JP4451117B2 - 起毛状突起を有するワイパー - Google Patents

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Description

本発明は、ワイパーに関するものであり、さらに詳しくは、一表面に剛直性のある起毛状突起部を有し、もう一方の表面をフラットで柔軟なタッチを有する繊維シートとすることで、各々の表面がそれぞれ異なる役割を果たし、細かな汚れおよびこびりついた汚れの拭き取り性に優れたワイパーに関する。
従来、ワイパーとして、木綿、パルプ等の天然繊維からなる短繊維不織布や起毛織物、または極細繊維を用いることで風合いが柔らかく、かつ対象物へのフィット性、拭き取り性の良好なものが数多く提案されている。
しかしながら、これらワイパーは塵やほこり等の細かな汚れを拭き取ることはできても、清掃面にこびりついた汚れを拭き取りにくく、また表面毛羽や繊維脱落を生じるという問題点が指摘されていた。
また、表面に起毛を有するワイパーも公知であるが(例えば、特許文献1参照)、上記ワイパーは主に柔軟な起毛により繊細な汚れを拭き取るものであり、こびりついたような強固な汚れを落とすには、起毛が容易に変形してしまい、掻き落とし効果が期待できない。
一方、こびりついた汚れおよび油膜の清浄性、吸塵性の向上を目的として、11dtex以上の太繊度繊維と極細繊維とを混綿し、スプレー法等により繊維同士を結合したワイパーが提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、かかるワイパーは、短繊維を原料とした不織布から構成されており、たとえニードルパンチや水流絡合により強固な繊維交絡を行い、バインダーにて固定したとしても強固な汚れを落とすために力強く対象物を擦った時には、繊維が脱落してしまい、対象物を却って汚染してしまうという問題点が指摘されていた。また、こびりついた細かい汚れまでを掻き落とす場合には、擦る回数をかなり多くする必要があるという問題点も指摘されていた。
また、主にこびりついた汚れの掻き取り性の向上を目的として、特定の繊度を有する熱可塑性短繊維とセルロース系繊維を含み、表面に熱可塑性短繊維の先端部を露出させた清掃用シートが提案されているが(特許文献3参照)、こびりついた汚れを落とす働きをする太い繊維は、細かな汚れの除去には不適であり、またバインダーで固定されているものの力を入れて擦り落とした時に汚れと共に繊維が脱落してしまう。あるいは使用にあたり、シートを揉むような動作を加えた場合なども同様に繊維が脱落してしまうという問題が発生する。さらには、このような太い繊維を均一にウェブ化する場合においても、繊維が太すぎて均一なウェブを形成することが非常に難しいという問題も抱えている。さらに、力を入れて対象物を拭き取った時に、ワイパーが手から滑り落ちやすいという問題点もあった。
特開平9−66014号公報 特開平6−14860号公報 特開2003−61885号公報
本発明の目的は、対象物に強固にこびりついた汚れの除去性に優れ、かつ対象物に残留する細かな汚れの拭き取り性にも優れ、さらには表面毛羽や繊維脱落を生じにくく、また、残留する細かな汚れを拭き取る時に、対象物と表面平滑な繊維シート面との摩擦が大きい場合に、手から滑り落ちにくいワイパーを提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決すべく鋭意検討を重ね、片面に剛直な起毛状突起を設け、その反対面に平滑かつ緻密な面を設けたワイパーとすることにより、対象物上の粗い、大きな汚れあるいは、物体上に強固にこびりついた汚れを容易に除去し、そのままシートを交換することなく、反対面の平滑かつ緻密な不織布からなる面を用いて、対象物上に残った細かな汚れを拭き取ることが可能であることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、表面に起毛状突起部を有する嵩高繊維シートと、表面に平滑な面を有する繊維シートとが積層されてなるワイパーであって、該嵩高繊維シートがメルトブロー不織布からなり、平均繊維径が20〜50μmの範囲にあって、該嵩高繊維シートを構成する素材が、MFRが10〜100g/10minのポリプロピレンであって、実質的に連続繊維からなり、かつ構成繊維の50〜90%が2本以上の略並行的に融着した束状繊維を形成してなることを特徴とするワイパーである。

本発明により、対象物上の大きな汚れまたは物体上に強固にこびりついた汚れを除去し、そのままシートを交換することなく、反対側の表面平滑な不織布面を用いて、対象物上に残った細かな汚れを落とすことが可能であり、かつ表面毛羽や繊維脱落が生じにくいワイパーを得ることができる。
本発明のワイパーは、特定の形状の突起部を有する面と、平滑で緻密な繊維シートからなる面を有する複合シートからなり、該突起部は剛直性を有し、この剛直性ゆえに対象物上の粗く硬い汚れ異物を除去し、また、起毛状突起部という形態ゆえに毛羽、毛髪、埃、綿状異物を絡めとるという効果を発揮する。しかしながら、この突起部は、その形状のため細かい汚れをふき取ることが困難であり、細かい汚れ異物が対象物上に残ってしまうケースが生ずる。この場合に、反対面に複合した平滑なシート面によって、残りの汚れ異物をふき取り、対象物上を清浄にするというものである。
本発明のワイパーを構成する嵩高繊維シートは、実質的に連続繊維からなり、かつその一表面に特定の起毛状突起部を有するものであるが、所定の性能を有していれば、その製法については特に限定されるものではない。該起毛状突起部は、表面がフラットな繊維シートに後加工等で付与してもよいが、メルトブロー法を用いることで突起部を有する嵩高繊維シートを効率よく、かつ低コストに製造可能となる。
メルトブロー法による重合体の紡糸方法については、インダストリアル・アンド・エンジニアリング・ケミストリー(Industrial and Engineering Chemistry)48巻、第8号(p1342〜1346)、1956年に基本的な装置および方法が開示されている。
メルトブロー法を用いて、本発明に用いる嵩高繊維シートを製造する場合は、ノズルから噴射された繊維流を凹凸面で捕集することによって製造する。すなわち、捕集面の凹部に繊維が侵入し固化することで、不織布の一面に起毛状の突起部が形成される。該凹凸表面は、任意の形状の突部または凹部を多数設けた金属面か、適当なメッシュを有する金網、針布などで構成するのが好ましい。中でも、一般にコンベアネットと呼ばれる立体的な構造のネットを用いることで、より容易に起毛状突起部を有するメルトブロー不織布が製造可能であることから特に好ましい。
本発明に用いる嵩高繊維シートを構成する素材は、生産性、製品安全性およびコストの点から、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂が好ましい。このうち、起毛状突起部の剛直性に優れることおよび低コストであることから、ポリオレフィン、特にポリプロピレンが好ましく用いられる。
ポリプロピレンを用いる場合には、そのMFRが400g/10min以下であることが好ましく、200g/10min以下がより好ましく、10〜100g/10minが特に好ましい。
MFRが400g/10minを超えると、ノズルから吐出された繊維流が容易に細化されてしまい、太い繊度を保つことが難しくなる場合がある。また、逆にMFRが10g/min未満であると、樹脂粘度が高くなりすぎ、その圧損のためにノズルからの樹脂吐出そのものが困難になる場合がある。
一方、ポリエステルを用いる場合には、固有粘度が0.7以上、好ましくは0.8〜1.5である。また、ポリアミドであれば相対粘度が2.0以上、好ましくは2.2〜3.0である。このような製法および樹脂を用いることにより、容易に自立性の強い起毛状突起部をシート表面に形成した嵩高繊維シートを製造することが可能になる。
本発明において起毛状突起部をシート上に形成するためには、メルトブロー繊維流の繊維が細化する前の太い状態で、かつ繊維が固化する前に捕集面に到達させることが重要である。そして、繊維流が固化した後に凹凸を有する捕集面からきれいに剥離する必要があるため、捕集面を冷却することが必要になる場合がある。
また、メルトブロー不織布を形成する際に、実質的に連続繊維から形成させるとともに、融着した束状繊維を形成させ、かつ起毛状突起部に適度な剛直性を付与するため繊維流の捕集距離を短くするか、または樹脂粘度を高くするなどして繊維径を太くすることにより、固化するまでの時間を長くすることが望ましい。具体的には、捕集距離は5〜100cmの範囲が好ましく、10〜60cmであることがより好ましい。また、樹脂粘度は使用する樹脂および溶融温度によってその粘度が異なるものの、その溶融粘度は10〜100Pa・sが好ましく、より好ましくは20〜50Pa・sである。
このようにして得られる起毛状突起部は、必ずしも垂直に立設している必要はないが、ある程度の剛直性を有し起毛状に自立していることが好ましい。すなわち、この起毛が弱く自立性が乏しい場合には、対象物上の硬い、あるいは強固に付着した汚れ異物を掻き落とすことが困難になる場合がある。
該突起部は、通常のメルトブロー不織布等に見られる繊維径3μm程度に細くなった状態では、単純に起毛状態になっていても繊維が柔らかく、こびりついた汚れを掻き落とすことが困難であり、所望の剛直性を得ることができない場合があるため、ある程度太い繊維で構成されることが望ましい。すなわち、繊維径を太くすることで、こびりついた汚れを掻き落とす力が確保できるのであるが、繊維が太くなるにつれて、汚れを掻き落とす力が増す一方で、均一に掻き落とすことが困難になるという問題が生ずる。
従って、本発明に用いる嵩高繊維シートは、このような掻き落とす力と均一な掻き落としをバランス良く確保するために、構成繊維の平均繊維径は5〜50μmの範囲にあることが好ましく、20〜30μmであることがより好ましい。
また該嵩高繊維シートの構成繊維の50〜90%が略並行的に融着し束状繊維を形成していることが重要であり、好ましくは55〜80%である。該束状繊維が特定割合存在することにより、強固なこびりつき汚れを均一に掻き落とすことが可能になる。
該嵩高繊維シートは、目付20〜200g/m、より好ましくは30〜100g/mのものが用いられる。目付が20g/m未満では、嵩高繊維シートそのものの強度が低く、表面の起毛状突起部を保持することが難しくなる場合がある。逆に、目付が200g/mを超えるものでは、シートそのものが起毛を保持するには十分な強度を有するもののコスト的に不利となる場合がある。
また、該嵩高繊維シートの起毛状突起部は、一定間隔に規則的に存在するものが好ましいが、これに限られるものではなく不規則なものであっても全面にわたって分布していればよい。
該嵩高繊維シートの起毛状突起部は、本発明の目的である「こびりついた汚れを掻き落とす」ことが可能な程度に剛直であることが必要である。この剛直さの指標として、後述する100mm径の円形圧縮子により圧縮した際の応力を用いることができる。
本発明に用いる嵩高繊維シートは、0.2mm圧縮時における応力が30〜500gであることが好ましく、より好ましくは、40〜300gであり、さらに好ましくは、60〜200gである。この応力が500gを超える場合は、起毛が剛直すぎで、拭き取り面を傷つける可能性が高くなる。また、一方、この値が30gに満たない場合は、起毛の剛直性が低く、こびりついたような汚れを掻き取る作用が期待できない。
このような剛直性を発揮し、なおかつ該突起部が脱落しにくくするためには、ウェブ内の繊維同士の融着が重要なファクターである。本発明においては、上記したように2本以上の繊維同士が束状に融着した束状繊維が存在することにより、細い起毛でも必要な剛直性と拭き取り時の摩擦による起毛状突起の脱落防止性を発現するのである。
該起毛状突起部は、拭き取り対象面上の毛羽、綿状異物等をより多く、より的確に効率よく除去可能な点から、その高さは0.2〜5mmであることが好ましい。
高さが0.2mm未満では、除去できる異物の量が少なくなる場合がある。また、5mmを超えると突起部の剛直性を保持することが難しく、対象物に強固に付着した汚れを除去できなくなる場合がある。
さらに該起毛状突起部の存在密度は、3個/cm以上であることが好ましく、より好ましくは10〜50個/cmであり、さらに好ましくは10〜30個/cmである。存在密度が高過ぎると対象物上の異物汚れの隙間に突起部が入り込み難くなり、一方、低すぎると汚れを的確に捉えることができなくなり拭き残りが著しくなる。また該突起部の形状は、基本的に本発明の目的を達成するものであれば特に限定は無いが、例えば円錐状、円柱状、角錐状、角柱状、または起毛状等各種の形状が挙げられる。この形状であれば、対象物上の汚れ、異物をより的確に捉えやすいというメリットがある。
中でも該起毛状突起部は、嵩高繊維シート上に一体的に形成されたもので、単繊維または複数の繊維が融着した繊維束が、起毛状、ループ状または不定形のからまり糸状に不織布表面に立設したものが好ましい。この起毛状突起は、一定間隔の規則的な配列であっても、また収縮等により形成される不規則的な配列であってもよい。
具体的に起毛状突起部とは、例えば図1に見られるように、該嵩高繊維シート1の表面に多数の起毛状突起部2を有する。この起毛状突起2がこびりついた汚れを掻き落とすために作用する。
また、本発明のワイパーにおける起毛状突起部を有する面(嵩高繊維シート)の反対面には、必要とする対象物拭き取り性能に応じて、編織布、乾式不織布、湿式不織布、紙等の繊維シートを積層する。このうち、コスト、加工性の点から乾式不織布を使用することが好ましい。そして、より高性能な拭き取り性を必要とする場合には、特殊繊維や分割繊維を使用した不織布を用いることにより、より高いワイピング性能を有するワイパーを得ることが可能である。
本発明に用いる繊維シートとして不織布を用いる場合、表面が平滑な不織布であれば特に限定されるものではなく、一般的な不織布ワイパーに類するもので構わない。しかしながら、積層相手となる起毛状突起を有する嵩高繊維シートとしてポリオレフィンからなるものが好ましく用いられること、コスト的に安価であり入手しやすいこと、そして積層加工のしやすさなどから、ポリオレフィン繊維やポリオレフィンが繊維外周部に露出している複合繊維からなる不織布が好ましい。また、この不織布は、起毛状突起部を有する不織布の拭き残し部分をきれいにする目的で使用するため、可能な限り細繊度の繊維からなるものが好ましく、分割繊維を用いた不織布が挙げられる。
本発明においては、特に製法に限定は無く、一般的な乾式不織布あるいは湿式不織布から極細繊維不織布まで使用可能である。
本発明のワイパーは、このようにして得られる起毛状突起を有する嵩高繊維シートの起毛状突起の無い面に平滑な面を有する繊維シートを積層することで得ることができる。
これら嵩高繊維シートおよび繊維シートを固定する方法としては、特に限定されないが、粘着剤や接着剤による固定、または糸で縫いつける等の方法が採用できる。
一方、該嵩高繊維シートを編織物に積層する場合は、熱エンボスやピンソニック、ホットメルト法等を使用して、点接着または線接着するのが好ましい。また、積層に際して、嵩高繊維シートの起毛状突起部を可及的に潰さないことが望ましく、さらに通気性を保持するため、接着面積は少ないことが望ましいことから、両者を全面接着するのではなく、点接着または線接着することが好ましい。
また、熱接着工程において、熱圧着部の間隔をできるだけ広く取り、できるだけ広い範囲において嵩高繊維シートの起毛状突起部を保持した状態で積層することが好ましい。例えば、熱エンボス、すなわち金属の柄ロールとフラットロールの組み合わせで積層接着する場合、その熱圧着部分は、ウェブ平面方向において少なくとも一方向における隣接した熱圧着部との間隔が、3mm以上であることが好ましい。この圧着部は、例えば、円状または多角形状のドット、あるいはストライプ、格子状、ハニカム状の形状等が挙げられる。
この部分的な接着は、その接着部分がシート表面全体の1〜50%とすることが好ましい。さらにシート間は、できるだけ接触する表面の層のみで接合されていることが好ましい。
さらに、熱圧着部の高さは、積層するシートにおける厚さの合計値の約80%以上であることが好ましい。この高さが低いと、圧着部の間隔を広げても、繊維シートの起毛状突起部が潰されてしまい、機能しなくなってしまうためである。
また、上記の条件は、ピンソニックのアンビルロールについても同様である。
さらに、熱エンボスでの積層に関しては、エンボスロールの温度を可能な限り低温にすることが好ましい。エンボス温度が高すぎると、積層時にメルトブロー不織布の起毛状突起を潰してしまうからである。
本発明においては、該嵩高繊維シートと平滑な面を有する繊維シートとの間に熱接着性シート、特に熱可塑性エラストマーからなるシートを配した3層構造としてもよく、3層が接着一体化されていることが好ましい。
この場合、中間の熱可塑性エラストマーからなるシートが接着剤として作用するため、表面の起毛状突起を有する不織布と反対面の表面平滑な繊維シートが必ずしも同種の素材でなくとも優れた接着性を示すため、広範な種類の繊維シートが使用可能になる。
該熱接着性シートを構成する熱可塑性エラストマーとしては、例えばポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエーテル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
該熱接着性シートの製法は特に制限されないが、上記熱可塑性エラストマーを用いたメルトブロー法が効率良く製造することができる点で好ましい。
本発明において、3層構造とする場合の積層方法としては、エンボス法、ピンソニック法等の中間に配した熱可塑性エラストマーからなる不織布を溶融させて接着剤としての作用を発現させることができる方法であれば、特に限定されるものではない。このうち、好ましい方法としては、エンボス法が一般的であり、容易に積層できる方法である。この場合、使用するエンボス柄は、起毛状突起をつぶしてしまわないような柄が望ましい。例えば、ストライプ状、あるいは、格子柄でありその格子が縦および横共に3mm以上であるもの、あるいはディンプル状の凹部の連続でありかつディンプルの径が3mm以上のエンボス柄等が有効である。
このようにして積層したワイパーは、起毛状突起部を有する面と平滑で柔軟なシートからなる積層体であり、起毛状突起を有する面で、大きな汚れや毛髪等の異物を捕集し、あるいは強固な汚れを掻き落とし、反対面のフラットな面で、細かい汚れや異物を拭き取ることで、拭き取り対象面をきれいにするものである。
また、ワイパーと、拭く対象となる物体との間の滑り摩擦よりも手とワイパーとの間の滑り摩擦の方が大きい場合や、より緻密なシートや摩擦抵抗の大きいシートとの組み合わせで使用する場合、本発明のワイパーに存在する起毛状突起部は、使用時にワイパーが手から滑って外れてしまうことを防止する効果も発現する。
例えば、摩擦抵抗の大きい面をふき取る場合や、セーム皮のような表面がゴム状のシートとの組合せでガラス面を拭く場合等であり、このような場合、本発明のワイパーの起毛状突起部が手のひらの側になるようにして物体を拭き取ることで、手からワイパーが離れずにうまく作業ができるようになる。
また、本発明のワイパーの性能をさらに引き出すために、洗剤やアルコール等を含浸させて使用することも可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。本実施例における各物性値は以下の方法により測定した。
・平均繊維径
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布の表面を500倍に拡大した写真を撮影し、この写真に2本の対角線を引き、この対角線と交わった繊維の太さを倍率換算した値を用いた。そして、これらの繊維100本の平均値を平均繊維径として用いた。ただし、融着した繊維は繊維径を明確に測定できないため、対象外とした。
・強度、伸度
JIS L1906に準じ、シートのMD方向およびCD方向についてそれぞれ測定した。
・束状繊維の割合
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布の断面を500倍に拡大した写真を撮影し、この写真に2本の対角線を引き、この対角線と交わった繊維の太さを倍率換算した値を用いた。そして、これらの繊維100本以上になる枚数の写真を撮影し、そこに写っている繊維100本について数えて、次式により算出した。なお繊維束状態の繊維は、2本以上の繊維が100μm以上の長さに渡って2本以上の繊維が融着した形態になっているものとし、1つの束を1本とカウントした。
束状繊維の割合=(繊維束状態の繊維本数/100)×100(%)
・起毛状突起部の高さ
顕微鏡にてシート断面の50倍写真を撮影し、突起部を除いたシート表面と裏面に接線を引き、この間隔を任意の5箇所について測定し、これらの平均値を「シートの厚さ」とした。一方、突起部の頂点から反対側のウェブ表面(裏面)間での距離を任意の10箇所について測定し、その平均値を「シートの全体厚さ」とした。上記「シート全体の厚さ」と「シートの厚さ」の差を「突起部高さ」とした。
突起部高さ=シート全体の厚さ−シートの厚さ
・起毛状突起部の密度
顕微鏡にてシートのMD方向に平行な断面の50倍写真を撮影し、シートの突起部側の接線と、突起部の頂点からの距離を任意の10箇所について測定し、その平均値の1/3の間隔(高さ)でウェブの突起部側の接線に平行な線を引く。この線から飛び出している突起部の1cm当たりの数を「MD単位突起数」とする。また、CD方向に平行な断面についても同様に測定した突起部の数を「CD単位突起数」とする。
そして、これらの積を突起部の密度とした。
・突起部の剛直性
圧縮弾性試験機(島津製作所製、オートグラフ5KND)を用い、試験対象のシートを100mm径の円状の圧縮子面にて7g/cmの荷重下、0.1mm/分の速度で圧縮し、その変位と応力の関係をチャート化し、圧縮応力10gの時の変位を0mmとし、その後、0.2mm圧縮したときの応力を測定した。この値が大きいもの程、突起部の剛直性が高いと判断した。
・毛髪捕集性
女性の毛髪(長さ10cm)20本を木床試験板(30×100cm:大倉工業製 複合一種フローリング589ナラ乱尺)上にできるだけ均等になるよう散布した。次いで、アクリル板(20cm×20cm×2mm厚)に同サイズの試料シートを両面テープで固定し、この上に500gのおもりを載せて引張り、3往復させた後、試験片に付着している毛髪の本数を計測した。
・こびりつき汚れ拭き取り性
アクリル板上に市販のスティック糊(コクヨ製 タ−320N Pritt)を100cmの面積に約100mgを均一に塗り、これを、室温で10分間放置した。次いで試料シートを用いて、20往復手で擦った。その後、アクリル板の質量を測定し、スティック糊の質量減少率を測定した。
・拭き取り時の繊維脱落
上記こびりつき汚れ拭き取り試験後のアクリル板および拭き取られた糊を目視観察し、脱落した突起部繊維の数を数えた。
・ワイパーの滑りにくさ(引張りせん断強さ;シアー強度)
JIS L3416に準じ、5g/cmの荷重をかけた状態にて測定した。
MFR60g/10min(JIS K6921−2準拠;230℃、21.18N荷重)のポリプロピレン樹脂を押し出し機によって溶融押出を行い、紡糸温度285℃、単孔吐出量0.5g/min・孔でノズルから吐出し、温度285℃、圧力0.04MPaの高速熱風により細化させた繊維流を、ダイから20cm離れた位置に設置したコンベアネットが巻き付けられたロール上に捕集した。なお、ロール中には20℃の水を通し冷却していた。
これにより、表面に起毛状突起部が15個/cmの密度で存在する目付30g/mの嵩高繊維シートを得た。
一方、ポリエチレンテレフタレート(融点255℃)を芯成分、ポリエチレン(融点123℃)を鞘成分とする芯鞘型複合繊維(2.0dtex、繊維長51mm)と、レーヨン繊維(2.0dtex、繊維長51mm)を25/75の質量比で混綿し、この綿をカード法でウェブ化し、熱風エアスルー法でサーマルボンド不織布を得た。この不織布の目付は25g/mであった。
以上の方法で得られた嵩高繊維シートとサーマルボンド不織布とを熱エンボス法にて積層し、ワイパーを得た。なお、積層に用いたエンボスロール(圧接面積率:23.7%)は、直径が5mmで、深さが2mmの円形孔が5.5mm間隔で一列に並び、その円形孔列に対して次の円形孔列が千鳥状に並ぶように配列されたものであり、対ローラーとしてフラットローラーを用いた。また、処理のエンボス圧力は線圧45kg/cm、エンボス温度は135℃であった。
得られたワイパーについて、その起毛面について毛髪捕集性とこびりつき汚れ拭き取り性を測定した。さらに、滑り止め性を評価するために起毛状突起部面同士を係合させ、引張りせん断強さを測定した。この結果を表1に示す。
エンボス柄を丸ドット形状、圧着面積率20%、特定のドットから最も近いドットとの間隔が5.3mmであるエンボスロールを用いて積層したこと以外は、実施例1と同様の方法で不織布を得た。(表1)
嵩高繊維シートの原料樹脂として、MFR15g/10minのポリプロピレン樹脂を使用したこと以外は、実施例1と同様にして嵩高繊維シートを得た。
得られた嵩高繊維シートと実施例1で用いたサーマルボンド不織布とを実施例1と同様の方法にて積層し、ワイパーを得た。(表1)
実施例1で得られた嵩高繊維シートを準備し、次に、熱可塑性エラストマー樹脂としてポリスチレン−ポリ(エチレン・プロピレン)−ポリスチレンブロック共重合体(クラレ製、セプトン)を準備し、さらに自己膠着防止を目的としてMFR=300のポリプロピレン樹脂を準備した。熱可塑性エラストマー樹脂60質量%に対し、該ポリプロピレン樹脂を40質量%添加混合し、300℃にて押し出し機で溶融押出し後、両側に加熱気体の噴射用スリットを有するメルトブロー紡糸装置を用いて、1ホール当たり0.5gの割合でポリマーを吐出し、同じく300℃に加熱した空気を圧力0.04MPaで噴射し細化した。この繊維流をノズル下方25cmに設置された金網ベルト上で捕集し後方の巻取り機で巻取り、接着性シートを得た。得られた接着性シートの目付は15g/mであった。
一方、ポリエチレンテレフタレート(融点255℃)からなるポリエステル繊維(2.0dtex、繊維長51mm)とレーヨン繊維(2.0dtex、繊維長51mm)とを25/75の質量比で混綿し、この綿をカード法でウェブ化し、水流絡合法によりスパンレース不織布を得た。このスパンレース不織布の目付は25g/mであった。
以上の方法で得られた嵩高繊維シートとスパンレース不織布との間に接着性シートを配し、この3層を実施例1と同じ柄のエンボスロールを用いて、熱エンボス法にて積層し、ワイパーを得た。(表1)
比較例1
MFR600g/10minのポリプロピレン樹脂を押し出し機によって溶融押出を行い、紡糸温度285℃、単孔吐出量0.5g/分・孔でノズルから吐出し、温度285℃、圧力0.1MPaの高速熱風により細化させた繊維流を、ダイから20cm離れた位置に設置し、ダイノズルの反対側にサクションボックスを備えた成形コンベア上に捕集し、メルトブロー不織布を得た。このコンベアには20メッシュの平織ステンレス金網がエンドレスで回転するよう装着されていた。
得られたメルトブロー不織布と実施例1で用いたサーマルボンド不織布とを実施例1と同様の方法にて積層し、ワイパーを得た。
得られたワイパーの表面は、通常のメルトブロー不織布と同様な形態をしており、起毛状突起部が形成されていなかった。(表1)
比較例2
エンボスドット間隔を1.5mmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でワイパーを製造した。
得られたワイパーは、嵩高繊維シート側表面の起毛状突起部がつぶれてしまい、全く起毛のない形状のワイパーとなってしまった。(表1)
比較例3
パイル糸として、0.3dtex(繊維径2μm)の極細繊維を用いてなるカットパイル地(パイル高さ3.8mm、パイル密度100個/cm)からなるワイパーを準備し、各物性を評価した。(表1)
Figure 0004451117
本発明に用いる嵩高繊維シートの一例を示す断面図。
符号の説明
1:嵩高繊維シート
2:起毛状突起部

Claims (4)

  1. 表面に起毛状突起部を有する嵩高繊維シートと、表面に平滑な面を有する繊維シートとが積層されてなるワイパーであって、該嵩高繊維シートがメルトブロー不織布からなり、平均繊維径が20〜50μmの範囲にあって、該嵩高繊維シートを構成する素材が、MFRが10〜100g/10minのポリプロピレンであって、実質的に連続繊維からなり、かつ構成繊維の50〜90%が2本以上の略並行的に融着した束状繊維を形成してなることを特徴とするワイパー。
  2. 該起毛状突起部が、高さ0.2〜5mmであり、かつ3個/cm2以上の密度で存在する請求項1記載のワイパー。
  3. 該嵩高繊維シートと該繊維シートとの間に熱接着性シートを配してなり、3層が接着一体化されてなる請求項1または2に記載のワイパー。
  4. 該接着性シートが熱可塑性エラストマーからなる請求項3に記載のワイパー。
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