JP2009263847A - 短繊維不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱接着処理する際の加工温度を低くすることができ、高温雰囲気下で使用した際にも接着強力の低下が少なく、嵩高性や柔軟性に優れ、かつ地合、機械的特性にも優れる短繊維不織布を提供する。
【解決手段】テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、融点(Tm)が100〜150℃のポリエステルAと、非晶性のポリエステルBとで構成され、ポリエステルAが鞘部、ポリエステルBが芯部となる芯鞘形状を呈する芯鞘型複合短繊維と、熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合短繊維とを含有するウエブからなり、芯鞘型複合短繊維のポリエステルA、Bともに溶融して接着成分を成している短繊維不織布。
【選択図】図1

Description

本発明は、低融点でありながら結晶性に優れたポリエステルと非晶性ポリエステルとからなる芯鞘型の複合短繊維をバインダー繊維、潜在捲縮性能を有する複合短繊維を主体繊維とし、嵩高性や柔軟性、機械的特性、地合に優れた短繊維不織布に関するものである。
合成繊維、特にポリエステル繊維は、その優れた寸法安定性、耐候性、機械的特性、耐久性、さらにはリサイクル性等から、衣料、産業資材として不可欠のものとなっており、様々な分野において、ポリエステル繊維が多く使用されている。
衛生材料等の分野において、バインダー繊維を用いて構成繊維を接着した短繊維不織布が種々提案されている。これらの短繊維不織布の多くはポリエステル系繊維からなるため、接着成分となるバインダー繊維もリサイクルの観点よりポリエステル系重合体からなる繊維を用いることが好適である。
例えば、このような短繊維不織布としては、イソフタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合体を鞘部とした芯鞘型複合短繊維をバインダー繊維とし、ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維を主体繊維としたものが挙げられる。この短繊維不織布に用いるバインダー繊維は、高融点の芯部と低融点の鞘部とからなるため、熱接着処理の際に、鞘部のみが溶融して接着成分となり、芯部は溶融せずに繊維形態を保持するものである。
しかしながら、鞘部のイソフタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合体は、非晶性であり明確な結晶融点を示さないため、ガラス転移点以上の温度で軟化が始まる。このため、得られた短繊維不織布を高温雰囲気下で使用した場合、接着強力が低下したり変形するという問題があり、また、このバインダー繊維は熱収縮率が高く、熱接着処理の際の収縮が大きく、得られる短繊維不織布は地合が悪く、柔軟性にも乏しくなるという問題があった。
上記問題を解決するものとして、特許文献1に芯鞘型の複合繊維が記載されている。この繊維は、芯部にポリエチレンテレフタレートを配し、鞘部にテレフタル酸成分、脂肪族ラクトン成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分を共重合したポリエステル系共重合体を配した芯鞘型複合繊維である。
この複合繊維は、鞘部の共重合体は結晶性であり明確な融点を示すため、熱収縮率が小さく、不織布とする際の熱接着処理時の収縮が小さく、地合が良好で柔軟性にも優れ、また、高温雰囲気下で使用した際の耐熱性にも優れた不織布を得ることができる。
しかしながら、この共重合ポリエステルは融点が150〜200℃の範囲のものであり、まだ低融点領域であるとはいえず、熱接着処理する際には加工温度を高くする必要があり、コスト的にも不利であった。
特開2006−118066号公報
本発明は上記の問題点を解決するものであって、熱接着処理する際の加工温度を低くすることができ、高温雰囲気下で使用した際にも接着強力の低下が少なく、嵩高性や柔軟性に優れ、かつ地合、機械的特性にも優れる短繊維不織布を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、融点(Tm)が100〜150℃のポリエステルAと、流動開始温度(R)が105〜155℃、流動開始温度とポリエステルAの融点との差(R−Tm)が+5℃以下である非晶性のポリエステルBとで構成され、単糸の横断面形状においてポリエステルAが鞘部、ポリエステルBが芯部となる芯鞘形状を呈する芯鞘型複合短繊維と、熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合短繊維とを含有するウエブからなり、芯鞘型複合短繊維のポリエステルA、Bともに溶融して接着成分を成していることを特徴とする短繊維不織布を要旨とするものである。
本発明の短繊維不織布を構成する芯鞘型複合短繊維は、低融点でありながら結晶性に優れたポリエステルAを鞘部に配したものであるため、紡糸時の単糸間の溶着がなく、延伸、熱処理工程においても高温で熱処理を行うことができるので、乾熱収縮率を小さくすることができる。したがって、本発明の短繊維不織布は、地合や柔軟性、機械的特性に優れ、高温雰囲気下で使用した際にも接着強力の低下が少ないものとなる。
また、芯鞘型複合短繊維は、非晶性のポリエステルBを芯部に配したものであるため、バインダー繊維を溶融させて主体繊維を熱接着処理する際の加工温度を低くすることができ、コスト的に有利であり、2種類のポリエステルを組み合わせることで、適度な流動特性を有し、強固な接着力を有するものとなる。したがって、本発明の短繊維不織布は、機械的特性(不織布強力)に優れ、表面の毛羽の発生も少ないものとなる。
さらに、本発明の短繊維不織布は、主体繊維として潜在捲縮性能を有する複合短繊維を用いているため、熱処理により捲縮が発現することで、嵩高性、柔軟性に優れたものとすることができる。
このように、本発明の短繊維不織布は、衣料、産業資材、衛生材料用等に広く利用することが可能となる。
本発明における芯鞘型複合短繊維を構成するポリエステルAのDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線の一例である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の短繊維不織布は、熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合短繊維を主体繊維とし、以下に詳述するポリエステルAとポリエステルBとからなる芯鞘型複合短繊維をバインダー繊維とし、両短繊維を含有するウエブからなり、芯鞘型複合短繊維のポリエステルA、Bともに溶融して接着成分を成しているものである。
つまり、本発明の短繊維不織布は、バインダー繊維である芯鞘型複合短繊維を溶融させる際の熱接着処理において、芯鞘型複合短繊維のポリエステルAとポリエステルBともに溶融させて主体繊維を接着させる接着成分としているものである。ポリエステルBは非晶性ポリマーのため溶融すると流動性が低いものとなり、ポリエステルAは結晶性ポリマーのため溶融すると流動性が高いものとなり、この2種類のポリエステルを組み合わせることで、適度な流動特性を有し、本発明における芯鞘型複合短繊維は、強固な接着力を有するバインダー繊維となる。
そして、ポリエステルA、B成分ともに溶融して接着成分が不織布の厚み方向に均一に分布し、主体繊維同士の接着が均一でかつ十分に接着されるため、得られる短繊維不織布は、機械的特性(不織布強力)に優れ、表面の毛羽の発生も少ないものとなる。また、ポリエステルA、Bともに溶融するため、得られる短繊維不織布は柔軟性にも優れるものとなる。
本発明の短繊維不織布は、乾式不織布、湿式不織布のいずれでもよく、目付けも特に限定するものではない。
また、本発明の短繊維不織布は、芯鞘型複合短繊維と、熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合短繊維を含有するウエブからなるものであるが、本発明の短繊維不織布においては、主体繊維となる複合短繊維の潜在捲縮性能は発現しているものであっても、発現していないものであってもよい。
つまり、本発明の短繊維不織布は、バインダー繊維となる芯鞘型複合短繊維が溶融して接着成分を成しているが、バインダー繊維を溶融させる熱接着処理の際に主体繊維の潜在捲縮性能を発現させた状態のものであってもよいし、バインダー繊維を溶融させる熱接着処理の際には主体繊維の潜在捲縮を発現させない状態のものであってもよい。後者の場合は、一旦バインダー繊維を溶融させて得られた不織布に、さらに熱処理を施すことによって、主体繊維の潜在捲縮性能を発現させるものである。
中でも、本発明の短繊維不織布は、ウエブを作成する際には地合のよいものを得るために、主体繊維となる複合短繊維の潜在捲縮性能は発現させることなく、バインダー繊維を溶融させる熱接着処理の際に主体繊維の潜在捲縮を発現させるものであることが好ましい。これにより地合に優れ、嵩高性、柔軟性に優れた不織布とすることができる。
そして、短繊維不織布中の主体繊維の混合割合は、10〜90質量%であることが好ましく、中でも30〜70質量%であることが好ましい。主体繊維の割合が90質量%を超えると、バインダー繊維の割合が少なく、接着成分が少なくなり、接着力が低くなるため、短繊維不織布は機械的特性(強度等)に劣るものとなる。一方、主体繊維の割合が10質量%未満であると、バインダー繊維の割合が多く、接着成分が多くなりすぎるため、短繊維不織布は柔軟性や機械的特性(強度等)に劣るものとなり、さらには嵩高性にも乏しいものとなる。
本発明における芯鞘型複合短繊維は、ポリエステルAとポリエステルBとで構成されるものであり、ポリエステルAが鞘部に、ポリエステルBが芯部に配されている複合短繊維である。つまり、本発明における芯鞘型複合短繊維は、マルチフィラメントでもモノフィラメントでもよいが、単糸の横断面形状(繊維軸方向に沿って垂直に切断した断面の形状)において上記のような芯鞘形状を呈するものである。なお、このような芯鞘形状としては、芯部を複数有するものであってもよく、複数の芯部を有する場合は、芯部の数を2〜10個とすることが好ましい。
まず、ポリエステルAについて説明する。ポリエステルAは、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、融点が100〜150℃の共重合ポリエステルである。
ポリエステルAの融点(Tm)は100〜150℃であり、中でも110〜140℃であることが好ましい。Tmが100℃未満であると、本発明の複合短繊維を用いて得られた不織布等の製品は、高温雰囲気下で使用した場合の熱安定性(耐熱性)に劣るものとなる。一方、150℃を超えると、製品を得る際の熱接着加工温度を高くする必要があり、加工性、経済性に劣る。また、熱処理により得られる製品の品質や風合い等を損ねるため好ましくない。
ポリエステルAは、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とするものであり、テレフタル酸(以下、TPAとする)は60モル%以上、中でも80モル%以上であることが好ましい。TPAが60モル%未満であると、ポリマーの融点が本発明の範囲外のものとなったり、結晶性が低下しやすくなるため好ましくない。
なお、TPA以外の共重合成分としては、その効果を損なわない範囲であれば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フタル酸、イソフタル酸、5−(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
ジオール成分としては、1,6−ヘキサンジオール(以下、HDとする)が50モル%以上であり、他の成分としてはエチレングリコール(以下、EGとする)や1,4−ブタンジオール(以下、BDとする)を用いることが好ましい。ジオール成分において、HDは50モル%以上であり、中でも60〜95モル%であることが好ましい。HDが50モル%未満の場合、融点が150℃を超えるものとなる。
ジオール成分として、HDとともにEGやBDを用いる際には、EGやBDをジオール成分において、5〜50モル%とすることが好ましく、中でも5〜40モル%とすることが好ましい。
さらに、ジオール成分には、HD、EGやBD以外の他の共重合成分として、その特性を損なわない範囲で、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA、2,5−ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコールなどに例示される芳香族グリコールを用いることができる。
そして、ポリエステルAは、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有するものであり、中でも0.5〜3.0質量%含有することが好ましい。
ポリエステルAは、上記のような共重合組成であることにより、結晶性を有しているものであるが、結晶核剤を含有することによって降温時の結晶化速度を向上させることができる。そして、後述する(1)式を満足することが好ましいものである。ポリエステルAはこのような優れた結晶性を有しているため、繊維化する際、溶融紡糸工程においては単糸間の溶着を生じることなく、延伸、熱処理工程においては高温で熱処理することが可能となるため、乾熱収縮率の低い繊維とすることができる。
結晶核剤の含有量が0.01質量%未満であると、降温時の結晶化速度を向上させることができず、ポリエステルAは後述する(1)式を満足することが困難となる。一方、5.0質量%を超えると、結晶核剤の含有量が多くなりすぎ、紡糸、延伸時の操業性を悪化させることとなる。また、操業性が悪化することで糸質のバラツキが大きくなり、繊維の乾熱収縮率も高くなる。
結晶核剤としては、無機系微粒子やポリオレフィン、硫酸塩等を使用することが好ましい。無機系微粒子としては、中でもタルクなどの珪素酸化物を主成分としたものが好ましく、平均粒径3.0μm以下もしくは比表面積15m/g以上の無機系微粒子を用いることが好ましい。上記平均粒径もしくは比表面積を満足していない場合、結晶核としての機能に乏しく、ポリエステルAは後述する(1)式を満足することが困難となりやすい。
また、結晶核剤として含有させるポリオレフィンは、反応系内で溶融するため、形状については特に限定するものではなく、例えば粒径2mm程度のチップ状のものや、粒径数μmのワックス状のものであってもよい。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などを挙げることができ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、プロピレン・エチレンランダム共重合体が特に好ましい。なお、ポリオレフィンが炭素原子数3以上のオレフィンから得られるポリオレフィンである場合には、アイソタクチック重合体であってもよく、シンジオタチック重合体であってもよい。
結晶核剤として含有させる硫酸塩は、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムなどを挙げることができ、中でも結晶核剤としての効果の点から、硫酸ナトリウムや硫酸マグネシウムが好ましい。
これらの結晶核剤を添加する方法としては、粉体のまま、あるいはジオールスラリーの形態でポリエステルを製造する際の任意の段階で添加すればよい。例えば、エステル化またはエステル交換反応時に添加してもよいし、重縮合反応の段階で添加してもよい。中でも、結晶核剤としての効果を良好なものとするには、エチレングリコール等のグリコールにスラリー状態あるいは溶解させた状態で添加することが好ましい。
また、ポリエステルA中には、本発明の効果を損なわない範囲で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい。
そして、ポリエステルAは、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記(1)式を満足することが好ましく、中でもb/a≧0.06であることが好ましい。一方、b/aが大きいほど降温時の結晶性に優れるものとなるが、本発明で目的とする効果を奏するには、b/aを0.5以下とすることが好ましい。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) (1)
本発明におけるポリエステルAの融点とDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線は、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、窒素気流中、温度範囲−20℃〜250℃、昇温(降温)速度20℃/分、試料量2mg(短繊維の質量)で測定する。
上記b/aは、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線より求められる。そして、図1に示すように、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
b/aは、降温時の結晶性を表す指標であり、b/aの値が高いと結晶化速度が速く、逆に0に近いほど、結晶化速度が遅いことを示している。b/aが0.05(mW/mg・℃)未満の場合、結晶化速度が遅いため、溶融紡糸時に単糸間の溶着が発生し、紡糸操業性が悪くなる。また、延伸・熱処理工程における熱処理温度を高くすると、繊維の融解・膠着が生じ、高温での熱処理を行うことができないため熱収縮率の低い繊維を得ることができない。
上記したように、b/aは、ポリエステルの共重合組成を特定のものとし、結晶核剤の含有量を上記範囲の量とすることにより、本発明で規定する範囲のものにすることが可能となる。
次にポリエステルBについて説明する。ポリエステルBは、非晶性のポリエステルであり、流動開始温度(R)が105〜155℃であり、かつ流動開始温度とポリエステルAの融点(Tm)との差(R−Tm)が+5℃以下である。
つまり、本発明における芯鞘型複合短繊維は、ポリエステルA、ポリエステルBともに熱接着処理により溶融させて接着成分とするものであるが、通常、熱接着処理温度は、繊維表面に配されているポリエステルAの融点より10℃高い温度で行うものであるため、このような熱接着処理温度でポリエステルBが溶融するためには、ポリエステルBの流動開始温度は、ポリエステルAの融点より高くても5℃以下とすることが必要であり、中でもポリエステルAの融点より低いことが好ましい。
また、ポリエステルBの流動開始温度は、105〜155℃であるが、中でも110〜140℃、さらには115〜135℃であることが好ましい。
ポリエステルBの流動開始温度が105℃未満であると、延伸、熱処理工程での処理温度を高くすることができず、乾熱収縮率の高い短繊維となる。一方、155℃を超えると、製品を得る際の熱接着処理温度を高くする必要があり、加工性、経済性に劣る。
ポリエステルBとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートを主体とするものが好ましい。そして、上記の流動開始温度のものとするため、次に示すような成分を共重合させたものとすることが好ましい。
共重合成分としては、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸、ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン等が挙げられる。
中でもポリエステルBとしては、イソフタル酸を共重合したPETを用いることが好ましく、中でもイソフタル酸を25〜40モル%共重合したものが好ましい。イソフタル酸の共重合量が25モル%未満であると、流動開始温度が高くなり155℃を超えるものとなりやすい。一方、40モル%を超えると、流動開始温度が低くなり105℃未満のものとなりやすい。
ポリエステルB中にも、本発明の効果を損なわない範囲で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい。
本発明における芯鞘型複合短繊維のポリエステルAとポリエステルBの複合比率(質量比率)は、20/80〜80/20とすることが好ましく、中でも30/70〜70/30とすることが好ましい。
そして、本発明における芯鞘型複合短繊維は、上記したように結晶性に優れるポリエステルAを芯部に、非晶性のポリエステルBを鞘部に配しているので、溶融紡糸する際に単糸間の溶着が発生せず、延伸、熱処理を高温で施すことができ、熱収縮率の低い繊維とすることができる。具体的には、本発明における芯鞘型複合短繊維は、ポリエステルAの融点をTmとしたとき、(Tm−30)℃における乾熱収縮率が7%以下であることが好ましく、中でも5%以下であることが好ましく、さらには4.8〜0.5%とすることが好ましい。
本発明における乾熱収縮率とは、JIS L−1015の収縮率の測定における乾熱収縮率の測定方法により測定するものであり、芯鞘型複合短繊維を試料とし、初荷重を50mg/デシテックス、つかみ間隔を25mm、処理温度を(Tm−30)℃として測定し、算出するものである。
芯鞘型複合短繊維の(Tm−30)℃における乾熱収縮率を7%以下とすることで、この短繊維をバインダー繊維に使用して得られる本発明の短繊維不織布は、熱接着処理時の熱収縮が小さく、熱接着処理する前のウエブの面積と熱接着処理後に得られた不織布の面積を比較したウエブ収縮率が小さく、得られる不織布は地合や柔軟性に優れるものとなる。一方、(Tm−30)℃における乾熱収縮率が7%を超えるものでは、熱接着処理時にバインダー繊維の収縮が大きくなり、上記したウエブ収縮率が大きくなり、得られる不織布は地合が悪く、柔軟性にも乏しいものとなる。
また、本発明の短繊維不織布は、主体繊維として熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合繊維の短繊維を用いるものである。
このような潜在捲縮性能を有する複合短繊維としては、熱処理によりスパイラル捲縮を発現するものが好ましく、複合形態としては、2種類のポリマーを用いた複合短繊維が好ましく、偏心芯鞘型、サイドバイサイド型、多層型等の張り合せ形状のものが挙げられ、中でもサイドバイサイド型が好ましい。
そして、潜在捲縮性能を有する複合短繊維は、170℃の熱処理により50個/25mm以上の捲縮を発現するもの、中でも50個/25mm〜100個/25mmの捲縮を発現するものが好ましい。
本発明でいう捲縮数は、170℃の雰囲気温度のオーブン(熱処理機)中に無荷重で載置して15分間熱処理を施して捲縮を発現させ、50mg/dtexの荷重をかけ任意の長さあたりの捲縮数を測定した値を、長さ25mmあたりに換算したものである。
なお、繊維長が短くて測定が困難である場合は、短繊維にカットする前の繊維より測定を行うものである。
このような潜在捲縮性能を有する複合短繊維としては、2種類のポリマーとしてポリエステルを用いることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(以下PETとする)と共重合ポリエステルを用いることが好ましい。共重合ポリエステルとしては、全酸成分に対して芳香族ジカルボン酸2〜6モル%を共重合したポリエステル(以下共重合ポリエステルMとする)、全酸成分に対してイソフタル酸(以下IPAとする)1〜9モル%及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体(以下BAEOとする)2〜8モル%を共重合したポリエステル(以下共重合ポリエステルNとする)を用いることが好ましい。
共重合ポリエステルMにおいては、芳香族ジカルボン酸としては、中でも5−ナトリウムスルホイソフタル酸(以下SIPとする)が好ましい。SIPの共重合量が2モル%未満であると、PETとの溶融粘度差及び熱収縮率差が大きくならず、潜在捲縮性能が不十分となりやすい。一方、6モル%を超えると、ポリエステルの融点が低下し、複合短繊維(短繊維)を得るのが困難になりやすい。
共重合ポリエステルNにおいては、IPAの共重合量が1モル%未満であったり、BAEOの共重合量が2モル%未満であると、PETとの溶融粘度差及び熱収縮率差が大きくならず、潜在捲縮性能が不十分となりやすい。一方、IPAが9モル%を超えたり、BAEOの共重合量が8モル%を超えると、ポリエステルの融点が低下し、複合短繊維(短繊維)を得るのが困難になったり、得られたポリエステル短繊維の強度が低下する。
また、BAEOは、ビスフェノールAが1モルに対して、エチレンオキサイドを2〜10モル付加したものが好ましく、中でもエチレンオキサイドを2〜5モル付加したものが好ましい。
そして、潜在捲縮性能を有する複合短繊維における2種類のポリマーの複合比は、質量比で10/90〜90/10とすることが好ましく、より好ましくは、30/70〜70/30である。
潜在捲縮性能を有する複合短繊維中にも、本発明の効果を損なわない範囲で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい
そして、本発明の短繊維不織布を乾式不織布とする際には、芯鞘型複合短繊維、潜在捲縮性能を有する複合短繊維ともに、繊維長を25〜100mmとすることが好ましく、中でも30〜80mmが好ましい。また、本発明の短繊維不織布を湿式不織布とする際には、これらの短繊維の繊維長を1〜30mmとすることが好ましく、中でも3〜20mmとすることが好ましい。
乾式不織布とする際に短繊維の繊維長が25mm未満であると、カード機での解繊時に繊維の脱落が生じるため、操業性が悪化する。一方、100mmを超えると、カード機での解繊性が悪くなり、得られる不織布は地合や均斉の劣るものとなる。また、湿式不織布とする際に短繊維の繊維長が1mm未満であると、切断時の熱によって繊維の溶着や膠着が生じる。一方、30mmを超えると、抄紙機でウエブを得る際に繊維塊が生じやすくなり、得られる不織布は地合や均斉の劣るものとなる。
また、芯鞘型複合短繊維、潜在捲縮性能を有する複合短繊維の単糸繊度は1〜15dtexであることが好ましい。単糸繊度が1dtex未満であると、紡糸、延伸工程において単糸切断が頻発し、操業性が悪化するとともに、得られる不織布の品位が低下しやすい。一方、単糸繊度が15dtexを超えると紡糸糸条の冷却が不十分となり、繊維の品位が低下し、得られる不織布の品位も低下しやすい。
次に、本発明の短繊維不織布(乾式)の製造方法について一例を用いて説明する。
潜在捲縮性能を有する複合短繊維を主体繊維とし、芯鞘型複合短繊維をバインダー繊維とし、バインダー繊維と主体繊維を任意の割合で計量し、カード機を用いて混綿、解繊して乾式ウエブを作成する。得られたウエブを、連続熱処理機にてポリエステルAの融点(Tm)+10℃以上、かつ主体繊維の潜在捲縮が発現し得る温度で熱接着処理を施し、バインダー繊維を溶融させ、主体繊維の捲縮を発現させ、捲縮の発現した主体繊維が一体化した乾式短繊維不織布を得る。
次に、本発明の短繊維不織布(湿式)の製造方法について一例を用いて説明する。
潜在捲縮性能を有する複合短繊維を主体繊維とし、芯鞘型複合短繊維をバインダー繊維とし、バインダー繊維と主体繊維を任意の割合で計量し、パルプ離解機に投入し、攪拌(混綿、解繊)する。得られた試料を抄紙機にて湿式不織ウエブを作成する。この湿式不織ウエブの余分な水分を脱水した後、ポリエステルAの融点(Tm)+10℃以上、かつ主体繊維の潜在捲縮が発現し得る温度で熱接着処理を施し、バインダー繊維を溶融させ、主体繊維の捲縮を発現させ、捲縮の発現した主体繊維が一体化した湿式短繊維不織布を得る。
また、本発明の短繊維不織布においてバインダー繊維とする芯鞘型複合短繊維の製造方法について一例を用いて説明する。
まず、ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応またはエステル交換反応させ、結晶核剤を添加して重縮合反応を行う。重縮合反応においてポリエステルが所定の極限粘度に到達したら、ストランド状に払い出して、冷却、カットすることによりチップ化する。次に、このチップ(ポリエステルA)とポリエステルBのチップを通常の複合溶融紡糸装置に供給して、ポリエステルAが鞘部、ポリエステルBが芯部となるようにして溶融紡糸を行う。紡出糸条を冷却固化した後、一旦容器へ収納する。そして、この糸条を集束して糸条束とし、ローラ間で延伸倍率2〜4倍程度で延伸を施す。続いて100〜120℃で熱処理し、次いで仕上げ油剤を付与後、スタフィングボックス等で機械捲縮を付与し、目的とする繊維長にカットして芯鞘型複合短繊維を得る。
なお、湿式不織布を得る際には、機械捲縮を付与することなく、捲縮の付与されていない芯鞘型複合短繊維とすることが好ましい。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。実施例中の各種の特性値の測定、評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。
(b)ポリエステルAの融点、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線
前記の方法により測定した。
(c)ポリエステルB、主体繊維を構成するポリエステルの流動開始温度
フロテスター(島津製作所CFT−500型)を用い、荷重9.8MPa、ノズル径0.5mmの条件で、初期温度50℃より10℃/分の割合で昇温していき、ポリマーがダイから流出し始める温度として求めた。
(d)主体繊維を構成するポリエステルの融点
示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製Diamond DSC)を用い、昇温速度20℃/分で測定した融解吸収曲線の極値を与える温度を融点とした。
(e)ポリエステルA、ポリエステルBのポリマー組成
得られたポリエステル複合短繊維を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にて 1H-NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から求めた。
(f)芯鞘型複合短繊維の乾熱収縮率(%)
前記の方法で測定した。
(g)不織布の評価
1.地合
得られた不織布表面の地合を目視にて、良好(○)、不良(×)の2段階で評価した。
2.柔軟性(風合)
得られた不織布の柔軟性を触感にて判断し、良好(○)、不良(×)の2段階で評価した。
3.機械的特性(引張強さと耐熱性)
〔引張強さ〕
得られた不織布について、JIS L 1096 8.12の引張強さ及び伸び率 標準時A法(ストリップ法)により引張強さ(N)を測定した。カットストリップ法により試験片の幅5.0cmとし、定速伸長形試験機を用い、試験条件をつかみ間隔20cm、引張速度20cm/分とした。このとき、25℃雰囲気下で測定した。
〔耐熱性〕
上記の引張り強さを70℃雰囲気下で測定し、下記式で強力保持率を算出した。なお、強力保持率は耐熱性を示す指標であり、70%以上であることが好ましい。
強力保持率(%)=〔(70℃雰囲気下での引張強さ)/(25℃雰囲気下での引張強さ)〕×100
4.嵩高性
得られた不織布を20cm×20cmに切り出してサンプルとし、そのサンプル10枚を重ねた上に25cm×25cm×5mmのアクリル板(370g)を載せ、その上に1kgの錘を載せてアクリル板の下面の4辺のそれぞれの辺の中央の高さを測定し、4点の平均値を求めた。
乾式不織布、湿式不織布のそれぞれにおいて、平均値により以下のように3段階評価した。
(乾式不織布)
○:高さが40.0mm以上である
△:高さが25.0mm以上40.0mm未満である
×:高さが25.0mm未満である
(湿式不織布)
○:高さが15.0mm以上である
△:高さが10.0mm以上15.0mm未満である
×:高さが10.0mm未満である
実施例1
(芯鞘型複合短繊維:バインダー繊維)
ポリエステルAとして、酸性分としてTPA、グリコール成分としてEG15mol%、HD85mol%からなり、結晶核剤として0.5質量%のタルクを含有し、極限粘度0.95、融点128℃、b/aが0.06のものを用いた。
ポリエステルBとして表3のaのポリエステルを用いた。
ポリエステルAチップとポリエステルBチップを複合紡糸装置に供給し、ポリエステルAが鞘部、ポリエステルBが芯部となるようにし、両成分の質量比を50/50として溶融紡糸を行った。このとき、紡糸温度220℃、吐出量600g/分、紡糸孔数1014、紡糸速度800m/分の条件で紡糸した。次いで、紡出糸条を18℃の冷風で冷却し、引き取って未延伸糸を得た。
この未延伸糸を集束して11万dtexのトウ状にした未延伸繊維に、延伸倍率3.75倍、延伸温度50℃で延伸を行い、この後、ヒートドラム(温度110℃)で熱処理を施した。次いで、押し込み式クリンパーで機械捲縮を付与し、繊維長51mmに切断して単糸繊度2.2dtexの芯鞘型複合短繊維を得た。
(潜在捲縮性能を有する複合短繊維:主体繊維)
PETと、SIPを4.5モル%共重合した共重合PETを質量比50/50でサイドバイサイド型に貼り合わせた複合短繊維であって、機械捲縮が付与されており、繊維長51mm、単糸繊度2.2デシテックス、170℃の熱処理により70個/25mmの捲縮を発現する複合短繊維(ユニチカファイバー社製潜在捲縮綿〈C81〉)を用いた。
(乾式短繊維不織布)
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を質量比50/50(バインダー繊維/主体繊維)でカード機を通し、乾式ウエブを作成した。得られた乾式ウエブを温度160℃、風量20m/分の連続熱処理機で1分間の熱接着処理を行い、ほとんど全てのバインダー繊維を溶融させて接着成分とし、かつ主体繊維の潜在捲縮が発現した目付100g/mの乾式短繊維不織布を得た。
実施例2
芯鞘型複合短繊維のポリエステルBとして、表3のbのポリエステルを使用したこと以外は実施例1と同様にして芯鞘型複合短繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例3
芯鞘型複合短繊維のポリエステルBとして、表3のcのポリエステルを使用したこと以外は実施例1と同様にして芯鞘型複合短繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例4〜5
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を表1に示す質量比とした以外は、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例6
ポリエステルAとして、酸性分としてTPA、グリコール成分として1,4−ブタンジオール(BD)20mol%、HD80mol%からなり、結晶核剤として0.5質量%のタルクを含有し、極限粘度0.98、融点130℃、b/aが0.11のものを用いた。ポリエステルBとして表2のaのポリエステルを用い、実施例1と同様にして芯鞘型複合短繊維を得た。
そして、主体繊維として実施例1で用いたものと同じ複合短繊維を用い、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例7
芯鞘型複合短繊維のポリエステルBとして、表3のbのポリエステルを使用したこと以外は実施例6と同様にして芯鞘型複合短繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例8
芯鞘型複合短繊維のポリエステルBとして、表3のcのポリエステルを使用したこと以外は実施例6と同様にして芯鞘型複合短繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例9〜10
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を表1に示す質量比とした以外は、実施例6と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例11
主体繊維として、PETと、IPAを4.0モル%、BAEOを4.0モル%共重合した共重合PETを質量比50/50でサイドバイサイド型に貼り合わせた複合短繊維であって、機械捲縮が付与されており、繊維長51mm、単糸繊度2.2デシテックス、170℃の熱処理により65個/25mmの捲縮を発現する複合短繊維(ユニチカファイバー社製潜在捲縮綿〈T81〉)を用いた。
実施例1で用いたバインダー繊維を用い、不織布を製造する際の連続熱処理機での熱接着処理温度を140℃とした以外は、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例12
主体繊維として実施例13で用いた複合短繊維を用い、バインダー繊維として実施例6で用いた芯鞘型複合短繊維を用い、実施例11と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
比較例1
主体繊維を極限粘度0.64のPETのみからなる単糸繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリエステル短繊維とした以外は、実施例1と同様にして、乾式短繊維不織布を得た。
比較例2
バインダー繊維として、イソフタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合体を鞘部、ポリエチレンテレフタレートを芯部とする複合短繊維であって、単糸繊度2.2デシテックス、繊維長51mm、100℃、15分での乾熱収縮率が15.2%の芯鞘型複合短繊維(ユニチカファイバー社製メルティ<3380>)を用いた。
主体繊維として実施例1で用いた複合短繊維を用い、実施例1と同様にして乾式短繊維不織布を得た。
実施例1〜12、比較例1〜2で得られた乾式短繊維不織布の特性値及び評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜12では、バインダー繊維がポリエステルA、ポリエステルBとからなる芯鞘型複合繊維であったため、乾熱収縮率が低く、不織布を得る際の熱接着処理における収縮が小さく、接着性に優れており、したがって、得られた乾式短繊維不織布は地合、柔軟性に優れ、機械的特性、耐熱性にも優れたものであった。さらに、主体繊維が潜在捲縮性能を有する複合短繊維であったため、不織布を製造する際の熱接着処理により捲縮が発現し、嵩高性、柔軟性にも優れるものであった。
一方、比較例1では、主体繊維として潜在捲縮性能を有していないPETからなる短繊維を用いたため、得られた乾式短繊維不織布は、嵩高性、柔軟性に乏しいものであった。比較例2では、バインダー繊維が非晶性ポリエステルのみからなるものであったため、乾熱収縮率が高く、不織布を得る際の熱接着処理における収縮が大きく、得られた乾式短繊維不織布は、地合、柔軟性、耐熱性ともに劣るものであった。
実施例13
(芯鞘型複合短繊維:バインダー繊維)
実施例1と同様のポリエステルA、ポリエステルBを用い、実施例1と同様にして溶融紡糸、延伸、熱処理を行い、仕上げ油剤を付与した後、押し込み式クリンパーで機械捲縮を付与せずに、繊維長5mmにカットして単糸繊度2.2デシテックスの芯鞘型複合短繊維を得た。
(潜在捲縮性能を有する複合短繊維:主体繊維)
PETと、SIPを4.5モル%共重合した共重合PETを質量比50/50でサイドバイサイド型に貼り合わせた複合短繊維であって、機械捲縮が付与されていない繊維長5mm、単糸繊度2.2デシテックス、170℃の熱処理により70個/25mmの捲縮を発現するポリエステル短繊維(ユニチカファイバー社製潜在捲縮綿〈C81〉)を用いた。
(湿式短繊維不織布)
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を質量比50/50(バインダー繊維/主体繊維)で混合し、パルプ離解機(熊谷理機工業製)に投入し、3000rpmにて1分間撹拌した。その後、得られた試料を抄紙機(熊谷理機工業製角型シートマシン)にて湿式不織布ウエブとした。抄紙した湿式不織布ウエブの余分な水分を脱水した後、温度160℃、風量20m/分の連続熱処理機で10分間の熱接着処理を行い、ほとんど全てのバインダー繊維を溶融させて接着成分とし、かつ主体繊維の潜在捲縮が発現した目付50g/mの湿式短繊維不織布を得た。
実施例14
芯鞘型複合短繊維のポリエステルBとして、表3のbのポリエステルを使用したこと以外は実施例13と同様にして芯鞘型複合短繊維を得た。さらに、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例15
芯鞘型複合短繊維のポリエステルBとして、表3のcのポリエステルを使用したこと以外は実施例13と同様にして芯鞘型複合短繊維を得た。さらに、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例16〜17
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を表1に示す質量比とした以外は、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例18
実施例6と同様のポリエステルA、ポリエステルBを用い、実施例1と同様にして溶融紡糸、延伸、熱処理を行い、仕上げ油剤を付与した後、押し込み式クリンパーで機械捲縮を付与せずに、繊維長5mmにカットして単糸繊度2.2デシテックスの芯鞘型複合短繊維を得た。
主体繊維として実施例13で用いた複合短繊維を用いた以外は、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例19
芯鞘型複合短繊維のポリエステルBとして、表3のbのポリエステルを使用したこと以外は実施例18と同様にして芯鞘型複合短繊維を得た。さらに、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例20
芯鞘型複合短繊維のポリエステルBとして、表3のcのポリエステルを使用したこと以外は実施例18と同様にして芯鞘型複合短繊維を得た。さらに、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例21〜22
バインダー繊維と主体繊維の混合割合を表1に示す質量比とした以外は、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例23
主体繊維として、PETと、IPAを4.0モル%、BAEOを4.0モル%共重合した共重合PETを質量比50/50でサイドバイサイド型に貼り合わせた複合短繊維であって、機械捲縮が付与されておらず、繊維長5mm、単糸繊度2.2デシテックス、170℃の熱処理により65個/25mmの捲縮を発現するポリエステル短繊維(ユニチカファイバー社製潜在捲縮綿〈T81〉)を用いた。
実施例13で用いたバインダー繊維を用い、不織布を製造する際の連続熱処理機での熱接着処理温度を140℃とした以外は、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例24
主体繊維として実施例23で用いた複合短繊維を用い、バインダー繊維として実施例18で用いた短繊維を用い、不織布を製造する際の連続熱処理機での熱接着処理温度を140℃とした以外は、実施例18と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
比較例3
主体繊維を極限粘度0.64のPETのみからなる単糸繊度2.2デシテックス、繊維長5mmのポリエステル短繊維(機械捲縮なし)とした以外は、実施例13と同様にして、湿式短繊維不織布を得た。
比較例4
バインダー繊維として、イソフタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合体を鞘部、ポリエチレンテレフタレートを芯部とする芯鞘型複合短繊維であって、単糸繊度2.2デシテックス、繊維長5mm(機械捲縮なし)、100℃、15分での乾熱収縮率が15.2%のポリエステル短繊維(ユニチカファイバー社製メルティ<3380>)を用いた。
主体繊維として実施例13で用いた複合短繊維を用い、実施例13と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例13〜24、比較例3〜4で得られた湿式短繊維不織布の特性値及び評価結果を表2に示す
表2から明らかなように、実施例13〜24では、バインダー繊維がポリエステルA、ポリエステルBとからなる芯鞘型複合繊維であったため、乾熱収縮率が低く、不織布を得る際の熱接着処理における収縮が小さく、接着性に優れており、したがって、得られた湿式短繊維不織布は地合、柔軟性に優れ、機械的特性、耐熱性にも優れたものであった。さらに、主体繊維が潜在捲縮性能を有する複合短繊維であったため、不織布を製造する際の熱接着処理により捲縮が発現し、嵩高性、柔軟性にも優れるものであった。
一方、比較例3では、主体繊維として潜在捲縮性能を有していないPETからなる短繊維を用いたため、得られた湿式短繊維不織布は、嵩高性、柔軟性に乏しいものであった。比較例4では、バインダー繊維が非晶性ポリエステルのみからなるものであったため、乾熱収縮率が高く、不織布を得る際の熱接着処理における収縮が大きく、得られた湿式短繊維不織布は、地合、柔軟性、耐熱性ともに劣るものであった。

Claims (3)

  1. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、融点(Tm)が100〜150℃のポリエステルAと、流動開始温度(R)が105〜155℃、流動開始温度とポリエステルAの融点との差(R−Tm)が+5℃以下である非晶性のポリエステルBとで構成され、単糸の横断面形状においてポリエステルAが鞘部、ポリエステルBが芯部となる芯鞘形状を呈する芯鞘型複合短繊維と、熱処理により捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合短繊維とを含有するウエブからなり、芯鞘型複合短繊維のポリエステルA、Bともに溶融して接着成分を成していることを特徴とする短繊維不織布。
  2. 芯鞘型複合短繊維を構成するポリエステルAのDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足する請求項1記載の短繊維不織布。
    b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
    なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
  3. 潜在捲縮性能を有する複合短繊維が、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルを複合したものであり、共重合ポリエステルは、全酸成分に対して芳香族ジカルボン酸2〜6モル%を共重合したポリエステル、全酸成分に対してイソフタル酸1〜9モル%及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体2〜8モル%を共重合したポリエステルのいずれかである請求項1又は2記載の短繊維不織布。


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