JP3130690B2 - 改善された常温ソイルリリース性を有するポリエステル繊維 - Google Patents

改善された常温ソイルリリース性を有するポリエステル繊維

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JP3130690B2 JP04333727A JP33372792A JP3130690B2 JP 3130690 B2 JP3130690 B2 JP 3130690B2 JP 04333727 A JP04333727 A JP 04333727A JP 33372792 A JP33372792 A JP 33372792A JP 3130690 B2 JP3130690 B2 JP 3130690B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防汚性ポリエステル繊
維に関するものであり、さらに詳しくは、改善された常
温ソイルリリース性を有するポリエステル繊維に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は寸法安定性に優れ、
強く、かつしわになり難い等の優れた特性を有している
ため、あらゆる分野で活用されている。特に近年、病医
院、食品産業、学校、オフィス等で着用される各種ユニ
フォームを提供するテキスタイルユニフォーム分野での
利用はめざましいものがある。しかしながら、かかる優
秀な特性を持つポリエステル繊維も、合成繊維固有の疎
水性であるため木綿等の親水性繊維に比較して吸水性、
吸湿性が著しく劣っている。そのため油性汚れが付着し
やすく、かつ除去しがたく、更に洗濯中に汚れが再付着
しやすい等の問題がある。これはポリエステル繊維がテ
キスタイルユニフォーム分野へ展開されて以来常に提起
されてきた問題であり、この問題を解消するために多く
の方法が提案されている。
【0003】そこで本発明者らは、エチレンオキサイド
に特定の高級オレフィンオキサイドを共重合せしめて水
不溶化させたポリオキシエチレン系ポリエーテルを、ポ
リエステル中に分散させることにより得られたポリエス
テルの制電性、吸汗性、防汚性等の洗濯耐久性が著しく
向上することを見いだした(特開平2―269762
号、特開平3―182546号公報参照)。
【0004】一方、防汚性に関連して、より広義に、親
水性を付与する方法として、例えば、一方の末端にエポ
キシ基を有するポリアルキレンオキサイド(ポリオキシ
エチレングリコールn―ブチルグリシジルエーテル)
(特開平1―236236号公報参照)、及び末端部に
1級及び2級水酸基を有するポリアルキレンオキサイド
(ポリオキシエチレングリコールメチル1,2―ジヒド
ロキシプロピルエーテル)(特開平1―234420号
公報参照)をポリエステルに共重合することにより、吸
水性、吸湿性及び速乾性に優れたポリエステルを得る方
法が開示されている。
【0005】しかしながら、上記発明によって得られた
ポリエステルは、40℃の温水中で洗濯処理を施した場
合におけるソイルリリース性については優れているもの
の、一般家庭の洗濯において用いられる常温の水道水で
洗濯処理を施した場合には、ソイルリリース性が充分に
維持されないという問題があることがわかった。
【0006】
【発明の目的】そこで、本発明者らは、40℃の温水中
でのソイルリリース性のみならず、一般家庭の洗濯にお
いて用いられる常温(ここで常温とは便宜上15℃とす
る)の水道水で洗濯処理を施した場合においても優れた
ソイルリリース性を有するポリエステル繊維を提供する
ことを目的として鋭意検討を行った結果、本発明に到達
した。
【0007】
【発明の構成】すなわち、本発明は、エチレンテレフタ
レートを主たる構成単位とするそのポリエステル末端の
少なくとも一部に下記一般式(I)
【0008】
【化4】
【0009】[式中、R1 は活性水素を有しない一価の
有機基であり、R2 は炭素数2以上のアルキル基又は芳
香族基である。m及びnはそれぞれ―CH2 CH2 O―
あるいは
【0010】
【化5】
【0011】成分の使用量(モル数)を表わす。mは1
5〜100、nは1〜30であり、m+nが20〜10
0の整数となる正の整数である。記号()は共重合体の
モノマー成分の組成のみを決定するものであり、モノマ
ー配列に関して制限するものではない。]で表わされる
分子量4500以下のポリオキシアルキレン系ポリエー
テルを共重合したポリエステルであって、その共重合量
はマトリックスであるポリエステルに対して0.5〜1
0重量%である改善された常温ソイルリリース性を有す
るポリエステル繊維である。
【0012】本発明において用いられるポリオキシアル
キレン系ポリエーテル(以下、ポリエーテルという。)
は上記式(I)で示される。
【0013】式(I)中、R1 は活性水素を有しない一
価の有機基である。炭化水素基が好ましく、中でもメチ
ル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル
基、ナフチル基等の芳香族基シクロアルキル基が特に好
ましい。
【0014】R2 は炭素数2以上の直鎖又は分枝したア
ルキル基及び芳香族基である。中でも炭素数2〜21の
アルキル基が好ましく、炭素数2のアルキル基が特に好
ましい。かかるR2 の具体例としては、エチル基、プロ
ピル基、ヘキシル基、デシル基、ヘンイコサン基、フェ
ニル基等をあげることができる。また、R2 は上記2種
以上の混合であってもよい。
【0015】m及びnはそれぞれ―CH2 CH2 O―あ
るいは
【0016】
【化6】
【0017】成分(以下、それぞれEO成分あるいはX
O成分という。)の平均使用量(モル数)を表わす。m
は15〜100、nは1〜30であり、好ましくはmは
20〜50、nは1〜20である。m+nは20〜10
0の整数となる正の整数である。
【0018】m+nが20未満のポリエーテルを共重合
させようとすると、充分なソイルリリース性を得るため
には、高い共重合率が必要になり、このような場合ポリ
エステルの末端が封鎖されるためにポリエステル自体の
重合度を充分に上げることができず、ひいては得られる
繊維の力学的特性を確保できない。一方、m+nが10
0より大きい場合には、ポリエーテルとポリエステルと
の反応が充分に進まず、結局はポリエーテルがポリエス
テルに混合したと同一の結果となり、高いソイルリリー
ス性は得られない。m+nは30〜80であることが好
ましい。
【0019】また、mとnの組成比はポリエーテルの親
水性の程度を決定する重要な因子であるが、その範囲は
0.01≦n/m≦0.30が好ましい。n/mが0.
01未満であると最終的に得られるポリエステル繊維の
常温洗濯耐久性は従来のポリエステル繊維と比較して顕
著な効果を発揮することがなく、常温ソイルリリース性
は不十分なものとなる。n/mが0.30より多いとポ
リエーテルの親水性の程度が下がるため油性の汚れに対
するソイルリリース性はかえって劣るようになる。
【0020】ポリーエテルを構成するXO単位及びEO
単位は任意の配列を取ることができ、ランダム共重合
体、ブロック共重合体あるいはそれらの組み合わせであ
ってもよい。なかでも下記式(II)
【0021】
【化7】
【0022】[式中、R1 及びR2 は上記式(I)にお
ける定義に同じである。m1 ,m2 及びm3 はXO成分
の使用量(モル数)を表わし、m1 +m2 +m3 =mで
ある。ここでm1 =2〜40、m2 =10〜95、m3
=2〜40である。n及びm+nは上記式(I)におけ
る定義に同じである。記号[]はモノマーの配列の特徴
を区分するものであり、記号/はランダム共重合である
ことを示す。]で示されるようにXO単位及びEO単位
がランダム共重合体として分子鎖を構成し、この分子鎖
の両末端にEO単位からなるポリオキシエチレンがブロ
ックを形成することが特に好ましい。ここでランダム共
重合部においてXO単位:EO単位の割合は5:95〜
50:50であることが特に好ましい。かかる特定の構
造をとることによってXO単位とEO単位とが完全にブ
ロックあるいは完全にランダムに配列している場合に比
較して高度な親水耐久性の達成が可能となる。
【0023】式(I)及び式(II)で表わされるポリエ
ーテルの分子量は、ポリエステルに共重合する範囲であ
れば、特に規定はないが、好ましくは4500以下、特
に好ましくは4000以下である。
【0024】式(I)及び式(II)で表わされるポリエ
ーテルは適当なアルコキシド又はフェノキシドを用いて
高温高圧下でアルキレンオキサイドを開環させることに
より容易に製造することができる。この重合過程は段階
的に進行することが知られており、所予の段階でアルキ
レンオキシドの種類及び組成を調節することにより目的
に応じたモノマー配列を有するポリエーテルを生成させ
ることができる。具体的には第一段階でエチレンオキサ
イドを、第二段階でエチレンオキサイドと他成分のアル
キレンオキサイドの混合物を、第三段階でエチレンオキ
サイドを順次反応釜に仕込むことにより目的物が得られ
る。
【0025】本発明において上記ポリエーテルを共重合
するポリエステルは、テレフタル酸を主たる酸成分と
し、エチレングリコールを主たるグリコール成分とする
ポリエステルを対象とする。かかるポリエステルは、そ
の酸成分であるテレフタル酸の一部を他の二官能性カル
ボン酸で置き換えてもよい。このような他のカルボン酸
としては、例えばイソフタル酸、5―ナトリウムスルホ
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β―オ
キシエトキシ安息香酸、p―オキシ安息香酸のごとき二
官能性芳香族カルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、シ
ュウ酸のごとき二官能性脂肪族カルボン酸等を挙げるこ
とができる。また、エチレングリコール成分の一部を他
のグリコール成分で置き換えてもよく、かかるグリコー
ル成分としては、例えばトリメチレングリコール、テト
ラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘ
キサメチレングリコール等、及び他のジオール化合物、
例えばシクロヘキサン―1,4―ジメタノール、ネオペ
ンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノール
Sのごとき脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物、
両末端が未封鎖のポリオキシアルキレングリコール等が
挙げられる。
【0026】かかるポリエステルは任意の方法によって
製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタ
レートについて説明すれば、テレフタル酸とエチレング
リコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル
酸ジメチルのごときテレフタル酸の低級アルキルエステ
ルとエチレングリコールとをエステル交換反応させる
か、又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応さ
せるかして、テレフタル酸のグリコールエステル及び/
又はその低重合体を生成させる第1段の反応、ついでか
かる生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重
縮合反応させる第2段の反応とによって容易に製造され
る。
【0027】上記式(I)及び/又は式(II)で表わさ
れる片末端封鎖ポリエーテルをポリエステル鎖の末端に
共重合するには、前述したポリエステルの合成が完成す
る以前の任意の段階、例えば第1段の反応開始前、反応
中、反応終了後、第2段の反応中などの任意の段階で添
加し添加後に製造反応を完結すればよい。
【0028】この際の使用量は、あまり少ないと最終的
に得られるポリエステル繊維のソイルリリース性能及び
その洗濯耐久性が不十分になり、逆にあまり多いと重縮
合反応の過程においてポリエステルの重合度が低いレベ
ルで頭打ちになるため、最終的に得られるポリエステル
繊維の強度等の糸物性が悪化するようになる。また、ポ
リエーテルを多量に含むようになると、得られる繊維の
耐光性が悪化するので、共重合量は可及的に少量にする
ことが望ましい。本発明においてポリエーテルの共重合
量は、マトリックスであるポリエステルに対して0.5
〜10重量%の範囲にすべきであり、特に2〜5重量%
の範囲が好ましい。このように、本発明ではポリエーテ
ルの共重合量を少量に抑制できるため、得られる繊維は
充分な耐光性をも保持することができる。
【0029】なお、必要に応じて安定剤、艶消剤、酸化
防止剤、蛍光増白剤、触媒、着色防止剤、耐熱剤、着色
剤、無機粒子等を併用してもよい。特に、ポリエーテル
は溶融紡糸条件下のような高温に放置されると、容易に
酸化されて重合度低下や着色といった問題を発生しやす
いため、酸化防止剤や蛍光増白剤等の併用は好ましい場
合が多い。さらに、本発明における改善された常温ソイ
ルリリース性を有するポリエステルにイオン性帯電防止
剤を併用すれば、制電性に優れた繊維を得ることもで
き、その利用分野はさらに増大する。
【0030】このようにして得られた本発明のポリエス
テルの重合度は、充分な繊維特性を発揮するため、極限
粘度で0.58以上が好ましく、0.6以上が特に好ま
しい。
【0031】かかる本発明のポリエステルを繊維化する
場合には特別の方法を採用する必要はなくポリエステル
繊維の溶融紡糸法を任意の条件で採用することができ
る。例えば、500〜2500m/分の速度で溶融紡糸
し、延伸、熱処理する方法、1500〜5000m/分
の速度で溶融紡糸し延伸と仮撚加工を同時に又は続いて
行う方法、5000m/分以上の高速で溶融紡糸し、用
途によっては延伸工程を省略する方法等任意の製糸条件
が採用される。ここで、紡出する繊維は中空部のない中
実繊維であっても、中空部を有する中空繊維であっても
よい。また、紡出する繊維の横断面における外形や中空
部の形状は、円形であっても異形であってもよい。
【0032】紡出された繊維は、充分な繊維性能を発揮
するため伸度が40%以下、強度が4g/de以上にな
るように延伸され、必要に応じて熱処理されることがで
きる。
【0033】
【作用】このようにポリオキシエチレン系ポリエーテル
をポリエステルに共重合することにより優れた高温ソイ
ルリリース効果のみならず優れた常温ソイルリリース効
果が発現する。この理由については未だ明らかでない
が、該ポリエーテルの親水性やガラス転移温度、該ポリ
エーテルセグメントのポリエステル繊維中でのミクロ相
分離状態、ポリエステルマトリックスのポリエーテルセ
グメントとの界面親和性、洗濯水に対する該ポリエーテ
ルセグメントの分解溶出性等が複雑に絡み合った結果と
して奏されるものと推察される。
【0034】
【発明の効果】本発明のポリエステル繊維は、例えばユ
ニフォーム等の洗濯頻度の高い衣類とした場合に、特に
その特徴が発揮され、過酷に繰り返される洗濯処理、と
りわけ常温の水を用いた洗濯においても耐久性の優れた
ソイルリリース性を呈する。このため本発明のポリエス
テル繊維は、テキスタイルユニフォーム分野においてき
わめて有用である。またリネンサプライ分野への応用も
有効である。
【0035】さらに、本発明のポリエステル繊維は必要
に応じて、綿、羊毛等の天然繊維、レーヨン、アセテー
ト等の再生繊維及び本発明のポリエステル以外の合繊と
の混紡、交織等に使用することも可能である。
【0036】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に説明す
る。
【0037】実施例中の部及び%はそれぞれ重量部及び
重量%を示す。ポリマーの極限粘度[η]は35℃のオ
ルトクロロフェノール溶液で測定した値から求めた。
【0038】実施例のうち洗濯処理、汚染処理及び汚染
率の求め方は下記の方法を採用した。
【0039】(1)洗濯処理 家庭用洗濯機に液温15℃の水を入れ、これに水1リッ
トルに対して2gの割合で衣料用合成洗剤を添加して溶
解し洗濯液とした。この洗濯液に浴比が、1対30にな
るように試料及び負荷布を投入し運転を開始した。50
分間処理した後、運転を止め、試料及び負荷布を脱水機
で脱水し、次いでオーバーフロー水洗を15分行い脱水
した。上記洗濯をLL5とし、これを必要回数繰り返し
た。
【0040】(2)汚染処理 下記組成の人工汚れ液にホルダーに挟んだ10cm×13
cmの織物を浸漬させ汚れを付与した。人工汚れ液 ・モーターオイル 99.335重量% (Dia Queen Motor Oil M-2 )三菱自動車工業製 ・B重油 0.634重量% ・カーボンブラック 0.031重量% その後、試料を濾紙の間に挟んで余分の汚染液を除き、
乾燥機中80℃で8時間静置した。この汚染処理した試
料を家庭洗濯機の弱条件でマルセル石鹸を2g/リット
ル含む15℃の水中で20分間洗濯した。その後、下記
方法によって汚れ除去性を評価した。
【0041】(3)ソイルリリース性の評価 分光光度計マクベスMS―2020(Instrumental Col
or System Limited 製)を用い、常法によって試料のC
IE表色計のΔEを求め、ソイルリリース性を下記式に
より計算した。
【0042】
【数1】
【0043】上記式中、 ΔE:ソイルリリース性 L1 ,a1 ,b1 :汚染処理前の試料のL,a,b値 L2 ,a2 ,b2 :洗濯処理後の試料のL,a,b値
【0044】
【実施例1】テレフタル酸ジメチル100部、エチレン
グリコール60部、酢酸カルシウム1水塩0.06部
(テレフタル酸ジメチルに対して0.066モル%)及
び整色剤として酢酸コバルト4水塩0.009部(テレ
フタル酸ジメチルに対して0.007モル%)をエステ
ル交換反応缶に仕込み、この反応物を窒素ガス雰囲気下
で4時間かけて140℃から220℃まで昇温し、反応
缶中に生成するメタノールを系外に留去しながらエステ
ル交換反応させた。エステル交換反応終了後、反応混合
物に安定剤リン酸トリメチル0.058部(テレフタル
酸ジメチルに対して0.080モル%)及び消泡剤とし
てジメチルポリシロキサンを0.024部加えた。次
に、10分後に、反応混合物に三酸化アンチモン0.0
4部(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル
%)を添加し、同時に過剰のエチレングリコールを留去
しながら、240℃まで昇温し、その後、反応終了後を
重合反応缶に移した。次に、この反応混合物に、下記化
学式
【0045】
【化8】
【0046】で表わされる平均分子量2450のポリエ
ーテル(ここで、n=4、m1 =7、m2 =31、m3
=10、n/m=0.08及び共重合部はランダム配列
である。)を4部添加した。
【0047】反応缶内の圧力を1時間かけて760mmHg
から1mmHgまで減圧し、同時に反応混合物の温度を24
0℃から285℃まで昇温した。1mmHgの減圧下でさら
に重合し、この段階で反応混合物に酸化防止剤としてス
ミライザーGA―80(住友化学工業(株)製)及びア
デカスタブAO―412S(旭電化(株)製)をそれぞ
れ0.2部ずつ添加し、その後系の溶融粘度が所定の値
に達するまで重合した。得られたポリマーは常法により
チップ化した。
【0048】得られたチップを常法により乾燥した後、
孔径0.3mmの円形紡糸孔を24個穿設した紡糸口金を
有する押出紡糸機を用いて285℃で溶融し、吐出量3
7.5g/分、引取り速度1500m/分で紡糸し、得
られた未延伸糸を、80℃の加熱ローラーと160℃の
プレートヒーターとを有する延伸処理機に供し、その伸
度が30%になるような延伸倍率で、延伸熱処理し、7
5デニール/24フィラメントの延伸糸を得た。
【0049】得られた延伸糸を用いてメリヤス編地を製
造し、これを常法により精練、プリセット(180℃×
1分)して編地を得た。これに前記の汚染処理を施しソ
イルリリース性を評価した。その結果を図1に示す。
【0050】更に40℃の洗濯液におけるソイルリリー
ス性を評価した。その結果を図2に示す。
【0051】
【実施例2〜7】表1で示されるポリエーテルを用いる
以外は実施例1と同様の方法でおこなった。
【0052】結果を図1及び図2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【比較例1】ポリエーテルの代わりにポリオキシエチレ
ングリコールn―ブチルグリシジルエーテルでnが平均
42.5である平均分子量2190の化合物を用いる以
外は実施例1と同様に行った。
【0055】結果を図1、2に示す。
【0056】
【比較例2】ポリエーテルの代わりにポリオキシエチレ
ングリコールメチル1,2―ジヒドロキシプロピルエー
テルでnが平均42である平均分子量2000の化合物
を用いる以外は実施例1と同様に行った。
【0057】結果を図1、2に示す。
【0058】
【比較例3】下記式
【0059】
【化9】
【0060】[ここでy=100、m=20である。]
で表わされる分子量8454のポリエーテルをポリエス
テル中に分散させる以外は実施例1と同様に行った。
【0061】結果を図1、2に示す。
【0062】図1及び図2から明らかな通り、本発明の
ポリエステル繊維と従来法によって得られたポリエステ
ル繊維とを比較してみると40℃の洗濯液におけるソイ
ルリリース性については、ほぼ同程度であるが15℃の
洗濯液におけるソイルリリース性についてはポリエステ
ル中にポリエーテルを共重合することにより、著しく改
善されることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】15℃の洗濯液で洗濯した場合のソイルリリー
ス性について示したものである。
【図2】40℃の洗濯液で洗濯した場合のソイルリリー
ス性について示したものである。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 東義 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式 会社 松山事業所内 (72)発明者 小林 重信 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人 株式会社 大阪研究センター内 (72)発明者 竹田 勝紀 京都府京都市下京区西七条東久保町19番 地 (72)発明者 松本 純一良 滋賀県大津市衣川2丁目21番29号 (56)参考文献 特開 昭63−50524(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/84 - 6/86

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる構成単
    位とするそのポリエステル末端の少なくとも一部に下記
    一般式(I) 【化1】 [式中、R1 は活性水素を有しない一価の有機基であ
    り、R2 は炭素数2以上のアルキル基又は芳香族基であ
    る。m及びnはそれぞれ―CH2 CH2 O―あるいは 【化2】 成分の使用量(モル数)を表わす。mは15〜100、
    nは1〜30であり、m+nが20〜100の整数とな
    る正の整数である。記号()は共重合体のモノマー成分
    の組成のみを決定するものであり、モノマー配列に関し
    て制限するものではない。]で表わされる分子量450
    0以下のポリオキシアルキレン系ポリエーテルを共重合
    したポリエステルであって、その共重合量はマトリック
    スであるポリエステルに対して0.5〜10重量%であ
    る改善された常温ソイルリリース性を有するポリエステ
    ル繊維。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリオキシエチレン系ポ
    リエーテルが下記一般式(II) 【化3】 [式中、R1 及びR2 は上記式(I)における定義に同
    じである。m1 ,m2 及びm3 は―CH2 CH2 O―成
    分の使用量(モル数)を表わし、m1 +m2 +m3 =m
    である。ここでm1 =2〜40、m2 =10〜95、m
    3 =2〜40である。n及びm+nは上記式(I)にお
    ける定義に同じである。記号[]はモノマーの配列の特
    徴を区分するものであり、記号/はランダム共重合であ
    ることを示す。]であるポリエステル繊維。
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