JP3113745B2 - ポリエステル繊維または成形品の製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維または成形品の製造方法

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JP3113745B2 JP27493092A JP27493092A JP3113745B2 JP 3113745 B2 JP3113745 B2 JP 3113745B2 JP 27493092 A JP27493092 A JP 27493092A JP 27493092 A JP27493092 A JP 27493092A JP 3113745 B2 JP3113745 B2 JP 3113745B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルからなる繊
維または成形品の製造方法に関する。詳細には、本発明
は黄変等の変色のないポリオキシアルキレン鎖含有共重
合ポリエステルからなる繊維または成形品の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート繊維に代表
されるポリエステル繊維は、イージーケア性をはじめと
して多くの優れた特性を有しており、種々の用途に広く
用いられている。しかし、疎水性であって、木綿をはじ
めとする天然繊維と比較して吸水性に著しく劣るため
に、吸水性が要求される分野での利用が大きく制限され
ている。
【0003】上記の点から、ポリエステル繊維に親水性
または吸水性を付与しようとする試みが従来から色々な
されているが、大部分はポリエステル繊維の製造時に親
水化剤を練り込んだり、繊維や繊維製品の製造後に繊維
の表面に親水化剤をコーティングするものである。しか
し、その場合には使用時に親水化剤が繊維から脱落した
り溶出して失われることが多く、長期間にわたって親水
性や吸水性を保つことが困難であり、しかも脱落したり
溶出した親水化剤が人体に対して害を及ぼす心配があ
る。
【0004】そこで、上記の問題を解決するために、ポ
リエステルの製造時に分子中にポリオキシアルキレン鎖
を有する親水性成分を共重合させて、分子中にポリオキ
シアルキレン鎖を有する親水性ポリエステル共重合体を
製造することが色々提案されている。そのような従来技
術としては、ポリエステルの製造時にポリオキシアル
キレンジオールまたはそのモノアルキルエーテル等の片
末端封鎖物を共重合させて、主鎖途中または主鎖末端に
ポリオキシアルキレン鎖を有する共重合ポリエステルと
するもの、ポリエステルの製造時にそのジオール成分
の一部として複数のポリオキシアルキレン側鎖を有する
特定のポリエーテル型ジオールを使用して、複数のポリ
オキシアルキレン側鎖を有するポリエステル共重合体と
するもの(特公昭48−8270号公報および特公昭4
9−12915号公報)、ポリエステルの製造時にス
ルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸成分と特定の
側鎖型ポリオキシアルキレンジオール成分を共重合させ
るもの(特開昭64−9263号公報)、および特定
の1個のポリオキシアルキレン側鎖を有するジオールま
たはエポキシ化合物をポリエステルの製造時に共重合さ
せるもの(特開平1−234420号公報および特開平
1−236236号公報)を挙げることができる。
【0005】しかし、上記の場合は、そこで使用する
ポリエーテル型ジオールにおける2個の水酸基が2級水
酸基であるためか、ジカルボン酸成分との反応性に乏し
くポリエステル分子中に充分に組み込まれず、したがっ
てこのポリエステルから製造された繊維の使用または洗
濯時に共重合されずに樹脂中に分散している該ポリエー
テル型ジオールの浸出や溶出による親水性や吸水性の低
下が見られた。また、上記、およびの場合にも、
必ずしも充分な親水性、吸水性および保水性が発揮でき
ないことが判明した。
【0006】
【発明の内容】上記の点から、本発明者らは、長期間に
亙って良好な親水性や吸水性を保つことのできるポリエ
ステル樹脂およびそれからなる繊維を開発することを目
的として研究を行ってきたが、その結果、下記の式
(I);
【0007】
【化1】 (式中、R1およびR2はそれぞれ水素原子またはアルキ
ル基、Arは3価の芳香族基、Mは金属原子を示す)で
表されるジカルボン酸成分を一部含有するジカルボン酸
成分、下記の式(II);
【0008】
【化2】 (式中、R3はアルキレン基、mは10〜100の数を
示す)で表されるジオールを一部含有するジオール成
分、および下記の式(III);
【0009】
【化3】 (式中、Aはエステル形成性官能基、R4は炭素数1〜
18の炭化水素基、R5はアルキレン基、nは10〜1
00の数を示す)で表される側鎖形成成分を原料成分と
して用いて、酸化アンチモン重合触媒の使用下に重縮合
させると、親水性および吸水性に優れたポリエステル
[以後、これを「ポリエステル(P)」という]が得られ
ること、そしてそのポリエステル(P)からなる繊維や布
帛等の繊維製品は、長期に亙って良好な親水性や吸水性
を保ち得ることを見出して先に出願した(特願平3−3
53355号)。
【0010】そして、本発明者らが更に研究を行ったと
ころ、上記のポリエステル(P)中に更に亜リン酸エステ
ル系酸化防止剤を添加したポリエステル組成物からは、
特に白度の高い好ましい色調を有する繊維や成形品が得
られることがわかった。しかし、その親水性および吸水
性という特性を生かして、本発明者らの開発した繊維か
らウエットティッシュやふきんなどの製品や親水性フイ
ルムなどを形成した場合には、湿潤状態で保存したり長
時間使用すると、経時的に色調が変化して黄色度が高ま
る傾向があること、及びこの傾向は前記〜のごとき
公知のポリエステル共重合体についても認められ、分子
中にポリオキシアルキレン鎖を有する共重合ポリエステ
ルに共通の現象であることがその後の研究で明らかにな
った。
【0011】そこで、本発明者らは、分子中にポリオキ
シアルキレン鎖を有する共重合ポリエステルから、黄変
等の変色を生じず良好な色調を保つことのできるポリエ
ステル繊維や成形品を得ることを目的として更に研究を
続けてきた。その結果、分子中にポリオキシアルキレン
鎖を有する共重合ポリエステル中に亜リン酸エステル系
酸化防止剤を添加したポリエステル組成物から繊維また
は成形品を形成し、それを更に特定の温度で長時間熱処
理すると、上記の目的を達成できることを見出して本発
明を完成した。
【0012】したがって、本発明は、分子中にポリオキ
シアルキレン鎖を有する共重合ポリエステルと亜リン酸
エステル系酸化防止剤とからなるポリエステル組成物か
ら繊維または成形品を形成し、100℃以上の温度で3
時間以上熱処理することを特徴とするポリエステル繊維
または成形品の製造方法である。
【0013】本発明においては、共重合ポリエステルを
構成するジカルボン酸成分が、必ずしも限定されるもの
ではないが、上記ポリエステル(P)を得る目的からは、
芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を
主成分とし、それに少量の上記の式(I)で表されるジカ
ルボン酸成分[以後「ジカルボン酸成分(I)」という]
を含み、更に必要に応じて他のジカルボン酸成分を少量
含むものであることがよい。
【0014】その際のジカルボン酸成分(I)としては、
上記の式(I)において、R1およびR2がそれぞれメチル
基、エチル基等の低級アルキル基であり、Mがナトリウ
ム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属原子である
のが望ましい。その具体例としては、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
ジメチル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジエチ
ル、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムス
ルホイソフタル酸ジメチル、5−カリウムスルホイソフ
タル酸ジエチル、5−リチウムスルホイソフタル酸、5
−リチウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−リチウム
スルホイソフタル酸ジエチル、2−ナトリウムスルホテ
レフタル酸などの金属スルホン酸化されたベンゼンジカ
ルボン酸またはその低級アルキルエステル;4−ナトリ
ウムスルホ−2,7−ナフタレンジカルボン酸、4−ナ
トリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4
−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸
ジメチルエステル、6−ナトリウムスルホ−1,4−ナ
フタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホ−1,4
−ナフタレンジカルボン酸などの金属スルホン酸化され
たナフタレンジカルボン酸またはその低級アルキルエス
テルなどを挙げることができる。
【0015】ジカルボン酸成分(I)は、ポリエステルを
構成する全酸成分[すなわち芳香族ジカルボン酸、その
エステル形成性誘導体、ジカルボン酸成分(I)およびそ
の他の酸成分の合計量]に基づいて、0.5〜10モル
%の範囲であるのが好ましく、特に1〜7モル%である
のが好ましい。ジカルボン酸成分(I)の割合が0.5モ
ル%よりも少ないと、目的に応じては繊維や成形品を構
成するポリエステルの表面濡れ性が不充分となり、一方
10モル%を越えるポリエステルでは、スルホネート基
によるイオン間相互作用によりポリエステルの製造時に
増粘を生じて重縮合反応の継続が困難になるために所望
の極限粘度に到達せず、繊維や成形品の強度等が劣った
ものとなる。
【0016】ポリエステルを構成するジカルボン酸成分
(I)以外のカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5
−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカル
ボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−
ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカル
ボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、
4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−
ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ジ
フェノキシエタン−4',4”−ジカルボン酸、2,5
−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジ
カルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸などの芳香
族ジカルボン酸;β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p
−オキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸;
またはそれらのエステル形成性誘導体を挙げることがで
き、これらのカルボン酸またはそのエステル形成性誘導
体は1種類のみ、または2種以上を使用することができ
る。
【0017】上記した芳香族ジカルボン酸成分と共に、
アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジ
カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族
ジカルボン酸やそのエステル形成性誘導体をも併用する
ことができるが、ポリエステルの機械的性能などの点か
ら、全酸成分の70モル%以上が芳香族ジカルボン酸成
分、特にテレフタル酸であるのが望ましい。
【0018】本発明では、繊維または成形品を構成する
ポリエステル中のジオール成分が、必ずしも限定される
ものではないが、上記ポリエステル(P)を得る目的から
は、上記の式(II)で表されるジオール[以後「ジオール
(II)」という]から誘導される共重合単位を有すること
が好ましい。ジオール(II)において、R3は炭素数1〜
4のアルキレン基であるのが好ましく、エチレン基また
はプロピレン基であるのがより好ましい。繊維や成形品
の表面濡れ性、吸水性、親水性などの点から、R3がエ
チレン基であるのが特に好ましい。ジオール(II)ではエ
チレン基とプロピレン基が同じ分子中に存在していても
よい。また、ジオール(II)において、そのオキシアルキ
レン単位の重合度を示すmは上記したように10〜10
0の範囲内の数であり、mが20〜80の範囲の数であ
るのが好ましい。ジオール(II)において、mが10より
も小さいと繊維や成形品の表面濡れ性、親水性および吸
水性の程度が小さく、一方100を超えても、吸水性や
親水性はそれ以上向上せず、むしろポリエステルに着色
が生じ易くなる。ジオール(II)の例としては、mが上記
10〜100の範囲内であるポリオキシエチレングリコ
ール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエ
チレン/ポリオキシプロピレングリコール等を挙げるこ
とができる。そして、繊維や成形品を構成するポリエス
テルは、これらのジオールの1種のみを用いたものであ
っても、または2種以上を用いたものであってもよい。
ポリエステルにおけるジオール(II)の共重合割合は1〜
49重量%であるのが望ましい。
【0019】また本発明では、繊維または成形品を構成
するポリエステルが、ジオール(II)以外の他のジオール
から誘導される共重合単位を有している。そのような他
のジオールとしては、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレン
グリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレ
ングリコール、ノナメチレングリコール、3−メチルペ
ンタン−1,5−ジオール、2−メチルオクタン−1,
8−ジオール、ジエチレングリコール等の脂肪族ジオー
ル;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール
などを挙げることができ、これらのジオールは1種類の
みまたは2種類以上を使用したものであってもよい。繊
維や成形品の機械的性能などの点から、該他のジオール
の70モル%以上が、エチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチ
レングリコールおよびヘキサメチレングリコールなどの
炭素数2〜6の直鎖状アルキレングリコールであるのが
好ましい。
【0020】本発明では、繊維または成形品を構成する
ポリエステルとして、上記ポリエステル(P)を得る目的
においては、上記の式(III)で表される側鎖形成成分
[以後「側鎖成分(III)」という]から誘導される共重
合単位を有していることが好ましい。側鎖成分(III)に
おいて、エステル形成性官能基Aとしては、上記したよ
うなジカルボン酸成分やジオールなど反応して、ポリエ
ステルの主鎖に対して、式;−O−(R5−O)n−R4
表される基を側鎖として導入し得る官能基であればいず
れでもよいが、下記の式;
【0021】
【化4】 で表されるグリシジル基、または下記の式;
【0022】
【化5】 で表される2,3−ジヒドロキシプロピル基が好まし
い。
【0023】側鎖成分(III)において、R4の具体例とし
ては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−
ペンチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ド
デシル、n−ステアリルなどのアルキル基;シクロヘキ
シルなどの炭素数3〜18のシクロアルキル基;フェニ
ル、ノニルフェニルなどの炭素数6〜18のアリール基
を挙げることができる。また、R5は炭素数1〜4のア
ルキレン基であるのが好ましく、エチレン基またはプロ
ピレン基であるのがより好ましい。繊維や成形品の表面
濡れ性、吸水性、親水性などの点から、R5がエチレン
基であるのが特に好ましい。側鎖成分(III)ではエチレ
ン基とプロピレン基が同じ分子中に存在してもよい。ま
た、側鎖成分(III)において、そのオキシアルキレン単
位の重合度を示すnは上記したように10〜100の範
囲内の数であり、nが20〜80の範囲の数であるのが
好ましい。nが10よりも小さいと目的に応じては、ポ
リエステルの表面の濡れ性、親水性および吸水性が不充
分となり、一方100を超えても、吸水性や親水性のそ
れ以上の向上は達成されず、むしろポリエステルに着色
が生じ易くなる。
【0024】 側鎖成分(III)の具体例としては、ポリ
オキシエチレングリコール−メチル−グリシジルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−メチル−2,3−
ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレング
リコール−エチル−グリシジルエーテル、ポリオキシエ
チレングリコール−エチル−2,3−ジヒドロキシプロ
ピルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−n−プ
ロピル−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリ
コール−n−プロピル−2,3−ジヒドロキシプロピル
エーテル、ポリオキシエチレングリコール−t−ブチル
−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール
−t−ブチル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−n−オクチル−グ
リシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−n
−オクチル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、
ポリオキシエチレングリコール−2−エチルヘキシル−
グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−
2−エチルヘキシル−2,3−ジヒドロキシプロピルエ
ーテル、ポリオキシエチレングリコール−n−ドデシル
−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール
−n−ドデシル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−n−ステアリル−
グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−
n−ステアリル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−フェニル−グリシ
ジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−フェニ
ル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキ
シエチレングリコール−ノニルフェニル−グリシジルエ
ーテル、ポリオキシエチレングリコール−ノニルフェニ
ル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキ
シエチレングリコール−シクロヘキシル−グリシジルエ
ーテル、ポリオキシエチレングリコール−シクロヘキシ
ル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキ
シエチレン/ポリオキシプロピレングリコール共重合体
のメチルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレン/ポ
リオキシプロピレングリコール共重合体のメチル−2,
3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレ
ン/ポリオキシプロピレングリコール共重合体のn−プ
ロピル−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレン/ポ
リオキシプロピレングリコール共重合体のn−プロピル
−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテルを挙げること
ができ、ポリエステルはこれらの化合物の1種または2
種以上を用いたものであってよい。
【0025】ポリエステルにおける側鎖成分(III)の共
重合割合は1〜49重量%であるのが望ましい。特に、
本発明で用いるポリエステルとしては、ジオール(II)と
側鎖成分(III)の合計割合が2〜50重量%であるのが
より望ましく、特に5〜30重量%であるのが望まし
い。ジオール(II)と側鎖成分(III)の合計割合が1重量
%よりも少ないと、目的に応じては、ポリエステル繊維
または成形品の表面濡れ性が不充分になり、一方50重
量%を超えると強度などの機械的性能が低下する。
【0026】そして、本発明で用いるポリエステルで
は、ポリエステルを構成する全酸成分の合計量に対する
ジカルボン酸成分(I)のモル百分率をZ(モル%)と
し、ポリエステルの重量に対するジオール(II)および側
鎖成分(III)の合計量をY(重量%)としたときに、Y
/Z=2〜30の範囲内にすると、繊維および成形品の
表面濡れ性および機械的性能を高くすることができ、好
ましい。
【0027】また、本発明におけるポリエステルは、上
記した成分以外にも、例えばグリセリン、トリメチロー
ルプロパンなどのトリオール;ペンタエリスリトールな
どのテトラオール;トリメリット酸、トリメシン酸など
のトリカルボン酸;ピロメリット酸などのテトラカルボ
ン酸などの4価以上のポリカルボン酸などの多官能成分
から誘導された共重合成分をポリエステルの溶融紡糸や
溶融成形が可能な範囲内で少量含んでいてもよい。
【0028】本発明で用いるポリエステルは、フェノー
ルとテトラクロロエタンの等重量混合溶媒中、30℃で
測定した極限粘度が0.5dl/g以上であるのが好ま
しい。極限粘度が0.5dl/gより小さいポリエステ
ルを用いた場合は、強度等の機械的性能が不充分とな
り、特に溶融紡糸により繊維を製造する場合に断糸が多
発し易い。一方、ポリエステルの極限粘度が大きすぎる
と、成形性や紡糸性が不良となり易い。成形性、紡糸
性、得られる成形品や繊維の機械的性能などの点から、
極限粘度が0.55〜1.5dl/g、特に0.6〜
1.0dl/gのポリエステルを使用するのが好まし
い。
【0029】本発明における共重合ポリエステルは、重
縮合触媒として酸化アンチモンを使用するのが、活性の
高さ、得られるポリエステルの色調の良好さおよび耐加
水分解性の高さ等の点で好ましく、ジカルボン酸成分、
ジオール、側鎖成分(III)等の所望のモノマーを用いて
常法により製造することができる。例えば、第一段階で
まずそれらの原料成分を用いて、エステル化反応または
エステル交換反応を行って低重合体を生成させ、次いで
第二段階でその低重合体を重合触媒の存在下に減圧下に
加熱して所望の重合度になるまで重縮合させることによ
り製造することができる。その場合に、ジカルボン酸成
分(I)、ジオール(II)、側鎖成分(III)等のコモノマー
は、重縮合反応が完了するまでの任意の段階で反応系に
添加することができ、例えば上記した第一段階の反応開
始前、反応中、反応終了後、または第二段階の反応中の
任意の段階で添加することができる。
【0030】本発明では、繊維または成形品を構成する
ポリエステルが、重縮合反応の前のエステル化反応およ
びエステル交換反応において、ポリエステルの製造に当
たって使用される公知のエステル化触媒およびエステル
交換反応触媒のいずれを使用したものであってもよい。
【0031】そして、本発明では、ポリエステルが亜リ
ン酸エステル系酸化防止剤を含有していることが必要で
ある。ポリエステル中に亜リン酸エステル系酸化防止剤
を含有させて繊維または成形品を形成し、それを下記の
熱処理に付すことによって、優れた色調改善効果がもた
らされる。亜リン酸エステル系酸化防止剤としては、ポ
リエステル用の酸化防止剤として用いられる亜リン酸エ
ステル系酸化防止剤であればいずれも使用できるが、好
ましい具体例として、下記の式(IV)〜式(VI)で表される
化合物を挙げることができる。
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】上記の亜リン酸エステル系酸化防止剤は1
種類のみを使用しても2種類以上を併用してもよい。亜
リン酸エステル系酸化防止剤の添加量は、上記したジオ
ール(II)、側鎖成分(III)等のポリオキシアルキレン鎖
部分の総重量に基づいて、0.2〜20重量%とするの
が好ましく、0.5〜10重量%であるのがより好まし
い。亜リン酸エステル系酸化防止剤の添加量が少なすぎ
ると、繊維および成形品に対する酸化防止効果が充分で
はなく、色調の改善効果が不充分となり易く、一方20
重量%を超えて添加しても、それ以上の酸化防止効果お
よび色調の改善効果が認められず、逆に紡糸工程などに
おいて単糸切れなどのトラブルを招く恐れがあり、しか
も繊維や成形品の機械的性能が低下し易い。亜リン酸エ
ステル系酸化防止剤の添加時期は特に限定されず、ポリ
エステルの製造時、ポリエステルから繊維や成形品を製
造する際の溶融時等に添加することができるが、特にポ
リエステルの重縮合反応終了の時点で添加するのがよ
い。
【0036】本発明におけるポリエステルは、必要に応
じて任意の他の添加剤、例えば着色防止剤、耐熱性改善
剤、蛍光漂白剤、難燃剤、亜リン酸エステル以外の酸化
防止剤、艶消剤、着色剤、無機微粒子などを含有してい
てもよい。
【0037】一般に、ポリオキシアルキレン鎖は、空気
中の酸素により酸化され易いことが知られており、本発
明で用いるポリエステルにおいてもそこに含まれるポリ
オキシアルキレン鎖が重縮合反応、溶融紡糸や溶融成形
時の高温条件下において酸化されて、重合度低下や着色
を生ずる恐れがある。そのため、色調および機械的性能
の良好なポリエステル繊維および成形品を得るために
は、上記した亜リン酸エステル系酸化防止剤とともに、
ラジカル連鎖禁止剤に分類されるヒンダードフェノール
系酸化防止剤を併用するのが好ましい。
【0038】ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、フ
ェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭
素原子の両方または一方に立体障害性置換基を有するフ
ェノール系化合物からなっており、立体障害性置換基と
してはt−ブチル基などの第3級アルキル基が最も好ま
しい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の好まし例と
しては、下記の式(VII)〜式(XI)で表される化合物を挙
げることができる。
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】上記のヒンダードフェノール系酸化防止剤
は、1種類のみを用いてもまたは2種類以上を併用して
もよい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤を併用する
場合は、その添加量を、上記したジオール(II)、側鎖成
分(III)等のポリオキシアルキレン鎖部分の総重量に基
づいて、0.2〜20重量%とするのが好ましく、0.
5〜10重量%であるのがより好ましい。亜リン酸エス
テル系酸化防止剤と共に0.2重量%以上のヒンダード
フェノール系酸化防止剤を併用した場合には、繊維およ
び成形品の耐酸化性が一層向上する。一方、ヒンダード
フェノール系酸化防止剤を20重量%を超えて添加して
も、それ以上の酸化防止効果および色調の改善効果が認
められず、逆に紡糸工程などにおいて単糸切れなどのト
ラブルを招く恐れがあり、しかも繊維や成形品の機械的
性能が低下し易い。ヒンダードフェノール系酸化防止剤
は、ポリエステルの重縮合反応が完了するまでの任意の
段階で添加するのが好ましい。
【0045】本発明における繊維は、その横断面が円
形;三葉形〜八葉形などの多葉形、T字形、V字形、偏
平形、方形などの異形の任意の断面形状であることがで
き、また中実繊維に限らず中空繊維や多孔質繊維であっ
てもよい。繊維の太さも特に限定されず、任意の太さに
することができる。繊維の表面積が大きいほど繊維から
製造される布帛などの繊維製品の吸水性や親水性が大き
くなるので、かかる点から、繊維の横断面形状を多葉形
やT字型などの凹部を有する異形断面繊維とし、さらに
単繊維デニールが5デニール以下の細繊度の繊維にする
のが有利な場合がある。また、本発明における繊維は、
他の樹脂と組み合わせた複合繊維であってもよく、例え
ば芯鞘型、貼合型、海島型など任意の複合形態にするこ
とができるが、繊維に高い親水性や吸水性を保有させる
ために、繊維表面の20%以上、特に40%以上が上記
したポリエステルにより占められるようにするのがよ
い。
【0046】本発明における繊維の製造法は特に限定さ
れず、例えば、低速または中速で溶融紡糸した後に延伸
する方法、高速による直接紡糸延伸法、紡糸後に延伸と
仮撚を同時にまたは続いて行う方法などの任意の製糸条
件で製造することができる。
【0047】 そして、本発明では上記のポリエステル
を100℃以上、好ましくは110〜180℃、より好
ましくは120〜150℃の温度で熱処理する。熱処理
温度が100℃よりも低いと、得られる繊維の色調安定
性が充分でなく黄変等の変色を生じ易くなる。一方、
処理温度が高すぎても、繊維の色調の悪化や機械的強度
の低下を招き易いので、180℃を越えないことが好ま
しい。この熱処理は、ポリエステル繊維を延伸した後直
ちに行うのがよく、ポリエステル繊維の延伸後長時間経
過した後に行った場合は、初期の色調安定化効果が奏さ
れない場合がある。また、繊維の延伸前に行うと、延伸
が困難になり、機械的強度に優れた繊維が得られなくな
る。また、この熱処理は、繊維の太さなどにもよるが、
通常、3時間以上行うべきであり、5時間以上とするの
がより好ましい。熱処理時間が3時間未満であると、色
調安定性が充分に達成できない場合がある。しかし、あ
まり長期間行うと、繊維の劣化を招き易くなり且つ不経
済であるので、通常、3〜12時間とするのがよい。
【0048】ポリエステル繊維を延伸後に100℃以上
の温度で熱処理することは、延伸糸の構造安定化を目的
として従来からも行われているが、その場合の熱処理時
間は一般に数秒〜数十秒であり、本発明に比べて極めて
短時間である。これに対して、本発明は、上記のように
長時間熱処理を行ってポリエステル繊維の色調の安定化
を図るものであるから、その熱処理内容およびその熱処
理目的がそのような従来技術とは大きく異なっている。
【0049】本発明の方法により得られる上記の熱処理
を施されたポリエステル繊維は、上記熱処理後、そのま
ま使用しても、または捲縮加工、交絡加工、切断などの
任意の処理を施してもよい。更に、本発明により得られ
たポリエステル繊維は、それ単独で不織布や編織布など
の繊維製品にしても、または上記した親水性や吸水性な
どの効果が失われない限りは、他の天然繊維や合成繊維
と混合、混繊、混紡して繊維製品にしてもよい。本発明
によるポリエステル繊維からは、ウエットティッシュ、
タオル類、肌着、外衣、敷物、医療用品、布団カバー、
寝間着などの種々の製品が製造でき、特に長期間湿潤状
態で保存したり使用される繊維製品に適している。
【0050】本発明における成形品の形状や構造は限定
されず、フイルム、シート、チューブ、中空容器、型物
などの種々の成形品であることができる。その際の成形
品の製造法は特に限定されず、例えば、押出成形、射出
成形、ブロー成形、プレス成形、延伸などの任意の方法
により製造することができる。
【0051】そして、成形品の場合も上記の熱処理を1
00℃以上、好ましくは110〜180℃、より好まし
くは120〜150℃の温度で行う。熱処理温度が10
0℃よりも低いと、得られる成形品の色調安定性が充分
でなく黄変等の変色を生じ易くなる。一方、処理温度が
高すぎても、成形品の色調の悪化や機械的強度の低下を
招き易ので、180℃を越えないことが好ましい。この
熱処理は、成形品の製造後に速やかに行うのが好まし
い。延伸フイルムの場合は、延伸後に行うのがよく、延
伸前に行うと延伸処理が困難である。熱処理時間は、成
形品の大きさや厚さなどにもよるが、通常、3時間以上
行うべきであり、5時間以上とするのがより好ましい。
熱処理時間が3時間未満であると、色調安定性が充分に
達成できない場合がある。しかし、あまり長期間行うと
成形品の劣化を招き易くなり且つ不経済であるので、通
常、3〜12時間とするのがよい。そして、本発明によ
り得られた成形品は、成形品の種類に応じて各種の用途
に使用することができる。
【0052】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。また、下
記の例中の各物性値は次の方法により測定した。
【0053】(1)ポリマーの極限粘度[η]:フェノ
ールとテトラクロロエタンの等重量混合溶媒を用いて、
対象となるポリマーの0.25g/dl、0.50g/
dlおよび1.0g/dlの3種の濃度の溶液について
30℃の温度において測定した3種の還元粘度から求め
た。
【0054】(2)ポリマーの融点(Tm):メトラー
社製TA−3000型DSC(示差走査熱量計)を用い
て、急冷非晶状態の試料に対して10℃/分の昇温速度
で測定した。
【0055】(3)ポリマーの表面濡れ性:ポリマーの
表面濡れ性は、ポリマーフイルムと水との接触角により
評価した。まず、試験片として使用するポリマーフイル
ムを次のようにして調製した。すなわち、対象となるポ
リマーのチップを120℃で12時間減圧乾燥した後、
280℃で5分間加熱溶融し、厚さ1mmのステンレス
板、2枚の厚さ0.3mmのテフロン製シートおよび厚
さ1mmのステンレス板をこの順序で積層させた支持具
の2枚のテフロン製シートの間に挟んだ状態で、280
℃で1分間プレスした後、直ちに水冷式の冷却プレスを
用いて1分間プレスすることによりポリマーフイルムを
作製した。次いで、このポリマーフイルムの試験片をア
セトンで洗浄した後風乾し、このフイルムを平面上に水
平に置いて、フイルム上に接触径が約3mm以下になる
ように水を落とすことによって形成された水滴のフイル
ムとの接触角を、協和界面科学(株)製CA−DT型接
触角計により測定した。
【0056】(4)吸水性:下記によりポリマーを繊維
化し、さらに不織布にした後、水に対する吸液率と繰り
返し吸液速度を求めることで評価した。すなわち、ポリ
マーを285℃で円形ノズルから紡糸し、75℃の温水
中で延伸し130℃に10秒間加熱して熱固定した後、
色調安定化のために下記の表3または表5に示す温度お
よび時間で更に加熱処理を施した。次いで、それに機械
捲縮をかけ、ステアリルホスフェートのエチレンオキサ
イド付加物を主成分とする油剤を0.1重量%になるよ
うに付与し、150℃で10分間弛緩熱処理し、次いで
51mmの長さに切断して単糸デニール2.0の原綿を
得た。次に、この原綿に熱融着性繊維[(株)クラレ製
ソフィットN−710タイプ;鞘成分がポリエチレン
製;2デニール、長さ51mm]を20重量%混綿した
後、カードを通して目付約40g/m2のウエブを作製
し、これを5m/分の速度で水流交絡させた(水流量;
30kg/cm2)。その後風乾し、さらにオートドラ
イヤーにて150℃で1分間熱処理して不織布を作製し
た。このようにして得られた不織布を吸水性(初期性
能)測定用試料とした。
【0057】上記で作製した不織布(吸水性測定用試
料)をJIS L 0217に規定された洗い方における
番号103法にしたがって洗濯処理した。すなわち、4
0℃の水1リットルに2gの割合で衣料用合成洗剤を添
加、溶解して洗濯液とする。この洗濯液に浴比が1:3
0になるように試料および必要に応じて負荷布を投入し
て家庭用洗濯機の運転を開始する。5分間処理した後運
転を止め、試料および負荷布を遠心式脱水機で脱水し、
次に洗濯液を常温の新しい水に替えて同一の浴比で2分
間すすぎ洗いをした後脱水する。再び2分間すすぎ洗い
を行い風乾する。以上の操作を合計10回繰り返すこと
によって10回洗濯後の吸水性測定用試料を得た。
【0058】試験方法は、赤インクで着色された水0.
2gをプラスチック製の皿に滴下し、その上に5cm×
5cmの上記で得た吸水性測定用試料を置き、1秒後に
除去したときの試料が吸収した液の重量を測定した。吸
液率は、吸液した試料の重量(W)(g)と吸液前の試
料の重量(W0)(g)から下記の数式1によって求め
た。この測定を10回繰り返して行い、これらの測定値
の算術平均値を吸液率(%)とした。
【0059】
【数1】吸液率(%)=[(W−W0)/W0]×100
【0060】また、繰り返し吸液速度の測定は、上記で
得た5cm×5cmの吸水性測定用試料を水面に落とし
たときに水が試料全面に広がるまでの時間を測定して吸
液速度とした。測定に供した試料を充分に乾燥し、その
後同様の測定および乾燥を10回繰り返し、10回の吸
液速度の値の算術平均値を吸液速度とした。
【0061】(5)色調安定性:上記の(4)で作製し
た不織布を80℃の温水中で8時間加熱し、加熱前後の
色調変化を下記の評価基準にしたがって目視により判定
した。色調変化の評価基準 ○・・・加熱処理前と比べて色調変化がない △・・・黄変を生じている ×・・・著しく黄変している
【0062】《実施例1〜5》テレフタル酸971.9
g、5−ナトリウムスルホイソフタル酸[ジカルボン酸
成分(I)]40.2gおよびエチレングリコール750
gをエステル化反応器に仕込み、230℃、2.5kg
/cm2の圧力下で2時間エステル化反応を行った。次
いで、得られた反応生成物(低重合体)を予め230℃
に加熱してある重縮合器に移し、これに下記の表1に示
した主鎖型ポリオキシアルキレン基含有化合物[ジオー
ル(II1)]と、下記の表2に示した側鎖型ポリオキシア
ルキレン基含有化合物[側鎖成分(III1)]を、下記の表3
に示した量で添加した。
【0063】更に、側鎖成分(III1)とジオール(II1)の
合計量に対して、5重量%の量の上記の式(IV)で表さ
れるヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(2−メチ
ル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
−トリホスファイト(アデカ・アーガス社製;MARK
522A)(亜リン酸エステル系酸化防止剤)および5
重量%の量の上記の式(X)で表される1,3,5−ト
リス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメ
チルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6
−(1H,3H,5H)−トリオン(アメリカンサイア
ナミッド社製;サイアノックス1790)、酸化アンチ
モン0.4gおよび亜リン酸0.12gを添加して重縮
合反応系を調製した。
【0064】上記の重縮合反応系の温度を230℃から
280℃まで45分かけて昇温しながら徐々に0.1m
mHgまで減圧にし、以後280℃で系の溶融粘度が、
極限粘度0.7dl/gのポリエチレンテレフタレート
の280℃における溶融粘度にほぼ一致する時点まで重
縮合反応を継続して、それぞれ対応するポリエステルを
製造した。得られたポリエステルについて、そのポリマ
ー物性および表面濡れ性を上記した方法により測定し
た。更に、得られたポリエステルを上記(4)で記載し
た方法によって紡糸、延伸、熱処理した後、該(4)に
記載されている方法で不織布を作製して、その吸水性
(吸液性および繰り返し吸液速度)および色調安定性を
上記した方法により測定または判定した。その結果を下
記の表4に示す。
【0065】《実施例 6》実施例1において、ジカル
ボン酸成分(I)として、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸40.2gの代わりに5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸ジメチル44.4gを用い、亜リン酸エステル系
酸化防止剤として上記の式(V)で表されるトリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チ
バ・ガイギー社製;フォスファイト168)を実施例1
と同じ量で使用し、且つ式(X)で表される化合物の代
わりに、上記の式(VII)で表されるペンタエリスチリ
ル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・ガイギ
ー社製;イルガノックス1010)を実施例1における
のと同じ量で使用した以外は実施例1と同様にしてポリ
エステルを製造した。得られたポリエステルについて、
そのポリマー物性および表面濡れ性を上記した方法によ
り測定した。更に、得られたポリエステルを上記(4)
で記載した方法によって紡糸、延伸、熱処理した後、該
(4)に記載されている方法で不織布を作製して、その
吸水性(吸液性および繰り返し吸液速度)および色調安
定性を上記した方法により測定または判定した。その結
果を表4に示す。
【0066】《実施例7〜14》側鎖成分(III)とし
て、下記の表2に示した化合物を、表3に示した量で使
用した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを製
造し、各ポリエステルを用いて実施例1と同様にして紡
糸、延伸、熱処理、不織布の作製を行って、ポリマー物
性および表面濡れ性、並びに繊維の吸水性および色調安
定性を上記した方法により測定または判定した。その結
果を表4に示す。
【0067】《実施例15〜16》ジオール(II)とし
て、下記の表1に示した化合物を、表3に示した量で使
用した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを製
造し、各ポリエステルを用いて実施例1と同様にして紡
糸、延伸、熱処理、不織布の作製を行って、ポリマー物
性および表面濡れ性、並びに繊維の吸水性および色調安
定性を上記した方法により測定または判定した。その結
果を表4に示す。
【0068】《実施例 17》実施例1において、テレ
フタル酸の使用量を986.3gに、そして5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸の使用量を16.1gに代えた
以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを製造し、
このポリエステルを用いて実施例1と同様にして紡糸、
延伸、熱処理、不織布の作製を行って、ポリマー物性お
よび表面濡れ性、並びに繊維の吸水性および色調安定性
を上記した方法により測定または判定した。その結果を
表4に示す。
【0069】《実施例 18》実施例1において、テレ
フタル酸の使用量を917.0gに、そして5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸の使用量を80.41gに代え
た以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを製造
し、このポリエステルを用いて実施例1と同様にして紡
糸、延伸、熱処理、不織布の作製を行って、ポリマー物
性および表面濡れ性、並びに繊維の吸水性および色調安
定性を上記した方法により測定または判定した。その結
果を表4に示す。
【0070】《実施例 19》側鎖成分(III)として、
下記の表2に示した化合物を表3に示した量で使用した
以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを製造し、
このポリエステルを用いて実施例1と同様にして紡糸、
延伸、熱処理、不織布の作製を行って、ポリマー物性お
よび表面濡れ性、並びに繊維の吸水性および色調安定性
を上記した方法により測定または判定した。その結果を
表4に示す。
【0071】《実施例 20》ジオール(II)として、下
記の表1に示した化合物を表3に示した量で使用した以
外は、実施例1と同様にしてポリエステルを製造し、こ
のポリエステルを用いて実施例1と同様にして紡糸、延
伸、熱処理、不織布の作製を行って、ポリマー物性およ
び表面濡れ性、並びに繊維の吸水性および色調安定性を
上記した方法により測定または判定した。その結果を表
4に示す。
【0072】《実施例 21》実施例1において、テレ
フタル酸971.9gの代わりに、テレフタル酸92
3.3gとイソフタル酸48.6gの混合物を使用した
以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを製造し、
このポリエステルを用いて実施例1と同様にして紡糸、
延伸、熱処理、不織布の作製を行って、ポリマー物性お
よび表面濡れ性、並びに繊維の吸水性および色調安定性
を上記した方法により測定または判定した。その結果を
表4に示す。
【0073】《実施例 22》実施例1において、エチ
レングリコール750gの代わりに、エチレングリコー
ル712.5gと1,4−シクロヘキサンジメタノール
43.4gの混合物を使用した以外は、実施例1と同様
にしてポリエステルを製造し、このポリエステルを用い
て実施例1と同様にして紡糸、延伸、熱処理、不織布の
作製を行って、ポリマー物性および表面濡れ性、並びに
繊維の吸水性および色調安定性を上記した方法により測
定または判定した。その結果を表4に示す。
【0074】《実施例 23》下記の表5に示すよう
に、側鎖成分(III)を用いない以外は、実施例1と同様
にしてポリエステルを製造し、このポリエステルを用い
て実施例1と同様にして紡糸、延伸、熱処理、不織布の
作製を行って、ポリマー物性および表面濡れ性、並びに
繊維の吸水性および色調安定性を上記した方法により測
定または判定した。その結果を表6に示す。
【0075】《実施例 24》下記の表5に示すよう
に、ジオール(II)を用いない以外は、実施例1と同様に
してポリエステルを製造し、このポリエステルを用いて
実施例1と同様にして紡糸、延伸、熱処理、不織布の作
製を行って、ポリマー物性および表面濡れ性、並びに繊
維の吸水性および色調安定性を上記した方法により測定
または判定した。その結果を表6に示す。
【0076】《実施例 25》テレフタル酸971.9
gと5−ナトリウムイソフタル酸40.2gの代わり
に、テレフタル酸996.8gのみを用いた以外は、実
施例1と同様にしてポリエステルを製造し、このポリエ
ステルを用いて実施例1と同様にして紡糸、延伸、熱処
理、不織布の作製を行って、ポリマー物性および表面濡
れ性、並びに繊維の吸水性および色調安定性を上記した
方法により測定または判定した。その結果を表6に示
す。
【0077】《実施例26〜27》側鎖成分(III)とし
て表2に示す化合物を表5に示す量で使用した以外は、
実施例1と同様にしてポリエステルを製造し、このポリ
エステルを用いて実施例1と同様にして紡糸、延伸、熱
処理、不織布の作製を行って、ポリマー物性および表面
濡れ性、並びに繊維の吸水性および色調安定性を上記し
た方法により測定または判定した。その結果を表6に示
す。
【0078】《実施例28〜29》ジオール(II)として
表1に示す化合物を表5に示す量で使用した以外は、実
施例1と同様にしてポリエステルを製造し、このポリエ
ステルを用いて実施例1と同様にして紡糸、延伸、熱処
理、不織布の作製を行って、ポリマー物性および表面濡
れ性、並びに繊維の吸水性および色調安定性を上記した
方法により測定または判定した。その結果を表6に示
す。
【0079】《比較例 1》式(IV)で表される亜リン
酸エステル系酸化防止剤を使用しない以外は実施例1と
同様にしてポリエステルを製造し、このポリエステルを
用いて実施例1と同様にして紡糸、延伸、熱処理、不織
布の作製を行って、ポリマー物性および表面濡れ性、並
びに繊維の吸水性および色調安定性を上記した方法によ
り測定または判定した。その結果を表6に示す。
【0080】《比較例 2》紡糸、延伸後のポリエステ
ル繊維の色調安定化のための熱処理温度を表5に示すよ
うに代えた以外は実施例1と同様にして紡糸、延伸、熱
処理、不織布の作製を行って、ポリマー物性および表面
濡れ性、並びに繊維の吸水性および色調安定性を上記し
た方法により測定または判定した。その結果を表6に示
す。
【0081】《比較例 3》紡糸、延伸後のポリエステ
ル繊維の色調安定化のための熱処理時間を表5に示すよ
うに代えた以外は実施例1と同様にして紡糸、延伸、熱
処理、不織布の作製を行って、ポリマー物性および表面
濡れ性、並びに繊維の吸水性および色調安定性を上記し
た方法により測定または判定した。その結果を表6に示
す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】上記表4と表6の結果の対比から、本発明
の実施例により得られるポリエステル繊維は、色調安定
性に優れていることがわかる。
【0089】
【発明の効果】本発明の方法によって、変色のない分子
中にポリオキシアルキレン鎖を有するポリエステルから
なる繊維および成形品を得ることができ、特に本発明に
よるポリエステル繊維および成形品は湿潤状態に長時間
置かれても黄変などの色調変化が生じない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 67:00 (56)参考文献 特開 平4−358817(JP,A) 特開 昭64−9263(JP,A) 特開 昭62−263357(JP,A) 特開 昭53−106751(JP,A) 特公 昭37−533(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 71/02 D01F 6/84,6/92,6/62 D06C 7/00 C08J 7/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中にポリオキシアルキレン鎖を有す
    る共重合ポリエステルと亜リン酸エステル系酸化防止剤
    とからなるポリエステル組成物から繊維または成形品を
    形成し、100℃以上の温度で3時間以上熱処理するこ
    とを特徴とするポリエステル繊維または成形品の製造方
    法。
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CN100509222C (zh) * 2003-12-09 2009-07-08 株式会社理光 构造体及其制造方法、形成用媒体,光记录媒体及其再现方法

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