JP2931416B2 - 共重合ポリエステル繊維 - Google Patents

共重合ポリエステル繊維

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JP2931416B2 JP41314690A JP41314690A JP2931416B2 JP 2931416 B2 JP2931416 B2 JP 2931416B2 JP 41314690 A JP41314690 A JP 41314690A JP 41314690 A JP41314690 A JP 41314690A JP 2931416 B2 JP2931416 B2 JP 2931416B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改質ポリエステル繊維
に関し、更に詳細には洗濯を繰り返しても、初期の親水
性能が良好なレベルのまま維持され、かつ色相も白度が
良好なレベルであることを特徴とする改質ポリエステル
繊維に関する。
【0002】更に詳しくは、本発明を構成する共重合ポ
リエステルは、高い表面濡れ易さを有し、本発明の共重
合ポリエステル繊維は、該共重合ポリエステルが有する
高い表面濡れ易さに由来して、布帛のごとき集合体の形
態で高い濡れ性、吸水性を発揮し、しかも洗濯などの処
理にもかかわらず高い濡れ性、吸水性を長期にわたって
維持することができる。しかも長期間使用しても、酸化
分解等による繊維の黄変、酸化分解による分解ガス発生
による発火などの問題が実質的にない改質ポリエステル
繊維に関する。
【0003】
【従来の技術】ポリエステル繊維はイ−ジ−ケア性を始
め多くの優れた特性を有しており、広く用いられている
が、一方で疎水性であるため、木綿をはじめとする天然
繊維と比較して吸水性や吸湿性が著しく劣り、吸水性や
吸湿性を要求される分野での利用が大きく制限されてい
る。
【0004】従来より、この問題を解決するためにポリ
エステル繊維に吸水性、吸湿性を付与しようとする試み
がなされてきたが、大部分は繊維形状の工夫や後加工に
よるものである。例えば高い吸水性、保水性を要求され
る不織布用途を考えた場合、繊維表面への親水化剤のコ
−ティングや、ポリオキシアルキレングリコ−ルかつ/
またはスルホン酸金属塩誘導体などの親水化剤を紡糸時
に練り込むことが行われている。その中には効果の認め
られるものもあるが、添加工程および使用時にこれら親
水化剤の脱落や溶出の恐れがあり、長期にわたっての効
果は期待できない。また脱落や溶出した親水化剤の人体
に対する安全性も未知の部分があるため用途がかなり限
定される。
【0005】一方、ポリマ−自身の改質方法としては、
ポリオキシエチレングリコ−ルを共重合することが知ら
れているが、その効果は比較的小さいものにとどまって
いる。そこで、かかるポリオキシエチレングリコ−ル共
重合ポリエステルの欠点を改良すべく、種々の提案がな
されてきた。その一つとして、グラフト状構造を有する
重合体、即ち重合体の主鎖に対して側鎖にポリオキシエ
チレングリコ−ル構造を有する重合体について研究がな
されている。
【0006】しかしながらこの方法は、効果は認められ
るものの側鎖にポリエチレングリコ−ル構造を導入した
だけではその程度は小さく、満足できる効果を得るには
大量に添加する必要がある。その結果最終的に得られる
共重合ポリエステルの物性低下が著しく、実用に耐えら
れるものではない。
【0007】また、一方で親水性を十分に発揮させるた
めにポリオキシアルキレン鎖をポリエステル鎖中へ多量
に導入する場合の大きな問題点として、重合時にポリマ
−が黄色に着色する問題があり、繊維製品としては好ま
しくないとの実情であった。更に、しばしば発生するト
ラブルとして、長期間使用していると繊維が黄変してき
たり、更に激しい場合には、ポリアルキレン鎖の酸化分
解が発生し、それにより可燃性分解ガスが発生し発火す
る問題がまれにあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した問題を解消して、洗濯を繰り返しても優れた親水性
を有し、なおかつ繊維に着色の少ない白度良好であり、
長期間使用してもトラブルが発生しないポリエステル繊
維を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、片末端を
封鎖したポリオキシアルキレングリコ−ルをポリエステ
ル主鎖中に共重合したポリエステルよりなる繊維をベ−
スに、その洗濯繰り返しに対する親水耐久性を改善すべ
く鋭意検討を行った。その結果、おどろくべきことに亜
燐酸系抗酸化剤又は次亜燐酸系抗酸化剤をポリマ−中に
特定量含有させることにより、その親水耐久性が顕著に
改善されるとともに、色相が著しく改良されることを見
いだすに至った。
【0010】また、本発明者等は、片末端を封鎖したポ
リオキシアルキレングリコ−ルを主鎖末端に共重合した
ポリエステル繊維のみならず、片末端を封鎖したポリオ
キシアルキレングリコ−ルを主鎖中にペンダント状に共
重合したポリエステル繊維についても上記効果が同様に
呈せられることを見いだした。本発明はこれらの知見に
基づいて更に重ねて検討した結果完成したものである。
【0011】更に、おどろくべきことに、従来のポリオ
キシアルキレン化合物使用する上で問題であった長期間
使用した場合の繊維の黄変の発生及び酸化分解の発生
が、上記亜燐酸系抗酸化剤または次亜燐酸系抗酸化剤に
所定量のヒンダ−トフェノ−ル系抗酸化剤を混合して用
いることにより、飛躍的に改良されることを見い出した
ものである。
【0012】すなわち本発明は、片末端を封鎖したポリ
オキシアルキレングリコールを1.0〜30重量%共重
合したポリエステルに、亜燐酸系抗酸化剤(A)または次
亜燐酸系抗酸化剤(B)とヒンダードフェノール系抗酸化
剤(C)とからなり、かつ下記(a)式を満足する混合物が、
該ポリオキシアルキレングリコールに対して0.5〜3
0重量%の範囲で含有されているポリエステルからなる
共重合ポリエステル繊維である。 0.1≦{[A]+[B]}/[C]≦20.0 ・・・・・ (a) (ただし、[A]、[B]、[C]はそれぞれ抗酸化
(A)、(B)、(C)のモル数を表す。)
【0013】 本発明で
いうポリエステルは、テレフタル酸を主たる酸成分と
し、炭素数2〜6のアルキレングリコ−ル、即ちエチレ
ングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレ
ングリコ−ル、ベンタメチレングリコ−ル及びヘキサメ
チレングリコ−ルから選ばれた少なくとも一種のグリコ
−ルを主たるグリコ−ル成分とするポリエステルを対象
とする。
【0014】かかるポリエステルは、その酸成分である
テレフタル酸の一部を他の二官能性カルボン酸で置き換
えてもよい。このような他のカルボン酸としては、例え
ばイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、
ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸、β−オキシエトキシ安
息香酸、p−オキシ安息香酸の如き二官能性芳香族カル
ボン酸、セバシン酸、アジピン酸、蓚酸の如き二官能脂
肪族カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の
如き二官能性脂環族カルボン酸等を上げることができ
る。また、ポリエステルのグリコ−ル成分の一部を他の
グリコ−ル成分で置き換えてもよく、かかるグリコ−ル
としては、主成分以外の上記グリコ−ル及び他のジオ−
ル化合物、例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノ−
ル、ネオペンチルグリコ−ル、ビスフェノ−ルA、ビス
フェノ−ルSの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオ−ル
化合物、両末端が未封鎖のポリオキシアルキレングリコ
−ル等があげられる。
【0015】かかるポリエステルは任意の方法によって
製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタ
レ−トについて説明すれば、テレフタル酸とエチレング
リコ−ルとを直接エステル化反応させるか、テレフタル
酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステル
とエチレングリコ−ルとをエステル交換反応させるか又
はテレフタル酸とエチレンオキサイドを反応させるかし
て、テレフタル酸のグリコ−ルエステル及び/又はその
低重合体を生成させる第1段反応、次いで第1段反応生
成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反
応させる第2段の反応とによって容易に製造される。
【0016】本発明においては、上記基体ポリエステル
に片末端を封鎖したポリオキシアルキレングリコ−ルが
共重合される。かかる片末端を封鎖したポリオキシアル
キレングリコ−ルとしては、例えば下記一般式(1)、
(2)及び(3)
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】で表されるポリオキシアルキレングリコ−
ル系化合物をあげることができ、これらは1種単独でも
2種以上併用してもよい。
【0021】上記式(1)、(2)及び(3)中、R↓
1、R↓3及びR↓5は炭化水素基を示し、アルキル基、
シクロアルキル基、アリ−ル基又はアルキルアリール基
が好ましい。R↓2、R↓4及びR↓6はアルキレン基で
あり、炭素原子数2〜4のアルキレン基が好ましく、具
体的にはエチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基
が例示される。また2種以上の混合、例えばエチレン基
とプロピレン基とをもった共重合体であってもよい。n
は重合度を示す正の整数であり、好ましいのは10〜1
40の範囲である。10未満では十分な耐久親水性が得
られ難く、140を越えて大きくなると共重合が困難と
なる傾向が見られ、かえって耐久親水性が劣るようにな
る。
【0022】かかるポリオキシアルキレングリコ−ル系
化合物の好ましい具体例としては、上記式(1)で示さ
れる化合物としてポリオキシエチレングリコ−ルモノメ
チルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ルモノフェ
ニルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ルモノオク
チルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ル
モノノニルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレングリ
コ−ルモノセチルエ−テル、ポリオキシプロピレングリ
コ−ルモノフェニルエ−テル、ポリオキシプロピレング
リコ−ルモノノニルフェニルエ−テル、ポリオキシテト
ラメチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ポリオキシ
エチレングリコ−ル/ポリオキシプロピレングリコ−ル
共重合体のモノメチルエ−テル等をあげることができ
る。
【0023】上記式(2)で示される化合物の好ましい
具体例としてはポリオキシエチレングリコ−ルメチル1,
2−ジヒドロキシプロピルエ−テル、ポリオキシエチレ
ングリコ−ルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエ−
テル、ポリオキシエチレングリコ−ルイソプロピル1,2
−ジヒドロキシプロピルエ−テル、ポリオキシエチレン
グリコ−ルn−ブチル1,2−ジヒドロキシプロピルエ−
テル、ポリオキシエチレングリコ−ルオクチルフェニル
1,2−ジヒドロキシプロピルエ−テル、ポリオキシエチ
レングリコ−ルノニルフェニル1,2−ジヒドロキシプロ
ピルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ルセチル1,
2−ジヒドロキシプロピルエ−テル、ポリオキシプロピ
レングリコ−ルメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエ−
テル、ポリオキシプロピレングリコ−ルフェニル1,2−
ジヒドロキシプロピルエ−テル、ポリオキシプロピレン
グリコ−ルn−ブチル1,2−ジヒドロキシプロピルエ−
テル、ポリオキシプロピレングリコ−ルオクチルフェニ
ル1,2−ジヒドロキシプロピルエ−テル、ポリオキシプ
ロピレングリコ−ルノニルフェニル1,2−ジヒドロキシ
プロピルエ−テル、ポリオキシテトラメチレングリコ−
ルメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエ−テル、ポリオ
キシエチレングリコ−ル/ポリオキシプロピレングリコ
−ル共重合体のメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエ−
テル等をあげることができる。
【0024】更に、上記式(3)で示される化合物の好
ましい具体例としてはポリオキシエチレングリコ−ルメ
チルグリシジルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−
ルフェニルグリシジルエ−テル、ポリオキシエチレング
リコ−ルイソプロピルグリシジルエ−テル、ポリオキシ
エチレングリコ−ルn−ブチルグリシジルエ−テル、ポ
リオキシエチレングリコ−ルオクチルフェニルグリシジ
ルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ルノニルフェ
ニルグリシジルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−
ルセチルグリシジルエ−テル、ポリオキシプロピレング
リコ−ルメチルグリシジルエ−テル、ポリオキシエチレ
ングリコ−ルフェニルグリシジルエ−テル、ポリオキシ
エチレングリコ−ルn−ブチルグリシジルエ−テル、ポ
リオキシエチレングリコ−ルオクチルフェニルグリシジ
ルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ルノニルフェ
ニルグリシジルエ−テル、ポリオキシテトラメチレング
リコールメチルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレ
ングリコール/ポリオキシプロピレングリコール共重合
体のメチルグリシジルエーテル等をあげることができ
る。
【0025】上記の化合物を前記基体ポリエステルに共
重合するには、前述したポリエステルの合成が完了する
までの任意の段階、例えば第1段階の反応開始前、反応
中、反応終了後、第2段階の反応中等の任意の段階で添
加し、添加後重縮合反応を完結すればよい。
【0026】その使用量は、あまりに少ないと最終的に
得られる改質ポリエステル繊維の親水性が不十分にな
り、逆にあまりに多いと最早親水性は著しい向上を示さ
ずかえつて物性低下や耐熱性・耐光性の悪化を招来する
ようになる。従ってその使用量は共重合ポリエステルに
対して1.0〜30重量%の範囲が適当であり、なかでも
5〜25重量%の範囲が好ましい。
【0027】本発明の改質ポリエステル繊維を構成する
ポリエステルは、上記した片末端封鎖ポリオキシアルキ
レングリコールが共重合されていると共に必須成分とし
て亜燐酸系抗酸化剤(A)又は次亜燐酸系抗酸化剤
(B)とヒンダートフェノール系抗酸化剤(C)を特定
の割合で特定量含有する。
【0028】本発明に用いられる抗酸化剤としては、例
えばヒンダートフェノール系では下記(1)式の如きも
の、亜燐酸系では下記(2)〜(4)および(6)式の
もの、次亜燐酸系では下記(5)式のもの、またこれら
がポリエステルの同一分子中に組み込まれてもよい。
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】これらの抗酸化剤は別々に添加しても混合
して添加しても良く、また樹脂の原料または合成工程ま
たは成型工程の任意の所で添加することができるが、沸
点や昇華点の低いものは成型工程での添加がより好まし
い。
【0036】さらに研究の結果抗酸化剤(A)または
(B)を用いるとポリエステル樹脂の重合触媒のうちア
ンチモン系の触媒を用いた場合には、金属色(銀色)の
着色が生じ、これを防止し、ポリマーの色相を向上させ
るためにはチタン系、亜鉛系などの触媒を用いるのが良
いが、この中で特にゲルマニウム(Ge)系の重合触媒を用
いる事が樹脂の色相等の点から一段と好ましい事が明ら
かとなった。
【0037】上記、抗酸化剤は(a)式を満足する範囲
内で、抗酸化剤(A)、(B)、(C)それぞれ1種類
単独で使用しても、また2種類以上を併用してもよい。
【0038】かかる抗酸化剤を共重合ポリエステル繊維
に含有させるには、前述したポリエステルのポリマー製
造を経て、繊維の製造が完了するまでの任意の段階、例
えば第1段の反応開始前、反応中、反応終了後、第2段
の反応中及び紡糸前等の任意の段階で添加し、しかる後
製造を完結すればよい。その使用量が、共重合成分であ
る前記ポリオキシアルキレングリコールに対して0.5重
量%未満では該抗酸化剤の使用による改質ポリエステル
繊維の耐久親水性の向上が不十分となるとともにポリマ
ー色相改良が不十分となり、逆にこの量が30重量%を
越えると、最早耐久親水性及びポリマー色相の著しい向
上効果が認められず、かえって最終的に得られる繊維の
物性が低下するのみならず、紡糸性や延伸性等の製糸化
パーフォーマンスが不良化するようになる。従って、そ
の使用量は、前記ポリオキシアルキレングリコールに対
して0.5〜30重量%の範囲が適当である。
【0039】本発明の大きな特徴のもう一つは、本発明
の共重合ポリエステルによる繊維が長期間使用しても一
般的にポリアルキレングリコール化合物に特有の問題が
顕在化することなく黄変がしにくく、しかも酸化分解が
発生して、可燃性ガスが発生してくるトラブルの発生が
認めらないことである。本発明者等は鋭意検討した結
果、前記(a)式を満たす範囲で(A)、(B)、(C)
の抗酸化剤を混合して用いることにより上記問題点が飛
躍的に改善されることが初めて明らかとなった。特に、
ポリアルキレングリコール化合物の共重合量が多い程、
本発明の効果がより発揮されてくることがわかった。
【0040】なお、本発明の改質ポリエステル繊維に
は、更に酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含有させてもよ
く、むしろ好ましいことである。その他、必要に応じて
難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤等の添加剤を含有させても
よい。
【0041】このようにして得られたポリエステルの重
合度は、フェノールとテトラクロロエタンの等重量混合
溶液中、30℃で測定した極限粘度[η]が 0.5〜1.
5の範囲、特に0.6〜1.0の範囲内にあるものが好まし
い。
【0042】このようにして得られた改質ポリエステル
を繊維にするには、格別の方法を採用する必要はなく、
ポリエステル繊維の溶融紡糸法が任意に採用される。例
えば、500 〜2500 m/分の速度で紡糸し、延伸・熱処理
する方法、1500 〜5000 m /分の速度で紡糸し、延伸と
仮撚加工とを同時に又は続いて行う方法、5000 m /分以
上の高速で紡糸し、用途によっては延伸工程を省略する
方法等任意の製糸化方法が採用される。ここで紡出する
繊維は中空部を有しない中実繊維であっても、中空部を
有する中空繊維であってもよい。
【0043】しかし、本発明の共重合ポリエステル繊維
による不織布等の繊維集合体における親水性能は、単糸
デニールを5デニール以下にすることにより一段と優れ
た親水性能が発揮される事がわかっている。親水性能の
評価方法については後で説明するが、吸液率および繰り
返し吸液速度ともに単糸デニールが5デニール以上にな
ると、対照のポリエステル繊維と比較して5デニール以
下の場合ほど顕著な性能の差が認められなくなることが
わかった。理由について現時点では明確に断定できない
が、繊維集合体におけるポリマー自体の親水性能と集合
体の形状でのキャピラリー効果の相関関係が微妙にバラ
ンスされるためと推定している。したがって、本発明の
繊維としては1〜5デニール程度のものが適当であるが
必ずしもこれらに限定されない。
【0044】また、本発明の繊維の断面形状は丸断面以
外の異形断面でも差し支えない。例えば、紡糸時の異形
断面ノズルにより三葉形、T形、四葉形、五葉形、六葉
形、七葉形、八葉形等多葉形や各種の断面形状として
も、これまでに説明してきたポリマー組成と単繊維デニ
ールの要件を満たせば良好な親水性能を有したポリエス
テル系繊維を得ることができる。異形断面形状の中で特
に凹部を有する断面形状は、その凹部にすみやかに水分
を吸引する一種の毛管現象が発現され、さらに優れた吸
水性を付加させることになり、より好ましい。
【0045】また、さらにはいわゆる芯鞘構造や、背腹
構造の複合繊維とすることもできるが、この場合本発明
の共重合ポリエステル成分が繊維断面占有面積で20%
以上、さらに好ましくは40%以上が繊維表面に存在し
ているならば十分に本発明の効果は発現される。また、
本発明の共重合ポリエステルによる繊維100%で最終
製品を作っても良いし、必要に応じては他の繊維と適宜
混合しても良い。ただし、余り混合率が低くなると十分
な吸水率が得られなくなることは言うまでもない。更
に、繊維の形態としては長繊維状であっても短繊維状で
あってもよい。
【0046】また、長期間使用による繊維の黄変性に関
しては、耐光性テストを実施することにより判断するこ
とができた。耐光性評価は、JIS L−0842によ
り、カーボンフェード63℃、20hr照射して評価を行
なった。
【0047】酸化分解性は、DSCにより 200 〜 250
℃付近に発生する分解による発熱ピーク面積の大小で判
断することができた。DSCは、メトラー社製TA− 3
000型DSC(示差走査熱量計)を用いて、測定サンプ
ルを10℃/分の昇温速度において測定した。
【0048】本発明繊維の具体的な用途としては、衣料
用、非衣料用分野が挙げられ、なかでも掛ふとん、敷ふ
とん、不織布、ナプキン、モップ及びぞうきん、タオル
及びタオルケット、ワイパー、シーツ、ユニフォーム等
にも最適である。
【0049】以下に実施例により、本発明をさらに詳細
に説明する。以下の実施例並びに比較例で用いた抗酸化
剤は次のとおりである。 抗酸化剤A
【0050】
【化10】 抗酸化剤B
【0051】
【化11】 抗酸化剤C
【0052】
【化12】 抗酸化剤D
【0053】
【化13】
【0054】繊維の親水性能は、ポリマーを繊維化し、
さらに不織布状にした後、水の吸液率と繰り返し吸液速
度及び吸水長を求めることで評価できる。
【0055】まず、共重合ポリエステルを重合し、反応
系の溶融粘度がポリエチレンテレフタレートの所定の極
限粘度に相当するレベルに達した時に、この共重合ポリ
エステルをペレット化してその後、押出機で285℃に
て丸断面ノズルで紡糸し、75℃の温水中で延伸し90℃
で熱固定した後機械捲縮をかけて、ステアリルホスフェ
ートのエチレンオキサイド付加物を主成分とする油剤を
0.1重量%になるように付与、150℃で10分間弛緩
熱処理し、次いで、51mmの長さに切断して単糸デニー
ル2.0の綿にした。
【0056】次いで試料とした不織布の作成は、測定す
る試料原綿に熱融着性繊維(鞘成分がポリエチレン成分
から形成されている(株)クラレ製ソフィットN−71
0タイプ、2デニール、51mmのもの)を20重量%混
綿し、その後カードを通して目付約40g/m↑2 のウ
ェブを作成し、その後5m/min 速度で水流が30kg/
cm↑2 の条件で水流絡合させた後風乾し、さらにオート
ドライヤーにて150℃下、1分間の条件で熱処理した
ものを吸水性測定用試料とした。
【0057】洗濯処理は、JIS 0217−103法
にしたがって実施した。すなわち、40℃の水11に2
gの割合で衣料用合成洗剤を添加、溶解し洗濯液とす
る。この洗濯液に浴比が1対30になるように試料およ
び必要に応じて負荷布を投入して運転を開始する。5分
間処理した後運転を止め、試料および負荷布を脱水機で
脱水し、次に洗濯液を常温の新しい水に替えて同一の浴
比で2分間濯ぎ洗いをした後脱水する。再び2分間濯ぎ
洗いを行い風乾させる。以上の操作を10回繰り返し、
10回洗濯後の測定試料とした。
【0058】吸上長は、該不織布を用いJIS L1096
吸水性試験B法によるバイレックス法に準じて測定を行
った。該測定不織布を20×2.5cmの試験片とし、た
て方向及びよこ方向にそれぞれ5枚採取し、各試験片を
20±2℃の水を入れた水槽上の一定の高さに支えた水
平棒上にピンで止め、試験片の下端を一線に並べて水平
棒を降ろして、試験片の下端がちょうど水につかるよう
にし、10分間の毛細管現象による水の上昇した高さ
(mm) を測定した。試験回数はたて方向及びよこ方向そ
れぞれ5回とし、そのそれぞれの平均値(mm)をプラスし
たもので表した。
【0059】ポリマーの極限粘度[η]については、
フェノールとテトラクロロエタンの等重量混合溶媒を用
い、対象となるポリマーの0.25g/dl、 0.50g/dlおよび
1.0g/dlの3種の濃度の溶液について30℃の温度にお
いて測定した3種の還元粘度から求めた。
【0060】
【実施例1〜8、比較例1〜3】テレフタル酸1000
g、エチレングリコール750gをエステル化反応器に
仕込み、230℃で2.5kg/cm↑2 の圧力下で2時間
エステル化反応を行った。次いでこの反応物をあらかじ
め、230℃に加熱してある重縮合器に移し、この系
に、三酸化アンチモン0.4g、亜リン酸0.05gを
添加し、更に抗酸化剤を表1に示される量だけ含有し
た。下記式(b)で示される化合物を表1に示される量だ
け添加し、その後シリコン系消泡剤(東レシリコンSH
5500)0.5gを添加して重縮合反応系を調整し
た。重縮合反応系の温度を230℃〜280℃まで45
分かけて昇温しつつ、徐々に0.1mmHg まで減圧に
し、以後280℃で系の溶融粘度が所定の値に達するま
で重縮合反応を行った。
【0061】
【化14】
【0062】(但し、nは平均値として約25であ
る。)得られたポリエステルの極限粘度は、0.650 〜
0.750の範囲であり、ポリマーは常法によりチップ化し
た。
【0063】これらのチップを常法により乾燥し、孔径
0.2mmの円形紡糸孔を有するノズルを使用して、28
5℃で溶融紡糸し、次いで得られた紡糸原糸を水浴延伸
し、前述の方法で綿を作成し、親水性能を不織布の形態
で評価を行い、結果を表1に示す。本発明の効果は明ら
かであった。また、耐光性評価結果、およびDSCによ
る分解発熱ピーク測定結果からも本発明で述べている効
果は明確である。
【0064】
【実施例9,10、比較例4,5】実施例9、比較例4
は(b)式の化合物でnが平均値である50のものを用
い、実施例10、比較例5は(b)式の化合物でnが平均
値で30のものを用い、表1に示す条件で抗酸化剤を添
加した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。比較
例5は紡糸性延伸性が不良であった。結果を表1に示す
が、本発明の効果は明らかである。
【0065】
【実施例11、比較例6】ポリオキシアルキレングリコ
ール化合物として、下記式(c)で示される化合物を用
い、他は表1の条件で行なった以外は実施例1と同様の
方法で実施した。
【0066】
【化15】
【0067】(但し、nは平均値として約55である)
結果を表1に示すが、本発明の効果は明らかである。
【0068】
【実施例12、比較例7】ポリオキシアルキレングリコ
ール化合物として下記式(d)で示される化合物を用い表
1の条件で行なった以外は、実施例1と同様の方法で実
施した。
【0069】
【化16】
【0070】(但し、nは平均値として約55である)
結果を表1に示すが、本発明の効果は明らかである。
【0071】
【実施例13,14、比較例8】ポリオキシアルキレン
グリコール化合物として下記式(e)で示されるポリオキ
シエチレングリコールモノフェニルエーテルを用い、表
1で示される条件で重合した以外は実施例1と同様の方
法で実施した。
【0072】
【化17】 (但し、nは平均値として約55である)結果を表1に
示すが、本発明の効果が得られていることは明らかであ
る。
【0073】
【実施例15】実施例1と同一の共重合ポリエステルを
用い、該共重合ポリエステルを鞘成分とし、一方[η]
0.65のポリエチレンテレフタレートを芯成分として複
合紡糸を実施し、常法により水浴延伸を実施し、単糸デ
ニール2デニールの綿を作成した。その後実施例1と同
様の方法により評価を実施し、良好な結果が得られた。
【0074】
【比較例9】ポリオキシアルキレングリコール化合物を
共重合することなく、また抗酸化剤を添加しなかった以
外は実施例1と同様の方法で繊維化し、不織布として上
記実施例1と同様の測定を行なった。結果を表1に示
す。
【0075】
【表1】
【表2】
【0076】
【発明の効果】本発明により提供される共重合ポリエス
テルは高い表面濡れ易さを有し、さらに繊維になした際
に、布帛のごとき繊維集合体の形態で高い表面濡れ性、
吸水性を発揮し、しかも洗濯などの処理にもかかわらず
高い表面濡れ性、吸水性を長期にわたって維持すること
ができる。しかも、繊維の着色も少なく良好なレベルを
維持し、しかも繊維の経時的な変色も発生せず、かつ酸
化分解の問題もないため、衣料、非衣料分野の巾広い用
途への展開が可能である。
【0077】本発明において、片末端を封鎖したポリオ
キシアルキレングリコールの特定量を共重合したポリエ
ステル繊維の親水性能と色相が本発明で述べている抗酸
化剤を加えることにより一段と向上する理由について明
確にはわからないが、片末端を封鎖したポリオキシアル
キレングリコールと抗酸化剤の相互作用によって、くり
かえし洗濯処理をしても繊維からの脱落が抑止されると
同時に、重合紡糸時の熱履歴を経た時のポリマー耐熱性
が向上するためと想像される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−91213(JP,A) 特開 平1−124614(JP,A) 特開 昭63−50523(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/92 301 - 309 D01F 6/86 301

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】片末端を封鎖したポリオキシアルキレング
    リコールを1.0〜30重量%共重合したポリエステル
    に、亜燐酸系抗酸化剤(A)または次亜燐酸系抗酸化剤(B)
    とヒンダードフェノール系抗酸化剤(C)とからなり、か
    つ下記(a)式を満足する混合物が、該ポリオキシアルキ
    レングリコールに対して0.5〜30重量%の範囲で含
    有されているポリエステルからなる共重合ポリエステル
    繊維。 0.1≦{[A]+[B]}/[C]≦20.0 ・・・・・ (a) (ただし、[A]、[B]、[C]はそれぞれ抗酸化
    (A)、(B)、(C)のモル数を表す。)
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