JP2011021287A - 深色性芯鞘型複合繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】濃染性を有し、かつ堅牢度が良好であるポリエステル繊維を提供することを課題とするものである。
【解決手段】芯成分がポリエーテルエステルエラストマー、鞘成分がポリエステルで構成された芯鞘型複合繊維であって、下記要件を満足する芯鞘型ポリエステル複合繊維。
1)鞘成分のポリエステルが、ポリエステルを構成する酸成分に対して0.1〜3モル%の下記式(1)で表される含金属リン化合物(a)及び該含金属リン化合物に対して0.5〜1.2倍モルのアルカリ土類金属化合物(b)を(a)と(b)とを予め反応させることなく添加したポリエステルを繊維化後にアルカリ減量してなるものであること。
2)芯/鞘比率が30/70〜80/20の範囲であること。
【選択図】なし

Description

本発明は、芯成分にポリエーテルエステルエラストマー、鞘成分にポリエステルを配した芯鞘型複合繊維に関する。更に詳細には、ストレッチバック性に富み、繊維表面に特殊な微細孔を有し、着色した際に色の深みと鮮明性を呈する芯鞘型ポリエステル複合繊維に関するものである。
ポリエーテルエステルエラストマー繊維はストレッチ性が良くスポーツ、カジュアル用として評価が高く生産量が拡大している。しかしながら分散染料、アゾイック染料で染色したとき、濃染性が悪く鮮明且つ深みのある色相が得られにくいという欠点があり、染料濃度を上げて染色すると堅牢度が低下するという問題が付きまとうものであった。
従来よりポリエステルの濃染性を向上させるために、様々な方法が提案されている。例えばポリエステルにスルホイソフタル酸の金属塩を2〜3モル%共重合する方法が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。しかしながら、ポリエーテルエステルエラストマーにおいてスルホネート基による増粘効果から、重合度を高くすることができず、溶融紡糸にて得られる繊維の強度が著しく低下し、さらに紡糸操業性が著しく悪化するという問題がある。
またイオン結合性分子間力の小さいカチオン可染モノマーを共重合する技術が開示されている(例えば特許文献3、4参照)。イオン結合性分子間力の小さいカチオン可染モノマーとしては、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネートなどが例示されているが、これらのカチオン可染モノマー共重合させた場合熱安定性が悪く、重合反応途中で熱分解が進行し、高分子量化させることが困難であった。さらに溶融紡糸する際の熱履歴による分解が大きく、結果として得られる糸の強度が弱くなるという欠点を有していた。
他の方法として、スルホイソフタル酸の金属塩に加え、アジピン酸、セバシン酸などの直鎖炭化水素のジカルボン酸を共重合する方法、あるいはジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールのようなグリコール成分を共重合する方法が提案されている。(例えば特許文献5、6参照)
しかしながら、これらいずれの方法でも得られたポリエーテルエステルエラストマーを溶融紡糸して得られるカチオン可染性繊維は強度が低くなり、強いては得られる布帛の引き裂き強度が低下する、更には染色堅牢度が低いなどの問題があった。
また、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合したポリエステルを鞘部に配した複合繊維が考えられる(例えば特許文献7参照)。しかしながら、鞘部を構成する共重合ポリエステル中のスルホイソフタル酸成分の共重合量には、前述と同様の理由で限界があり、十分な染着性を得ることが困難であること、並びに複合繊維とすることで紡糸工程での設備コストが増加、または繊維断面形状などに制約が生じるなどの課題がある。
この問題を解決するため、後加工剤を用いて繊維を被覆する方法が提案されているが、風合いが硬くなり十分なものではなかった。(特許文献8)
特公昭34−10497号公報 特開昭62−89725号公報 特開平1−162822号公報 特開2006−176628号公報 特開2002−284863号公報 特開2006−200064号公報 特開平7−126920号公報 特開2003−003372号公報
本発明は、濃染性を有し、かつ堅牢度が良好であるポリエーテルエステルエラストマー繊維を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、
下記要件を満足する芯鞘型ポリエステル複合繊維。
1)芯成分がポリエーテルエステルエラストマーであること。
2)鞘成分ポリエステルが、ポリエステルを構成する酸成分に対して0.1〜3モル%の下記式(1)で表される含金属リン化合物(a)及び該含金属リン化合物に対して0.5〜1.2倍モルのアルカリ土類金属化合物(b)を(a)と(b)とを予め反応させることなく添加したポリアルキレンテレフタレートを繊維化後にアルカリ減量してなるものであること。
3)芯/鞘比率が30/70〜80/20の範囲であること。
また、ポリエーテルエラストマーは非水膨潤性ポリエーテルエラストマーであることが好ましい。
Figure 2011021287
(式中、R及びRは一価の有機基である。この一価の有機基は具体的にはアルキル基、アリール基、アラルキル基又は〔―(CHO〕(但し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基、lは2以上の整数、kは1以上の整数)等が好ましく、RとRとは同一でも異なっていてもよい。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Baが好ましく、特にCa,Sr,Baが好ましい。mはMがアルカリ金属のとき1であり、Mがアルカリ土類金属のとき1/2である)
が提供される。
本発明によれば、高強力でストレッチバック性に優れ且つ濃染性を備えながら高い堅牢度を有したポリエステル繊維が得られる。
(芯鞘複合繊維)
本発明の芯鞘型ポリエステル複合繊維は芯成分にポリエーテルエステルエラストマー、鞘成分に深色性ポリエステルを配した構造のものを指しており、その芯鞘比率は30/70〜70/30が強度、堅牢度、染色性の観点から好ましい。
(芯成分ポリエーテルエステルエラストマー)
本発明で芯成分に使用するポリエーテルエステルエラストマーは、ハードセグメントがテレフタル酸分とブチレングリコール成分とからなるポリブチレンテレフタレートからなり、ソフトセグメントがポリオキシブチレングリコールからなるものを主たる対象とする。
ここでポリブチレンテレフタレートの酸成分の一部、通常30モル%以下をテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分やオキシカルボン三成分で置き換えても及び/又はグリコール成分の一部、通常30モル%以下をブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置き換えたポリブチレンテレフタレートであってもよい。繊維化後にアルカリ減量処理するのでポリエーテルエステルエラストマーは非水膨潤性であることが望ましい。
また、ポリオキシブチレングリコールは、その構成単位の30%以下をブチレングリコール成分以外のグリコール成分で置き換えたポリエーテルであってもよい。
本発明に使用されるポリエーテルエステルエラストマーを製造するには任意の方法が採用される。通常テレフタル酸又はテレフタル酸ジメチルとブチレングリコールとポリオキシブチレングリコールとを加熱反応させるか、又は予めブチレンテレフタレートを合成し、これとポリオキシブチレングリコールとを加熱反応させる方法が採用される。この際、必要に応じて任意の触媒を使用でき、また各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消剤、着色剤、その他各種改質剤なども必要に応じて任意に使用できる。
(鞘成分ポリエステル)
鞘成分ポリエステルは、テレフタル酸を主とするジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体(テレフタル酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸成分で置換えたポリエステルであってもよい)と少なくとも1種のアルキレングリコール(好ましくはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれた少なくとも1種)とを反応せしめてジカルボン酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる第1段階の反応及び該反応生成物を重縮合させる第2段階の反応とによって合成されたポリエステルに、該ポリエステルの合成が完了するまでの任意の段階で、(a)該ポリエステルを構成する酸成分に対して0.5〜3モル%の下記一般式(1)で表わされる含金属リン化合物及び(b)該含金属リン化合物に対して0.5〜1.2倍モルのアルカリ土類金属化合物を(a)と(b)とを予め反応させることなく添加し、しかる後ポリエステルの合成を完了し、得られたポリエステルを溶融紡糸した後、アルカリ化合物の水溶液で処理してなるものである。繊維全重量に対して2重量%以上アルカリ処理により溶出されていることが好ましい。
Figure 2011021287
(式中、R及びRは一価の有機基である。この一価の有機基は具体的にはアルキル基、アリール基、アラルキル基又は〔―(CHO〕(但し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基、lは2以上の整数、kは1以上の整数)等が好ましく、RとRとは同一でも異なっていてもよい。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Baが好ましく、特にCa,Sr,Baが好ましい。mはMがアルカリ金属のとき1であり、Mがアルカリ土類金属のとき1/2である)
ここで使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフエニルジカルボン酸、ジフエノキシエタンジカルボン酸、β―ヒドロキシエトキシ安息香酸、p―オキシ安息香酸、5―ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。また、上記グリコール以外のジオール化合物としては例えばシクロヘキサン―1,4―ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフエノールA、ビスフエノールSの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
鞘成分ポリエステルは任意の方法によって合成したものでよい。例えば鞘成分にポリエチレンテレフタレートを使用する場合について説明すれば、通常、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造される。
本発明で使用する含金属リン化合物は上記一般式(1)で表わされるリン化合物であることが必要であり、上記含金属リン化合物に代えてR及び/又はRが金属(特にアルカリ金属、アルカリ土類金属)で置き換えたリン化合物を使用したのでは、アルカリ減量後にポリエステル繊維に生成する微細孔が大きくなって、目的とする鮮明化効果が得られず、また耐フイブリル性にも劣るようになる。
上記含金属リン化合物を製造するには、通常対応する正リン酸エステル(モノ、ジ又はトリ)と所定量の対応する金属の化合物とを溶媒の存在下加熱反応させることによって容易に得られる。なお、この際溶媒として、対象ポリエステルの原料として使用するグリコールを使用するのが最も好ましい。
上記含金属リン化合物と併用するアルカリ土類金属化合物としては、上記含金属リン化合物と反応してポリエステルに不溶性の塩を形成するものであれば特に制限はなく、アルカリ土類金属の酢酸塩、しゅう酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、ステアリン酸塩のような有機カルボン酸塩、硼酸塩、硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、重炭酸塩の如き無機酸塩、塩化物のようなハロゲン化物、エチレンジアミン4酢酸錯塩のようなキレート化合物、水酸化物、酸化物、メチラート、エチラート、グリコレート等のアルコラート類、フエノラート等をあげることができる。特にエチレングリコールに可溶性である有機カルボン酸塩、ハロゲン化物、キレート化合物、アルコラートが好ましく、なかでも有機カルボン酸塩が特に好ましい。上記のアルカリ土類金属化合物は1種のみ単独で使用しても、また2種以上併用してもよい。
上記含金属リン化合物及びアルカリ土類金属化合物を添加するに当って、最終的に得られるポリエステル繊維に優れた色の深みとその摩擦耐久性を与えるためには、含金属リン化合物の使用量及び該リン化合物の使用量に対するアルカリ土類金属化合物の使用量の比を特定する必要がある。即ち、本発明で使用する含金属リン化合物の添加量はあまりに少ないと最終的に得られるポリエステル繊維の色の深みが不充分になり、この量を多くするに従って色の深みは増加するが、あまりに多くなると最早色の深みは著しい向上を示さず、かえって耐摩擦耐久性が悪化し、その上充分な重合度と軟化点を有するポリエステルを得ることが困難となり、更に紡糸時に糸切れが多発するというトラブルを発生する。このため、含金属リン化合物の添加量はポリエステルを構成する酸成分に対して0.5〜3モル%の範囲にすべきであり、特に0.6〜2モル%の範囲が好ましい。またアルカリ土類金属化合物の添加量が含金属リン化合物の添加量に対して0.5倍モルより少ない量では、得られるポリエステル繊維の色の深みが不充分であり、その上重縮合速度が低下し高重合度のポリエステルを得ることが困難となり、又生成ポリエステルの軟化点が大幅に低下するようになる。逆に含金属リン化合物に対して1.2倍モルを越える量のアルカリ土類金属化合物を使用すると、組大粒子が生成し、色の深みは改善されるどころか、かえって視感濃度が低下するようになる。このため、含金属リン化合物に対するアルカリ土類金属化合物の添加量は、0.5〜1.2倍モルの範囲にすべきであり、特に0.5〜1.0倍モルの範囲が好ましい。
上記含金属リン化合物とアルカリ土類金属化合物とは予め反応させることなくポリエステル反応系に添加する必要がある。こうすることによって、不溶性粒子をポリエステル中に均一な超微粒子状態で生成せしめることができるようになる。予め外部で上記含金属リン化合物とアルカリ土類金属化合物とを反応させて不溶性粒子とした後にポリエステル反応系に添加したのでは、ポリエステル中での不溶性粒子の分散性が悪くなり、且つ粗大凝集粒子が含有されるようになるため、最終的に得られるポリエステル繊維の色の深みを改善する効果は認められなくなるので好ましくない。
上記の含金属リン化合物及びアルカリ土類金属化合物の添加は、それぞれポリエステルの合成が完了するまでの任意の段階において、任意の順序で行なうことができる。しかし、含金属リン化合物のみを第1段階の反応が未終了の段階で添加したのでは、第1段階の反応の完結が阻害されることがあり、またアルカリ土類金属化合物のみを第1段階の反応終了前に添加すると、この反応がエステル化反応のときは、この反応中粗大粒子が発生したり、エステル交換反応のときは、その反応が異常に早く進行し突沸現象を引起すことがあるので、この場合、その20重量%程度以下にするのが好ましい。アルカリ土類金属化合物の少なくとも80重量%及び含金属リン化合物全量の添加時期は、ポリエステルの合成の第1段階の反応が実質的に終了した段階以降であることが好ましい。また、含金属リン化合物及びアルカリ土類金属化合物の添加時期が、第2段階の反応があまりに進行した段階では、粒子の凝集、粗大化が生じ易く最終的に得られるポリエステル繊維の色の深みが不充分となる傾向があるので、第2段階の反応における反応混合物の極限粘度が0.3に到達する以前であることが好ましい。
上記の含金属リン化合物及びアルカリ土類金属化合物はそれぞれ一時に添加しても、2回以上に分割して添加しても、又は連続的に添加してもよい。
本発明においては、第1段階の反応に任意の触媒を使用することができるが、上記アルカリ土類金属化合物の中で第1段階の反応、特にエステル交換反応の触媒能を有するものがあり、かかる化合物を使用する場合は別に触媒を使用することを要さず、このアルカリ土類金属化合物を第1段階の反応開始前又は反応中に添加して、触媒としても兼用することができるが、前述した如く突沸現象を引起すことがあるので、その使用量は添加するアルカリ土類金属化合物の全量の20重量%未満にとどめるのが好ましい。
以上説明したように、上記の含金属リン化合物の特定量と該リン化合物に対して特定量比のアルカリ土類金属化合物とを予め反応させることなくポリエステル反応系に添加し、しかる後ポリエステルの合成を完了することによって、高重合度、高軟化点及び良好な製糸化工程通過性を有し、且つ最終的に色の深みとその摩擦耐久性に共に優れた繊維を与えることのできるポリエステルを得ることができる。
(製糸化)
本発明の複合繊維は公知の方法により製糸することができる。芯成分としてポリエーテルエステルエラストマーを、鞘成分として上記含金属リン化合物及びアルカリ土類金属を含むポリエステルを公知の芯鞘型複合装置を用いて溶融状態で繊維状に押出し、それを500〜3500m/分の速度で溶融紡糸後、一旦巻き取らず直接延伸、熱処理する方法、一旦巻き取った後延伸する方法などが挙げられる。その他1000〜5000m/分の速度で溶融紡糸し延伸する方法、5000m/分以上の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸工程を省略する方法などが好ましく挙げられ、細繊度の繊維の生産性、安定性に優れたものとできる。
(アルカリ減量)
上記により得られた芯鞘型複合繊維は必要に応じて仮撚加工等を施した後公知の方法により製織編され布帛とし、公知のアルカリ減量装置を用いて含金属リン化合物、アルカリ土類金属化合物からなる不溶性粒子を溶出することが好ましい。
ここで使用するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等をあげることができる。なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。
かかるアルカリ化合物の水溶液の濃度は、アルカリ化合物の種類、処理条件等によって異なるが、通常0.01〜40重量%の範囲が好ましく、特に0.1〜30重量%の範囲が好ましい。処理温度は常温〜100℃の範囲が好ましく、処理時間は1分〜4時間の範囲で通常行なわれる。また、このアルカリ化合物の水溶液の処理によって溶出除去する量は、繊維重量に対して2重量%以上の範囲にすべきである。このようにアルカリ化合物の水溶液で処理することによって、繊維軸方向に配列し、且つ度数分布の最大値が繊維軸の直角方向の幅が0.1〜0.3μの範囲であって、繊維軸方向の長さが0.1〜5μの範囲になる大きさを有する微細孔を繊維表面及びその近傍に多数形成せしめることができ、染色した際に優れた色の深みを呈するようになる。またアルカリ減量することにより適度に表面の鞘成分が減少しストレッチバック性やソフト性も向上する効果がある。
なお、本発明の芯鞘型ポリエステル複合繊維には、必要に応じて任意の添加剤、例えば触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、螢光増白剤、艶消剤、着色剤等が含まれていてもよい。
本発明の芯鞘型ポリエステル複合繊維は公知の方法により製織編され布帛とし、公知のアルカリ減量装置を用いて含金属アルカリ化合物、アルカリ土類化合物からなる不溶性粒子を溶出し、その後染色等の仕上げ加工に供すことができる。
染色方法等については特に限定されるものではなく、公知の染料、染色方法、染色装置を用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)固有粘度
オルソ−クロルフェノールに溶解し、ウベローデ粘度管を用い、35℃で測定した。
(2)紡糸断糸
複合紡糸設備で1週間溶融紡糸を行い断糸した回数を記録し、1日1錘当りの紡糸断糸回数を紡糸断糸とした。ただし、人為的あるいは機械的要因による断糸は断糸回数から除外した。
(3)延伸糸の強度、伸度
JIS L―1013―75に準じて測定した。
(4)堅牢度
洗濯堅牢度JIS L―0844―IIに準じて測定した。
(5)深色性
得られたポリエステル糸を用いて織物を作成し、下記の条件で染色し、以下の方法で明度L値及び彩度C値を測定した。
染色条件 染色温度 120℃
染色時間 60分
染料 Dianics Black BG−FS
染料濃度 15%wof
浴比 1:50
浴pH 4.5
マクベス カラーアイ(Macbeth COLOR−EYE)モデルM−2020PLを使用し、JISZ8729−1980に規定された、国際照明委員会(CIE)推奨のL系色表示により表される明度L値及び彩度C値を測定した。L*を深色性を表す値とし、光源D65、視野角は10°として求めた。
[実施例1]
芯成分に用いるポリエーテルエステルエラストマーの製造法は以下の通りである。テレフタル酸ジメチル230部、テトラメチレングリコール159部、数平均分子量2000のポリオキシブチレングリコール105部、ペンタエリスリトール0.11部、チタニウムテトラブトキシド0.26部を反応釜へ入れ、内温170℃でエステル交換反応を行い、理論量の65%のメタノールを留出させた後、内部を200〜245℃に昇温し、弱真空下で60分、次いで高真空下で200分反応させた。ここで安定剤としてイルガノックス1010(チバガイギー社製)3.5部、チヌビン327(チバガイギー社製)0.21部を添加し、20分撹拌後反応を終了させた。得られたポリマーはソフトセグメント成分が全ポリマー重量に対し30重量%で、還元比粘度1.811、融点210℃であった。
鞘成分に用いたポリエステルの製造法は以下の通りである。テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール60部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸ジメチルに対して0.066モル%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から230℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応を行なつた。続いて得られた反応生成物に、0.5部のリン酸トリメチル(テレフタル酸ジメチルに対して0.693モル%)と0.31部の酢酸カルシウム1水塩(リン酸トリメチルに対して1/2倍モル)とを8.5部のエチレングリコール中で120℃の温度において全環流下60分間反応せしめて調製したリン酸ジエステルカルシウム塩(含金属リン化合物)の透明溶液9.31部に室温下0.57部の酢酸カルシウム1水塩(アルカリ土類金属化合物、リン酸トリメチルに対して0.9倍モル)を溶解せしめて得たリン酸ジエステルカルシウム塩と酢酸カルシウムとの混合透明溶液9.88部を添加し、次いで三酸化アンチモン0.04部を添加して重合缶に移した。次いで1時間かけて760mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間30分かけて230℃から285℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重合温度285℃で更に3時間、合計4時間30分重合して極限粘度0.641、軟化点259℃のポリマーを得た。反応終了後ポリマーを常法に従いチップ化した。
上記の鞘成分ポリエステルと、芯成分のポリエーテルエステルエラストマーのペレットとを、それぞれ290℃、260℃で溶融し、前者を鞘成分、後者を芯成分となるように、芯鞘型複合繊維用口金(ノズル孔直径(D)0.3mm×ノズル長(L)0.6mm、孔数15ホール)に導入し、芯成分:鞘成分の面積比率は50:50、トータル吐出量48g/minとなるよう押し出し、吐出糸条を2500m/minで引取り未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を、65℃で2.37倍に延伸し、さらに180℃で熱処理することにより84dtex/15フィラメントの芯鞘型ポリエステル複合繊維を得た。撚数3,100T/mで撚糸し、セット温度75℃で撚止め加工し、これを用いて巾148cm、長さ55m、目付け98g/mの織物を作成した。
この織物を常法によりヒートセット後、3.5%の水酸化ナトリウム水溶液で80℃×10分にて13%の減量率で処理すると共にシボ立てさせた。このアルカリ減量処理後の布帛をDianix BlackHG―FS(三菱化成工業製)15%owfで130℃で60分間染色後、水酸化ナトリウム1g/lおよびハイドロサルファイト1g/lを含む水溶液にて70℃で20分間還元洗浄して黒色布を得た。得られた布帛は黒深色性に優れたものであり、ストレッチバック性に富みしなやかな風合を有していた。
[実施例2]
実施例1において0.3部のリン酸トリメチル(テレフタル酸ジメチルに対して0.416モル%)と0.19部の酢酸カルシウム1水塩(リン酸トリメチルに対して1/2倍モル)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。深色性がありストレッチバック性も良好であった。
[実施例3]
実施例1において3.0部のリン酸トリメチル(テレフタル酸ジメチルに対して4.16モル%)と1.9部の酢酸カルシウム1水塩(リン酸トリメチルに対して1/2倍モル)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。深色性がありストレッチバック性も良好であった。
[比較例1]
実施例1で鞘成分に用いたポリマーのみとした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
[比較例2]
実施例1で鞘成分に用いたポリマー製造時にリン酸塩を加えないものを合成し、常法によりチップ化した。
上記のポリエステルと、実施例1と同様の方法で合成した非水膨潤性エラストマーのペレットとを、それぞれ290℃、260℃で溶融し、前者を鞘成分、後者を芯成分となるようにした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
[比較例3]
実施例1でアルカリ減量しなかった以外は同様に行なった。結果を表1に示した。
Figure 2011021287
本発明の芯鞘型ポリエステル複合繊維は深色性があり、力学特性、風合いに優れ、スポーツ衣料を始めとする高密度織物(ダウンプルーフ、スキーウエア等)、紳士婦人衣料、その他幅広い用途に適用出来るものである。

Claims (2)

  1. 下記要件を満足する芯鞘型ポリエステル複合繊維。
    1)芯成分がポリエーテルエステルエラストマーであること。
    2)鞘成分ポリエステルが、ポリエステルを構成する酸成分に対して0.1〜3モル%の下記式(1)で表される含金属リン化合物(a)及び該含金属リン化合物に対して0.5〜1.2倍モルのアルカリ土類金属化合物(b)を(a)と(b)とを予め反応させることなく添加したポリエチレンテレフタレートを繊維化後にアルカリ減量してなるものであること。
    3)芯/鞘比率が30/70〜80/20の範囲であること。
    Figure 2011021287
    (式中、R及びRは一価の有機基である。この一価の有機基は具体的にはアルキル基、アリール基、アラルキル基又は〔―(CHO〕(但し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基、lは2以上の整数、kは1以上の整数)等が好ましく、RとRとは同一でも異なっていてもよい。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Baが好ましく、特にCa,Sr,Baが好ましい。mはMがアルカリ金属のとき1であり、Mがアルカリ土類金属のとき1/2である)
  2. ポリエーテルエステルエラストマーが非水膨潤性である請求項1記載の芯鞘型ポリエステル複合繊維。
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JP2018168511A (ja) * 2017-03-30 2018-11-01 帝人フロンティア株式会社 多孔中空繊維
WO2022163784A1 (ja) * 2021-01-29 2022-08-04 東レ株式会社 布帛、布帛体およびシート

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