JP4988484B2 - 短繊維不織布 - Google Patents

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本発明は、低融点でありながら結晶性に優れ、熱接着性に優れたポリエステルからなる繊維をバインダー繊維、潜在捲縮性能を有する複合繊維を主体繊維とし、嵩高性や柔軟性、機械的特性、地合に優れた短繊維不織布に関するものである。
合成繊維、特にポリエステル繊維は、その優れた寸法安定性、耐候性、機械的特性、耐久性、さらにはリサイクル性等から、衣料、産業資材として不可欠のものとなっており、様々な分野において、ポリエステル繊維が多く使用されている。
衛生材料等の分野において、バインダー繊維を用いて構成繊維を接着した短繊維不織布が種々提案されている。これらの短繊維不織布の多くはポリエステル系繊維からなるため、接着成分となるバインダー繊維もリサイクルの観点よりポリエステル系重合体からなる繊維を用いることが好適である。
例えば、このような短繊維不織布としては、イソフタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合体を鞘部とした芯鞘型複合短繊維をバインダー繊維とし、ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維を主体繊維としたものが挙げられる。この短繊維不織布に用いるバインダー繊維は、高融点の芯部と低融点の鞘部とからなるため、熱接着処理の際に、鞘部のみが溶融して接着成分となり、芯部は溶融せずに繊維形態を保持するものである。
しかしながら、鞘部のイソフタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合体は、非晶性であり明確な結晶融点を示さないため、ガラス転移点以上の温度で軟化が始まる。このため、得られた短繊維不織布を高温雰囲気下で使用した場合、接着強力が低下したり変形するという問題があり、また、このバインダー繊維は熱収縮率が高く、熱接着処理の際の収縮が大きく、得られる短繊維不織布は地合が悪く、柔軟性にも乏しくなるという問題があった。
上記問題を解決するものとして、特許文献1に芯鞘型の複合繊維が記載されている。この繊維は、芯部にポリエチレンテレフタレートを配し、鞘部にテレフタル酸成分、脂肪族ラクトン成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分を共重合したポリエステル系共重合体を配した芯鞘型複合繊維である。
この複合繊維は、鞘部の共重合体は結晶性であり明確な融点を示すため、熱収縮率が小さく、不織布とする際の熱接着処理時の収縮が小さく、地合が良好で柔軟性にも優れ、また、高温雰囲気下で使用した際の耐熱性にも優れた不織布を得ることができる。
しかしながら、この共重合ポリエステルは融点が150〜200℃の範囲のものであり、まだ低融点領域であるとはいえず、熱接着処理する際には加工温度を高くする必要があり、コスト的にも不利であった。
特開2006−118066号公報
本発明は上記の問題点を解決するものであって、熱接着処理する際の加工温度を低くすることができ、高温雰囲気下で使用した際にも接着強力の低下が少なく、嵩高性や柔軟性に優れ、かつ地合、機械的特性にも優れる短繊維不織布を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸のみジオール成分が1,6−ヘキサンジオールとエチレングリコールのみ、あるいは1,6−ヘキサンジオールと1,4−ブタンジオールのみにより構成され、ジオール成分において1,6−ヘキサンジオールが0〜95モル%であり、融点が100〜150℃結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足するリエステルAのみからなる短繊維と、熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合繊維を含有するウエブからなり、ポリエステルAからなる短繊維の少なくとも一部が溶融して接着成分を成していることを特徴とする短繊維不織布。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
本発明の短繊維不織布は、低融点でありながら結晶性に優れたポリエステルからなるポリエステル短繊維をバインダー繊維とするものであるため、バインダー繊維を溶融させて主体繊維を熱接着処理する際の加工温度を低くすることができ、コスト的に有利であり、高温雰囲気下で使用した際にも接着強力の低下が少ない。さらに、バインダー繊維は紡糸時の単糸間の溶着がなく、延伸、熱処理工程においても高温で熱処理を行うことができるので、乾熱収縮率を小さくすることができる。したがって、得られる不織布は地合や柔軟性、機械的特性に優れたものとなる。そして、本発明の短繊維不織布は、主体繊維として潜在捲縮性能を有する複合繊維を用いているため、熱処理により捲縮が発現することで、嵩高性、柔軟性に優れた不織布を得ることができる。このように、本発明の短繊維不織布は、衣料、産業資材、衛生材料用等に広く利用することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の短繊維不織布は、熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合繊維を主体繊維とし、以下に詳述するポリエステルAからなる短繊維をバインダー繊維とし、両短繊維を含有するウエブからなり、バインダー繊維の少なくとも一部が溶融して接着成分を成しているものである。
つまり、本発明の短繊維不織布は、ポリエステルAからなる短繊維を溶融させる際の熱接着処理において、全てを溶融させて主体繊維を接着させる接着成分としているもの、もしくは一部のみを溶融させて主体繊維を接着させる接着成分としているもののいずれでもよい。
そして、本発明の短繊維不織布は、乾式不織布、湿式不織布のいずれでもよく、目付けも特に限定するものではない。
また、本発明の短繊維不織布は、ポリエステルAからなる短繊維と、熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合繊維を含有するウエブからなるものであるが、主体繊維となる複合繊維の潜在捲縮性能は発現しているものであっても、発現していないものであってもよい。
つまり、本発明の短繊維不織布は、バインダー繊維となるポリエステルAからなる短繊維の少なくとも一部が溶融して接着成分を成しているが、バインダー繊維を溶融させる熱接着処理の際に主体繊維の潜在捲縮性能を発現させた状態のものであってもよいし、バインダー繊維を溶融させる熱接着処理の際には主体繊維の潜在捲縮を発現させない状態のものであってもよい。後者の場合は、一旦バインダー繊維を溶融させて得られた不織布に、さらに熱処理を施すことによって、主体繊維の潜在捲縮性能を発現させるものである。
中でも、本発明の短繊維不織布は、ウエブを作成する際には地合のよいものを得るために、主体繊維となる複合繊維の潜在捲縮性能は発現させることなく、バインダー繊維を溶融させる熱接着処理の際に主体繊維の潜在捲縮を発現させるものであることが好ましい。これにより地合に優れ、嵩高性、柔軟性に優れた不織布とすることができる。
そして、短繊維不織布中の主体繊維の混合割合は、10〜90質量%であることが好ましい。主体繊維の割合が90質量%を超えると、バインダー繊維の割合が少なく、接着成分が少なくなり、接着力が低くなるため、短繊維不織布は機械的特性(強度等)に劣るものとなる。一方、主体繊維の割合が10質量%未満であると、バインダー繊維の割合が多く、接着成分が多くなりすぎるため、短繊維不織布は柔軟性や機械的特性(強度等)に劣るものとなり、さらには嵩高性にも乏しいものとなる。
次に、バインダー繊維となる短繊維を構成するポリエステルAについて説明する。ポリエステルAは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸のみジオール成分が1,6−ヘキサンジオールとエチレングリコールのみ、あるいは1,6−ヘキサンジオールと1,4−ブタンジオールのみにより構成され、ジオール成分において1,6−ヘキサンジオールが0〜95モル%であり、融点が100〜150℃であるポリエステルである。
ポリエステルAの融点(Tm)は、100〜150℃であり、中でも105〜140℃であることが好ましく、さらには110〜130℃であることが好ましい。Tmが100℃未満であると、得られる短繊維不織布は、高温雰囲気下で使用した場合の熱安定性(耐熱性)に劣るものとなる。一方、150℃を超えると、不織布を得る際にバインダー繊維の少なくとも一部を溶融させるための熱接着処理温度を高くする必要があり、加工性、経済性に劣る。また、熱接着処理により得られる不織布の品質や風合い等を損ねるため好ましくない。
ポリエステルAは、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸のみを主成分とするものであ
ジオール成分としては、1,6−ヘキサンジオール(以下、HDとする)が60〜95モル%であり、他の成分としてはエチレングリコール(以下、EGとする) または1,4−ブタンジオール(以下、BDとする)を用いるHDが50モル%未満の場合、融点が150℃を超えるものとなる。
ジオール成分として、GやBDをジオール成分において、〜40モル%とする
そして、ポリエステルAは、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有するものであり、中でも0.5〜3.0質量%含有することが好ましい。
ポリエステルAは、上記のような共重合組成であることにより、結晶性を有しているものであり、高温雰囲気下で使用した際にも接着強力の低下が少ないものであるが、結晶核剤を含有することによって降温時の結晶化速度を向上させることができ、後述する(1)式を満足することができるものとなる。そして、ポリエステルAを繊維化する際、溶融紡糸工程において単糸間の溶着を生じることなく、延伸、熱処理工程において高温で熱処理することが可能となるため、乾熱収縮率の低い繊維とすることができる。
結晶核剤の含有量が0.01質量%未満であると、降温時の結晶化速度を向上させることができず、ポリエステルAは後述する(1)式を満足することができない。一方、5.0質量%を超えると、結晶核剤の含有量が多くなりすぎ、不織布化する際の各種の工程において操業性を悪化させることとなる。また、繊維化する際の紡糸、延伸時の操業性が悪化し、得られる短繊維や不織布の品位も低下するものとなる。
結晶核剤としては、無機系微粒子やポリオレフィン、硫酸塩等を使用することが好ましい。中でも無機系微粒子が好ましく、無機系微粒子としては、タルクなどの珪素酸化物を主成分としたものが好ましく、平均粒径3.0μm以下もしくは比表面積15m/g以上の無機系微粒子を用いることが好ましい。上記平均粒径もしくは比表面積を満足していない場合、結晶核としての機能に乏しく、本発明におけるポリエステルAは後述する(1)式を満足することが困難となりやすい。
なお、これらの結晶核剤を添加する方法としては、粉体のまま、あるいはジオールスラリーの形態でポリエステルAを製造する際の任意の段階で添加すればよい。例えば、エステル化またはエステル交換反応時に添加してもよいし、重縮合反応の段階で添加してもよい。中でも、結晶核剤としての効果を良好なものとするには、エチレングリコール等のグリコールにスラリー状態あるいは溶解させた状態で添加することが好ましい。
ポリエステルA中には、本発明の効果を損なわない範囲で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい。
そして、ポリエステルAは、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記(1)式を満足するものであり、中でもb/a≧0.06であることが好ましい。一方、b/aが大きいほど降温時の結晶性に優れるものとなるが、本発明で目的とする効果を奏するには、b/aを0.5以下とすることが好ましい。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) (1)
本発明におけるポリエステルAの融点とDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線は、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、窒素気流中、温度範囲−20℃〜250℃、昇温(降温)速度20℃/分で測定する。このとき試料は短繊維不織布の一部を切り出し、試料量(2mg)で測定する。
上記b/aは、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線より求められる。このとき、主体繊維を形成するポリマーとバインダー繊維を形成するポリエステルAのピークが2つ現れるが、低温側に現れるピークのDSC曲線がポリエステルAのものである。
そして、図1に示すように、ポリエステルAのDSC曲線において、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
b/aは、降温時の結晶性を表す指標であり、b/aの値が高いと結晶化速度が速く、逆に0に近いほど、結晶化速度が遅いことを示している。b/aが0.05(mW/mg・℃)未満の場合、結晶化速度が遅いため、溶融紡糸する際には単糸間の溶着が発生し、紡糸操業性が悪くなる。また、延伸・熱処理工程における熱処理温度を高くすると、繊維の融解・膠着が生じ、高温での熱処理を行うことができないため熱収縮率の低い繊維を得ることができない。また、熱接着処理により接着成分とした不織布は、高温雰囲気下で使用した際に接着強力の低下が大きいものとなる。
上記したように、b/aは、ポリエステルAの共重合組成を特定のものとし、結晶核剤の含有量を上記範囲の量とすることにより、本発明で規定する範囲のものにすることができる。
そして、ポリエステルAのb/aが上記範囲であることで、ポリエステルAからなる短繊維は、溶融紡糸する際に単糸間の溶着が発生せず、延伸、熱処理を高温で施すことができ、熱収縮率の低い繊維とすることができる。具体的には、ポリエステルAからなる短繊維は、ポリエステルAの融点をTmとしたとき、(Tm−30)℃における乾熱収縮率が7%以下であることが好ましく、中でも5%以下であることが好ましく、さらには4.5〜0.5%とすることが好ましい。
本発明における乾熱収縮率とは、JIS L−1015の収縮率の測定における乾熱収縮率の測定方法により測定するものであり、ポリエステルAからなる短繊維を試料とし、初荷重を50mg/デシテックス、つかみ間隔を25mm、処理温度を(Tm−30)℃として測定し、算出するものである。
ポリエステルAからなる短繊維の(Tm−30)℃における乾熱収縮率を7%以下とすることで、この短繊維をバインダー繊維に使用して得られる本発明の短繊維不織布は、熱接着処理時の熱収縮が小さく、熱接着処理する前のウエブの面積と熱接着処理後に得られた不織布の面積を比較した面積収縮率が小さく、得られる不織布は地合や柔軟性に優れるものとなる。一方、(Tm−30)℃における乾熱収縮率が7%を超えるものでは、熱接着処理時にバインダー繊維の収縮が大きくなり、上記した面積収縮率が大きくなり、得られる不織布は地合が悪く、柔軟性にも乏しいものとなる。
従来のような明確な結晶融点を示さないポリエステルを用いて短繊維を製造すると、溶融紡糸する際に単糸間の溶着が発生するとともに、延伸、熱処理工程において熱処理温度を100℃以上とすると、繊維の融解・膠着が生じ、実施が困難となる。したがって、延伸、熱処理工程を低温で行うこととなり、得られる短繊維は熱収縮率が高くなる。このため、このような短繊維をバインダー繊維として不織布を製造すると、熱接着処理時の収縮が大きくなり、得られる不織布は熱接着処理前のウエブの面積と比較した面積収縮率が大きくなり、地合や柔軟性に劣るものとなっていた。
また、本発明の短繊維不織布は、主体繊維として熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合繊維の短繊維を用いるものである。
このような潜在捲縮性能を有する複合繊維としては、熱処理によりスパイラル捲縮を発現するものが好ましく、複合形態としては、2種類のポリマーを用いた複合繊維が好ましく、偏心芯鞘型、サイドバイサイド型、多層型等の張り合せ形状のものが挙げられ、中でもサイドバイサイド型が好ましい。
そして、潜在捲縮性能を有する複合繊維は、170℃の熱処理により50個/25mm以上の捲縮を発現するもの、中でも50個/25mm〜100個/25mmの捲縮を発現するものが好ましい。
なお、本発明でいう捲縮数は、170℃の雰囲気温度のオーブン(熱処理機)中に無荷重で載置して15分間熱処理を施して捲縮を発現させ、50mg/dtexの荷重をかけ任意の長さあたりの捲縮数を測定した値を、長さ25mmあたりに換算したものである。
なお、繊維長が短くて測定が困難である場合は、短繊維にカットする前の繊維より測定を行うものである。
このような潜在捲縮性能を有する複合繊維としては、2種類のポリマーとしてポリエステルを用いることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(以下PETとする)と共重合ポリエステルを用いることが好ましい。共重合ポリエステルとしては、全酸成分に対して芳香族ジカルボン酸2〜6モル%を共重合したポリエステル(以下共重合ポリエステルMとする)、全酸成分に対してイソフタル酸(以下IPAとする)1〜9モル%及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体(以下BAEOとする)2〜5モル%を共重合したポリエステル(以下共重合ポリエステルNとする)を用いることが好ましい。
共重合ポリエステルMにおいては、芳香族ジカルボン酸としては、中でも5−ナトリウムスルホイソフタル酸(以下SIPとする)が好ましい。SIPの共重合量が2モル%未満であると、PETとの溶融粘度差及び熱収縮率差が大きくならず、潜在捲縮性能が不十分となりやすい。一方、6モル%を超えると、ポリエステルの融点が低下し、複合繊維(短繊維)を得るのが困難になりやすい。
共重合ポリエステルNにおいては、IPAの共重合量が1モル%未満であったり、BAEOの共重合量が2モル%未満であると、PETとの溶融粘度差及び熱収縮率差が大きくならず、潜在捲縮性能が不十分となりやすい。一方、IPAが9モル%を超えたり、BAEOの共重合量が5モル%を超えると、ポリエステルの融点が低下し、複合繊維(短繊維)を得るのが困難になったり、得られたポリエステル短繊維の強度が低下する。
また、BAEOは、ビスフェノールAが1モルに対して、エチレンオキサイドを2〜10モル付加したものが好ましく、中でもエチレンオキサイドを2〜5モル付加したものが好ましい。
そして、潜在捲縮性能を有する複合繊維における2種類のポリマーの複合比は、質量比で10/90〜90/10とすることが好ましく、より好ましくは、30/70〜70/30である。
潜在捲縮性能を有する複合繊維中にも、本発明の効果を損なわない範囲で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい
そして、主体繊維及びポリエステルAからなる短繊維は、本発明の不織布を乾式不織布とする際には繊維長を25〜100mmとすることが好ましく、中でも30〜80mmが好ましい。また、本発明の不織布を湿式不織布とする際には繊維長を1〜30mmとすることが好ましく、中でも3〜20mmとすることが好ましい。
乾式不織布とする際にポリエステル短繊維の繊維長が25mm未満であると、カード機での解繊時に繊維の脱落が生じるため、操業性が悪化する。一方、100mmを超えると、カード機での解繊性が悪くなり、得られる不織布は地合や均斉の劣るものとなる。また、湿式不織布とする際にポリエステル短繊維の繊維長が1mm未満であると、切断時の熱によって繊維の溶着や膠着が生じる。一方、30mmを超えると、抄紙機でウエブを得る際に繊維塊が生じやすくなり、得られる不織布は地合や均斉の劣るものとなる。
また、潜在捲縮性能を有する複合繊維及びポリエステルAからなる短繊維の単糸繊度は1〜15dtexであることが好ましい。単糸繊度が1dtex未満であると、紡糸、延伸工程において単糸切断が頻発し、操業性が悪化するとともに、得られる不織布の品位が低下しやすい。一方、単糸繊度が15dtexを超えると紡糸糸条の冷却が不十分となり、繊維の品位が低下し、得られる不織布の品位も低下しやすい。
次に、本発明の短繊維不織布(乾式)の製造方法について一例を用いて説明する。
潜在捲縮性能を有する複合繊維を主体繊維とし、ポリエステルAからなる短繊維をバインダー繊維とし、バインダー繊維と主体繊維を任意の割合で計量し、カード機を用いて混綿、解繊して乾式ウエブを作成する。得られたウエブを、連続熱処理機にてポリエステルAの融点(Tm)+10℃以上、かつ主体繊維の潜在捲縮が発現し得る温度で熱接着処理を施し、バインダー繊維を溶融させ、主体繊維の捲縮を発現させ、捲縮の発現した主体繊維が一体化した乾式短繊維不織布を得る。
次に、本発明の短繊維不織布(湿式)の製造方法について一例を用いて説明する。
潜在捲縮性能を有する複合繊維を主体繊維とし、ポリエステルAからなる短繊維をバインダー繊維とし、バインダー繊維と主体繊維を任意の割合で計量し、パルプ離解機に投入し、攪拌(混綿、解繊)する。得られた試料を抄紙機にて湿式不織ウエブを作成する。この湿式不織ウエブの余分な水分を脱水した後、ポリエステルAの融点(Tm)+10℃以上、かつ主体繊維の潜在捲縮が発現し得る温度で熱接着処理を施し、バインダー繊維を溶融させ、主体繊維の捲縮を発現させ、捲縮の発現した主体繊維が一体化した湿式短繊維不織布を得る。
また、本発明の短繊維不織布においてバインダー繊維とするポリエステルAからなる短繊維の製造方法について一例を用いて説明する。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール等を用い、エステル化反応またはエステル交換反応させ、結晶核剤を添加して重縮合反応を行う。重縮合反応においてポリエステルが所定の極限粘度に到達したら、ストランド状に払い出して、冷却、カットすることによりチップ化する。次に、このチップを通常の溶融紡糸装置に供給して溶融紡糸を行う。紡出糸条を冷却固化した後、一旦容器へ収納する。そして、この糸条を集束して糸条束とし、ローラ間で延伸倍率2〜4倍程度で延伸を施す。続いて100〜120℃で熱処理した後、スタフィングボックス等で機械捲縮を付与する。次いで仕上げ油剤を付与後、目的とする繊維長にカットしてポリエステル短繊維を得る。なお、湿式不織布を得る際には、機械捲縮を付与することなく、捲縮の付与されていない短繊維を用いることが好ましい。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。実施例中の各種の特性値の測定、評価方法は次の通りである。
(a) 極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。
(b)ポリエステルAの融点、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線
前記の方法により測定した。
(c)ポリエステルAのポリマー組成
得られたポリエステルAからなるポリエステル短繊維を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にて 1H-NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から求めた。
(d)ポリエステルAからなる短繊維の乾熱収縮率(%)
前記の方法で測定した。なお、繊維長が短くて測定が困難である場合は、カットする前の繊維で測定した。
(e)不織布の評価
1.地合
得られた不織布表面の地合を目視にて、良好(○)、不良(×)の2段階で評価した。
2.柔軟性(風合)
得られた不織布の柔軟性を触感にて判断し、良好(○)、不良(×)の2段階で評価した。
3.機械的特性(引張強さと耐熱性)
〔引張強さ〕
得られた不織布について、JIS L 1096 8.12の引張強さ及び伸び率 標準時A法(ストリップ法)により引張強さ(N)を測定した。カットストリップ法により試験片の幅5.0cmとし、定速伸長形試験機を用い、試験条件をつかみ間隔20cm、引張速度20cm/分とした。このとき、25℃雰囲気下で測定した。
〔耐熱性〕
上記の引張り強さを70℃雰囲気下で測定し、下記式で強力保持率を算出した。なお、強力保持率は耐熱性を示す指標であり、70%以上であることが好ましい。
強力保持率(%)=〔(70℃雰囲気下での引張強さ)/(25℃雰囲気下での引張強さ)〕×100
4.嵩高性
得られた不織布を20cm×20cmに切り出してサンプルとし、そのサンプル10枚を重ねた上に25cm×25cm×5mmのアクリル板(370g)を載せ、その上に1kgの錘を載せてアクリル板の下面の4辺のそれぞれの辺の中央の高さを測定し、4点の平均値を求めた。
乾式不織布、湿式不織布のそれぞれにおいて、平均値により以下のように3段階評価した。
(乾式不織布)
○:高さが40.0mm以上である
△:高さが25.0mm以上40.0mm未満である
×:高さが25.0mm未満である
(湿式不織布)
○:高さが15.0mm以上である
△:高さが10.0mm以上15.0mm未満である
×:高さが10.0mm未満である
実施例1
(バインダー繊維)
極限粘度0.95、融点128℃の酸性分としてTPA、グリコール成分としてEG15mol%、HD85mol%からなり、結晶核剤として0.5質量%のタルクを含有するポリエステルAをチップ化して溶融紡糸装置に供給し、紡糸温度220℃、吐出量307g/分、紡糸孔数518、紡糸速度850m/分の条件で紡糸した。次いで、紡出した糸条を18℃の冷風で冷却し、引き取って未延伸糸を得た。
この未延伸糸を集束して11万デシテックスのトウ状にした未延伸繊維に、延伸倍率2.62倍、延伸温度40℃で延伸を行い、この後、ヒートドラム(温度110℃)で熱処理を施した。次いで、仕上げ油剤を付与した後、押し込み式クリンパーで機械捲縮を付与し、繊維長51mmに切断して単糸繊度2.2デシテックスのポリエステル短繊維(バインダー繊維)を得た。
(主体繊維)
PETと、SIPを4.5モル%共重合した共重合PETを質量比50/50でサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維であって、機械捲縮が付与されており、繊維長51mm、単糸繊度2.2デシテックス、170℃の熱処理により70個/25mmの捲縮を発現するポリエステル短繊維(ユニチカファイバー社製潜在捲縮綿〈C81〉)を用いた。
(乾式短繊維不織布)
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を質量比50/50(バインダー繊維/主体繊維)でカード機を通し、乾式ウェブを作成した。得られた乾式ウェブを温度160℃、風量20m/分の連続熱処理機で1分間の熱接着処理を行い、ほとんど全てのバインダー繊維を溶融させて接着成分とし、かつ主体繊維の潜在捲縮が発現した目付100g/mの乾式短繊維不織布を得た。
実施例2〜5
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を表1に示す質量比とした以外は、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例6
極限粘度0.98、融点130℃の酸性分としてTPA、グリコール成分として1,4−ブタンジオール(BD)20mol%、HD80mol%からなり、結晶核剤として0.5質量%のタルクを含有するポリエステルAをチップ化して溶融紡糸装置に供給し、紡糸温度220℃、吐出量307g/分、紡糸孔数518、紡糸速度850m/分の条件で紡糸した。次いで、紡出した糸条を18℃の冷風で冷却し、引き取って未延伸糸を得た。
この未延伸糸を集束して11万デシテックスのトウ状にした未延伸繊維に、延伸倍率2.8倍、延伸温度65℃で第一延伸を行い、次いで、延伸倍率1.15倍、延伸温度80℃で第二延伸を行い、この後、ヒートドラム(温度110℃)で熱処理を施した。次いで、仕上げ油剤を付与した後、押し込み式クリンパーで機械捲縮を付与し、繊維長51mmに切断して単糸繊度2.2デシテックスのポリエステル短繊維(バインダー繊維)を得た。
主体繊維として実施例1で用いたポリエステル短繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例7〜10
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を表1に示す質量比とした以外は、実施例6と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例11
主体繊維として、PETと、IPAを4.0モル%、BAEOを4.0モル%共重合した共重合PETを質量比50/50でサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維であって、機械捲縮が付与されており、繊維長51mm、単糸繊度2.2デシテックス、170℃の熱処理により65個/25mmの捲縮を発現するポリエステル短繊維(ユニチカファイバー社製潜在捲縮綿〈T81〉)を用いた。
実施例1で用いたバインダー繊維を用い、不織布を製造する際の連続熱処理機での熱接着処理温度を140℃とした以外は、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例12
主体繊維として実施例11で用いたポリエステル短繊維を用い、バインダー繊維として実施例6で用いた短繊維を用い、実施例11と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
比較例1
主体繊維のポリエステル短繊維を極限粘度0.64のPETのみからなる単糸繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリエステル短繊維とした以外は、実施例1と同様にして、乾式短繊維不織布を得た。
比較例2
バインダー繊維として、イソフタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合体を鞘部、ポリエチレンテレフタレートを芯部とする芯鞘型複合短繊維であって、単糸繊度2.2デシテックス、繊維長51mm、100℃、15分での乾熱収縮率が15.2%のポリエステル短繊維(ユニチカファイバー社製メルティ<3380>)を用いた。
主体繊維として実施例1で用いたポリエステル短繊維を用い、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例1〜12、比較例1〜2で得られた乾式短繊維不織布の特性値及び評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜12では、バインダー繊維がポリエステルAからなるものであったため、乾熱収縮率が低く、不織布を得る際の熱接着処理における収縮が小さく、得られた乾式短繊維不織布は地合、柔軟性に優れ、さらには機械的特性、耐熱性にも優れたものであった。さらに、主体繊維が潜在捲縮性能を有するポリエステル短繊維であったため、不織布を製造する際の熱接着処理により捲縮が発現し、嵩高性、柔軟性にも優れるものであった。
一方、比較例1では、主体繊維として潜在捲縮性能を有していないPETからなる短繊維を用いたため、得られた乾式短繊維不織布は、嵩高性、柔軟性に乏しいものであった。比較例2では、バインダー繊維が非晶性ポリエステルからなるものであったため、乾熱収縮率が高く、不織布を得る際の熱接着処理における収縮が大きく、得られた乾式短繊維不織布は、地合、柔軟性、耐熱性ともに劣るものであった。
実施例13
(バインダー繊維)
実施例1と同様のポリエステルAを用い、実施例1と同様にして溶融紡糸、延伸、熱処理を行い、仕上げ油剤を付与した後、押し込み式クリンパーで機械捲縮を付与せずに、繊維長5mmにカットして単糸繊度2.2デシテックスのポリエステル短繊維を得た。
(主体繊維)
PETと、SIPを4.5モル%共重合した共重合PETを質量比50/50でサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維であって、機械捲縮が付与されていない、繊維長5mm、単糸繊度2.2デシテックス、170℃の熱処理により70個/25mmの捲縮を発現するポリエステル短繊維(ユニチカファイバー社製潜在捲縮綿〈C81〉)を用いた。
(湿式短繊維不織布)
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を質量比50/50(バインダー繊維/主体繊維)で混合し、パルプ離解機(熊谷理機工業製)に投入し、3000rpmにて1分間撹拌した。その後、得られた試料を抄紙機(熊谷理機工業製角型シートマシン)にて湿式不織布ウエブとした。抄紙した湿式不織布ウエブの余分な水分を脱水した後、温度160℃、風量20m/分の連続熱処理機で10分間の熱接着処理を行い、ほとんど全てのバインダー繊維を溶融させて接着成分とし、かつ主体繊維の潜在捲縮が発現した目付50g/mの湿式短繊維不織布を得た。
実施例14〜17
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を表1に示す質量比とした以外は、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例18
実施例6と同様のポリエステルAを用い、実施例1と同様にして溶融紡糸、延伸、熱処理を行い、仕上げ油剤を付与した後、押し込み式クリンパーで機械捲縮を付与せずに、繊維長5mmにカットして単糸繊度2.2デシテックスのポリエステル短繊維(バインダー繊維)を得た。
主体繊維として実施例13で用いたポリエステル短繊維を用いた以外は、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例19〜22
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を表2に示す質量比とした以外は、実施例18と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例23
主体繊維として、PETと、IPAを4.0モル%、BAEOを4.0モル%共重合した共重合PETを質量比50/50でサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維であって、機械捲縮が付与されておらず、繊維長5mm、単糸繊度2.2デシテックス、170℃の熱処理により65個/25mmの捲縮を発現するポリエステル短繊維(ユニチカファイバー社製潜在捲縮綿〈T81〉)を用いた。
実施例13で用いたバインダー繊維を用い、不織布を製造する際の連続熱処理機での熱接着処理温度を140℃とした以外は、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例24
主体繊維として実施例23で用いたポリエステル短繊維を用い、バインダー繊維として実施例18で用いた短繊維を用い、不織布を製造する際の連続熱処理機での熱接着処理温度を140℃とした以外は、実施例18と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
比較例3
主体繊維のポリエステル短繊維を極限粘度0.64のPETのみからなる単糸繊度2.2デシテックス、繊維長5mmのポリエステル短繊維とした以外は、実施例13と同様にして、湿式短繊維不織布を得た。
比較例4
バインダー繊維として、イソフタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合体を鞘部、ポリエチレンテレフタレートを芯部とする芯鞘型複合短繊維であって、単糸繊度2.2デシテックス、繊維長5mm、100℃、15分での乾熱収縮率が15.2%のポリエステル短繊維(ユニチカファイバー社製メルティ<3380>)を用いた。
主体繊維として実施例13で用いたポリエステル短繊維を用い、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例13〜24、比較例3〜4で得られた湿式短繊維不織布の特性値及び評価結果を表2に示す
表2から明らかなように、実施例13〜24では、バインダー繊維がポリエステルAからなるものであったため、乾熱収縮率が低く、不織布を得る際の熱接着処理における収縮が小さく、得られた湿式短繊維不織布は地合、柔軟性に優れ、さらには機械的特性、耐熱性にも優れたものであった。さらに、主体繊維が潜在捲縮性能を有するポリエステル短繊維であったため、不織布を製造する際の熱接着処理により捲縮が発現し、嵩高性、柔軟性にも優れるものであった。
一方、比較例3では、主体繊維として潜在捲縮性能を有していないPETからなる短繊維を用いたため、得られた湿式短繊維不織布は、嵩高性、柔軟性に乏しいものであった。比較例4では、バインダー繊維が非晶性ポリエステルからなるものであったため、乾熱収縮率が高く、不織布を得る際の熱接着処理における収縮が大きく、得られた湿式短繊維不織布は、地合、柔軟性、耐熱性ともに劣るものであった。
本発明におけるDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線の一例である。

Claims (3)

  1. ジカルボン酸成分がテレフタル酸のみジオール成分が1,6−ヘキサンジオールとエチレングリコールのみ、あるいは1,6−ヘキサンジオールと1,4−ブタンジオールのみにより構成され、ジオール成分において1,6−ヘキサンジオールが60〜95モル%であり、融点が100〜150℃結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足するリエステルAのみからなる短繊維と、熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合繊維を含有するウエブからなり、ポリエステルAからなる短繊維の少なくとも一部が溶融して接着成分を成していることを特徴とする短繊維不織布。
    b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
    なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
  2. 潜在捲縮性能を有する複合繊維が、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルを複合したものであり、共重合ポリエステルは、全酸成分に対して芳香族ジカルボン酸2〜6モル%を共重合したポリエステル、全酸成分に対してイソフタル酸1〜9モル%及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体2〜5モル%を共重合したポリエステルのいずれかである請求項1記載の短繊維不織布。
  3. ポリエステルAからなる短繊維は、ポリエステルAの融点をTmとしたとき、(Tm−30)℃における乾熱収縮率が7%以下である請求項1又は2記載の短繊維不織布。
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