではなく、用途に応じて3〜150mm程度に切断したものとすればよい。
【0027】
本発明の熱接着性中空複合短繊維の製造方法について説明する。
まず、上記したポリエステルAとポリエステルBを用いて、通常用いられるサイドバイサイド型複合中空紡糸装置により溶融紡糸し、サイドバイサイド型の熱接着性中空複合未延伸糸を得る。次いで未延伸糸を集束した後、常法により延伸し、必要に応じて押し込み式クリンパーにより機械捲縮を付与し、仕上げ油剤を付与した後、用途に応じて3〜150mmに切断し、熱接着性中空複合短繊維とする。
【0028】
次に、本発明の不織布について説明する。
本発明の不織布は、上記した本発明のポリエステル系熱接着性中空複合短繊維を含むものである。すなわち、本発明の不織布は、本発明の短繊維のみからなるものでも、本発明の短繊維と主体繊維からなるものでもよい。中でも本発明の熱接着性中空複合短繊維が10〜50質量%、好ましくは25〜50質量%の割合となるように主体繊維と混綿することが好ましい。
また、主体繊維は特に限定されるものではないが、ポリエステル系の繊維を用いることが好ましく、嵩高性を向上させるためには中空部を有する繊維とすることが好ましい。
【0029】
本発明の不織布の製造方法について説明する。
本発明の熱接着性中空複合短繊維のみ、又は熱接着性中空複合短繊維と主体繊維とを混綿し、カード機にかけウエブを作成する。このウエブを、熱接着性中空複合短繊維の低融点成分のTm以上、低融点成分のTm+50℃以下の温度に設定した熱処理装置で熱処理して低融点成分を溶融し、接着させ、不織布を作成する。次いで、一旦、室温まで冷却した後、低融点成分のTc以上、低融点成分のTc+30℃以下の温度で結晶化熱処理を行い、熱接着性中空複合短繊維の低融点成分の結晶性を促進させ、本発明の不織布を得る。この場合、熱処理の前にニードリング加工を行ってもよい。熱処理装置としては、熱風ドライヤー、回転ドラム乾燥機等が用いられる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
なお、実施例中の性能評価は、下記方法に従って測定したものである。
(1)Tg、Tc及びTm
パ−キンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度20℃/分で測定した。
(2)単糸繊度
JIS L−1015の方法により測定した。
(3)不織布の目付及び密度
JIS P−8142の方法により測定した。
(4)中空率(%)
繊維を構成する単繊維のうち、任意に選んだ30本において、繊維軸方向に対して垂直方向に切断したときの繊維の断面積に占める中空部の断面積を下記式にて求め、その平均値とした。
中空率(%)=(A/B)×100
A:中空部の断面積
B:単繊維全体の断面積
(5)不織布の耐熱性(以下の不織布の作成条件は、耐熱性の評価のみに利用)
a:不織布の作成条件
主体繊維:ポリエステル系(PET)短繊維 4.4dtex×51mm
混 率:主体繊維/熱接着性中空複合短繊維=70/30(質量比)
処理温度:熱接着性中空複合短繊維のポリエステルBの(Tm+30℃)×1分
結晶化処理:110℃×20分
目 付:50g/m2
b:室温下での不織布強力(測定温度:23℃)
aで得られた不織布を幅2.5cm、長さ15cmの短冊状に切断し、試料を作製し た。この試料を測定温度23℃で、オリエンテック社製UTM−4型のテンシロンを用 いて、引っ張り速度10cm/分の条件で伸長切断し、最大強力を読み取った。
c:高温雰囲気下での不織布強力(測定温度:110℃)
aで得られた不織布を幅2.5cm、長さ15cmの短冊状に切断し、試料を作製し た。この試料を温度110℃の恒温槽で1分間放置後、オリエンテック社製UTM−4 型のテンシロンを用いて、引っ張り速度10cm/分の条件で伸長切断し、最大強力を 読み取った。
d:不織布の強力保持率(%)(耐熱性)
室温下での不織布強力(A)と高温雰囲気下での不織布強力(B)より、下記式で高温 雰囲気下での強力保持率を算出した。高温雰囲気下での強力保持率は、50%以上を耐 熱性良好とした。
強力保持率(%)=(B/A)×100
(6)不織布の柔軟性(剛軟度)
JIS L−1096に準じ、以下の方法で行った。得られた不織布を用いて試料幅10cm、試料長10cmの試料片を3枚準備し、DAIEI KEIKI製風合メータ(MODEL FM−2)を使用して評価した。まず、15mm幅のスリット上に試料片を置いて、アームが試料をスリット間に押し込む時に、最高何cNの力が必要かを試料の表裏について、縦横方向、4箇所で測定し、その合計値を求めた。試料片3枚の平均値を不織布剛軟度(cN)として評価した。なお、剛軟度が70cN以下を合格とした。
(7)不織布の嵩高性
得られた不織布を縦20cm×横20cmに切り、試料を10枚作成する。 試料を10枚重ね、その上に荷重190gの板(25cm×25cm)を載せ、試料の四隅の高さを測定し、平均高さ(h)を求める。下記式にて嵩高性を算出した。嵩高性が30cm3 /g以上を合格とした。
嵩高性(cm3 /g)=(20×20×h)/80
(8)紡糸操業性評価
○:糸切れ、単糸間の密着もなく、操業性が良好
×:糸切れ、単糸間の密着のいずれか一方でも発生し、操業性が不良
(9)総合評価
○:紡糸操業性が良好で不織布の高温雰囲気下での強力保持率が50%以上、嵩高性が30cm3 /g以上、剛軟度が70cN以下。
×:紡糸操業性、不織布の高温雰囲気下での強力保持率、嵩高性、剛軟度のいずれか一つでも劣っている。
【0031】
実施例1
ポリエステルAとして、融点256℃、〔η〕が0.68のPET、ポリエステルBとして、ε−カプロラクトンを全酸成分に対して15モル%と1,4−ブタンジオールをグリコール成分に対し60モル%共重合した、Tg40℃、Tc94℃、Tm160℃の低融点共重合ポリエステルを用い、溶融複合紡糸装置を用いて、紡糸温度270℃、吐出量642g/分で紡糸し、速度700m/分で引き取り、サイドバイサイド型中空複合繊維の未延伸糸を得た。なお、ポリエステルAとポリエステルBの構成比(A/B)は、体積比で50/50であった。
次いで、この未延伸糸を11万dtexのトウに収束し、延伸倍率3.8倍、延伸温度55℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮を付与した後、切断して単糸繊度4.4dtex、繊維長51mmの熱接着性中空複合短繊維を得た。
さらに、得られた熱接着性中空複合短繊維30質量%と、主体繊維として、繊度6.6dtex、繊維長51mmの中空複合短繊維70質量%を混綿し、カード機にかけウェブとなした後、連続熱処理機にて190℃、1分間の熱処理を行い、一旦冷却後、110℃×20分の結晶化熱処理を行い、目付200g/m2の不織布を得た。(耐熱性の評価用としては前記の条件で不織布を作成した。)
【0032】
実施例2
ポリエステルBの共重合成分として、ε−カプロラクトンに代えてアジピン酸(共重合量15モル%)を用いた以外は、実施例1と同様にして熱接着性中空複合短繊維と不織布を得た。
【0033】
実施例3〜4
ポリエステルBのε−カプロラクトンの共重合量を表1のように変更し、カードウエブの連続熱処理機での熱処理温度を実施例3は205℃、実施例4は185℃とした以外は、実施例1と同様にして熱接着性中空複合短繊維と不織布を得た。
【0034】
比較例1
ポリエステルAを融点230℃、〔η〕が0.92のPTTに変更した以外は、実施例1と同様にして熱接着性中空複合短繊維と不織布を得た。
【0035】
比較例2
ポリエステルBのε−カプロラクトンの共重合量を表1のように変更し、カードウエブの連続熱処理機での熱処理温度を225℃とした以外は、実施例1と同様にして熱接着性中空複合短繊維と不織布を得た。
【0036】
比較例3
ポリエステルBのε−カプロラクトンの共重合量を表1のように変更し、カードウエブの連続熱処理機での熱処理温度を170℃とした以外は、実施例1と同様にして熱接着性中空複合短繊維と不織布を得た。
【0037】
比較例4
ポリエステルBの共重合成分として、ε−カプロラクトンに代えてイソフタル酸を40モル%共重合し、非晶性共重合ポリエステル(Tg62℃、軟化点温度110℃)とし、カードウエブの連続熱処理機での熱処理温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にして熱接着性中空複合短繊維と不織布を得た。
【0038】
比較例5
ポリエステルAを芯成分、ポリエステルBを鞘成分とし、中空部のない芯鞘構造糸とした以外は実施例1と同様にして熱接着性複合短繊維と不織布を得た。
【0039】
実施例1〜4、比較例1〜5で得られた熱接着性複合短繊維と不織布の物性値と評価結果を表1、2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
表1、表2から明らかなように、実施例1〜4の熱接着性中空複合短繊維は紡糸操業性に優れ、得られた不織布は、耐熱性、嵩高性、柔軟性ともに優れたものであった。
一方、比較例1の熱接着性中空複合短繊維は中空率が低かったため、得られた不織布は嵩高性に劣るものであった。比較例2は、熱接着性中空複合短繊維のポリエステルBの共重合成分のε−カプロラクトンの共重合量が少なく、Tmが高かったため、加工性が悪く、得られた不織布は柔軟性に劣るものであった。比較例3では、熱接着性中空複合短繊維のポリエステルBの共重合成分のε−カプロラクトンの共重合量が多く、Tgが低かったため、紡糸時に融着が生じ、中空率も低くなり、得られた不織布は嵩高性に劣るものであった。比較例4では、熱接着性中空複合短繊維のポリエステルBの共重合成分がイソフタル酸であり、非晶性であったため、得られた不織布は耐熱性と柔軟性に劣るものであった。比較例5では、熱接着性複合短繊維の断面形状が非中空の芯鞘構造であるため、得られた不織布は嵩高性に劣るものであった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の熱接着性中空複合短繊維によれば、優れた嵩高性と柔軟性及び耐熱性とを同時に有する不織布を得ることが可能であり、本発明の繊維を用いた不織布は優れた性能を生かして様々な用途に使用することができる。
Claims (2)
- 主たる繰り返し単位がアルキレンテレフタレートであるポリエステルAと、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分を含有し、かつ、アジピン酸成分及び/又は脂肪族ラクトン成分を含有する共重合ポリエステルであり、ガラス転移点20〜80℃、結晶化温度80〜130℃、融点130〜180℃である低融点ポリエステルBとで構成されたサイドバイサイド型複合繊維であって、繊維軸方向に連続する中空部を有し、中空率が10〜30%であり、低融点ポリエステルBが溶融することにより、ポリエステルAで形成されたC型断面形状のものとなることを特徴とするポリエステル系熱接着性中空複合短繊維。
- 請求項1記載のポリエステル系熱接着性中空複合短繊維を含むことを特徴とする不織布。
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