JP2007020615A - 清掃用シート - Google Patents

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【課題】 清掃用シートを清掃具から脱着/装着する操作を繰り返し行っても、シート表面の荒れや、シートからの繊維の抜け落ちが防止された清掃用シートを提供すること。
【解決手段】 本発明の清掃用シート1は、下面が平坦面であると共に、上面に清掃用シートの固定部を有するヘッド部11を備えた清掃具12における該ヘッド部11に装着して用いられる。清掃用シート1は繊維ウエブを水流交絡させて形成された繊維集合体2を具備する。繊維集合体2は低交絡部4と高交絡部5とを有する。高交絡部5は、ヘッド部11の固定部によって固定される位置に形成されている。低交絡部4は、ヘッド部11の平坦面に対応する位置に形成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、床面等の清掃に特に好適に用いられる清掃用シートに関する。
繊維ウエブ水流交絡させて形成された繊維集合体を有する清掃用シートが種々知られている(例えば特許文献1参照)。この種の清掃用シートは、一般に下面が平坦面であると共に、上面に清掃用シートの固定部を有するヘッド部を備えた清掃具における該ヘッド部に固定して用いられる。ヘッド部に形成された固定部は、放射状のスリットを形成する可撓性の複数の片部から構成されている。清掃用シートは、これを固定部内に押し込むことで、複数の片部と係合してヘッド部に固定される。
ところで、この種の清掃用シートにおけるダストの捕集性を高めるには、構成繊維の自由度を高くすることが有効である。そのためには繊維の交絡の程度を低くすればよい。しかし、繊維の交絡の程度を低くすると、シートの強度が低下しやすくなるので、シートの清掃面の取り替え(表裏面の反転)などの目的で、シートをヘッド部から脱着する操作を行うと、シートの表面が荒れる、シートから繊維が抜け落ちやすくなるなどの不都合が生じるおそれがある。
シートの抜け落ちとは別に、清掃用シートの互いに平行な一組の辺それぞれの近傍に、清掃用シートを貫通し且つ該辺に沿う方向に延びる複数条の切り込みが施されている清掃用シートが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2では、清掃用シートを、種々の清掃具に容易に取り付けることを目的としている。しかし、シート脱着に起因する繊維の抜け落ちについては何ら考慮されていない。
特開平7−184815号公報 特開平10−14839号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る清掃用シートを提供することにある。
本発明は、下面が平坦面であると共に、上面に清掃用シートの固定部を有するヘッド部を備えた清掃具における該ヘッド部に装着して用いられる清掃用シートであって、
前記清掃用シートは繊維ウエブを水流交絡させて形成された繊維集合体を具備し、
前記繊維集合体が、繊維交絡度の低い低交絡部と、該低交絡部よりも繊維交絡度の高い高交絡部とを有し、
前記高交絡部が、前記ヘッド部の前記固定部によって固定される位置に形成されていると共に前記低交絡部が前記平坦面に対応する位置に形成されている清掃用シートを提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の清掃用シートによれば、清掃用シートを清掃具から脱着/装着する操作を繰り返し行っても、シート表面の荒れや、シートからの繊維の抜け落ちが起こりにくくなる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明の清掃用シートの一実施形態の斜視図が示されている。本実施形態の清掃用シート1は、繊維ウエブの水流交絡で形成された繊維集合体2と、繊維集合体2の内部に配された格子状の網状シート3とから構成されている。繊維集合体2と網状シート3とは、水流交絡によって繊維集合体2の構成繊維と網状シート3とが交絡し、両者が一体化している。
繊維集合体2は、繊維交絡度の低い低交絡部4と、低交絡部4よりも繊維交絡度の高い高交絡部5とから構成されている。低交絡部4が清掃用シート1として十分な強度をもつために、清掃用シート全体又は清掃面において繊維集合体2と網状シート3を絡合一体化又は熱融着接合一体化することが好ましい。高交絡部5の厚みは、低交絡部4の厚みよりも小さくなっている。低交絡部4と高交絡部5とでは坪量は実質的に同じになっている。その結果、低交絡部4は高交絡部5よりも見掛け密度が小さくなっている。
高交絡部5は、清掃用シート1の対向する一組の端部に所定幅をもって帯状に形成されている。特に高交絡部5は、清掃用シート1の清掃方向(図1中、Xで示す方向)における前後端部に形成されていることが好ましい。一方、低交絡部4は所定幅をもって形成されている帯状の高交絡部5間に形成されている。
図2には、本実施形態の清掃用シート1の使用状態が示されている。清掃用シート1は、ヘッド部11と該ヘッド部11に旋回可能に連結された棒状の把手12とを具備した清掃具10における該ヘッド部11に装着されて、主として床の清掃に用いられる。詳細には、清掃具10は、清掃用シート1が装着可能である板状のヘッド部11及びヘッド部11と自在継手13を介して連結した棒状の把手12から構成されている。ヘッド部11は、その下面が平坦面であると共に、上面に清掃用シート1の固定部14を有する。なおここで言う平坦面とは、下面全体として平らであることを意味し、該面に小さな凹凸や孔が形成されている場合も包含する。固定部14は、放射状のスリットを形成する可撓性の複数の片部15からなる。この固定部14内に清掃用シート1を押し込むことで、シート1が複数の片部15と係合してヘッド部11に固定される。
先に述べた高交絡部5は、清掃用シート1がヘッド部11に取り付けられた状態において、該ヘッド部11の固定部14によって固定される位置に形成されている。高交絡部5は、繊維どうしの交絡の程度が高く、繊維が抜け落ちにくい状態になっているので、高交絡部5を固定部14に固定することで、清掃用シート1を脱着/装着する操作を繰り返し行っても、シートの荒れや、繊維の抜け落ちが起こりにくくなる。
一方、低交絡部4は、清掃用シート1がヘッド部11に取り付けられた状態において、ヘッド部11における下面の平坦面に対応する位置に位置し、清掃時における清掃面となる。低交絡部4は、繊維交絡度が低い部位であることから構成繊維の自由度が高くなっている。従って低交絡部4は、細かな埃から髪の毛やパン粉といった比較的大きなダストまで効率よく捕集することができる。この観点から、低交絡部4における繊維の交絡係数は0.05〜0.7N・m/g、特に0.10〜0.65N・m/gという低い値であることが好ましい。交絡係数は構成繊維間の交絡状態を表す尺度であり、低交絡部4における、その繊維配向に対する垂直方向の応力−ひずみ曲線の初期勾配で表される。その値が小さいほど繊維間の交絡が弱いといえる。このとき、繊維配向とは引張強度試験時の最大点荷重値が最大となる方向であり、応力は引張荷重をつかみ幅(引張強度試験時の試験片幅)及び低交絡部4の坪量で割った値であり、ひずみは伸び量を示す。
前述の通り、低交絡部4が主にダストの捕集に関与する部位であるのに対して、高交絡部5は主にシートの荒れ防止や繊維の抜け落ち防止に関与する部位である。この観点から、高交絡部5における繊維の交絡係数は1.0〜3.0N・m/g、特に1.2〜2.5N・m/gという高い値であることが好ましい。
清掃用シート1の脱着に起因するシートの荒れや構成繊維の抜け落ちを防止するためには、高交絡部5の面積を大きくすればよい。しかし、高交絡部5は低交絡部4に比較してダストの捕集能が低いので、高交絡部5の面積を大きくしすぎることは、シート1全体のダストの捕集能を低下させることになる。逆に、低交絡部4の面積を大きくすればダストの捕集能は高まるが、シートの荒れや繊維の抜け落ちが起こりやすくなる。これらの観点から、清掃用シート1においては、これをヘッド部11に取り付けた状態において、下面の平坦面には低交絡部4のみが位置すると共に、ヘッド部11の上面側に折り返された部分には高交絡部5が必ず位置するように、両交絡部4,5を配置することが好ましい。
シートの荒れや構成繊維の抜け落ち防止には、該繊維の繊維長も関係している。具体的には、構成繊維の繊維長が短すぎると、繊維が高交絡部5によって固定される確率が低下するので、繊維が抜け落ちやすくなる傾向にある。従って、繊維が長くなればなるほど抜け落ち防止には効果的である。しかし、繊維が長すぎると繊維ウエブの形成や、繊維ウエブの水流交絡に支障を来す場合がある。これらの観点から、構成繊維の繊維長は30〜70mm、特に35〜65mmであることが好ましい。繊維集合体2が複数の繊維から構成されている場合には、すべての構成繊維が前記の繊維長の範囲を満たすことが最も好ましい。しかし、最も配合比率の高い繊維が前記の繊維長の範囲を満たしていれば、繊維の抜け落ち防止に十分に効果的である。
次に、本実施形態の清掃用シート1の構成材料について説明する。シート1における繊維集合体2は、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂の繊維を含んでいる。またアセテート等の半合成繊維、キュプラ、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることもできる。これら各種繊維を組み合わせて用いてもよい。繊維集合体2に熱融着繊維が含まれていることが好ましい。熱融着繊維としては、高融点重合体を芯成分とし、高融点重合体の融点よりも少なくとも10℃以上低融点の低融点重合体を鞘成分とした芯鞘型複合繊維、あるいは高融点重合体と低融点重合体とを接合させたサイド・バイ・サイド型複合繊維が好ましく用いられる。複合繊維を構成する高融点重合体と低融点重合体との組み合わせとしては、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、高融点ポリエステル/低融点ポリエステル等が挙げられる。
繊維集合体2の坪量は30〜100g/m2、特に40〜70g/m2であることが好ましい。ダストの捕集性を向上させ得る界面活性剤や潤滑剤を、繊維集合体2に施してもよい。
網状シート3としては、例えばポリプロピレンのような熱可塑性樹脂製の格子状ネットを用いることができる。網状シート3の線径は好ましくは50〜600μm、更に好ましくは100〜400μmである。また、線間距離は好ましくは2〜30mm、更に好ましくは4〜20mmである。また網状シート3として、本出願人の先の出願に係る特開平7−184815号公報の図4(a)ないし(c)に記載のものを用いることもできる。網状シート3の構成材料は熱収縮性であってもよい。熱収縮性の材料を用い、シート1の製造時に加熱処理を施すことにより、見掛け厚みが大きなシート1を得ることができる。また、網状シートのかわりに、不織布、紙、穴あきフィルム等を用いることも出来る。不織布としてはスパンボンド不織布が好ましい。
次に、本実施形態の清掃用シート1の製造方法の好ましい一実施形態を、図3を参照して説明する。本実施形態の清掃用シート1の製造方法においては、網状シート3の両面に上層繊維ウエブ2a及び下層繊維ウエブ2bをそれぞれ重ね合わせる、重ね合わせ工程と、水流交絡によって繊維ウエブ2a及び2bの構成繊維間を交絡させて低交絡状態の繊維集合体を形成すると共に該構成繊維と網状シート3とを交絡させて、両者がー体化された低交絡体6を形成する低交絡工程と、低交絡体6を更に水流交絡させて低交絡体6の交絡状態よりも高交絡状態の高交絡部を形成する高交絡工程とが、この順で進行する。
図3には、本実施形態の清掃用シート1の製造方法に好ましく用いられる製造装置10が示されている。製造装置10は、重ね合わせ部10A、低交絡処理部10B、高交絡処理部10C及び乾燥部10Dに大別される。
このような構成の製造装置10においては、先ず、重ね合わせ部10Aにおけるカード機11A、11Bの各々から連続的に繊維ウエブ2a及び2bがそれぞれ繰り出される。一方、カード機11A、11Bの間には網状シート3のロール12が配設され、ロール12から網状シート3が繰り出される。そして網状シート3の両面に、繊維ウエブ2a及び2bがそれぞれ重ね合わされて重ね合わせ体7が形成される。
低交絡処理部10Bにおいて、重ね合わせ体7は、周面がワイヤーメッシュやパンチングメタル等の透水性材料から構成されているドラム13aの該周面に抱かれた状態下に、該ドラム13aの周面に対向して設置された第1のウォータージェットノズル14aから噴出される高圧のジェット水流により交絡処理される。交絡処理は、重ね合わせ体7の一方の面から行われる。これにより、重ね合わせ体7中の繊維ウエブ2a,2bの構成繊維間が交絡されて低交絡状態の繊維集合体が形成されると共に該構成織維と網状シート3とが交絡されて、三者が一体化された低交絡体6が得られる。繊維集合体を低交絡状態とするために、ジェット水流の水圧を適切に調整する。繊維集合体の坪量にもよるが、1.0〜8.0MPa程度の水圧でジェット水流を噴射することで、満足すべき低交絡状態が得られる。
次いで低交絡体6は無端縁ベルト15よって搬送され、更にその表裏が反転されて、第2のウォータージェットノズル14bから噴出される高圧のジェット水流により再度交絡処理される。この交絡処理は、先に行われた交絡処理面と反対側の面から行われる。交絡処理は、先に述べたドラム13aと同様の構造を有するドラム13bの周面に低交絡体6が抱かれた状態下に行われる。ジェット水流の水圧は、先に行った交絡処理と同条件とすることができる。表裏に交絡処理を行うことで、交絡の程度が表裏で同程度の清掃用シートを得ることができる。
2度目の交絡処理が行われた低交絡体6は、透水性材料からなる無端縁ベルト16によって搬送され、サクションボックス17によって過剰の水分が除去される。次いで低交絡体6は、再び表裏が反転されて高交絡処理部10Cに導入される。高交絡処理部10Cは、低交絡体6を搬送する透水性材料からなる無端縁ベルト18を備えている。無端縁ベルト18上にはノズルヘッド19a,19bが設置されている。無端縁ベルト18を挟んでノズルヘッド19a,19bと対向する位置には、サクションボックス20が設置されている。
高交絡処理部10Cにおいては、低交絡体6を搬送させた状態下に、ノズルヘッド19a,19bから低交絡体6へ向けて高圧ジェット水流が噴射される。これによって低交絡体6を更に水流交絡させて、低交絡体6の交絡状態よりも高交絡状態を有する高交絡部5を形成する。繊維集合体の坪量にもよるが、2.0〜15.0MPa程度の水圧でジェット水流を噴射することで、満足すべき高交絡状態が得られる。
このようにして低交絡部4及び高交絡部5を有する繊維集合体2を備えた清掃用シート1が得られる。この状態のシート1はサクションボックス20によって水分が除去されているものの未だ含水状態にあるので、これを乾燥部10Dに導入して更に水分を除去して乾燥状態にする。このようにして目的とする清掃用シート1が得られる。
得られた清掃用シート1は、フローリング等の床面の清掃に特に好適に用いられる。また比較的広い面積のテーブルや机などの家具、テレビやビデオデッキ、冷蔵庫などの家電製品等の清掃に用いることもできる。また、得られた清掃用シート1は乾式のものであるが、これに洗浄剤を適量含浸させることで湿式の清掃用シートとなしてもよい。
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態における高交絡部5は清掃方向と直交する方向に延びる所定幅の帯状のものであったが、これに代えて、高交絡部は、図4に示すように、シート1の四隅部にそれぞれ形成された矩形状又はその他種々の形状であってもよい。
また前記実施形態においては、繊維集合体2内に網状シート3が配置されていたが、所望の保形性や強度が保たれる範囲において網状シートを用いる必要はない。
また、前記実施形態のシート1はその表裏に凹凸が形成されていない実質的に平坦なものであったが、これに代えて、本出願人の先の出願に係る特許第3537775号明細書に記載されているような多数の凸部及び凹部を有する清掃用シートに低交絡部及び高交絡部を形成してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〕
図3に示す製造装置を用いて、図4に示す清掃用シートを製造した。ポリエステル繊維(1.4dtex×38mm/2.2dtex×51mm=70%/30%)を原料とし、常法のカード法を用い坪量27g/m2の繊維ウエブを得た。網状シートとしてポリプロピレン製の格子状ネット(繊維間距離8mm、線径300μm)を用いた。網状シートの上下に繊維ウエブを重ね合わせた後、水圧5MPaの条件で複数のノズルから噴出したジェット水流で交絡一体化し、繊維集合体を有する矩形の低交絡体を得た。
次いで低交絡体における四隅部に高交絡部をそれぞれ形成した。高交絡部の幅は40mm、長さは100mmとした。ジェット水流の水圧は8MPaであった。次いで、流動パラフィンとノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)9:1(重量比)からなる油剤をシートに対して5重量%塗布して清掃用シート(清掃方向の長さ220mm、幅280mm)を得た。
〔実施例2〕
実施例1において、低交絡部及び高低交絡を形成するために用いるジェット水流の水圧をそれぞれ4MPa及び10MPaとする以外は実施例1と同様にして清掃用シートを得た。
〔比較例1〕
実施例1において高交絡部を形成しない以外は実施例1と同様にして清掃用シートを得た。
〔比較例2〕
実施例1において低交絡部の全域にジェット水流を施して、シート全体を高交絡部とした以外は実施例1と同様にして清掃用シートを得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた清掃用シートについて、以下の方法で低交絡部及び高交絡部の交絡係数を測定した。また以下の方法で、清掃具への取り付け及び取り外し操作を繰り返した後のシートの荒れ及び繊維の抜け落ち状態を評価した。更に、髪の毛及び綿埃の捕集性能を以下の方法で評価、測定した。これらの結果を表1に示す。
〔交絡係数〕
低交絡部及び高交絡部からそれぞれ格子状ネットを抜き取り繊維集合体のみとし、繊維配向と直交方向に幅15mmのサンプルを切り出した。このサンプルを引張試験機によって50mmのチャック間距離で把持し、繊維配向と直交方向に30mm/minの速度で引っ張り、サンプルの伸びに対する引張荷重値を測定した。そして、引張荷重値F(g)を、サンプル幅(m)と繊維集合体の坪量W(g/m2)で割った値を応力S(m)として応力−ひずみ(伸度)曲線を求めた。
応力S(m)=(F/0.015)/W
繊維の絡合のみからなる繊維集合体は、この応力−ひずみ(伸度)曲線の初期に直線関係が成り立つ。この直線の傾きを求め、その値を交絡係数E(m)とした。例えば、図5のような応力−ひずみ(伸度)曲線において、比例限界をPとし、このPにおける応力をSP、ひずみ(伸度)をγPとすると、交絡係数はE=SP/γPで示される。(SP=60m、γP=86%であるとき、E=60/0.86=70mとなる。)ただし、このOPは厳密には直線にはならないこともあるので、その際には直線に近似する必要がある。
〔シートの荒れ及び繊維の抜け落ち〕
清掃用シートを、花王株式会社製の清掃具であるクイックルワイパー(登録商標)に取り付け、更にそれを取り外す操作を10回繰り返した。清掃具に取り付けた部分のシートの荒れ(繊維の毛羽立ち)及び繊維の抜け落ち状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎・・・シートは繊維の毛羽立ちもなく、また道具への繊維の抜け落ちも見られない。
○・・・シートは繊維の毛羽立ちが若干見られるが、道具への繊維の抜け落ちは見られない。
△・・・シートは繊維の毛羽立ちが若干見られ、道具への繊維の抜け落ちも見られる。
×・・・シートは繊維の毛羽立ちがはっきりと見られるとともに、道具への繊維の抜け落ちが多く見られる。
〔髪の毛の捕集性能〕
清掃用シートを、花王株式会社製の清掃具であるクイックルワイパー(登録商標)に取り付けた。30cm×60cmのフローリング(松下電工製 ウッディタイルMT613T)上に約20cmの髪の毛を10本散布した。その上にシートを乗せて一定のストローク(60cm)で1往復清掃してシートに捕集された髪の毛の本数を測定した。この操作を3回実施して、30本中何本の髪の毛が捕集されたかを測定した。捕集された髪の毛の数を30で除し、これに100を乗じて、その値を髪の毛の捕集率(%)を求めた。この値に基づき、以下の基準で髪の毛の捕集性能を評価した。
◎・・・60%以上の捕集率
○・・・40%以上60%未満の捕集率
△・・・20%以上40%未満の捕集率
×・・・0%以上20%未満の捕集率
〔綿埃の捕集性能〕
綿埃として、藤久株式会社販売のアクリル100%毛糸ウィスターカラフルメイト極太を長さ5mmにカットおよび解繊し、これをモデル綿埃として用いた。そのモデル綿埃を180cm×180cmのフローリング(松下電工製 ウッディタイルMT613T)に0.5g均一に散布した。花王株式会社製の清掃具であるクイックルワイパー(登録商標)に清掃用シートを取り付け、モデル綿埃の清掃評価を行なった。モデル綿埃の散布量をa(g)、フローリングに残ったモデル綿埃の量をb(g)とすると、綿埃の捕集率は、捕集率(%)=(a−b)/a×100で定義される。この値に基づき、以下の基準で綿埃の捕集性能を評価した。
◎・・・80%以上の捕集率
○・・・60%以上80%未満の捕集率
△・・・40%以上60%未満の捕集率
×・・・0%以上40%未満の捕集率
Figure 2007020615
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の清掃用シートは、清掃具への取り付け及び清掃具からの取り外しの操作を繰り返しても、シートの荒れや繊維の抜け落ちが防止されていることが判る。また髪の毛及び綿埃の捕集性が高いことが判る。これに対して高交絡部を形成していない比較例1のシートでは、髪の毛及び綿埃の捕集性は高いものの、シートの荒れや繊維の抜け落ちが発生することが判る。シート全域が高交絡部になっており、低交絡部を有さない比較例2のシートでは、シートの荒れや繊維の抜け落ちは防止されるものの、髪の毛及び綿埃の捕集性が低くなってしまうことが判る。
本発明の清掃用シートの一実施形態を示す斜視図である。 図1に示す清掃用シートの一使用形態を示す斜視図である。 図1に示す清掃用シートの好適な製造装置を示す模式図である。 本発明の清掃用シートの別の実施形態を示す模式図である。 応力−歪み曲線の特性線図である。
符号の説明
1 清掃用シート
2 繊維集合体
3 網状シート
4 低交絡部
5 高交絡部

Claims (4)

  1. 下面が平坦面であると共に、上面に清掃用シートの固定部を有するヘッド部を備えた清掃具における該ヘッド部に装着して用いられる清掃用シートであって、
    前記清掃用シートは繊維ウエブを水流交絡させて形成された繊維集合体を具備し、
    前記繊維集合体が、繊維交絡度の低い低交絡部と、該低交絡部よりも繊維交絡度の高い高交絡部とを有し、
    前記高交絡部が、前記ヘッド部の前記固定部によって固定される位置に形成されていると共に前記低交絡部が前記平坦面に対応する位置に形成されている清掃用シート。
  2. 前記高交絡部が、清掃用シートの対向する一組の端部に形成されているか、又は清掃用シートの四隅部に形成されている請求項1記載の清掃用シート。
  3. 低交絡部における繊維の交絡係数が0.05〜0.7N・m/gであり、高交絡部における繊維の交絡係数が1.0〜3.0N・m/gである請求項1又は2記載の清掃用シート。
  4. 前記固定部が、放射状のスリットを形成する可撓性の複数の片部からなる請求項1ないし3の何れかに記載の清掃用シート。
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