JP2870711B2 - 耐久親水性を有する熱融着性複合繊維 - Google Patents

耐久親水性を有する熱融着性複合繊維

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた親水性を有する
熱接着性複合繊維に関するものであり、その目的とする
ところは、特に耐久性に高度に優れた親水性を有し、し
かも安全性も問題とならないポリエステル系熱接着性複
合繊維を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】繊維間熱融着により不織布等を製造する
ための熱接着性複合繊維は従来より知られている。例え
ばポリエチレンを接着成分とするポリエチレン−ポリプ
ロピレン複合繊維、共重合ナイロンを接着成分とするポ
リプロピレンとの複合繊維、あるいはエチレン−ビニル
アルコール共重合体を接着成分とするポリエチレンテレ
フタレートとの複合繊維等がある。
【0003】近年、繊維分野特に不織布分野でポリエチ
レンテレフタレートを代表とするポリエステル繊維の役
割が大きくなり、生産効果、省エネルギー等の観点よ
り、熱接着により繊維集合体あるいは繊維製品、特に不
織布の要求が大となり、ポリエステル用の接着繊維が強
く望まれている。そこで、ポリエステルを接着相手とす
る共重合ポリエステル系熱融着性繊維が種々開発されて
いるが、得られるポリエステル系不織布に耐久性のある
親水性を付与出来るポリエステル系熱融着性繊維に関し
ては、今だ開発されていない。
【0004】特に最近ベビーおむつやおむつライナー、
生理用品などの衛生材料分野や、外食産業向けのカウン
タークロス、台所用品の流し台の水切り袋などの非衛生
材料分野や、シップ薬の基布や固定用シート、病院用手
術衣、マスク等のメデイカル分野などに、不織布が広く
使用されてきている。これらの多くの不織布製品の中
で、特にベビーおむつや生理用品などのものについて
は、従来のもの以上に耐久性のある親水性能が求められ
ていた。しかるに今迄のものは、親水化油剤等による表
面処理の後加工方法によるものがほとんどで、これは初
期性能はあっても、ある程度使用した場合に表面油剤が
脱落し、性能が極端に低下するものが多かった。
【0005】その中でも、おむつの表面材や生理用パッ
トの表面材の湿式用不織布用途では、製造工程上必ず水
中での抄紙工程を経るため、繊維表面への親水化剤のコ
ーティング方法では抄紙時に該親水化剤が脱落してしま
い、最終製品では十分な性能が保持されていないものし
か得られない。また木材パルプやレーヨン等の親水性素
材を混抄混綿した場合、熱融着性繊維が疎水性であって
は、得られる不織布、あるいはシートの親水性が失われ
てしまうという問題がある。
【0006】また、最近親水化剤であるポリオキシアル
キレングリコールとスルホン酸金属誘導体を変性ポリエ
ステル中へ練込んで耐久性のある吸液−保液性を付与す
る試みが提案されている。しかしながら、スルホン酸金
属誘導体等を含有させた変性ポリエステル繊維で構成さ
れたウエットワイプ用不織布などは、含水アルコールな
どの湿潤剤へ浸漬させると繊維中へ練込まれたスルホン
酸金属誘導体などが大量に溶出する問題点があった。該
不織布を使用した場合、被払拭物を汚染したり、身体に
使用する場合衛生上と安全性の問題が生じたりした。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
エステル繊維に熱接着するポリエステル系熱接着性繊維
の性能を維持しつつ、得られた乾式不織布及び湿式不織
布のいずれに対しても、水洗あるいは温水で洗濯等を行
なった後であっても実質的に親水性が低下しない、親水
耐久性の極めて優れた熱融着性繊維を提供することにあ
る。更に、繊維中からの親水化剤の溶出が少なく、しか
も溶出物が人体に対して安全性の点で問題とならない耐
久親水性熱融着性繊維を提供するものである。
【0008】また本発明の他の目的は、木材パルプやビ
スコースレーヨンあるいはビニロンのような親水性素材
を用いて熱融着性繊維で不織布あるいはシートを得る場
合にも、該熱融着性繊維が親水性素材の親水性を阻害す
ることなく、親水性を発揮させることができる親水耐久
性の優れた熱融着性繊維を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の熱融着性繊維
は、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する基がポリアル
キレンポリアミン系骨格に結合した化合物であって、か
つ特定の条件を満たしている化合物を、所定量で、特定
のポリマーでかつ特定のポリマー物性を有している非晶
性の共重合ポリエステル中へ含有分散せしめ、該非晶性
共重合ポリエステルを鞘成分とし、融点150℃以上の
熱可塑性ポリマーを芯成分として、複合繊維とすること
を特徴とする耐久親水性を有する熱接着性複合繊維であ
る。
【0010】すなわち本発明は、下記〔A〕の化合物を
0.2〜20重量%含有し、下記〔B〕の単位からな
り、下記〔C〕の物性値を有するポリエステルを鞘成分
とし、融点150℃以上の熱可塑性ポリマーを芯成分と
し、かつ該鞘成分と該芯成分の重量割合が20:80〜
80:20である芯鞘型複合繊維である。
【0011】〔A〕 ポリアルキレンオキサイド鎖を有
する基がポリアルキレンポリアミン系骨格に結合した化
合物であって、かつHLBが6.0〜16.0の範囲
内、平均分子量が10000以上、アミン価が500以
下である化合物。 〔B〕 酸単位とグリコール単位からなり、該酸単位中
に占めるテレフタル酸単位の割合が40モル%以上、イ
ソフタル酸単位の割合が20モル%以上で、かつ該グリ
コール単位中に占めるエチレングリコール単位の割合が
75モル%以上であること。 〔C〕 二次転移点温度が50〜90℃、結晶融解熱が
実質的に0である非晶性ポリマーであること。
【0012】本発明をより具体的に説明すると、本発明
で用いる、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する基がポ
リアルキレンポリアミン系骨格に結合した化合物(以下
N−POA化合物と略称する)は公知である。たとえば
特開昭58−80391号公報には、同化合物が石炭ス
ラリーの分散剤として用いることができることが記載さ
れている。
【0013】N−POA化合物は、一般的な界面活性剤
の製法に従って製造することができる。たとえば苛性ソ
ーダ等のアルカリ触媒を含む加熱したポリアルキレンポ
リアミン系骨格化合物中へアルキレンオキサイドガスを
吹き込むことにより得ることができる。また骨格となる
ポリアルキレンポリアミン系化合物は、アルキレンポリ
アミン同志又はそれと尿素等の化合物を反応させること
により得ることができる。したがって、ポリアルキレン
ポリアミン系骨格化合物には、アルキレン基、アミノ
基、イミノ基以外の基、たとえばカルボニル基などが含
まれていてもよい。
【0014】N−POA化合物としては、後述する鞘成
分を構成するポリエステルとは実質的に反応性を有して
いないことが好ましい。ここで実質的に反応性を有しな
いことは、該ポリエステルとあまり共重合していないこ
とを意味する。N−POA化合物が該ポリエステルと反
応すると紡糸性が不良となるので好ましくない。すなわ
ちポリエステルの重合度を低下させ紡糸時の溶融粘度が
極端に低下することとなり、紡糸性が不安定となり断面
異常が発生し、その結果単糸切れ、断糸が多発してくる
とともに、連続運転が難しくなってくる。
【0015】なおポリアルキレンオキサイド鎖を有する
基は、ポリアルキレンポリアミン系骨格の窒素原子に結
合されているのが好ましい。したがって本発明で用いる
N−POA化合物は、アミノ基、イミノ基の水素原子の
実質的に全てがポリアルキレンオキサイド鎖を有する基
により置換されている場合も含んでいる。
【0016】N−POA化合物としては、分子量が1
0,000以上であることが必要であり、好ましくは1
0,000以上100,000以下である。分子量が低
すぎると鞘成分ポリエステルとの反応性が大きくなり前
述の問題点が発生してくる。また分子量が低すぎると、
ポリエステルと反応しなくても、相溶性が不良となり紡
糸時の曳糸性が不良となり、単糸切れ、断糸が多発して
くる。もちろん、分子量、アミン価、HLB値などの異
なる2種以上のN−POA化合物を併用してもよい。
【0017】N−POA化合物の好適な構造としては、
アミン部分、すなわちアミノ基やイミノ基にオキシエチ
レン単位とオキシプロピレン単位をランダム又はブロッ
ク状に共重合させたポリマーである。構造式の一例を次
に示す。
【化1】 ここでR↓1〜R↓7はポリアルキレンオキサイド鎖を有
する基または水素原子である。ただしR↓3に関して
は、上記(1)式より明らかなように、1分子中に
〔n〕×〔x〕個存在していることとなるが、これらは
同一である必要はない。また同様にR↓2,R↓4,R↓
5に関しても1分子中にそれぞれ〔x〕個存在している
こととなるが、これらR↓2,R↓4,R↓5もそれぞれ
同一である必要はない。骨格を形成するポリアミン分子
鎖のnは0〜10、特に0〜5が好ましい。nがあまり
大きくなると、本来のポリエステルの吸水性付与の練込
剤としての効果が十分でなくなってしまう。またxは1
〜20、特に1〜5が好ましい。xがあまり大きくなり
すぎると、紡糸時に繊維が着色しやすいこととなる。
【0018】R↓1〜R↓7のポリアルキレンオキサイド
鎖を有する基にはオキシエチレン単位とオキシプロピレ
ン単位が存在していることが必要であり(ただし、同一
の基内にオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位が
共存している必要はなく、すなわちあるポリアルキレン
オキサイド鎖を有する基にはオキシエチレン単位のみ
が、そして他のポリアルキレンオキサイド鎖を有する基
にはオキシプロピレン単位のみが存在していてもよ
い)、このオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位
の組成比によっては、親水性が低下してくる場合がある
ので、本発明の目的を阻害しない範囲でオキシエチレン
単位が主成分である方が好ましい。これの好適な範囲を
判断する目安としては、HLB値で判断するのが良い。
より好ましいポリアルキレンオキサイド鎖を有する基と
しては、N原子からオキシプロピレン単位(PO)がブ
ロック状に結合し、更にオキシエチレン単位(EO)が
ブロック状に結合した下記化2の構造が良い。
【0019】
【化2】
【0020】HLB値とは、界面活性剤の親水基と親油
基のバランスを現す方法として、1940年Criff
inが発表したHydrophileLipophil
e Balanceであるが、HLB値は、HLB値=
20×M↓H/Mで求められる。(M;界面活性剤の分
子量、M↓H;親水基部分の分子量)分子中の親水基の
量が0%のときをHLB=0、100%のときをHLB
=20とし、親水基と親油基が等量あるときはHLB=
10となる。本発明のN−POA化合物の場合は、親水
基としてオキシエチレン単位を親油基としてオキシプロ
ピレン単位をHLB値算出の基準とした。骨格のポリア
ルキレンポリアミン部分等は除いてHLB値を求める。
【0021】本発明で用いられるN−POA化合物のH
LB値の範囲は6.0〜16.0である。HLB値が1
6.0より高くなってしまうと、バインダーポリエステ
ル中へN−POA化合物を添加して繊維化した後の初期
の吸水性能は十分に発現するが耐久性が不十分となって
くる。特に、洗濯耐久性が不十分となり、洗濯後の吸水
性能が低下してくる。これは、N−POA化合物の親水
性の要素が強くなりすぎるために、洗濯時にバインダー
ポリエステル中に分散しているN−POA化合物が溶出
してしまい、その結果繊維としての吸水性能が低下して
しまうためと考えられる。一方、HLB値が6.0より
低くなってしまうと、N−POA化合物の疎水性の要素
が強くなりすぎてくるために、本来の、ポリエステルへ
の吸水性能の付与としては、満足のいくレベルまで到ら
ない。
【0022】ポリアルキレンオキサイド鎖を有する基の
末端は水酸基であっても、非エステル形成性有機基で封
鎖されていても、またはエーテル結合、エステル結合、
カーボネート結合等によって他のエステル形成有機基と
結合していてもよい。もちろん、前述したようにポリエ
ステルと共重合していない方が好ましいのではあるが、
ポリエステルの性能を大きく低下させない程度ならば共
重合していてもよく、このことより末端はエステル形成
性有機基であってもよい。また基内や基の根元部にもエ
チレンオキサイド単位、プロピレンオキサイド単位以外
の原子が存在していてもよい。
【0023】また、ポリアルキレンポリアミン骨格のす
べてのアミノ基、イミノ基にポリアルキレンオキサイド
鎖を有する基が結合している必要はなく、未反応のフリ
ーのアミノ基、イミノ基が存在していてもかまわない。
しかし、あまり沢山のフリーのアミノ基、イミノ基が存
在すると、人体に対する毒性が強くなるため好ましくな
い。特に、繊維中にN−POA化合物を添加し、人体の
肌に直接接触する用途などに用いる場合には皮膚障害性
の問題が発生してくるため注意する必要がある。このよ
うな点から、本発明のN−POA化合物のアミノ価とし
ては500以下が必要である。好ましくは100以下で
ある。なおアミノ価とは、1gの化合物を中和するのに
必要とする酸の量をKOHで換算したミリグラム数であ
る。
【0024】なお、N−POA化合物の骨格を構成する
ポリアルキレンポリアミン構造は、複数個のアルキレン
基と複数個の窒素原子を有しており、このアルキレン基
としてはエチレン基、プロピレン基等の低級アルキレン
基が一般的である。もし該骨格が一個のアルキレン基し
か有していない場合や一個のアミノ基又はイミノ基しか
有していない場合には、N−POA化合物はポリエステ
ルとの親和性が低くなり、本発明の目的は達成されな
い。
【0025】本発明で用いるN−POA化合物が熱融着
ポリエステル系複合繊維の耐久親水性を付与するのに極
めて優れている理由については必ずしも明確ではない
が、ポリアルキレンポリアミン骨格がバインダーポリエ
ステルとの親水性に優れ、側鎖のエチレンオキサイド単
位が親水性(濡れ性)に優れ、側鎖のプロピレンオキサ
イド単位がN−POAの耐溶出性と親水性をバランスさ
せるコントロール機能を有しており、この結果、良好な
水に対する濡れ性があっても、しかもそれが極めて耐久
性に優れていることとなるものと思われる。このこと
は、前一般式(1)においてポリアミン骨格に、側鎖
としてまずプロピレンオキサイド単位が付加し、その側
鎖の末端にエチレンオキサイド単位が付加している化合
物がN−POA化合物として最も好ましいことからも上
記予測が支持される。
【0026】今迄説明してきたN−POA化合物の鞘成
分を構成するポリエステルポリマー中の含有量は、0.
2重量%から20重量%の範囲である。0.2重量%未
満では目的とする吸水性が不十分である。20重量%を
越えると紡糸性が不良となる。また酸化防止剤を含んで
いてもかまわない。特に、芯成分にポリエチレンテレフ
タレート等の高融点のポリマーを用いて複合紡糸する場
合、紡糸温度が高くなるためポリオキシアルキレングリ
コール部分は酸化分解、熱分解を発生しやすくなるの
で、これを防ぐためにヒンダートフェノール系の酸化防
止剤を添加して繊維化することは有効である。
【0027】次に鞘成分に用いるポリエステルについて
具体的に説明する。ポリマー構成単位としては、全酸成
分(オキシ酸を含む場合にはその2分の1を酸成分、2
分の1をジオール成分とみなす)に占める共重合モル%
としてテレフタル酸が40モル%以上、イソフタル酸が
20モル%以上、全グリコール単位に占めるモル%とし
てエチレングリコールが75モル%以上であることから
なり、二次転移点温度が50℃〜90℃、結晶融解熱が
実質的に0cal/gである非晶性の共重合ポリエステ
ルであることが好ましい。
【0028】更に好ましくは、非晶性共重合ポリエステ
ル成分として、全酸成分に対する共重合モル%で、テレ
フタル酸(TA)が50モル%以上、イソフタル酸が3
0モル%以上、エチレングリコールが80モル%以上で
あり、さらに二次転移点温度が60〜90℃であるのが
望ましい。TAが40モル%未満では繊維の品質、工程
性が良好でなく、またコスト的にも適当でない。またイ
ソフタル酸の共重合量が20モル%未満では接着時の剥
離強度が低下してくるのみならず、本発明の特徴である
接着処理温度が200℃以下の低温接着性が低下してく
るので好ましくない。一方、60モル%を越えると繊維
製造時の工程性が低下してくるので不適当である。さら
にエチレングリコールの割合が75モル%未満では物性
的に好ましくなく、やはり繊維の品質、工程性が低下
し、またコスト的にも適当ではない。
【0029】さらに本発明の共重合ポリエステルは、上
記共重合成分のほかに、下記()()を満足する共
重合成分A,Bを融点調節剤として用いることができ
る。 0≦A+B≦25 ・・・・・() 0≦B↓W≦25 ・・・・・() 〔ここでA;テレフタル酸、イソフタル酸以外の芳香族
共重合成分 B;エチレングリコール以外の脂肪族および/または脂
環族共重合成分式()は全酸成分に対する共重合モル
%を、また式()はB成分原料を〔COOH〕および
/または〔OH〕型とした場合の生成共重合ポリエステ
ルに対する重量%をそれぞれ示す。〕
【0030】共重合成分Aとは、各種の芳香族系のジカ
ルボン酸、オキシ酸およびジオールが用いられるが、特
に芳香核を1個または2個有するものが使用される。A
の例としては、フタル酸、メチルテレフタル酸、オキシ
安息香酸、オキシエトキシ安息香酸、ジフェニルスルホ
ンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ナ
フタジカルボン酸、ビスフェノールA、p−キシリレン
グリコール等がある。
【0031】また上記共重合成分Bの具体例としては、
繊維あるいは不織布の接着処理温度が150℃以下の場
合には、接着繊維のポリマー流動性を適性に調整するた
めに、分子構造的に運動性の大きい、嵩高な鎖を有しな
い直線性の分子構造をもつ、アジピン酸、セバチン酸、
ペンタメチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール等が好適である。また繊維あるい
は不織布の耐熱性を大きくし、接着処理温度が150〜
200℃の比較的高温の場合には、150℃以下でのポ
リマーの流動性を抑制し、150〜200℃の所定温度
でのポリマーの流動性を最適に調整するため、嵩高な側
鎖を有した低温での分子運動性が少ない成分、例えばシ
クロヘキサンジメタノール、1,2−プロピレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール等を、目的に応じて25
モル%以下、望ましくは15モル%以下の範囲で用いら
れる。25モル%越えては工程性が低下する傾向があ
り、高度の工程性確保の点より好ましくない。どのよう
な共重合成分を選択し、共重合量を何モル%にするかの
設定は、目的とする繊維あるいは、不織布シートの使用
用途によって異なってくる。またB成分をエステル形成
基を〔COOH〕および/または〔OH〕基とした場合
の生成共重合ポリエステルに対する重量%としては、2
5重量%以下、望ましくは15重量%以下が用いられ
る。共重合量が25重量%を越えてはポリマーが柔軟と
なり、繊維製造工程性が低下するので好ましくない。本
発明においてA成分とB成分の合計が25モル%を越え
ると繊維製造工程性が低下するのみならずコスト的にも
好ましくない。
【0032】本発明の繊維に用いられる共重合ポリエス
テルは前記のテレフタル酸、イソフタル酸およびエチレ
ングリコールの組成条件を満足することが必要である
が、さらに商業的生産レベルでの繊維製造安定性および
接着繊維としての品質を確保するためには、二次転移点
および、結晶融解熱が適切でなければならない。
【0033】すなわち、本発明の鞘成分を構成する共重
合ポリエステルは、結晶融解熱(△H)が実質的に0で
ある非晶性ポリマーのものが用いられる。△Hが測定で
きるポリマーになってくると接着繊維としての品質が低
下し、特に剥離強度の低下が著しくなってくる。本発明
での△Hとは、溶融ポリマーより微細な繊維状または薄
膜フイルム小片として取出して冷却し、3日以上室温で
放置した試料を差動走査熱量計(DSC)にかけ、窒素
中、10℃/分の速度で昇温し、結晶領域の融解時の吸
熱ピークの面積より求める値であるが、本発明の鞘成分
を構成する共重合ポリエステルは非晶性であるため、結
晶領域の融解に基づく吸熱ピークは実質的に発生してこ
ない。従って△Hは実質的に0である。吸熱ピークが非
常にブロードになり明確に吸熱ピークを判断できない場
合は、実質的に吸熱ピークがなく、△Hは0と判断して
さしつかえない。また、△H値は同じポリマー構成であ
れば固有粘度の大小によって異なってくることはなかっ
た。結晶に基づく△Hの値があると実際に接着繊維とし
ての剥離強度が低下してきて好ましくない。また本発明
で用いるポリマーは実質的に非晶性ポリマーであるた
め、接着処理工程での熱処理過程において結晶化に伴な
う繊維収縮発生による形態変化の問題もない。しかも接
着処理にいたるまでの前工程での予熱処理が可能である
ため製品管理が容易であるばかりでなく、熱効率がいい
状態で運転可能となり、製品の寸法安定性等の良好な品
質のものが得られるのみならず、運転コスト的にも有利
である。
【0034】また本発明で用いる共重合ポリエステル
は、二次転移点が50℃〜90℃の範囲に入る必要があ
る。好ましくは60℃〜90℃の範囲が好適である。5
0℃未満になると極端に繊維製造工程性が悪化してくる
のみならず、製品の形態安定性が低下してくる。具体的
には工程性については、ポリマー製造時のペレット状に
切断する際のカッテング性が困難になつてくる。またミ
スカット率が高いにもかかわらずペレット化したものを
紡糸して繊維を製造しても、紡糸時の単糸間の膠着、融
着あるいは断糸が頻発してくる。さらに続いて延伸、捲
縮および切断等を行なう時にも膠着、融着が発生して良
好な繊維を得ることができない。ただし、延伸工程につ
いては、紡糸原糸の状態で目的とする接着繊維の性質を
十分に満たしている場合は省略しても、勿論さしつかえ
ない。二次転移点が50℃以上になると、ペレットの乾
熱温度、延伸温度等を適切に設定してやることにより、
商業生産性、操業生産性を満たす、長時間安定生産が可
能となる。二次転移点が90℃を越えても繊維製造にお
ける工程性は、特に悪化しないが、接着繊維としての品
質性能が低下してくる。特に150℃以下での低温接着
性能が著しく低下してくるので好ましくない。
【0035】特に、本発明は上記共重合ポリエステル中
に、N−OPA化合物を含有せしめるが、実質的に見か
けのポリマー二次転移点が低下する傾向があり、ポリマ
ー重合後のペレット化時のポリマー間の膠着及び繊維化
工程中の延伸工程中での単繊維間の膠着が発生する現象
が出るため、ポリマー二次転移点を50℃以上に保つこ
とを見いだしたものである。
【0036】ここで述べている二次転移点とは、東洋ボ
ールドウイン社製「バイブロン直読式動的粘弾性測定器
DDV−II−EA型」で温度分布とtanδの測定を
行い、tanδ測定値を基に動的損失弾性率(E”)を
求め、E”値が最大となった時の温度を二次転移点とし
た。この時の測定条件は駆動周波数110cpsで行
い、昇温速度は1℃/分で室温からスタートさせる。測
定試料の調整は、溶融ポリマーより巾5mm、長さ20
mm、厚さ0.2mmの薄膜フィルムを作製し、フィル
ム形成後ただちに冷却し3日以上室温で放置したものを
測定した。この時フィルムの厚さ斑があるとやや測定値
にバラツキが生じるため、別々に調整した5個の測定フ
ィルムをれぞれ測定し、5個の測定値の平均値を二次
転移点と定めた。またE”は、同じポリマー組成であれ
ば固有粘度の大小によって異なってくることはなかっ
た。
【0037】鞘成分を構成する共重合ポリエステル中に
は少量の添加剤、たとえば、酸化チタンなどの艶消し
剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、安定剤あるいは紫外線吸
収剤などを含んでいても良い。
【0038】本発明の繊維は、N−OPA化合物を含有
した上記共重合ポリエステルを鞘成分として、他の溶融
紡糸可能なポリマーを芯成分とした複合繊維である。熱
接着性かつ耐久親水性不織布としての目的と良好な繊維
工程性を維持させるためには、複合繊維構造とすること
がベストであることがわかった。
【0039】芯成分としては融点150℃以上の熱可塑
性ポリマーが用いられ、その例としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロ
ン−6、ナイロン−6,6,ポリプロピレン等の結晶性
の溶解紡糸可能なポリマーがある。接着繊維として十分
な目的を達成させるためには、複合繊維断面の全周長に
対するN−OPA化合物含有共重合ポリエステル成分の
占める割合、すなわち繊維断面周率は50%以上が好ま
しい。この際、接着繊維の形態安定性を重視する場合に
は芯成分としては接着処理温度より融点が高い熱可塑性
ポリマーを使用する必要があることは言うまでもない事
である。
【0040】本発明の芯鞘型複合繊維の複合する形態と
して断面形状の具体的な例を図で説明すると、図1の如
き完全一芯芯鞘型複合繊維、図2、図3、図5の如き芯
成分が異形形状の芯鞘型複合繊維、図4の如き多芯芯鞘
型複合繊維、図6の如き偏心芯鞘型複合繊維、図7、図
10の如き異形断面芯鞘型複合繊維、図8の如き貼合せ
型複合繊維、図9の如き多層型貼り合せ複合繊維、図1
1の如き多層型貼り合せの変形タイプの複合繊維等も含
まれる。図1〜図11中の(イ)成分はN−POA化合
物含有共重合ポリエステルすなわち鞘成分であり、
(ロ)成分は融点150℃以上の熱可塑性ポリマーすな
わち芯成分である。繊維断面周長の約50%以上を
(イ)成分ポリマーで占めることが望ましい。50%未
満では本発明の目的の良好な耐久親水性と熱接着性繊維
が得られにくいので好ましくない。鞘成分と芯成分の複
合比率は80対20〜20対80重量%の範囲にする必
要がある。鞘成分が20重量%未満になると、本発明の
目的とする良好な親水性と良好な熱接着性が不十分とな
ってくるため好ましくない。また、80重量%を越える
と、紡糸性、延伸性等の工程性が低下し、A格率が低下
してくるため好ましくない。
【0041】本発明の繊維はN−POA化合物含有共重
合ポリエステルと他ポリマーとの複合繊維のみよりなる
融着処理繊維集合体として用いてもよいが、該繊維を1
0重量%以上含む他繊維との混合融着処理繊維集合体と
て用いてもよい。
【0042】繊維集合体として特に20〜100mmに切
断したものは乾式用不織布バインダーとして、また3〜
10mmに切断したものは湿式用不織布バインダーとして
好適であり、強度が大きく、耐久親水性を有しかつ耐湿
熱性のある不織布を得ることができる。なかでも混合繊
維として、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリブ
チレンテレフタレートのごときテレフタル酸を成分とし
て含むポリエステルの場合には、接着繊維間のみならず
テレフタル酸系ポリエステルとの間の接着も良好であ
り、強度の大きい不織布とすることができる。従来テレ
フタル酸系ポリエステルに接着する繊維がなく、大きな
問題であったが、本発明により良好なポリエステル系不
織布の製造が可能となり、なおかつコスト的に低コスト
で製造が可能となった。
【0043】また混合繊維として、木材パルプやレーヨ
ンあるいはビニロン等の如き親水性素材を用いた場合に
は、その親水性を阻害しないばかりかより積極的に発揮
させることが出来る。本発明の繊維は、種々の用途の広
い種類の不織布に有用であるが、特に湿式不織布用に顕
著な効果を発揮することが非常に大きな特徴である。具
体的な用途としては、例えば、親水性を必要とする衛生
材用途などが好適である。
【0044】また、本発明で用いているN−OPA化合
物は、安全性が高く、例えば、通常用いられているアニ
オン系の界面活性剤での代表的なものとして、アルキル
ベンゼンスルホン酸ソーダ(ABS)などは、魚毒性の
データーで比較してみるとABS化合物がLC50が5
0ppm以下であるのに対して、本発明のN−OPA系
化合物は50000ppm以上であり、安全性は格段に
高い。しかも、前述したように、N−OPA化合物は、
共重合ポリエステル中へ練込んだ場合、水中へ繊維を浸
漬して練込剤の溶出性をしらべてみるとABS系化合物
は1ケ月で繊維中から30%近くも溶出するに対して、
N−OPA系化合物は10%以下であることが確認で
き、溶出性もかなり少なく好都合である。
【0045】本発明で言う耐久親水性の評価は、次のよ
うに水滲透性と水通過性の二つの方法により実施した。
水滲透性は、所定条件で作製した評価用紙を図12に示
す如く、ビューレット中から水を1滴滴下し、紙上に落
下した水滴が吸収され光を当てた時の光沢がなくなった
時間を肉眼で判定した。
【0046】また、水通過性については、図13で示す
如くコットンリンターパルプ上に測定する評価用紙を乗
せ、同様の方法によりビューレット中から水滴を1滴滴
下し、紙上に落下した水滴の集合状態がなくなるまでの
時間を肉眼で測定した。水滲透性と水通過性の二つの方
法で目付20〜80g/m↑2までの紙を評価した。
【0047】耐久性については、試験紙をJIS L0
217−103法に従って洗濯を10回くりかえし、1
0回後の水滲透性測定及び水通過性測定を行なつて性能
を評価した。また実施例中の固有粘度〔η 〕とは、共
重合ポリエステルをフェノールとテトラクロルエタンの
等重量混合溶剤中、30℃で測定した極限粘度(dl/
g)である。
【0048】
【実施例】次に本発明を実施例により説明するが、これ
によって本発明はなんら限定されるものではない。以下
テレフタル酸をTA、イソフタル酸をIPA、エチレン
グリコールをEGと略記する。 〔実施例1〕重縮合反応装置を用い常法により280℃
で重縮合反応を行ない、TA60モル、イソフタル酸
(IPA)40モル、エチレングリコール(EG)90
モル、ジエチレングリコール10モルよりなる共重合ポ
リエステルを製造し、この後重合器底部よりシート状に
水中に押し出し、シート・カッターを用いて切断しペレ
ット化した。押し出し、切断調子は良好であり、良好な
形状のペレットを得た。共重合ポリエステルの物性は
〔η 〕0.69、△H 0cal/g、二次転移点7
0℃であつた。得られたペレットを真空乾燥機中60℃
で乾燥したところ膠着は全く認められなかつた。
【0049】ついで、該共重合ポリエステルを溶融し、
該溶融ポリマー中へ、下記式(2)で示されるN−ポリ
オキシアルキレンポリアルキレンポリアミン化合物で、
HLBが12.0、平均分子量が約50,000、アミ
ン価4.5のものにヒンダードフェノール系酸化防止剤
を少量加えたものを所定量添加し、その後スタチックミ
キサーにより均一混合した後、該混合ポリマー流を鞘成
分とし、一方〔η 〕0.67のポリエチレンテレフタ
レートを芯成分として、芯/鞘=50/50重量比で図
1の断面の芯鞘複合紡糸を行なった。紡糸ヘッド温度2
90℃で押し出し1000m/分で巻取った。巻取った
繊維は単繊維間および繊維束間での膠着は全くなく、長
時間安定に紡糸を行なうことができた。押出機中での鞘
成分のペレット移送性は良好で問題なかった。この紡糸
原糸を水浴中70℃で4.2倍に延伸し、続いて水浴中
75℃で8%伸縮させ、繊度2.0dr、強度3.5g
/d、伸度43%の繊維を得た。
【0050】得られた該延伸糸を繊維長5mmにカットし
たもの70重量部とポリエチレンテレフタレート繊維
(2dr×5mm)30重量部を混合した後、角型タピー
抄紙機で混抄し繊維紙を作製した。その後ヤンキードラ
イヤー型のフロエ板熱円筒上で120℃、1分間乾燥
し、接着して坪量20g/m↑2、40g/m↑2、80
g/m↑2の手抄き紙をそれぞれ作製した。いずれの場
合も粘着のトラブルなどなく容易に抄紙することがで
き、かつ実用に耐えうるだけの十分な強力を保持してい
た。
【0051】つづいて親水性の評価を実施したところ、
水滲透性、水通過性は表1に示す結果となり、比較例1
と比較して初期性能のみならず、すばらしい耐久親水性
を有していることがわかった。また、上記親水性能評価
用作製紙を純水中(浴比1:50)へ、1ケ月間浸漬
し、繊維中に練込んだN−OPA化合物の水中への溶出
量をTotal Organic Carbon An
alyzer(島津社製 TOC−500)を用いて測
定した所、繊維中へ練込んだN−OPA化合物の約5%
前後しか溶出していないことが確認され、問題のないレ
ベルであることがわかった。
【0052】
【化3】
【0053】〔比較例1〕実施例1とは親水化剤を含有
しない点のみが異なる共重合ポリエステルを鞘成分と
し、一方〔η 〕0.67のポリエチレンテレフタレー
トを芯成分として、芯/鞘=50/50の重量比で図1
の断面の芯鞘複合紡糸を行なった。紡糸ヘッド温度29
0℃で押し出し1000m/分で巻取った。得られた紡
糸原糸を実施例1と同様の方法により延伸し、その後同
様の条件で試験紙を作製した。つづいて親水性の評価を
実施したところ、表1に示す結果が得られ不十分であっ
た。
【0054】
【表1】
【0055】注)洗濯は、JIS L0217−103
法に従って実施。液温40℃の水1lに2gの割合で衣
料用合成洗剤を添加溶解し、洗濯液とする。この洗濯液
に浴比が1対30になるように試料及び必要に応じて負
荷布を投入して運転を開始する。5分間処理した後、運
転を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱水し、次に洗濯
液を常温の新しい水に替えて同一の浴比で2分間すすぎ
洗いをした後脱水し、再び2分間すすぎ洗いを行い風乾
させる。以上の操作を10回くりかえし10回後の測定
サンプルとした。
【0056】〔実施例2〜17〕実施例1と同一のポリ
マー組成の共重合ポリエステルを用い、表2に掲げる条
件でテストを実施し、結果を示した。実施例2,3は親
水化剤の添加量を変更した。実施例4,5は、親水化剤
として分子構造が(2)式と同一のものであるがHLB
値が異なるものを使用した。実施例4はHLB=8.0
のもの、実施例5はHLB=15.0のものを用いた。
実施例6は、親水化剤として分子構造が(2)式と同一
のものであるが平均分子量が20,000であるものを
用いた。実施例7,8は芯鞘複合比を変更してテストし
た。実施例9〜13は繊維断面形状を変更してテストし
た。実施例14は芯成分ポリマーにポリブチレンテレフ
タレートを用い、実施例15はナイロン6を用いて実施
した。実施例16,17は抄紙条件、即ち混抄繊維のポ
リエチレンテレフタレート繊維の混抄率を変更して実施
した。いずれも繊維化工程性良好で、かつ試験紙の強力
の目安である破断長も大きく、しかも親水性能も洗濯1
0回処理後でも良好でなレベルが維持されていることが
わかった。また、溶出性についてもいずれも問題となる
レベルでないことが確認された。
【0057】〔実施例18〕添加剤として分子構造が
(3)式のものを用いて行なった他は実施例1と同様の
方法で実施した。
【0058】
【化4】
【0059】(3)式中、R↓1〜R↓7はPOとEOの
ランダム共重合体であり、HLBは12.0、平均分子
量は約50,000である。その結果、繊維化工程は良
好で、しかも耐久性のある良好な吸水性を有した繊維が
得られた。
【0060】〔実施例19〜21〕実施例19は重縮合
反応装置を用い常法により280℃で重縮合反応を行な
い、TA70モル、IPA30モル、EG95モル、ジ
エチレングリコール5モルよりなる共重合ポリエステル
を製造し、実施例20は、実施例1と同様の方法により
TA50モル、IPA50モル、EG100モルよりな
る共重合ポリエステルを製造し、実施例21は、TA6
5モル、IPA30モル、セバシン酸5モル、EG10
0モルのポリマーを作製し、その後、実施例1と同様の
方法により親水化剤を添加した複合繊維を作製した。そ
の後、実施例1と全く同様の方法により試験紙を作製し
た。紙強力は十分な裂断長を有し、かつ親水性も良好な
結果が得られた。また、繊維中に練込まれている親水化
剤の溶出性についても、いずれも問題となるレベルでな
いことが確認された。
【0061】〔比較例2〜3〕比較例2は、(2)式と
同一のN−OPA化合物を用い、少量のヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤を添加したものを、鞘成分の非晶性
共重合ポリエステル中にN−OPA量で0.1wt%と
なるように練込み、その他は実施例1と同様の条件で実
施した場合である。吸水性レベルとしては実施例1より
低いレベルであった。比較例3は、鞘成分の非晶性共重
合ポリエステル中に25wt%となるよう添加し、その
他は実施例1と同様の条件で実施した場合である。しか
しながら紡糸時の粘度低下が激しく安定な紡糸をするこ
とができなかった。
【0062】〔比較例4〕添加剤として(2)式と同一
構造のもので、分子量が約8,000のものを用い、他
は実施例1と同一の方法により実施した。しかしながら
紡糸時の粘度低下が激しくビス落ち、単糸切れ、断糸が
頻発し安定な紡糸をすることができなかった。
【0063】〔比較例5〕添加剤として(2)式と同一
構造のものであるが、HLB=5.0のもの、すなわち
疎水性基のPOセグメントリッチのものを用い、他は実
施例1と同一の方法で実施した。繊維化工程性は良好で
あったが、吸水性能レベルとしては不十分であった。
【0064】〔比較例6〜7〕比較例6は、複合比率を
芯/鞘=10/90重量比で図1の断面の芯鞘複合紡糸
を行なつた以外は実施例1と同一の方法により実施し
た。複合比率が不安定で単糸切れ、断糸が頻発し、評価
試料が得られなかった。比較例7は、実施例1と同様の
方法により共重合ポリエステルを得、その後複合比率を
芯/鞘=90/10重量比に変更した以外は実施例1と
同様の方法により繊維化し、試験紙を作製した。紙強力
も親水性能も不十分なものであった。
【0065】〔比較例8〕常法により重縮合反応を行な
い、TA80モル、IPA20モル、EG100モルよ
りなり、〔η 〕0.76、△H0.7cal/g、二
次転移点76℃の共重合ポリエステルを製造し、実施例
1と同様の親水化剤を同量添加し、実施例1と同じ方法
により紡糸し紡糸原糸を得た。ついで延伸、収縮を行な
い、繊度2.0dr、強度4.5g/dr、伸度30%
の繊維を得た。工程性は良好で特にトラブルはなく、ま
た単繊維間および繊維束間での膠着は認められなかっ
た。しかしながら実施例1と同様にして試験紙を作製し
たところ、新水性能は良好であったが裂断長が0.1km
と非常に強力の低いものであった。
【0066】〔比較例9〕常法により重縮合反応を行な
い、TA45モル、IPA25モル、EG100モル、
セバシン酸30モルよりなる共重合ポリエステルを製造
し、重合器底部よりストランド状に水中に押し出し、ス
トランドカツターを用いて切断し、表2記載の物性を有
するペレットを得た。しかしながらポリマーの二次転移
点が低いためにストランドが柔らかく、カツターへの挿
入がかなり困難であり、未切断ストランドが蓄積したり
カツターへのポリマーの融着のためしばしばカツターの
運転を停止した。このためストランドを0℃の氷水中に
押し出すことにより、ペレット化の収率をアップさせ
た。このペレットを真空乾燥機中45℃で乾燥したとこ
ろ、膠着した塊りができるので室温で長時間行なった。
ついで押出機に供給し、実施例1と同様の方法により親
水化剤を添加し紡糸ヘッド温度を280℃で複合紡糸を
1000m/分で紡糸を行なったが、単繊維間および繊
維束間での膠着が多数発生し良好な繊維を得ることがで
きなかった。
【0067】
【表2】
【表3】
【表4】
【0068】〔実施例22,比較例10〕実施例1と同
様の方法により、N−OPA化合物が含有されている共
重合ポリエステルを鞘、〔η 〕0.67のポリエチレ
ンテレフタレートを芯として、芯/鞘重量比50/50
のポリエステルバインダー繊維をつくり、この繊度2.
0dr、繊維長5mmのカットファイバーを得た。カット
ファイバー70重量部と親水性レイヨン(PB150
5)繊度1.5dr、繊維長5mmのカットファイバー3
0重量部を混合した後、角型タピー抄紙機で混抄し、繊
維紙を作製した。その後、ヤンキードライヤー型のフロ
エ板熱円筒上で120℃、1分間乾燥し、接着して坪量
20g/m↑2、40g/m↑2、80g/m↑2の手拭
き紙を作製した。いずれの場合も粘着のトラブルなどな
く、容易に抄紙することができ、かつ実用に耐えうるだ
けの十分な強力を保持していた。
【0069】また比較例として、上記バインダー繊維で
上記親水化剤を含有しない点のみが異なるバインダー繊
維を製造し、上記実施例と同じく親水化レイヨンと混抄
して試験紙を得た。
【0070】この両者の紙の親水性の評価を実施したと
ころ、水滲透性、水通過性は表5に示す結果となり、本
実施例の場合、初期性能のみならずすばらしい耐久親水
性を有していることがわかる。またこの比較例10か
ら、バインダー繊維と混抄する繊維が親水性繊維であっ
ても、バインダー繊維が親水性でない場合には、得られ
る紙の親水性は初期性能から悪いことが示される。
【0071】
【表5】
【0072】
【発明の効果】以上本発明は、特定のポリマー組成及び
ポリマー物性を有した共重合ポリエステルを用い、しか
も該共重合ポリエステル中へ特定の親水化剤を含有せし
めることにより、溶出性が少なく安全性にすぐれる耐久
性のある良好な親水性と、殊に、ポリエステル繊維に対
して良好な熱融着を有する耐久親水性熱融着性複合繊維
及び該複合繊維を一部又は全部使用した不織布を提供す
ることにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合繊維の断面形状の一例を示した図
である。
【図2】本発明の複合繊維の断面形状の別の例を示した
図である。
【図3】本発明の複合繊維の断面形状の更に別の例を示
した図である。
【図4】本発明の複合繊維の断面形状の別の例を示した
図である。
【図5】本発明の複合繊維の断面形状の一例を示した図
である。
【図6】本発明の複合繊維の断面形状の別の例を示した
図である。
【図7】本発明の複合繊維の断面形状の別の例を示した
図である。
【図8】本発明の複合繊維の断面形状の別の例を示した
図である。
【図9】本発明の複合繊維の断面形状の別の例を示した
図である。
【図10】本発明の複合繊維の断面形状の別の例を示し
た図である。
【図11】本発明の複合繊維の断面形状の別の例を示し
た図である。
【図12】水浸透性を測定する装置の概略図である。
【図13】水通過性を測定する装置の概略図である。
【符号の説明】
イ:非晶性ポリエステルからなる鞘成分 ロ:融点150℃以上の熱可塑性ポリマーからなる芯成
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D21H 15/10 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 8/14 D01F 6/92 307 D01F 6/84 301 C08L 67/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記〔A〕の化合物を0.2〜20重量
    %含有し下記〔B〕の単位からなり下記〔C〕の物性値
    を有するポリエステルを鞘成分とし、融点150℃以上
    の熱可塑性ポリマーを芯成分とし、かつ該鞘成分と該芯
    成分の重量割合が20:80〜80:20である芯鞘型
    複合繊維。 〔A〕 ポリアルキレンオキサイド鎖を有する基がポリ
    アルキレンポリアミン系骨格に結合した化合物であっ
    て、かつHLBが6.0〜16.0の範囲内、平均分子
    量が10000以上、アミン価が500以下である化合
    物。 〔B〕 酸単位とグリコール単位からなり、該酸単位中
    に占めるテレフタル酸単位の割合が40モル%以上、イ
    ソフタル酸単位の割合が20モル%以上で、かつ該グリ
    コール単位中に占めるエチレングリコール単位の割合が
    75モル%以上であること。 〔C〕 二次転移点温度が50〜90℃、結晶融解熱が
    実質的に0である非晶性ポリマーであること。
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