JP4451117B2 - 起毛状突起を有するワイパー - Google Patents
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Description
しかしながら、これらワイパーは塵やほこり等の細かな汚れを拭き取ることはできても、清掃面にこびりついた汚れを拭き取りにくく、また表面毛羽や繊維脱落を生じるという問題点が指摘されていた。
MFRが400g/10minを超えると、ノズルから吐出された繊維流が容易に細化されてしまい、太い繊度を保つことが難しくなる場合がある。また、逆にMFRが10g/min未満であると、樹脂粘度が高くなりすぎ、その圧損のためにノズルからの樹脂吐出そのものが困難になる場合がある。
従って、本発明に用いる嵩高繊維シートは、このような掻き落とす力と均一な掻き落としをバランス良く確保するために、構成繊維の平均繊維径は5〜50μmの範囲にあることが好ましく、20〜30μmであることがより好ましい。
本発明に用いる嵩高繊維シートは、0.2mm圧縮時における応力が30〜500gであることが好ましく、より好ましくは、40〜300gであり、さらに好ましくは、60〜200gである。この応力が500gを超える場合は、起毛が剛直すぎで、拭き取り面を傷つける可能性が高くなる。また、一方、この値が30gに満たない場合は、起毛の剛直性が低く、こびりついたような汚れを掻き取る作用が期待できない。
高さが0.2mm未満では、除去できる異物の量が少なくなる場合がある。また、5mmを超えると突起部の剛直性を保持することが難しく、対象物に強固に付着した汚れを除去できなくなる場合がある。
さらに該起毛状突起部の存在密度は、3個/cm2以上であることが好ましく、より好ましくは10〜50個/cm2であり、さらに好ましくは10〜30個/cm2である。存在密度が高過ぎると対象物上の異物汚れの隙間に突起部が入り込み難くなり、一方、低すぎると汚れを的確に捉えることができなくなり拭き残りが著しくなる。また該突起部の形状は、基本的に本発明の目的を達成するものであれば特に限定は無いが、例えば円錐状、円柱状、角錐状、角柱状、または起毛状等各種の形状が挙げられる。この形状であれば、対象物上の汚れ、異物をより的確に捉えやすいというメリットがある。
本発明においては、特に製法に限定は無く、一般的な乾式不織布あるいは湿式不織布から極細繊維不織布まで使用可能である。
これら嵩高繊維シートおよび繊維シートを固定する方法としては、特に限定されないが、粘着剤や接着剤による固定、または糸で縫いつける等の方法が採用できる。
この部分的な接着は、その接着部分がシート表面全体の1〜50%とすることが好ましい。さらにシート間は、できるだけ接触する表面の層のみで接合されていることが好ましい。
また、上記の条件は、ピンソニックのアンビルロールについても同様である。
さらに、熱エンボスでの積層に関しては、エンボスロールの温度を可能な限り低温にすることが好ましい。エンボス温度が高すぎると、積層時にメルトブロー不織布の起毛状突起を潰してしまうからである。
この場合、中間の熱可塑性エラストマーからなるシートが接着剤として作用するため、表面の起毛状突起を有する不織布と反対面の表面平滑な繊維シートが必ずしも同種の素材でなくとも優れた接着性を示すため、広範な種類の繊維シートが使用可能になる。
該熱接着性シートの製法は特に制限されないが、上記熱可塑性エラストマーを用いたメルトブロー法が効率良く製造することができる点で好ましい。
例えば、摩擦抵抗の大きい面をふき取る場合や、セーム皮のような表面がゴム状のシートとの組合せでガラス面を拭く場合等であり、このような場合、本発明のワイパーの起毛状突起部が手のひらの側になるようにして物体を拭き取ることで、手からワイパーが離れずにうまく作業ができるようになる。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布の表面を500倍に拡大した写真を撮影し、この写真に2本の対角線を引き、この対角線と交わった繊維の太さを倍率換算した値を用いた。そして、これらの繊維100本の平均値を平均繊維径として用いた。ただし、融着した繊維は繊維径を明確に測定できないため、対象外とした。
JIS L1906に準じ、シートのMD方向およびCD方向についてそれぞれ測定した。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布の断面を500倍に拡大した写真を撮影し、この写真に2本の対角線を引き、この対角線と交わった繊維の太さを倍率換算した値を用いた。そして、これらの繊維100本以上になる枚数の写真を撮影し、そこに写っている繊維100本について数えて、次式により算出した。なお繊維束状態の繊維は、2本以上の繊維が100μm以上の長さに渡って2本以上の繊維が融着した形態になっているものとし、1つの束を1本とカウントした。
束状繊維の割合=(繊維束状態の繊維本数/100)×100(%)
顕微鏡にてシート断面の50倍写真を撮影し、突起部を除いたシート表面と裏面に接線を引き、この間隔を任意の5箇所について測定し、これらの平均値を「シートの厚さ」とした。一方、突起部の頂点から反対側のウェブ表面(裏面)間での距離を任意の10箇所について測定し、その平均値を「シートの全体厚さ」とした。上記「シート全体の厚さ」と「シートの厚さ」の差を「突起部高さ」とした。
突起部高さ=シート全体の厚さ−シートの厚さ
顕微鏡にてシートのMD方向に平行な断面の50倍写真を撮影し、シートの突起部側の接線と、突起部の頂点からの距離を任意の10箇所について測定し、その平均値の1/3の間隔(高さ)でウェブの突起部側の接線に平行な線を引く。この線から飛び出している突起部の1cm当たりの数を「MD単位突起数」とする。また、CD方向に平行な断面についても同様に測定した突起部の数を「CD単位突起数」とする。
そして、これらの積を突起部の密度とした。
圧縮弾性試験機(島津製作所製、オートグラフ5KND)を用い、試験対象のシートを100mm径の円状の圧縮子面にて7g/cm2の荷重下、0.1mm/分の速度で圧縮し、その変位と応力の関係をチャート化し、圧縮応力10gの時の変位を0mmとし、その後、0.2mm圧縮したときの応力を測定した。この値が大きいもの程、突起部の剛直性が高いと判断した。
女性の毛髪(長さ10cm)20本を木床試験板(30×100cm:大倉工業製 複合一種フローリング589ナラ乱尺)上にできるだけ均等になるよう散布した。次いで、アクリル板(20cm×20cm×2mm厚)に同サイズの試料シートを両面テープで固定し、この上に500gのおもりを載せて引張り、3往復させた後、試験片に付着している毛髪の本数を計測した。
アクリル板上に市販のスティック糊(コクヨ製 タ−320N Pritt)を100cm2の面積に約100mgを均一に塗り、これを、室温で10分間放置した。次いで試料シートを用いて、20往復手で擦った。その後、アクリル板の質量を測定し、スティック糊の質量減少率を測定した。
上記こびりつき汚れ拭き取り試験後のアクリル板および拭き取られた糊を目視観察し、脱落した突起部繊維の数を数えた。
JIS L3416に準じ、5g/cm2の荷重をかけた状態にて測定した。
これにより、表面に起毛状突起部が15個/cm2の密度で存在する目付30g/m2の嵩高繊維シートを得た。
得られたワイパーについて、その起毛面について毛髪捕集性とこびりつき汚れ拭き取り性を測定した。さらに、滑り止め性を評価するために起毛状突起部面同士を係合させ、引張りせん断強さを測定した。この結果を表1に示す。
得られた嵩高繊維シートと実施例1で用いたサーマルボンド不織布とを実施例1と同様の方法にて積層し、ワイパーを得た。(表1)
一方、ポリエチレンテレフタレート(融点255℃)からなるポリエステル繊維(2.0dtex、繊維長51mm)とレーヨン繊維(2.0dtex、繊維長51mm)とを25/75の質量比で混綿し、この綿をカード法でウェブ化し、水流絡合法によりスパンレース不織布を得た。このスパンレース不織布の目付は25g/m2であった。
以上の方法で得られた嵩高繊維シートとスパンレース不織布との間に接着性シートを配し、この3層を実施例1と同じ柄のエンボスロールを用いて、熱エンボス法にて積層し、ワイパーを得た。(表1)
MFR600g/10minのポリプロピレン樹脂を押し出し機によって溶融押出を行い、紡糸温度285℃、単孔吐出量0.5g/分・孔でノズルから吐出し、温度285℃、圧力0.1MPaの高速熱風により細化させた繊維流を、ダイから20cm離れた位置に設置し、ダイノズルの反対側にサクションボックスを備えた成形コンベア上に捕集し、メルトブロー不織布を得た。このコンベアには20メッシュの平織ステンレス金網がエンドレスで回転するよう装着されていた。
得られたメルトブロー不織布と実施例1で用いたサーマルボンド不織布とを実施例1と同様の方法にて積層し、ワイパーを得た。
得られたワイパーの表面は、通常のメルトブロー不織布と同様な形態をしており、起毛状突起部が形成されていなかった。(表1)
エンボスドット間隔を1.5mmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でワイパーを製造した。
得られたワイパーは、嵩高繊維シート側表面の起毛状突起部がつぶれてしまい、全く起毛のない形状のワイパーとなってしまった。(表1)
パイル糸として、0.3dtex(繊維径2μm)の極細繊維を用いてなるカットパイル地(パイル高さ3.8mm、パイル密度100個/cm2)からなるワイパーを準備し、各物性を評価した。(表1)
2:起毛状突起部
Claims (4)
- 表面に起毛状突起部を有する嵩高繊維シートと、表面に平滑な面を有する繊維シートとが積層されてなるワイパーであって、該嵩高繊維シートがメルトブロー不織布からなり、平均繊維径が20〜50μmの範囲にあって、該嵩高繊維シートを構成する素材が、MFRが10〜100g/10minのポリプロピレンであって、実質的に連続繊維からなり、かつ構成繊維の50〜90%が2本以上の略並行的に融着した束状繊維を形成してなることを特徴とするワイパー。
- 該起毛状突起部が、高さ0.2〜5mmであり、かつ3個/cm2以上の密度で存在する請求項1記載のワイパー。
- 該嵩高繊維シートと該繊維シートとの間に熱接着性シートを配してなり、3層が接着一体化されてなる請求項1または2に記載のワイパー。
- 該接着性シートが熱可塑性エラストマーからなる請求項3に記載のワイパー。
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