JP4352575B2 - 熱可塑性複合化不織布及びこれを用いた繊維製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性複合化不織布及びこれを用いた繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系の熱融着性繊維を用いた不織布はソフトな風合いと高い不織布強力等の特性が好まれ、使い捨てオムツや生理用品等の衛生材料用途に使用されている。一般的に熱融着性繊維を不織布とするための熱処理方法は、サクションバンドドライヤーやサクションドライヤー等による熱風接着法と、多数の凸部を持つ加熱されたエンボスロールとフラットロール(平滑ロール)の間にウェブを導入して不織布を得る、いわゆるエンボス加工による点熱圧着法とに大別できる。特に後者の点熱圧着法は熱風接着法に比べ生産性に優れるために、コスト的にも有利である。
しかしながら、最近の傾向として衛生材料の表面材に用いられる点熱圧着加工で得られた不織布には、より柔らかい風合い(触感)が要求されている。そのため、加工温度を低く抑えた方法や点熱圧着面積率を小さくする方法等が検討されている。
【0003】
加工温度を低く抑える方法では、不織布の接着が不充分となるため、接着部分から繊維が剥離しやすいことから、これが毛羽発生の原因となるため、耐毛羽立ち性が悪化するという問題が潜在している(耐摩耗性の低下)。
【0004】
一方、点熱圧着面積率を小さくする方法では、風合いは向上するものの不織布強力が不充分となっていた。また点熱圧着面積率が低下することで繊維の自由度が増し、耐毛羽立ち性が悪化する方向であった。
【0005】
また、点熱圧着面積率を小さく加工温度を高くする方法では、不織布強力は向上するものの、溶融した樹脂がエンボスロールやフラットロールに融着し、捲き付き等のトラブルを発生し、長期の安定生産(操業性)に問題があった。
【0006】
使い捨てオムツのトップシート、いわゆる子供の臀部が直接触れる部分の材料に熱可塑性樹脂からなる不織布を使用した場合、耐毛羽立ち性が悪い不織布では、子供の臀部と不織布の擦れにより、不織布を構成する一部の繊維の先端が突出して皮膚を刺激し、かぶれ等の原因となる。これは長繊維からなる不織布に比べ、特に短繊維からなる不織布に多い現象である。
【0007】
一方、使い捨てオムツのバックシート、いわゆる使い捨てオムツの一番外側に位置し、尿などの漏れを抑制する部分の材料に不織布を使用した場合、耐毛羽立ち性が悪い不織布では、この不織布と接触する、例えば畳やカーペット等との擦れにより、繊維に撚りがかかり、不織布の目付が薄くなり尿等の漏れにつながる。また、繊維の撚りが毛玉となり、その毛玉を子供が口内に入れる恐れもある。このように、不織布の耐毛羽立ち性の向上は不織布強力及び風合いと共に重要な品質項目であり、これらを補うため種々の製造方法が提案されている。
【0008】
特開平5−33257号公報に、ポリエチレンテレフタレートを芯成分、高密度ポリエチレンを鞘成分とする長繊維(鞘芯型複合)で構成された層の間にポリエチレンテレフタレート長繊維で構成された層が存在している3層構造で、不織布全体が部分的に点熱圧着されている積層不織布が提案されている。この構成では中層のポリエチレンテレフタレート長繊維が上下層の繊維より高い融点の樹脂成分からなるため、点熱圧着されても中層は繊維同士の接着が少なく、繊維が比較的自由に移動してしまう。また、この構成では中層の繊維が接着していないため、不織布の柔軟性は保持されるものの、充分な不織布強力が得られず上下層の繊維を高温処理しなければならず、エンボスロールへの融着が問題となる。なお、これは積層間の接着が不足しているため、不織布を擦り合わせた際、積層間の剥離が起こり、結果、耐毛羽立ち性に問題が残っていた。
【0009】
特開平8−41768号公報には、この欠点を補うために、長繊維群Aのみからなる部分と長繊維群Aよりも、20℃以上融点の高い重合体成分からなる長繊維群Bのみからなる層間に、長繊維群Aと長繊維群Bとが互いに混在した部分を持つ長繊維群Cを積層して、点熱圧着加工を行った積層不織布が提案されている。
【0010】
この方法では長繊維群Cに長繊維群A及び長繊維群Bの繊維が混在しているため、該長繊維Cと長繊維群A及び長繊維群Bとの積層間の剥離防止を抑制する効果が期待できる。しかし、この方法では長繊維群A及び長繊維群Bの融点差が異なるため、加工温度を高融点側若しくは高融点側と低融点側の各々別の加工温度に設定する必要がある。しかし、高融点側に合わせた場合、低融点側に掛かる熱量が過剰となり、加工装置に融着する問題が発生する。次に高融点側と低融点側の各々別の加工温度に設定した場合、中層である長繊維群Cに掛かる熱量が不足気味となり、積層間の剥離が起こる問題が生じていた。また、長繊維群Cは融点差の異なる長繊維群A及び長繊維群Bが混在している構成のため、該長繊維C群は自己の接着及び積層間の接着に充分な融着部分が少なく、結果、繊維の自由度が高くなり、不織布強力不足や耐毛羽立ち性に問題が生じていた。
【0011】
このように不織布の風合いと不織布強力の両方を兼備した不織布の製造方法は色々と提案されているが、耐毛羽立ち性をも満足する不織布は今まで開発されていなかった。
従来から、耐毛羽立ち性を向上するための手段としては、不織布表面の点圧着面積率を高くする方法が最も効果的であることが知られていた。しかし、点圧着面積率を高くし、同時に加工温度を高くすると、不織布の風合いが損なわれるだけでなく、エンボスロールへ不織布の融着が起こり易くなる不具合があった。また、圧着点のエッジ部分で繊維が受けるダメージが大きくなり、繊維が切断されやすく、耐毛羽立ち性が悪化していた。一方、加工温度を低く抑える方法もあるが、不織布内部の熱接着が不充分となり、不織布強力不足あるいは層間剥離へとつながる。
【0012】
このように不織布の風合いを重視すると、耐毛羽立ち性や層間剥離の悪化につながり、耐毛羽立ち性を重視すると、不織布の風合い及びエンボスロールへの融着、巻き付きにより操業性が悪化するというジレンマがあり、これらの問題を改善した不織布が求められていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記課題が解消された、熱可塑性複合化不織布及びこれを用いた吸収性物品等の繊維製品を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の構成を採用することにより所期の目的が達成される見通しを得て、本発明を完成するに至った。
(1) 熱可塑性樹脂(A)を原料樹脂とする不織繊維集合体(I)の両面に、前記熱可塑性樹脂(A)より高い融点を有する熱可塑性樹脂(B)を原料樹脂とする不織繊維集合体(II)が積層された熱可塑性複合化不織布であって、不織繊維集合体(I)は熱可塑性樹脂(A)の単一繊維、または熱可塑性樹脂(A)成分を鞘成分とし、該熱可塑性樹脂(A)成分よりも5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂(A’)を芯成分とした複合繊維で構成されており、不織繊維集合体(II)は熱可塑性樹脂(B)の単一繊維、または熱可塑性樹脂(B)成分を鞘成分とし、該熱可塑性樹脂(B)成分よりも5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂(B’)を芯成分とした複合繊維で構成されており、該熱可塑性複合化不織布は点熱圧着によって接合され、目付が5〜30g/m2であり、不織繊維集合体(I)の目付比(不織繊維集合体(II)の目付/不織繊維集合体(I)の目付)が、0.2〜4であり、かつ点熱圧着面積率が不織布総面積に対し、4〜30%であることを特徴とする熱可塑性複合化不織布。
(2) 熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が同一成分樹脂であり、かつ熱可塑性樹脂(B)は熱可塑性樹脂(A)より高い融点を有することを特徴とする前記(1)項記載の熱可塑性複合化不織布。
(3) 熱可塑性樹脂(A)が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン系二元共重合体、プロピレン系三元共重合体であるオレフィン系樹脂、及びポリエステル、共重合ポリエステルから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂である前記(1)項または前記(2)項記載の熱可塑性複合化不織布。
(4) 熱可塑性樹脂(B)が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン系二元共重合体、プロピレン系三元共重合体であるオレフィン系樹脂、及びポリエステル、共重合ポリエステルから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂である前記(1)項または前記(2)項記載の熱可塑性複合化不織布。
(5) 不織繊維集合体(I)及び不織繊維集合体(II)が、長繊維である前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の熱可塑性複合化不織布。
(6) 長繊維が、スパンボンド法により製造された長繊維である前記(5)項記載の熱可塑性複合化不織布。
(7) 前記(1)〜(6)項のいずれか1項記載の熱可塑性複合化不織布と、前記熱可塑性複合化不織布以外の他の不織布、フイルム、パルプシート、編物、及び織物から選ばれた少なくとも1種の物品を積層した積層複合化不織布。
(8) 前記(1)〜(6)項のいずれか1項記載の熱可塑性複合化不織布または前記(7)項記載の積層複合化不織布を用いた吸収性物品。
(9) 前記(1)〜(6)項のいずれか1項記載の熱可塑性複合化不織布または前記(7)項記載の積層複合化不織布を用いたワイパー。
(10) 熱可塑性樹脂(A)を原料樹脂とする不織繊維集合体(I)の両面に、前記熱可塑性樹脂(A)より高い融点を有する熱可塑性樹脂(B)を原料樹脂とする不織繊維集合体(II)が積層された積層集合体を点熱圧着して得られる熱可塑性複合化不織布の製造方法であって、不織繊維集合体(I)は熱可塑性樹脂(A)の単一繊維、または熱可塑性樹脂(A)成分を鞘成分とし、該熱可塑性樹脂(A)成分よりも5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂(A’)を芯成分とした複合繊維で構成されており、不織繊維集合体(II)は熱可塑性樹脂(B)の単一繊維、または熱可塑性樹脂(B)成分を鞘成分とし、該熱可塑性樹脂(B)成分よりも5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂(B’)を芯成分とした複合繊維で構成されており、積層集合体がロールに融着せず不織繊維集合体(I)中の熱可塑性樹脂(A)が溶融接着する温度で、エンボスロールを用いて点熱圧着することによって、積層集合体を接合することを特徴とする、熱可塑性複合化不織布の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性複合化不織布は、熱可塑性樹脂(A)を原料樹脂とする不織繊維集合体(I)の両面に、前記熱可塑性樹脂(A)より高い融点を有する熱可塑性樹脂(B)を原料樹脂とする不織繊維集合体(II)が積層された積層集合体を点熱圧着して得られる熱可塑性複合化不織布であって、該熱可塑性複合化不織布は主として不織繊維集合体(I)の熱可塑性樹脂(A)の点熱圧着によって接合されている。つまり、点熱圧着加工した場合、不織繊維集合体(II)の熱可塑性樹脂(B)が軟化して接着する温度では、不織繊維集合体(I)中の熱可塑性樹脂(A)は充分に溶融接着している。よって、表面部の不織繊維集合体(II)が熱による過剰なダメージを受け難く、不織布の風合いを損ねることがない。
【0016】
更に詳しくは本発明の熱可塑性複合化不織布は不織繊維集合体(I)の熱可塑性樹脂(A)によって不織布内層部が接着しているため、充分な不織布強力を有し、繊維の自由度も抑制することができる。更に不織布積層間の剥離防止にもつながる。
【0017】
不織布の風合いは不織布表面の接着状態によって大きく左右される。特にエンボスロールを用いた点熱圧着加工の場合、風合いは、点熱圧着面積率(凸部)と加工温度による依存度が大きい。汎用の技術では点熱圧着面積率を低下させた場合、不織布表面の繊維自由度が増し、加工温度を低下させた場合には、不織布内部の繊維自由度が増すため、双方とも耐毛羽立ち性が低下する方向であった。
【0018】
本発明の熱可塑性複合化不織布は、3層積層間の中層部分が上下層よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂の繊維で構成されているため、不織布表面にダメージを与えない加工温度で加工を行っても、不織布内部が充分に接着するため、繊維の自由度を制御できる。このため、同点熱圧着面積率の場合、従来の不織布と比較して、風合い及び耐毛羽立ち性に優れ、不織布強力も充分である。また、溶融樹脂によるロール捲き付きを抑制することができ、安定生産(操業性)が可能である。
【0019】
本発明の熱可塑性複合化不織布の製造時において、不織繊維集合体(I)と不織繊維集合体(II)を一体化する方法として点熱圧着法を選ぶ理由は、点熱圧着加工は熱風処理法と比べ、熱と圧による加工方法であるため、溶着する熱可塑性樹脂の融点より低い温度で加工できる利点がある。すなわち、不織繊維集合体(I)と不織繊維集合体(II)が点熱圧着により積層一体化する際、点熱圧着法は、点熱圧着時の熱によって引き起こされる不織繊維集合体(II)へのダメージを抑制でき、なおかつ不織繊維集合体(I)の接着力を充分に発揮できるため最も好ましい。また、点熱圧着する融着区域の面積(点熱圧着面積率)は不織布総面積に対し、4〜30%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜25%である。融着区域の面積が4%未満では不織布積層間の層間剥離が懸念され、30%を大幅に越えると風合いを低下させる恐れがある。
【0020】
エンボスロールの凸部形状としては、様々な形状に彫刻されたものが使用できる。例えば凸部先端面の平面形状が円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、菱形、三角形、六角形等様々な形状のものが使用できる。
【0021】
本発明において不織繊維集合体(I)の熱可塑性樹脂(A)と不織繊維集合体(II)の熱可塑性樹脂(B)に融点差を必要とする理由は、熱可塑性樹脂(A)の点熱圧着による溶着時に不織繊維集合体(II)の繊維ダメージを極力抑え、更に積層間の部分熱接合が強固とでき、これにより層間剥離が抑制され、高い不織布強力を有する複合化不織布が得られる。逆に熱可塑性樹脂(B)の融点が熱可塑性樹脂(A)より低い場合には、低温加工では耐毛羽立ち性の悪化、高温加工ではロール捲き付き等の従来問題として起こりうるトラブル発生につながる。このような理由から樹脂の組合せとしては、熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)が融点差を有し、かつ、同一成分系樹脂であることが好ましい。この組み合わせにより、更に積層間の剥離防止に効果があり、耐毛羽立ち性に優れる。
【0022】
本発明で熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)の組合せは、融点差が1℃以上、好ましくは3℃以上の組合せであれば、特に限定されない。熱可塑性樹脂(A)/熱可塑性樹脂(B)の組合せとしては、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン/プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体、低密度ポリエチレン/プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体、高密度ポリエチレン/プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体、プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/共重合ポリエステル、低密度ポリエチレン/共重合ポリエステル、高密度ポリエチレン/共重合ポリエステル、共重合ポリエステル/ポリエステル、ナイロン6/ナイロン66等が例示できる。これらの中ではポリプロピレン樹脂/ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂/ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂/ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂/ポリアミド樹脂等の融点差を有する同一成分樹脂の組合せが、層間の接着効果が大きく、より好ましく用いられる。
【0023】
本発明で熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)に用いられるポリエチレンとしては、通常工業的に利用されているポリエチレン樹脂が好ましく用いられ、例えば密度が0.910〜0.925g/cm3の低密度ポリエチレン、密度が0.926〜0.940g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン、密度が0.941〜0.980g/cm3の高密度ポリエチレンが例示でき、これらのうち、高融点のものを熱可塑性樹脂(B)として使用する。なお、メルトフローレート(MI:JIS K7210 表1中の条件4に準拠して測定した値)は2〜100g/10分の範囲が好ましい。
【0024】
本発明において熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)に用いられるポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、若しくはプロピレン系二元共重合体及びプロピレン系三元共重合体が例示でき、これらのうち、高融点のものを熱可塑性樹脂(B)として使用する。なお、メルトフローレート(MFR:JIS K7210 表1中の条件14に準拠して測定した値)は2〜150g/10分、融点が120〜165℃のものが好ましい。
【0025】
本発明において熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)に用いられる前記プロピレン系二元共重合体及びプロピレン系三元共重合体としては、プロピレンを主成分とし、それと少量のエチレン、ブテン−1、ヘキサン−1、オクテン−1、若しくは4−メチルペンテン−1等のαオレフィンとの結晶性共重合体が例示でき、さらに、MFRが2〜150g/10分、融点が120〜158℃の範囲のものが好適に用いられる。具体例としては、プロピレン単位を99〜85重量%とエチレン単位を1〜15重量%含むプロピレンを主体とするプロピレン/エチレンの二元共重合体、プロピレン単位を99〜50重量%とブテン−1単位を1〜50重量%含むプロピレンを主体とするプロピレン/ブテン−1の二元共重合体、あるいはプロピレン単位を84〜98重量%、エチレン単位を1〜10重量%、ブテン−1単位を1〜15重量%含むプロピレン/エチレン/ブテン−1の三元共重合体が挙げられる。
【0026】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂には、本発明の効果を妨げない範囲内でさらに酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤、親水剤を適宜必要に応じて添加してもよい。また本発明の熱可塑性複合化不織布には必要に応じ、界面活性剤等の付着処理を行ってもよい。
【0027】
本発明の不織繊維集合体(I)の繊維構成は熱可塑性樹脂(A)の単一繊維でもよく、熱可塑性樹脂(A)成分を鞘成分とし、該熱可塑性樹脂(A)成分よりも5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂(A’)を芯成分とした複合繊維でもよい。なお、熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)に用いられるものと同様な熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(A’)に用いてもよい。
【0028】
本発明の不織繊維集合体(II)の繊維構成は熱可塑性樹脂(B)の単一繊維でもよく、熱可塑性樹脂(B)成分を鞘成分とし、該熱可塑性樹脂(B)成分よりも5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂(B’)を芯成分とした複合繊維でもよい。なお、熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)に用いられるものと同様な熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(B’)に用いてもよい。
【0029】
本発明の熱可塑性複合化不織布の上下層に積層する、不織繊維集合体(II)の熱可塑性樹脂(B)は上下層の樹脂構成が同一樹脂とする必要はなく、中層に位置する不織繊維集合体(I)の熱可塑性樹脂(A)よりも高融点の熱可塑性樹脂の構成であればよく、上下層の樹脂構成が融点差を有していても構わない。
【0030】
本発明の熱可塑性複合化不織布の積層構成としては、不織繊維集合体(II)/不織繊維集合体(I)/不織繊維集合体(II)とすると、単一繊維/単一繊維/単一繊維、複合繊維/複合繊維/複合繊維、複合繊維/単一繊維/単一繊維、複合繊維/複合繊維/単一繊維、単一繊維/単一繊維/複合繊維、単一繊維/複合繊維/複合繊維、複合繊維/単一繊維/複合繊維、単一繊維/複合繊維/単一繊維等の組合せが例示できる。
【0031】
本発明で用いられる不織繊維集合体(I)及び不織繊維集合体(II)の繊維としては短繊維あるいは長繊維が用いられる。短繊維の製造方法としては、特に限定はないが、複合繊維の場合、並列型、鞘芯型、偏心鞘芯型、多分割型等の断面になる紡糸口金を用い、公知の複合紡糸法により紡糸を行い、未延伸の繊維を得、これを延伸し、さらに捲縮を付与し、適当な長さに繊維をカットする方法が例示できる。なお、繊維の複合形態は、寸法安定性に優れることから同芯型が好ましい。また、前記短繊維の製造中間体である延伸された繊維を用い、これに捲縮を付与せず、ストレートカットした繊維(チョップ)や、溶融紡出されたポリマー流を高温の高圧空気流によりブローし、細化し、移動する捕集面上に捕集、堆積させてウェブとする、公知のメルトブロー法で得られた繊維の製造法も、短繊維の製造法の代表として挙げられる。
一方、長繊維の製造方法としては、特に限定はないが、複合繊維の形態を得る場合、並列型、鞘芯型、偏心鞘芯型、多分割型等の断面となる紡糸口金を用い、公知のスパンボンド法により製造することができる。
【0032】
本発明の熱可塑性複合化不織布を構成する繊維の繊度は、特に制限はないが、風合いや柔軟性の点で、0.01〜11dtexが好ましい。また、熱可塑性複合化不織布目付は5〜40g/m2のものが好ましく、より好ましくは8〜30g/m2である。目付が5g/m2未満では充分な不織布強力を得られず、40g/m2を超えると充分な不織布強力は得られるものの、40g/m2を大きく超えると、衛生材料などの表面材に使用した場合に、肌触りが悪くなる傾向がある。また、複合繊維を用いる場合の複合重量比(鞘成分/芯成分)は20/80〜70/30重量%の範囲が好ましく、より好ましくは40/60〜60/40である。鞘成分が20%未満では得られる繊維の熱接着性が低下し、逆に鞘成分が70%を超す場合には、鞘成分に対する芯成分の偏りが起こりやすくなり、これにより熱処理時に収縮が起こりやすくなり、寸法安定性が低下する傾向がある。
【0033】
本発明の熱可塑性複合化不織布の構成である不織繊維集合体(I)と不織繊維集合体(II)の積層目付比は、不織繊維集合体(I)の目付比(不織繊維集合体(II)の目付/不織繊維集合体(I)の目付)で、0.2〜5となることが好ましい。特に好ましくは0.3〜4である。目付比が5を超えると熱処理する際、不織布の接着性が乏しく、積層間の剥離や耐毛羽立ち性に問題となる傾向にある。なお該不織繊維集合体(II)の上下層の目付比は同一比に限定されず、用途に合わせて任意に選択できる。
【0034】
本発明の熱可塑性複合化不織布において、その効果を妨げない範囲で、本発明の熱可塑性複合化不織布以外の他の不織布、フイルム、パルプシート、編物、織物等の物品を積層させ、積層複合化不織布とすることができる。また、このとき使用される熱可塑性複合化不織布は、単独で積層させてもよく、また、複数組み合わせて積層させてもよい。また、上記物品を構成する素材には制約が無く、工業的に利用できるものであればよく、基となる熱可塑性複合化不織布と接着可能な素材か、若しくは接着可能な素材を含むことがより好ましい。
【0035】
本発明の熱可塑性複合化不織布及び積層複合化不織布は、吸収性物品、ワイパー等の繊維製品に好ましく利用できる。
吸収性物品としては、例えば、乳幼児用や大人用の使い捨てオムツ、ナプキン、吸汗パット、皮脂除去用シート材、お手拭き等の衛生材料の素材に特に好ましく利用できる。
【0036】
さらに、ワイパーとしては、例えば、家庭用使い捨て雑巾、窓拭き材、床拭き材、畳拭き材等の一部または全体の素材として好ましく利用できる。
この他、飛行機や旅客車両の使い捨てシートカバー、使い捨て便座カバー、衣服の保温剤、型どり基材等としても使用できる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって詳細に説明するが、本発明はこれらになんら限定されるものではない。なお実施例、比較例における用語と物性の測定方法は以下の通りである。
【0038】
(1)熱可塑性樹脂の融点(繊維成形後の融点)
MP(℃):JIS K7122に準拠して測定。
【0039】
(2)圧着面積率(エンボスロール凸部)
%:圧着ロールの総面積から凸部が占める割合。
(3)点熱圧着面積率(不織布のエンボス面側)
%:不織布総面積に対する点熱圧着する融着区域の面積の割合。
【0040】
(3)不織布風合い
5人のパネラーによる官能試験を行い、全員がソフトであると判断した場合を優、3名以上がソフトであると判断した場合を良、3名以上がソフト感に欠けると判断した場合を不可と評価し、優を○、良を△、不可を×で示した。
【0041】
(4)不織布強力(CD)
熱可塑性複合化不織布または積層複合化不織布から、MDが2.5cm、CDが15cmとなるよう試験片を5枚採取する。この試験片を島津製作所(株)製オートグラフ AGS500Dを用いて、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/分の条件で破断強力(cN/2.5cm)を測定し、5枚の平均値をそのCDの不織布強力とした。
なお、不織布の機械の流れ方向(長さ方向)をMD、機械の流れ方向に直角な方向(横方向)をCDとした。
【0042】
(5)耐毛羽立ち性評価
得られた不織布の耐毛羽立ち性(毛羽の立ち難さ)を評価するための方法を以下に、記載する。なお、評価方法はJIS L0849−1974に準ずる。
▲1▼4cm×20cmの大きさの不織布サンプルを、MD・CD各々4枚用意する。
▲2▼不織布サンプルの長さ方向に、3.5cm×20cm長の両面テープを貼り付ける。この際、MD・CD各々、エンボスロール処理面側とフラットロール処理面側の不織布サンプルを2枚作製する。
▲3▼摩擦試験機(スガ試験機社製)の資料台に不織布サンプルを貼り付け、摩擦子にカナキン3号布(4cm×5cm)を装着する。
▲4▼摩擦子を不織布サンプルの上に置き、往復150回時の不織布表面の擦れ具合(毛玉の発生や毛羽立ち具合)を、官能的に評価する。
▲5▼判定基準(官能指標)
◎:毛羽立ち・毛玉ともに観察されない。
○:毛羽立ちが若干観察される。
△:毛羽立ちが多く・毛玉が観察される。
×:毛羽立ち多く・複数の毛玉が観察される。
【0043】
実施例1、比較例1
熱可塑性樹脂(A’)としてMFR10の結晶性ポリプロピレン(ホモポリマー)を用い、熱可塑性樹脂(A)としてMFRが16、エチレン単位を5重量%、プロピレン単位を95重量%を含むプロピレン/エチレン二元共重合体を用いて、同心鞘芯型の断面になる紡糸口金を用い、公知のスパンボンド法で、重量比50%/50%になるように押出量を設定し、紡糸口金から吐出した複合繊維群をエアーサッカーに導入して牽引延伸し、2dtexの長繊維(複合)を得、続いて、エアーサッカーより排出された前記長繊維群を、帯電装置により同電荷を付与せしめ帯電させた後、反射板に衝突させて開繊し、開繊した長繊維群を裏面に吸引装置を設けた無端ネット状コンベヤー上に、長繊維(複合)ウェブとして捕集し、これを不織繊維集合体(I)として用いた。同様にスパンボンド法で同心鞘芯構造の断面になる紡糸口金を用い、熱可塑性樹脂(B’)としてMFR10の結晶性ポリプロピレン(ホモポリマー)を用い、熱可塑性樹脂(B)としてMFR15、エチレン単位を2重量%、プロピレン単位を98重量%含むプロピレン/エチレン二元共重合体を用いて紡糸を行い、2dtexの長繊維(複合)のウェブとして捕集し、これを不織繊維集合体(II)として用いた。不織繊維集合体(I)を中層に不織繊維集合体(II)を上下層に位置するように積層したもの(実施例1)、不織繊維集合体(II)を中層に不織繊維集合体(I)を上下層に位置するように積層したもの(比較例1)を線圧20N/mm、圧着面積率10%、エンボスロール温度/フラットロール温度=120℃/120℃の加工温度で処理し、熱可塑性複合化不織布を得た。実施例1は表1に見られるように、風合い、不織布強力、耐毛羽立ち性に非常に優れるものであった。比較例1は不織布強力が低く、耐毛羽立ち性が大きく劣るものであった。
【0044】
実施例2
熱可塑性樹脂(A’)としてMFR10の結晶性ポリプロピレン(ホモポリマー)を用い、熱可塑性樹脂(A)として密度が0.959、MIが13の高密度ポリエチレンを用いて、実施例1と同様なスパンボンド法で同心鞘芯構造の断面になる紡糸口金を用い、2dtexの長繊維(複合)のウェブを得、これを不織繊維集合体(I)として用いた。次に熱可塑性樹脂(B’)としてMFRが15のエチレン単位を2重量%、プロピレン単位を98重量%含む、プロピレン/エチレン二元共重合体を用い、熱可塑性樹脂(B)としてMFR15でエチレン単位を3重量%、ブテン−1単位を5重量%、プロピレン92重量%含む、エチレン/ブテン−1/プロピレン三元共重合体を用いて、実施例1と同様なスパンボンド法で偏心鞘芯型の断面になる紡糸口金を用い紡糸を行い、2dtexの長繊維(複合)のウェブを得、これを不織繊維集合体(II)として用いた。不織繊維集合体(I)を中層に不織繊維集合体(II)を上下層に位置するように積層し、線圧20N/mm、圧着面積率20%、エンボスロール温度/フラットロール温度=120℃/120℃の加工温度で処理し、熱可塑性複合化不織布を得た。実施例2は表1に見られるように、風合い、不織布強力、耐毛羽立ち性に非常に優れるものであった。さらに該不織布を大人用使い捨てオムツの表面材として使用したところ、吸収性物品として非常に良好なものであった。
【0045】
実施例3、比較例2
熱可塑性樹脂(A)として密度が0.935、MIが20の直鎖状低密度ポリエチレンの単一成分を用いて、実施例1と同様なスパンボンド法で2dtexの長繊維ウェブを得、これを不織繊維集合体(I)として用いた。次に熱可塑性樹脂(B)として密度が0.959、MIが13の高密度ポリエチレンの単一成分を用いて、実施例1と同様なスパンボンド法で2dtexの長繊維ウェブを得、これを不織繊維集合体(II)として用いた。不織繊維集合体(I)を中層に不織繊維集合体(II)を上下層に位置するように積層したもの(実施例3)、不織繊維集合体(II)を中層に不織繊維集合体(I)を上下層に位置するように積層したもの(比較例2)を線圧20N/mm、圧着面積率10%、エンボスロール温度/フラットロール温度=120℃/120℃の加工温度で処理し、熱可塑性複合化不織布を得た。実施例3は表1に見られるように、風合い、不織布強力、耐毛羽立ち性に非常に優れ、エンボスロールに樹脂が融着する現象も観られず安定生産が可能であった。一方、比較例2はエンボスロールに樹脂が融着するトラブルが発生した。
【0046】
実施例4
熱可塑性樹脂(A’)としてMFR10の結晶性ポリプロピレン(ホモポリマー)を用い、熱可塑性樹脂(A)として密度が0.918、MIが24の低密度ポリエチレンを用いて、複合紡糸装置により、同心鞘芯型の断面になる紡糸口金を用い、重量比50%/50%になるように押出量を設定して紡糸を行い、単糸繊度4.4dtexの未延伸糸を得た。その後、熱ロールにて2.4倍に延伸し、機械捲縮を付与後、切断処理して2.2dtex×38mmの複合繊維を得た。該複合繊維をローラーカード機にてカーディングを行い、ウェブを得、これを不織繊維集合体(I)として用いた。次に熱可塑性樹脂(B)として密度が0.959、MIが13の高密度ポリエチレンの単一成分を使用して、実施例1と同様なスパンボンド法で2dtexの長繊維ウェブを得、これを不織繊維集合体(II)として用いた。不織繊維集合体(I)を中層に不織繊維集合体(II)を上下層に位置するように積層して線圧20N/mm、圧着面積率20%、エンボスロール温度/フラットロール温度=120℃/120℃の加工温度で処理し、熱可塑性複合化不織布を得た。実施例4は表1に見られるように、風合い、不織布強力、耐毛羽立ち性に非常に優れるものであった。
【0047】
実施例5
熱可塑性樹脂(A)としてMFR16、エチレン単位を5重量%、プロピレン単位を95重量%を含むプロピレン/エチレン二元共重合体の単一成分を用いて、実施例1と同様なスパンボンド法で2dtexの長繊維ウェブを得、これを不織繊維集合体(I)として用いた。次に、熱可塑性樹脂(B)としてMFR15、エチレン単位を2重量%、ブテン−1単位を4重量%、プロピレン単位を94重量%含むプロピレン/エチレン/ブテン−1三元共重合体の単一成分を用いて、実施例1と同様なスパンボンド法で2dtexの長繊維ウェブを得、これを上層部分の不織繊維集合体(II)として用いた。次に、熱可塑性樹脂(B)としてMFR15、エチレン単位を3重量%、プロピレン単位を97重量%含むプロピレン/エチレン二元共重合体の単一成分を用いて、実施例1と同様なスパンボンド法で2dtexの長繊維ウェブを得、これを下層部分の不織繊維集合体(II)として用いた。各々、該不織繊維集合体(I)の上下層部分に位置するように積層して線圧20N/mm、圧着面積率20%、エンボスロール温度/フラットロール温度=125℃/125℃の加工温度で処理し、熱可塑性複合化不織布を得た。実施例5は表1に見られるように、風合い、不織布強力、耐毛羽立ち性に非常に優れるものであった。
【0048】
比較例3、4
密度が0.959、MIが13の高密度ポリエチレンの単一成分を用いて、実施例1と同様なスパンボンド法で2dtexの長繊維ウェブを得、線圧20N/mm、圧着面積率20%、エンボスロール温度/フラットロール温度=110℃/110℃の加工温度で処理して不織布を得た(比較例3)。また、同様の長繊維ウェブを用いて、エンボスロール温度/フラットロール温度=130℃/130℃の加工温度で処理して不織布を得た(比較例4)。比較例3は不織布強力、耐毛羽立ち性に劣り、比較例4は風合いに劣り、連続運転中、エンボスロールに樹脂が融着してエンボスロールに不織布が巻き付くトラブルが発生した。
【0049】
比較例5
実施例4の不織繊維集合体(I)と同様な方法で採取した、2.2dtex×38mmのポリプロピレン単一繊維を、ローラーカード機でカーディングし、得られたウェブを積層の上層として用い、2.2dtex×38mmの高密度ポリエチレン単一繊維を、ローラーカード機でカーディングし、得られたウェブを積層の下層として用い、同様に採取したポリプロピレン単一繊維と、高密度ポリエチレン単一繊維を重量比50%/50%に混繊し、ローラーカード機でカーディングし、得られたウェブを積層の中層として用い、これらを積層して、線圧20N/mm、圧着面積率20%、エンボスロール温度/フラットロール温度=125℃/125℃の加工温度で処理し、熱可塑性複合化不織布を得た。比較例5は上層部分のポリプロピレン単一繊維が接着不足となり、耐毛羽立ち性が不良となった。また、不織布強力も低い値であった。
【0050】
実施例6
実施例5で得られた、本発明の熱可塑性複合化不織布を窓拭き用ワイパーとして使用したところ、非常に良好なゴミ吸着性を示した。
【0051】
実施例から分かるように、本発明の熱可塑性複合化不織布は中層に位置する不織繊維集合体(I)の熱可塑性樹脂(A)が、上下層に位置する不織繊維集合体(II)の熱可塑性樹脂(B)よりも融点が低いことから、点熱圧着加工した場合、熱可塑性樹脂(B)が軟化して接着する温度で、熱可塑性樹脂(A)は充分に溶融接着をしている。さらに、表面に位置する不織繊維集合体(II)が熱による過剰なダメージを受け難く、エンボスロールへの樹脂の融着(巻き付き)が抑制され、また、不織布強力及び風合い、耐毛羽立ち性が良好で満足するものである。更に該熱可塑性複合化不織布を子供用使い捨てオムツのトップシート及び/またはバックシートに使用したところ、耐毛羽立ち性に問題なく、また触感に優れ、充分に満足できるものであった。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性複合化不織布は操業性に優れ、更に良好な風合いを有する。加えて耐毛羽立ち性に優れ、かつ実用上、充分な不織布強力を有する。
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂(A)を原料樹脂とする不織繊維集合体(I)の両面に、前記熱可塑性樹脂(A)より高い融点を有する熱可塑性樹脂(B)を原料樹脂とする不織繊維集合体(II)が積層された熱可塑性複合化不織布であって、不織繊維集合体(I)は熱可塑性樹脂(A)の単一繊維、または熱可塑性樹脂(A)成分を鞘成分とし、該熱可塑性樹脂(A)成分よりも5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂(A’)を芯成分とした複合繊維で構成されており、不織繊維集合体(II)は熱可塑性樹脂(B)の単一繊維、または熱可塑性樹脂(B)成分を鞘成分とし、該熱可塑性樹脂(B)成分よりも5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂(B’)を芯成分とした複合繊維で構成されており、該熱可塑性複合化不織布は点熱圧着によって接合され、目付が5〜30g/m2であり、不織繊維集合体(I)の目付比(不織繊維集合体(II)の目付/不織繊維集合体(I)の目付)が、0.2〜4であり、かつ点熱圧着面積率が不織布総面積に対し、4〜30%であることを特徴とする熱可塑性複合化不織布。
- 熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が同一成分樹脂であり、かつ熱可塑性樹脂(B)は熱可塑性樹脂(A)より高い融点を有することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性複合化不織布。
- 熱可塑性樹脂(A)が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン系二元共重合体、プロピレン系三元共重合体であるオレフィン系樹脂、及びポリエステル、共重合ポリエステルから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求項1または請求項2記載の熱可塑性複合化不織布。
- 熱可塑性樹脂(B)が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン系二元共重合体、プロピレン系三元共重合体であるオレフィン系樹脂、及びポリエステル、共重合ポリエステルから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求項1または請求項2記載の熱可塑性複合化不織布。
- 不織繊維集合体(I)及び不織繊維集合体(II)が、長繊維である請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性複合化不織布。
- 長繊維が、スパンボンド法により製造された長繊維である請求項5記載の熱可塑性複合化不織布。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の熱可塑性複合化不織布と、前記熱可塑性複合化不織布以外の他の不織布、フイルム、パルプシート、編物、及び織物から選ばれた少なくとも1種の物品を積層した積層複合化不織布。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の熱可塑性複合化不織布または請求項7記載の積層複合化不織布を用いた吸収性物品。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の熱可塑性複合化不織布または請求項7記載の積層複合化不織布を用いたワイパー。
- 熱可塑性樹脂(A)を原料樹脂とする不織繊維集合体(I)の両面に、前記熱可塑性樹脂(A)より高い融点を有する熱可塑性樹脂(B)を原料樹脂とする不織繊維集合体(II)が積層された積層集合体を点熱圧着して得られる熱可塑性複合化不織布の製造方法であって、不織繊維集合体(I)は熱可塑性樹脂(A)の単一繊維、または熱可塑性樹脂(A)成分を鞘成分とし、該熱可塑性樹脂(A)成分よりも5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂(A’)を芯成分とした複合繊維で構成されており、不織繊維集合体(II)は熱可塑性樹脂(B)の単一繊維、または熱可塑性樹脂(B)成分を鞘成分とし、該熱可塑性樹脂(B)成分よりも5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂(B’)を芯成分とした複合繊維で構成されており、積層集合体がロールに融着せず不織繊維集合体(I)中の熱可塑性樹脂(A)が溶融接着する温度で、エンボスロールを用いて点熱圧着することによって、積層集合体を接合することを特徴とする、熱可塑性複合化不織布の製造方法。
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