JP3967587B2 - セパレータ及び電気二重層キャパシタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セパレータ及び電気二重層キャパシタに関する。本発明のセパレータは内部抵抗が低く、セパレート性にも優れるので、とくに電気二重層キャパシタ用のセパレータとして好適である。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層キャパシタ(以下、EDLCと略記する)は、メモリー、アクチュエータ等のバックアップ用として広く利用され、蓄電池と比較して1充電当たりの充電容量は小であるが、瞬時充放電特性に優れ、1〜10万回の充放電にも特性劣化がないことから、VTR、カメラ、腕時計、柱時計などに応用され、車載用途や大型バックアップ電源、平坦化電源等、新しい用途も開発されている。
【0003】
EDLCは、蓄電池のように化学変化を電気エネルギーに変換するものではなく、電極と電解液との界面に生じる電気二重層の大きな容量を利用し、この二重層の電荷を電池の充放電と同じように出し入れするものであり、その構成は活性炭材料などとフッ素樹脂などの結着剤とで成形した2枚の電極を、多孔膜や不織布などのセパレータを介して対向させ、電解液を充填したものである。電解液には有機溶媒系のものと水溶液系のものが有り、前者は耐電圧が2.8V〜3.0Vと高い。
【0004】
EDLCのセパレータとしての役割は、第一に電極同士の物理的接触による短絡防止(セパレート性)、第二に電解液中のイオンの移動を妨げないこと(低い内部抵抗)である。上記したような多孔膜は密度が高いため、内部抵抗が高くなる傾向にある。一方、セルロース繊維や種々の合成繊維を用いた不織布をセパレータとすることも知られているが、セパレート性を保持するために繊維径を小さくしたり、繊維密度を高めると内部抵抗が高くなり、逆に内部抵抗を小さくするために繊維径を大きくしたり、繊維密度を低くすると不織布のポアサイズが大きくなってセパレート性が不十分になる問題があった。これを解決するものとして、本発明者らは、機械的性能、セパレート性、柔軟性などに優れる電気二重層キャパシタ用セパレータ及びそれを用いてなる電気二重層キャパシタを開発し、特願2000−344695号として特許出願した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このセパレータは、機械的性能、セパレート性、柔軟性などに優れるものの、近年さらに低い内部抵抗を示すセパレータが望まれている現状では、低内部抵抗という点でまだまだ十分であるとは言い難い。したがって、本発明の一つの目的は、機械的性能及びセパレート性に優れ、内部抵抗の低いセパレータを提供することにある。また、本発明もう一つの目的は、このようなセパレータを用いた電気二重層キャパシタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ね、繊維の横断面形状が板状扁平断面である繊維と断面構造が丸状の延伸繊維とバインダー繊維を含み、繊維(A)と繊維(B)の重量比率が90:10〜30:70で、バインダー繊維が熱圧着されているセパレータによって、前記目的を達成できることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明は、横断面形状が板状扁平断面の繊維(A)と横断面形状が丸状の延伸繊維(B)とバインダー繊維を含むセパレータであって、繊維(A)と繊維(B)の重量比率が90:10〜30:70で、バインダー繊維が熱圧着されていることを特徴とするセパレータである。また、本発明のもう一つの発明は、このようなセパレータを用いた電気二重層キャパシタである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のセパレータの特徴は、板状扁平断面を示す繊維(A)と横断面形状が丸状の延伸繊維(B)とバインダー繊維を含み、繊維(A)と繊維(B)の重量比率が90:10〜30:70で、バインダー繊維が熱圧着されているように構成したことにある。かかる板状扁平断面を示す繊維(A)の扁平比は、あまり小さいと本発明の効果の発現が小さく、またあまり大きいと、特に単繊維繊度の細いものを採用する場合、製糸が困難となることがあるので、3〜20とするのが好ましい。さらに好ましくは5〜15、さらに好ましくは8〜13である。なお、本発明でいう扁平比とは、繊維断面の長軸長さを短軸長さで除した値をいう。扁平比は、本発明のセパレータを電気二重層キャパシタに使用するとき、EDLC内でのセパレータの占める割合を可能な限り小さくするために、すなわち、繊維を低目付、薄厚とするときに重要となるファクターであり、遮蔽性を向上させるためにはさらに板状とする必要がある。
【0008】
繊維(A)の単繊維繊度は、あまり小さいと、例えばセパレータを湿式不織布で構成する場合、該扁平断面繊維を安定に水中分散させるために繊維長を短くしなければならず、このような短繊維長の繊維はセパレータとした時のシート強力が低くなる傾向にあり、また、単繊維繊度があまり大きいと、緻密なセパレータが得られなくなることがあり、内部短絡の原因ともなるので、単繊維繊度は0.01〜2.0dtexとするのが好ましい。
【0009】
繊維(A)の繊維長は、前述したように、あまり短いと、低シート強力となりやすく、またあまり長いと、湿式不織布を製造する際の繊維分散性が不良となることがあるので、0.5〜20mmとするのが好ましい。
【0010】
本発明において使用する繊維(A)としては、熱可塑性樹脂からなる合成繊維を使用するのが好ましい。有機溶媒系の電解液を使用する場合、セパレータは脱水の目的で高温にて乾燥する必要があるが、生産性向上のためには可能な限り高温で短時間で乾燥するのが望ましい。かかる観点から、熱可塑性樹脂としては205℃以上、好ましくは220℃以上、さらに好ましくは240℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂を使用するのが望ましい。
【0011】
熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂などから選ばれる一種類以上の樹脂による構成された繊維を使用することができる。
【0012】
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンオキシベンゾエート等のポリエステル及びその共重合体であって、融点が205℃以上のものが挙げられる。また、ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、及びその共重合体であって、融点が205℃以上のものが挙げられる。なかでも、ポリエステル系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂よりなる繊維を使用するのが好ましい。
【0013】
板状扁平断面繊維を得るには、スリット状の口金から上記したような樹脂を単独紡糸することで一応可能であるが、この方法では単繊維繊度を細くするのに限界があり、また扁平比の高い繊維を得るためには口金のスリットの長軸/短軸の比を大きなものにする必要があるので、紡糸性の点から安定に繊維を得るのは困難となることがある。したがって、板状扁平断面繊維(A)としては、ポリエステル系樹脂とポリアミド系樹脂が交互に配置された層状の分割繊維としたものがさらに好適である。かかる層状の分割繊維を繊維(A)に用いると、先に述べた乾燥温度の観点、耐熱寸法安定性の観点から好適である他、有機溶媒系の電解液を使用した際の親液性の点からも、ポリオレフィン系樹脂よりなる繊維を用いた不織布あるいは多孔膜に比べ非常に優位となる。
【0014】
また、層状分割繊維を使用すると、製糸工程における延伸時、カット時、不織布化工程における繊維分散時あるいは繊維開繊時に分割することによって、扁平比が高く、且つ細繊度の板状扁平断面繊維とすることができる。さらに、層状分割繊維は、ポリエステル系樹脂とポリアミド系樹脂により構成された複合繊維であるため、不織布とするときに、各々単独紡糸した繊維を不織布化工程で混合するよりも均一に混合することができる。層状分割繊維は、ポリエステル系樹脂とポリアミド系樹脂を交互に配置し、複合紡糸することにより、比較的容易に得ることができる。
【0015】
一方、本発明に用いる横断面形状が丸状の延伸繊維(B)としては、板状扁平断面繊維(A)と同様の理由で、単繊維繊度が0.01〜2.0dtex、繊維長が0.5〜20mmのものを使用するのが好ましい。繊維(B)として使用される繊維としては特に限定されないが、前述の板状扁平断面繊維と同様、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂などから選ばれる樹脂より構成された繊維を使用することができ、特にポリエステル系樹脂及び/又はポリアミド樹脂が好適である。
【0016】
横断面形状が丸状の延伸繊維(B)は一種類の樹脂による単独繊維であっても、二種類以上の樹脂による芯鞘型、海島型、あるいはサイドバイサイド型等の複合繊維であっても構わない。該繊維は、従来から知られている一般的な方法により製造することができ、溶融したポリエステル系樹脂をノズルより吐出し、捲き取り、延伸工程を経てカットすることにより得ることができる。
【0017】
本発明のセパレータにおける繊維(A)と繊維(B)の比率において、繊維(A)の比率があまり高いと、横断面形状が丸状の延伸繊維の添加効果が少ないため、内部抵抗が小さくならないことがあり、一方、繊維(A)の比率があまり低いと、遮蔽性が低下する傾向があり、漏れ電流が大きくなる原因となるので、繊維(A)と繊維(B)の比率は、重量比で90:10〜30:70で実施する必要がある。好ましくは、80:20〜35:65であり、さらに好ましくは、70:30〜40:60である。
【0018】
前記繊維(A)と繊維(B)から構成される本発明のセパレータは、織布でも不織布でもよいが、不織布の方が好ましい。不織布としては、抄造法により製造される湿式不織布、あるいはカーディング法、エアレイ法により製造されるウェブをスパンレース、サーマルボンド、ケミカルボンド、ニードルパンチ、ステッチボンド等により結合する方法によって得られる乾式不織布が挙げられるが、これらの中でも目的とする薄厚の不織布を得るためには地合の面から、抄造法により得られる湿式不織布が最も好ましい。
【0019】
抄造法は、通常、繊維を固形分濃度が0.1〜5重量%程度となるように分散助剤、増粘剤などを水中に均一に分散させてスラリーを調製し、さらにスラリー中に水を加えて固形分濃度が0.001〜0.5重量%になるように希釈して希薄水性スラリーとし、該スラリーを抄紙機を用いて抄造し、乾燥してシート化する方法である。抄紙機としては、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜型抄紙機、これらの組み合わせからなるコンビネーションマシンなどが挙げられる。乾燥機としては、ヤンキー型、多筒型等が挙げられる。
【0020】
このようにして得られた不織布をカレンダー処理することによって200μm以下の厚さに加工し、EDLC用セパレータとする。さらに地合を均一化させるために、得られた不織布を複数層積層してカレンダー処理したり、50μm以下にカレンダー処理した後に複数層積層して200μm以下の厚さを有するEDLC用セパレータとしてもかまわない。
【0021】
本発明のセパレータに用いられる湿式不織布には、機械的特性を向上させるためにバインダー繊維を配合することが好ましい。バインダー繊維としては、繊維(A)及び繊維(B)よりも融点の低い繊維であれば特に限定されないが、不織布の乾燥効率を高める点から、融点205℃以上のバインダー繊維を用いるのが好ましい。
【0022】
バインダー繊維の具体的な構成は特に限定されないが、耐熱性に優れると同時にバインダーとして十分な性能を有している点でポリエステル系未延伸糸を用いるのがより好ましい。バインダー繊維を配合して不織布を製造し、次いで繊維(A)と繊維(B)の性能を損わない条件、例えば、繊維(A)及び繊維(B)の融点以下でカレンダー処理を施すことによりバインダー繊維が熱圧着され、機械的性能に優れた高性能のセパレータを製造することが可能になる。
【0023】
該バインダー繊維の配合比率は、あまり少ないとEDLC用セパレータとしての強力が満足されず、また、あまり多いと強力的には十分満足されるものの、板状扁平断面繊維の配合比率が低くなり、遮蔽性が劣る傾向にあるので、全繊維重量中、10〜50重量%とするのがよい。好ましくは20〜45重量%、さらに好ましくは30〜40重量%である。
【0024】
本発明のセパレータは、セパレータ、とくにEDCL用のセパレータとして好適である。EDLC用セパレータとして使用する場合、EDCLの容量をアップさせるために、セパレータの厚みは200μm以下とするのが好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
【0025】
EDLCの電極は、活性炭などをセパレータとし、活性炭が粉体の場合は、カーボンブラックのような導電性材料、バインダー、溶剤または分散剤と混合し、ペースト状にした後、集電体に塗布して分極性電極としたり、あるいはシート状に成形して分極性電極として使用される。また、活性炭が繊維状である場合、粉砕して、粉体と同様に電極を作製することができ、また、そのまま使用することもできる。
【0026】
活性炭としては、水蒸気、炭酸ガス、大気、あるいはLPGなどの燃焼ガス、あるいはこれらの混合ガス等の酸化性ガスや、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸、塩化カルシウム、硫化カリウム、硫酸などの薬剤を添加して賦活した活性炭を使用することができる。
【0027】
バインダーとしては、ポリビニリデンフロライド、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化塩化エチレン、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートなどが挙げられる。バインダーは粉体で添加してもよく、エマルジョン状態で添加してもよい。
【0028】
電解液を構成する電解質の溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、3−メチル−γ−バレロラクトンなどのラクトン類、ジメチルスルフォキシド、ジエチルスルフォキシドなどのスルフォキシド類、ジメチルフォルムアミド、ジエチルフォルムアミドなどのアミド類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類、ジメチルスルホラン、スルホランなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、一種または二種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0029】
これらの有機溶媒に溶解させる電解質としては、テトラエチルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラメチルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラプロピルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフロロボレート、トリメチルエチルテトラフロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフロロボレート、ジエチルジメチルアンモニウムテトラフロロボレート、N−エチル−N−メチルピロリジニウムテトラフロロボレート、N,N−テトラメチレンピロリジニウムテトラフロロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフロロボレートのようなアンモニウムテトラフロロボレート類、テトラエチルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムパークロレート、テトラプロピルアンモニウムパークロレート、テトラブチルアンモニウムパークロレート、トリメチルエチルパークロレート、トリエチルメチルアンモニウムパークロレート、ジエチルジメチルアンモニウムパークロレート、N−エチル−N−メチルピロリジニウムパークロレート、N,N−テトラメチレンピロリジニウムパークロレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムパークロレートのようなアンモニウム過塩素酸塩類、テトラエチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラプロピルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラブチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、トリメチルエチルヘキサフロロホスフェート、トリエチルメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、ジエチルジメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェートのようなアンモニウムヘキサフロロホスフェート類などが挙げられる。
【0030】
電解質の濃度としては、0.5モル/リットル(M/L)〜5M/Lが好ましい。特に好ましくは1M/L〜2.5M/Lである。電解質濃度が0.5M/Lより低い場合は静電容量が低下することがある。
【0031】
EDCLは、本質的に分極性電極、セパレータ及び集電部材をケースに組み込んだものであり、本発明のセパレータをセパレータとして使用する場合のEDLCは次のようにして組み立てられる。例えば、ケースに集電部材と接合した分極性電極、セパレータ、分極性電極の順になるように重ね、更に電解質溶液を導入し、ガスケット、ケースを重ね封じることによって、コイン型EDLCを組み立てることができる。
【0032】
このようにして組み立てられたEDCLの一例の概略を図1に示す。1及び2は集電部材、3及び4は分極性電極、5はセパレータ、6はガスケット、7はケースである。以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において、セパレータの厚さ、坪量及び密度はほぼ同じになるようにし、物性の測定は次の方法によった。
【0033】
(1)扁平比:繊維横断面の顕微鏡写真を撮影し、(繊維横断面における長辺の長さ)/(該横断面における短辺の長さ)より求めた。
【0034】
(2)厚さ(mm)及び密度(g/cm3):JIS P 8118「紙及び板紙の厚さと密度の試験方法」に準じて測定した。
【0035】
(3)坪量(g/m2):JIS P 8124「紙のメートル坪量測定方法」に準じて測定した。
【0036】
(4)裂断長(N・m/g):JIS P 8113「紙及び板紙の引張強さ試験方法」に準じて測定した。
【0037】
(5)静電容量(F/cc)、内部抵抗(Ω):EDLCを用い、充電電圧2.5V、充電電流4mAで充電後、1mAになるまで2.5Vの定電圧で補充電を行った後、2mAの定電流で放電を繰り返し、6サイクル目の放電時の1.2−1.0Vにおける傾きから静電容量を求め、更に電極体積で除することによって体積当たりの静電容量(F/cc)を求めた。また、内部抵抗は充電後、回路を開放することにより生じる降下電圧より測定した。
【0038】
【実施例】
参考例1(板状扁平断面繊維(繊維(A))の作製):
第一成分をポリエチレンテレフタレート、第二成分をナイロン6とし、層状11分割丸型ノズルを用いて、ポリエチレンテレフタレート:ナイロン6=2:1の比率で、紡糸温度285℃、単孔吐出量0.80g/分にて紡出し、1100m/分にて捲き取って紡糸原糸とした。該紡糸原糸を集束後、2.50倍に延伸、油剤を付与した後、3mmにカットして、2.90dtexのポリエステル/ポリアミド層状分割繊維を得た。該層状分割繊維を分割し、単繊維繊度0.26dtex、扁平比13.3のポリエステル、及びポリアミドの板状扁平断面繊維を得た。
【0039】
参考例2(横断面形状が丸状の延伸繊維(繊維(B))の作製:
ポリエチレンテレフタレートを紡糸温度300℃、単孔吐出量0.19g/minにて丸型のノズル孔を有するノズルより紡出し、1320m/分にて捲き取って紡糸原糸とした。該紡糸原糸を集束後、2.85倍に延伸、油剤を付与した後、3mmにカットして、0.51dtexの横断面形状が丸状のポリエステル延伸繊維を得た(株式会社クラレ製EP043×3に相当)。
【0040】
参考例3(ポリエステル未延伸糸の作製):
ポリエチレンテレフタレートを紡糸温度300℃、単孔吐出量0.19g/分にて紡出し、1320m/分にて捲き取った。集束後、延伸処理をしないで油剤処理のみを行い、5mmにカットして、ポリエステル未延伸糸とした(株式会社クラレ製EP101×5に相当)。
【0041】
参考例4(EDLCの作製):
活性炭(クラレケミカル製 BP−20)に、重量比でテトラフロロエチレン(三井・デュポンケミカルズ社製、テフロン6J)10%、導電性フィラー(電気化学社製デンカブラック)9%を加え、混錬、シート化した後、打ち抜き、直径13mmの円形の分極性電極を得た。分極性電極を導電性ペーストを用いて、ステンレス板及び缶蓋に接着し、230℃にて30分間乾燥後、更に200℃×3日間真空乾燥を行った。直径13.5mmに打ち抜いた本発明のセパレータ2枚を60℃にて真空乾燥後、露点−80℃以下グローブボックス内に移行し、以後のセル作製に関わる作業をグローブボックス内で実施した。
【0042】
電解液には1M/Lのテトラエチルアンモニウムテトラフロロボレートのプロピレンカーボネート溶液を使用し、分極性電極、セパレータを真空下、30分間電解液に含浸した。これらの材料を用いて図1の如くコイン型キャパシタを組み立てた。
【0043】
実施例1
参考例1において得られたポリエステル/ポリアミド層状分割繊維35重量%、参考例2において得られた丸断面ポリエステル延伸繊維35重量%及び参考例3において得られたポリエステル未延伸糸30重量%の割合でパルパーに投入し、攪拌することにより層状分割繊維の分割と同時に繊維分散・混合を行いスラリーを調製した。得られたスラリーを傾斜型抄紙機、ヤンキー型乾燥機からなる湿式抄紙機にて抄紙し、目付20g/m2の湿式不織布を製造した。この湿式不織布をカレンダー処理して、厚さ38μmのEDLC用セパレータとした。結果を表1に示す。
【0044】
実施例2
参考例1において得られたポリエステル/ポリアミド層状分割繊維63重量%、参考例2において得られた丸断面ポリエステル延伸繊維7重量%及び参考例3において得られたポリエステル未延伸糸30重量%の割合でパルパーに投入し、攪拌することにより層状分割繊維の分割と同時に繊維分散・混合を行いスラリーを調製した。得られたスラリーを傾斜型抄紙機、ヤンキー型乾燥機からなる湿式抄紙機にて抄紙し、目付20g/m2の湿式不織布を製造した。この湿式不織布をカレンダー処理して、厚さ36μmのEDLC用セパレータとした。結果を表1に示す。
【0045】
実施例3
参考例1において得られたポリエステル/ポリアミド層状分割繊維21重量%、参考例2において得られた丸断面ポリエステル延伸繊維49重量%及び参考例3において得られたポリエステル未延伸糸30重量%の割合でパルパーに投入し、攪拌することにより層状分割繊維の分割と同時に繊維分散・混合を行いスラリーを調製した。得られたスラリーを傾斜型抄紙機、ヤンキー型乾燥機からなる湿式抄紙機にて抄紙し、目付20g/m2の湿式不織布を製造した。この湿式不織布をカレンダー処理して、厚さ39μmのEDLC用セパレータとした。結果を表1に示す。
【0046】
比較例1
丸断面延伸繊維を使用せず、参考例1において得られた層状分割繊維70重量%を用いた以外は実施例1と同様に不織布を製造した。この湿式不織布をカレンダー処理し、目付20g/m2、厚さ36μmのEDLC用セパレータとした。得られたEDLC用セパレータは裂断長などの機械的性能には優れていたが、内部抵抗は劣るものであった。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
本発明により、機械的性能及び柔軟性に優れるとともに、内部抵抗の低いセパレータを提供することができる。本発明のセパレータは、セパレート性にも優れるので、電気二重層キャパシタのセパレータとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気二重層キャパシタの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 集電部材
2 集電部材
3 分極性電極
4 分極性電極
5 セパレーター
6 ガスケット
7 ケース
Claims (4)
- 横断面形状が板状扁平断面の繊維(A)と横断面形状が丸状の延伸繊維(B)とバインダー繊維を含むセパレータであって、繊維(A)と繊維(B)の重量比率が90:10〜30:70で、バインダー繊維が熱圧着されていることを特徴とするセパレータ。
- 該バインダー繊維がポリエステル系未延伸繊維である請求項1記載のセパレータ。
- 該バインダー繊維の配合比率が、全繊維重量中10〜50重量%である請求項1又は2記載のセパレータ。
- 請求項1〜3いずれかに記載のセパレータを用いた電気二重層キャパシタ。
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