JP2870708B2 - 耐久吸水性に優れたポリエステル繊維 - Google Patents

耐久吸水性に優れたポリエステル繊維

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JP2870708B2
JP2870708B2 JP4260891A JP4260891A JP2870708B2 JP 2870708 B2 JP2870708 B2 JP 2870708B2 JP 4260891 A JP4260891 A JP 4260891A JP 4260891 A JP4260891 A JP 4260891A JP 2870708 B2 JP2870708 B2 JP 2870708B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はすぐれた吸水性を有する
ポリエステル繊維に関するものであり、その目的とする
ところは特に耐久性にすぐれた吸水性を有するポリエス
テルの繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】疎水性合成繊維、例えばポリエステル繊
維やポリプロピレン系繊維は文字通り疎水性であって、
木綿や再生繊維などにくらべていわゆる吸水性が著しく
劣っており、吸水性を必要とされる用途には使用上問題
があった。それ故に、合成繊維の特徴である、例えば良
好なパーマネントセット性を有しながらいかに吸水性を
向上させるかということは重要な研究テーマとして従来
よりとりあげられてきたが、残念なことに天然繊維に匹
敵するような吸水性を得るに到っていないか、あるいは
到っているとしても高度な改質工程を経る必要があるた
めに、一般に多量使用されるには高価すぎるなどの難点
を有するものしかできなかった。
【0003】近年、繊維分野特に不織布分野でポリエチ
レンテレフタレートを代表するポリエステル繊維の役割
が大きくなり、特に最近ベビーおむつやおむつライナ
ー、生理用品などの衛生材料分野や外食産業向けのカウ
ンタークロス、台所用品の流し台の水切り袋などの非衛
生材料分野や、シップ薬の基布や固定用シート、病院用
手術衣、マスク等のメディカル分野などに、不織布が広
く使用されてきている。これらの多くの不織布製品の中
で、特に洗濯して再使用されるものに関しては、従来の
もの以上に耐久性のある親水性能が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに今迄のもの
は、油剤等による表面処理の後加工方法によるものがほ
とんどで、これは初期性能はあっても、ある程度使用し
た場合に表面油剤が脱落し、性能が極端に低下するもの
が多かった。その中でも、湿式用不織布用途では、製造
工程上必ず水中での抄紙工程を経るため、繊維表面への
親水化剤のコーティング方法では抄紙時に該親水化剤が
脱落してしまい、最終製品では十分な性能が保持されて
いないものしか得られない。また製造工程中、同様に水
による処理が行なわれるようなものに対しても上記と同
様な問題点を有している。
【0005】またポリエステル繊維に吸水性や吸湿性を
付与するために、繊維を構成するポリエステルポリマー
に紡糸前にポリエチレングリコールやドデシルベンゼン
スルホン酸ソーダなどを配合したり、あるいはポリエス
テルポリマー中に同ポリエチレングリコールを共重合す
る方法なども提案されている(たとえば特開昭54−1
38617号公報)。しかしながら、上記のような物質
を紡糸前にポリマーに配合しても、初期の吸水性は得ら
れても、繰り返し洗濯により親水性能が大きく低下して
しまい、さらにドデシルベンゼンスルホン酸ソーダなど
の界面活性剤は人体に有害な物質であり、人体に直接に
接して用いられるような繊維製品には適したものとは言
えない。さらに上記の共重合させる方法では、共重合割
合が少量の場合には、吸水性能は得られず、逆に満足で
きる吸水性能が得られるまで共重合割合を高めた場合に
は、ポリエステル繊維の優れた繊維物性が大きく損われ
ることとなり、結局、上記のような方法では、満足でき
る吸水性能を有するポリエステル繊維を得ることはでき
ない。
【0006】本発明は、天然繊維なみの優れた吸水性能
を有し、しかもその吸水性能が繰り返しの洗濯によって
も殆んど低下することなく、さらに人体に対して害を与
えることのない、耐久性のある吸水性を有するポリエス
テル繊維を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維は、ポリア
ルキレンオキサイド鎖を有する基がポリアルキレンポリ
アミン系骨格に結合した化合物であって、かつ特定の条
件を満たしている化合物を所定量ポリエステル中へ含有
分散せしめることを特徴とする耐久吸水性を有するポリ
エステル繊維である。すなわち本発明は、ポリアルキレ
ンオキサイド鎖を有する基がポリアルキレンポリアミン
系骨格に結合した化合物であって、かつHLBが6.0
〜16.0の範囲内、平均分子量が10000以上、ア
ミン価が500以下である化合物を0.2〜20重量%
含有していることを特徴とするポリエステル繊維であ
る。
【0008】本発明をより具体的に説明すると、本発明
で用いる、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する基がポ
リアルキレンポリアミン系骨格に結合した化合物(以下
N−POA化合物と略称する)は公知である。たとえば
特開昭58−80391号公報には、同化合物が石炭ス
ラリーの分散剤として用いることができることが記載さ
れている。
【0009】N−POA化合物は、一般的な界面活性剤
の製法に従って製造することができる。たとえば苛性ソ
ーダ等のアルカリ触媒を含む加熱したポリアルキレンポ
リアミン系骨格化合物中へアルキレンオキサイドガスを
吹き込むことにより得ることができる。また骨格となる
ポリアルキレンポリアミン系化合物は、アルキレンポリ
アミン同志又はそれと尿素等の化合物を反応させること
により得ることができる。したがって、ポリアルキレン
ポリアミン系骨格化合物には、アルキレン基、アミノ
基、イミノ基以外の基、たとえばカルボニル基などが含
まれていてもよい。
【0010】N−POA化合物としては、後述するポリ
エステルとは実質的に反応性を有しないことが好まし
い。ここで実質的に反応性を有しないことは、ポリエス
テルと共重合しないことを意味する。N−POA化合物
がポリエステルと反応すると紡糸性が不良となるので好
ましくない。すなわちポリエステルの重合度を低下させ
紡糸時の溶融粘度が極端に低下することとなり、紡糸性
が不安定となり断面異常が発生し、その結果単糸切れ、
断糸が多発してくるとともに、連続運転が難しくなって
くる。
【0011】なおポリアルキレンオキサイド鎖を有する
基は、ポリアルキレンポリアミン系骨格の窒素原子に結
合されているのが好ましい。したがって本発明で用いる
N−POA化合物は、アミノ基、イミノ基の水素原子の
実質的に全てがポリアルキレンオキサイド鎖を有する基
により置換されている場合も含んでいる。
【0012】N−POA化合物としては、分子量が1
0,000以上が必要であり、好ましくは10,000
以上、100,000以下である。分子量が低すぎると
ポリエステルとの反応性が大きくなり前述の問題点が発
生してくる。また分子量が低すぎると、ポリエステルと
反応しなくても、相溶性が不良となり紡糸時の曳糸性が
不良となり、単糸切れ、断糸が多発してくる。もちろ
ん、分子量、アミン価、HLB値などの値の異なる2種
以上のN−POA化合物を併用してもよい。
【0013】N−POA化合物の好適な構造としては、
アミン部分、すなわちアミノ基やイミノ基にオキシエチ
レン単位とオキシプロピレン単位をランダム又はブロッ
ク状に共重合したポリマーである。構造式の一例を次に
示す。
【0014】
【化1】
【0015】ここでR1〜R7はポリアルキレンオキサイ
ド鎖を有する基または水素原子である。ただしR3に関
しては、上記(1)式より明らかなように、1分子中に
[n]×[x]個存在していることとなるが、これらは
同一である必要はない。また同様にR2,R4,R5に関
しても1分子中に[x]個存在していることとなるが、
これらR2,R4,R5もそれぞれ同一である必要はな
い。骨格を形成するポリアミン分子鎖のnは0〜10、
特に0〜5が好ましい。nがあまり大きくなると、本来
のポリエステルの吸水性付与の練込剤としての効果が十
分でなくなってしまう。またxは1〜20、特に1〜5
が好ましい。xがあまり大きくなりすぎると、紡糸時に
繊維が着色しやすいこととなる。
【0016】R1〜R7のポリアルキレンオキサイド鎖を
有する基にはオキシエチレン単位とオキシプロピレン単
位が存在していることが必要であり(ただし、同一の基
内にオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位が共存
している必要はなく、すなわちあるポリアルキレンオキ
サイド鎖を有する基にはオキシエチレン単位のみが、そ
して他のポリアルキレンオキサイド鎖を有する基にはオ
キシプロピレン単位のみが存在していてもよい)、この
オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の組成比に
よっては、水に対して親水性が低下してくる場合がある
ので、本発明の目的を阻害しない範囲でオキシエチレン
単位が主成分である方が好ましい。これの好適な範囲を
判断する目安としては、HLB値で判断するのが良い。
より好ましいポリアルキレンオキサイド鎖を有する基と
しては、N原子からオキシプロピレン単位(PO)がブ
ロック状に結合し、さらにオキシエチレン単位(EO)
がブロック状に結合した下記の構造が良い。
【0017】
【化2】 ただし、m,nは1以上の整数である。
【0018】HLB値とは、界面活性剤の親水基と親油
基のバランスを表わす方法として、1940年Grif
finが発表したHydrophile Lipoph
ile BalanceであるがHLB値は、HLB値
=20×MH/Mで求められる。(M;界面活性剤の分
子量,MH;親水基部分の分子量)分子中の親水基の量
が0%のときをHLB=0、100%のときをHLB=
20とし、親水基と親油基が等量あるときはHLB=1
0となる。本発明のN−POA化合物の場合は、親水基
としてオキシエチレン単位を親油基としてオキシプロピ
レン単位をHLB値算出の基準とした。骨格のポリアミ
ン部分は除いてHLB値を求める。
【0019】本発明で用いられるN−POA化合物のH
LB値の範囲は6.0〜16.0である。HLB値が1
6.0より高くなってしまうと、ポリエステル中へN−
POA化合物を添加して繊維化した後の初期の吸水性能
は十分に発現するが耐久性が不十分となってくる。特
に、洗濯耐久性が不十分となり、洗濯後の吸水性能が低
下してくる。これは、N−POA化合物の親水性の要素
が強くなりすぎるために、洗濯時にポリエステル中に分
散しているN−POA化合物が溶出してしまい、その結
果繊維としての吸水性能が低下してしまうためと考えら
れる。一方、HLB値が6.0より低くなってしまう
と、N−POA化合物の疎水性の要素が強くなりすぎて
くるために、本来の、ポリエステル繊維への吸水性能の
付与としては、満足のいくレベルまで到らない。
【0020】ポリアルキレンオキサイド鎖を有する基の
末端は水酸基であっても、非エステル形成性有機基で封
鎖されていても、またはエーテル結合、エステル結合、
カーボネート結合等によって他のエステル形成性有機基
と結合していてもよい。また基内や基の根元部にもエチ
レンオキサイド単位、プロピレンオキサイド単位以外の
原子が存在していてもよい。
【0021】また、ポリアミン骨格の全てのアミノ基、
イミノ基にポリアルキレンオキサイド鎖を有する基が結
合している必要はなく、未反応のフリーのアミノ基、イ
ミノ基が存在していてもかまわない。しかし、あまり沢
山のフリーのアミノ基、イミノ基が存在すると、人体に
対する毒性が強くなるため好ましくない。特に、繊維中
にN−POA化合物を添加し、人体の肌に直接接触する
用途などに用いる場合には皮フ障害性の問題が発生して
くるため注意する必要がある。このような点から、本発
明のN−POA化合物のアミノ価としては500以下が
必要である。好ましくは100以下である。なおアミン
価とは、1gの化合物を中和するのに必要とする酸の量
をKOHで換算したミリグラム数である。
【0022】前述したように、本発明で用いるN−PO
A化合物は骨格がポリアルキレンポリアミン系であり、
骨格中に複数個のアルキレン基およびアミノ基またはイ
ミノ基に基づく窒素原子が複数個存在していることが必
須である。アルキレン基が一つしか存在しない場合やア
ミノ基又はイミノ基に基づく窒素原子が一つしか存在し
ていない場合には、該化合物と添加される樹脂との親和
性が劣り、本発明の目的は達成されない。
【0023】本発明で用いるN−POA化合物がポリエ
ステル繊維の耐久親水性を付与するのに極めて優れてい
る理由については必ずしも明確ではないが、ポリアルキ
レンポリアミン骨格がポリエステルとの親和性に優れ、
側鎖のエチレンオキサイド単位が親水性(濡れ性)に優
れ、側鎖のプロピレンオキサイド単位がN−POAの耐
溶出性と親水性をバランスさせるコントロール機能を有
しており、この結果、良好な水に対する濡れ性であっ
て、しかもそれが極めて耐久性に優れていることとなる
ものと思われる。このことは、前記一般式(1)におい
てポリアルキレンポリアミン骨格に、側鎖としてまずプ
ロピレンオキサイド単位が付加し、その側鎖の末端にエ
チレンオキサイド単位が付加している化合物がN−PO
A化合物として最も好ましいことからも上記予測が支持
される。
【0024】今迄説明してきたN−POA化合物のポリ
エステルポリマー中の含有量は、0.2重量%から20
重量%の範囲である。0.2重量%未満では目的とする
吸水性が不十分である。20重量%を越えると紡糸性が
不良となる。また酸化防止剤を含んでいてもかまわな
い。特に、ポリエチレンテレフタレート等の高融点のポ
リマーを用いる場合、紡糸温度が高くなるためポリオキ
シアルキレングリコール部分は酸化分解、熱分解を発生
しやすくなるので、これを防ぐためにヒンダードフェノ
ール系の酸化防止剤をN−POA化合物に対して1〜3
0重量%添加して繊維化することは有効である。
【0025】本発明でいうポリエステルとは、テレフタ
ル酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜6のアルキレング
リコール、即ちエチレングリコール、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレング
リコール、ヘキサメチレングリコールから選ばれた少く
とも一種のグリコールを主たるグリコール成分とするポ
リエステルを対象とする。かかるポリエステルは、その
酸成分であるテレフタル酸の一部を他の2官能性カルボ
ン酸で置き換えても良い。このような他のカルボン酸と
しては例えばイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸金
属塩、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−β−オキシエトキ
シ安息香酸などのオキシカルボン酸、セバシン酸、アジ
ピン酸、蓚酸などの二官能性脂肪族カルボン酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸などの二官能性脂環族カ
ルボン酸等をあげることができる。また、ポリエステル
のグリコール成分の一部を他のグリコール成分で置き換
えても良く、かかるグリコール成分としては、主成分以
外の上記のグリコール及び他のジオール化合物例えばネ
オペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、
シクロヘキサンジメタノール、ノナンジオール、ポリエ
チレングリコール、ポリブチレングリコール及びビスフ
ェノールA、ビスフェノールSの如き脂肪族、脂環族、
芳香族のジオール化合物等があげられる。ただし第3成
分の共重合量は20モル%以下であることが好ましい。
【0026】本発明で最も好ましいポリエステルとして
は、エチレンテレフタレート単位またはブチレンテレフ
タレート単位、あるいはヘキサメチレンテレフタレート
単位を主たるくり返し単位とするポリエステルが挙げら
れる。
【0027】本発明の繊維には、従来公知のつや消し
剤、添加剤、触媒、着色剤、改質剤などを含むことが出
来る。本発明の繊維としては通常1〜20程度のデニー
ルのものが適当であるが、必ずしもこれらに限定されな
い。デニールは用途に応じて選定される。単繊維デニー
ルが小さくなる程、吸水性能が一段と優れた性能が発揮
されることが認められることから、単繊維デニールは好
ましくは5デニール以下にすることがより好ましい。理
由については、現時点では明確に断定できないが、繊維
集合体における、ポリマー自身の親水性能と集合体の形
状でのキャピラー効果の相関関係が微妙にバランスされ
るためと推定している。
【0028】また、本発明の繊維断面形状は、丸断面以
外の異形断面でもかまわない。例えば、紡糸時の異形断
面ノズルにより3葉形、T形、4葉形、5葉形、6葉
形、7葉形、8葉形等多葉形や各種の断面形状となって
も要は今迄説明してきた特定の親水化剤を練込んだポリ
マー組成と単繊維デニールの要件を満たせば良好な吸水
性能を有したポリエステル繊維を得ることができる。異
形断面形状の中で凹部を有する断面形状は、その凹部に
すみやかに水分を吸引する一種の毛管現象が発現され、
更にすぐれた吸水性を付加させることになり、より好ま
しい。
【0029】また、更にはいわゆる芯鞘構造や、背腹構
造の複合繊維とすることもできるが、この場合は、本発
明のN−POA化合物を練込んだポリエステル成分が繊
維断面占有面積で20%以上、更に好ましくは40%以
上が繊維表面に存在しているならば十分に本発明の効果
は発現される。
【0030】また、本発明のN−POA化合物を練込ん
だポリエステルによる繊維100%で最終製品を作って
も良いし、必要に応じては、他の繊維と適宜混合しても
良い。但し、あまり混率が低くなると十分な吸水性が得
られなくなってくることは言うまでもない。
【0031】本発明で言うすぐれた吸水性とは、繊維を
不織布状にした後、水の吸液率と繰り返し吸液速度を見
ることによって判断することができる。より具体的に説
明すると吸液率は、測定する繊維の綿状物より目付約4
0g/m2の不織布を作製した後、赤インクで着色され
た水0.2gをプラスチック皿上に滴下し、その赤イン
キ上へ該不織布片5cm×5cmの試料を置き1秒後に
除去したときの試料が吸収した液の重量を測定する。測
定後の吸液重量を測定前の不織布試料の重量で割ったも
のを吸液率とした。不織布の作製は、測定する試料原綿
へ熱融着性繊維(鞘成分がポリエチレン成分から形成さ
れている(株)クラレ製ソフィットN−710タイプ2
デニール51mm長のもの)を20重量%混綿しその後
ミニチュアカードを通して目付40g/m2のウエブを
作製し、その後5m/minの速度で水流が30kg/
cm2の条件で水流絡合させた後風乾し、更にオートド
ライヤーにて150℃下1分間の条件で熱処理したもの
を吸水性測定用不織布とした。
【0032】吸液率の測定はn=10実施し平均値を吸
液率とした。また、繰り返し吸液速度の測定は、同様に
して作製した試料不織布片5cm×5cmを水面に落と
したときに水が試料全面に広がるまでの時間を測定し吸
液速度とした。一度測定した試料片を十分に乾燥しその
後同様の測定を実施し、繰り返しn=10測定した後平
均したものを繰り返し吸液速度とした。
【0033】本発明繊維の大きな特徴は、すぐれた吸水
性能が洗濯処理をした後でも殆んど低下しないというす
ぐれた耐久性を有することである。通常のポリエステル
繊維表面へ、種々の加工剤、処理剤、仕上剤などで被覆
させることにより、初期の吸水性を付与させることは可
能である。例えば、ポリビニルアルコール系処理剤、ポ
リエステルエーテル系(たとえば高松油脂(株)製SR
−1000)の如き親水防汚加工剤、ノニオン、アニオ
ン、カチオン系の各種親水性油剤もしくはこれらの組合
せ加工剤などがある。これらはいずれも、初期性能があ
るが、洗濯処理を実施すると極端に性能が低下してしま
うのに対して、本発明繊維はほとんど性能が低下しない
ことが確認された。洗濯耐久性については、測定試料を
JISL0217−103法に従って洗濯を10回くり
かえし、10回後の吸水率と繰り返し吸液速度を測定
し、吸水性能の評価を実施した。上記の方法で測定した
吸水率は、通常の疎水性合成繊維の場合500%未満で
ある。それに対して本発明の繊維は通常500%以上の
吸液率を有し、N−POA化合物の添加量が多い場合に
は1000%以上の吸液率を示すことが認められた。し
かも10回洗濯処理しても殆んど性能は低下しなかっ
た。一方、通常のポリエステル繊維へ吸水性加工剤を表
面処理した場合は、初期性能は500%以上発現する場
合もあるが、10回洗濯処理後ではかなり低下してしま
う。
【0034】また、繰り返し吸液速度を比較してみる
と、通常の疎水性合成繊維の場合、60秒より大である
のに対して、本発明繊維は、60秒以下の吸液速度を示
し、N−POA化合物の添加量が多い場合には、吸液速
度はほとんど瞬間であることが認められた。しかも10
回洗濯後でも殆んど性能が低下しなかった。
【0035】このような吸水特性を示す繊維は、適切な
N−POA化合物を適当量添加し、かつ適切な繊維化条
件を選択することにより、洗濯耐久性のある本発明のご
ときおどろくべき吸水特性を有する繊維が得られたわけ
である。
【0036】不織布での吸水性能を調べる方法以外に、
必要によっては原綿段階で吸水性能を調べる方法もあ
る。測定する繊維の原綿を開繊し、その開繊状態の表面
に水滴を滴下したときのぬれ部分の広がりを調べるこ
と、および綿状物を水に浸したのち遠心分離器にかけて
余分の水分を除去したあとの残存水分量の大小を調べる
ことである。さらに必要ならば細いガラス管に綿をつめ
て水を入れた皿の上に垂直にたてて、水の吸上速度をみ
ることによっても判断することができる。また、原綿を
所定量採取し一定重量のかごに入れ水面に落下させ、か
ごが水面上に落下したときから全体が水面下に沈むまで
の時間を測定する方法もある。いずれの測定方法によっ
ても、本発明の繊維は従来のポリエステル合成繊維にく
らべてすぐれた大きな吸水性を示すことが認められた。
【0037】本発明の繊維は吸水性を必要とされる分野
に用いるのが好ましい。具体的な用途としては掛および
敷ふとん、不織布、ナプキン、モップやぞうきん、タオ
ルやタオルケット、足ふき、サインペン用芯などがあ
る。湿式用不織布用途にも好適である。
【0038】次に本発明を実施例に従って説明する。実
施例における洗濯処理は、JISL0217−103法
に従って実施。液温40℃の水1lに2gの割合で衣料
用合成洗剤を添加溶解し、洗濯液とする。この洗濯液に
浴比が1対30になるように試料及び必要に応じて負荷
布を投入して運転を開始する。5分間処理した後、運転
を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱水し、次に洗濯液
を常温の新しい水に替えて同一の浴比で2分間すすぎ洗
いをした後脱水し、再び2分間すすぎ洗いを行い風乾さ
せる。以上の操作を10回くりかえし10回後の測定サ
ンプルとした。
【0039】
【実施例】[実施例1〜3] フェノールとテトラクロルエタンの等量混合液中30℃
で測定した極限粘度[η]が0.62のポリエチレンテ
レフタレートを溶融し、該溶融ポリマー中へ、下記式
(2)で示されるN−ポリオキシアルキレンポリアルキ
レンポリアミン化合物で、HLBが12.0、アミン価
が4.5、平均分子量が約50,000のものへヒンダ
ードフェノール系酸化防止剤を少量加えたものを所定量
添加し、その後スタチックミキサーにより均一混合した
後、285℃に保温された丸断面ノズルから押出し、1
000m/分で捲取った。得られた原糸を75℃の水浴
で390%延伸し、つづいて水浴中95℃で8%収縮さ
せ、ついで機械捲縮をかけ、ついでステアリルホスフェ
ートのエチレンオキシド付加物を主成分とする油剤を
0.1wt%になるように付与し、150℃で10分間
弛緩熱処理し、そして51mmの長さに切断した単繊維
デニール2の綿にした。繊維化工程性は良好で特に問題
はなかった。
【0040】
【化3】 但し、上記式中a,b,c・・・・・nは0又は1以上
の整数である。
【0041】その後、ソフィットN−710を20重量
%混綿し、カードおよびランダムウエバーを通して繊維
ウエブとし、繊維ウエブにはノズルから30kg/cm
2の高圧噴射水流を当てて絡合処理を行い平均目付40
g/m2の繊維絡合不織布を得た。不織布の吸液率及び
繰返し吸液速度の測定を標準状態(20℃、65%R
H)下で実施した。結果を第1表に示した。第1表より
耐久性のある良好な吸水性を有した繊維が得られている
ことがわかる。
【0042】[実施例4,5] 添加剤として分子構造が(2)式と同一のものであるが
HLB値が異なるものを使用した。実施例4はHLB=
8.0でアミン価が4.5のもの、実施例5はHLB=
15.0でアミン価が5.0のものを用いた。その他
は、実施例1と同様の方法により実施した。いずれも繊
維化工程性良好でしかも耐久性のある良好な吸水性を有
した繊維が得られた。
【0043】[実施例6] 添加剤として分子構造が(2)式と同一のものであるが
平均分子量が約20,000であるものを用いた他は、
実施例1と同様の方法により実施した。その結果繊維化
工程性良好でしかも耐久性のある良好な吸水性を有した
繊維が得られた。
【0044】[実施例7,8] 実施例1と同様の方法により実施した。実施例7,8は
異形断面ノズルを用い、実施例7は、U型ノズル、実施
例8はT型ノズルで行なった他は実施例1と同様の方法
により実施した。いずれも繊維化工程性良好で、しかも
耐久性のある良好な吸水性を有した繊維が得られた。
【0045】[実施例9] 実施例1と同様のN−POA化合物を5wt%含有した
ポリエステルを鞘とし、[η]0.67のポリエチレン
テレフタレートを芯として、芯/鞘=50/50重量比
で丸断面の芯鞘複合紡糸を行った。紡糸ヘッド温度29
0℃で押し出し1000m/分で捲き取った。巻取った
紡糸原糸を水浴中75℃で4.2倍に延伸し、続いて水
浴中95℃で8%収縮させ単繊維デニール2.0の繊維
を得た。得られた該延伸糸を機械捲縮をかけて、ついで
実施例1と同様の油剤を付与した後150℃で10分間
乾燥及び弛緩熱処理をした後51mmの長さに切断し綿
を作製した。繊維化工程性は良好で問題なかった。その
後、実施例1と同様の方法で不織布を作製し吸水性を測
定した結果、耐久性のある良好な吸水性を有しているこ
とがわかった。
【0046】[実施例10] フェノールとテトラクロルエタンの等量混合液中30℃
で測定した極限粘度[η]が0.85のポリブチレンテ
レフタレートを用い、第1表の条件で溶融紡糸した後、
水浴延伸、捲縮処理をし、単繊維デニール5の綿を得、
この綿について同様に吸水特性を測定した。結果を表1
に示した。
【0047】[実施例11] フェノールとテトラクロルエタンの等量混合液中30℃
で測定した極限粘度[η]が1.05のポリヘキサメチ
レンテレフタレートを用い、第1表の条件で200℃で
溶融紡糸した後、水浴延伸、捲縮処理をし、単糸デニー
ル5の綿を得、この綿について同様に吸水特性を測定し
た。表1にその結果を示した。
【0048】[実施例12] 添加剤として分子構造が(3)式のものを用いて行なっ
た他は実施例1と同様の方法で実施した。
【0049】
【化4】 式中、R1〜R7はPOとEOのランダム共重合体、HL
B=12.0、平均分子量=約50,000である。繊
維化工程性は良好で、しかも耐久性のある良好な吸水性
を有した繊維が得られた。
【0050】[比較例1,2] 比較例1は、[η]0.68のポリエチレンテレフタレ
ートを用い、N−POAを添加することなく実施例1と
同一の方法により繊維化を実施し、同様の方法により不
織布を作製し吸水性能を測定した例である。性能は実施
例1と比較して極端に悪い結果であった。比較例2は、
比較例1のN−POA無添加原綿へポリビニルアルコー
ル系の吸湿加工剤を約1.5wt%付与したのち、実施
例1と同様の方法により不織布を作製し吸水性能を測定
したものである。吸湿加工剤を付与した後の原綿段階で
は良好な吸水性が認められたが、水流絡合処理後の不織
布では初期性能も洗濯処理後の性能も著しく低下した。
【0051】[比較例3,4] 比較例3は、(2)式と同一のN−POA化合物を用
い、少量のヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加し
たものを、ポリエステル中にN−POA量で0.1wt
%となるように練込み、その他は実施例1と同様の条件
で実施した場合である。吸水性レベルとしては実施例1
より低いレベルであった。比較例4は、ポリエステル中
にN−POA量で25wt%となるよう添加し、その他
は実施例1と同様の条件で実施した場合である。。しか
しながら紡糸時の粘度低下が激しく安定な紡糸をするこ
とができなかった。
【0052】[比較例5] 添加剤として(2)式と同一構造のもので、分子量が約
8,000でHLBが12.0でアミン価が4.5のも
のを用い、他は実施例1と同一の方法により実施した。
しかしながら紡糸時の粘度低下が激しくビス落ち、単糸
切れ、断糸が頻発し安定な紡糸をすることができなかっ
た。
【0053】[比較例6] 添加剤として(2)式と同一構造のものであるがHLB
=5.0でアミン価が7.5で分子量が約50,000
のもの、すなわち疎水性基のPOセグメントリッチのも
のを用い、他は実施例1と同一の方法で実施した。繊維
化工程性は良好であったが、吸水性能レベルとしては不
十分であった。
【0054】[比較例7] 添加剤として(2)式と同一構造のものであるがHLB
=18.0でアミン価が5.5のもの、すなわち親水性
基のEOセグメントリッチのものを用い、他は実施例1
と同一の方法で実施した。繊維化工程性は良好であった
が、吸水性能が初期性能は良好であるが、洗濯後不良と
なった。
【0055】[比較例8,9] 練込剤としてN−POAに代えてEO−POブロック共
重合体でHLBが12.0で平均分子量が約20,00
0の化合物(比較例8)あるいはEO・POランダム共
重合体でHLBが12.0で平均分子量が約30,00
0の化合物(比較例9)を用いる以外は実施例1と同様
にしてポリエステル繊維を製造した。そしてその吸水性
能を測定した。結果は表1より明らかなように、耐久吸
水性の点で劣るものであった。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】以上本発明は特定の親水化剤をポリエス
テル中に含有せしめることにより、耐久性のある良好な
吸水性能を有するポリエステル繊維を提供することにあ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/92 307 C08L 67/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレンオキサイド鎖を有する基
    がポリアルキレンポリアミン系骨格に結合した化合物で
    あって、かつHLBが6.0〜16.0の範囲内、平均
    分子量が10000以上、アミン価が500以下である
    化合物を0.2〜20重量%含有していることを特徴と
    するポリエステル繊維。
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