JP2506419B2 - 耐久親水性の熱融着性複合繊維 - Google Patents

耐久親水性の熱融着性複合繊維

Info

Publication number
JP2506419B2
JP2506419B2 JP63242127A JP24212788A JP2506419B2 JP 2506419 B2 JP2506419 B2 JP 2506419B2 JP 63242127 A JP63242127 A JP 63242127A JP 24212788 A JP24212788 A JP 24212788A JP 2506419 B2 JP2506419 B2 JP 2506419B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
weight
component
mol
sheath
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP63242127A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0291219A (ja
Inventor
正夫 河本
和彦 田中
正樹 岡崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP63242127A priority Critical patent/JP2506419B2/ja
Publication of JPH0291219A publication Critical patent/JPH0291219A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2506419B2 publication Critical patent/JP2506419B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、優れた親水性を有する熱接着性複合繊維に
関するものであり、しかも該繊維を用いた繊維集合体を
製造する際工程トラブルがなく訓調に製造を行なうこと
ができる繊維に関するものであり、その目的とするとこ
ろは、特に工程トラブルがなく、耐久性に優れた親水性
を有するポリエステル系熱接着性複合繊維を提供するこ
とに関するものである。
(従来技術) 繊維間熱融着により不織布等を製造するための熱接着
性繊維は知られている。例えばポリエチレンを接着成分
とするポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、共重合
ナイロンを接着成分とするポリプロピレンとの複合繊
維、あるいはエチレン−ビニルアルコール共重合体を接
着成分とするポリエチレンテレフタレートとの複合繊維
等がある。
近年、繊維分野特に不織布分野でポリエチレンテレフ
タレートを代表するポリエステル繊維の役割が大きくな
り、生産効果、省エネルギー等の観点より、熱接着で繊
維集合体あるいは繊維製品、特に不織布を製造する要求
が大となり、ポリエステル用の接着繊維が強く望まれて
いた。そこで、ポリエステルを接着相手とする共重合ポ
リエステル系熱融着性繊維が種々開発されてきたが、ポ
リエステル繊維を接着させるには、化学構造および溶解
度パラメーターの類似性よりポリエステル系ポリマーを
接着成分として用いるのが、不織布の接着強度上も、工
程通過性上も良く、常識的にも考え得るところである。
実際、ポリエステルを接着相手とする溶剤溶解型あるい
はホツト・メルト型の接着剤としては、多くのガラス転
移点の低い軟化性の非晶性共重合ポリエステルが提案さ
れている。
しかるに、ガラス転移点の低い軟化性の非晶性共重合
ポリエステルを接着繊維として用いる場合には、繊維あ
るいは不織布製造工程で特有の装置、特有の熱履歴を経
由するため、つまり、ポリマーの軟化点以上の温度での
処理工程の所で、非晶性共重合ポリエステルが軟化融着
してしまい、繊維化が不可能な結果となり、通常の接着
剤用共重合ポリエステルは全く使用することができな
い。
例えば、溶融ポリマーを紡糸口金より押し出して繊維
状といし、繊維束をケンスに収めるかボビンに巻き取る
際、単繊維間あるいは繊維束間での膠着が激しく、紡糸
繊維を得ることが困難となる。
さらに続いて、延伸、捲縮および切断等を行なうと、
さらに単繊維間の膠着、融着がおきて良好な繊維を得る
ことができない。特に、生産量を大とするため合計デニ
ール数の大きい繊維束を取り扱う場合には、繊維製造工
程での問題点はさらに顕著となる。またたとえ不完全な
がら繊維化を行なつたとしても、例えば不織布化する場
合、ネツプの発生等の問題でカード通過性が不良であつ
たり、接着処理時に粘着トラブルが続発し、不織布とす
ることができない。この紡糸およびそれ以降での繊維化
ならびに不織布製造工程で要求される工程性は非常に厳
しいものであり、溶融ポリマーを重合槽より取り出し
て、ペレツト状に切断するチツプ化工程およびペレツト
を紡糸機に直結したエクストルーダーに供給する前の乾
燥工程をトラブルなく通過したとしても、繊維化あるい
は不織布化できるものはほとんどない。
一方、共重合ポリエステルでも、その種類によつて
は、共重合成分量を小とし、改質度を落せば、つまり、
結晶化度が高いレベルを維持し、かつ結晶化速度の速い
ポリマーは、繊維あるいは不織布製造の工程性は良好と
なるが、現在商業的に大量生産されているPETあるいは
ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略記)などの
ポリエステルとの接着性が小となるのが一般であり、接
着繊維として用いることはできない。
一方、得られるポリエステル系不織布に耐久性のある
親水性を付与出来るポリエステル系熱融着性繊維に関し
ては、今だ開発されていない。
特に最近ベビーおむつやおむつライナー、生理用品な
どの衛生材料分野や外食産業向けのカウンタークロス、
台所用品の流り台の水切り袋などの非衛生材料分野や、
シツプ薬の基布や固定用シート、病院用手術衣、マスク
等のメデイカル分野などに、不織布が広く使用されてき
ている。これらの多くの不織布製品の中で特に、ベビー
おむつ、生理用品などのものについては、従来のもの以
上に耐久性のある親水性能が求められていた。しかるに
今迄のものは、油剤等による表面処理の後加工方法によ
るものがほとんどで、これは初期性能はあつても、ある
程度使用した場合に表面油剤が脱落し、性能が極端に低
下するものが多かつた。
その中でも、おむつの表面材や生理用パツトの表面材
の湿式用不織布用途では、製造工程上必ず水中での抄紙
工程を経るため、繊維表面への親水化剤のコーテイング
方法では抄紙時に該親水化剤が脱落してしまい、最終製
品では十分な性能が保持されていないものしか得られな
い。
また木材パルプやレーヨン等の親水性素材を混抄混綿
した場合、熱融着性繊維が疎水性であつては、得られる
不織布、あるいはシートの親水性が失なわれてしまうと
いう問題がある。
(発明が解決しようとする問題点) 以上のように本発明は、ポリエステルとの接着性が優
れ、かつ繊維および不織布製造等の工程性が良好な繊維
であり、しかも得られた乾式不織布及び湿式不織布のい
ずれに対しても、水洗あるいは温水で洗たく等の後でも
親水性が低下しない、親水耐久性の極めて優れた熱融着
性繊維を提供することにある。
また本発明の他の目的は、木材パルプやビスコースレ
ーヨンあるいはビニロンのような親水性素材を用いて熱
融着性繊維で不織布あるいはシートを得る場合にも、該
熱融着性繊維が親水性素材の親水性を阻害することな
く、より以上に親水性を発揮させる親水耐久性の優れた
熱融着性繊維を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明の熱融着性繊維は、高分子量ポリオキシアルキ
レングリコール及びスルホン酸アルカリ金属塩誘導体を
所定量、特定のポリマ−組成、かつ特定のポリマー物性
を有している結晶性の共重合ポリエステル中へ含有分散
せしめ、該結晶性共重合ポリエステルを鞘成分とし、融
点150℃以上の熱可塑性ポリマーを芯成分として、複合
繊維とすることを特徴とする耐久親水性を有する熱接着
性複合繊維である。
本発明をより具体的に説明すると、本発明で用いる、
ポリオキシアルレングリコールとしては、後述する鞘成
分のバインダーポリエステルとは実質的に反応性を有し
ないことが必要である。ここで実質的に反応性を有しな
いことは、バインダーポリエステルと共重合しないこと
をを意味する。ポリオキシアルキレングリコールがバイ
ンダーポリエステルと反応すると紡糸性が不良となるの
で好ましくない。特にバインダーポリエステルの重合度
を低下させ紡糸時の溶融粘度が極端に低下することとな
り、複合紡糸性が不安定となり断面異常が発生しその結
果単糸切れ、断糸が多発してくるとともに、連続運転が
不可能となつてくる。
従つてポリオキシアルレングリコールとしては、分子
量が1000以上好ましくは3000以上が良い。分子量が低す
ぎるとバインダーポリエステルとの反応性が大きくなり
前述の問題点が発生してくるので好ましくない。組成と
してはポリオキシエチレングリコール単独ポリマーでも
よいし、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位を
ランダム又はブロツク状に共重合したポリマーでもよ
い。ただし、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単
位の組成比によつては、水に対して親水性が低下してく
る場合があるので、本発明の目的を阻害しない範囲でオ
キシエチレン単位が主成分である方が好ましい。また、
ポリオキシアルキレングリコールとしてはポリオキシエ
チレングリコールとポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレン共重合の混合物を使用してもかまわない。
ポリオキシアルキレングリコールの末端は水酸基であ
つても、非エステル形成性有機基で封鎖されていても、
またはエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合
等によつて他のエステル形成性有機基と結合していても
よい。末端が非エステル形成性有機基で封鎖されたもの
にあつては、ポリオキシアルキレングリコールの平均分
子量が800〜3000程度の低いものでもよい。
ポリオキシアルキレングリコールの鞘成分のバインダ
ーポリエステルポリマー層の含有量は、0.2重量%から1
0重量%の範囲が好ましい。0.2重量%未満では目的とす
る親水性が不十分である。10重量%を越えると紡糸性が
不良となり好ましくない。またポリオキシアルキレング
リコール中に酸化防止剤を含んでいてもかまわない。特
に、芯成分がポリエチレンテレフタレート等の高融点の
ポリマーを用いる場合、紡糸温度が高くなるためポリオ
キシアルキレングリコールは酸化分解、熱分解を発生し
やすくなるので、これを防ぐためにヒンダートフエノー
ル系の酸化防止剤を添加して繊維化することは有効であ
る。
これに対して上記ポリオキシアルキレングリコールと
併用されるスルホン酸金属塩の誘導体は、1分子内に少
なくとも1個のスルホン酸金属塩の親水基とアルキル基
などの適度な疎水性基を有する界面活性な化合物が好ま
しい。たとえば下記の構造をもつものが例示されるがむ
ろんこれに限定されるものではない。
(3)R−SO3M、 (5)R−CON−SO3M、 (6)ROSO3M、(7)R−O(C2H4O)nSO3M (9)RCONH−OSO3M ここでMはアルカリ金属を示し、通常、ナトリウム、
カリウム、リチウムであり、特にナトリウムが好まし
い。Rは炭素数が8以上のアルキル基が好ましい。炭素
数7以下のアルキル基の場合は、鞘成分バインダーポリ
エステルとの相溶性がやや悪くなる。また上記化合物の
混合物を用いてもかまわない。
スルホン酸金属塩誘導体の鞘成分バインダーポリエス
テル成分への含有量は0.1重量%から5.0重量パーセント
であることが好ましい。0.1重量%未満では目的とする
親水性が不十分である。また5.0重量パーセントを越え
ると紡糸時の曳糸性が不良となり、単糸切れ、断糸が多
くなり好ましくない上延伸性も不良となり、延伸倍率が
低いため糸物性的にも低強度の糸となり好ましくない。
また、ポリオキシアルキレングリコールとスルホン酸
金属塩誘導体の存在比率は、スルホン酸金属塩誘導体に
対してポリオキシアルキレングリコールの方が多い方が
鞘成分バインダーポリエステルとポリオキシアルキレン
グリコール及びスルホン酸金属塩誘導体の三者の相溶性
が良好でミクロな海島状の安定した分散状態を形成し安
定な紡糸ができ好ましい。好ましくは、ポリオキシアル
キレングリコールとスルホン酸金属塩誘導体の比率は6
対4〜7対3の範囲で存在していることが、目的とする
親水性能の面からも好ましい。スルホン酸金属塩誘導体
の存在比率が多くなると、ポリエステル中での分散状態
が不均一となり紡糸性、延伸性等の工程程が不良である
ことがわかつた。
次に鞘成分に用いるバインダーポリエステルについて
具体的に説明する。ポリマー組成としては、酸成分が実
質的にテレフタル酸(TA)成分とイソフタル酸(IPA)
成分とからなりテレフタル酸成分が70モル%以上であ
り、グリコール成分は1,6−ヘキサンジオール(HD)ま
たは1,4−ブタンジオール(BD)が70モル%以上である
ポリマー組成からなり、融点が90〜200℃で結晶融解熱
(ΔHu)が2cal/g以上、最短結晶化時間が90秒以内であ
る結晶性共重合ポリエステルであることが好ましい。
本発明の組成に類似した共重合ポリエステルがいわゆ
る接着剤として用いられることは知られている。しか
し、本発明の目的を達するために本発明の組成の共重合
ポリエステルで、かつ特定の物性を有するポリマーより
繊維あるいは不織布を工程トラブルなく順調に製造し得
ることは知られていない。またポリエステル系接着繊維
において、繊維あるいは不織布化可能な物性は本発明に
おいて明らかにされたものである。また、接着繊維とし
て好適な共重合組成および物性は、いわゆる接着剤とは
全く異なつている。すなわち接着剤には、一般により低
結晶性で、特に非晶性のものが多く使用されている。さ
らに、接着剤としては、フイルム状での剥離強度の大き
いものが用いられるが、本発明者らは、接着剤とは全く
異なつた観点より接着繊維を研究し、接着剤とは全く異
なる組成、物性の共重合ポリエステルが良好であること
を見出したものである。
本発明の共重合ポリエステルは、生成ポリエステルの
全酸成分(オキシ酸を含む場合には、その2分の1を酸
成分、2分の1をジオール成分とみなす)に対する共重
合%(以下、共重合%は全酸成に対するモル%で示す)
として、TAを70モル%以上含むものが用いられる。TAが
50モル%以下では、繊維の品質、工程性が良好でなく、
またコスト的にも適当でない。経済性から、TAとIPAの
成分量は90モル%以上が好ましい。
一方、IPA成分があまり多くなりすぎると、結晶化度
が低くなると同時に結晶化速度も極端に遅くなり、接着
繊維を製造する上での工程上のトラブルが頻発してくる
ため好ましくない。
本発明で明らかになつたポリマー物性(結晶融解熱、
最短結晶化時間)を維持するためには、適切なIPA共重
合である必要である。
さらに本発明の共重合ポリエステルは、BDまたはHDが
70モル%以上、望ましくは75モル%以上、さらに好まし
くは80モル%以上のものが用いられる。70モル%以下で
は物性的に好ましくなく、やはり繊維の品質、工程性が
低下し、またコスト的にも適当ではない。IPAを用いる
ことは、経済性からも、重合設備上からも、生産効率上
からも非常に好都合であるが、IPAは分子構造が非対称
構造であるためにポリマーの結晶性を低下させやすい。
このため、目的とする接着繊維を製造するための本発明
のポリマー物性、つまり結晶融解熱、最短結晶化時間を
維持するためには、IPAの結晶性低下をカバーできるグ
リコール成分がHDあるいはBDを主成分とする必要があ
る。
また本発明の共重合ポリエステルは、EG,BGおよびHD
を除く脂肪族および/または脂環族共重合成分を20モル
%以下である方が好ましく、0モル%でもかまわない。
20モル%以上では、工程性が低下する傾向があり、高度
の工程安定性確保の点より好ましくない。
EG,BDおよびHD以外の脂肪族および/または脂環族共
重合成分は、融点あるいは硬さは低下させるが、結晶性
低下がなるべく小なるものが好ましく、嵩高な側鎖を有
しない対称性のものが望ましいが、共重合量、目的とす
る物性によつては、必ずしもこれに限定されるものでは
ない。
その具体的例としては、アジピン酸、セバチン酸、ヒ
ドロキシ酢酸、トリメチレングリコール、ペンタメチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジ
メタノールおよびプロピレングリコール、ネオペンチル
グリコール等がある。
本発明の繊維に用いられる共重合ポリエステルは上記
の組成条件をすべて満足することが必要であるが、さら
に商業的生産レベルでの繊維および不織布製造工程安定
性および接着繊維、不織布としての品質を確保するため
には、以下の物性も適切でなければならない。
すなわち、本発明の共重合ポリエステルは、融点が90
〜200℃、望ましくは90〜185℃、さらに好ましくは100
〜170℃のものが用いられる。90℃未満では、繊維また
は不織布の耐熱性等が不足であり、実用性能が不良であ
る。一方、200℃を越えては、接着に高温を要し、従来
の装置が使用不可能であつたり、あるいは高温処理装置
を使用したとしても成形物が変形したり、風合が悪化
し、またエネルギーの損失が多いので好ましくない。
また本発明の共重合ポリエステルは、結晶融解熱(Δ
Hu)が2.0cal/g以上、望ましくは2.5cal/g以上、さらに
好ましくは3.0cal/g以上のものが用いられる。2.0cal/g
未満では繊維製造時に膠着が起り易く好ましくない。Δ
Huの測定は、融解ポリマーより微細な繊維状または薄膜
フイルム小片として取り出して冷却し、3日以上室温で
放置した試料を差動走査熱量計(DSC)にかけ、窒素中1
0℃/分の速度で昇温し、融解時の吸熱ピークの面積よ
り求めて行なう。
さらに、本発明の共重合ポリエステルは、最短結晶化
時間(CTmin.)が90秒以内、望ましくは70秒以内、さら
に好ましくは50秒以内のものが用いられる。90秒を越え
ては繊維製造時に膠着が起り好ましくない。
CTmin.とは、溶融状態より所定温度のシリコン浴また
は水浴中に投入した、実質的に無配向のフイルム微小片
を該浴中で放置し、白化を開始する時間を結晶化開始時
間とし、0〜120℃の温度範囲での結晶化開始時間が最
も短い温度での結晶化開始時間である。CTmin.を求める
には、浴中に投入せず、空気中で放置してもよいが、浴
中の方が熱交換速度が大であり、冷却過程の影響を小と
できるので好ましく、本発明では、浴中での値を採用す
る。CTmin.を求めるには、温度を変えてCTmin.そのもの
を測定することは必ずしも必要でなく、0〜120℃の範
囲のある温度での結晶化時間が90秒以内であることが十
分条件である。CTmin.を示す温度は0℃近くの場合もあ
り、また120℃近くのこともある。実際の繊維製造工程
での結晶化時間は温度履歴等により異なるが、CTmin.を
示す温度に設定すると工程での結晶化速度が速くなるこ
とは当然である。また、紡糸時のごとく繊維に配向がか
ゝると結晶化速度が大となる場合があるが、本発明に定
義するCTmin.をもつて工程性と関連した尺度とすること
ができる。
鞘ポリマーとなる共重合ポリエステルの二次転移点が
室温より低い場合は、結晶化速度ができるだけ速い方が
良い。紡糸時に捲き取るまでに配向結晶化が進んでいな
ければ、単繊維間の膠着等のトラブルが発生し好ましく
ない。
本発明は、適切なポリマー組成の適切なポリマー物性
を有した結晶性共重合ポリエステル中に適切な親水化剤
を含有せしめることにより初めて、耐久親水性を有す熱
融着性繊維が可能になつた。
本発明の共重合ポリエステル中には、少量の添加剤、
たとえば、酸化防止剤、螢光増白剤、安定剤あるいは紫
外線吸収剤などを含んでいてもよい。
また、本発明の共重合ポリエステルは、本発明で限定
した組成条件を満足する範囲内で、他の共重合成分を含
んでいてもよい。
本発明の共重合ポリエステルよりなる繊維および該繊
維よりつくられる繊維集合体、不織布は、それに最も適
した固有の機械、装置を用いて製造するのが好ましい
が、従来使用されてきた機械・装置をあまり変えずに製
造することができる。また従来の機械・装置が使用可能
であるように繊維を特定化した点も本発明の大きな意義
の一つである。
本発明の繊維は、ポリオキシアルキレングリコールと
スルホン酸アルカリ金属塩誘導体を含有した上記共重合
ポリエステルを鞘成分として、他の溶融紡糸可能なポリ
マーを芯成分とした複合繊維として用いる。熱接着性か
つ耐久親水性不織布としての目的と良好な繊維工程性を
維持させるためには、複合繊維構造とすることがベスト
であることがわかつた。
他の複合紡糸成分としては融点150℃以上の熱可塑性
ポリマーが用いられ、その例としては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン
−6、ナイロン6,6、ポリプロピレン等がある。接着繊
維として十分な目的を達成させるためには、複合繊維断
面の全周長に対するポリアルキレンエーテル及びスルホ
ン酸金属塩誘導体含有共重合ポリエステル成分の占める
割合、すなわち繊維断面周率は50%以上が好ましい。こ
の際、接着繊維の形態安定性を重視する場合には他の複
合紡糸成分は接着処理温度より融点が高い熱可塑性ポリ
マーを使用する必要があることは言うまでもない事であ
る。
本発明の芯鞘型複合繊維の複合する形態として断面形
状の具体的な例を図で説明すると、第1図の如き完全芯
鞘型複合繊維、第2、3、5図の如き芯成分が異形形状
の芯鞘型複合繊維、第4図の如き多芯鞘型複合繊維、第
6図の如き偏心芯鞘型複合繊維、第7、10図の如き異形
断面芯鞘複合繊維、第8図の如き貼合せ型複合繊維、第
9図の如き多層型貼り合せ複合繊維、第11図の如き多層
型貼り合せの変形タイプの複合繊維等も含まれる。第1
図〜第11図中の(イ)成分はポリオキシアルキレングリ
コールおよびスルホン酸金属塩誘導体含有共重合ポリエ
ステルであり、(ロ)成分は融点150℃以上の熱可塑性
ポリマーである。繊維断面周長の約50%以上を(イ)成
分ポリマーで占めることが望ましい。50%未満では本発
明の目的の良好な耐久親水性と熱接着性繊維が得られに
くいので好ましくない。鞘成分と芯成分の複合比率は80
対20〜20対80重量%の範囲にする必要がある。鞘成分が
20重量%未満になると、本発明の目的とする良好な親水
性と良好な熱接着性が不十分となつてくるため好ましく
ない。また、80重量%を越えると、繊維物性、特に糸強
度が低下してくるため好ましくない。
本発明の繊維はポリオキシアルレングリコール及びス
ルホン酸金属塩誘導体含有共重合ポリエステルと他ポリ
マーとの複合繊維のみよりなる融着処理繊維集合体とし
ても用いられるが、該繊維を10重量%以上含む他繊維と
の混合融着処理繊維集合体としても用いられる。
繊維集合体として特に20〜100mmに切断したものは乾
式用不織布バインダーとして、又3〜10mmに切断したも
のは湿式用不織布バインダーとして好適であり、強度が
大きく、耐久親水性を有しかつ耐湿熱性のある不織布を
得ることができる。なかでも混合繊維として、ポリエチ
レンテレフタレートあるいはポリブチレンテレフタレー
トのごときテレフタル酸を成分として含むポリエステル
の場合には、接着繊維間のみならずテレフタル酸系ポリ
エステルとの間の接着も良好であり、強度の大きい不織
布とすることができる。従来テレフタル酸系ポリエステ
ルに接着する繊維がなく、良好なポリエステル系不織布
の製造を可能とし、なおかつコスト的に低コストで製造
を可能とした点で本発明の意義は大である。
また混合繊維として、木材パルプやレーヨンあるいは
ビニロン等の如き親水性素材を用いた場合には、その親
水性を阻害しないばかりかより積極的に発揮させること
が出来る。
本発明でいう融着処理繊維集合体は種々の用途に対す
る広い種類の不織布に有用であるが、特に湿式不織布用
に顕著な効果を発揮することが非常に大きな特徴であ
る。具体的な用途としては、例えば、親水性を必要とす
る衛生材用途などが好適である。
本発明で言う耐久親水性の評価は、次のように水滲透
性と水通過性の二つの方法により実施した。水滲透性
は、所定条件で作成した評価用紙を第12図に示す如く、
ビューレット中から水を1滴滴下し、紙上に落下した水
滴が吸収され光を当てた時の光沢がなくなつた時間を肉
眼で判定した。
また、水通過性については、第13図で示す如くコツト
ンリンターパルプ上に測定する評価用紙を乗せ、同様の
方法によりビユーレツト中から水滴を1滴滴下し、紙上
に落下した水滴の集合状態がなくなるまでの時間を肉眼
で測定した。水滲透性と水通過性の二つの方法で目付20
〜80g/m2までの紙を評価した。
耐久性については、試験紙をJIS L0217−103法に従つ
て洗たくを10回くりかえし、10回後の水滲透性測定及び
水通過性測定を行なつて性能を評価した。
また実施例中の固有粘度(η)とは、共重合ポリエス
テルをフエノールとテトラクロルエタンの等重量混合溶
剤中、30℃で測定した極限粘度(dl/g)である。
また共重合ポリエステルの融点(m・p)は微量融点
測定装置により熱板上の試料の偏光が消失する点、また
は流動点を求めたものである。
次に本発明を実施例により説明するが、これによつて
本発明はなんら限定されるものではない。
実施例1 重縮合反応装置を用い常法により260℃で重縮合反応
を行ない、TA90モル、IPA10モル、1,6ヘキサンジオール
100モルよりなる共重合ポリエステルを製造し、重合末
期に重合度11000のポリエチレングリコールとドデシル
ベンゼンスルホン酸ソーダを2/1に混合したものを共重
合ポリエステル中に混合物で3重量%となるよう、すな
わちポリエチレングリコール2重量%、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ソーダ1重量%となるよう添加し、重合器
中で混合攪拌した。その後重合器底部よりシート状に水
中に押し出し、シート・カツターを用いて切断しペレツ
ト化した。押し出し、切断調子は良好であり、良好な形
状のペレツトを得た。添加剤を含有させない共重合ポリ
エステルの物性は、〔η〕0.90、m・p133〜135℃、Δ
H約8.0cal/g、90℃での結晶化時間約10秒であつた。得
られたペレツトを真空乾燥器中100℃で乾燥した。
ついで、該共重合ポリエステルを鞘とし、〔η〕0.67
のポリエチレンテレフタレートを芯として、芯/鞘=50
/50重量比で第1図の断面の芯鞘複合紡糸を行なつた。
紡糸ヘツド温度290℃で押し出し600m/分で巻取つた。巻
取つた繊維は単繊維間および繊維束間での膠着はほとん
どなく、長時間安定に紡糸を行なうことができた。押出
機中での鞘成分のペレツト移送性は良好で問題なかつ
た。この紡糸原糸を水浴中70℃で4.2倍に延伸し、続い
て水浴中95℃で8%収縮させ、繊度2.0dr、強度3.5g/
d、伸度43%の繊維を得た。延伸工程での単糸間の膠着
などのトラブルはなかつた。
得られた該延伸糸を繊維長5mmにカツトしたもの70重
量部とポリエチレンテレフタレート繊維(2dr×5mm)30
重量部を混合した後、角型タピー抄紙機で混抄し繊維紙
を作成した。その後ヤンキードライヤー型のフエロ板熱
円筒上で140℃、1分間乾燥し、接着して坪量20g/m2、4
0g/m2、80g/m2の手抄き紙をそれぞれ作製した。いずれ
の場合も粘着のトラブルなどなく容易に抄紙することが
でき、かつ実用に耐えうるだけの十分な強力を保持して
いた。
つづいて親水性の評価を実施したところ、水滲透性、
水通過性は表1に示す結果となり、比較例1と比較して
初期性能のみならずすばらしい耐久親水性を有している
ことがわかつた。
比較例1 実施例1とは親水化剤を含有しない点のみが異なる共
重合ポリエステルを製造した。
ついで、該共重合ポリエステルを鞘として、〔η〕0.
67のポリエチレンテレフタレートを芯として、芯/鞘=
50/50重量比で第1図の断面の芯鞘複合紡糸を行なつ
た。紡糸ヘツド温度290℃で押し出し600m/分で巻取つ
た。得られた紡糸原糸を実施例1と同様の方法により延
伸し、その後同様の条件で試験紙を作成した。
つづいて親水性の評価を実施したところ、表1に示す
結果が得られ不十分であつた。
注)洗たくは、JIS L0217−103法に従つて実施。液温40
℃の水1に2gの割合で衣料用合成洗剤を添加溶解し、
洗たく液とする。この洗たく液に浴比が1対30になるよ
うに試料及び必要に応じて負荷布を投入して運転を開始
する。5分間処理した後、運転を止め、試料及び負荷布
を脱水機で脱水し、次に洗たく液を常温の新しい水に替
えて同一の浴比で2分間すすぎ洗いをした後脱水し、再
び2分間すすぎ洗いを行い風乾させる。以上の操作を10
回くりかえし10回後の測定サンプルとした。
実施例2〜12 実施例1と同一のポリマー組成の共重合ポリエステル
を用い、表2に掲げる条件でテストを実施し、結果を示
した。実施例2、3は親水化剤の添加量を変更した。実
施例4、5は芯鞘複合比を変更してテストした。実施例
6、7は抄紙条件、即ち、混抄繊維のポリエチレンテレ
フタレート繊維の混抄率を変更して実施した。実施例8
〜10は繊維断面形状を変更してテストした。実施例11は
芯成分ポリマーにポリブチレンテレフタレートを用い、
実施例12はナイロン6を用いて実施した。いずれも繊維
化工程性良好で、かつ試験紙の強力の目安である裂断長
も大きく、しかも親水性能も洗たく10回処理後でも良好
なレベルが維持されていることがわかつた。
実施例13 重縮合反応装置を用い常法により260℃で重縮合反応
を行ない、TA90モル、IPA10モル、1,6ヘキサンジオール
100モルよりなる共重合ポリエステルを製造し、重合末
期に平均分子量15000のエチレンオキシドとプロピレン
オキシドが75対25重量%のランダム共重合体である、ポ
リアルキレンエーテルを2重量%、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ソーダを1重量%、ヒンダートフエノール系酸
化防止剤0.1重量%となるよう添加し、重合器中で混合
攪拌した。その後、重合器底部よりシート状に水中に押
し出し、シート・カツターを用いて切断しペレツト化し
た。押し出し、切断調子は良好であり、良好な形状のペ
レツトを得た。その後、実施例1と全く同様の方法によ
り試験紙を作成した。紙強度は十分な裂断長を有し、か
つ親水性も良好な結果が得られた。
実施例14 重縮合反応装置を用い常法により260℃で重縮合反応
を行ない、TA90モル、IPA10モル、1,6ヘキサンジオール
100モルよりなる共重合ポリエステルを製造し、重合末
期に重合度11000のポリエチレングリコールと炭素数がC
12〜C15のアルキルスルホン酸ソーダを2/1に混合したも
のを、共重合ポリエステル中に混合物で3重量%となる
よう、すなわちポリエチレングリコール2重量%、アル
キルスルホン酸ソーダ1重量%となるよう添加し、重合
器中で混合攪拌した。その後、重合器底部よりシート状
に水中に押し出し、シート・カツターを用いて切断しペ
レツト化した。押し出し、切断調子は良好であり、良好
な形状のペレツトを得た。その後、実施例1と同様の方
法により試験紙を作成した。紙強度は十分な裂断長を有
し、かつ親水性も良好な結果が得られた。
実施例15〜19 実施例15は重縮合反応装置を用い常法により280℃で
重縮合反応を行ない、TA70モル、IPA30モル、1,4ブタン
ジオール100モルよりなる共重合ポリエステルを製造
し、重合末期に重合度11000のポリエチレングリコール
とドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを2/1に混合した
ものを、共重合ポリエステル中に混合物で3重量%とな
るよう、すなわちポリエチレングリコール2重量%、ド
デシルベンゼンスルホン酸ソーダ1重量%となるよう添
加し、重合器中で混合攪拌した。その後、重合器底部よ
りシート状に水中に押し出し、シート・カツターを用い
て切断しペレツト化した。押し出し、切断調子は良好で
あり、良好な形状のペレツトを得た。
実施例16は、実施例1と同様の方法によりTA83モル、
IPA17モル、EG25モル、1,4−ブタンジオール75モルより
なる共重合ポリエステルを製造し、その後、同様の親水
化剤を同一添加量加えた。ペレツト化は問題なく、良好
な形状のペレツトを得た。
実施例17は、TA100モル、1,6ヘキサンジオール90モ
ル、ジエチレングリコール10モルのポリマーを作成し、
その後同様の親水化剤を用い、同添加量加えてペレツト
を作成した。その後、実施例1と全く同様の方法により
試験紙を作成した。紙強力は十分な裂断長を有し、かつ
親水性も良好な結果が得られた。
実施例18は、TA90モル、セバシン酸10モル、1,6ヘキ
サンジオール100モルのポリマーを作成し、その後同様
の親水化剤を用い、同添加量加えてペレツトを作成し
た。その後、実施例1と全く同様の方法により試験紙を
作成した。紙強力は十分な裂断長を有し、かつ親水性も
良好な結果が得られた。
実施例19は、TA100モル、1,4ブタンジオール20モル、
1,6−ヘキサンジオール80モルのポリマーを作成し、そ
の後同様の親水化剤を用い、同添加量加えてペレツトを
作成した。その後、実施例1と全く同様の方法により試
験紙を作成した。紙強力は十分な裂断長を有し、かつ親
水性も良好な結果が得られた。
〔比較例2〕 重縮合反応装置を用い常法により260℃で重縮合反応
を行ない、TA90モル、IPA10モル、1,6ヘキサンジオール
100モルよりなる共重合ポリエステルを製造し、重合末
期に重合度11000のポリエチレングリコールとドデシル
ベンゼンスルホン酸ソーダを2/1に混合したものを、共
重合ポリエステル中に混合物で0.15重量%となるよう、
すなわちポリエチレングリコール0.1重量%、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ソーダ0.05重量%となるよう添加
し、重合器中で混合攪拌した。その後、重合器底部より
シート状に水中に押し出し、シート・カツターを用いて
切断しペレツト化した。押し出し、切断調子は良好であ
り、良好な形状のペレツトを得た。得られたペレツトを
真空乾燥器中100℃で乾燥した。
ついで、該共重合ポリエステルを鞘とし、〔η〕0.67
のポリエチレンテレフタレートを芯として、芯/鞘=50
/50重量比で第1図の断面の芯鞘複合紡糸を行なつた。
紡糸ヘツド温度290℃で押し出し600m/分で巻取つた。巻
取つた繊維は単繊維間および繊維束間での膠着は全くな
く長時間、安定に紡糸を行なうことができた。押出機中
での鞘成分のペレツト移送性は良好で問題なかつた。
この紡糸原子を水浴中70℃で4.2倍に延伸し、続いて
水浴中95℃で8%収縮させ、繊度2.0dr、強度3.5g/d、
伸度43%の繊維を得た。
得られた該延伸糸を繊維長5mmにカツトしたもの70重
量部とポリエチレンテレフタレート繊維(2dr×5mm)30
重量部を混合した後、角型タピー抄紙機で混抄し繊維紙
を作成した。その後ヤンキードライヤー型のフエロ板熱
円筒上で120℃、1分間乾燥し、接着して坪量20g/m2、4
0g/m2、80g/m2の手抄き紙を作製した。いずれの場合も
粘着のトラブルなど容易に抄紙することができ、かつ実
用に耐えうるだけの十分な強力を保持していたが、親水
性能力が不十分であつた。
比較例3 重縮合反応装置を用いた常法により260℃で重縮合反
応を行ない、TA90モル、IPA10モル、1,6−ヘキサジオー
ル100モルよりなる共重合ポリエステルを製造し、重合
末期に重合度11000のポリエチレングリコールとドデシ
ルベンゼンスルホン酸ソーダを2/1に混合したものを共
重合ポリエステル中に混合物で22.5重量%となるよう、
すなわちポリエチレングリコール15重量%、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ソーダ7.5重量%となるよう添加し、
重合器中で混合攪拌した。その後、重合器底部よりシー
ト状に水中に押し出し、シート・カツターを用いて切断
しペレツト化した。押し出し、切断調子は不良であり、
ペレツト間の膠着がかなり認められた。
該共重合ポリエステルを鞘とし、〔η〕0.67のポリエ
チレンテレフタレートを芯として、芯/鞘=50/50重量
比で第1図の断面の芯鞘複合紡糸を行なつたところ、鞘
成分の粘度低下が激しく、安定な複合紡糸を行なうこと
ができなかつた。
比較例4 実施例1と同一の方法により重縮合反応装置を用い常
法により260℃で重縮合反応を行ない、TA90モル、IPA10
モル、1,6−ヘキサンジオール100モルよりなる共重合ポ
リエステルを製造し、重合末期に重合度11000のポリエ
チレングリコールとドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
を2/1に混合したものを、共重合ポリエステル中に混合
物で3重量%となるよう、すなわちポリエチレングリコ
ール2重量%、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1重
量%となるよう添加し、重合器中で混合攪拌した。その
後、重合器底部よりシート状に水中に押し出し、シート
・カツターを用いて切断しペレツト化した。
ついで、該共重合ポリエステルを鞘とし、〔η〕0.67
のポリエチレンテレフタレートを芯として、芯/鞘=10
/90重量比で第1図の断面の芯鞘複合紡糸を行なつた。
複合比率が不安定で単糸切れ、断糸が頻発し、評価試料
が得られなかつた。
比較例5 実施例1と同様の方法により共重合ポリエステルを
得、その後複合比率を芯/鞘=90/10重量比に変更した
以外は実施例1と同様の方法により繊維化し、試験紙を
作成した。紙強力も親水性能も不十分なものであつた。
〔比較例6,7〕 それぞれ第2表記載の共重合ポリエステルを鞘とし、
実施例1と同様にして芯・鞘複合紡糸を行なつたが、い
ずれも単繊間に膠着が認められ、繊維束間にも膠着が発
生した。そのため、評価できるような良好な紙が得られ
なかつた。
比較例8 常法により重縮合反応を行ない、TA82モル、IPA18モ
ル、EG100モルよりなり、〔η〕0.76、ΔH1.0cal/g、の
共重合ポリエステルを製造し、実施例1と同様の親水化
剤を同量添加し、その後ペレツトを得た。このペレツト
を実施例1と同じ方法により紡糸し紡糸原子を得た。つ
いで延伸、収縮を行ない、繊度2.0dr、強度4.5g/dr、伸
度30%の繊維を得た。工程性は良好で特にトラブルはな
く、また単繊維間および繊維束間での膠着は認められな
かつた。
しかしながら実施例1と同様にして試験紙を作成した
ところ、親水性能はまあまあ良好であつたが裂断長が0.
1Kmと非常に強力の低いものであつた。
実施例20、比較例9 実施例1と同様の方法により、ポリエチレングリコー
ル2重量%、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1重量
%を含有する共重合ポリエステルを製造し、該共重合ポ
リエステルを鞘、〔η〕0.67のポリエチレンテレフタレ
ートを芯として、芯/鞘重量比50/50のポリエステルバ
インダー繊維をつくり、この繊度2.0dr、繊維長5mmのカ
ツトフアイバーを得た。該カツトフアイバー70重量部と
親水性レイヨン(PB1505)繊度1.5dr、繊維長5mmのカツ
トフアイバー30重量部を混合した後、角型タピー抄紙機
で混抄し、繊維紙を作成した。その後、ヤンキードライ
ヤー型のフエロ板熱円筒上で120℃、1分間乾燥し、接
着して坪量20g/m2、40g/m2、80g/m2の手抄き紙を作製し
た。いずれの場合も粘着のトラブルなどなく、容易に抄
紙することができ、かつ実用に耐えうるだけの十分な強
力を保持していた。
また比較例として、上記バインダー繊維で上記親水化
剤ポリエチレングリコールとドデシルベンゼンスルホン
酸ソーダを含有しない点のみが異なるバインダー繊維を
製造し、上記実施例と同じく親水化レイヨンと混抄して
試験紙を得た。
この両者の紙の親水性の評価を実施したところ、水滲
透性、水通過性は表3に示す結果となり、本願実施例の
場合、初期性能のみならずすばらしい耐久親水性を有し
ていることがわかる。
またこの比較例8から、バインダー繊維と混抄する繊
維が親水性繊維であつても、バンイダー繊維が親水性で
ない場合には、得られる紙の親水性は初期性能から悪い
ことが示される。
(発明の効果) 以上本発明は、特定のポリマー組成及びポリマー物性
を有した結晶性共重合ポリエステルを用い、しかも該結
晶性共重合ポリエステル中へ特定の親水化剤を含有せし
めることにより、耐久性のある良好な親水性と、殊に、
ポリエステル繊維に対して良好な熱融着を有する耐久親
水性熱融着性複合繊維及び該複合繊維を一部又は全部使
用した不織布を工程性のトラブルなく提供することにあ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第11図は本発明の熱融着性複合繊維の複合形態
のモデル図である。第12図、第13図は、それぞれ水滲通
性および水通過性の評価方法を実施する概略説明図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−250278(JP,A) 特開 昭62−250260(JP,A) 特開 昭63−175119(JP,A) 特開 昭63−159524(JP,A) 特開 昭57−101018(JP,A) 特公 昭61−6883(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子量ポリオキシアルキレングリコール
    を0.2〜10.0重量%、スルホン酸アルカリ金属塩誘導体
    を0.1〜5.0重量%それぞれ含有し、酸成分が実質的にテ
    レフタル酸成分とイソフタル酸成分とからなりテレフタ
    ル酸成分が70モル%以上であり、グリコール成分は1,6
    −ヘキサンジオールまたは1,4−ブタンジオールが70モ
    ル%以上であるポリマー組成からなり、融点が90〜200
    ℃、結晶融解熱が2.0cal/g以上、最短結晶化時間が90秒
    以内である結晶性ポリエステルを鞘成分とし、融点150
    ℃以上の熱可塑性ポリマーを芯成分とし、該鞘成分と芯
    成分の比率が20対80〜80対20重量%であることを特徴と
    する耐久親水性の熱融着性複合繊維。
JP63242127A 1988-09-26 1988-09-26 耐久親水性の熱融着性複合繊維 Expired - Fee Related JP2506419B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63242127A JP2506419B2 (ja) 1988-09-26 1988-09-26 耐久親水性の熱融着性複合繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63242127A JP2506419B2 (ja) 1988-09-26 1988-09-26 耐久親水性の熱融着性複合繊維

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0291219A JPH0291219A (ja) 1990-03-30
JP2506419B2 true JP2506419B2 (ja) 1996-06-12

Family

ID=17084704

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63242127A Expired - Fee Related JP2506419B2 (ja) 1988-09-26 1988-09-26 耐久親水性の熱融着性複合繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2506419B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04166123A (ja) * 1990-10-31 1992-06-12 Kuraray Co Ltd ワイピングクロス
JP2009046633A (ja) * 2007-08-22 2009-03-05 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル樹脂
CN103224478B (zh) * 2013-04-25 2015-08-05 中国科学院长春应用化学研究所 间苯二甲酸二四氢糠酯-5-磺酸及其盐、制备方法及应用与聚乳酸树脂
CN110670159A (zh) * 2019-09-30 2020-01-10 安徽农业大学 一种高吸湿再生pet纤维长丝制备工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0291219A (ja) 1990-03-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101421317B1 (ko) 습식 부직포 및 필터
KR101321738B1 (ko) 설포폴리에스터 및 이를 포함하는 다성분 압출물 및 섬유 제품
KR101362617B1 (ko) 다성분 섬유로부터 제조된 부직물
JP5813747B2 (ja) カチオン可染ポリエステル繊維及び複合繊維
JP2506419B2 (ja) 耐久親水性の熱融着性複合繊維
JP2506413B2 (ja) 耐久親水性を有する熱融着性複合繊維
JPH09268490A (ja) ポリエステル系耐熱湿式不織布およびその製造方法
JPS6347806B2 (ja)
JP2006322090A (ja) バインダー繊維
JP4754060B2 (ja) 耐熱性を有する熱可塑性ポリビニルアルコール組成物、該組成物を含む繊維
JP2870712B2 (ja) 耐久親水性に優れた熱融着性複合繊維
JPH0491224A (ja) 吸水性能の優れた複合繊維および不織布
JP2870711B2 (ja) 耐久親水性を有する熱融着性複合繊維
JPH04174719A (ja) 複合繊維
JPH0130926B2 (ja)
JP3756849B2 (ja) 複合繊維
JP4302281B2 (ja) 熱可塑性ポリビニルアルコール繊維
JP3756857B2 (ja) 複合繊維
JP6534885B2 (ja) 延伸ポリエステル主体繊維および該繊維を含む繊維構造体
JP6110144B2 (ja) 湿式不織布用ショートカット複合繊維
JP2807041B2 (ja) 熱接着性複合繊維
JPS63165516A (ja) 水可溶性のポリエステル繊維
JPH09310293A (ja) 生分解性湿式不織布及びその製造方法
JP5063148B2 (ja) 抗菌性を有する熱接着性ポリエステル長繊維
JP2012207313A (ja) 常圧可染性複合繊維

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees