JP3546222B2 - 分割型ポリエステル複合繊維 - Google Patents
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【発明の属する分野】
本発明は、一方の成分が他方成分を複数個に分割している横断面を有する分割型ポリエステル複合繊維に関するものであり、別の観点からはアルカリ水溶液で処理することによって容易にかつ効率良く極細繊度のポリエステル繊維が得られる分割型ポリエステル複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ易溶解性成分がアルカリ難溶解性ポリエステル成分を複数個に分割するように配置された分割型複合ポリエステル繊維は、アルカリ易溶解性成分を除去することによって、極細単繊度繊維からなる糸条が得られること、および該複合繊維を布帛となした後にアルカリ処理すると絹様風合を呈すること等が広く知られている。また、かかる方法により得られる極細単繊度のポリエチレンテレフタレート繊維は、高融点、高強度、高ヤング率、良好な電気的特性、耐薬品性などの優れた特性を有していることから、絹様織編物、スポーツ衣料、フィルター、その他各種衣料用、工業用分野への展開が期待されている。
【0003】
かかる分割型複合ポリエステル繊維は、▲1▼製糸時の工程安定性に優れていること、▲2▼アルカリ易溶解性成分とアルカリ難溶解性ポリエステル成分との溶解速度差が十分に大きいこと、▲3▼アルカリ易溶解性成分を溶解除去する処理時にアルカリ難溶解性成分が均一に分離されること(該処理時に、アルカリ難溶解性ポリエステル成分が密着しあわないこと)等の特性を有していることが望ましいとされている。
【0004】
このような望ましい分割型複合ポリエステル繊維を得るべく、従来よりアルカリ易溶解性成分に関する提案が多くなされてきた。例えば特公昭47−47532号公報では、平均分子量が10000以上のポリオキシアルキレングリコールをポリエステルに配合する方法が提案されている。
しかし、この方法で、0.3デニール以下の極細繊維を得るためには、アルカリ易溶解性成分のアルカリ減量速度を高める必要があってポリオキシアルキレングリコールの添加量は10重量%以上となり、その結果、紡糸安定性が低下して生産上好ましいことではない。
【0005】
また、特開昭58−54022号公報ではアルカリ易溶解性成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸と平均分子量が90〜6000のグリコール成分を共重合したコポリエステルが提案され、特開昭59−36775号公報では5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分とイソフタル酸成分および/またはポリオキシアルキレングリコール成分を共重合したコポリエステルが提案されている。
しかしながら、これらの提案は本発明を開示ないし示唆するものではない。
【0006】
【解決しようとする課題】
本発明の目的は、単繊維繊度が0.3デニール以下の極細繊維を得ることができる分割型ポリエステル複合繊維を提供することである。
本発明の他の目的は、工程安定性良好に紡糸して製造することができる複合繊維を提供することである。
本発明のさらなる他の目的は、アルカリ易溶解性ポリエステル成分とアルカリ難溶解性ポリエステル成分とからなり、アルカリ易溶解性ポリエステル成分がアルカリ処理液に早い速度で溶解する分割型ポリエステル複合繊維を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的および利点は、繊維横断面の領域がアルカリ易溶解性ポリエステルおよびアルカリ難溶解性ポリエステルの各々からなるセグメント(A)および(B)によって占められ、かつセグメント(B)の領域がセグメント(A)の領域により複数個に分割されてなる分割型ポリエステル複合繊維において、
該アルカリ易溶解性ポリエステルは、下記式(1)
【0008】
【化2】
【0009】
(式(1)中、Arは2価の芳香族基である)
で示される単位が全繰返し単位中に0.5〜10モル%占めるコポリエステルと該コポリエステルに対して1〜15重量%の割合で配合されたポリアルキレングリコールからなる変性ポリエステルである、
ことを特徴とする分割型ポリエステル複合繊維によって達成される。
【0010】
以下、本発明を詳述するが、それにより本発明の他の目的、利点、効果などが明らかとなろう。
本発明の分割型ポリエステル複合繊維に用いられるアルカリ易溶解性ポリエステルは、前述したとおり、前記式(1)で示される単位が全繰返し単位中に0.5〜10モル%、好ましくは0.5〜7モル%、より好ましくは1〜5モル%占めるコポリエステルと該コポリエステルに対して1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%の割合で配合されたポリアルキレングリコールからなる変性ポリエステルである。
【0011】
式(1)中のArで示される2価の芳香族基としては、下記式(2−1)〜(2−9)
【0012】
【化3】
【0013】
で示されるものを例示することができ、なかでも上記式(2−1)および(2−4)で示されるものが好ましい。
【0014】
上記コポリエステルに配合されるポリアルキレングリコールとしては、数平均分子量が6,000以上100,000以下のものが好ましい。数平均分子量が6,000に満たないと変性ポリエステル(アルカリ易溶解性ポリエステル)を調製する際に、ポリアルキレングリコールがコポリエステル分子鎖に結合してしまい、変性ポリエステルのアルカリ溶解性が充分でなくなる。
【0015】
一方、好ましく用いられるポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、ポリヘキシレングリコールおよびこれらのブロック共重合体を挙げることができる。また、上記ポリアルキレングリコールを製造するために用いられるアルキレンオキシドを2種以上ランダムに共重合して得られるポリアルキレングリコールも好ましく用いることができる。なかでもポリエチレングリコールが好ましい。
【0016】
前記コポリエステルは式(1)で示される単位の他にジカルボン酸成分および上記ポリアルキレングリコールよりも低分子量のジオール成分からなる単位を含む。
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族あるいは脂環族のジカルボン酸成分を挙げることができる。
【0017】
ジオール成分としては、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSの如き低分子量の脂肪族、脂環族あるいは芳香族のジオール成分を挙げることができる。
【0018】
なかでもテレフタル酸とエチレングリコールから形成され得るエチレンテレフタレート単位がコポリエステルの全単位の50〜99.5モル%占めるものが溶融紡糸時の製糸性および複合繊維の取扱い性の観点から好ましい。
コポリエステルはそれ自体公知の方法で製造することができる。例えばジカルボン酸成分、低分子量ジオール成分および下記式(3)
【0019】
【化4】
【0020】
(式(3)中、Rは炭素数1〜3の低級アルキル基、Arは式(1)の場合と同意である)
で示される化合物を重縮合させる方法、ジカルボン酸成分および低分子量ジオール成分から実質的になるポリエステルに上記式(3)で示される化合物を添加し、減圧下に溶融混合して、該ポリエステルの高分子鎖中に前記式(1)で示される単位を導入する方法(特開平6−25913号公報参照)などを挙げることができる。
【0021】
変性ポリエステル(アルカリ易溶解性ポリエステル)は、上記コポリエステルに前述のポリアルキレングリコールを配合して調製される。調製方法としては、一度製造したコポリエステルとポリアルキレングリコールとを溶融下に混合する方法、さらにはコポリエステルの前述した製造する方法において任意の段階でポリアルキレングリコールを添加する方法を挙げることができる。
【0022】
本発明の分割型ポリエステル複合繊維に用いられる好ましいアルカリ難溶解性ポリエステルはエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするが、この場合、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分以外のものを含むことができ、ジオール成分としてエチレングリコール以外のものを含むことができる。
【0023】
ここで使用され得るテレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族あるいは脂環族などのジカルボン酸成分を挙げることができる。また、エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えばテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSの如き脂肪族、脂環族あるいは芳香族のジオール成分を挙げることができる。
しかしながら、アルカリ難溶解性ポリエステルは、それを構成する繰返し単位の50モル%以上をエチレンテレフタレートが占めることが好ましく、実質的にエチレンテレフタレートのみで構成されることが最も好ましい。
【0024】
本発明で使用するアルカリ易溶解性ポリエステル(変性ポリエステル)とアルカリ難溶解性ポリエステルは、溶融紡糸時の断糸を減少させ、工程安定性を向上させる上で、共に固有粘度(35℃のオルソクロロフェノール溶媒中で測定)が0.45dl/g以上であることが好ましい。
【0025】
なお、本発明において用いられるアルカリ易溶解性ポリエステル(変性ポリエステル)とアルカリ難溶解性ポリエステルは、二酸化チタンなどの艶消剤、着色防止剤、酸化防止剤、アニオン系、カチオン系あるいはノニオン系の界面活性剤、易染化剤、無機微粒子からなる着色剤、難燃剤などを含むことができる。
【0026】
本発明において、ポリエステルがアルカリに溶解するとは、ポリエステルがアルカリ溶液と接触することによりポリエステルが加水分解し、低分子量となったオリゴマーあるいは単量体がアルカリ溶液中に溶解することを意味する。
アルカリ溶解性は、ポリエステル繊維からなる平織物を水酸化ナトリウム水溶液(濃度20g/リットル)中に、100℃、30分間浸漬するアルカリ減量処理を行ったときのアルカリ減量率で表わすことができる。
【0027】
本発明の分割型ポリエステル複合繊維は、アルカリ減量率が大であるアルカリ易溶解性ポリエステルとアルカリ減量率が小であるアルカリ難溶解性ポリエステルとのアルカリ減量率の差、すなわちアルカリ減量速度差を利用して、アルカリ易溶解性ポリエステルを溶解し、一方アルカリ難溶解性ポリエステルを実質的に溶解することなく残存させて、分割極細繊維を得るためのものである。従って、両者の間のアルカリ溶解速度は大であるほど望ましい。
アルカリ易溶解性ポリエステルのアルカリ減量速度は、アルカリ難溶解性ポリエステルのそれよりも好ましくは10倍以上150倍以下、より好ましくは20倍以上150倍以下であることが望ましい。
【0028】
本発明の分割型ポリエステル複合繊維(以下単に「複合繊維」ともいう)は、アルカリ易溶解性ポリエステル(変性ポリエステル)からなる構成単位(以下単に「構成単位(A)」ともいう)とアルカリ難溶解性ポリエステルからなる構成単位(以下単に「構成単位(B)」ともいう)の複数個とから構成される。
【0029】
複合繊維の横断面はアルカリ易溶解性ポリエステルとアルカリ難溶解性ポリエステルの各々の領域から構成されており、アルカリ難溶解性ポリエステルからなるセグメント(以下単に「領域(B)」ともいう)はアルカリ易溶解性ポリエステルからなるセグメント(以下単に「領域(A)」ともいう)によって複数個の独立したセグメントに分割されている。
なお、領域(A)は構成単位(A)の横断面に相当し、領域(B)は構成単位(B)の横断面に相当する。
また、領域(B)が上記の如くに領域(A)によって分割されて複数個のセグメントとして存在することは、構成単位(B)が本発明の複合繊維中に複数個存在することに対応している。
本発明の複合繊維を後述する方法でアルカリ処理してアルカリ易溶解性ポリエステル、すなわち構成単位(A)を除去する際に、この除去が容易に行われるよう領域(A)は領域(B)によって囲まれないように、構成単位(A)および(B)が配置されている。
【0030】
複合繊維の横断面の形状、領域(A)および領域(B)の形状は所望に設計でき、そのいくつかの例を図1(a)〜(i)に示す。
【0031】
図1において、(A)はアルカリ易溶解性の領域(A)を示し、(B)はアルカリ難溶解性の領域(B)を示す。(a)〜(c)の領域(B)は領域(A)により16に分割されている。(d)は、領域(A)を海、領域(B)を島として海島型の横断面となっており、領域(B)は領域(A)により26に分割されている。(e)および(f)は偏平断面形状のものである。(g)〜(i)は各々(a)〜(c)で示される横断面の外周部にさらに領域(A)が存在している。なお、図2は図1の(b)および(h)の中心部付近の模式的部分拡大図である。
このような横断面を有する本発明の分割型複合繊維は、布帛となした後アルカリ処理することによって、構成単位(B)のみが残り極細繊維となすことができるとともに繊維間に空間を持たせることができるので、嵩高でソフトな風合を呈する布帛を得るのに適している。
【0032】
構成単位(A)と構成単位(B)との複合比率は、構成単位(A)が多いほどアルカリ処理による分割が容易となるが、反面多すぎると複合繊維の繊維物性が低下して後工程通過性が悪化したり、コスト的にも不利となる。かかる観点より、構成単位(A)と構成単位(B)の重量比(A)/(B)は80/20〜2/98の範囲が好ましく、60/40〜5/95の範囲がより好ましい。
【0033】
本発明の分割型ポリエステル複合繊維は、構成単位(B)を0.3デニール以下とし、且つ該構成単位の数を16以上、特に24以上とすると得られる効果が顕著となり好ましい。通常該単位の上限は80程度である。
【0034】
以上に説明した本発明の分割型ポリエステル複合繊維を製造するには、従来公知の複合紡糸口金および複合紡糸装置を用い、それ自体公知の製糸条件を何らの支障なく採用することができる。例えば500〜2500m/分の速度で溶融紡糸し、延伸、熱処理する方法、1500〜5000m/分の速度で溶融紡糸し、延伸と仮撚加工とを同時にまたは続いて行う方法、5000m/分以上の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸工程を省略する方法、などにおいて任意の製糸条件を採用することができる。また得られた繊維またはこの繊維から製造された織編物を100℃以上の温度で熱処理して構造の安定性を向上させても良いし、さらに必要に応じて弛緩熱処理などを併用してもよい。
【0035】
上記の如くにして得られた織編物を、例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いてアルカリ処理(アルカリ溶割)して構成単位(A)を除去することにより、0.3デニール以下の極細単繊維からなる布帛が得られ、この布帛は皮革調、殊にヌバック調を呈する。また、この布帛からスポーツ衣料、フィルター、その他各種衣料用、工業用などに用いられる。
【0036】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。本発明はこれに限定されるものではない。
以下の実施例において「部」は重量部、ポリアルキレングリコールの平均分子量は数平均分子量を意味する。
また、各物性および組成は以下の方法により測定されたものである。
(1)ポリエステルの固有粘度(単位 dl/g)
溶媒o−クロロフェノール中、35℃で測定。
(2)ポリエチレングリコール数平均分子量
単位重量当りのポリエチレングリコールの両末端水酸基の数を滴定法により測定し、数平均分子量を算出した。
(3)アルカリ溶解性(アルカリ減量率)
前述した方法で測定した。
(4)前記式(1)で示される単位の量
合成された変性ポリエステルをメタノールで分解し、ガスクロマトグラフィーによりp−ヒドロキシ安息香酸メチルまたは6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸メチルの量を定量し、共重合量を算出した。
【0037】
実施例1
アルカリ易溶解性ポリエステル(変性ポリエステル)の調製
固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート192部を、反応器中285℃、常圧で溶融後、p−アセトキシ安息香酸3.64部(前記式(1)で示される単位として1モル%に相当)を反応器に投入し、285℃および常圧の条件を保ちつつ30分攪拌した。続いて、平均分子量2万のポリエチレングリコールを10部投入し、温度を285℃に保ちつつ、10分間かけて圧力を0.3mmHgとした。
その後は、温度を285℃、圧力を0.3mmHgに保ち60分間攪拌を行ない、固有粘度0.60のアルカリ易溶解性変性ポリエステルを得た。この変性ポリエステルを変性ポリエステル(A−1)とする。この変性ポリエステル(A−1)の融点は253℃であった。変性ポリエステル(A−1)の組成および物性を表1に示した。
【0038】
複合繊維の製造およびその物性
得られた上記変性ポリエステル(A−1)と固有粘度0.64、アルカリ減量率1%のポリエチレンテレフタレート(B)とを用いて、常法に従って紡糸速度2500m/分で複合紡糸、延伸して、図1(C)で示される断面を有する中空多層貼合型複合繊維を得た。なお、上記断面での(A)、(B)の各領域は各々20個とし、変性ポリエステル(A−1)対ポリエチレンテレフタレート(B)の複合比(重量比)を50/50とし、繊維度を90デニール/20フィラメントとした。
上記複合紡糸の運転を1週間行ったところ、断糸回数は2回であった。
【0039】
得られた複合繊維を用いて平織物となし、この平織物について水酸化ナトリウム水溶液中(濃度:20g/リットル)、100℃でアルカリ減量処理を行った。完全に変性ポリエステル(A−1)が溶解除去されて完全に分割されるまでの時間は60分であった。
【0040】
実施例2および3
実施例1において、p−アセトキシ安息香酸の使用量を各々7.35部(2モル%)、15部(4モル%)として変性ポリエステルを調製する以外は、実施例1を繰返した。結果を表1に示した。
なお、これらの例で得られた変性ポリエステルを各々変性ポリエステル(A−2)、変性ポリエステル(A−3)とする。
【0041】
実施例4
実施例1において、p−アセトキシ安息香酸の代わりに6−アセトキシナフタレン−2−カルボン酸9.39部(2モル%)を用いて変性ポリエステルを合成する以外は、実施例1を繰返した。結果を表1に示した。この例で得られたアルカリ易可溶性変性ポリエステルを変性ポリエステル(A−4)とする。
【0042】
比較例1
変性ポリエステルの調製
固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート192部を反応器中285℃、常圧で溶融後、数平均分子量2万のポリエチレングリコールを9.5部投入し、攪拌した。その後、温度を285℃に保ちつつ、圧力を0.3mmHgとした。その後、温度285℃、圧力0.3mmHgの条件を保ちながら40分間攪拌を行ない、固有粘度0.64の変性ポリエステルを得た。この変性ポリエステルを変性ポリエステル(A’−1)とする。この変性ポリエステル(A’−1)の組成および物性を表1に示した。
【0043】
複合繊維の製造およびその物性
上記変性ポリエステル(A’−1)を変性ポリエステル(A−1)に代えて用いる以外は、実施例1と同様にして複合繊維を製造しその物性を測定した。結果を表1に示した。
【0044】
比較例2
比較例1において、数平均分子量2万のポリエチレングリコールの使用量を38部として変性ポリエステルを調製する以外は比較例1を繰返した。この変性ポリエステルを変性ポリエステル(A’−2)とする。結果を表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
以上の結果から、本発明の分割型ポリエステル複合繊維はアルカリ処理による減量が速やかに進行し、短時間で極細繊維に分割できると共に紡糸工程の断糸回数が少ないので安定して本発明の複合繊維を製造できることがわかる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の分割型ポリエステル複合繊維は、溶融紡糸の際の断糸が少なく、工程安定性よく製造することができると共に、この複合繊維をアルカリ処理(アルカリ溶割)することにより、0.3デニール以下の極細繊度のポリエステル繊維を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分割型ポリエステル複合繊維の横断面の模式図である。
【図2】図1の(b)および(h)の中心部付近の模式的な部分拡大図である。
【符号の説明】
(A) アルカリ易溶解性の領域
(B) アルカリ難溶解性の領域
Claims (2)
- ポリアルキレングリコールの数平均分子量が6,000〜100,000である請求項1に記載の分割型ポリエステル複合繊維。
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