JP5421199B2 - 湿式短繊維不織布 - Google Patents

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Description

本発明は、扁平断面形状の主体繊維と熱接着性に優れた扁平断面形状のバインダー繊維からなり、厚みが薄く、通気度が低く、高性能なフィルター用途に好適に使用することができる湿式短繊維不織布に関するものである。
近年、湿式短繊維不織布はフィルター用基材、電池セパレーターなどの用途に広く用いられている。このような用途において、性能の高いフィルターやセパレーターとするには、厚みが薄く、通気度の低い湿式短繊維不織布が求められている。
通気度の低い短繊維不織布を得るには、繊維間の隙間を少なくし、気密性を高くすることが必要である。特許文献1や特許文献2には単糸繊度が0.5dtex以下の細繊度の繊維を用いることにより、単繊維間の空隙を小さくし、気密性を高くした短繊維不織布を得る方法が提案されている。
0.5dtex以下の繊維を得るには、単一のポリマーで紡糸、延伸して直接繊維を得る方法と、複数のポリマーを用いた複合繊維で紡糸、延伸を行い、ある程度太い繊維を得た後に割繊することで0.5dtex以下の繊維を得る方法がある。割繊の方法としては、衝撃などで繊維を構成するポリマーを剥離分割して細繊度の繊維を得る機械的割繊と、有機溶媒などで繊維を構成するポリマーの1種を溶媒で溶解し、残った不溶の細繊度の繊維を得る化学的割繊がある。
細繊度の繊維を直接得る方法は、紡糸、延伸時に糸切れが発生しやすく、生産性が低下するのでコスト的に不利である。細繊度の繊維を機械的割繊で得る方法は、コスト的には不利ではないが、割繊後に得られた繊維は、相溶性に乏しい複数の繊維が混ざったものとなり、これらの繊維から得られる湿式短繊維不織布は性能の劣るものになりやすい。
細繊度の繊維を化学的割繊で得る方法は、紡糸、延伸で得られた繊維の一部を溶媒で溶解除去をするため、得られる細繊度の繊維の量が減り、コスト的に不利である。さらに、溶媒の再生、回収設備が必要となる点でもコスト的に不利であり、また、環境に悪影響を及ぼす危惧もある。
特開2002−151358 特開2007−208043
本発明は上記の問題点を解決するものであって、扁平断面形状の主体繊維と熱接着性に優れた扁平断面形状のバインダー繊維を用いることにより、コスト的に有利に製造することができ、性能の優れたフィルターやセパレーター用途に好適な、厚みが薄く、通気度の低い湿式短繊維不織布を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、主体繊維として下記条件(1)を満足する短繊維を用い、バインダー繊維として下記条件(2)を満足する短繊維を用い、主体繊維とバインダー繊維とからなるウエブを作成した後、熱処理することにより得られたものであることを特徴とする湿式短繊維不織布を要旨とするものである。
条件(1):ポリエステルからなる短繊維であって、短繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜6.0、繊維長が2〜20mm、単糸繊度が0.8〜4.0dtexである。
条件(2):短繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜6.0、繊維断面の長辺方向に沿って2種類のポリエステル(A)とポリエステル(B)が貼り合わされた複合形状を呈し、ポリエステル(A)は融点又は流動開始温度が210℃以下であり、ポリエステル(B)は、ポリエステル(A)の融点又は流動開始温度より30℃以上高い融点を有し、繊維長が2〜20mm、単糸繊度が0.8〜5.0dtexである。
本発明の湿式短繊維不織布は、バインダー繊維として、融点又は流動開始温度の差を有する2種類のポリエステル成分を使用している複合繊維を用いているため、低融点又は低流動開始温度の成分が熱接着成分となり、他方の成分は主体繊維と同様に不織布を構成する繊維となる。
そして、本発明の湿式短繊維不織布は、バインダー繊維から得られる繊維と主体繊維とで構成され、これらの繊維を構成する単繊維の断面が扁平形状であって、その扁平形状はアスペクト比が特定の範囲となるものであるため、繊維同士が積層される際には長辺方向が水平となるように載置され、かつ単糸繊度が小さいものであるため、厚みが薄く、通気度が低く、気密性の高い湿式短繊維不織布となるものである。
このような優れた特性を有する本発明の湿式短繊維不織布は、性能の高いフィルターやセパレーター用途に使用することが可能となる。
本発明における主体繊維の単繊維の断面形状(繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状)の一実施態様を示す模式図である。 本発明におけるバインダー繊維の単繊維の断面形状(繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状)の一実施態様を示す模式図である。 本発明の湿式短繊維不織布の厚み方向断面の一実施態様を示す模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の湿式短繊維不織布を構成する主体繊維について説明する。主体繊維となる短繊維はポリエステルからなるものである。
ポリエステルとしては、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルのいずれであってもよい。芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートを主体としたポリエステルであって、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸、ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン等を共重合していてもよい。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレートバリレート、及びこれらの混合物、変性物等を用いることができる。
中でも、ポリ乳酸を用いることが好ましく、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD−乳酸又はポリL−乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
そして、本発明における主体繊維は、繊維長が2〜20mm、単糸繊度が0.8〜4.0dtexであり、湿式短繊維不織布用のものであるため、機械捲縮(スタフィングボックス法や押込加熱ギア法等により付与されるもの)が付与されていない(ノークリンプ)短繊維であることが好ましい。
繊維長は中でも3〜15mmであることが好ましい。繊維長が20mmを超えると、不織布を得る工程での繊維の分散が悪くなり、均斉度に劣った湿式短繊維不織布となる。一方、繊維長を2mm未満にしようとすると、繊維を切断する際の発熱で繊維同士の融着が生じたものとなる。
単糸繊度は0.8〜4.0dtexとするものであるが、中でも1.0〜3.5dtexであることが好ましい。単糸繊度が4.0dtexを超えると、得られる湿式短繊維不織布の厚みが大きくなり、また繊維間の隙間が大きくなることから通気性の高い短繊維不織布となる。一方、0.8dtex未満になると、紡糸時に切れ糸が発生しやすくなり、操業性が悪くなるとともに、繊維同士の融着が生じたり、強伸度特性に劣ったものとなる。
そして、主体繊維となる短繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜6.0のものであり、中でも2.0〜5.5であることがより好ましい。本発明における主体繊維の単繊維の断面形状の一実施態様を図1に示す。
本発明における主体繊維は、適度なアスペクト比を有する扁平断面形状のものであるため、湿式短繊維不織布を得る際の抄紙工程において、ウエブを構成する短繊維が積層される際に形状が安定する長辺方向が水平となるように載置される。このため、丸断面形状の繊維や四角や三角等の異形断面の繊維を用いた場合に比べて、単繊維間の空隙が小さくなるとともに、厚みが薄くなり、通気度が低く、気密性の高い短繊維不織布を得ることが可能となる。
アスペクト比が6.0を超えると、長辺の長い扁平度合いの強い糸になるため、紡糸時に切れ糸が発生しやすくなり、操業性が悪くなるとともに、強伸度等の特性や品位が低下する。一方、アスペクト比が1.5未満になると、円形断面に近い形状となり、得られる湿式短繊維不織布の厚みが大きいものとなる。また繊維間の空隙も大きくなることから、通気度の高い、気密性の低い短繊維不織布となる。
本発明におけるアスペクト比は以下のようにして測定し、算出するものである。主体繊維となる短繊維より単繊維を取り出し、単繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面をキーエンス社製のデジタルマイクロスコープ VHX−600で撮影し、撮影した断面写真より長辺と短辺の長さを測定し、長辺と短辺の比(長辺/短辺)であるアスペクト比を算出するものである。このとき、ランダムに5本の単繊維を採取し、それぞれの単繊維毎に2枚の断面写真を撮る。計10枚の写真から、長辺と短辺の長さを測定し、それぞれアスペクト比を算出する。そして、n10の平均値とする。
次に、本発明の湿式短繊維不織布を構成するバインダー繊維について説明する。
本発明におけるバインダー繊維は、繊維断面の長辺方向に沿って2種類のポリエステル(A)とポリエステル(B)が貼り合わされた複合形状を呈し、ポリエステル(A)は融点又は流動開始温度が210℃以下であり、ポリエステル(B)は、ポリエステル(A)の融点又は流動開始温度より30℃以上高い融点を有するものである。
本発明のバインダー繊維においては、高融点又は高流動開始温度のポリエステル(B)と、低融点又は低流動開始温度のポリエステル(A)を用いるものであるが、ポリエステル(A)、ポリエステル(B)としては、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルのいずれであってもよい。これらのポリエステルとしては、主体繊維で記載したものと同様のものを用いることができる。
ポリエステル(A)とポリエステル(B)の融点又は流動開始温度との差は30℃以上であり、中でも30〜160℃であることが好ましい。ポリエステル(B)は熱接着処理時に溶融せずに主体繊維として用いることが好ましいため、結晶性を有するものであることが好ましく、融点が220〜290℃のものが好ましい。具体的にはポリエチレンテレフタレートを主成分とする芳香族ポリエステルが好ましい。
一方、ポリエステル(A)は熱接着処理時に溶融し、接着成分とすることが好ましいため、融点又は流動開始温度が100〜210℃のものが好ましい。具体的にはイソフタル酸を20〜40モル%共重合したポリエチレンテレフタレートや、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分を含有し、かつ、1,4−ブタンジオール成分、脂肪族ラクトン成分及びアジピン酸成分の少なくとも一成分を含有する共重合ポリエステルが好ましい。
ポリエステル(A)とポリエステル(B)の融点又は流動開始温度の差が30℃未満であると、熱接着処理時に両ポリエステルともに溶融しやすく、ポリエステル(B)のみを溶融させて接着成分とし、ポリエステル(A)を主体繊維とすることが困難となる、一方、融点又は流動開始温度の差が160℃を超えると、溶融紡糸時に複合繊維とすることが困難となりやすい。
本発明のバインダー繊維におけるポリエステル(B)とポリエステル(A)の複合比率は、質量比(ポリエステル(B)/ポリエステル(A)で30/70〜80/20であることが好ましく、中でも50/50〜70/30であることが好ましい。ポリエステル(B)の割合が30質量%未満であると、ポリエステル(A)の割合が多くなるため、溶融紡糸時に切れ糸が発生し、繊維を得ることが困難となりやすい。一方、ポリエステル(B)の割合が80質量%を超えると、接着成分となるポリエステル(A)の割合が少なくなるため、得られる湿式短繊維不織布は機械的特性に劣るものとなりやすい。
そして、本発明におけるバインダー繊維は、繊維長が2〜20mm、単糸繊度が0.8〜5.0dtexであり、湿式短繊維不織布用のものであるため、機械捲縮(スタフィングボックス法や押込加熱ギア法等により付与されるもの)が付与されていない(ノークリンプ)短繊維であることが好ましい。
繊維長は中でも3〜15mmであることが好ましい。繊維長が20mmを超えると、不織布を得る工程での繊維の分散が悪くなり、均斉度に劣った湿式短繊維不織布となる。一方、繊維長を2mm未満にしようとすると、繊維を切断する際の発熱で繊維同士の融着が生じたものとなる。
単糸繊度は0.8〜5.0dtexとするものであるが、中でも1.0〜4.0dtexであることが好ましい。単糸繊度が5.0dtexを超えると、ポリエステル(A)からなる繊維の繊度が大きくなり、得られる湿式短繊維不織布の厚みが大きくなり、また繊維間の隙間が大きくなることから通気性の高い短繊維不織布となる。一方、0.8dtex未満になると、紡糸時に切れ糸が発生しやすくなり、操業性が悪くなるとともに、繊維同士の融着が生じたり、強伸度特性に劣ったものとなる。
そして、本発明におけるバインダー繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜6.0のものであり、中でも1.7〜5.5であることがより好ましい。本発明におけるバインダー繊維の単繊維の断面形状の一実施態様を図2に示す。図2によると、長辺と短辺の比(長辺/短辺)はb/aである。
本発明のバインダー繊維は、適度なアスペクト比を有する扁平断面形状のものであるため、湿式短繊維不織布を得る際の抄紙工程においては、バインダー繊維と主体繊維ともに、ウエブを構成する短繊維が積層される際に形状が安定する長辺方向が水平となるように載置される。このため、丸断面形状の繊維や四角や三角等の異形断面の繊維を用いた場合に比べて、単繊維間の空隙が小さくなるとともに、厚みが薄くなり、通気度が低く、気密性の高いウエブを得ることが可能となる。そして、このウエブを熱接着処理することにより、ポリエステル(B)が溶融し、接着成分となるので、ウエブのときよりもさらに厚みが薄い湿式短繊維不織布を得ることができる。このような本発明の湿式短繊維不織布の厚み方向断面の一実施態様を図3に示す。
アスペクト比が6.0を超えると、長辺の長い扁平度合いの強い糸になるため、紡糸時に切れ糸が発生しやすくなり、操業性が悪くなるとともに、強伸度等の特性や品位が低下する。一方、アスペクト比が1.5未満になると、円形断面に近い形状となり、得られる湿式短繊維不織布の厚みが大きいものとなる。また繊維間の空隙も大きくなることから、通気度の高い、気密性の低い短繊維不織布となる。
なお、バインダー繊維におけるアスペクト比は、前記した主体繊維と同様にして測定し、算出するものである。
本発明の短繊維不織布は扁平断面形状の主体繊維と、接着性能に優れた扁平断面形状のバインダー繊維から構成されるものであり、主体繊維とバインダー繊維とからなるウエブを作成した後、熱処理することにより得られるものである。このような製造方法としては、従来から知られている各種加工法を採用することができ、例えばサーマルスルー法、エアレイド法、抄紙法、スパンレース法などによって製造することができるが、均斉度が高く地合が良好な不織布が得られる点から抄紙法が好ましい。
本発明の短繊維不織布を得る際の主体繊維とバインダー繊維の混合比率は、質量比(主体繊維/バインダー繊維)で40/60〜80/20であることが好ましく、中でも50/50〜70/30であることが好ましい。上記範囲より主体繊維の割合が少なくなると、バインダー繊維の接着分が多くなり、主体繊維間の目詰まりが生じるため、気密性が高くなり通気度の低いものとなりやすい。一方、上記範囲より主体繊維の割合が多くなると、接着成分が少なくなり、機械的特性に劣る不織布となりやすい。
また、本発明の短繊維不織布を構成する主体繊維及びバインダー繊維の中には、本発明の効果を損なわない範囲で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい。
本発明の湿式短繊維不織布の製造方法について一例を用いて説明する。
まず、短繊維不織布を構成する主体繊維とバインダー繊維は、紡糸時の紡糸孔の形状を工夫し、紡糸速度や延伸倍率、延伸速度等を調整することにより、特定のアスペクト比の扁平断面形状を有するものとすることができる。
主体繊維は、通常の溶融紡糸装置を用い、ポリマーを溶融して扁平断面形状の紡糸孔を有する紡糸口金より紡糸し、紡出した糸条を冷却固化させて未延伸糸を得、得られた未延伸糸を繊維束に集束した後、延伸倍率2〜4倍で延伸し、分散性油剤を付与した後に任意の繊維長に切断して短繊維とすることにより得ることができる。バインダー繊維は、通常の複合型の溶融紡糸装置を用い、ポリエステル(A)とポリエステル(B)をそれぞれ溶融して扁平断面形状の紡糸孔を有する紡糸口金より紡糸し、紡出した糸条を冷却固化させて未延伸糸を得た後、主体繊維と同様にして集束、延伸し、分散性油剤を付与した後に任意の繊維長に切断して短繊維とすることにより得ることができる。
次に、主体繊維とバインダー繊維を任意の割合で計量し、パルプ離解機に投入、撹拌(解繊・混綿)し、その後、得られた試料を抄紙機にて抄紙することにより、ウエブを作成し、熱処理を施して、湿式短繊維不織布を得ることができる。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。主体繊維とバインダー繊維の特性値及び湿式短繊維不織布の評価方法は次の通りである。
〔アスペクト比〕
前記の方法で測定し、算出した。
〔単糸繊度〕
切断前の繊維束を用いて、JIS L 1015 正量繊度のA法により測定した。
〔繊維長〕
主体繊維、バインダー繊維のサイドビュー写真を撮影し、任意の30本の長さを測定し後、その平均値を撮影倍率で割り返して算出した。
〔不織布の厚み〕
得られた湿式短繊維不織布を、JIS L 1096 織物の厚さにより加圧時間10秒、加重23.5kPaの条件で測定した。
200μm未満を合格とした。
〔不織布の通気度〕
得られた湿式短繊維不織布を、JIS L 1096 通気性のA法により測定した。
100cc/cm/sec未満を合格とした。
〔不織布の機械的特性〕
得られた湿式短繊維不織布を、JIS L 1096 引張強さ及び伸び率のA法によりMD方向(乾燥機のMD方向)の強力を測定した。
50N/5cm巾以上を合格とした。
実施例1
〔主体繊維〕
融点が256℃、極限粘度(フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した)0.61のポリエチレンテレフタレート(PET)を、通常の紡糸装置を用い、紡糸温度285℃、吐出量265g/分、紡糸速度750m/分の条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比12)の吐出孔が602個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を13.3ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率3.45倍、延伸温度65℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度1.7dtex、繊維長5mm、アスペクト比3.5の短繊維を得た。
〔バインダー繊維〕
ポリエステル(A)として、融点が256℃、極限粘度0.61のPETを用い、ポリエステル(B)として、イソフタル酸を40モル%共重合したPET(流動開始温度110℃、極限粘度0.60)を用いた。ポリエステル(A)とポリエステル(B)を通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度285℃、吐出量350g/分、紡糸速度800m/分の条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比12)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.8ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.84倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度2.2dtex、繊維長5mm、アスペクト比3.0の短繊維を得た。
〔短繊維不織布〕
得られた主体繊維とバインダー繊維とを用い、混合比率を質量比65/35(主体繊維/バインダー繊維)として、パルプ離解機(熊谷理機工業製)に投入し、3000rpmにて1分間撹拌した。その後、得られた試料を抄紙機(熊谷理機工業製角型シ−トマシン)にて、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を添加した後、付帯の攪拌羽にて攪拌を行い抄紙し、湿式ウエブとした。そして、湿式ウエブを回転式乾燥機(熊谷理機工業製)にて130℃の温度で熱処理し、バインダー繊維のポリエステル(B)を溶融させて、目付け50g/mの湿式短繊維不織布を得た。
実施例2〜4、比較例1〜2
主体繊維として表1に示すようなアスペクト比の短繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例5〜6
主体繊維とバインダー繊維の混合比率を表1に示す質量比とした以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例7〜9、比較例3
主体繊維として表1に示すようなアスペクト比、単糸繊度のものを用いた以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例10〜11、比較例4〜5
バインダー繊維として表1に示すようなアスペクト比の短繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例12〜13、比較例6
バインダー繊維として表1に示すようなアスペクト比、単糸繊度のものを用いた以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例14〜15、比較例7〜8
主体繊維として表1に示すような繊維長のものを用いた以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例16〜17、比較例9〜10
バインダー繊維として表1に示すような繊維長のものを用いた以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
表1から明らかなように、実施例1〜17の湿式短繊維不織布は、主体繊維、バインダー繊維ともに、アスペクト比、単糸繊度、繊維長が特定の範囲を満足するものを用いたものであったため、厚みが薄く、通気度が低く、気密性に優れ、機械的特性にも優れたものであった。
一方、比較例1の湿式短繊維不織布は、アスペクト比の小さい主体繊維を用いたため、厚さの高いものとなり、通気度が大きいものであった。比較例2の湿式短繊維不織布は、アスペクト比の大きい主体繊維を用いたため、紡糸時に切れ糸が多発して、主体繊維の品位が悪くなり不織布の地合が悪くなった。このため、厚さの高いものとなり、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものとなった。比較例3の湿式短繊維不織布は、繊度の大きい主体繊維を用いたため、厚さの高いものとなり、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものとなった。比較例4の湿式短繊維不織布は、アスペクト比の小さいバインダー繊維を用いたため、厚さの高いものとなり、通気度が大きいものであった。比較例5の湿式短繊維不織布は、アスペクト比の大きいバインダー繊維を用いたため、紡糸時に切れ糸が多発して、主体繊維の品位が悪くなり不織布の地合が悪くなった。このため、厚さの高いものとなり、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものとなった。比較例6の湿式短繊維不織布は、繊度の大きいバインダー繊維を用いたため、厚さの高いものとなり、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものとなった。比較例7の湿式短繊維不織布は、繊維長の長い主体繊維を用いたため、比較例9の湿式短繊維不織布は、繊維長の長いバインダー繊維を用いたため、ともに不織布の地合が悪くなり、厚さの高いものとなり、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものとなった。比較例8の湿式短繊維不織布は、主体繊維の繊維長が短かったため、比較例10の湿式短繊維不織布は、バインダー繊維の繊維長が短かったため、ともに切断時に繊維同士の融着が発生しており、このため不織布の地合が悪くなり、厚さの高いものとなり、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものとなった。

Claims (1)

  1. 主体繊維として下記条件(1)を満足する短繊維を用い、バインダー繊維として下記条件(2)を満足する短繊維を用い、主体繊維とバインダー繊維とからなるウエブを作成した後、熱処理することにより得られたものであることを特徴とする湿式短繊維不織布。
    条件(1):ポリエステルからなる短繊維であって、短繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜6.0、繊維長が2〜20mm、単糸繊度が0.8〜4.0dtexである。
    条件(2):短繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜6.0、繊維断面の長辺方向に沿って2種類のポリエステル(A)とポリエステル(B)が貼り合わされた複合形状を呈し、ポリエステル(A)は融点又は流動開始温度が210℃以下であり、ポリエステル(B)は、ポリエステル(A)の融点又は流動開始温度より30℃以上高い融点を有し、繊維長が2〜20mm、単糸繊度が0.8〜5.0dtexである。
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