JP3148795B2 - 改善された洗濯耐久性を有するソイルリリース性ポリエステル組成物およびその繊維 - Google Patents

改善された洗濯耐久性を有するソイルリリース性ポリエステル組成物およびその繊維

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ソイルリリース性ポリ
エステル組成物に関するものであり、さらに詳細には常
温ソイルリリース性および優れた洗濯耐久性を有するポ
リエステル組成物およびそれからの繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は寸法安定性に優れ、
強くかつしわになりにくいなどの優れた特性を有するこ
とから衣料の巾広い分野で利用されている。特に病院、
食品産業、オフィスなどでは近年、多様なユニフォーム
が利用されるようになり、ポリエステル繊維のテキスタ
イルユニフォーム分野への展開もめざましいものがあ
る。しかしながら、このような優秀な特性を持つポリエ
ステル繊維も疎水性であるために吸水性、吸湿性に著し
く劣り、木綿などの親水性繊維に比較して油性汚れが付
着しやすく除去しがたく、そのため洗濯中に再汚染しや
すいという問題点がある。これはポリエステル繊維がテ
キスタイルユニフォーム分野へ展開されて以来常に提起
されてきた問題であり、これを解消するため多くの方法
が提案されている。
【0003】その中で本発明者らは、エチレンオキサイ
ドに特定のオレフィンオキサイドを共重合し水不溶化さ
せたポリオキシエチレン系ポリエーテルをポリエステル
中にブレンドすることにより、得られた組成物の防汚性
が向上することを見い出し提案した(特開平2-269
762号、特開平3-182546号公報参照)。しか
しながらこの方法においては、ポリエーテルがポリエス
テル中に単に物理分散されているにすぎないため、洗濯
耐久性に劣るという問題があった。
【0004】一方、ポリエステルに親水性を付与する方
法として、ポリオキシエチレン系ポリエーテルをポリエ
ステルに共重合する方法が知られており、この方法によ
ってもレギュラー製品に比較して優れた防汚性を付与す
ることができる。例えばポリオキシエチレングリコール
フェニルグリシジルエーテル(特開平1−236236
号公報)、ポリオキシエチレングリコールメチル1,2
−ジヒドロキシプロピルエーテル(特開平1−2344
20号公報参照)あるいはポリエチレングリコールモノ
メチルエーテル(特公平3−23646号公報参照)を
共重合することにより吸水性、吸汗性に優れたポリエス
テルが得られることが開示されている。ポリエーテル共
重合の場合、ポリエーテルの洗濯水への物理的溶出が起
こり難いものと考えられるため良好な洗濯耐久性が期待
されるが、しかし実際は予想に反して、繰り返される洗
濯に対して必ずしも防汚性能が長く維持されないのが
であった。
【0005】ポリオキシアルキレン単位含有ポリエステ
ルについては空気中の酸素によりポリオキシアルキレン
部分の熱酸化劣化を起こしやすいことが知られており、
共重合ポリエステルの重縮合反応、紡糸、熱処理などの
各工程あるいは例えば工業洗濯におけるスチーム、乾
燥、アイロンなどに由来する劣化が懸念されてきた。従
って、これらポリオキシアルキレン単位含有共重合ポリ
エステルはいわゆる耐酸化分解性の向上が必要とされ、
これまでに多くの提案がなされ、特定の抗酸化剤が有効
であるとされている。例えば特公昭44−32311号
公報によれば、ポリオキシアルキレングリコールを共重
合したポリエステルにヒンダードフェノール系化合物を
配合することにより耐酸化分解性に優れた易染性のポリ
オキシアルキレングリコール共重合ポリエステル組成物
が提案されている。
【0006】また、特開平2−38421号公報によれ
ば、ポリエチレングリコールをヒンダードフェノール系
化合物と混合し、特定の温度および時間で加熱処理して
得られた混合物を添加して得られた改質ポリエステル
は、色調および耐酸化分解性に優れることが開示され
いる。さらに特開平5−214221号公報によれば、
ポリオキシアルキレン単位含有共重合ポリエステルに対
して片ヒンダードフェノール系化合物および両ヒンダー
ドフェノール系化合物を併用することにより優れた耐酸
化分解性を長期にわたって維持することのできるポリオ
キシアルキレン単位含有共重合ポリエステル組成物が得
られるとされている。
【0007】以上のようにポリオキシアルキレン単位含
有ポリエスエルの耐酸化分解性を向上させるには、ヒン
ダードフェノール系化合物の添加が有効であることが明
らかになっているが、耐熱劣化の防止に実用上十分な効
果を得るためには大量のヒンダードフェノール系化合物
を添加する必要がある。しかし、その場合には紡調不良
や得られる繊維の物性低下を引き起こす懸念がある。
【0008】さらに本発明者らの研究によれば、ポリオ
キシアルキレン単位含有ポリエステルが十分な耐熱劣化
性を獲得しても、防汚性能の洗濯耐久性は必ずしも維持
されないことが判明した。すなわち、家庭における常温
洗濯が普及した現在、工業洗濯におけるスチーム、乾
燥、アイロンなどに由来するポリアルキレン単位の熱劣
化が考えにくい条件が想定されるにもかかわらず、洗濯
により防汚性能が低減するのが実状であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは常
温洗濯におけるソイルリリース性洗濯耐久性を向上させ
るべく研究を進め、ポリアルキレンオキサイド化合物に
加えて特定量の3価カルボン酸成分または3価のグリコ
ール成分を共重合するか或いは5価のリン化合物を共重
合することにより洗濯耐久性が向上することを見い出し
た。さらに、いわゆる洗濯耐久性が工程中の熱劣化およ
び洗濯中の熱によらないポリエーテルの失活という異な
る2つのメカニズムに支配されること、このことから両
メカニズムを同時に満足するような抗酸化剤系を設計す
ることにより高度な洗濯耐久性が付与できることを見い
出し本発明に到達した。
【0010】かくして本発明の目的は、優れた常温ソイ
ルリリース性を有し、かつその洗濯耐久性に優れたポリ
エステル組成物およびそれからの繊維を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、前記発
明の目的は、 (i)分子量6,000以下の片末端封鎖ポリオキシア
ルキレン系ポリエーテルを0.2〜10重量%共重合さ
せかつ3価のカルボン酸成分および/または3価のグリ
コール成分を0.05〜0.5モル%共重合させたエチレ
ンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル
或いは(ii)分子量6,000以下の片末端封鎖ポリ
オキシアルキレン系ポリエーテルを0.2〜10重量%
共重合させかつ5価のリン化合物を該ポリエーテルの1
/5〜5倍モル共重合させたエチレンテレフタレートを
主たる構成成分とするポリエステルに対して、抗酸化剤
を含有することを特徴とする改善された洗濯耐久性を有
するソイルリリース性ポリエステル組成物並びにそのポ
リエステル組成物より形成された繊維によって達成され
る。
【0012】さらに、本発明によれば該抗酸化剤として
(a)片ヒンダードフェノール系化合物(a成分)、
(b)チオプロピオネート系化合物(b成分)および
(c)イソシアヌル基を有しかつ前記(a)の化合物以
外のヒンダードフェノール系化合物(c成分)を組み合
わせて使用すると一層優れた洗濯耐久性を有するソイル
リリース性ポリエステル組成物および繊維が得られるこ
とが見い出された。
【0013】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。本発明の共重合ポリエステルは、分子量6,000
以下の片末端封鎖ポリオキシアルキレン系ポリエーテル
の一定割合を共重合し、さらに(i)3価のカルボン酸
成分および/または3価のグリコール成分を共重合する
か或いは(ii)5価のリン化合物を共重合したポリエ
ステルである。そのポリエステルに共重合される前記ポ
リエーテルは、例えば下記一般式(I)で表わすことが
できる。
【0014】
【化1】
【0015】前記式(I)において、Mは水素原子、1
価の金属または第4級ホスホニウムを表わす。この1価
の金属としては、Na、Li、K、Ca、MgおよびA
lなどが挙げられるが、特にNa、K、LiおよびCa
が好ましい。Mが第4級ホスホニウム塩の場合、その塩
は式 −PR3456 で表わされる。このR3、R4
5およびR6は、それぞれ同一または異なり、炭素数1
〜25のアルキル基またはアリール基である。
【0016】R1は分子内で独立に同一または異なる炭
素数1〜25の炭化水素基であり、かつ少なくとも一つ
は炭素数6以上の炭化水素基である。炭化水素基として
はアルキル基が好ましく、中でも炭素数6〜14のアル
キル基が好ましい。R2は炭素数1〜21の炭化水素基
である。炭化水素基としてはアルキル基でもアリール基
でもよく、さらに2種以上の併用であってもよいが、ア
ルキル基が好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、
プロピル基、ヘキシル基、ドデシル基、ヘンイコサン基
などを挙げることができる。pは0〜5の整数、qは0
〜5の整数であり、pおよびqは(p+q)≦5を満た
す。pは0、1または2が好ましく、qは0、1または
2が好ましい。また、スルホン酸基とR1基のフェノキ
シ基上における置換位置はいずれの部位でもよい。
【0017】上記式(I)において、mおよびnは、そ
れぞれポリエーテル中の単位 −CH2CH2O− および
単位 −CH2CHR2O− の数を表わし、mは15〜1
20の整数、nは0〜50の整数であり、(m+n)は
15〜120の整数であるのが好ましい、mが15未満
のポリエーテルをポリエステルに共重合させようとする
と、十分なソイルリリース性を得るためには多量のポリ
エーテルが必要となり、このような場合ポリエステルの
末端が封鎖されるためにポリエステル自体の重合度を十
分に上げることができず、得られる繊維の力学的特性を
確保できない。一方、mが120より大きい場合には、
ポリエーテルとポリエステルとの反応が十分に進まず結
局はポリエーテルがポリエステルに混合、分散したもの
と同一の結果となり高度な洗濯耐久性を維持できない。
なお、ポリエーテルの分子量についてはポリエステルに
共重合する範囲であれば特に規定はないが、6,000
以下であればよく、好ましくは5,000以下、特に好
ましくは4,500以下である。なお、ポリエーテルの
各単位は互いに任意の配列を取ることができ、ブロック
共重合、ランダム共重合あるいはこれらの組み合わせで
あってもよい。
【0018】上記式(I)で表わされるポリエーテル
は、適当な置換スルホン酸基を有するフェノキサイドを
用いて高温高圧化でエチレンオキサイドおよび/または
アルキレンオキサイドを開環重合させることにより容易
に製造することができる。この重合過程は段階的に進行
することが知られており、任意の段階でアルキレンオキ
サイドの種類、組成および仕込み量を調節することによ
り目的に応じた分子量およびモノマー配列を有するポリ
エーテルを生成させることが可能である。生成したポリ
エーテルの分子量は末端水酸基を定量することにより容
易に求めることができる。
【0019】本発明の共重合ポリエステルの1つのタイ
プは、前記ポリエーテルと共にさらに特定量の3価のカ
ルボン酸成分および/または3価グリコール成分が共重
合されている。この3価のカルボン酸成分としてはトリ
メリット酸、トリメリット酸無水物、トリメシン酸など
のトリカルボン酸ないしそれらのエステル形成性化合物
が挙げられ、3価のグリコール成分としてはグリセリ
ン、トリメチロールプロパンなどのトリオールが挙げら
れる。4価以上のカルボン酸やアルコールを共重合して
ももはや常温ソイルリリース性の向上に寄与せぬばかり
か溶融成形が困難となり、使用にたえない。これらの3
価のカルボン酸成分およびグリコール成分の共重合は単
独であっても併用であってもよいが、共重合量としては
合計0.05〜0.5モル%の範囲とするべきである。
0.05モル%未満では共重合の効果が明確に現われ
ず、0.5モル%を越えるともはや常温洗濯耐久性の向
上に寄与せず、得られる糸の機械的強度が低下する懸念
があり好ましくない。
【0020】一方、本発明の共重合ポリエステルの別の
タイプは、前記ポリエーテルと共にさらに特定量の5価
のリン化合物が共重合されている。この5価のリン化合
物としては、例えば下記式(II)で表わされる化合物
が挙げられる。
【0021】
【化2】
【0022】式(II)中、R7、R8およびR9は同一
または異なって水素原子またはアルキル基、アリル基、
フェニル基、ヒドロキシアルキル基などの一価の有機基
である。また、上記5価リン化合物は単独でも、2種以
上併用してもよい。上記5価リン化合物の使用量として
は前記ポリエーテルの1/5〜5倍モルの範囲となる量
が適当であり、特に1/3〜3倍モルの範囲となる量が
好ましい。リン化合物の添加量があまり少ないと共重合
の効果が明確に現われず、逆にあまり多いと常温洗濯耐
久性の向上に寄与せず、得られる糸の機械的強度が低下
する懸念があり好ましくない。
【0023】前記R7、R8およびR9が一価の有機基で
ある場合、有機基としては、例えば炭素数1〜30、好
ましくは炭素数1〜18の脂肪族−、脂環族−または芳
香族炭化水素基が挙げられる。5価リン化合物の具体例
としては、例えばリン酸トリメチル、リン酸トリエチ
ル、 リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸
トリフェニル、リン酸モノメチルジエチル、リン酸モノ
メチルジフェニルなどおよびこれらとエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコールなどのグリコール成分と
の反応生成物などが挙げられる。
【0024】また、上記5価のリン化合物はトリメリッ
ト酸、トリメリット酸無水物、トリメシン酸などの特定
の三価のカルボン酸成分および/またはグリセリン、ト
リメチロールプロパンなどの特定の三価のグリコール成
分と併用してもよい。
【0025】本発明において上記共重合成分が共重合さ
れたポリエステルは、テレフタル酸を主たる酸成分と
し、エチレングリコールを主たるグリコール成分とする
ポリエステルを対象とする。かかるポリエステルは、そ
の酸成分であるテレフタル酸の一部を他の二官能性カル
ボン酸で置き換えてもよい。このような他のカルボン酸
としては、例えばイソフタル酸、5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−オ
キシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸のごとき二
官能性芳香族カルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、シ
ュウ酸のごとき二官能性脂肪族カルボン酸などを挙げる
ことができる。また、エチレングリコール成分の一部を
他のグリコール成分で置き換えてもよく、かかるグリコ
ール成分としては、例えばトリメチレングリコール、テ
トラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、
ヘキサメチレングリコールなど、および他のジオール化
合物。例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、
ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェ
ノールSのごとき脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化
合物、両末端が未封鎖のポリオキシアルキレングリコー
ルなどが挙げられる。また他のエステル形成性化合物と
しては、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ
安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸を挙げるこ
とができる。
【0026】本発明の共重合ポリエステルは任意の方法
によって製造することができる。例えばポリエチレンテ
レフタレートについて説明すれば、テレフタル酸とエチ
レングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレ
フタル酸ジメチルのごときテレフタル酸の低級アルキル
エステルとエチレングリコールとをエステル交換反応さ
せるか、またはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを
反応させる方法によって、テレフタル酸のグリコールエ
ステル及び/またはその低重合体を生成させる第1段の
反応、ついでかかる生成物を減圧下加熱して所望の重合
度になるまで重縮合反応させる第2段の反応とによって
容易に製造される。
【0027】上記式(I)の片末端封鎖ポリエーテルを
ポリエステル鎖の末端に共重合するには、前述したポリ
エステルの合成が完成する以前の任意の段階、例えば第
1段の反応開始前、反応中、反応終了後、第2段の反応
中などの任意の段階で添加し添加後に製造反応を完結す
ればよい。
【0028】この際のポリエーテルの共重合量は、あま
り少ないと最終的に得られるポリエステル繊維のソイル
リリース性およびその洗濯耐久性が不十分になり、逆に
あまり多いと重縮合反応の過程においてポリエステルの
重合度が低いレベルで頭打ちになるため、最終的に得ら
れるポリエステル繊維の強度などの糸物性が悪化するよ
うになる。また、ポリエーテルを多量に含むようになる
と、得られる繊維の耐光性が悪化するので、共重合割合
は可及的に少量にすることが望ましい。本発明において
ポリエーテルの共重合割合は、ポリエステルに対し0.
5〜10重量%の範囲にすべきであり、特に2〜6重量
%の範囲が好ましい。このように、本発明ではポリエー
テルの共重合量を少量に抑制できるため、得られる繊維
は充分な耐光性をも保持することができる。
【0029】前記ポリエーテルと共に共重合されるべき
他の成分は、前記した量をポリエステルの製造における
前記の任意の段階で添加することができる。
【0030】なお、必要に応じて安定剤、艶消剤、他の
酸化防止剤、蛍光増白剤、触媒、着色防止剤、耐熱剤、
着色剤、無機粒子などを併用してもよい。特にポリエー
テルは溶融紡糸条件下のような高温に放置されると、容
易に酸化されて重合度低下や着色といった問題を発生し
やすいため、蛍光増白剤などの併用は好ましい場合が多
い。さらに、本発明におけるソイルリリース性を有する
ポリエステルは他の付加機能と併用することも容易で、
例えばイオン性帯電防止剤を併用すれば、制電性に優れ
た繊維を得ることもでき、その利用分野はさらに増大す
る。
【0031】このようにして得られた本発明のポリエス
テルの重合度は、充分な繊維特性を発揮するため、固有
粘度として0.58以上が好ましく、0.6以上が特に好
ましい。
【0032】本発明のポリエステル組成物は、前記共重
合ポリエステルに必須の成分として抗酸化剤を含有し、
殊に(a)片ヒンダードフェノール系化合物(a成
分)、(b)チオプロピオネート系化合物(b成分)お
よび(c)イソシアヌル基を有し、かつ前記(a)の化
合物とは異なるヒンダードフェノール系化合物(c成
分)を含有する。ヒンダードフェノール系化合物とは、
フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の
炭素原子のうち一方または両方に立体障害性置換基を有
するフェノール系化合物である。このうち一方にのみ立
体障害性置換基を有し、他方の隣接炭素原子には水素原
子、メチル基、エチル基などの第1アルキル基などの非
立体障害性置換基を有するものを片ヒンダードフェノー
ル系化合物といい、両方に立体障害性置換基を有する化
合物を両ヒンダードフェノール系化合物と称する。
【0033】片ヒンダードフェノール系化合物(a成
分)の好ましい具体例としては、3,9−ビス[2−
[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)プロピオキシ]−1,1−ジメチルエチ
ル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウ
ンデカン、トリエチレングリコールビス−(3−tert−
ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピ
オネートおよび1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどを挙げる
ことができる。またチオプロピオネート系化合物(b成
分)の好ましい具体例としては、ペンタエリスリトール
ーテトラキス(β−ドデシルーチオプロピオネート)な
どを挙げることができる。さらに、イソシアヌル基を有
するヒンダードフェノール系化合物(c成分)の好まし
い例としては、トリス(4−アルキル−3−ヒドロキシ
−2,6−ジメチルベンジル)−s−トリアジン−2,
4,6−(1H,3H,5H)−トリオンやトリス(2,4
−ジアルキル−3−ヒドロキシ−6−メチルベンジル)
−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−ト
リオンなどが挙げられ、そのアルキル基としては炭素数
3〜12の第2級および第3級アルキル基が好適であ
る。
【0034】本発明のポリエステル組成物における片ヒ
ンダ−ドフェノール系化合物(a成分)およびチオプロ
ピオネート化合物(b成分)の含有量としてはポリオキ
シアルキレン系ポリエーテルの重量に対してそれぞれ
0.2〜10重量%の範囲内にあることが望ましく、好
ましくは0.5〜8重量%の範囲内となる量である。含
有量が0.2重量%未満では、共重合ポリエステルの洗
濯耐久性が不十分であり、10重量%を越える場合には
もはや得られるポリエステル組成物よりなる繊維の洗濯
耐久性には著しい向上は認められず、逆に重合速度の低
下、得られるポリマーの着色、紡調不良などを招くおそ
れがある。また、片ヒンダードフェノール系化合物(a
成分)とチオプロピオネート化合物(b成分)との重量
比としては75/25〜25/75の範囲内にあるとき
に好ましく洗濯耐久性が発揮される。イソシアヌル基を
有するヒンダードフェノール系化合物(c成分)の添加
量としてはポリオキシアルキレン系ポリエーテルの重量
に対して0.1重量%〜10重量%の範囲内が好まし
い。10重量%を越える場合にはもはや得られるポリエ
ステル組成物よりなる繊維の洗濯耐久性にも耐熱劣化性
にも著しい向上は認められず却って紡調不良などを起こ
すおそれをもたらすので好ましくない。なお、本発明の
組成物の各成分はそれぞれ2種以上の併用であってもよ
い。
【0035】前記本発明のポリエステル組成物を繊維化
する場合には特別の方法を採用する必要はなくポリエス
テル繊維の通常の溶融紡糸法を任意の条件で採用するこ
とができる。例えば500〜2500m/分の速度で溶
融紡糸し、延伸、熱処理する方法、1500〜5000
m/分の速度で溶融紡糸し延伸と仮撚加工とを同時にま
たは続いて行う方法、5000m/分以上の高速で溶融
紡糸し、用途によっては延伸工程を省略する方法など任
意の製糸条件が採用される。ここで、紡出する繊維は中
空部のない中実繊維であっても、中空部を有する中空繊
維であってもよい。また、紡出する繊維の横断面におけ
る外形や中空部の形状は、円形であっても異形であって
もよい。
【0036】紡出された繊維は、充分な繊維性能を発揮
するため、好ましくは伸度が40%以下、強度が4g/
de以上になるように延伸され、必要に応じて熱処理さ
れる。
【0037】かくして得られた本発明の繊維がソイルリ
リース性およびその洗濯耐久性ならびに耐熱劣化性に優
れている理由については未だ明らかでないが、ソイルリ
リース性は該ポリエーテルの親水性やガラス転移温度、
末端基効果、該ポリエーテルセグメントのポリエステル
繊維中でのミクロ相分離状態、ポリエステルマトリクス
とポリエーテルセグメントとの界面親和性、洗濯水に対
する該ポリエーテルセグメントの分解溶出性などが複雑
にからみ合った結果として奏されるものと考えられる。
さらに、適当量の3価のカルボン酸成分、3価のグリコ
ール成分または5価のリン化合物の添加は、非晶部の配
向を著しく乱し、その結果ミクロ相分離をより効果的に
発現させるばかりでなく、ポリエステルとの相溶性が悪
い抗酸化剤の非晶部への集中を促進し、ポリエーテルの
熱劣化および洗濯劣化を飛躍的に減少させるものと考え
られる。
【0038】また実施例より明らかなように、耐熱劣化
性と洗濯耐久性とが組成物の種類と量によって敏感に変
化し、前者には主としてイソシアヌル基を有するヒンダ
ードフェノールが、後者には主として片ヒンダードフェ
ノール系化合物が寄与している傾向がうかがわれる。こ
のことから、イソシアヌル基を有するヒンダードフェノ
ールは主として熱劣化により生ずるラジカルの、片ヒン
ダードフェノール系化合物は洗濯時に生ずるラジカルの
捕捉剤としてポリエステルの自動酸化を絶ち切る作用を
担うと考えられる。さらに、チオプロピオネート系化合
物が生成中間体ラジカルと容易に相互作用し速やかにラ
ジカルを失活させるものと考えられる。このように2種
の異なるメカニズムにより生成したラジカルを有効に捕
捉失活化することにより相乗的な洗濯耐久性向上がもた
らされるものと考えられる。
【0039】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。実施例中の部および%はそれぞれ重量部および重量
%を示す。ポリマーの極限粘度[η]は35℃のオルト
クロロフェノール溶液で測定した値から求めた。実施例
のうち洗濯処理、汚染処理および汚染率の求め方は下記
の方法を採用した。
【0040】(1)洗濯処理 家庭用洗濯機に液温10℃の水を入れ、これに水1リッ
トルに対して2gの割合で衣料用合成洗剤を添加して溶
解し洗濯液とした。この洗濯液に浴比が、1対30にな
るように試料および負荷布を投入し運転を開始した。50
分間処理した後、運転を止め、試料および負荷布を脱水
機で脱水し、次いでオーバーフロー水洗を15分行い脱
水した。上記洗濯をLL5としこれを必要回数繰り返し
た。
【0041】(2)汚染処理 下記組成の人工汚れ液にホルダーにはさんだ10cm×
13cmの織物を浸漬させ汚れを付与した。人工汚れ液の組成 ・モーターオイル 99.335重量% (Dia Queen Motor Oil M-2)三菱自動車工業製 ・C重油 0.634重量% ・カーボンブラック 0.031重量% その後、試料を濾紙の間に挟んで余分の汚染液を除き、
乾燥機中80℃で8時間静置した。この汚染処理した試
料を家庭洗濯機の弱条件でマルセル石鹸を2g/リット
ル含む15℃の水中で20分間洗濯した。その後、下記
方法によってソイルリリース性を評価した。
【0042】(3)ソイルリリース性の評価 ミノルタ色彩色差計CR-200(ミノルタカメラ販売
(株))を用い、常法によって試料のCIE表色計の△
*を求め、ソイルリリース性を下記式により計算し
た。
【0043】
【数1】
【0044】上記式中、 △E*: ソイルリリース性 L1, a1, b1 : 汚染前の試料のE*(L*, a*, b*) L2, a2, b2 : 洗濯後の試料のE*(L*, a*, b*)
【0045】(4)耐熱劣化性 延伸糸試料を10mgを秤量し、示差熱分析計(DS
C;リガク製)を用いて空気雰囲気下20℃/分で19
0℃まで、次いで10℃/分で210℃まで昇温した。
その後同温度で保持し、ポリエーテル焼失に由来する発
熱ピークが観測されるまでの時間(発熱誘導時間)を3
00分まで測定し、耐熱劣化性とした。
【0046】実施例1 テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール6
0部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸
ジメチルに対して0.066モル%)および整色剤とし
て酢酸コバルト4水塩0.009部(テレフタル酸ジメ
チルに対して0.007モル%)をエステル交換反応缶
に仕込み、この反応物を窒素ガス雰囲気下で4時間かけ
て140℃から220℃まで昇温し、反応缶中に生成す
るメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応さ
せた。エステル交換反応終了後、反応混合物に安定剤リ
ン酸トリメチル0.058部(テレフタル酸ジメチルに
対して0.080モル%)および消泡剤としてジメチル
ポリシロキサンを0.024部加えた。次に、10分後
に、反応混合物に三酸化アンチモン0.04部(テレフ
タル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加し、
同時に過剰のエチレングリコールを留去しながら、24
0℃まで昇温し、その後、反応終了物を重合反応缶に移
した。次に、この反応混合物に、下記式
【0047】
【化3】
【0048】(mは平均48である)で表わされる平均
分子量2480のポリエーテルを4部およびトリメリッ
ト酸無水物0.3部(テレフタル酸ジメチルに対して0.
3モル%)を添加し、反応缶内の圧力を1時間かけて7
60mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に反応混
合物の温度を240℃から285℃まで昇温した。1m
mHgの減圧下でさらに重合し、この段階で反応混合物
に酸化防止剤として3,9−ビス[2−[3−(3−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プ
ロピオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,1
0−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スミラ
イザー GA-80(住友化学工業(株)製)を0.2部(ポ
リエ−テルに対して5部)、ペンタエリスリトール−テ
トラキス(β−ドデシル−チオプロピオネート)(アデ
カスタブ AO-412S(旭電化(株)製)を0.2部(ポリ
エーテルに対して5部)およびトリス(4−アルキル−
3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−s−ト
リアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン)
(サイアノックス1790(アメリカンサイアナミド社
製)を0.1部(ポリエ−テルに対して2.5部)ずつ添
加し、その後系の溶融粘度が所定の値に達するまで重合
した。得られたポリマ−は常法によりチップ化した。
【0049】得られたチップを常法により乾燥した後、
孔径0.3mmの円形紡糸孔を24個穿設した紡糸口金を
有する押出紡糸機を用いて285℃で溶融し、吐出量3
7.5g/分、引取り速度1500m/分で紡糸し、得
られた未延伸糸を、80℃の加熱ロ−ラーと160℃の
プレ−トヒーターとを有する延伸処理機に供し、その伸
度が30%になるような延伸倍率で延伸熱処理し、75
デニール/24フィラメントの延伸糸を得た。得られた
延伸糸を用いてメリヤス編地を製造し、これを常法によ
り精練、熱セット(180℃×1分)して編地を得た。こ
れに前記の汚染処理を施し汚れ除去性を評価した。その
結果を下記表1に示した。
【0050】実施例2〜3 実施例1と同様な操作を行った。ただし、抗酸化剤組成
を変え、その内容および結果を下記表1に示した。
【0051】比較例1〜5 実施例1と同様な操作を行った。ただし、抗酸化剤組成
を変え、その内容および結果を下記表1に示した。ただ
し比較例5では紡糸時、断糸が著しく防汚評価が不可能
であった。
【0052】比較例6 実施例1と同様な操作を行った。ただし、抗酸化剤組成
をペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート](イルガノックス1010(チバ・ガイギー社
製))を0.2部(ポリエーテルに対して5部)および
表1に示した内容に替えた。その結果を表1に示した。
【0053】実施例4〜5 実施例1と同様な操作を行った。ただし、ポリエーテル
として下記式
【0054】
【化4】
【0055】(mは平均55である)で表わされる平均
分子量2500のポリエーテルを用い、抗酸化剤組成は
表1に示したとおりとした。その結果を表1に示した。
【0056】比較例7 実施例5と同様の操作を行った。ただし、抗酸化剤組成
を表1のように変えた。その結果を表1に示した。
【0057】実施例6 3価化合物としてトリメチロールプロパンを用いた以外
は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表1に示
した。
【0058】比較例8〜9 トリメリット酸無水物の代わりにそれぞれピロメリット
酸およびペンタエリスリトールを用いた以外は実施例1
同様な操作を行ったが、溶融紡糸時の断糸および得ら
れた糸の物性低下が著しく防汚評価不可能であった。そ
の結果を表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】(表中、各抗酸化剤の添加量は片末端封鎖
ポリオキシアルキレン系ポリエーテル共重合量100重
量部に対する重量部で示した。) また、実施例1〜6および比較例1〜9で得られた繊維
のそれぞれについてソイルリリース性の評価テストを行
った。その結果を図1に示した。
【0061】実施例7 テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール6
0部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸
ジメチルに対して0.066モル%)および整色剤とし
て酢酸コバルト4水塩0.009部(テレフタル酸ジメ
チルに対して0.007モル%)をエステル交換反応缶
に仕込み、この反応物を窒素ガス雰囲気下で4時間かけ
て140℃から220℃まで昇温し、反応缶中に生成す
るメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応さ
せた。エステル交換反応終了後、反応混合物に安定剤リ
ン酸トリメチル0.058部(テレフタル酸ジメチルに
対して0.080モル%)および消泡剤としてジメチル
ポリシロキサンを0.024部、さらに5価リン化合物
としてリン酸トリメチル0.29部(テレフタル酸ジメ
チルに対して0.4モル%)を加えた。次に、反応混合
物に三酸化アンチモン0.04部(テレフタル酸ジメチ
ルに対して0.027モル%)を添加し、同時に過剰の
エチレングリコールを留去しながら、240℃まで昇温
し、その後、反応終了物を重合反応缶に移した。次に、
この反応混合物に、下記式
【0062】
【化5】
【0063】(mは平均50である)で表わされる平均
分子量2600のポリエーテル4部を添加し、反応缶内
の圧力を1時間かけて760mmHgから1mmHgま
で減圧し、同時に反応混合物の温度を240℃から28
5℃まで昇温した。1mmHgの減圧下でさらに重合
し、この段階で反応混合物に酸化防止剤として3,9−
ビス[2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオキシ]−1,1−ジメ
チルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5,5]ウンデカン(スミライザー GA-80(住友化学
工業(株)製)を0.16部(ポリエーテルに対して4
部)、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ドデシ
ル−チオプロピオネート)(アデカスタブ AO-412S(旭
電化(株)製)を0.16部(ポリエーテルに対して4
部)およびトリス(4−アルキル−3−ヒドロキシ−
2,6−ジメチルベンジル)−s−トリアジン−2,4,
6−(1H,3H,5H)−トリオン)(サイアノックス
1790(アメリカンサイアナミド社製)を0.08部
(ポリエ−テルに対して2部)ずつ添加し、その後系の
溶融粘度が所定の値に達するまで重合した。得られたポ
リマ−は常法によりチップ化した。
【0064】得られたチップを常法により乾燥した後、
孔径0.3mmの円形紡糸孔を24個穿設した紡糸口金を
有する押出紡糸機を用いて285℃で溶融し、吐出量3
7.5g/分、引取り速度1500m/分で紡糸し、得ら
れた未延伸糸を、80℃の加熱ローラーと160℃のプ
レートヒーターとを有する延伸処理機に供し、その伸度
が30%になるような延伸倍率で延伸熱処理し、75デ
ニール/24フィラメントの延伸糸を得た。得られた延
伸糸を用いてメリヤス編地を製造し、これを常法により
精練、熱セット(180℃×1分)して編地を得た。これ
に前記の汚染処理を施し汚れ除去性を評価した。その結
果を下記表2に示した。
【0065】実施例8〜9 実施例7と同様な操作を行った。ただし、抗酸化剤組成
を変えた。その内容および結果を下記表2に示した。
【0066】実施例10 実施例7と同様な操作を行った。ただし、5価リン化合
物として100部のエチレングリコールと5部のリン酸
トリメチルを密閉容器内で2kg/cm2の加圧下15
5℃で3時間反応させた後冷却して得た反応液を6.0
9部(リン酸トリメチルとして0.29部に相当する
量)添加した。その結果を表2に示した。
【0067】実施例11〜12 実施例10と同様な操作を行った。ただし、抗酸化剤組
成を変えた。その内容および結果を表2に示した。
【0068】実施例13 実施例7と同様な操作を行った。ただし、5価リン化合
物としてリン酸0.20部(テレフタル酸ジメチルに対
して0.4モル%)を添加した。その結果を表2に示し
た。
【0069】実施例14〜15 実施例13と同様な操作を行った。ただし、抗酸化剤組
成を変えた。その内容および結果を表2に示した。
【0070】比較例10〜14 実施例7と同様な操作を行った。ただし、抗酸化剤組成
を変えた。その内容および結果を表2に示した。ただし
比較例14では紡糸時、断糸が著しく防汚評価が不可能
であった。
【0071】比較例15 実施例7と同様な操作を行った。ただし、抗酸化剤組成
をペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート](イルガノックス1010(チバ・ガイギー社
製))を0.16部(ポリエーテルに対して4部)およ
び表2に示した内容に替えた。その結果を表2に示し
た。
【0072】実施例16〜17 実施例7と同様な操作を行った。ただし、ポリエーテル
として下記式
【0073】
【化6】
【0074】(nは平均55である)で表わされる平均
分子量2500のポリエーテルを用い、抗酸化剤組成は
表2に示したとおりとした。その結果を表2に示した。
【0075】比較例16 実施例16と同様の操作を行った。ただし、抗酸化剤組
成を変えた。その内容および結果を表2に示した。
【0076】
【表2】
【0077】(表中、各抗酸化剤の添加量は片末端封鎖
ポリオキシアルキレン系ポリエーテル共重合量100重
量部に対する重量部で示した。) また、実施例7〜17および比較例10〜16で得られ
た繊維のそれぞれについてソイルリリース性の評価テス
トを行った。その結果を図2に示した。
【0078】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物は優れた抗
酸化性を有するようになる。特に5価のリン化合物を使
用した場合には耐炎性も優れている。本発明のポリエス
テル繊維は、ユニフォームや婦人向けブラウスなど近
年、家庭洗濯の頻度が非常に高まっている衣類の分野で
特にその特徴を発揮し、過酷に繰り返される洗濯処理に
おいても耐久性の優れたソイルリリース性を呈する。こ
のため本発明のポリエステル繊維は、テキスタイルユニ
フォーム分野においてきわめて有用である。またリネン
サプライ分野、婦人衣料分野への応用も有効である。
【0079】さらに、本発明のポリエステル繊維は必要
に応じて、綿、羊毛などの天然繊維、レーヨン、アセテ
ートなどの再生繊維および本発明のポリエステル以外の
合繊との混紡、交織などに使用される。その上、ポリエ
ステルの共重合成分として3価のカルボン酸成分および
/または3価のグリコール成分または5価のリン化合物
を使用するので重合時間が著しく短縮され、白度も大幅
に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1〜6および比較例1〜9で
得られたそれぞれの繊維のソイルリリース性(△E*
の評価を行った結果を示すグラフである。
【図2】 本発明の実施例7〜17および比較例10〜
16で得られたそれぞれの繊維のソイルリリース性(△
*)の評価を行った結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/36 C08K 5/36 D01F 1/10 D01F 1/10 6/84 306 6/84 306A 6/86 301 6/86 301A (56)参考文献 特開 平2−91213(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08L 67/00 - 67/03

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)分子量6,000以下の片末端封
    鎖ポリオキシアルキレン系ポリエーテルを0.2〜10
    重量%共重合させかつ3価のカルボン酸成分および/ま
    たは3価のグリコール成分を0.05〜0.5モル%共重
    合させたエチレンテレフタレートを主たる構成成分とす
    るポリエステル或いは(ii)分子量6,000以下の
    片末端封鎖ポリオキシアルキレン系ポリエーテルを0.
    2〜10重量%共重合させかつ5価のリン化合物を該ポ
    リエーテルの1/5〜5倍モル共重合させたエチレンテ
    レフタレートを主たる構成成分とするポリエステルに対
    して、抗酸化剤を含有することを特徴とする改善された
    洗濯耐久性を有するソイルリリース性ポリエステル組成
    物。
  2. 【請求項2】 該抗酸化剤として(a)片ヒンダードフ
    ェノール系化合物(a成分)、(b)チオプロピオネー
    ト系化合物(b成分)および(c)イソシアヌル基を有
    しかつ前記(a)の化合物以外のヒンダードフェノール
    系化合物(c成分)を使用する請求項1記載のポリエス
    テル組成物。
  3. 【請求項3】 前記(a)成分の含有割合は、前記ポリ
    オキシアルキレン系ポリエーテルに対して0.2〜10
    重量%の範囲である請求項2記載のポリエステル組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記(b)成分の含有割合は、前記ポリ
    オキシアルキレン系ポリエーテルに対して0.2〜10
    重量%の範囲である請求項2記載のポリエステル組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記(c)成分の含有割合は、前記ポリ
    オキシアルキレン系ポリエーテルに対して0.1〜10
    重量%の範囲である請求項2記載のポリエステル組成
    物。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のポリエステル組成物より
    形成された繊維。
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