JP7259360B2 - 液晶ポリエステル繊維からなる不織布 - Google Patents

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Description

本発明は液晶ポリエステル繊維からなるため耐熱性、耐薬品性に優れ、かつ薄く低い通気性を有する不織布に関するものである。
液晶ポリエステルは樹脂の特性に由来して、耐熱性、耐薬品性に優れる特性を有する。この耐熱性、耐薬品性の特徴を活かしてフィルター、電池セパレーターに適用するためには、液晶ポリエステルからなり、かつ通気性、通液性を有するシート状物が必要である。これを達成する手法として液晶ポリエステルを繊維化し、これを不織布としてシート化する技術が知られている。
その例として液晶ポリエステル樹脂繊維を得て、これを2~10mm長に切断し、湿式抄紙もしくは乾式抄紙のいずれかの方法を用いて繊維ウェブを形成し、フィブリル化交絡処理を行った後、熱圧着処理またはバインダー含浸処理のいずれかを行う不織布を製造する方法が提案されている(特許文献1)。
このような技術により液晶ポリエステル繊維からなる不織布は得られるものの、例えばセパレーター用途においてはその高度化のため、通気通液性を低いレベルで維持しつつ、目付を小さく、厚みを薄くする技術が望まれている。
この課題に対し、溶融吐出した樹脂を高温熱風により空気牽引し、樹脂を極細繊維として捕集し不織布化するメルトブロー(メルトブローン)技術が液晶ポリエステルにも適用されている。
一つの例として、メルトブローン法によって310℃における溶融粘度が20Pa・s以下である溶融液晶形成性全芳香族ポリエステルを主成分とし、平均繊維径が1μm以上15μm以下である実質的に連続したフィラメントからなる不織布を得る技術が提案されている(特許文献2)。
また別の技術として溶融液晶性ポリエステルを溶融紡出すると同時に、紡出物を高温高速流体で吹き飛ばし、捕集面上に集積してウェブを形成し、該ウェブにカレンダー加工及び加熱処理を施して不織布を製造するに際し、不織布の表面温度が90℃以上で溶融液晶性ポリエステルの融点温度以下、線圧50kg/cm以上200kg/cm以下でカレンダー加工を行ない、(溶融液晶性ポリエステルの融点温度-40℃)以上、(融点温度+20℃)以下の温度で3時間以上加熱処理を行なうことを特徴とする溶融液晶性ポリエステル繊維からなる不織布を得る技術が提案されている(特許文献3)。
さらに別の技術として平均繊維径が1~30μm、不織布のCD方向の平均繊維径CV値が25%以下、平均目付けが5~200g/m、不織布CD方向の目付けCV値が10%以下、平均通気度が5~600cc/cm/sec、引張強度が1~100N/25mm以上である液晶ポリエステルメルトブロー不織布を得る技術が提案されている(特許文献4)。
特開2006-342458号公報 特開2002-61063号公報 特開2002-61064号公報 特開2005-120535号公報
しかしながら、特許文献2~4に開示された技術においては、依然として目付が比較的大きく、また厚みの薄い不織布が得られていない(例えば、特許文献2の実施例1、平均目付:60g/m、特許文献3の実施例2、目付:66g/m、厚さ:0.467mm、特許文献4の実施例2、厚み:0.62mm)。さらに、セパレーター用途等に用いるには、十分な通気性・通液性を有する不織布も得られていない。
そこで本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、耐熱性、耐薬品性に優れ、かつ厚さが薄く、低い通気性・通液性を有する液晶ポリエステル繊維からなる不織布を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の不織布について検討を行った結果、いずれの場合もカレンダー加工をしていないか、していたとしても弱い加工条件でしか行われていないことに着目した。さらに鋭意検討を進めた結果、特定の構造単位を有する液晶ポリエステルを用いて不織布を得た場合に、従来の液晶ポリエステル繊維の課題であった製糸性、柔軟性を顕著に向上できる液晶ポリエステル繊維を得ることができるという知見を得た。さらに、この繊維を用いた場合、比較的強い条件でカレンダー加工しても、繊維が溶着してしまうことを抑制し、不織布の通気性・通液性を低くできることも判明した。
本発明はこれら知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明の液晶ポリエステル不織布は、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)からなる液晶ポリエステル繊維からなり、平均繊維径が10.0μm以下であり、通気度が1.0cm/cm/sec以上30.0cm/cm/sec未満であり、目付が20g/m 以上50g/m 以下であり、かつ厚みが50μmより大きく300μm以下である、液晶ポリエステル不織布であって、前記液晶ポリエステル不織布がメルトブロー不織布である
Figure 0007259360000001
さらに、本発明の液晶ポリエステル不織布の製造方法は、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)からなる液晶ポリエステルを用い、メルトブロー法によりメルトブロー不織繊維ウェブを得た後、該メルトブロー不織繊維ウェブに、90℃以上160℃以下のロール温度、かつ200kg/cmを超える線圧でカレンダー加工を施して不織布を得る。
Figure 0007259360000002
本発明によれば、耐熱性、耐薬品に優れ、かつ薄い不織布が得られる。特に、本発明の不織布は、その製造過程においてカレンダー加工を強い条件で行ったとしても構成する繊維が溶着しにくいという特徴から、通気性・通液性を低くすることができるため、フィルター、電池セパレーター、回路基板用基材に好適に用いることができる。
以下、本発明の液晶ポリエステル繊維からなる不織布について詳細に説明する。
[液晶ポリエステル繊維]
本発明の不織布に用いられる液晶ポリエステル繊維は、実質的に液晶ポリエステル単成分からなる。本発明において、「実質的に」とは他成分との混合繊維や海島型、サイドバイサイド型のような複合繊維ではなく、単成分からなる繊維であることを指すものとする。ただし、後述するように、本発明の効果を損ねない範囲で、液晶ポリエステル100重量%に対し5重量%程度以下の他ポリマーを添加したり、各種添加剤を少量添加したりすることができるものとする。
本発明で用いられる液晶ポリエステルは、溶融時に異方性溶融相(液晶性)を形成し得るポリエステルである。この特性は、例えば、液晶ポリエステルからなる試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を偏光下で観察することにより確認できる。
本発明に用いられる液晶ポリエステルは、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)からなる。なお本発明において構造単位とはポリマーの主鎖における繰り返し構造を構成し得る単位を指す。
Figure 0007259360000003
この組み合わせにより、液晶ポリエステルの分子鎖は適切な結晶性と非直線性を持つため製糸性に優れ、特にメルトブロー法により細繊度化することに適している。さらに、繊維を横方向(繊維軸垂直方向)に潰しやすいため、カレンダー加工等により不織布の厚みを薄くすることができる。
さらに、構造単位(II)、(III)のような、嵩高くなく、直線性の高いジオールからなる成分を組み合わせることが重要である。この成分を組み合わせることにより繊維中で分子鎖は秩序だった乱れの少ない構造を取ると共に、結晶性が過度に高まらず繊維軸垂直方向の相互作用も維持できる。この効果により、糸切れすることなく細繊度化することができ、かつ結晶性が過度に高くないため、カレンダー加工によって繊維軸垂直方向に繊維が潰れやすく、不織布の厚みを小さくできるのである。
また、上記した構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して40モル%以上85モル%以下の範囲であることが好ましい。40モル%以上、より好ましくは65モル%以上、さらに好ましくは68モル%以上とすることで、結晶性を高めることができる。一方、85モル%以下、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは、75モル%以下とすることで、過度に結晶性が高まらず製糸性に優れるため均一な不織布が得られる。すなわち、上記のような範囲とすることで、液晶ポリエステルの結晶性を適切な範囲とすることができ、耐熱性の一つである熱寸法安定性が高められた不織布を得ることができるのである。
構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して60モル%以上90モル%以下の範囲であることが好ましい。60モル%以上、より好ましくは65モル%以上とすることで、繊維軸垂直方向の相互作用を維持しつつ結晶性を低下することができる。一方、90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは、75モル%以下とすることで、繊維特性を維持するための結晶性が得られる。すなわち、上記のような範囲とすることで結晶性が過度に高まらず繊維軸垂直方向の相互作用も維持できることから、糸切れすることなく細繊度化することができ、かつ結晶性が過度に高くないため、カレンダー加工によって繊維軸垂直方向に繊維が潰れやすく、不織布の厚みを小さくできるのである。
構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して40モル%以上95モル%以下の範囲であることが好ましい。40モル%以上、より好ましくは45モル%以上とすることで、結晶性を高めることができる。一方、95モル%以下、より好ましくは85モル%以下とすることで、ポリマーの直線性を乱し結晶性を低下できる。すなわち、上記のような範囲とすることでポリマーの直線性が適度に乱れることから、糸切れすることなく細繊度化することができ、かつ結晶性が過度に高くないため、カレンダー加工によって繊維軸垂直方向に繊維が潰れやすく、不織布の厚みを小さくできるのである。
本発明に用いられる液晶ポリエステルの各構造単位の好ましい範囲は以下のとおりである。この範囲の中で上記した各構造単位の好ましい範囲を満たし、かつ、各構造単位の合計が100モル%となるように組成を調整することで、本発明に用いられる液晶ポリエステル繊維を好適に得ることができる。
・構造単位(I): 45モル%以上65モル%以下
・構造単位(II): 12モル%以上18モル%以下
・構造単位(III): 3モル%以上10モル%以下
・構造単位(IV): 5モル%以上20モル%以下
・構造単位(V): 2モル%以上15モル%以下
なお不織布が上記した構造単位からなることは、液晶ポリエステルを化学分解し、構造単位にまで分解した後、NMR分析を行うことで測定できる。
なお本発明で用いられる液晶ポリエステルには、上記構造単位以外に「3,3’-ジフェニルジカルボン酸、2,2’-ジフェニルジカルボン酸」などの芳香族ジカルボン酸、「アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸」などの脂肪族ジカルボン酸、「ヘキサヒドロテレフタル酸(1,4-シクロヘキサンジカルボン酸)」などの脂環式ジカルボン酸、「クロロハイドロキノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン」などの芳香族ジオール、および、p-アミノフェノールなどを、本発明の効果を損ねない範囲で、液晶ポリエステル100重量%に対し5モル%程度以下の範囲で、これらを共重合させても良い。
また本発明の効果を損ねない範囲で、液晶ポリエステル100重量%に対し5重量%程度以下の範囲で、ポリエステル、「ポリオレフィンやポリスチレン」などのビニル系重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ポリケトン、脂肪族ポリケトン、半芳香族ポリエステルアミド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂などのポリマーを添加しても良い。このポリマーとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリエステル99Mなどが好適な例として挙げられる。
さらに、本発明の効果を損ねない範囲内で、「各種金属酸化物、カオリン、シリカ」などの無機物や、「着色剤、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤、末端基封止剤、相溶化剤等」の各種添加剤を、少量添加しても良い。
本発明で用いられる液晶ポリエステル繊維において、液晶ポリエステル繊維を構成する樹脂の融点(Tm2)は、270℃以上が好ましく、280℃以上がより好ましい。Tm2が高いことで不織布の耐熱性が優れる。融点の上限は特に限定されないが、本発明で達しえる上限としては400℃程度である。なお本発明で言うTm2とは、以下に示す順序によって測定される値を指すものとする。
(1)示差熱量計(例えば、TA Instruments社製「DSC2920」など)を用い、50℃から昇温速度20℃/分の条件で示差熱量測定する。
(2)(1)で観測される吸熱ピークの温度をTm1(℃)とする。
(3)Tm1の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持する。
(4)(3)の後、20℃/分の降温条件で50℃まで一旦冷却する。
(5)再度20℃/分の昇温条件で測定する。
(6)観測される吸熱ピークの温度をTm2とする。
本発明で用いられる液晶ポリエステル繊維の平均繊維径は10.0μm以下である。平均繊維径が10.0μm以下であることで、低目付で薄くても低い通気度とすることができる。この観点からは平均繊維径は小さい方が好ましく、5.0μm以下が好ましく、3.0μm以下がより好ましい。平均繊維径の下限は特に制限されないが、本発明で到達し得る下限としては0.5μm程度である。なお、本発明で言う平均繊維径とは、以下に示す順序によって測定される値を指すものとする。
(1)不織布の任意の場所から、タテ×ヨコ=1cm×1cmの測定サンプルを30個採取する。
(2)走査型電子顕微鏡(例えば、キーエンス社製「VHX-D500」など)で倍率200~3000倍に調節して、採取した測定サンプルから繊維表面写真を各1枚ずつ、計30枚撮影する。
(3)写真の中で繊維直径が明確に確認できるものについて繊維直径を全て測定する。
(4)上記の平均値(μm)の小数点以下第二位を四捨五入して平均単繊維径とする。
[不織布]
本発明の不織布の通気度は1.0cm/cm/sec以上30.0cm/cm/sec未満である。通気度が30.0cm/cm/sec未満であることで、欠点となるような大きな開口部をなくしつつ通気通液性を保つことができる。この観点からは通気度は小さい方が好ましく、20.0cm/cm/sec以下が好ましく、10.0cm/cm/sec以下がより好ましい。ただし通気度が過度に小さいと通気性・通液性を損ねることとなるため、通気度は1.0cm/cm/sec以上とする必要がある。なお、本発明で言う通気度(cm/cm/sec)とは、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.8 通気性(JIS法)」の「6.8.1 フラジール形法」に準じ、以下の順序によって測定される値を指すものとする。すなわち、不織布から150mm×150mmの試験片を3枚採取し、気圧計の圧力125Paで、各試験片を通過する通気度を測定する。上記3点の平均値(cm/cm/sec)について、小数点以下第二位を四捨五入して算出される値である。
本発明の不織布の厚みは、50μmより大きく300μm以下である。厚みが300μm以下であることで、本発明の不織布を用いた構成部材を薄くすることができ、特に、セパレーター用途では電池性能を向上させることができる。この観点からは厚みは小さい方が好ましく、200μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。本発明で到達し得る下限としては50μm程度である。なお、本発明で言う厚み(μm)とは、厚み計(例えば、テクロック社製「“TECLOCK”(登録商標)SM-114」など)を使用して、不織布の厚みを、幅方向等間隔に10点測定し、その平均値(μm)から小数点以下第一位を四捨五入して算出される値を指すこととする。
本発明の不織布の目付は、20g/m 以上50g/m以下である。目付が50g/m以下であることで、厚みを小さくしやすくできることに加え、面積あたりの使用重量を小さくできるため、本発明の不織布を用いた構成部材の重量を小さくでき、コストパフォーマンスにも優れる。この観点から、目付は小さい方が好ましく、45g/m以下がより好ましい。本発明で到達し得る下限としては20g/m ある。なお本発明で言う目付(g/m)とは、不織布の任意の場所から、5cm×5cmのサンプルをランダムに3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を測定し、その平均値(g/m)について、小数点以下第一位を四捨五入して算出される値を指すこととする。
[不織布の製造方法]
次に、本発明の液晶ポリエステル繊維からなる不織布の製造方法について説明する。
本発明の製造方法に用いられる液晶ポリエステル樹脂は、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)からなる。
Figure 0007259360000004
このような構造単位の組み合わせの効果は前記したとおりである。また各構造単位の好ましい範囲、これら構造単位以外の共重合物、他のポリマーの添加、添加剤の添加についても前記したとおりである。
本発明の製造方法に用いられる構造単位(I)~(V)からなる液晶ポリエステル樹脂の重合方法は、例えば特開2008-240230号公報や特開2010-248681号公報、国際公開2015/115259号に記載された方法を用いることができる。
得られた樹脂は、乾燥を行った後、溶融押し出しを行う。この方法も特開2008-240230号公報や特開2010-248681号公報、国際公開2015/115259号に記載された方法を用いることができる。
本発明の不織布を形成する方法には、これを構成する繊維の平均繊維径が特定の範囲となる方法として、複雑な工程を必要とせず、細繊維を製造することができるという点で、メルトブロー法が用いられる。
メルトブロー法は、まず、原料を押出機内で溶融して口金部に供給し、口金から押し出した糸条に熱風を吹きつけ、細化させた後、捕集ネット上に不織繊維ウェブを形成する方法である。メルトブロー法では、複雑な工程を必要とせず、数μmの細繊維を容易に得ることができるため、緻密で均一な不織布とすることができる。
本発明では、液晶ポリエステル樹脂を押出機において溶融し、計量して紡糸口金へと供給し、長繊維として紡出する。溶融し紡糸する際の紡糸温度は、290℃以上350℃以下の範囲であることが好ましい。290℃以上、より好ましくは、300℃以上、さらに好ましくは、310℃以上とすることで、液晶ポリエステル樹脂の溶融状態が均一となり紡糸性に優れる。一方、350℃以下、より好ましくは340℃以下、さらに好ましくは330℃以下とすることで、ポリエステル樹脂の紡糸機内での熱変性を抑制することができる。
次に、得られたメルトブロー不織繊維ウェブは厚みを小さく、通気度も小さくするためにカレンダー加工を施す。
カレンダー加工における線圧は、不織繊維ウェブの厚みをより小さく、通気度も小さくするために、200kg/cmを超える。より好ましく、250kg/cm以上である。また、カレンダー加工におけるロール温度は、液晶ポリエステルを変形させやすくするため、90℃以上であり、ロールへの接着を抑制するため160℃以下である
このような線圧、温度範囲が適していることも、液晶ポリエステルが構造単位(I)~(V)からなることと関係がある。すなわち、前記したように構造単位(I)~(V)からなる液晶ポリエステル繊維は横方向(繊維軸垂直方向)に潰しやすい特徴がある。このことは繊維軸垂直方向の分子差間の相互作用が小さいことを表しており、潰しやすい反面、ロール側にも取られやすくなることを示している。このため本発明においては、線圧を高めることで不織布の厚みを小さくしつつ、かつロール温度を過度に高めないことでロールへ取られることを抑制でき、工程安定性に優れるのである。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。ただし、本発明はこれらの実施例の記載のみに限定されるものではない。また、不織布と同様に不織繊維ウェブについても、前記の方法に基づいて測定を行った。
[A.融点(Tm2)]
示差熱量計として、TA instruments社製「DSC2920」を用いた。
[B.平均繊維径]
走査型電子顕微鏡として、キーエンス社製「VHX-D500」を用いた。
[C.厚み]
厚み計として、テクロック社製「“TECLOCK”(登録商標)SM-114」を使用した。
[液晶ポリエステルA]
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸671重量部、4,4’-ジヒドロキシビフェニル268重量部、ハイドロキノン69重量部、テレフタル酸179重量部、イソフタル酸164重量部および無水酢酸1010重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、310℃まで4時間で昇温した。
重合温度を310℃に保持し、1.5時間で133Paに減圧し、更に20分間反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
得られた液晶ポリエステルAの組成、融点は表1に記載の通りである。
Figure 0007259360000005
[不織繊維ウェブA]
液晶ポリエステルAを用い、160℃、12時間の真空乾燥を行った後、押出機で溶融し、孔径φが0.3mmの口金から、紡糸温度が320℃、単孔吐出量が0.18g/minで紡出し、エア温度が380℃、エア圧力が0.18MPaの条件でエアを糸条に噴射し、捕集コンベア速度を調整することによってメルトブロー不織繊維ウェブAを得た。得られたメルトブロー不織繊維ウェブAの物性を表2に示す。
[不織繊維ウェブB]
不織繊維ウェブAの製造条件のうち、エア圧力を0.07MPaに変更した以外は、同様にメルトブロー不織繊維ウェブを得た。得られたメルトブロー不織繊維ウェブBの物性を表2に示す。
[不織繊維ウェブC]
不織繊維ウェブAの製造条件のうち、エア圧力を0.10MPaに変更した以外は、同様にメルトブロー不織繊維ウェブを得た。得られたメルトブロー不織繊維ウェブBの物性を表2に示す。
[不織繊維ウェブD]
不織繊維ウェブAの製造条件のうち、エア圧力を0.14MPaに変更した以外は、同様にメルトブロー不織繊維ウェブを得た。得られたメルトブロー不織繊維ウェブBの物性を表2に示す。
Figure 0007259360000006
[実施例1]
不織繊維ウェブAを用い、鉄製加熱ロール2本からなるカレンダー装置を用いて、加工速度2m/minにて以下の表3に示す温度、線圧条件でカレンダー加工を行い、不織布を得た。工程通過性は良好で、ロールへの繊維(毛羽)の付着は見られなかった。
カレンダー加工後の不織布物性を表3に示す。高線圧のカレンダー加工後では厚みが小さく、通気度も小さいことが分かる。
[実施例2~5、比較例1]
ここではカレンダー加工条件の影響を評価した。
カレンダー加工の条件を表3に示す温度、線圧とすること以外は、実施例1と同様の方法でカレンダー加工を行い、それぞれ不織布を得た。
カレンダー温度が160℃である実施例5では、加工中のロールと不織繊維ウェブとの離れが悪くなり、カレンダーロールへの繊維(毛羽)の付着が一部見られたものの、不織布を得ることができた。しかし、カレンダー温度が180℃である比較例1ではロールへ不織繊維ウェブが取られてしまい、不織布が得られなかった。
カレンダー加工後の不織布物性を表3に示す。カレンダー加工条件を適正な範囲とすることで厚みが小さく、通気度も小さい不織布が得られることが分かる。
[実施例6、比較例2]
ここではメルトブロー不織繊維ウェブとカレンダー加工条件の影響を評価した。
メルトブロー不織繊維ウェブBを用い、条件を表3に示す温度、線圧とすること以外は実施例1と同様の方法でカレンダー加工を行い、不織布を得た。実施例6、比較例2のいずれの場合も、工程通過性は良好で、ロールへの繊維(毛羽)の付着は見られなかった。
カレンダー加工後の不織布物性を表3に示す。カレンダー線圧が低い比較例2では通気度が高いが、同じカレンダー温度でも線圧を高くすることで厚みが小さく、通気度も小さい不織布が得られることが分かる。
[実施例7、8]
ここではメルトブロー原反の影響を評価した。
実施例7においてはメルトブロー不織繊維ウェブCを、実施例8においてはメルトブロー不織繊維ウェブDを用い、実施例1と同様の方法でカレンダー加工を行い、不織布を得た。工程通過性は良好で、ロールへの繊維(毛羽)の付着は見られなかった。
カレンダー加工後の不織布物性を表3に示す。原反の物性が異なっていても、カレンダー加工条件を適正な範囲とすることで厚みが小さく、通気度も小さい不織布が得られることが分かる。
Figure 0007259360000007

Claims (2)

  1. 下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)からなる液晶ポリエステル繊維からなり、平均繊維径が10.0μm以下であり、通気度が1.0cm/cm/sec以上30.0cm/cm/sec未満であり、目付が20g/m 以上50g/m 以下であり、かつ厚みが50μmより大きく300μm以下である、液晶ポリエステル不織布であって、前記液晶ポリエステル不織布がメルトブロー不織布である、液晶ポリエステル不織布
    Figure 0007259360000008
  2. 下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)からなる液晶ポリエステルを用い、メルトブロー法によりメルトブロー不織繊維ウェブを得た後、該メルトブロー不織繊維ウェブに、90℃以上160℃以下のロール温度、かつ200kg/cmを超える線圧でカレンダー加工を施して不織布を得る、請求項1に記載の液晶ポリエステル不織布の製造方法。
    Figure 0007259360000009
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