JPH0749623B2 - 粗面化、制電性ポリエステル繊維およびその製造法 - Google Patents

粗面化、制電性ポリエステル繊維およびその製造法

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JPH0749623B2 JP26851290A JP26851290A JPH0749623B2 JP H0749623 B2 JPH0749623 B2 JP H0749623B2 JP 26851290 A JP26851290 A JP 26851290A JP 26851290 A JP26851290 A JP 26851290A JP H0749623 B2 JPH0749623 B2 JP H0749623B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は粗面化、制電性ポリエステル繊維およびその製
造法に関する。更に詳細には、繊維表面に微細凹凸を有
するために着色した際に優れた色の深みと鮮明性を呈す
ると共に、特殊なポリオキシエチレン系ポリエーテルを
制電剤として用いるために高アルカリ減量加工を施して
も耐久性に優れた高度な制電性、特に低温低湿度条件下
でも良好な制電性を示し、且つ、高アルカリ減量加工時
に白化等の問題のない、色彩、制電性および風合にとも
に優れたポリエステル繊維およびその製造法に関する。
〈従来技術〉 ポリエステルは多くの優れた特性を有するために合成繊
維として広く用いられている。しかしながら、ポリエス
テル繊維は羊毛や絹の如き天然繊維、レーヨンやアセテ
ートの如き繊維素系繊維、アクリル系繊維等に比較して
着色した際に発色性、鮮明性に劣る欠点があると共に、
疎水性であるため静電気が発生しやすく、静電気発生に
ともなうほこり付着や衣服のまつわりつきが起こるとい
う欠点があるため、その用途分野が制限されている。特
に黒色や鮮明な有彩色の衣料では少量のほこり付着でも
目立つため、静電気の発生を防止することが強く望まれ
ている。
従来、かかるポリエステル繊維の欠点を改善するために
数多くの提案がなされており、例えばポリエステル繊維
の色の深みや鮮明性を改善するために、一次粒子径が10
0μm以下の無機微粒子を含有せしめたポリエステルか
らなる繊維をアルカリ減量処理して繊維表面に微細凹凸
を付与する方法が提案されている(例えば特公昭59-242
33号公報、特開昭57-143523号公報、特公昭61-23434号
公報)。しかしながら、この方法では静電気発生の欠点
は解消されない。一方、ポリエステル繊維に制電性を付
与する方法として、ポリエステルに実質的に非相溶性の
ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレ
ングリコール・ポリアミドブロック共重合体、ポリオキ
シアルキレングリコール・ポリエステルブロック共重合
体等を使用し、更に有機や無機のイオン性化合物を配合
する方法が知られている(例えば、特公昭44-31828号公
報、特公昭60-11944号公報、特開昭53-80497号公報、特
開昭60-39413号公報)。しかしながら、この方法によっ
て得られる制電性ポリエステル繊維は、ポリエステル繊
維の風合改善のために一般に広く行われているアルカリ
減量処理を施すと、特にシルクライクな風合の発現に必
要なアルカリ減量率20重量%以上の減量を施した場合、
その後に通常行われる120〜135℃の温度での染色工程で
制電性が容易に失われるという欠点があり、更に、上記
アルカリ減量処理によって長くて大きな筋状細孔が形成
されるため、色の深みは改善されず、かえって該筋状細
孔による光の乱反射により視感濃度が低下して濃度に着
色しても白っぽく見える欠点がある。かかる欠点は、こ
の方法に前記の一次粒子径が100mμ以下の無機微粒子を
配合する方法を組み合わせても、全く解消されない。
かかる背景下に、ポリエステル繊維に色の深み・鮮明性
と制電性とを同時に付与しようとして、芯鞘型複合繊維
の芯部に制電剤を高濃度に配合し、且つ、鞘部に平均の
一次粒子径が100mμ以下の無機微粒子を配合してなる芯
鞘型複合繊維をアルカリ減量処理することによって、そ
の繊維表面となる鞘部表面に微細凹凸を形成せしめる試
みが提案されている(特開昭61-160476号公報、特公昭6
3-54807号公報)。しかしながら、これら方法によって
得られるポリエステル複合繊維では、比較的吸湿性が低
く且つポリエステルとの界面接着性に劣るポリアルキレ
ングリコール又はブロックポリエーテルアミドを制電剤
の主成分として用いるため、約20℃未満の低温下や相対
湿度40%未満の低湿度下における制電性が不充分になる
のみならず、平均の一次粒子径が100mμ以下の無機微粒
子を配合したポリエステルよりなる中実繊維をアルカリ
減量した場合に比較して、染色した際の色の深みや鮮明
性が劣ったものになり、その上減量加工前に圧力を受け
た部位が減量処理過程でフイブリル化し、染色した際に
白く見えるという問題が生じることが判明した。この圧
力減量白化現象は、製織、製編、精錬、プリセット等の
アルカリ減量前に行われる加工工程で付与されたピン
後、引っ掻き疵、アタリ箇所等の圧力履歴を受けた部分
が、その後に施されるアルカリ減量工程と染色工程とを
経ることによって白っぽく見えるようになる現象であ
り、織編物製品の重大欠点となる。
更に、平均分子量が2万以上である高分子量のエチレン
オキシド共重合体約3〜30重量%と高分子材料約70〜97
重量%とからなる帯電防止組成物が知られており(特開
昭64-26674号公報)、エチレンオキシド共重合体の共重
合成分としてプロピレンオキシドのほか1,2−ドデシレ
ンオキシド等が開示されている。しかしながら、この方
法ではかかる高分子量のエチレンオキシド共重合体を用
いるため、芳香族ポリエステルに適用した場合には両者
の溶融混和性が悪く、かかる組成物の紡糸が困難である
ばかりでなく、得られる繊維の制電性や物性が不良のた
め実用が耐えない。また上記公報に具体的に例示されて
いるエチレンオキシド共重合体は、いずれもランダム共
重合体であって水溶性乃至水分散性であるため、高圧染
色や洗濯による性能低下が顕著であり、使用に耐えな
い。
以上に述べたように、高アルカリ減量下や低温低湿度条
件下でも優れた制電性とその耐久性を有すると共に、着
色した際に天然繊維や繊維素系繊維に匹敵する優れた色
の深みと鮮明性を呈し、且つアルカリ減量、染色等の高
次加工工程の通過時に圧力減量白化等の欠点を生じない
ポリエステル繊維は従来得られていなかった。
〈発明の目的〉 本発明の目的は、上述したことから明らかなように、高
アルカリ減量されていても低温低湿度条件下で優れた制
電性とその洗濯耐久性を有すると共に、繊維表面に特殊
な微細表面凹凸を有するために着色した際に優れた色の
深みと鮮明性を呈し、且つアルカリ減量、染色等の高次
加工工程での工程過程性が良好なポリエステル繊維を提
供することにある。
〈発明の構成〉 本発明者等は、前述したような欠点を解消し、改善され
た色の深み、鮮明性と改善された制電性とを共に有する
ポリエステル繊維を提供しようとして鋭意検討を行っ
た。その結果、従来の制電性ポリエステル繊維で制電剤
の主成分として用いられるポリオキシアルキレングリコ
ールやブロックポリエーテルアミドは比較的吸湿性が低
いと共にポリエステルマトリックスとの界面親和性が不
充分なために、最終的に得られるポリエステル繊維の低
温低湿度条件下での制電性が不充分なものになっている
こと、また、繊維が圧力を受けると、該繊維中で縦長に
筋状分散している前記制電剤とポリエステルマトリック
スとの界面剥離が起こり、この界面剥離の程度によって
圧力減量白化現象や染色した際の色の深みや鮮明性の低
下がもたらされることを知見するに至った。そして、こ
れらの知見に基づいて、吸湿性及びポリエステルとの界
面親和性の両方に優れた制電剤の探索を鋭意繰り返した
結果、前記したポリオキシアルキレングリコールやブロ
ックポリエーテルアミドに代えて、ポリオキシエチレン
グリコールの両末端に特定の高級オレフィンオキサイド
の特定量をブロック共重合せしめることによって水不溶
化せしめたポリオキシエチレン系ポリエーテルの特定分
子量のものを使用すれば、驚くべきことに所期の目的が
達成できることを見出した。即ち上記の特殊なポリオキ
シエチレン系ポリエーテルは水不溶性であるにもかかわ
らず、水溶性のポリオキシエチレングリコール(平均分
子量2万)よりも高い吸湿性を呈し、例えば温度20℃、
相対湿度86%において後者の平衡吸湿率が20%であるの
に対して前者のそれは60%と約3倍も大きい。また、ポ
リエステルとの界面親和性が大幅に向上しているため、
前述した圧力減量白化現象の発生が顕著に抑制されるこ
とを知った。本発明はかかる知見に基づいて更に重ねて
検討した結果完成したものである。
即ち、本発明は、 1.芯鞘成分が共に芳香族ポリエステルからなる芯鞘型複
合繊維であって、該複合繊維表面にはアルカリ減量処理
による微細表面凹凸が存在し、芯成分には(a)下記
(i)および(ii)を同時に満足するポリオキシエチレ
ン系ポリエーテルが1〜10重量%および(b)有機金属
塩が0.1〜5重量%存在し、且つ、芯/鞘の面積複合比
率が5/95〜50/50であることを特徴とする粗面化、制電
性ポリエステル繊維。
(i) 下記一般式(I)で表わされる非ランダム共重
合型ポリオキシエチレン系ポリエーテルであること。
Z(CH2CH2O)lR1OmR2k…(I) [式中、Zは1〜6の活性水素を有する分子量300以下
の有機化合物残基、R1は炭素原子数6以上の未置換また
は置換アルキレン基、R2は水素原子、炭素原子数1〜40
の一価の炭化水素基又は炭素原子数2〜40の一価のアシ
ル基、kは1〜6の整数、lはk×lが70以上となる整
数、mは1以上の整数を表わす。] (ii) 平均分子量が5000〜16000であること。
2.平均の一次粒子径が100mμ以下である不活性微粒子を
0.1〜5重量%含有する芳香族ポリエステルを鞘成分と
し、(a)下記(i)および(ii)を同時に満足するポ
リオキシエチレン系ポリエーテルを1〜10重量%および
(b)有機金属塩が0.1〜5重量%含有する芳香族ポリ
エステルを芯成分とし、且つ、芯/鞘の面積複合比率が
5/95〜50/50となるように複合紡糸し、得られた芯鞘型
複合繊維をアルカリ減量処理することを特徴とする粗面
化、制電性ポリエステル繊維の製造法。
(i) 下記一般式(I)で表わされる非ランダム共重
合型ポリオキシエチレン系ポリエーテルであること。
Z(CH2CH2O)lR1OmR2k…(I) [式中、Zは1〜6の活性水素を有する分子量300以下
の有機化合物残基、R1は炭素原子数6以上の未置換また
は置換アルキレン基、R2は水素原子、炭素原子数1〜40
の一価の炭化水素基又は炭素原子数2〜40の一価のアシ
ル基、kは1〜6の整数、lはk×lが70以上となる整
数、mは1以上の整数を表わす。] (ii) 平均分子量が5000〜16000であること である。
本発明においては、アルカリ減量処理によって繊維に色
の深み・鮮明性を付与できるような微細な凹凸を繊維表
面に付与し、かつすぐれた制電性を具備した合成繊維と
するために、(1)制電成分を構成する芯成分と表面に
微細な凹凸を付与させる鞘成分とからなる芯鞘型複合繊
維とすること、(2)芯成分に配合する制電剤として特
定のポリオキシエチレン系ポリエーテルと有機金属塩の
特定量を用いること、(3)芯/鞘の面積複合比を特定
範囲に満足させることの以上の特定な3要件をすべて満
足させることが必要である。
本発明でいう芳香族ポリエステルは、芳香環を重合体の
連鎖単位に有する芳香族ポリエステルであって、二官能
性芳香族カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と
ジオールまたはそのエステル形成性誘導体との反応によ
り得られる重合体である。
ここでいう二官能性芳香族カルボン酸としてはテレフタ
ル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレ
ンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボ
ン酸、3,3′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェ
ニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタン
ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン
酸、4,4′−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン
酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボ
ン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラ
センジカルボン酸、4,4′−p−ターフェニルジカルボ
ン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、β−ヒドロキシエ
トキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸等をあげることが
でき、特にテレフタル酸が好ましい。
これらの二官能性芳香族カルボン酸は2種以上併用して
もよい。なお、少量であればこれらの二官能性芳香族カ
ルボン酸とともにアジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカンジオン酸の如き二官能性脂肪族カルボン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き二官能性脂環族
カルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等を1
種または2種以上併用することができる。
また、ジオール化合物としてはエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,
3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリメ
チレングリコールの如き脂肪族ジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等およびそ
れらの混合物等を好ましくあげることができる。また、
少量であればこれらのジオール化合物と共に両末端また
は片末端が未封鎖のポリオキシアルキレングリコールを
共重合することができる。
更に、ポリエステルが実質的に線状である範囲でトリメ
リット酸、ピロメリット酸の如きポリカルボン酸、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ルの如きポリオールを使用することができる。
具体的な好ましい芳香族ポリエステルとしてはポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレン−1,2−
ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボキシレー
ト等のほか、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート・イソフタレート、
ポリブチレンテレフタレート・デカンジカルボキシレー
ト等のような共重合ポリエステルをあげることができ
る。なかでも機械的性質、成形性等のバランスのとれた
ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフ
タレートが特に好ましい。
かかる芳香族ポリエステルは任意の方法によって合成さ
れる。例えばポリエチレンテレフタレートについて説明
すれば、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エ
スエル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテ
レフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコー
ルとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸と
エチレンオキサイドとを反応させるかして、テレフタル
酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を
生成させる第1段反応、次いでその生成物を減圧下加熱
して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段の
反応とによって容易に製造される。
本発明において、繊維表面となる鞘成分ポリエステル
は、鞘成分の表面にアルカリ減量処理によって色の深み
と鮮明生を与える微細表面凹凸が形成されてなり、かか
る微細表面凹凸は、特公昭59-24233号公報、特開昭57-1
43523公報、特公昭61-32434号公報で示されるようなも
のであって、凹凸の大きさが0.05〜0.7μmの範囲にあ
るのが好ましく、なかでも0.1〜0.3μmの範囲がより好
ましい。この凹凸の大きさが0.05μm未満では染色した
際の色の深みと鮮明性の改善効果が不充分になる傾向が
あり、又凹凸の大きさが0.7μmを超えるときには可視
光線の表面反射率が高くなり、色がくすみ白っぽくなり
やすく、かえって色彩改善効果がなくなる。
かかる微細表面凹凸は、平均の一次粒子径が100mμ以下
の不活性微粒子を0.1〜5重量%含有せしめたポリエス
テル組成物を鞘成分に配した芯鞘型複合繊維を溶融紡糸
し、必要に応じて延伸・熱処理又は仮撚加工等を施した
後、更には布帛にした後、アルカリ化合物の水溶液で減
量処理することによって形成される。こここで使用する
不活性微粒子は、ポリエステル製造反応を阻害せず、ポ
リエステル製造時に極端な着色をもたらすことのない、
ポリエステル不溶性の微粒子であり、例えば、シリカゾ
ル(いわゆるコロイダルシリカ)、乾式法シリカ、酸化
アルミニウムを含有する乾式法シリカ、粒子表面にアル
キル基を有しかつ粒子表面のシラノール基を封鎖した乾
式法シリカ、アルミナゾル(いわゆるコロイダルアルミ
ナ)、微粒子状アルミナ、極微粒酸化チタン、炭酸カル
シウムゾル及び微粒子状炭酸カルシウム等の無機微粒子
を好ましくあげることができる。更に、本発明でいう不
活性微粒子としては、上記した外部添加系無機微粒子以
外に、ポリエステルの合成反応系内部でリン化合物と金
属化合物とを反応させて析出せしめたポリエステル不溶
性の内部析出系微粒子をあげることができる。かかる内
部析出系微粒子はポリエステル中での粒子分散性が上記
無機微粒子に比較してより一層優れるゆえに、最終的に
ポリエステル繊維表面に、より一層微細で均一な表面凹
凸を与え、そのためより一層改善された色彩向上効果と
耐摩擦性を発現できるので、本発明の不活性微粒子とし
ては内部析出系微粒子であるのがより好ましい。上記し
た内部析出系微粒子の好ましい具体例としては、例えば
下記一般式 (式中、R1およびR2は水素原子又は1価の有機基、Xは
水素原子、1価の有機基又は金属、nは1又は0を示
す。) で表わされるリン化合物(例えばリン酸トリメチル)と
アルカリ土類金属化合物(例えば酢酸カルシウム)との
反応により析出せしめた内部析出系微粒子等をあげるこ
とができるが、これに限定されるものではない。
不活性微粒子の含有量としては、芯鞘型複合繊維の鞘部
を構成する芳香族ポリエステルに対して0.1〜5重量%
の範囲が適当であり、なかでも0.1〜3重量%の範囲が
好ましい。この含有量が0.1重量%未満のときには最終
的に得られるポリエステル繊維の色の深みや鮮明性を改
善する効果が不充分となり、この量を多くするに従って
色の深みや鮮明性は増加するが、5重量%を越えると最
早色の深みや鮮明性は著しい向上を示すが、かえって耐
摩擦性が悪化するようになり、その上紡糸が極めて困難
となり、事実上実施が不可能な範囲となる。
本発明の方法において微細表面凹凸を形成するアルカリ
減量処理を行う際に使用するアルカリ化合物としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が一般的であり、
本発明にもこれらは適当であるが、必ずしもこれらに限
定されるものではない。
本発明のポリエステル繊維の制電成分を構成する芯成分
に含有されるポリオキシエチレン系ポリエーテルは、下
記一般式(I)で表わされる、ポリオキシエチレンブロ
ックを主鎖成分とし、該ポリオキシエチレン分子鎖末端
を1又は2以上の特定オキシアルキレン単位で封鎖する
ことによって水不溶化した非ランダム共重合型のポリオ
キシエチレン系ポリエーテルである。ここで水不溶性と
は、純水100g中に試料5gを入れて100℃で60分間加熱処
理した後、室温まで放冷し、次いで遠心分離処理して得
た透明上澄液を蒸発乾固して得た固形物の重量が10重量
%以下であることを言う。このように本発明で使用する
ポリオキシエチレン系ポリエーテルは水不溶性であるた
めに、アルカリ減量処理、染色処理、更には苛酷に繰り
返される洗濯処理に対して本質的に優れた耐久性を有す
る。
Z(CH2CH2O)lR1OmR2k…(I) 上記式中、Zは1〜6個の活性水素を有する分子量300
以下の有機化合物の残基であり、メタノール、プロパノ
ール、ブタノール、フェノール、エチレングリコール、
ビスフェノールA、プロピレングリコール、ブチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリ
メチロールプロパン、トリエタノールアミン、ジグリセ
リン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のヒドロ
キシル基含有化合物の残基およびエチレンジアミン、ヘ
キサメチレンシアミン、ジエチレントリアミン等の1級
および2級アミン類の残基等をあげることができ、なか
でもヒドロキシル基含有化合物が好ましい。R1は炭素原
子数6以上の未置換アルキレン基または置換アルキレン
基であり、ながでも炭素原子数6〜50の置換アルキレン
基が好ましく、その中でも炭素原子数6〜50のアルキル
エチレン基がより好ましい。かかるR1の好ましい具体例
としては、シクロヘキシレン基、フェニルエチレン基、
ヘキシルエチレン基メチル−ヘキシルエチレン基等をあ
げることができる。また、R1は上記2種以上の混合であ
ってもよい。
R2は水素原子、炭素原子数1〜40の一価の炭化水素基ま
たは炭素原子数2〜40の一価のアシル基であり、該炭化
水素基としてはアルキル基、アルケニル基、シクロアル
キル基、アリール基、アルキルアリール基またはヒドロ
キシアルキル基が好ましい。また該アシル基としてはア
ルカノイル基、アルケノイル基、シクロアルキルカルボ
ニル基、アリールカルボニル基またはアルキルアリール
カルボニル基が好ましい。kはZの元になる有機化合物
が有する活性水素原子数に対応する1〜6の整数であ
る。lはk×lが70以上となる整数であることが必要で
あり、分子間または分子内で同一であっても異なっても
よい。k×lの値が70未満であるときには最終的に得ら
れるポリエステル繊維の制電性の初期性能および熱水耐
久性、洗濯耐久性が共に不充分となる。また、k×lの
値が大きくなるにしたがって制電性およびその耐久性が
向上するが、この値が300を越えると最早著しく制電性
およびその耐久性の向上は認められ難くなり、かえって
該ポリオキシエチレン系ポリエーテルの水不溶化が困難
になる傾向があるので、lとしてはk×lの値が300以
下となる整数であるのが好ましい。k×lのより好まし
い範囲は80〜200の範囲である。mは1以上の整数であ
り、分子間または分子内で同一であっても異なっていて
もよいがZに結合したk値の分枝内でmはすべて1以上
の整数である必要がある。mが0である分枝が存在する
ときには、最終的に得られるポリエステル繊維の制電耐
久性が不充分になる。かかるポリオキシエチレン系ポリ
エーテルを構成するCH2CH2O単位およびR1O単位の配列
は、CH2CH2O単位からなるポリオキシエチレンブロック
が主鎖を構成し、該ポリオキシエチレン分子鎖末端にR1
O単位が1単位でまたは2単位以上のブロックを形成し
て局在化する配列をとる必要がある。かかる特定の構造
を取ることによってはじめて、少量のR1O単位の導入で
該ポリオキシエチレン系ポリエーテルの高度な水不溶化
と高度な吸湿性向上を可能にすることができ、高度な制
電性およびその耐久性の達成が可能になる。CH2CH2O単
位およびR1O単位とがランダムに配列している場合は、
本発明の目的は達成されない。
上記した水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエーテルの
分子量は5000〜16000の範囲である。分子量が5000未満
のときは該ポリエーテルがポリエステル繊維中で充分な
長さの筋状分散形態をとり難いために初期制電性能から
不充分となり、また前記R1O単位をいくら増やしても該
ポリオキシエチレン系ポリエーテルの熱水,熱アルカ
リ,洗濯水等への脱落を防止するのは困難であり、最終
的に得られるポリエステル繊維の制電性及びその耐久性
が共に不十分となる。
分子量が16000を越えると、該ポリオキシエチレン系ポ
リエーテルの芳香族ポリエステル中での溶融混和性が急
激に悪化し、分散性が不良化するので、紡糸が困難とな
るばかりでなく、得られる繊維の制電性や物性が不良と
なり、その上前述した圧力減量白化現象が顕著に発生す
るようになるので事実上実施不可能な領域になる。更
に、分子量が大きくなることにより、低温・低湿度条件
下での制電性も不良となる。これは該ポリオキシエチレ
ン系ポリエーテルのポリエステルマトリックス中での熱
運動が小さくなるので、特に低温でイオン伝導による制
電性能が低下するためと推定される。なかでも該ポリオ
キシエチレン系ポリエーテルの好ましい分子量範囲は55
00〜14000である。
かかる非ランダム共重合型のポリオキシエチレン系ポリ
エーテルは、活性水素化合物にエチレンオキサイドを反
応させる第1段反応、次いでその生成物に炭素原子数6
以上のオレフィンオキサイドを反応させる第2段反応お
よび必要に応じてその生成物のヒドロキシル末端基を炭
化水素基もしくはアシル基で封鎖する第3段反応とによ
り合成することができる。かかるオレフィンオキサイド
としてはなかでもノネンオキサイド、シクロヘキセンオ
キサイド、炭素原子数12〜14のα−オレフィンオキサイ
ドが特に好ましい。
上記のポリオキシエチレン系ポリエーテルの特に好まし
い具体例を下記の表に示す。
第1表で示した化合物におけるR2のH以外の具体例とし
てはR2=−CH3,−C6H5,−CH2C6H5,−C12H25,−C18H
37,−C18H35,C11H23CO−,C17H33CO−,C17H35CO−等
が好ましい。かかるポリオキシエチレン系ポリエーテル
は、1種のみ単独で使用しても2種以上を併用してもよ
い。
かかるポリオキシエチレン系ポリエーテルの配合量は、
芯鞘型複合繊維の芯成分を構成する芳香族ポリエステル
に対して1〜10重量%の範囲であり、好ましくは2〜7
重量%の範囲である。1重量%より少ないときは充分な
制電性を得ることができない。逆に、配合量が10重量%
を越えるときには、最終的に得られるポリエステル繊維
の制電性は最早著しい向上を示さず、かえって得られる
繊維の機械的性質、耐熱性、耐光性が損われるようにな
るほか、アルカリ減量速度、視感染色性、圧力減量白化
性等がいずれも悪化する。
本発明においては、上記したポリオキシエチレン系ポリ
エーテルに併用して有機金属塩が使用される。ここでい
う有機金属塩とは、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリ
デシルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン
酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ヘキサデシルスル
ホン酸、ドデシルスルホン酸などのスルホン酸とナトリ
ウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属とから形成
されるスルホン酸のアルカリ金属塩、ジステアリルリン
酸ナトリウムなどのリン酸エステルのアルカリ金属塩、
その他の有機カルボン酸のアルカリ金属塩などがある。
更にスルホン酸金属塩として下記一般式で示されるもの
も好ましく例示することができる。
R′O(R″O)a(CH2)bSO3M (式中、R′は一価の炭化水素基、R″は炭素原子数2
〜4のアルキレン基、aは1〜100の整数、bは2〜4
の整数、MはNa、K、Li等のアルカリ金属塩) なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、平
均の炭素原子数が14であるアルキルスルホン酸ナトリウ
ム混合物、C12H25O(CH2CH2O)3−CH2CH2SO3Na,C16H33O
(CH2CH2O)23CH2CH2CH2SO3Na等のスルホン酸の金属塩が
良好である。
かかる有機金属塩は1種でも、2種以上併用してもよ
い。その配合量は芯鞘型複合繊維の芯成分を構成する芳
香族ポリエステルに対して0.1〜5重量%の範囲であ
り、なかでも0.1〜3重量%の範囲が好ましい。この量
が0.1重量%未満のときは充分な制電性を付与すること
ができず、またこの量を5重量%を越えて多くしても最
早制電性は著しく向上せず、かえって該芯鞘型複合繊維
のアルカリ減量速度、視感染色性、圧力減量白化性等が
悪化するようになる。
本発明のポリエステル繊維の制電成分である芯成分に
は、ヒンダードフェノール系、サルファイド系、ホスフ
ァイト系等の抗酸化剤やベンゾフェノン系、ベンゾトリ
アゾール系等の紫外線吸収剤を配合することができ、こ
うすることは好ましいことである。その他、必要に応じ
て、本発明のポリエステル繊維の鞘成分に上記抗酸化剤
および/又は紫外線吸収剤を配合してもよく、又、鞘成
分および/又は芯成分に難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、
着色剤、その他の添加剤等を配合してもよい。
制電成分であるポリエステルを得る方法としては、前記
ポリオキシエチレン系ポリエーテル、有機金属塩および
必要に応じて上記抗酸化剤等を、ポリエステルの合成開
始時から紡糸工程までの任意の時期にそれぞれ別々に、
または予め混合して添加することができる。
本発明のポリエステル繊維の芯/鞘の面積複合比率は5/
95〜50/50である。この芯/鞘の面積複合比率が5/95未
満のときは、ポリエステル繊維の芯部に配合されたポリ
オキシエチレン系ポリエーテルと有機金属塩による効果
が充分に発揮されず、制電性、特に低温・低湿度条件下
での制電性が不良となる。逆に、この面積複合比率が50
/50を越えると、鞘成分を構成するポリエステル成分の
厚さが薄くなり、このため繊維強度、耐フィブリル性、
耐熱性等の物性が劣るようになる。また、アルカリ減量
処理や染色処理を施した後の制電性およびその洗濯耐久
性が不充分となり、更に、色の深みや鮮明性が著しく劣
ったものになるばかりでなく、前述した圧力減量白化欠
点が頻発するようになり、本発明の目的が達成されなく
なる。
本発明の制電性ポリエステル繊維の外形ならびに芯部分
の形状は、織編物の嵩性、張り、風合、光沢などの目的
に応じて任意の形状をとることができ、例えば、円形断
面の他、三角、偏平、四角、五角、星形、六角、ブーメ
ラン形等を例示できる。また、繊維の外形と芯部の形状
とは同心形状である必要はなく、心部の中心が繊維の中
心から偏った形状のものでもよく、繊維の外形と心部分
の形状とは同じ形状であってもよいし異なった形状であ
ってもよい。
本発明のポリエステル繊維を製造するには、従来公知の
複合紡糸装置を用い、鞘側に前述した不活性微粒子含有
の芳香族ポリエステルを、芯側に水不溶性ポリオキシエ
チレン系ポリエーテルおよび有機金属塩並びに必要に応
じて抗酸化剤を配合した芳香族ポリエステルを使用し
て、任意の製糸条件を何らの支障なく採用することがで
きる。例えば500〜2500m/分の速度で溶融紡糸し、延
伸,熱処理する方法、1500〜5000m/分の速度で溶融紡糸
し、延伸と仮撚加工とを同時にまたは続いて行う方法、
5000m/分以上の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸
工程を省略する方法、などにおいて任意の製糸条件を採
用することができる。また得られた繊維またはこの繊維
から製造された織編物を100℃以上の温度で熱処理し
て、構造の安定化と繊維中に含有されているポリオキシ
エチレン系ポリエーテルおよび有機金属塩、更には必要
に応じて含有されている各種添加剤の移行による適性配
列化を助長させることも好ましい。さらに必要に応じて
弛緩熱処理なども併用することができる。
更に、必要に応じて、本発明のポリエステル繊維または
この繊維から製造された織編物に、適宜の親水化後加工
や深色化後加工を施してもよく、またそうすることは好
ましいことである。この親水化後加工法としては、例え
ばテレフタル酸および/またはイソフタル酸もしくはそ
れらの低級アルキルエステルと、低級アルキレングリコ
ール、およびポリアルキレングリコールとからなるポリ
エステルポリエーテルブロック共重合体の水性分散液で
処理する方法、または、アクリル酸、メタクリル酸等の
親水性モノマーをグラフト重合し、その後これをナトリ
ウム塩化する方法等が好ましく採用できる。又、深色化
後加工法としては、例えばジメチルシロキサン、テトラ
フルオロエチレン−プロピレン共重合体の如きポリエス
テルよりも低い屈折率を有する重合体でポリエステル繊
維の表面を被覆する方法等が好ましく採用できる。
〈発明の効果〉 本発明の粗面化、制電性ポリエステル繊維は、繊維表面
に特殊な微細凹凸を有するために、発色性に優れ、黒は
一段と深みを増し、有彩色は冴えて鮮明な色彩が得られ
る。その上かかる微細凹凸構造に基づき従来のポリエス
テル繊維が未開拓のレーヨンに類似した高度のドレープ
性と腰をもっと共に、シルキーで優雅な光沢、イージー
ケア性などを有するため、シルクレーヨン調ポリエステ
ル素材としてきわだった特徴を有し、高級感のあるロマ
ンチックなシルエットが表現できる。
その一方で、本発明のポリエステル繊維は、高吸湿性と
水不溶性とを併せもつ特殊なポリオキシエチレン系ポリ
エーテルを制電成分として含むため、低温・低湿度条件
下でも充分な制電性を有するため、低温または乾燥した
環境下でも制電性が発揮でき、しかもかかる高度に優れ
た制電性能が繰り返される洗濯処理によって失われるこ
とがなく、その上該ポリエーテルはポリエステルマトリ
ックスとの界面親和性が良好であるため、減量加工前に
圧力の加わった部分があっても、その部分の繊維が減量
によりフィブリル化して染色布が白化する問題点も生じ
ない。このため、静電気発生にともなうほこり付着や衣
服のまつわりつきが起こらないので、上記した黒色や鮮
明な有彩色がほこり付着でそこなわれることがなく、極
めて有用である。
更に、本発明のポリエステル繊維にあっては、従来品に
比べてポリエステル成分との界面親和性が著しく良化し
たポリエーテルを使用するため、芯部におけるポリエス
テルマトリックスとポリエーテルとの界面剥離や芯部と
鞘部との界面剥離が生じなくなり、かかる剥離部での光
の乱反射や外力の吸収等が起こらなくなるので、前記し
た微細表面凹凸による色彩効果および風合効果が最大限
に発揮される。
特に、上記した特殊微細凹凸に基づく優れた色彩効果と
高度なドレープ性とを充分に発現させるためには減量率
20〜30重量%の高アルカリ減量処理が施される必要があ
るが、本発明のポリエステル繊維は、かかる苛酷な条件
下で製造されても優れた制電性等の機能性を失うことが
ない。
本発明のポリエステル繊維は、以上述べたような優れた
特性を有するために、フォーマルウエア、ドレス、ワン
ピース、和装等をはじめとしてランジェリー等の女性イ
ンナー用途、裏地、無塵衣等の分野において極めて有用
に使用できる。
〈実施例〉 本発明をさらに具体的に説明するために、以下実施例を
あげて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。尚、実施例及び比較例中の部および%
はそれぞれ重量部及び重量%を示す。また、得られたポ
リエステル繊維の摩擦帯電圧染色布の視感染色性および
耐フィブリル性、減量染色布の圧力白化は以下の方法で
測定した。
(1) 摩擦帯電圧 i) 装置および材料 回転ドラム式摩擦帯電圧測定装置(ロータリースタティ
ックテスター)、オシロスコープ、摩擦布:木綿ブロー
ド30/−精錬漂白無糊仕上げ ii) 試験片の調整 巻き込み式:3.8cm×30cm 金わく式 :4.0cm×8.0cm それぞえ縦長に3枚採取する。更に、摩擦布の木綿ブロ
ード(30/−)を2.5cm×14.0cm縦長に3枚採取する。
iii) 試験の操作 調湿:40±2%RHまたは30±2%RHのデシケータ中
に一昼夜以上放置する。
測定室の雰囲気:40±2%RH(20±2℃)、30±2
%RH(10±2℃) 試料:重ね枚数1枚 ドラム回転数700r.p.m. 帯電平衡時間:1分間 接圧荷重:600g 試験片を1枚表にしてロタリースタティックテスターの
回転ドラムに取付け、更に下部の両端のクリップに摩擦
布1枚を試験片と接触する位置で平行に取付け、600gの
荷重をかける。記録計(5cm/分)、回転ドラム、オシロ
スコープの順に操作し、帯電平衡に達した時、摩擦帯電
圧(V)および極値(±,−)を読み、3枚の平均値で
表す(整数位10位まで)。
なお、制電効果と摩擦耐電圧との関係は、摩擦帯電圧が
1500V以下であれば制電効果は良好であることを示す。
(2) 染色布の視感染色性 メリヤス編地を常法により精錬、プリセット(180℃×
1分)して得た編地A0、および編地A0を30g/lの水酸化
ナトリウム水溶液で沸騰温度でアルカリ減量処理してア
ルカリ減量率(N率と称する)を25%とした編地B0をDi
anix Blach HG-FS(三菱化成工業(株)製)15%owfを
含む染浴中で浴比1:50にて130℃で30分間染色後、水酸
化ナトリウム1g/lおよびハイドロサルファイト1g/lを含
む水溶液にて70℃で20分間還元洗浄し、さらに常法によ
りファイナルセット(160℃×1分)を施して染色編地
A(N率0%)および減量染色編地B(N率25%)を得
た。それぞれの染色編地のL*値(明度指数)をマクベス
MS-2020(Instrumental Color System Limited製)を用
いて測定した。L*値が小さい程、視感濃度が大きく、視
感染色性が優れていることを示す。
(3) 耐フィブリル性 摩擦堅牢度試験用の学振型平面摩耗機を使用して、摩擦
布としてポリエチレンテレフタレート100%からなるジ
ョーゼットを用い、上記染色編地Aと減量染色編地Bを
500gの荷重下で200回平面摩耗して、変色の発生の程度
を変褪色用グレースケールで判定した。耐摩耗性(耐フ
ィブリル性)が極めて低い場合を1級とし、極めて高い
場合を5級とした。実用上4級以上が必要である。
(4) 減量染色布の耐圧力白化性 メリヤス編地を常法により精錬、プリセットして得た編
地A0を、20kg/cm2の圧力をかけたカレンダーロール間を
通した後、上記と同様にしたN率25%のアルカリ減量、
染色、ファイナルセットの各処理を施して減量染色編地
Cを得た。減量染色編地Bと減量染色編地CのL*値(明
度指数)を、マクベスMS-2020(Instrumental Color Sy
stem Limited製)を用いて測定し、両者のL*値の差(Δ
L*)で、耐圧力白化性の程度を評価した。
ΔL*=L*(編地C)−L*(編地B) ΔL*値が小さい程、減量染色布の耐圧力白化性が優れて
いることを示す。
また、制電性の耐洗濯性を調べるための洗濯処理は下記
によった。
(洗濯処理) 家庭用洗濯機を用い、新酵素サブ(花王製)2g/l溶液を
30l(浴比1:30)入れ、試料を入れて40℃で10分間自動
渦巻き水流にて洗濯する。その後脱水し、40℃の温水30
l(浴比1:30)で5分間湯洗、脱水し、次いでオーバー
フロー水洗を10分間行い、脱水した。上記洗濯を1回処
理とし、これを必要な回数繰り返した。
実施例1〜5 テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール60
部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸ジメチ
ルに対して0.066モル%)をエステル交換缶に仕込み、
窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から220℃まで昇温
して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル
交換反応を行った。続いて得られた反応生成物に、0.5
部のリン酸トリメチル(テレフタル酸ジメチルに対して
0.693モル%)と0.31部の酢酸カルシウム1水塩(リン
酸トリメチルに対して1/2倍モル)とを8.5部のエチレン
グリコール中で120℃の温度において全還流下60分間反
応せしめて調製したリン酸ジエステルカルシウム塩の透
明溶液9.31部に室温下0.57部の酢酸カルシウム1水塩
(リン酸トリメチルに対して0.9倍モル)を溶解せしめ
て得たリン酸ジエステルカルシウム塩と酢酸カルシウム
との混合透明溶液9.88部を添加し、次いで10分後に三酸
化アンチモン0.44部を添加し、同時に過剰のエチレング
リコールを追出しながら240℃まで昇温した後、重合缶
に移した。次いで1時間かけて760mmHgから1mmHgまで減
圧し、同時に1時間30分かけて240℃から285℃まで昇温
した。1mmHg以下の減圧下、重合温度285℃まで昇温し
た。1mmHg以下の減圧下、重合温度285℃で更に3時間、
合計4時間30分重合して極限粘度0.640、軟化点259℃で
内部析出系リン酸カルシウム微粒子0.55重量%を含有す
るポリマー(A)を得た。反応終了後ポリマーを常法に
従いチップ化した。
制電性ポリマー(B)は次の方法で製造した。
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール60
部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸ジメチ
ルに対して0.066モル%)および整色剤として酢酸コバ
ルト4水塩0.009部(テレフタル酸ジメチルに対して0.0
07モル%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気
下4時間かけて140℃から220℃まで昇温して生成するメ
タノールを系外に留去しながらエステル交換反応させ
た。エステル交換反応終了後、安定剤としてリン酸トリ
メチル0.058部(テレフタル酸ジメチルに対して0.080モ
ル%)および消泡剤としてジメチルポリシロキサンを0.
024部を加えた。次いで10分後に三酸化アンチモン0.04
部(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添
加し同時に過剰のエチレングリコールを追出しながら24
0℃まで昇温した後、重合缶に移した。次いで1時間か
けて760mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間30分か
けて240℃から285℃まで昇温した。減圧開始2時間後に
下記化学式 (但し、jは18〜28の整数で平均21、lは平均値として
約115、mは平均値として3である)で表わされる、平
均分子量7106の水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエー
テルの第2表記載の量を溶融状態で、及びドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムの第2表記載量を50%のエチ
レングリコール溶液にして、減圧下に添加した。引続き
撹拌下1mmHg以下の減圧下で更に1時間重合した時点で
酸化防止剤としてサイアノックス1790(アメリカン・サ
イアナミッド社製)0.1部およびマークAO-412S(アデカ
・アーガス化学社製)0.3部を減圧下添加し、その後更
に20分間重合させて、極限粘度0.640〜0.660、軟化点26
1.5〜263℃のポリマー(B)を得た。このポリマーを常
法によりチップ化した。
かくして得られたポリマー(A)および制電性ポリマー
(B)を常法に従って乾燥し、ポリマー(A)を鞘成分
とし、又制電性ポリマー(B)を芯成分としてそれぞれ
スクリュー型押出機で溶融し、それぞれのギャポンプを
経て二成分複合紡糸ヘッドに供給した。芯成分ポリマー
と鞘成分ポリマーの供給量は、芯/鞘の面積複合比率が
第2表記載の値となるように設定した。芯成分および鞘
成分の溶融ポリマーは、孔径0.3mmの円形複合紡糸孔を2
4個穿設した複合紡糸口金を使用して、285℃で押出した
後、ゴデットローラーを介して1500m/分の速度で同心円
型複合繊維として一旦巻き取った。次いで、得られる延
伸糸の伸度が35%になるような延伸倍率で、90℃の加熱
ローラーと170℃延伸加熱ヒーターにより延伸熱処理し
て50デニール/24フィラメントの延伸糸を得た。
得られた延伸糸をメリヤス編地となし、前述した方法に
より精錬、プリセット、染色およびファイナルセットし
た染色編地A(N率0%)、並びに精錬、プリセット、
アルカリ減量、染色およびファイナルセットした染色編
地B(N率25%)について、洗濯0回(L0と称する)お
よび洗濯30回繰返し(L30と称する)後の摩擦帯電圧、
視感染色性、耐フィブリル性を測定した。さらに、精
錬、プリセット、カレンダーによる圧力処理、アルカリ
減量、染色およびファイナルセットした染色編地C(N
率25%)について、耐圧力減量白化性を測定した。結果
を第2表に示す。
実施例6 実施例1において使用したポリマー(A)に代えて、コ
ロイダルシリカを3重量%含有する、極限粘度0.645の
ポリマーを使用する以外は実施例1と同様に行った。結
果を第2表に示した。
実施例7 実施例1において制電性ポリマー(B)の製造の際に使
用したポリオキシエチレン系ポリエーテルに代えて、下
記化学式 (但し、jは10〜12の整数で平均11、lは平均値として
約180、mは平均値として10である)で表わされる、平
均分子量11898の水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエ
ーテルを使用する以外は実施例1と同様に行った。結果
は第2表に示した通りであった。
実施例8 実施例1において制電性ポリマー(B)の製造の際に有
機金属塩として使用したドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウムに代えて、下記化学式 C16H33O(CH2CH2O)23CH2CH2CH2SO3Na で表わされるスルホン酸金属塩2部を溶融状態で添加す
る以外は実施例1と同様に行った。結果は第2表に示す
通りである。
比較例1 実施例1において制電性ポリマー(B)の製造の際に使
用した水不溶性のポリオキシエチレン系ポリエーテルに
代えて、平均分子量が2万の水溶性のポリオキシエチレ
ングリコールを使用する以外は実施例1と同様に行っ
た。結果は第1表に示す。
比較例2 実施例1において制電性ポリマー(B)の製造の際に使
用した水不溶性のポリオキシエチレン系ポリエーテルに
代えて、下記化学式 (但し、jは18〜28の整数で平均21、lは平均値として
約270、mは平均値として8である)で表わされる、平
均分子量17306の水不溶性ポリオキシエチレン系ポリエ
ーテルを使用する以外は実施例1と同様に行った。結果
は第2表に示した。
なお、上記実施例1〜8および比較例1,2のポリエステ
ル繊維を走査型電子顕微鏡で5000倍に拡大して観察した
結果、N率0%ではいずれも平滑な繊維表面を呈したの
に対し、N率25%においてはいずれも繊維表面の全面に
0.1〜0.7μmの微細凹凸が均一に存在していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 8/14 A 7199−3B B 7199−3B (72)発明者 黒田 俊正 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 (72)発明者 山田 浙雄 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯鞘成分が共に芳香族ポリエステルからな
    る芯鞘型複合繊維であって、該複合繊維表面にはアルカ
    リ減量処理による微細表面凹凸が存在し、芯成分には
    (a)下記(i)および(ii)を同時に満足するポリオ
    キシエチレン系ポリエーテルが1〜10重量%および
    (b)有機金属塩が0.1〜5重量%存在し、且つ、芯/
    鞘の面積複合比率が5/95〜50/50であることを特徴とす
    る粗面化、制電性ポリエステル繊維。 (i) 下記一般式(I)で表わされる非ランダム共重
    合型ポリオキシエチレン系ポリエーテルであること。 Z(CH2CH2O)lR1OmR2k…(I) [式中、Zは1〜6の活性水素を有する分子量300以下
    の有機化合物残基、R1は炭素原子数6以上の未置換また
    は置換アルキレン基、R2は水素原子、炭素原子数1〜40
    の一価の炭化水素基又は炭素原子数2〜40の一価のアシ
    ル基、kは1〜6の整数、lはk×lが70以上となる整
    数、mは1以上の整数を表わす。] (ii) 平均分子量が5000〜16000であること。
  2. 【請求項2】平均の一次粒子径が100mμ以下である不活
    性微粒子を0.1〜5重量%含有する芳香族ポリエステル
    を鞘成分とし、(a)下記(i)および(ii)を同時に
    満足するポリオキシエチレン系ポリエーテルを1〜10重
    量%および(b)有機金属塩を0.1〜5重量%含有する
    芳香族ポリエステルを芯成分とし、且つ、芯/鞘の面積
    複合比率が5/95〜50/50となるように複合紡糸し、得ら
    れた芯鞘型複合繊維をアルカリ減量処理することを特徴
    とする粗面化、制電性ポリエステル繊維の製造法。 (i) 下記一般式(I)で表わされる非ランダム共重
    合型ポリオキシエチレン系ポリエーテルであること。 Z(CH2CH2O)lR1OmR2k…(I) [式中、Zは1〜6の活性水素を有する分子量300以下
    の有機化合物残基、R1は炭素原子数6以上の未置換また
    は置換アルキレン基、R2は水素原子、炭素原子数1〜40
    の一価の炭化水素基又は炭素原子数2〜40の一価のアシ
    ル基、kは1〜6の整数、lはk×lが70以上となる整
    数、mは1以上の整数を表わす。] (ii) 平均分子量が5000〜16000であること。
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