JP6068868B2 - 湿式不織布用ショートカット繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、湿式不織布を得るのに適したショートカット繊維であって、特に高性能なフィルター用途等に好適な湿式不織布を得ることができる湿式不織布用ショートカット繊維に関するものである。
近年、湿式短繊維不織布はフィルター用基材、電池セパレーターなどの用途に広く用いられている。このような用途において、性能の高いフィルターやセパレーターとするには、厚みが薄く、通気度の低い湿式不織布が求められている。
通気度の低い不織布を得るには、繊維間の隙間を少なくし、気密性を高くすることが必要である。例えば、特許文献1や特許文献2には単糸繊度が0.5dtex以下の細繊度の繊維を用いることにより、繊維間の空隙を小さくし、気密性を高くした短繊維不織布を得る方法が提案されている。
0.5dtex以下の繊維を得るには、単一のポリマーで紡糸、延伸して直接繊維を得る方法と、複数のポリマーを用いた複合繊維で紡糸、延伸を行い、ある程度太い繊維を得た後に割繊することで0.5dtex以下の繊維を得る方法がある。割繊の方法としては、相溶性に乏しい複数のポリマーからなる複合繊維に物理的な衝撃を与えることにより、繊維を構成するポリマーの界面を剥離分割して細繊度の繊維を得る機械的割繊と、有機溶媒に溶けやすいポリマーと溶けにくいポリマーとからなる複合繊維を、有機溶媒を浸す等によって、繊維を構成する一部のポリマー(有機溶媒に溶けやすいポリマー)を溶解させ、有機溶媒に溶けにくいポリマーのみにより構成される細繊度の繊維を得る化学的割繊が挙げられる。
細繊度の繊維を直接得る方法は、紡糸、延伸時に糸切れが発生しやすく、生産性が低下するのでコスト的に不利である。細繊度の繊維を機械的割繊で得る方法は、コスト的には不利ではないが、割繊後に得られた繊維は、相溶性に乏しい複数の繊維が混ざったものとなり、これらの繊維から得られる湿式不織布は性能の劣るものになりやすい。
細繊度の繊維を化学的割繊で得る方法は、紡糸、延伸で得られた繊維の一部を溶媒で溶解除去をするため、得られる細繊度の繊維の量が減り、コスト的に不利である。さらに、溶媒の再生、回収設備が必要となる点でもコスト的に不利である。
細繊度の繊維を用いることによって通気度の低い不織布を得る方法では、確かに通気度は低下するものの、不織布内の空隙のサイズも同様に小さくなるため、例えば、フィルターとして用いた場合は目詰まりが早くなり、フィルター寿命が短いものとなる。このため、捕捉する粒子に応じて、フィルターを構成する繊維の繊維径を適宜調節することが必要となり管理が煩雑となる。
特開2002−151358 特開2007−208043
本発明は上記の問題点を解決するものであって、コスト的に有利に製造することができるショートカット繊維であり、性能の優れたフィルターやセパレーター用途に好適な通気度の低い湿式不織布を得ることができる湿式不織布用ショートカット繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために、細繊度の繊維を用いることなく、課題を解決できないかと検討した。その結果、特定のポリマーを複合化して繊維を得ることによって、細繊度にしなくとも、繊維間の空隙を小さくできて通気度を低くすることができ、また、強度などの不織布物性にも優れた湿式不織布用のショートカット繊維を提供することができることを見出した。
すなわち、本発明は、湿式不織布に用いられるショートカット繊維であり、該繊維は機械捲縮が付与されてなく、粘度の異なる2種のポリエチレンテレフタレートによって構成された芯鞘複合型の断面形状を有し、該2種のポリエチレンテレフタレートはいずれも第三成分が共重合してなるものではなく、芯部に高粘度ポリエチレンテレフタレート、鞘部に低粘度ポリエチレンテレフタレートが配され、高粘度ポリエチレンテレフタレートと低粘度ポリエチレンテレフタレートの極限粘度差が0.05〜0.13であり、芯部と鞘部の複合比率が20:80〜80:20であることを特徴とする湿式不織布用ショートカット繊維を要旨とするものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のショートカット繊維は、粘度の異なる2種のポリエチレンテレフタレートによって構成される。
ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と称することもある。)を選択する理由は、融点が高いため、耐熱性に優れ、コスト面でも有利であるためである。そして、ポリエチレンテレフタレートは、第三成分が共重合したものではない。
本発明のショートカット繊維は、粘度の異なる2種のポリエチレンテレフタレートによって構成された芯鞘複合型の断面形状を有している。芯部に高粘度ポリエチレンテレフタレート、鞘部に低粘度ポリエチレンテレフタレートが配され、芯部と鞘部の極限粘度差は0.05〜0.13である。芯部に高粘度ポリエチレンテレフタレートを配することにより、芯部は、繊維の剛性や強度を保持する役割を担う。一方、鞘部に低粘度ポリエチレンテレフタレートを配することにより、鞘部は、不織布化の際の熱と圧力が加わったときに、容易に圧着により変形しやすい易圧着効果を奏する役割を担う。両者の極限粘度差が0.05より低くなると、鞘部において圧着変形しにくく、易圧着効果を奏しにくいものとなって通気度の小さい不織布が得にくくなり、一方、両者の極限粘度差が0.13より大きくなると、繊維製造工程における延伸工程で、鞘部の配向結晶化が不十分なものとなり、延伸後の熱セット工程で繊維同士が疑似密着しやすく、このような繊維を用いて湿式不織布を製造したときに、得られる不織布の地合が悪化しやすく好ましくない。なお、本発明のショートカット繊維を構成するポリエチレンテレフタレートの極限粘度は、上記した理由により、高粘度ポリエチレンテレフタレートとしては0.6以上がよく、低粘度ポリエチレンテレフタレートとしては0.3〜0.6がよい。また、高粘度ポリエチレンテレフタレートの極限粘度の上限は1.0程度でよい。また、繊維製造時の影響により、得られる繊維を構成する重合体の極限粘度は、材料の極限粘度と比較して0.02〜0.03程度値が小さくなる傾向にあるため、これを考慮して材料となる重合体の極限粘度を選択するとよい。





本発明のショートカット繊維の芯部と鞘部の複合比率は、20:80〜80:20である。また、好ましくは40:60〜60:40である。芯部の比率が20%を下回ると、繊維としての剛性が損なわれるため好ましくない。また、鞘部の比率が20%を下回ると、易圧着効果を奏することができず、本発明の目的が達成しにくい。
本発明のショートカット繊維の断面形状は、上記したように芯鞘型であれば、円形断面に限定されず、異形断面であってもよい。したがって、同心円の芯鞘型のほか、扁平型、トリローバル型など任意の形状から選択することができるが、不織布化において少なくとも圧力を加えるカレンダー加工を施した際に繊維同士の接触面積が大きくなる同心円の芯鞘型あるいは扁平芯鞘型が好ましい。
通常、熱可塑性樹脂からなる繊維であって、特定の繊維長を有する繊維を得る場合、スタフィングボックス法や押込加熱ギア法等により機械捲縮を付与することが多いが、本発明のショートカット繊維においては、湿式不織布を得るための繊維であることから、機械捲縮を付与しないもの(ノークリンプの繊維)とする。機械捲縮が付与されないことにより、湿式不織布の製造工程で良好に分散しやすく、地合いが良好で均一な性能を発揮することができるためである。
本発明のショートカット繊維の繊維長は、2〜20mm程度であればよく、3〜15mmの範囲が好ましい。繊維長が20mmを超えると、不織布を得る工程での繊維の分散が悪くなり、均斉度に劣った湿式不織布となる。一方、繊維長を2mm未満にしようとすると、繊維を切断する際の発熱で繊維同士の融着が生じやすくなる。
ショートカット繊維の単糸繊度は、0.8〜4dtex程度がよい。中でも1〜3.5dtexであることが好ましい。単糸繊度が4dtexを超えると、得られる湿式不織布の厚みが大きくなり、また繊維間の隙間が大きくなる傾向となり、一方、0.8dtex未満になると、紡糸時に切れ糸が発生しやすくなり、操業性が悪くなるとともに、繊維同士の融着が生じやすく、強伸度特性に劣る傾向となる。
本発明のショートカット繊維は、細繊度のものではないため、実用的な強度を有し、その強度が3〜8cN/dtexであり、3.5〜7.5cN/dtexであることが好ましい。強度が3cN/dtex未満であると、得られる不織布の機械的特性(強度)が劣るものになる。一方、強度が8cN/dtexを超えるものを得ようとすれば、より高粘度の重合体を用いる必要があるため、紡糸および延伸工程の操業性が悪くなり、得られる繊維の品位が劣りやすくなる。
ショートカット繊維の伸度は、25〜100%であり、中でも30〜60%であることが好ましい。伸度が25%未満であると、延伸工程での操業性が悪くなり、得られる繊維の品位が劣るものとなり好ましくない。一方、伸度が100%を超えると、延伸での配向結晶が充分に進んでおらず、熱や圧力の関与で擬似密着が発生しやすくなり、繊維間の密着が生じ、得られる繊維の品位が劣るものとなりやすい。
本発明においては、上記した本発明のショートカット繊維を用いて湿式不織布を得る。湿式不織布は上記の本発明のショートカット繊維のみから構成されたものであってもよいが、接着成分を用いて構成繊維同士を接着して不織布とするものが好ましい。接着成分としては、熱接着成分を有するバインダー繊維を用いることが好ましい。すなわち、本発明のショートカット繊維とバインダー繊維とを所定量混合したウエブを作成し、熱と圧力を付与することにより、本発明のショートカット繊維の鞘部を圧着により変形させ、かつバインダー繊維を溶融させて構成繊維同士を熱接着により一体化した湿式不織布を得ることが好ましい。なお、湿式不織布を作成する際に付与する熱と圧力は、同時に付与してもよく、あるいは、熱を付与して繊維を軟化させ(バインダー繊維を混合している場合は、バインダー繊維の熱接着成分を溶融または軟化させ)、その後に圧力を付与してもよい。なお、熱と圧力を同時に付与する方法としては、所定の温度に加熱した熱カレンダーロールに通すとよい。熱と圧力を別に付与する方法としては、熱ロールに沿わせる方法や熱風乾燥機内に通す方法により熱を付与した後に、一対のカレンダーロールに通して圧力を付与する方法が挙げられる。
本発明のショートカット繊維とともに用いるバインダー繊維としては、ポリエチレンテレフタレートのみからなる未延伸糸を好適に用いることができる。未延伸糸は、繊維製造工程で、一旦溶融紡糸した後に巻き取っただけのものであり、溶融紡糸後に熱延伸が施されていないため、繊維を構成する重合体は十分に配向せずに、熱を付与した場合に容易に軟化して繊維同士を接着するバインダー繊維として機能する。
本発明においては、湿式不織布を得る際に、湿式不織布の用途に応じて、様々な加工を施すことができ、この加工によって、例えば、繊維間の空隙を容易に調整することができ、また、不織布に各種の機能性を付与することができる。例えば、得られる不織布の密度を高めるために、湿式抄造後の乾燥熱処理後にさらにカレンダーロールで熱圧着加工を施したり、各種の機能を付与するために得られた不織布の表面に樹脂加工を行うことができる。このような加工においては、湿式抄造後の乾燥熱処理よりもさらに高温の熱処理を行う場合があるが、上記したポリエチレンテレフタレートのみからなる未延伸糸によるバインダー繊維を用いれば、繊維は、ポリエチレンテレフタレートからなるものであるためポリマーの融点が高く、耐熱性に優れており、これらの加工において高温の熱処理を施しても劣化が生じることがない。
バインダー繊維の単糸繊度は、1〜3dtex程度がよく、1〜2.5dtexが好ましい。単糸繊度が3dtexを超えると、本発明のショートカット繊維とバインダー繊維とからなるウエブにおいて繊維間の空隙が大きくなり、厚みが大きいものとなる。そして、バインダー繊維を溶融させた後に得られる湿式不織布の繊維間の空隙が大きく、通気度が高く、厚みの大きいものとなりやすい。一方、1dtex未満のバインダー繊維であると、バインダー繊維を得る際に操業性が悪くなり、品質の劣った繊維となる場合が多く好ましくない。
バインダー繊維の繊維長は、本発明のショートカット繊維と同様に2〜20mmがよく、3〜15mmが好ましい。繊維長が20mmを超えると、不織布を得る際の繊維の分散が悪くなり、均斉度の低い不織布となりやすい。一方、繊維長が2mm未満になると、繊維製造時の切断の際に発熱で繊維同士の融着が生じている場合が多く、やはり不織布を得る際の繊維の分散が悪くなり、均斉度の低い不織布となりやすい。
本発明のショートカット繊維とバインダー繊維を用いる際の両繊維の混合比率は、質量比(ショートカット繊維/バインダー繊維)で50/50〜90/10の範囲が好ましい。さらには、60/40〜80/20がより好ましい。
本発明のショートカット繊維およびバインダー繊維を構成する重合体中には、本発明の効果を損なわない範囲で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい。
本発明の湿式不織布用ショートカット繊維は、ショートカット繊維を構成する単繊維の断面が芯鞘形状であって、芯部に高粘度ポリエチレンテレフタレート、鞘部に低粘度ポリエチレンテレフタレートを配しているため、不織布を構成する際に圧力を付与すると、鞘部の低粘度ポリエチレンテレフタレートが容易に圧着変形するため、不織布の空隙を所望の範囲に調整することができ、容易に通気度が低く、気密性の高い湿式不織布を得ることができる。さらには、芯部の高粘度ポリエチレンテレフタレートは繊維の剛性を維持する骨格としての役割を担い、実用的な強度および伸度を維持することができるため、機械的特性にも優れた湿式不織布を得ることができる。このような優れた特性を有する湿式不織布は、性能の高いフィルターやセパレーター用途に好適に使用することが可能となる。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。ショートカット繊維の特性値及び湿式短繊維不織布の評価方法は次の通りである。
[単糸繊度]
切断前の繊維束を用いて、JIS L 1015 正量繊度のA法により測定した。
[繊維長]
得られたショートカット繊維のサイドビュー写真を撮影し、任意の30本の長さを測定し後、その平均値を撮影倍率で割り返して算出した。
[強度、伸度]
切断前の繊維束を用いて、JIS L 1015 引張強さ及び伸び率により測定した。
[不織布の通気度]
得られた湿式維不織布を、JIS L 1096 通気性のA法により測定した。8cc/cm/sec未満を合格とした。
[不織布の機械的特性]
得られた湿式不織布を、JIS L 1096 引張強さ及び伸び率のA法によりMD方向(カレンダー加工の際の機械方向)の強力を測定した。15N/2.5cm幅以上を合格とした。
[極限粘度]
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。
[芯鞘型複合繊維における各重合体の極限粘度]
芯鞘型複合繊維を、フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で測定して複合繊維の極限粘度[η]を得る。一方、同じ芯鞘型複合繊維をアルカリ減量処理して鞘部を溶解除去した後、芯部(高粘度PET)の極限粘度を上記と同様にして測定して、その極限粘度を[η]とする。
鞘部分を構成するPETの極限粘度を[η]としたときに、[η]、[η]および[η]の間には下記式1で示される関係が成立する。
式1 : [η]=([η]+[η])/2
したがって、上記の式1から、複合繊維の鞘部を構成するPETの極限粘度[η]を下記の式2より求める。
式2 : [η]=2[η]−[η]
[不織布の地合]
得られた不織布の地合を目視により以下の3段階で評価した。
○:構成繊維の分布が均一であり、斑が非常に少ない。
△:構成繊維の分布がやや不均一であり、斑がやや目立つ。
×:構成繊維の分布が非常に不均一であり、斑が目立つ。
実施例1[芯鞘型複合繊維の製造]
融点が256℃、極限粘度0.64のPETを芯部とし、極限粘度0.53のPETを鞘部とし、孔数1014、円形断面同心芯鞘複合紡糸口金を用い、芯:鞘=50:50となるように計量し、合計吐出量621g/分、紡糸温度285℃、紡糸速度1100m/分で溶融紡糸し、複合繊維の未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を延伸温度73℃、延伸倍率3.85倍で延伸を行い、続いて180℃の熱ローラーにて緊張熱処理を行った。ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度1.6dtex、繊維長5mmの本発明のショートカット繊維を得た。得られたショートカット繊維の芯部PETの極限粘度は0.62、鞘部PETの極限粘度は0.51であった。
[未延伸バインダー繊維の製造]
極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートペレットを130℃で乾燥後、295℃で溶融し、紡糸口金(紡糸孔数が1040)を通して、吐出量180g/分で吐出し、紡糸速度1150m/分の速度で引取り、単繊維繊度が1.35デシテックスの未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を得た。該ポリエチレンテレフタレート繊維を約80万デシテックスのトウとなし、延伸熱処理を施すことなく、供給ロールと巻取ロールとのローラー間の工程張力(ロール間の速度比が1.04倍)で繊維を走行させて、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度1.35dtex、繊維長5mmのショートカットされた未延伸のバインダー繊維を得た。
[湿式不織布の製造]
得られたショートカット繊維を主体繊維として、主体繊維とバインダー繊維とを用い、混率を質量比60/40(主体繊維/バインダー繊維)として、パルプ離解機(熊谷理機工業製)に投入し、3000rpmにて1分間撹拌した。その後、得られた試料を抄紙機(熊谷理機工業製角型シ−トマシン)にて、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を添加した後、付帯の攪拌羽にて攪拌を行い抄紙し、湿式ウエブとした。そして、湿式ウエブを回転式乾燥機(熊谷理機工業製)にて140℃の温度で熱処理し、表面が平滑の熱カレンダー装置にて160℃、線圧100kg/cm、処理速度2m/分にて熱圧着を施し、坪量が約80g/mのポリエチレンテレフタレート繊維からなる湿式不織布を得た。
実施例2〜3
主体繊維の芯鞘比率を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。
実施例4
実施例1において、融点が256℃、極限粘度0.64のPETを芯部とし、極限粘度0.56のPETを鞘部としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明のショートカット繊維を得たこと以外は、実施例1と同様に実施した。得られたショートカット繊維の芯部PETの極限粘度は0.62、鞘部PETの極限粘度は0.54であった。
比較例1
鞘部に極限粘度0.60のPETを用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。得られた繊維の鞘部PETの極限粘度は0.59であった。
比較例2
鞘部に極限粘度0.64のPET(芯部と同じ極限粘度のPET)を用い、合計吐出量578g/分、延伸倍率3.71倍としたこと以外は実施例1と同様に実施した。
比較例3
鞘部に極限粘度0.45のPETを用い、延伸倍率4.00倍としたこと以外は実施例1と同様に実施した。得られた繊維の鞘部PETの極限粘度は0.45であった。
比較例4〜5
主体繊維の芯鞘比率を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。
実施例および比較例で得られた繊維および不織布の評価を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜4のショートカット繊維は、実用的な機械物性を示し、得られた湿式不織布は、通気度が低く、気密性に優れ、機械的特性にも優れたものであった。
一方、比較例1〜2のショートカット繊維は、極限粘度差が小さい、もしくは無かったため、繊維自体の強度は実用的なものであったが、この繊維を用いて得られた不織布は、実施例と比較して、不織布強力が劣り、通気度も高いものであった。
比較例3のショートカット繊維は、極限粘度差が大きすぎたために、湿式抄造法により不織布製造の際に水分散性が悪く、地合が悪化した。鞘部に低粘度PETを使用しているため不織布強力は高かったものの、地合が悪いため通気度は高いものとなった。
比較例4のショートカット繊維は、鞘部PETの比率が少ないために、不織布強度が低く、通気度も高いものとなった。
比較例5のショートカット繊維は、鞘部PETの比率が大きいために、地合いが悪く、不織布強度が低いものとなった。

Claims (3)

  1. 湿式不織布に用いられるショートカット繊維であり、該繊維は機械捲縮が付与されてなく、粘度の異なる2種のポリエチレンテレフタレートによって構成された芯鞘複合型の断面形状を有し、該2種のポリエチレンテレフタレートはいずれも第三成分が共重合してなるものではなく、芯部に高粘度ポリエチレンテレフタレート、鞘部に低粘度ポリエチレンテレフタレートが配され、高粘度ポリエチレンテレフタレートと低粘度ポリエチレンテレフタレートの極限粘度差が0.05〜0.13であり、芯部と鞘部の複合比率が20:80〜80:20であることを特徴とする湿式不織布用ショートカット繊維。
  2. ショートカット繊維の強度が3〜8cN/dtex、伸度が25〜100%であることを特徴とする請求項1記載の湿式不織布用ショートカット繊維。
  3. 請求項1または2記載の湿式不織布用ショートカット繊維と熱接着成分を有するバインダー繊維とを混合して、湿式抄造後、熱と圧力が付与することにより繊維同士を一体化することを特徴とする湿式不織布の製造方法。
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