JP5610831B2 - 湿式短繊維不織布用ショートカット複合繊維 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂からなる繊維長が2〜20mm、単糸繊度が1.0〜4.4dtex、機械捲縮が付与されていない短繊維であって、短繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜5.5、長辺方向に沿って2種類のポリエステル成分が貼り合わされた複合形状を呈し、2種類のポリエステル成分の融点又は流動開始温度の差が20〜160℃であり、かつ強度が3.0〜8.0cN/dtex、伸度が25〜100%であることを特徴とする湿式短繊維不織布用ショートカット複合繊維を要旨とするものである。
さらに、本発明のショートカット複合繊維は、融点又は流動開始温度の差を有する2種類のポリエステル成分を使用している複合繊維であるため、低融点又は低流動開始温度の成分を熱接着成分とすることができ、本発明のショートカット複合繊維のみを用いて湿式短繊維不織布を得ることができる。
また、強度、伸度も適切な範囲のものであるので、機械的特性にも優れた湿式短繊維不織布を得ることができ、このような優れた特性を有する湿式短繊維不織布は、性能の高いフィルターやセパレーター用途に使用することが可能となる。
本発明のショートカット複合繊維は、2種類のポリエステル成分が貼り合わされた繊維束を切断することにより得られたものであり、2種類のポリエステル成分は、融点又は流動開始温度の差が20〜160℃のものである。
ポリエステルAは熱接着処理時に溶融せずに主体繊維として用いることが好ましいため、結晶性を有するものであることが好ましく、融点が150〜290℃のものが好ましい。一方、ポリエステルBは熱接着処理時に溶融し、接着成分とすることが好ましいため、ポリエステルAよりは融点又は流動開始温度が低く、100〜210℃のものが好ましい。
ポリエステルBは非晶性のものであっても結晶性のものであってもよいが、結晶性のものである場合は、得られる不織布は高温雰囲気下での強度保持率が高くなり、耐熱性に優れたものとなる。
まず、通常の複合型の溶融紡糸装置を用い、ポリエステルAとポリエステルBをそれぞれ溶融して扁平断面形状の紡糸孔を有する紡糸口金より紡糸する。紡出した糸条を冷却固化させて未延伸糸を得る。そして、得られた未延伸糸を繊維束に集束した後、延伸倍率2〜4倍で延伸し、分散性油剤を付与した後に任意の繊維長に切断してショートカット複合繊維を得る。
強度保持率(%)=(高温強度/常温強度)×100
〔アスペクト比〕
前記の方法で測定し、算出した。
〔単糸繊度〕
切断前の繊維束を用いて、JIS L 1015 正量繊度のA法により測定した。
〔繊維長〕
得られたショートカット複合繊維のサイドビュー写真を撮影し、任意の30本の長さを測定し後、その平均値を撮影倍率で割り返して算出した。
〔強度、伸度〕
切断前の繊維束を用いて、JIS L 1015 引張強さ及び伸び率により測定した。
〔不織布の厚み〕
得られた湿式短繊維不織布を、JIS L 1096 織物の厚さにより加圧時間10秒、加重23.5kPaの条件で測定した。なお、200μm未満を合格とした。
〔不織布の通気度〕
得られた湿式短繊維不織布を、JIS L 1096 通気性のA法により測定した。なお、100cc/cm2/sec未満を合格とした。
〔不織布の機械的特性〕
(常温強度)
得られた湿式短繊維不織布を、25℃雰囲気下で、JIS L 1096 引張強さ及び伸び率のA法によりMD方向(乾燥機のMD方向)の強力(N/5cm巾)を測定した。なお、50N/5cm巾以上を合格とした。
(強度保持率)
常温強度を測定後の不織布を120℃雰囲気下で、常温強度と同様の方法でMD方向(乾燥機のMD方向)の強力(N/5cm巾)を測定した。これを高温強度とする。測定した常温強度と高温強度より下記式で強度保持率を算出した。
強度保持率(%)=(高温強度/常温強度)×100
ポリエステルAとして、融点が256℃、極限粘度0.61のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、ポリエステルBとして、酸成分がテレフタル酸(TPA)60モル%、イソフタル酸(IPA)40モル%、グリコール成分がエチレングリコール(EG)100モル%からなる非晶性の共重合ポリエステル(流動開始温度110℃、極限粘度0.60)を用いた。ポリエステルAとポリエステルBを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度290℃、吐出量350g/min、紡糸速度800m/min、冷却開始位置(紡糸口金からの距離)50mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。
このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比10)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.8ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.84倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度2.2dtex、繊維長5mm、アスペクト比3.5のショートカット複合繊維を得た。
〔湿式短繊維不織布〕
得られたショートカット複合繊維をパルプ離解機(熊谷理機工業製)に投入し、3000rpmにて1分間撹拌した。その後、得られた試料を抄紙機(熊谷理機工業製角型シ−トマシン)にて、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を添加した後、付帯の攪拌羽にて攪拌を行い抄紙し、湿式ウエブとした。そして、湿式ウエブを回転式乾燥機(熊谷理機工業製)にて130℃の温度で熱処理し、ポリエステルBを溶融させて、目付け50g/m2の湿式短繊維不織布を得た。
紡糸条件を変更し、表1に示すアスペクト比のショートカット複合繊維とした以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
ポリエステルAとポリエステルBの質量比率を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
実施例1と同様のポリエステルAとポリエステルBを用い、ポリエステルAとポリエステルBを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度280℃、吐出量650g/min、紡糸速度650m/min、冷却開始位置(紡糸口金からの距離)30mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比12)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を13.2ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率3.24倍、延伸温度65℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度4.4dtex、繊維長5mm、アスペクト比5.0のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例1と同様のポリエステルAとポリエステルBを用い、ポリエステルAとポリエステルBを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度290℃、吐出量261g/min、紡糸速度1200m/min、冷却開始位置(紡糸口金からの距離)60mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比8)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.81倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度1.1dtex、繊維長5mm、アスペクト比2.0のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例1と同様のポリエステルAとポリエステルBを用い、ポリエステルAとポリエステルBを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度280℃、吐出量800g/min、紡糸速度600m/min、冷却開始位置(紡糸口金からの距離)50mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比12)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率3.46倍、延伸温度65℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度5.5dtex、繊維長5mm、アスペクト比3.5のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例1と同様のポリエステルAとポリエステルBを用い、ポリエステルAとポリエステルBを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度295℃、吐出量250g/min、紡糸速度1200m/min、冷却開始位置(紡糸口金からの距離)70mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比10)の吐出孔が960個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.71倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度0.8dtex、繊維長5mm、アスペクト比2.0のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例1のショートカット複合繊維を得る際のカット長を変更し、表1に示す繊維長とした以外は実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
そして、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
一方、比較例1のショートカット複合繊維は、アスペクト比が小さかったため、丸断面形状に近いものとなり、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例2ではアスペクト比を大きくしたため、紡糸時に切れ糸が発生し操業性が悪化した。また、得られたショートカット複合繊維は低強度、低伸度のものとなり、このショートカット複合繊維より得られた湿式短繊維不織布は機械的特性に劣るものであった。比較例3のショートカット複合繊維は、単糸繊度が大きすぎたため、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例4では、単糸繊度を小さくしすぎたため、紡糸時に切れ糸が発生し、操業性が悪くなり、繊維を得ることができなかった。比較例5のショートカット複合繊維は、繊維長が長かったため、得られた湿式短繊維不織布は地合が悪くなり、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例6のショートカット複合繊維は、繊維長が短かったため、切断時に繊維同士の融着が発生し、得られた湿式短繊維不織布は地合が悪くなり、厚みの大きいものとなり、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。
ポリ乳酸Aとして、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが98.6/1.4であり、融点169℃、相対粘度1.85であるL−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂を用い、ポリ乳酸Bとして、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが90.2/9.8であり、融点135℃、相対粘度1.89であるL−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂を用いた。ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリ乳酸A/ポリ乳酸B)が50/50となるようにして、紡糸温度220℃、吐出量367g/min、紡糸速度800m/min、糸条の冷却開始位置40mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比10)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.3ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率倍2.98、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、カットして単糸繊度2.2dtex、繊維長5mm、アスペクト比3.3のショートカット複合短繊維を得た。
〔湿式短繊維不織布〕
得られたショートカット複合繊維をパルプ離解機(熊谷理機工業製)に投入し、3000rpmにて1分間撹拌した。その後、得られた試料を抄紙機(熊谷理機工業製角型シ−トマシン)にて、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を添加した後、付帯の攪拌羽にて攪拌を行い抄紙し、湿式ウエブとした。そして、湿式ウエブを回転式乾燥機(熊谷理機工業製)にて145℃の温度で熱処理し、ポリ乳酸Bを溶融させて、目付け50g/m2の湿式短繊維不織布を得た。
紡糸条件を変更し、表2に示すアスペクト比のショートカット複合繊維とした以外は、実施例12と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bの質量比率を表2に示すように変更した以外は、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例12と同様のポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを用い、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを通常の紡糸装置に供給し、質量比率(ポリ乳酸A/ポリ乳酸B)が50/50になるようにして、紡糸温度210℃、吐出量681g/min、紡糸速度650m/min、糸条の冷却開始位置20mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比12)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を13.9ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率3.40倍、延伸温度65℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、カットして単糸繊度4.4dtex、繊維長5mm、アスペクト比4.8のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例12と同様のポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを用い、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを通常の紡糸装置に供給し、質量比率(ポリ乳酸A/ポリ乳酸B)が50/50になるようにして、紡糸温度220℃、吐出量265g/min、紡糸速度1200m/min、糸条の冷却開始位置50mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比8)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.87倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、カットして単糸繊度1.1dtex、繊維長5mm、アスペクト比1.8のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例12と同様のポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを用い、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを通常の紡糸装置に供給し、質量比率(ポリ乳酸A/ポリ乳酸B)が50/50になるようにして、紡糸温度210℃、吐出量820g/min、紡糸速度600m/min、糸条の冷却開始位置40mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比12)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率3.55倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、カットして単糸繊度5.5dtex、繊維長5mm、アスペクト比3.3のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例12と同様のポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを用い、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを通常の紡糸装置に供給し、質量比率(ポリ乳酸A/ポリ乳酸B)が50/50になるようにして、紡糸温度225℃、吐出量258g/min、紡糸速度1200m/min、糸条の冷却開始位置55mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比8)の吐出孔が960個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.80倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、カットして単糸繊度0.8dtex、繊維長5mm、アスペクト比2.0のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例12のショートカット複合繊維を得る際のカット長を変更し、表2に示す繊維長とした以外は実施例12と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
そして、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
一方、比較例7のショートカット複合繊維は、アスペクト比が小さかったため、丸断面形状に近いものとなり、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例8ではアスペクト比を大きくしたため、紡糸時に切れ糸が発生し操業性が悪化した。また、得られたショートカット複合繊維は低強度、低伸度のものとなり、このショートカット複合繊維より得られた湿式短繊維不織布は機械的特性に劣るものであった。比較例9のショートカット複合繊維は、単糸繊度が大きすぎたため、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例10では、単糸繊度を小さくしすぎたため、紡糸時に切れ糸が発生し、操業性が悪くなり、繊維を得ることが出来なかった。比較例11のショートカット複合繊維は、繊維長が長かったため、得られた湿式短繊維不織布は地合が悪くなり、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例12のショートカット複合繊維は、繊維長が短かったため、切断時に繊維同士の融着が発生し、得られた湿式短繊維不織布は地合が悪くなり、厚みの大きいものとなり、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。
ポリエステルBとして、酸成分がTPA85モル%、ε−カプロラクトン15モル%、グリコール成分がEG45モル%、ブタンジオール(BD)55モル%からなる結晶性の共重合ポリエステル(融点160℃、極限粘度0.72)を用いた以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
そして、得られたショートカット複合繊維を用い、ウエブの熱処理温度を170℃に変更した以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
ポリエステルBとして、酸成分がTPA100モル%、グリコール成分がEG50モル%、BD50モル%からなる結晶性の共重合ポリエステル(融点180℃、極限粘度0.78)を用いた以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
そして、得られたショートカット複合繊維を用い、ウエブの熱処理温度を190℃に変更した以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
ポリエステルBとして、酸成分がTPA100モル%、グリコール成分がEG25モル%、BD75モル%からなる結晶性の共重合ポリエステル(融点195℃、極限粘度0.62)を用いた以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
そして、得られたショートカット複合繊維を用い、ウエブの熱処理温度を205℃に変更した以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
Claims (1)
- 熱可塑性樹脂からなる繊維長が2〜20mm、単糸繊度が1.0〜4.4dtex、機械捲縮が付与されていない短繊維であって、短繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜5.5、長辺方向に沿って2種類のポリエステル成分が貼り合わされた複合形状を呈し、2種類のポリエステル成分の融点又は流動開始温度の差が20〜160℃であり、かつ強度が3.0〜8.0cN/dtex、伸度が25〜100%であることを特徴とする湿式短繊維不織布用ショートカット複合繊維。
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