JP2010007191A - 制電性及び常圧カチオン可染性を有する極細延伸糸とその製造方法 - Google Patents

制電性及び常圧カチオン可染性を有する極細延伸糸とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の1.5dtex以下の極細ポリエステル延伸糸が持つ、柔らかな風合、保温性、吸水、吸湿性などの性能を維持し、制電性で且つ高強度で常圧カチオン可染性であるポリエステル極細延伸糸及びそれを安定して製造する方法を提供する。
【解決手段】芯鞘型複合繊維であって、芯部がポリエステルAで形成され、他方、鞘部がポリエステルBで形成され、下記要件を満足する制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸。・ポリエステルAが芳香族ポリエステル100重量部に対して、制電剤として特定のポリオキシアルキレン系ポリエーテル、有機イオン性化合物を特定量含有してなる制電性ポリエステルであること。・ポリエステルBが、スルホイソフタル酸金属塩、および特定のカチオン可染モノマーを、特定条件で含有する共重合ポリエステル。
【選択図】なし

Description

本発明は、制電性および常圧カチオン可染性を有する芯鞘型ポリエステル極細複合繊維(延伸糸)及びその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、耐久性に優れた制電性および常圧カチオン可染性を有するポリエステル極細延伸糸及びそれを安定して得られる製造方法に関するものである。
極細ポリエステル延伸糸は、布帛にした時、柔らかな風合が得られ、保温性、吸水、吸湿性などの性能も向上するため、衣料用途をはじめ、幅広く使われている。
しかしながら近年、織編物の風合い、肌触り、外観等に関する要求がますます高まってきており、従来の極細ポリエステル延伸糸を用いて製編織された布帛では、柔らかな風合が得られ、保温性、吸水、吸湿性などの性能も向上するものの、その化学的特性から分散染料、アゾイック染料でしか染色できないため、鮮明且つ深みのある色相が得られにくいという欠点や繊維直径が小さくなって繊維の比表面積が大きくなるのに従って静電気の発生量が増大し摩擦耐電圧が高くなるため静電気が発生してパチパチという音や不快感を感じるという問題点があった。
制電性が要求される分野では、従来から、ポリエステルに親水性を付与して制電性を発現させようとする試みが行われており、これまでに数多くの提案がなされている。例えばポリエステルにポリオキシアルキレン系ポリエーテル化合物を配合せしめる方法(特許文献1)、並びにポリエステルに実質的に非相溶性のポリオキシアルキレン系ポリエーテル化合物と有機・無機のイオン性化合物とを配合せしめる方法(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7等)が知られている。単糸繊度が1.5dtexより大きければ制電性を有するものの、1.5dtex以下の極細糸においては制電性が低下するという問題があった。これは繊維直径が小さくなって繊維の比表面積が大きくなるのに従って静電気の発生量が増大し摩擦耐電圧が高くなる一方で電気の漏洩は繊維直径にあまり影響されないためであると考えられる。
又染色性を改善する方法として、ポリエステルにスルホイソフタル酸の金属塩を2〜3モル%共重合してカチオン可染性とする方法が開示されている。(例えば特許文献8,9参照)確かにカチオン可染性が向上し良好な色調のものが得られるものの、高温・高圧下でしか染色することができず、天然繊維やウレタン繊維などと交編、交織した後に染色すると、天然繊維、ウレタン繊維が脆化するという問題があった。
その対策として常圧、100℃付近の温度で十分に染色するためには、スルホイソフタル酸の金属塩を多量に共重合することが必要となるが、この場合、スルホネート基による増粘効果から、ポリエステルの重合度を高くすることができず、溶融紡糸にて得られるポリエステル繊維の強度が著しく低下し、さらに紡糸操業性が著しく悪化するという問題があった。その対策として、イオン結合性分子間力の小さいカチオン可染モノマーを共重合して常圧カチオン可染化する技術が開示されている(例えば特許文献10,11参照)。ここでイオン結合性分子間力の小さいカチオン可染モノマーとしては、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネートなどが例示されているが、これらのカチオン可染モノマー共重合ポリエステルは熱安定性が悪く、常圧カチオン可染化させるため、共重合量を増加させようとしても、重合反応途中で熱分解が進行し、高分子量化させることが困難であった。さらに溶融紡糸する際の熱履歴による分解が大きく、結果として得られる糸の強度が弱くなるという欠点を有していた。また、使用する5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネートは非常に高価であり、結果として得られるカチオン可染性ポリエステルのコストが大幅に増大するという問題があった。
更に、スルホイソフタル酸金属塩に加え、特定の分子量のポリエチレングリコールを共重合する方法、アジピン酸、セバシン酸などの直鎖炭化水素のジカルボン酸を共重合する方法、あるいはジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールのようなグリコール成分を共重合して常圧カチオン可染性を向上させる方法が提案されている。(例えば特許文献12、13、14参照)
しかしながら、これらいずれの方法でも得られたポリエステルを溶融紡糸して得られる常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の強度が低くなり、強いては得られる布帛の引き裂き強度が低下する、強度を取ろうとすると染色堅牢度が低くなるという相反する問題があった。
また、強度と常圧カチオン可染性をバランスする目的で5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合したポリエステルを鞘部に、95モル%以上がエチレンテレフタレートの繰返し単位からなるポリエステルを芯部に配した複合繊維が提案されている(例えば特許文献15参照)。しかしながら、鞘部を構成する共重合ポリエステル中のスルホイソフタル酸成分の共重合量は、スルホネート基による増粘効果から、ポリエステルの重合度を高くすることができず、芯鞘複合繊維とすることである程度強度は取れるものの限界があり、強度と染着性を満足させることは困難であった。
こうして現状に鑑み制電性に優れ且つ高強力でカチオン可染性にも優れる極細ポリエステル延伸糸の開発が大いに求められていた。
特公昭39−5214号公報 特公昭44−31828号公報 特公昭60−11944号公報 特開昭53−80497号公報 特開昭53−149247号公報 特開昭60−39413号公報 特開平3−139556号公報 特公昭34−10497号公報 特開昭62−89725号公報 特開平1−162822号公報 特開2006−176628号公報 特開2002−284863号公報 特開2006−200064号公報 特開2002−284863号公報 特開平7−126920号公報
本発明は上記の課題を解決するものであり、従来の1.5dtex以下の極細ポリエステル延伸糸が持つ、柔らかな風合、保温性、吸水、吸湿性などの性能を維持し、制電性で且つ高強度で常圧カチオン可染性であるポリエステル極細延伸糸及びそれを安定して製造する方法を提供することにある。
芯鞘型複合繊維であって、芯部がポリエステルAで形成され、他方、鞘部がポリエステルBで形成され、下記(1)〜(6)の条件を満足する制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸。
(1)延伸糸の単糸繊度が1.5dtex以下である。
(2)芯部の面積Aと鞘部の面積Bとの比A:Bが5:95〜80:20の範囲である。
(3)延伸糸の強度が3.0cN/dtex以上である。
(4)延伸糸の摩擦帯電圧が2000V以下
(5)ポリエステルAが芳香族ポリエステル100重量部に対して、制電剤として、
(a)下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系ポリエーテルを0.2〜30重量部及び(b)該ポリエステルと実質的に非反応性の有機イオン性化合物を0.05〜10重量部を含有してなる制電性ポリエステルであること。
Z−[(CHCHO)n(RO)m−R]k 式(1)
[式中、Zは1〜6個の活性水素原子を有する有機化合物残基、Rは炭素原子数6以上のアルキレン基又は置換アルキレン基、Rは水素原子、炭素原子数1〜40の一価の炭化水素基、炭素原子数2〜40の一価のヒドロキシ炭化水素又は炭素原子数2〜40の一価のアシル基、kは1〜6の整数、nはn≧70/kを満足する整数、mは1以上の整数]
(6)ポリエステルBが、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートより構成されるポリエステルであり、該ポリエステルを構成する全酸成分に対して、スルホイソフタル酸金属塩(c)、および下記一般式(2)で表される化合物(d)を、下記数式1及び数式2を同時に満足する条件で含有する共重合ポリエステルであって、該共重合ポリエステル中のジエチレングリコール含有量が2.5重量%以下であり、且つ得られるポリエステルの固有粘度が0.55〜1.0の範囲にある常圧カチオン可染性ポリエステルであること。
Figure 2010007191
[上記式中、Rは水素または炭素数1〜10のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニウム塩、または4級アンモニウム塩を表す。]
3.0≦c+d≦5.0 (数式1)
0.2≦d/(c+d)≦0.7 (数式2)
[ここで、cはスルホイソフタル酸の金属塩の共重合量(モル%)、dは上記化学式(2)で表される化合物の共重合量(モル%)を表す。]
及び、
紡糸速度が2000〜4500m/minであり、且つ紡出時の吐出速度と引き取り速度の比(以降ドラフト比と記す)を100〜800の範囲で引き取ることを特徴とする制電性芯鞘型ポリエステル極細延伸糸の製造方法が提供される。
本発明の芯鞘型ポリエステル極細延伸糸が極細糸であっても制電性が向上する理由については明確ではないが、芯成分の制電剤に加えてカチオン可染化モノマーが共重合されることにより繊維表面への気相水分の吸着が促進され、それによって表面水分層が形成され、該表面水分層を媒体として、帯電荷が気中に放電されるため制電性が向上するのではないかと推定している。
本発明の制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸は、1.5dtex以下であって風合い触感が良好で且つ低温・低湿度条件下でも充分な制電性を有しており、又常圧下でのカチオン染色による染着性が良好で、更に高強度であるため極めて有用である。また繰り返される洗濯処理によっても制電性が影響されない。
さらに高アルカリ減量処理が施された場合も、視感染色性および耐フィブリル性の低下が極めて少なく、しかも、減量加工前に圧力の加わった部分があっても、その部分の繊維が減量によりフィブリル化して染色布が白化する問題点も生じないため、ランジェリ−等の女性インナー用途、裏地、無塵衣等の分野はもとより、アルカリ減量処理による高度な風合改善を必要とする制電表地としても使用が可能である。
以下本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルは、芳香環を重合体の連鎖単位に有する芳香族ポリエステルであって、二官能性芳香族カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体との反応により得られる重合体を対象とする。
ここでいう二官能性芳香族カルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5―ナフタレンジカルボン酸、2,5―ナフタレンジカルボン酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4′―ビフェニルジカルボン酸、3,3′―ビフェニルジカルボン酸、4,4′―ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′―ビフェニルメタンジカルボン酸、4,4′―ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4′―ビフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2―ビス(フェノキシ)エタン―4,4′―ジカルボン酸、2,5―アントラセンジカルボン酸、2,6―アントラセンジカルボン酸、4,4′―p―フェニレンジカルボン酸、2,5―ピリジンジカルボン酸、β―ヒドロキシエトキシ安息香酸、p―オキシ安息香酸等をあげることができ、特にテレフタル酸が好ましい。
これらの二官能性芳香族カルボン酸は2種以上併用してもよい。なお、少量であればこれらの二官能性芳香族カルボン酸とともにアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸の如き二官能性脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き二官能性脂環族カルボン酸、5―ナトリウムスルホイソフタル酸等を1種または2種以上併用することができる。
また、ジオール化合物としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2―メチル―1,3―プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコールの如き脂肪族ジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等およびそれらの混合物等を好ましくあげることができる。また、少量であればこれらのジオール化合物と共に両末端または片末端が未封鎖のポリオキシアルキレングリコールを共重合することができる。
更に、ポリエステルが実質的に線状である範囲でトリメリット酸、ピロメリット酸の如きポリカルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールの如きポリオールを使用することができる。
具体的な好ましい芳香族ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレン―1,2―ビス(フェノキシ)エタン―4,4′―ジカルボキシレート等のほか、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート・デカンジカルボキシレート等のような共重合ポリエステルをあげることができる。なかでも機械的性質、成形性等のバランスのとれたポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートが特に好ましい。
かかる芳香族ポリエステルは任意の方法によって合成される。例えばポリエチレンテレフタレートついて説明すれば、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかして、テレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段反応、次いでその生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段の反応とによって容易に製造される。
(ポリエステルAについて)
本発明のポリエステルAに配合するポリオキシアルキレン系ポリエーテル(a)は、ポリエステルに実質的に不溶性のものであれば、単一のオキシアルキレン単位からなるポリオキシアルキレングリコールであっても、二種以上のオキシアルキレン単位からなる共重合ポリオキシアルキレングリコールであってもよく、また、下記一般式(1)、
Z−[(CHCHO)n(RO)m−R]k 式(1)
[式中、Zは1〜6個の活性水素原子を有する有機化合物残基、Rは炭素原子数6以上のアルキレン基又は置換アルキレン基、Rは水素原子、炭素原子数1〜40の一価の炭化水素基、炭素原子数2〜40の一価のヒドロキシ炭化水素又は炭素原子数2〜40の一価のアシル基、kは1〜6の整数、nはn≧70/kを満足する整数、mは1以上の整数]で表わされるポオキシエチレン系ポリエーテルが好ましい。
かかるポリオキシアルキレン系ポリエーテルの具体例としては、分子量が4000以上のポリオキシエチレングリコール、分子量が1000以上のポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、分子量が2000以上のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド共重合体、分子量4000以上のトリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物、分子量3000以上のノニルフェノールエチレンオキサイド付加物、並びにこれらの末端OH基に炭素数が6以上の置換エチレンオキサイドが付加した化合物があげられ、なかでも分子量が10000〜100000のポリオキシエチレングコール、及び分子量が5000〜16000の、ポリオキシエチレングリコールの両末端に炭素数が8〜40のアルキル基置換エチレンオキサイドが付加した化合物が好ましい。
かかるポリオキシアルキレン系ポリエーテル化合物の配合量は、前記芳香族ポリエステル100重量部に対して0.2〜30重量部の範囲である。0.2重量部より少ないときは親水性が不足して充分な制電性を呈することができない。一方30重量部より多くしても最早制電性の向上効果は認められず、かえって得られる組成物の機械的性質を損うようになる上、該ポリエーテルがブリードアウトし易くなるため溶融成形時チップのルーダーへのかみこみ性が低下して、成形安定性も悪化するようになる。
本発明のポリエステルAには、更に制電性を向上させるために有機イオン性化合物を配合する。有機イオン性化合物としては、例えば下記一般式(3)、(4)で示されるスルホン酸金属塩及びスルホン酸第4級ホスホニウム塩を好ましいものとしてあげることができる。
RSOM ……式(3)
式中、Rは炭素原子数3〜30のアルキル基又は炭素原子数7〜40のアリール基、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。上記式(2)においてRがアルキル基のときはアルキル基は直鎖状であっても又は分岐した側鎖を有していてもよい。MはNa,K,Li等のアルカリ金属又はMg,Ca等のアルカリ土類金属であり、なかでもLi,Na,Kが好ましい。かかるスルホン酸金属塩は1種のみを単独で用いても2種以上を混合して使用してもよい。好ましい具体例としてはステアリルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、炭素原子数の平均が14であるアルキルスルホン酸ナトリウム混合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム(ハード型、ソフト型)等をあげることができる。
RSOPR ……式(4)
式中、Rは上記式(2)におけるRの定義と同じであり、R1、R2、R3及びR4はアルキル基又はアリール基でなかでも低級アルキル基、フェニル基又はベンジル基が好ましい。かかるスルホン酸第4級ホスホニウム塩は1種のみを単独で用いても2種以上を混合して使用してもよい。好ましい具体例としては炭素原子数の平均が14であるアルキルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、炭素原子数の平均が14であるアルキルスルホン酸テトラフェニルホスホニウム、炭素原子数の平均が14であるアルキルスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム(ハード型、ソフト型)等をあげることができる。
かかる有機のイオン性化合物は1種でも、2種以上併用してもよく、その配合量は、芳香族ポリエステル100重量部に対して0.05〜10重量部の範囲が好ましい。0.05重量部未満では制電性向上の効果が小さく、10重量部を越えると組成物の機械的性質を損なうようになる上、該イオン性化合物もブリードアウトし易くなるため、溶融成形時のチップのルーダーかみこみ性が低下して、成形安定性も悪化するようになる。
水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテル、有機および/または無機のイオン性化合物、を配合するには、任意の方法により、上記成分を同時にまたは任意の順序で芳香族ポリエステルに配合することができる。
即ち、例えば芳香族ポリエステルの重縮合反応開始前、重縮合反応途中、重縮合反応終了時であってまだ溶融状態にある時点、粉粒状態、または紡糸段階等において、芳香族ポリエステルと添加成分のそれぞれを予め溶融混合して1回の操作で添加してもよく、または2回以上に分割添加してもよく、各添加成分を予め別々に芳香族ポリエステルに配合した後、これらを紡糸前等において混合してもよい。さらに、、重縮合反応中期以前に添加成分を添加するときは、グリコール等の溶媒に溶解または分散させて添加してもよい。
(ポリエステルBについて)
一方、本発明に使用されるポリエステルBは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール成分とを重縮合反応せしめて得られるエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであり、共重合成分としてスルホイソフタル酸の金属塩(c)、及び下記一般式(2)で表される化合物(d)を、下記数式1及び数式2を同時に満足する状態で含有する共重合ポリエステルであり、該ポリエステル中のジエチレングリコール含有量が2.5重量%以下であり、且つ得られる共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.0の範囲であるポリエステルである。
Figure 2010007191
[上記式中、Rは水素または炭素数1〜10のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニウム塩、または4級アンモニウム塩を表す。]
3.0≦c+d≦5.0 (数式1)
0.2≦d/(c+d)≦0.7 (数式2)
[ここで、cはスルホイソフタル酸の金属塩の共重合量(モル%)、dは上記一般式(2)で表される化合物の共重合量(モル%)を表す。]
(成分cについての説明)
本発明で使用されるスルホン酸塩基含有芳香族ジカルボン酸成分としては、5−スルホイソフタル酸の金属塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩)、5−スルホイソフタル酸の4級ホスホニウム塩、または5−スルホイソフタル酸の4級アンモニウム塩が例示される。また、これらのエステル形成性誘導体も好ましく例示される。これらの群の中では、熱安定性、コストなどの面から、5−スルホイソフタル酸の金属塩が好ましく例示され、特に、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩およびそのジメチルエステルである5−スルホイソフタル酸ジメチルのナトリウム塩が特に好ましく例示される。
(成分dについての説明)
また、上記一般式(2)で表される化合物(d)としては、5−スルホイソフタル酸あるいはその低級アルキルアエステルの4級ホスホニウム塩または4級アンモニウム塩である。4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩としては、アルキル基、ベンジル基、フェニル基が置換された4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩が好ましく、特に4級ホスホニウム塩であることが好ましい。また、4つある置換基は同一であっても異なっていても良い。上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸エチルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、あるいはこれらイソフタル酸誘導体のジメチルエステル、ジエチルエステルが好ましく例示される。
(数式1の説明)
本発明において、ポリエステルBに共重合させる成分cと成分dの合計は酸成分を基準として、c+dが3.0〜5.0モル%の範囲である必要がある。3.0モル%より少ないと、常圧下でのカチオン染色では十分な染着を得ることができない。一方、5.0モル%より多くなると、得られるポリエステル糸の強度が低下するため実用に適さない。さらに染料を過剰に消費するため、コスト面でも不利である。
(数式2の説明)
また、成分cと成分dの成分比は、d/(c+d)が0.2〜0.7の範囲にある必要がある。0.2以下、つまり成分cの割合が多い状態では、スルホイソフタル酸金属塩による増粘効果により、得られるポリエステルの重合度を上げることが困難になる。一方、0.7以上、つまり成分dの割合が多い状態では、反応が遅くなり、さらに成分dの比率が多くなると分解が進むため重合度を上げることができない。さらに、成分dの比率多くなると熱安定性が悪化し、溶融紡糸段階で再溶融した際の熱分解による分子量の低下が大きくなるため、得られるポリエステル糸の強度が低下するため、好ましくない。
(DEG量の説明)
本発明における常圧カチオン可染性ポリエステルに含有されるジエチレングリコールは、2.5重量%以下であることが好ましい。
一般にカチオン可染性ポリエステルを製造する際には、ポリエステルの製造工程において副生するジエチレングリコール(DEG)量を抑制するために、DEG抑制剤として少々のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、水酸化テトラアルキルホスホニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルアミンなどの少なくとも1種類を、使用するカチオン可染性モノマー(本発明の場合は化合物(c)及び(d))に対して、1〜20モル%程度を添加することが好ましい。
(ポリエステルBの製造方法)
本発明におけるポリエステルBの製造は特に限定されず、通常知られているポリエステルの製造方法が用いられる。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコールの直接重縮合反応させる、あるいはテレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸のエステル形成性誘導体とエチレングリコールとをエステル交換反応させて低重合体を製造する。次いでこの反応性生物を重縮合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させることにより製造される。スルホイソフタル酸を含有する芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル誘導体を共重合する方法についても通常知られている製造方法を用いる事ができる。
(その他添加剤)
また、本発明に使用するポリエステルには、必要に応じて少量の添加剤、例えば酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤または艶消し剤などを含んでいても良い。特に酸化防止剤、艶消し剤などは特に好ましく添加される。
本発明の芯鞘型複合繊維の軸方向に直交する断面におけるポリエステルAとポリエステルBの面積比は5:95〜80:20の範囲にする必要がある。面積比が5:95より小さい場合にはポリエステルAによる制電性能の発現が不十分になり、80:20よりも大きくなる場合は、10%以上のアルカリ減量を施した場合に、芯部の制電性ポリエステルが溶出し、制電性能が低下するとともに延伸糸の強度が低下し、3.0cN/dtex以下となり、布帛にした場合の強度が不足する為、スポーツ衣料等、強度を必要とする用途には適さず、用途が限られたものとなるので好ましくない。
また、本発明の制電性芯鞘型常圧可染性ポリエステル極細延伸糸の芯部および鞘部の芳香族ポリエステルには、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等を配合してもよく、またそうすることは好ましいことである。その他、必要に応じて、難燃剤、蛍光増白剤、艶消削1着色剤、不活性微粒子その他の任意の添加剤を配合してもよい。
酸化防止剤は、繊維の溶融紡糸工程等における高温度、低吐出速度、および長時間滞留などに起因する前記ポリオキシエチレン系ポリエーテル重合体の熱分解を抑制し、その水溶性化およびアルカリ耐久性の低下などの発生を防止することができる。本発明において用いられる酸化防止剤としては、それが酸化防止能を有する限り、その種類に制限はなく好ましい酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、チオプロピオネート系化合物、ホスファイト系化合物などが挙げられ、1種のみを単独で用いても2種以上を混合して使用してもよい。また酸化防止剤の配合量は、芳香族ポリエステルに対して0.02〜3重量%の範囲にあることが好ましい。この配合量が0.02重量%より少ないときは、ポリオキシエチレン系ポリエーテル重合体に対する熱分解抑制効果が不充分であり、また、それを3重量%より多くしても、その熱分解抑制効果は飽和してそれ以上の向上は認められず、かえって得られる繊維の機械的性質や色相等が損なわれるようになる。
また、本発明の制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸の外周の断面形状、ならびに芯部分が形成する図形の形状は、織編物の電性、張り、腰、風合、光沢なとの目的に応じて任意の形状をとることができ、例えば、円形断面の他、三角、偏平、四角、三角、星形、六角、ブーメラン形等を例示できる。また芯成分と鞘成分とは同心形状である必要はなく、芯の中心が偏った形状のものでもよく、また、外周の断面形状と芯部分が形成する図形の形状も、同じ形状であってもよいし異なった形状でもよい。
本発明の制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸は、従来公知の複合紡糸装置を用い、鞘側に前述したポリエステルBを、芯部にポリエステルAを使用して、2000〜3000m/分の速度で溶融紡糸し、且つ紡出時の吐出速度と引き取り速度の比(以降ドラフト比と記す)を100〜800の範囲で引き取ることが重要である。その後熱処理する方法、上記の速度で溶融紡糸し、延伸と仮撚加工とを同時にまたは続いて行う方法、任意の製糸条件を採用することができる。
また得られた繊維またはこの繊維から製造された織編物を100℃以上の温度で熱処理して、構造の安定化と繊維中に含有されているポリオキシエチレン系ポリエーテル、および必要に応じて含有されている各種添加剤の移行による適性配列化を助長させることも好ましい。さらに必要に応じて弛絨熱処理なども併用することができる。
また必要に応じて、本発明の制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸またはこの繊維から製造された織編物に、適宜の親水化後加工を施してもよく、またそうすることは好ましいことである。この親水化後加工としては、例えばテレフタル酸および/またはイソフタル酸もしくはそれらの低級アルキルエステルと、低級アルキレングリコール、およびポリアルキレングリコールとからなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体の水性分散液で処理する方法、または、アクリル酸、メタクリル酸等の親水性モノマーをグラフト重合し、その後これをナトリウム塩化する方法等が好ましく採用できる。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)固有粘度
オルソ−クロルフェノールに溶解し、ウベローデ粘度管を用い、35℃で測定した。
(2)ジエチレングリコール(DEG)含有量:
ヒドラジンヒドラート(抱水ヒドラジン)を用いてポリエステル組成物チップを分解し、この分解生成物中のジエチレングリコールの含有量をガスクロマトグラフィー(ヒューレットパッカード社製(HP6850型))を用いて測定した。
(3)紡糸断糸
複合紡糸設備で1週間溶融紡糸を行い断糸した回数を記録し、1日1錘当りの紡糸断糸回数を紡糸断糸とした。ただし、人為的あるいは機械的要因による断糸は断糸回数から除外した。
(4)複屈折率
常法に従い、光学顕微鏡とコンペンセーターを用いて、繊維の表面に観察される偏光のリターデーションから求めた。
(5)延伸糸の強度、伸度
JIS L―1013―75に準じて測定した。
(6)毛羽個数
東レ(株)製DT−104型毛羽カウンター装置を用いて、ポリエステル延伸糸サンプルを500m/minの速度で20分間連続測定して発生毛羽数を計測し、サンプル長1万m当たりの個数で表した。
(7)風合い
(ソフト感)
レベル1:ソフトでしなやかな感触がある
レベル2:ややソフト感が乏しいが反撥性は感じられる
レベル3:カサカサした触感あるいは硬い触感である。
(8)帯電性試験方法
A法(半減期測定法)
本発明の複合延伸糸を、筒編みし、染色し、調湿後、試験片をコロナ放電場で帯電させた後、この帯電圧が1/2に減衰するまでの時間(秒)をスタテイック オネストメータで測定する。時間(秒)が短い方が 制電性能が優れていると判断した。
B法(摩擦帯電圧測定法)
試験片を回転させながら摩擦布で摩擦し、発生した帯電圧を測定する。
L1094帯電性試験方法B法(摩擦帯電圧測定法)に順ずる。
制電効果については、摩擦帯電圧が、約2000V以下(好ましくは1500V以下)
であれば、制電効果が奏される。
(9)カチオン可染性:
CATHILON BLUE CD−FRLH)0.2g/L、CD−FBLH0.2g/L(いずれも保土ヶ谷化学)、硫酸ナトリウム3g/L、酢酸0.3g/Lの染色液中にて100℃で1時間、浴比1:50で染色し、次式により染着率を求めた。
染着率=(OD−OD)/OD0
OD:染色前の染液の576nmの吸光度
OD:染色後の染液の576nmの吸光度
本発明では、染着率98%以上のものを可染性良好と判断した。
[実施例1]
(ポリエステルAの作製)
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール60部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸ジメチルに対して0.066モル%)および整色剤として酢酸コバルト4水塩0.013部(テレフタル酸ジメチルに対して0.01モル%)をエステル交換反応缶に仕込み、この反応物を窒素ガス雰囲気下で4時間かけて140℃から220℃まで昇温し、反応缶中に生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応させた。エステル交換反応終了後、反応混合物に安定剤としてリン酸トリメチル0.058部(テレフタル酸ジメチルに対して0.080モル%)、および消泡剤としてジメチルポリシロキサンを0.024部加えた。次に、10分後に、反応混合物に三酸化アンチモン0.041部(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加し、同時に過剰のエチレングリコールを留去しながら240℃まで昇温し、その後、反応混合物を重合反応缶に移した。次いで1時間40分かけて760mmHgから1mmHgまで減圧するとともに240℃から280℃まで昇温して重縮合反応せしめた後、
制電剤としてポリオキシアルキレン系ポリエーテルとして下記式(5)
Figure 2010007191
(ただし、jは18〜28の整数で平均21、Pは平均値として100、mは平均値として5である)
で表される水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルを4部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを2部、真空下で添加し、さらに240分間重縮合反応せしめ、次いで酸化防止剤としてチバカイギー社製イルガノックス1010を0.4部真空下で添加し、その後さらに30分間重縮合反応を行なった。重合反応工程で、制電剤を添加し、得られたポリマーの固有粘度は0.657、軟化点258℃であった。
(ポリエステルBの作製)
テレフタル酸ジメチル100重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル4.1重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、酢酸マンガン0.03重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.12重量部を添加し、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながらエステル交換反応を行った。その後、正リン酸0.03重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
その後、反応生成物(a)に三酸化アンチモン0.05重量部と5−スルホイソフタル酸テトラブトキシホスホネート(b)2.8重量部と水酸化テトラエチルアンモニウム0.3重量部とトリエチルアミン0.003重量部を添加して重合容器に移し、285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、重合槽の攪拌機電力が所定電力に到達、もしくは所定時間を経過した段階で反応を終了させ、常法に従いチップ化した。
製糸化は以下の通り行った。乾燥ポリマーを紡糸設備にて各々常法で溶融し、ギヤポンプを経て2成分複合紡糸ヘッドに供給した。芯と鞘のポリマー比率が表1記載の値となるように設定した。同時に供給された芯部と鞘部の溶融ポリマーは、ノズル孔径0.25mmの円型複合紡糸孔を72個穿設した紡糸口金から、通常の通常のクロスフロー型紡糸筒からの冷却風で冷却・固化し、紡糸油剤を付与しつつ一つの糸条として集束し、3000m/minの速度で引き取り、複屈折率0.035の140dtex/72フィラメントのポリエステル未延伸糸を得た。
公知の延伸方法で1.8倍に延伸した延伸糸を用いて筒編地を製造し、制電性を測定した。溶融紡糸時の工程安定性及び制電性能の結果を表1に示す。
次いで、該織物を液流染色機を用いて沸騰水で20分間リラックス処理し、引き続きプリセット処理を行った後、さらに、染色、ファイナルセット処理を行い、ポリエステル複合延伸糸からなる布帛とした。
得られた布帛の制電性能は15秒であり、官能評価を実施したところ、非常に深みのある、且つ高級感を有し、ソフト感を呈した風合のものであった。
[実施例2〜4、比較例1〜8]
表1に示す条件で行った以外は実施例1と同様な方法で行った。
Figure 2010007191
スポーツ衣料、ユニフォーム、防塵衣等の鮮明な色調で且つ制電性が必要な用途、あるいは、肌に直接触れることの多いブラウスやシャツなどの用途においても有用である。

Claims (6)

  1. 芯鞘型複合繊維であって、芯部がポリエステルAで形成され、他方、鞘部がポリエステルBで形成され、下記(1)〜(6)の要件を満足する制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸。
    (1)延伸糸の単糸繊度が1.5dtex以下である。
    (2)芯部の面積Aと鞘部の面積Bとの比A:Bが5:95〜80:20の範囲である。
    (3)延伸糸の強度が3.0cN/dtex以上である。
    (4)延伸糸の摩擦帯電圧が2000V以下
    (5)ポリエステルAが芳香族ポリエステル100重量部に対して、制電剤として、
    (a)下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系ポリエーテルを0.2〜30重量部及び(b)該ポリエステルと実質的に非反応性の有機イオン性化合物を0.05〜10重量部を含有してなる制電性ポリエステルであること。
    Z−[(CHCHO)n(RO)m−R]k 式(1)
    [式中、Zは1〜6個の活性水素原子を有する有機化合物残基、R1は炭素原子数6以上のアルキレン基又は置換アルキレン基、R2は水素原子、炭素原子数1〜40の一価の炭化水素基、炭素原子数2〜40の一価のヒドロキシ炭化水素又は炭素原子数2〜40の一価のアシル基、kは1〜6の整数、nはn≧70/kを満足する整数、mは1以上の整数]
    (6)ポリエステルBが、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートより構成される芳香族ポリエステルであり、該ポリエステルを構成する全酸成分に対して、スルホイソフタル酸金属塩(c)、および下記一般式(2)で表される化合物(d)を、下記数式1及び数式2を同時に満足する条件で含有する共重合ポリエステルであって、該共重合ポリエステル中のジエチレングリコール含有量が2.5重量%以下であり、且つ得られるポリエステルの固有粘度が0.55〜1.0の範囲にある常圧カチオン可染性ポリエステルであること。
    Figure 2010007191
    [上記式中、Rは水素または炭素数1〜10のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニウム塩、または4級アンモニウム塩を表す。]
    3.0≦c+d≦5.0 (数式1)
    0.2≦d/(c+d)≦0.7 (数式2)
    [ここで、cはスルホイソフタル酸の金属塩の共重合量(モル%)、dは上記化学式(2)で表される化合物の共重合量(モル%)を表す。]
  2. ポリエステルBにおいて、スルホイソフタル酸金属塩が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸である請求項1記載の制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸。
  3. ポリエステルBにおいて、化合物(d)が、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネートである請求項1〜2いずれかに記載の制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸。
  4. 請求項1記載の制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸の製造方法であって、紡糸速度が2000〜4500m/minであり、且つ紡出時の吐出速度と引き取り速度の比(以降ドラフト比と記す)を100〜800の範囲で引き取ることを特徴とする制電性芯鞘型常圧カチオン可染ポリエステル極細延伸糸の製造方法。
  5. ポリエステルBにおいて、スルホイソフタル酸金属塩が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸である請求項4記載の制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸の製造方法。
  6. ポリエステルBにおいて、化合物(d)が、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネートである請求項4〜5いずれかに記載の制電性芯鞘型常圧カチオン可染性ポリエステル極細延伸糸の製造方法。
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