JP6110144B2 - 湿式不織布用ショートカット複合繊維 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルであって、酸成分が、テレフタル酸50〜68モル%、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸6〜12モル%、イソフタル酸20〜38モル%、ジオール成分が、エチレングリコール70〜90モル%、ジエチレングリコール10〜30モル%を構成成分とし、ガラス転移温度が50〜65℃、軟化温度が110〜145℃である共重合ポリエスエル(A)と、
ポリエステル(B)とからなる複合繊維であり、
該複合繊維の横断面において、共重合ポリエステル(A)が、繊維表面の少なくとも一部を占めるように配され、
共重合ポリエステル(A)は温水に可溶性であり、ポリエステル(B)は温水に不溶性であり、
繊維長が2〜20mm、単糸繊度が1〜15デシテックスであり、捲縮を有しないことを特徴とする湿式不織布用ショートカット複合繊維を要旨とするものである。
次に、本発明のショートカット複合繊維の製造方法について説明する。まず、共重合ポリエステル(A)とポリエステル(B)のチップを常用の複合紡糸装置に供給して溶融紡糸を行う。紡出された糸条を冷却固化し、紡糸油剤を付与した後、一旦容器へ収納する。そして、この糸条を集束して1〜100ktex程度の糸条束とし、加熱ローラー間で延伸倍率2〜6倍程度で延伸を施す。続いて、分散性油剤を付与した後に、目的とする繊維長にカットしてショートカット複合繊維を得る。
まず、本発明のショートカット複合繊維である熱接着繊維と主体繊維を任意の割合で計量し、パルプ離解機に投入して水中攪拌した後、得られた試料を抄紙機に供給する。次に、分散油剤を添加した後、水中で分散させて抄紙し、湿式ウエブとする。そして、湿式ウエブを回転式乾燥機にて共重合ポリエステル(A)の軟化温度(Ts)+10℃の温度で乾燥熱処理を施し、熱接着繊維の共重合ポリエステル(A)が溶融することにより接着成分となって、構成繊維同士を接着し、全体として一体化した湿式不織布を得る。
(a)相対粘度:
濃度0.5%のフェノール/四塩化エタンの等質量混合溶液を溶媒とし、ウベローデ粘度計を使用して、温度20℃で測定した。
柳本製作所社製の自動軟化点測定装置AMP−2型を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
得られたポリエステル複合短繊維を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて 1H-NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピ
ークの積分強度から求めた。
紡糸の状況により下記の2段階で評価した。
○:紡糸時の切れ糸回数が1回/トン以下であり、単糸間の膠着が発生しない。
×:紡糸時の切れ糸回数が1回/トンを超えるか、単糸間の膠着が発生した。
延伸の状況により下記の2段階で評価した。
○:繊維の膠着が発生しない。
×:繊維の膠着が発生した。
得られた不織布の地合いを目視にて判定し、良好なものを○、地合いが良くなく均一でないものを×として、2段階の評価を行った。
得られた不織布(大きさ2cm×2cm)を、浴比1:40として、容量100ccのビーカー中に、60℃の温水(約100cc)とともに投入し、撹拌棒を用いて3分間攪拌した後、目視にて不織布の水解性を下記の2段階で評価した。
○:不織布の形態が崩壊したことを確認できた。
×:不織布の形態が保持されており、崩壊しない。
(B−1):テレフタル酸/エチレングリコール=100/100(モル比)、融点256℃、相対粘度1.385
(B−2):テレフタル酸/1,4−ブタンジオール=100/100(モル比)、融点225℃、相対粘度1.510
(B−3):テレフタル酸/エチレングリコール/1,4−ブタンジオール=100/50/50(モル比)、融点180℃、相対粘度1.405
(B−4):L−乳酸/D−乳酸=98.6/1.4(モル比)、融点169℃、相対粘度1.925
(B−5):テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール=70/30/100(モル比)、流動開始温度140℃、相対粘度1.380
なお、(B−5)のポリマーは、結晶性が低く明確な融点がなかったため、流動開始温度を融点とみなした。流動開始温度の測定は、以下の方法による。すなわち、フロテスター(島津製作所CFT−500型)を用い、荷重9.8MPa、ノズル径0.5mmの条件で、初期温度50℃より10℃/分の割合で昇温していき、ポリマーがダイから流出し始める温度として求めた。
エステル化反応缶に、テレフタル酸とエチレングリコールのスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、エステル化反応率95%の反応物を得た。この反応物をバッチ式エステル化反応缶に移送し、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル5−スルホン酸ナトリウム塩、エチレングリコール、ジエチレングルコール、酢酸リチウム−水塩、ヒンダードフェノール系酸化防止剤をバッチ式エステル化反応缶へ投入し、温度230℃、常圧下で6時間エステル化反応を行い、エステル化反応物を得た。
共重合ポリエステル(A)を表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして湿式不織布用ショートカット複合繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。
ポリエステル(B)として(B−2)のポリマーを用い、紡糸温度を275℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして湿式不織布用ショートカット複合繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。
共重合ポリエステル(A)を表1に示す相対粘度に変更し、ポリエステル(B)として(B−3)のポリマーを用い、紡糸温度を240℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして湿式不織布用ショートカット複合繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。
実施例1において、複合繊維の単糸繊度が1.1dtexのものを用いたこと、主体繊維としてポリエチレンテレフタレート(PET、融点256℃、繊度1.1dtex、繊維長5mm、強度5.6cN/dtex、伸度37%)の短繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。なお、複合繊維を製造するにあたっては、溶融紡糸の際の吐出量を404g/分とし、未延伸糸を延伸する際の延伸倍率を3.50倍とした。
実施例1において、複合繊維の単糸繊度が11dtexのものを用いたこと、主体繊維としてポリエチレンテレフタレート(PET、融点256℃、繊度11.0dtex、繊維長5mm、強度5.3cN/dtex、伸度44%)の短繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。なお、複合繊維を製造するにあたっては、溶融紡糸の際の吐出量を258g/分、紡糸孔数65とし、未延伸糸を延伸する際の延伸倍率を3.70倍とした。
実施例1において、特定の繊維長にカットする際、表1に示す繊維長に変更した以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。
主体繊維としてポリ乳酸(PLA、融点169℃、繊度1.7dtex、繊維長5mm、強度2.9cN/dtex、伸度50%)の繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。
熱接着繊維/主体繊維の混合比率を質量比100/0としたこと以外は、実施例1と同様にしてエアレイド不織布を得た。
共重合ポリエステル(A)を表1に示す相対粘度に変更し、ポリエステル(B)として(B−4)のポリマーを用い、紡糸温度を230℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして湿式不織布用ショートカット複合繊維を得た。さらに、実施例12と同様に、主体繊維としてポリ乳酸の繊維を用いて湿式不織布を得た。
実施例14で得られた湿式不織布用ショートカット複合繊維を熱接着繊維として用い、熱接着繊維/主体繊維の混合比率を質量比100/0としたこと以外は、実施例1と同様にして乾式不織布を得た。
共重合ポリエステル(A)を表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。
ポリエステル(B)として(B−5)のポリマーを用い、紡糸温度を275℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。
実施例1において、複合繊維の単糸繊度が0.8dtexのものを用いたこと、主体繊維としてポリエチレンテレフタレート(PET、融点256℃、繊度1.1dtex、繊維長5mm、強度5.6cN/dtex、伸度37%)の短繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。なお、複合繊維を製造するにあたっては、溶融紡糸の際の吐出量を294g/分とし、未延伸糸を延伸する際の延伸倍率を3.50倍とした。
実施例1において、複合繊維を溶融紡糸する際の条件として、溶融紡糸の際の吐出量を399g/分、紡糸孔数65とすることにより、単糸繊度が17dtexの繊維を得ようとしたが、紡糸糸条の冷却性が不十分となって単糸間の膠着が発生し、繊維を得ることができなかった。
実施例1において、特定の繊維長にカットする際、表1に示す繊維長に変更した以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。
また、比較例2のショートカット複合繊維は、共重合ポリエステル(A)の5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合量が多すぎたため、紡糸、延伸時に膠着が発生し、得られた不織布の風合いは硬いものであった。
比較例3のショートカット複合繊維は、共重合ポリエステル(A)のジエチレングルコールの共重合量が多すぎたため、ガラス転移温度(Tg)が低く、延伸時に膠着が発生し、さらに、不織布作製の際には水中での繊維分散性が悪く、得られた湿式不織布の地合いは悪いものであった。
比較例4のショートカット複合繊維は、共重合ポリエステル(A)のジエチレングルコールの共重合量が少なすぎたため、ガラス転移温度(Tg)が高く、得られた不織布の温水可溶性は低いものであった。
比較例5のショートカット複合繊維は、ポリエステル(B)の流動開始温度が低かったため、得られた不織布の寸法安定性が低く、風合いが硬いものであった。
比較例6のショートカット複合繊維は、単糸繊度を小さくしすぎたため、紡糸工程において単糸切断が頻発して操業性が悪化した。
比較例8のショートカット繊維は、繊維長が短かったため、切断時に繊維同士の融着が発生し、得られた湿式不織布は地合いが悪いものであった。
比較例9のショートカット繊維は、繊維長が長かったため、繊維の分散性が悪く、得られた湿式不織布は地合いが悪いものであった。
Claims (3)
- エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルであって、酸成分が、テレフタル酸50〜68モル%、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸6〜12モル%、イソフタル酸20〜38モル%、ジオール成分が、エチレングリコール70〜90モル%、ジエチレングリコール10〜30モル%を構成成分とし、ガラス転移温度が50〜65℃、軟化温度が110〜145℃である共重合ポリエスエル(A)と、
ポリエステル(B)とからなる複合繊維であり、
該複合繊維の横断面において、共重合ポリエステル(A)が、繊維表面の少なくとも一部を占めるように配され、
共重合ポリエステル(A)は温水に可溶性であり、ポリエステル(B)は温水に不溶性であり、
繊維長が2〜20mm、単糸繊度が1〜15デシテックスであり、捲縮を有しないことを特徴とする湿式不織布用ショートカット複合繊維。
- ポリエステル(B)の融点が160℃以上であり、共重合ポリエステル(A)が熱接着成分として機能することを特徴とする請求項1記載の湿式不織布用ショートカット複合繊維。
- 繊維の強度が2.0cN/dtex以上、伸度が25〜100%であることを特徴とする請求項1または2記載の湿式不織布用ショートカット複合短繊維。
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