JP5937306B2 - 清掃用シート - Google Patents

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本発明は、床上、棚、壁等の髪の毛、ほこり、粒状ゴミ等の捕集・除去のために好適に用いられる清掃用シートに関する。
清掃用シートとして、スパンレース不織布等の不織布を主体とし、起毛処理によって該不織布の構成繊維が起毛(毛羽立ち)されているものが知られている(例えば特許文献1及び2参照)。特許文献1及び2に記載の起毛処理は、周面に多数の針を有するローラー(カウンターパイルローラー)の該周面に、処理対象の不織布を当てて回転させることによりなされる。特許文献1及び2によれば、斯かる起毛処理により、ローラーの針に不織布の構成繊維が引っ掛かり、引っ掛かった構成繊維が切断され、あるいは引っ掛かった構成繊維が切断され且つ交絡がほぐされて、起毛繊維が多数生じるとされており、斯かる起毛繊維によってゴミ捕集性が向上するとされている。
特開平11−318791号公報 特開2007−190254号公報
清掃用シートは、乾燥した被清掃面の清掃(又は乾燥したゴミの捕集)のみならず、濡れた被清掃面の清掃(又は濡れたゴミの捕集)にも使用される場合がある。従って、清掃用シートには、被清掃面あるいは該被清掃面上のゴミが乾燥しているか濡れているかにかかわらず、髪の毛、ほこり等のゴミを容易に拭き取ることが可能な高いゴミ捕集性と、捕集したゴミを落とさずに保持し得る高いゴミ保持性とが要求される。しかしながら、被清掃面やゴミの乾燥状態は、清掃用シートによるゴミの捕集性に少なからず影響を及ぼし、従来、被清掃面あるいはゴミが濡れている場合、これらが乾燥している場合に比して、清掃用シートによるゴミの捕集性が低下することがあった。また、清掃用シートには、高いゴミ捕集性及びゴミ保持性に加えて、実用上十分な強度を有し、構成繊維の抜けができる限り少ないことも要求されるが、これらの特性を全て満たす清掃用シートは未だ提供されていない。
従って、本発明は、被清掃面やゴミの乾燥状態にかかわらず、髪の毛、ほこり等のゴミに対して優れた捕集性及び保持性を示し、且つ構成繊維の抜けを起こし難い清掃用シートに関する。
本発明は、繊維集合体及び該繊維集合体を支持する支持体を有し、該繊維集合体の構成繊維が、該構成繊維どうしで絡合していると共に該支持体とも絡合して、該繊維集合体と該支持体とが一体的な絡合状態を形成している清掃用シートであって、前記清掃用シートを側面視したときの該清掃用シートの一面の輪郭を結ぶ直線よりも外方に、起毛処理によって形成された、長さ10mm以上の前記構成繊維の繊維端部が存している清掃用シートを提供するものである。
本発明の清掃用シートは、被清掃面やゴミが乾燥しているか濡れているかにかかわらず、髪の毛、ほこり等のゴミに対して優れた捕集性及び保持性を示し、且つ構成繊維の抜けを起こし難い。
図1は、本発明の清掃用シートの一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図である。 図3は、図1に示す清掃用シートの一面(起毛処理面)を拡大して模式的に示す側面図である。 図4は、繊維端部の繊維集合体からのはみ出し長さの測定方法の説明図である。 図5は、図1に示す清掃用シートにおける支持体の平面図である。 図6(a)〜図6(c)は、それぞれ、本発明に係る支持体の他の実施形態の平面図である。 図7は、図1に示す清掃用シートの製造に使用可能な製造装置の概略図である。 図8は、図1に示す清掃用シートの製造に使用可能な製造装置(起毛加工装置)の概略図である。
以下、本発明の清掃用シートを、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。本実施形態の清掃用シート1は、図1及び図2に示すように、繊維集合体2及び繊維集合体2を支持する支持体3を有し、繊維集合体2の構成繊維が、構成繊維どうしで絡合していると共に支持体3とも絡合して、繊維集合体2と支持体3とが一体的な絡合状態を形成している。支持体3は、清掃用シート1の厚み方向の内部に存しており、図2に示すように、支持体3の上下面それぞれが繊維集合体2で覆われている。清掃用シート1の一面1a及びその反対側に位置する他面1bは、それぞれ、繊維集合体2から形成されている。清掃用シート1は、水性洗浄剤等の液体が意図的には含浸されていない乾式の清掃用シートである。
繊維集合体2は、繊維を主体とする繊維ウエブの繊維絡合で形成された不織布状のものである。本実施形態に係る繊維集合体2は、後述するように繊維ウエブを水流交絡させて形成されており、いわゆるスパンレース不織布である。本実施形態に係る繊維集合体2は、構成繊維の絡合のみによって形成されているので、構成繊維の融着や接着のみによって形成されている繊維集合体(例えばエアスルー不織布やスパンボンド不織布)と比べてその構成繊維の自由度が大きい。そのため、その構成繊維による髪の毛や細かなほこり等のゴミの捕集性及び保持性に優れると共に、感触が柔らかくて被清掃面に追従しやすく、また被清掃面に傷を付け難い。
本実施形態の清掃用シート1の主たる特長の1つとして、図3に示すように、清掃用シート1を側面視したときの該清掃用シート1の一面1aの輪郭を結ぶ直線BLよりも外方(清掃用シート1あるいは繊維集合体2の外方)に、長さ10mm以上の構成繊維の繊維端部(以下、長繊維端部ともいう)21が存している点が挙げられる。つまり、繊維端部の長さは、構成繊維における、繊維集合体2の外方にはみ出した部分(端部)の長さであり、以下、「繊維集合体からのはみ出し長さ」とも称す。長繊維端部21は、後述するように、繊維集合体2の起毛処理によって構成繊維が切断されずに繊維集合体2から部分的に引き抜かれて繊維集合体2の表面(輪郭)よりも外方に位置するに至ったもので、構成繊維本来の繊維端部(起毛処理前の繊維端部)であり、構成繊維が切断されて生じた切断繊維端部ではない。長繊維端部21を有する構成繊維における、長繊維端部21とは反対側の端部は、繊維集合体2中に存し他の構成繊維あるいは支持体3と絡合している。本実施形態において、繊維集合体2からのはみ出し長さが10mm以上という比較的長い長繊維端部21が存する理由は、このような繊維集合体の構成繊維の引き抜きによる起毛処理を採用しているためであり、特許文献1及び2に記載の如き、周面に多数の針を有するローラー(カウンターパイルローラー)を用いた起毛処理では、これらの特許文献にも記載されているように、針に引っ掛かった構成繊維の多くはそのまま引き抜かれずに切断されてしまうため、10mm以上のはみ出し長さは得られ難い。尚、図3では、長繊維端部21が清掃用シート1の一面1aから概ね該一面1aと交差する方向に延びて起立しているように記載しているが、実際には使用前の状態において、長繊維端部21は、図3に示す形態をとっているとは限らず、例えば、直線BLよりも外方位置において一面1aに概ね沿っている場合もあり、また、捲縮せずに概ね一方向に延びる形態のみならず、捲縮している形態をとる場合もある。
直線BLは、前述したように清掃用シート1の一面(起毛処理面)1aの輪郭を結ぶ直線であり、一面1aが凹凸の無い平坦面である場合は、該平坦面の輪郭線と一致し、また後述する、繊維端部の繊維集合体からのはみ出し長さの測定方法において、測定サンプル(清掃用シート)を山折りしたときの折り線90L(図4参照)とも一致するが、一面1aが図1〜図3に示す如き凹凸を有する凹凸面である場合は、該凹凸面の輪郭線とは一致せず、別途定義付けが必要である。そこで、本発明においては、一面1aが凹凸面である場合、その凹凸を構成する凸状部の頂部における接線を直線BLとし、凹凸を構成する複数の凸状部の高さが異なる場合は、高さが最も高い凸状部の頂部における接線を直線BLとする。直線BLは、光学顕微鏡による清掃用シート1の側面(あるいは厚み方向に沿う断面)観察によって決定することができる。
清掃用シート1は、長繊維端部21が存する一面(起毛処理面)1aを有していることにより、髪の毛、ほこり等のゴミに対して一定の捕集性及び保持性を有し、更に、長繊維端部21の繊維集合体2からのはみ出し長さが10mm以上であることにより、ゴミ捕集性及びゴミ保持性がより一層向上しており、床面等の被清掃面が乾燥している(又は捕集対象のゴミが乾燥している)場合は勿論のこと、被清掃面が水等で濡れている(又は捕集対象のゴミが濡れている)場合でも、優れたゴミ捕集性及びゴミ保持性を発揮し得る。はみ出し長さが10mm未満では、ゴミ捕集性やゴミ保持性が不十分となり、特に、被清掃面やゴミが濡れている場合のゴミ捕集性やゴミ保持性が不十分となる。長繊維端部21による斯かる作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、長繊維端部21のはみ出し長さは、好ましくは10〜30mm、更に好ましくは10〜25mmである。はみ出し長さが長すぎると、構成繊維全体が繊維集合体2から抜けやすくなり、長繊維端部21が存在しなくなるおそれがある。繊維端部の繊維集合体からのはみ出し長さは次のようにして測定される。
<繊維端部の長さ(繊維集合体からのはみ出し長さ)の測定方法>
図4は、繊維端部の長さの測定方法の説明図である。測定対象の起毛処理面を有するシートを20cm×20cmに切断して測定サンプル90とし、測定サンプル90を、起毛処理面側を外向きにして直線状の折り線90Lにて山折りし、その山折り状態を維持したままA4サイズの黒い台紙91の上に載せる。図4中符合90Aは、山折りによって台紙91側に折り返された測定サンプル90の一端部であり、符合90Bは、測定サンプル90の他端部である。尚、測定サンプル90を山折りする際の折り曲げ方向は、特に限定されず、測定サンプル90のMD(Machine Direction)でも良く、MDに直交するCD(Cross machine Direction)でも良いが、通常はMDとする。「折り曲げ方向をMDとする」とは、折り線90Lの延びる方向がCD(MDに直交する方向)に一致するように測定サンプル90を折り曲げることを意味する。測定サンプル90が載せられた台紙91における、折り線90Lから該折り線90Lと直交する方向(台紙91の長手方向)の外方に30mmに亘る領域の全域に、折り線90Lに沿って両面テープ92を貼り付けておく(両面テープ92が折り線90Lに重ならないようにする)。両面テープ92の、折り線90Lに沿う方向の長さL92は10cmとする。そして、台紙91上に載せられた測定サンプル90における、折り線90L(両面テープ92の折り線90L側の長手方向側縁)から台紙91の長手方向内方に10mmに亘る面積10cm2の平面視矩形形状の領域(図4中斜線を付した部分)を測定対象領域93とし、測定対象領域93を刷毛〔株式会社コメリ製、一般用刷毛NO.812、刷毛幅(刷毛における毛が配されている部分全体の幅)30mm〕を用いて撫で、測定対象領域93に存する測定サンプル90の構成繊維の繊維端部94を、折り線90Lと直交する方向にまっすぐに伸ばした状態で両面テープ92に付着させる。この刷毛による測定対象領域93の撫では、刷毛を折り線90Lと直交する方向に測定サンプル90の内方から外方(両面テープ92)に向かって動かす操作を10回繰り返すことによって実施され、且つ刷毛による撫での最中に測定対象領域93にかかる力(撫でる力)が5〜15gfの範囲に入るように調整する。撫でる力は、秤を用いて測定することができ、その測定値を参考にして調整することできる。こうして、図4に示す如く折り線90Lと直交する方向に伸びた状態で両面テープ92に付着した複数本の繊維端部94それぞれについて、当該繊維端部94の自由端から前記直線BL〔測定サンプル90(清掃用シート)を側面視したときの該測定サンプル90の起毛処理面の輪郭を結ぶ直線〕まで延びる垂線を引き、該垂線の長さを、当該繊維端部94の繊維集合体からのはみ出し長さL0(図4参照)とする。直線BLについては前述した通りであり、測定サンプル90の起毛処理面が凹凸の無い平坦面である場合は、直線BLは折り線90と一致する。1枚の測定サンプル90につき、任意の3箇所の測定対象領域93それぞれについて、前述した手順で複数本の繊維端部94それぞれのはみ出し長さL0を測定し、それら複数のL0のうちの最大値を、当該測定サンプル90における繊維端部の繊維集合体からのはみ出し長さとする。
繊維集合体2からのはみ出し長さ10mm以上の長繊維端部21は、ゴミ捕集性及びゴミ保持性をより確実に向上させる観点から、起毛処理面1aの何れの位置においても、起毛処理面10cm2当たり(図4に示す平面視矩形形状の測定対象領域93当たり)10本以上存していることが好ましく、特に10〜60本存していることが好ましい。即ち、清掃用シート1における長繊維端部数は10本以上が好ましい。長繊維端部数は、前述したはみ出し長さの測定方法(図4参照)において、両面テープ92に付着した複数本の繊維端部94のうち、はみ出し長さL0が10mm以上のものの数に相当し、具体的には、1枚の測定サンプル90につき、任意の3箇所の測定対象領域93それぞれについて、はみ出し長さL0が10mm以上の繊維端部94(即ち長繊維端部)の本数を数え、それらの平均値を、当該測定サンプル90における長繊維端部数とする。
本実施形態においては、図1及び図2に示すように、長繊維端部21が存する清掃用シート1の一面(起毛処理面)1aが、凸状部11及び凹状部12からなる凹凸を有している。より具体的には、清掃用シート1は、一面1a及びその反対側に位置する他面1bを有し、他面1b側から一面1a側に突出して形成された多数の凸状部11を有している。隣接する凸状部11,11間には、凹状部12が形成されており、多数の凸状部11及び凹状部12によりシート全体が凹凸形状となっている。このように、シート表面に凹凸が付与されていることにより、その凹凸自体でゴミを捕集・保持することが可能になると共に、後述する起毛加工装置における起毛加工ロールと起毛加工対象シートとの接触による該シートの起毛処理において、該シートの表面が凹凸の無い平坦面である場合に比して、特に凹凸を構成する凸状部11が効率良く起毛加工ロールの周面に当接するため、該シートの構成繊維の引き抜きが容易で長繊維端部21が得られ易く、長繊維端部21による前述した作用効果がより確実に奏される。
また、本実施形態においては、凸状部11は凹状部12に比して長繊維端部21が多い。より具体的には、繊維集合体2からのはみ出し長さ10mm以上の長繊維端部21は、凸状部11の頂部及びその近傍で相対的に多く、凹状部12の底部及びその近傍で相対的に少ない。また、これに関連して、凸状部11の頂部及びその近傍における、構成繊維の繊維端部の繊維集合体2からのはみ出し長さ(複数の繊維端部のはみ出し長さの平均値)は、凹状部12の底部及びその近傍における該はみ出し長さに比して長い。このように、凸状部11が凹状部12に比して長繊維端部21が多く、また、前記はみ出し長さが長い理由は、前述したように、凸状部11及び凹状部12からなる凹凸面の起毛処理において、凸状部11が凹状部12に比して起毛加工ロールとの当接機会が多いためである。尚、前記「凸状部11の頂部及びその近傍」は、凸状部11をその高さh(図2参照)の方向に3等分して上から順に「上層」、「中層」、「下層」とした場合の「上層」に相当する部位であり、前記「凹状部12の底部及びその近傍」は「下層」に相当する部位である。
そして、このように、凸状部11に長繊維端部21が相対的に多く存在し、凹状部12の繊維端部の前記はみ出し長さが相対的に短いことにより、凸状部11と凹状部12とで機能が異なり、それによって清掃用シート1の一面(凹凸面)1a全体として、各種のゴミを効率的に捕集・保持することができる。本発明者らが図1及び図2に示す如き凹凸面を有する清掃用シートについて、各種ゴミの清掃テストを実施したところ、粒状のゴミとしてのゴマについては、保持されたゴマの量の比率が凹状部:凸状部=5:1程度となり、凹状部で比較的多くのゴマが保持されたのに対し、繊維状のゴミとしての髪の毛については、シート全体に略均一に保持された。斯かる結果から、長繊維端部21が相対的に多い凸状部11は、繊維状や粒状等の各種形状のゴミを被清掃面から捕集すると共に、そのうちの繊維状のゴミを長繊維端部21で絡め取ることで優先的に保持し、長繊維端部21が相対的に少ない凹状部12は、凸状部11を介して捕集されたゴミのうち、主に粒状のゴミを取り込んで、更に隣接する凸状部11から伸びる長繊維端部21がこれを保持する役割を果たすと推察される。
多数の凸状部11は、図1に示すように、それぞれ略同じ大きさで、やや細長い幅狭な山型形状をしており、規則的に設けられている。清掃用シート1の一面1aにおいて隣接する凸状部11,11間の間隔は、シートの幅方向(図1中X方向、シート製造時のCD)に好ましくは1〜10mm、更に好ましくは2〜8mmであり、シートの長手方向(図1中Y方向、シート製造時のMD)に好ましくは3〜20mm、更に好ましくは4〜15mmである。凸状部11は、シートの幅方向及び/又は長手方向に関し、一部がつながって連続体となっていても良く、また、シート全体を通して連続体となっていても良い。凸状部11を、このような間隔で設けることにより、清掃用シート1の柔軟性を向上させ、且つ被清掃面の傷つけを防ぐことができる。また、フローリングの溝や凹凸面に対する汚れの清掃性に優れ、パン粉等の比較的大きな汚れの捕集性及び保持性に優れたものとなる。更に、凸状部11の立体形状が明確になり且つその立体形状の安定性が高まることによって、凹凸が明瞭になり、使用時に潰れにくくなる。
清掃用シート1は、その両面が同様な性能を有することが好ましく、他面1bにおける凸状部11の形状及び間隔は一面(起毛処理面)1aのそれと略同様であることが好ましい。特に、他面1bの凸状部11の総面積は、一面1aの凸状部11の総面積の好ましくは20〜100%、更に好ましくは35〜100%である。ゴミの捕集性又は保持性の観点から、清掃用シート1の一面1aに存する凸状部11は、他面1bに存する凹状部12と表裏の関係にあることが好ましい。また凸状部11の形状は、凹状部12の形状を反転したものであることも好ましい。
凸状部11及び凹状部12は、繊維集合体2から構成されており、繊維集合体2の構成繊維の絡合のみによって形成されている。そのため、熱可塑性樹脂からなる繊維をエンボス加工などで部分的に加熱加圧加工することにより融着して形成された凸状部及び凹状部と異なり、凸状部11及び凹状部12は感触が柔らかく、また、構成繊維どうしが融着せず独立した状態で存在していることに起因して構成繊維の自由度が高く、髪の毛や細かなほこり等のゴミをシート全面で効率的に捕集できることから、捕集性及び保持性に優れる。
また、凸状部11及び凹状部12は、後述するように、繊維集合体2に対して施した水流交絡による構成繊維の再配列・再絡合により形成されているため、凸状部11及び凹状部12はそれ自身でその形態を保持している。従って、凸状部11及び凹状部12は荷重に対してへたり難いものとなる。本明細書において「繊維の再配列・再絡合により形成されている」とは、水流交絡により一度弱く絡合された繊維集合体が多数の凹凸部を有するか又は多数の開孔を有するパターニング部材上で再度水流交絡されることにより、繊維が凹凸部に沿って配列し直し、再び絡合されることを意味する。凸状部11及び凹状部12が形成されることに起因して、清掃用シート1の見掛け厚みは、凸状部11及び凹状部12が付与される前の繊維集合体2の厚みよりも大きくなる。形態保持性の高い凸状部11及び凹状部12を有する清掃用シート1は、被清掃面における溝や凹凸面等の清掃性やパン粉等のゴミの捕集性及び保持性に優れる。
また、前述したように繊維集合体2がパターニング部材上で再度水流交絡される際、パターニング部材の凹部に位置する構成繊維、即ち清掃用シート1の凸状部11に位置する構成繊維は、水流によりパターニング部材の凹部に向かって引き伸ばされるため、パターニングする前に比べて構成繊維同士の交絡が弛む。一方、パターニング部材の凸部に位置する繊維、即ち清掃用シート1の凹状部12に位置する構成繊維は、水流によりパターニング部材の凸部に向かって叩き付けられるため、パターニングする前に比べて構成繊維同士の交絡が強くなる。その結果、清掃用シート1においては、凸状部11における構成繊維の交絡が、凹状部12におけるそれに比べて弱い構造となる。このような構造は、被清掃面における溝や凹凸面の清掃性やパン粉などのゴミの捕集性及び保持性に優れることに加え、相対的に交絡の弱い凸状部11の構成繊維が床面に強く当たるため、髪の毛やほこりを効率良く絡めとることができる。また凹状部12の構成繊維は相対的に交絡が強いため、清掃中に構成繊維が抜けることを防ぐことができる。
また、このように凸状部11が凹状部12に比して構成繊維の交絡が弱いと、凸状部11及び凹状部12からなる凹凸面の起毛処理において、前述したように凸状部11が凹状部12に比して起毛加工ロールとの当接機会が多いことと相俟って、凸状部11(凸状部11の頂部及びその近傍)の構成繊維の該起毛加工ロールによる部分的な引き抜きが起こり易くなり、凸状部11に長繊維端部21が多く存するようになる。
凸状部11は、清掃用シート1の一面(起毛処理面)1a又は他面1bにおいて、10cm×10cmの範囲を考えた場合、該面の何れの位置においても、該範囲中に平均して50〜850個、特に100〜600個形成されていることが好ましい。また、凸状部11は、シートの幅方向及び/又は長手方向に関し、一部がつながって連続体となっている場合、あるいはシート全体を通して連続体となっている場合、シートの幅方向及び/又は長手方向の長さ10cmの範囲中に平均して10〜50列、特に20〜40列形成されていることが好ましい。凸状部11の個数を前記範囲内とすることにより、凸状部11と凹状部12とがバランスよく配されるので、細かいゴミの捕集性及び保持性が一層向上するとともに、パン粉等の比較的大きなゴミの捕集性及び保持性も一層向上する。
清掃用シート1は、図2に示すように、その見掛け厚み〔一面(起毛処理面)1aの最上部(但し長繊維端部21を除く)と他面1bの最下部との間の厚み〕Tが、繊維集合体2自身の厚み〔支持体3の最下部と一面(起毛処理面)1aの最上部(但し長繊維端部21を除く)との間の厚み〕tよりも厚くなっており、嵩高な状態となっている。清掃用シート1の見掛け厚みTの値そのものは、1〜5mm、特に1.3〜4mmであることが、清掃用シート1内に十分な空隙が形成されて嵩高となり、清掃用シートとして好適に使用され得る点から好ましい。また、繊維集合体2自身の厚みtの値そのものは、繊維集合体2の坪量や加工条件等により決定されるが、好ましくは0.2〜4mm、更に好ましくは0.5〜3mmである。また、図2に示すように、凸状部11の高さhは好ましくは0.2〜4mmであり、更に好ましくは0.5〜4mmである。清掃用シート1の見掛け厚みT及び繊維集合体2自身の厚みt並びに凸状部11の高さhは、測定対象の繊維集合体2を有する清掃用シート1上に、10cm×5cmのアクリル板上に重りを乗せて総重量30gとしたものを乗せて、該清掃用シート1に対して厚み方向に30gf/50cm2(=59Pa)の荷重をかけ、その状態で該清掃用シート1の断面を光学顕微鏡で観察して測定される。
繊維集合体2について更に説明すると、前述したように、本実施形態に係る繊維集合体2は、繊維ウエブを水流交絡させて形成されたスパンレース不織布であり、構成繊維の絡合のみによって形成されているが、本発明に係る繊維集合体は、構成繊維の絡合によって形成されている部位を含んでいれば良く、一部に構成繊維の融着や接着によって形成されている部位を含んでいても構わない。但し、後述する起毛加工ロールを用いた起毛処理によって起毛長さ10mm以上の起毛繊維が容易に得られるようにする観点から、本発明に係る繊維集合体としては、構成繊維の自由度が高いものが好ましく、具体的にはスパンレース不織布の如き、構成繊維の絡合のみによって形成されているものが好ましく用いられる。スパンレース不織布以外には、ニードルパンチ不織布、ステッチボンド不織布等も、構成繊維の自由度が高いため、本発明に係る繊維集合体として好ましく用いられる。特にスパンレース不織布は、ゴミの捕集性能に優れているため好ましい。
繊維集合体2の構成繊維(長繊維端部21)としては、各種不織布の構成繊維として通常用いられているものを用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ナイロン(登録商標)、ナイロン6等のポリアミド等の合成樹脂から作られた合成繊維(熱可塑性繊維);レーヨン等の再生セルロース繊維やポリ乳酸等の生分解性繊維等が挙げられる。また、構成繊維の繊維構成としては、1種類の樹脂からなる単一繊維でも良く、融点の異なる2種類以上の樹脂を含む複合繊維でも良い。複合繊維としては、相対的に融点の低い樹脂(低融点樹脂)を鞘部、相対的に融点の高い樹脂(高融点樹脂)を芯部とした芯鞘型;低融点樹脂と高融点樹脂とが所定方向に並列したサイドバイサイド型等が挙げられる。
繊維集合体2は、ゴミ捕集性及びゴミ保持性の観点から、繊維径(直径)5〜60μmの構成繊維(以下、特定繊維とも言う)の全構成繊維に占める割合が50質量%以上、特に70質量%以上、とりわけ100質量%であることが好ましい。また、前記特定繊維の繊維径に関し、被清掃面を拭くときの摩擦抵抗を低減する観点から、その下限値は8μm、特に10μmが好ましく、また、繊維抜け防止と細かいゴミの捕集性の観点から、その上限値は45μm、特に40μmが好ましい。繊維集合体2の構成繊維(前記特定繊維)の繊維径が前記範囲内にあるということは、長繊維端部21の繊維径も前記範囲内にある。構成繊維の繊維径は次のようにして測定される。
<繊維径の測定方法>
測定対象の繊維(繊維集合体の構成繊維)について、マイクロスコープを用いて任意の10点の繊維径(直径)を測定し、それら10点の測定値の平均値を、当該繊維の繊維径とする。繊維集合体が繊維径の異なる2種以上の繊維を含んでいる場合、各繊維について前記手順に準じて任意の10点の繊維径を測定し、それら10点の測定値の平均値を、各繊維の繊維径とする。また、繊維断面が真円ではなく楕円や扁平な構造である場合(測定対象が非真円繊維の場合)、以下の方法を用いて簡易的に相当直径を求め、それを非真円繊維の繊維径とする。即ち、非真円繊維の相対的に太い部分を10点及び相対的に細い部分を10点任意に選択し、それら20点それぞれについてマイクロスコープを用いて繊維径(直径)を測定し、該太い部分10点の平均値をa、該細い部分10点の平均値をbとし、aとbとの積の平方根を当該非真円繊維の繊維径とする。
繊維集合体2の構成繊維の繊維長は、後述する起毛処理によって繊維集合体2から構成繊維の繊維端部が引き抜かれたときに、その繊維端部の長さ(繊維集合体2からのはみ出し長さ)が10mm以上となり、且つ起毛処理後も清掃用シートとしての実用上十分な強度を維持し得る観点から、好ましくは25〜100mm、更に好ましくは35〜70mmである。繊維長は次のようにして測定される。即ち、測定対象の繊維集合体から構成繊維を切れないように注意しながら10本引き抜き、引き抜いた各繊維の長さをそれぞれ測定し、それらの平均値を当該繊維集合体の構成繊維の繊維長とする。引き抜いた繊維に捲縮などがかかっている場合、繊維をまっすぐに伸ばした状態での長さを測定する。
繊維集合体2の坪量は、15〜100g/m2、特に20〜80g/m2であることが、清掃用シート1の使用時にゴミがシート1の裏側に抜けたり、シート1を把持する手等が汚れることを防止でき、また繊維集合体2の構成繊維どうし及び繊維集合体2と支持体3との絡合を十分に行い得る点から好ましい。
支持体3は、本実施形態においては、繊維集合体2の構成繊維が絡合可能な網状シートからなり、具体的には図5に示すように、孔30を多数有する格子状のネット31からなる。支持体3は、清掃用シート1の平面方向に連続的に存在しているので、支持体3として網状シートを用いることにより、仮に、繊維集合体2が低坪量で且つ絡合が弱く、強度が不足気味であっても、清掃用シート1全体として実用上十分な強度を持たせることができる。起毛処理による構成繊維の引き抜きを安定して行うために、構成繊維の自由度はできるだけ高くすることが好ましく、繊維集合体2中の構成繊維の絡合状態は弱い方が好ましい。一般的に、繊維の絡合状態が弱い場合、清掃用シート1の強度が低くなり、実用上十分な強度を持たせることが難しいが、支持体3を用いることによって、清掃用シートに十分な強度を持たせることができるため、繊維集合体2の絡合状態を弱くしても、清掃用シートの強度が使用困難なほど弱くなることがない。そのため、起毛処理による繊維の引き抜きを繊維を切断せずに効果的に行なうことができ、十分な強度を有し清掃用シート1を得ることができる。
ネット31の線径L1、線間距離L2等の各部の寸法は、繊維集合体2との絡合性等を考慮して適宜決定される。線径L1は、ネット31の厚みに相当する。線径L1は、好ましくは50〜600μm、更に好ましくは100〜400μmであり、線間距離L2は、好ましくは2〜30mm、更に好ましくは4〜20mmである。線径L1は部分的に異なっていても良く、その場合は相対的に太い部分の線径が前記の値に相当する。また、線間距離L2は、シートの幅方向(図5中X方向、シート製造時のCD)とシートの長手方向(図5中Y方向、シート製造時のMD)とで、同じでも良く異なっていても良い。
但し、本発明に係る支持体(網状シート)は、斯かる格子状のネット31に限られず、例えば図6(a)〜図6(c)に示すような、孔30を多数有する有孔フィルム32であっても良い。つまり、繊維が通過可能な孔を有し、繊維集合体あるいはその形成材料である繊維ウエブが絡合状態で一体化し得る担体であれば網状シートの種類に特に限定はない。例えば、ガーゼ状の織布のように織り目空間の比較的大きな目の粗い織布、あるいは片面または両面に繊維ウエブを重ね合わせてそれらを絡合状態で一体化し得る繊維空隙を有する不織布や紙、あるいは開孔を有する各種不織布や紙等も、支持体3としての網状シートとして用いられる。図5及び図6において、孔30の平面視形状は、適宜変更可能であり、例えば有孔フィルム32においては、図6(a)に示す如き星型形状(十字形状)であっても良く、図6(b)に示す如き円形状であっても良い。また、図6(c)に示すように、平面視形状の異なる複数種(図示の形態では星型形状及び円形状の2種類)の孔30を組み合わせても良い。
支持体3(網状シート)の形成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;アクリロニトリル系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン系樹脂;レーヨン等のセルロース系再生繊維;パルプ材料等を用いることができ、これらの形成材料の変成物、アロイ又は混合物等を用いることもできる。
支持体3(網状シート)の坪量は、好ましくは3〜60g/m2、更に好ましくは4〜40g/m2である。また、支持体3の清掃用シート1全体に占める質量割合は、好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは8〜60質量%である。
支持体3(網状シート)のシート伸度は、清掃用シート1の清掃具への取り付け性を向上させ、また、清掃中に清掃用シート1が伸びて清掃具から外れる等により操作性が悪化することを防止し、更に、清掃用シート1への起毛処理を安定して行う観点から、40%未満が好ましく、20%未満がより好ましく、とりわけ10%未満が好ましい。シート伸度は後述する方法により測定される。
清掃用シート1の坪量は、清掃用シート1に適度な厚手感を付与すると共に、加工適性の向上を図る観点から、好ましくは35〜150g/m2、更に好ましくは45〜100g/m2である。
清掃用シート1においては、清掃用シート1を構成する繊維集合体2における繊維配向と垂直方向の応力−ひずみ曲線の初期勾配で表される交絡係数が0.05〜2N・m/g、特に0.2〜1.2N・m/gであることが、絡合を十分に行い且つゴミの捕集に十分な繊維自由度を得る点から好ましい。交絡係数は、その値が小さいほど繊維間の絡合が弱いと言える。応力は、引張荷重値をつかみ幅(引張強度測定時の試験片幅)及び不織布状の繊維集合体2の坪量で割った値を示し、ひずみは伸度を示す。繊維間の絡合の度合いは、絡合処理時の繊維ウエブに加わる絡合エネルギーに主として依存する。例えば、水流交絡(ウォーターニードリング)においては、繊維の種類、繊維ウエブの坪量、ウォータージェットノズルの本数及び水圧、ラインスピード等の条件によって繊維ウエブに加わる絡合エネルギーをコントロールすることができる。
次に、本実施形態の清掃用シート1の製造方法の一例について図7及び図8を参照して説明する。本実施形態の清掃用シート1の製造方法においては、支持体3(ネット31)の両面に上層繊維ウエブ4a及び下層繊維ウエブ4bをそれぞれ重ね合わせて重合体5を形成する重合工程と、水流交絡によって重合体5中の繊維ウエブ4a及び4bの構成繊維間を絡合させて繊維集合体2を形成すると共に該構成繊維と支持体3とを絡合させて、両者が一体化された複合体6を形成する交絡工程と、複合体6を多数の凹凸部を有するパターニング部材上に搬送し、該凹部内に繊維集合体2の一部を突出させて、該凹部に対応する多数の凸状部11(図1及び図2参照)を複合体6に形成して凹凸複合体7を得る凹凸付与工程と、凹凸複合体7を乾燥する乾燥工程と、凹凸複合体7に起毛処理を施す起毛工程とが、この順で進行する。尚、図7の符号Yで示す矢印及び図8の符合V1で示す矢印は、それぞれ、清掃用シート1の製造時のMD(Machine Direction)である。
製造装置50は、図7に示すように、重合部50A、交絡部50B及び凹凸付与部50Cを具備している。重合部50Aは、繊維ウエブ4a及び4bをそれぞれ製造するカード機51A及び51Bと、繊維ウエブ4a及び4bの繰り出しロール52,52と、ロール状に巻回された支持体3(ネット31)の繰り出しロール54とを備えている。交絡部50Bは、無端ベルトからなるウエブ支持用ベルト55と、第1のウォータージェットノズル56とを備えている。凹凸付与部50Cは、無端ベルトからなるパターニング部材57と第2のウォータージェットノズル58とを備えている。パターニング部材57は、図7中矢印で示す方向に回動している。パターニング部材57は通液性のものであり、その表面に多数の凹凸を有しているものである。
また、製造装置50は、図8に示すように、起毛加工部50Dを具備している。起毛加工部50Dは、凹凸付与工程を経て得られた凹凸複合体7の構成繊維を起毛する部分であり、本実施形態の製造装置50においては、周面に凸部60Aが多数設けられた起毛加工ロール60を備えている。起毛加工ロール60は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性の円筒形状のものである。起毛加工ロール60は、その回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって回転する。起毛加工ロール60の回転速度(周速度V2)は、製造装置50の備える制御部(図示せず)により制御されている。ここで、起毛加工ロール60の周速度V2は、起毛加工ロール60表面での速度を意味する。起毛加工ロール60の周速度V2を調整することで、起毛高さ(長繊維端部21の起立高さ)や起毛数(長繊維端部数)を調整することができる。
起毛加工ロール60の周面上の各凸部60Aは、該周面から凸部60Aの頂点(頂部先端)までの高さが0.01〜5mmであることが好ましく、0.01〜2mmであることが更に好ましい。周方向に隣り合う凸部60A同士の距離(ピッチ)及び回転軸方向に隣り合う凸部60A同士の距離(ピッチ)は、それぞれ、0.01〜60mmであることが好ましく、0.01〜5mmであることが更に好ましい。凸部60Aの単位面積当たりの個数は50〜5000個/cm2であると、効率良く起毛を行うことができることから好ましい。また、凸部60Aの頂部の平面視形状は特に制限されず、例えば円形、楕円形、多角形等とすることができる。凸部60Aの頂部先端の面積は、繊維の引っ掛かりやすさを高めて効率的な起毛を起こす観点から、0.001〜10mm2であることが好ましく、0.001〜1mm2であることがより好ましい。このような凸部60Aからなる凹凸面を持つロールとしては、微細な凹凸パターンを周面に持つエンボスロールの他、周面にサンドペーパーを巻きつけたロールや、サンドブラストにより周面に凹凸加工を施したロール(サンドブラストロール)等が挙げられる。
また、起毛加工部50Dは、図8に示すように、起毛加工ロール60の上流側及び下流側それぞれに、起毛加工の対象物(凹凸複合体7)を搬送する搬送ロール61,62を備えている。凹凸複合体7の搬送速度V1は、製造装置50の備える制御部(図示せず)により制御されている。ここで、凹凸複合体7の搬送速度V1とは、起毛加工ロール60に供給される凹凸複合体7表面での速度を意味する。
凹凸複合体7の構成繊維を更に効率良く起毛する観点から、図8に示すように、起毛加工ロール60の位置よりも、起毛加工ロール60の下流側の搬送ロール61の位置を高く設定することが好ましい。より具体的には、凹凸複合体7が起毛加工ロール60との接触面(周面)に、抱き角αが10〜180°、特に30〜120°となるように接触していることが好ましい。
このような構成の清掃用シート1の製造装置50において、先ず、図7に示すように、重合部50Aにおけるカード機51A,51Bの各々から連続的に繊維ウエブ4a及び4bがその繰り出しロール52,52を介してそれぞれ繰り出されると共に、ロール状の支持体3(ネット31)が繰り出しロール54から繰り出される。そして、ネット31の両面に繰り出しロール52,52にて、繊維ウエブ4a及び4bがそれぞれ重ね合わされて重合体5が形成される(重合工程)。
次いで、交絡部50Bにおいて、図7に示すように、重合体5は、ウエブ支持用ベルト55上に移載され搬送されながら、第1のウォータージェットノズル56より噴出される高圧のジェット水流により交絡処理される(交絡工程)。これにより、重合体5中の繊維ウエブ4a,4bの構成繊維間が絡合されて繊維集合体2が形成されるとともに、該構成織維と支持体3とが絡合されて、三者が一体化された複合体6が得られる。
次いで、凹凸付与部50Cにおいて、図7に示すように、複合体6は、パターニング部材57上に移載され搬送されながら、第2のウォータージェットノズル58より噴出する高圧のジェット水流により部分的に加圧される(凹凸付与工程)。その際、複合体6のうち、パターニング部材57の凹部上に位置する部分が加圧されて、該加圧部分は該凹部内に突出される。その結果、該加圧部分は凹部に対応する凹状部12(図1及び図2参照)となる。一方、複合体6のうち、パターニング部材57の凸部上に位置する部分は突出されず、凸状部11となる。このようにして、複合体6に多数の凸状部11及び凹状部12が形成され、複合体6全体として凹凸形状が付与されて、凹凸複合体7が得られる。凹凸複合体7における凸状部11の形状等は、パターニング部材57の種類や、交絡部50B及び凹凸付与部50Cおける高圧ジェット水流によって繊維集合体に加わる絡合エネルギーに応じて決定される。この絡合エネルギーはウォータージェットノズルのノズル形状、ノズルピッチ、水圧、ノズル段(本)数及びラインスピード等の条件によってコントロールされる。尚、凹凸付与工程は、交絡工程と同様に、繊維集合体(繊維ウエブ)及び支持体に高圧のジェット水流を当てる工程であるから、凹凸付与工程でもこれらの絡合がなされる場合があり、交絡工程で交絡処理が完了するとは限らない。
こうして得られた凹凸複合体7は、搬送用ベルト29によって加熱装置(図示せず)に搬入され、熱風吹き付け等の熱処理が施されて乾燥される(乾燥工程)。尚、次の起毛工程では凹凸複合体7の一面1a’(図8参照)に起毛処理を施すところ、起毛処理前の一面1a’に支持体3が露出していないことが望ましい。
次いで、起毛加工部50Dにおいて、図8に示すように、凹凸複合体7は、搬送ロール61,62により起毛加工ロール60の周面上を方向Yに搬送され、該周面の微細な凹凸により、凹凸複合体7の一面1a’に起毛処理が施される(起毛工程)。起毛加工部50Dにおいては、凹凸複合体7を起毛加工ロール60の周面に当接させつつ搬送することにより、該周面の微細な凹凸を構成する凸部60Aに凹凸複合体7の構成繊維が絡みつき、該凸部に絡みついた構成繊維が、凹凸複合体7から完全に引き抜かれずに(凹凸複合体7から離脱せずに)、部分的に引き抜かれることにより、該構成繊維の繊維端部が凹凸複合体7の一面1a’から突出し、該繊維端部からなる長繊維端部21(図3参照)が多数生じる。該繊維端部(長繊維端部21)とは反対側に位置する構成繊維の端部は、凹凸複合体7中に存したままである。起毛加工ロール60が周面に有する多数の凸部60Aは、特許文献1及び2に記載のカウンターパイルローラが周面に有する多数の針に比して、周面からの突出長さが短く且つ単位面積当たりの個数が多いため、繊維集合体(不織布)の起毛処理において絡みついた構成繊維を切断し難く、構成繊維を切断せずに繊維集合体から部分的に引き抜き易い。起毛加工部50Dにおいては、構成繊維の引き抜きを促進して長繊維端部21を効率良く形成する観点から、図8に示すように、起毛加工ロール60の回転方向を、凹凸複合体7の搬送方向に対して逆方向に回転させることが好ましい。こうして、繊維集合体2からのはみ出し長さ10mm以上の長繊維端部21が多数存する起毛処理面1aを有する、清掃用シート1が得られる。
本発明は、前記実施形態に制限されない。例えば、清掃用シート1は、一面1aのみならずその反対側に位置する他面1bも、長繊維端部21が存する起毛処理面であっても良い。このように清掃用シート1の両面1a,1bを起毛処理面とする場合、製造装置50は、図8に示す起毛加工部50Dと同様の構成の起毛加工部をMD(凹凸複合体7の搬送方向)に2つ有し、凹凸複合体7を各起毛加工部に順次通してその両面に順次起毛処理を施すように構成されていても良く、あるいは製造装置50の構成は変えずに1つの起毛加工部50Dを用い、凹凸複合体7を反転させることでその両面に順次起毛処理を施しても良い。
また、前記実施形態では、交絡工程において、重合体5の片面に高圧のジェット水流を当てて交絡処理を行っていたが、重合体5の両面それぞれに同時に又は順次高圧のジェット水流を当てて交絡処理を行っても良い。また、長繊維端部21が存している、清掃用シート1の一面1aは、凹凸を有していなくても良い。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1及び図2に示す清掃用シート1と同様の構成を有する清掃用シートを、図7及び図8に示す如き製造装置を用いて作製し、それを実施例1のサンプルとした。具体的には、先ず、PET繊維(繊維径11μm、繊維長38mm)を原料とし、常法のカード法を用い坪量24g/m2の繊維ウエブを得た。次いで、支持体(網状シート)としてポリプロピレン製の格子状ネット(線径300μm、線間距離8mm、坪量5g/m2)を用い、該支持体の上下面それぞれに、得られた繊維ウエブを重ね合わせて重合体を得(重合工程)、該重合体を複数のノズルから噴出したジェット水流(水圧1〜5MPa)により交絡処理して絡合一体化し、交絡係数0.5N・m/gの繊維集合体(スパンレース不織布)を有する複合体を得(交絡工程)、更に、該複合体にパターニング部材上で水圧1〜5MPaの条件で複数のノズルから噴出したジェット水流を当てて凹凸形状を付与して凹凸複合体を得(凹凸付与工程)、該凹凸複合体を熱風乾燥した(乾燥工程)。そして、得られた凹凸複合体の一面のみを起毛加工ロールにより起毛処理し(起毛工程)、目的とする凹凸を有する清掃用シートを得た。起毛加工ロールとしてサンドブラストロールを用い、凹凸複合体の搬送速度V1(図8参照)を20m/min、サンドブラストロールの周速度V2(図8参照)を200m/minとし、且つサンドブラストロールを凹凸複合体の搬送方向に対して逆方向に回転させた。サンドブラストロールの周面の凸部の高さは約0.07mm、周方向に隣り合う凸部同士の距離(ピッチ)及び回転軸方向に隣り合う凸部同士の距離(ピッチ)は、それぞれ、約0.22mm、凸部の頂部先端の面積は約0.008mm2、凸部の単位面積当たりの個数は約2000個/cm2であった。
〔実施例2〕
サンドブラストロールの周速度V2を20m/minとした以外は実施例1と同様にして凹凸を有する清掃用シートを作製し、それを実施例2とした。
〔実施例3〕
サンドブラストロールの周速度V2を10m/minとした以外は実施例1と同様にして凹凸を有する清掃用シートを作製し、それを実施例3とした。
〔実施例4〕
繊維ウエブの原料としてPET繊維(繊維径11μm、繊維長38mm)及び芯鞘型複合繊維(芯部がPP、鞘部がPE、繊維径48μm、繊維長51mm)を用い、且つ両繊維の混合質量比をPET繊維:芯鞘型複合繊維=45:55とし、且つ凹凸付与工程を省略した以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製し、それを実施例4とした。凹凸付与工程の省略により、得られる清掃用シートは実質的に凹凸を有しない平坦なものとなる。
〔実施例5〕
繊維ウエブの原料としてPET繊維(繊維径11μm、繊維長38mm)及び芯鞘型複合繊維(芯部がPP、鞘部がPE、繊維径40μm、繊維長51mm)を用い、且つ両繊維の混合質量比をPET繊維:芯鞘型複合繊維=45:55とした以外は実施例1と同様にして凹凸を有する清掃用シートを作製し、それを実施例5とした。
〔実施例6〕
繊維ウエブの原料として繊維径及び繊維長の異なる2種類のPET繊維〔第1PET繊維(繊維径11μm、繊維長38mm)、第2PET繊維(繊維径32μm、繊維長51mm)〕を用い、且つ両繊維の混合質量比を第1PET繊維:第2PET繊維=45:55とした以外は実施例1と同様にして凹凸を有する清掃用シートを作製し、それを実施例6とした。
〔実施例7〕
繊維ウエブの原料としてPET/ナイロン分割繊維(分割後繊維径約7μm、繊維長51mm)を用い、且つ凹凸付与工程を省略した以外は実施例1と同様にして実質的に凹凸を有しない清掃用シートを作製し、それを実施例7とした。
〔実施例8〕
支持体(網状シート)として、レーヨン繊維からなる開孔スパンレース不織布〔レーヨン繊度2.2dtex、坪量40g/m2、開孔サイズ(MD1.5mm、CD0.5mm)、開孔率30%〕を用いた以外は実施例1と同様にして凹凸を有する清掃用シートを作製し、それを実施例8とした。
〔実施例9〕
実施例1において、凹凸付与工程を省略した以外は実施例1と同様にして実質的に凹凸を有しない清掃用シートを作製し、それを実施例9とした。
〔比較例1〕
起毛工程を省略した以外は実施例1と同様にして凹凸を有する清掃用シートを作製し、それを比較例1とした。
〔比較例2〕
先ず、芯鞘型複合繊維(芯部がPP、鞘部がPE、繊維径17μm、繊維長51mm)を原料とし、常法のカード法を用い坪量30g/m2の繊維ウエブを得た。次いで、該繊維ウエブそれを135℃で熱処理することによって繊維同士を融着させ、エアスルー不織布を得た。こうして得られたエアスルー不織布に対し、実施例1と同様の起毛工程により起毛処理を施して実質的に凹凸を有しない清掃用シートを作製し、それを比較例2とした。
〔比較例3〕
PET繊維(繊維径25μm、連続繊維)からなる坪量30g/m2のスパンボンド不織布に対し、実施例1と同様の起毛工程により起毛処理を施して実質的に凹凸を有しない清掃用シートを作製し、それを比較例3とした。
〔比較例4〕
支持体(網状シート)を用いずに繊維ウエブのみでシート化を行い、且つ凸付与工程を省略した以外は実施例1と同様にして実質的に凹凸を有しない清掃用シートを作製し、それを比較例4とした。
〔比較例5〕
凹凸付与工程及び起毛工程を省略した以外は実施例1と同様にして実質的に凹凸を有しない清掃用シートを作製し、それを比較例5とした。
〔評価〕
実施例及び比較例の各サンプル(清掃用シート)について、前記方法に従って、繊維端部の繊維集合体からのはみ出し長さ、長繊維端部数をそれぞれ評価すると共に、下記方法に従って、乾燥被清掃面及び湿潤被清掃面それぞれにおける髪の毛捕集性、微細ダスト捕集性、大きめ粒状ゴミ捕集性、シート伸度、繊維の脱落度合い、清拭抵抗をそれぞれ評価した。評価環境は室温20℃、湿度60%RHであった。それらの結果を下記表1に示す。
また、実施例及び比較例の各サンプル(清掃用シート)について、繊維集合体からはみ出した繊維端部〔長さ10mm以上の構成繊維の繊維端部(長繊維端部)を含む〕を目視観察したところ、凹凸を有する清掃用シート(実施例1〜3、5、6及び8並びに比較例1のサンプル)については、前記繊維端部は、凹凸を構成する凸状部(凸状部の頂部及びその近傍)で相対的に多く、凹凸を構成する凹状部(凹状部の底部及びその近傍)で相対的に少なかった。一方、実質的に凹凸を有しない清掃用シート(実施例4、7及び9並びに比較例2〜5のサンプル)については、前記繊維端部は、該清掃用シートの一面(起毛処理面)全体に略均一に存していた。
<乾燥被清掃面における髪の毛捕集性の評価方法>
清掃用シートを、花王株式会社製の清掃具であるクイックルワイパー(登録商標)のヘッド部に装着した。評価においては、清掃用シートの製造過程において起毛処理を施した面(起毛処理面)を清掃面として用いた。起毛処理面が無い場合は、清掃用シートの任意の一面を清掃面として用いた。被清掃面として乾燥状態のフローリング面(サイズ30cm×60cm松下電工製、ウッディF)を用い、該フローリング面上に約10cmの髪の毛を10本散布した後、その上に前記ヘッド部に装着した清掃用シートを載せて一定のストローク(60cm)で該フローリング面の全域を1回清拭して、清掃用シートに髪の毛を捕集させる。その後、クイックルワイパーのヘッド部を上下10cmのストロークで10回振り、清掃用シートに保持されていない髪の毛を落とした後、該清掃用シートに保持されていた髪の毛の本数を数えた。以上の操作を、1種類の清掃用シートにつき5枚連続して実施して、5枚の清掃用シートによって捕集された髪の毛の総本数(捕集総本数)を記録した。そして、この捕集総本数を50(散布された髪の毛の総本数)で除し、更に100を乗じて得た値を捕集髪の毛の保持率(%)とし、その保持率を以下の基準に基づき、乾燥被清掃面における髪の毛捕集性として評価した。
◎:保持率80%以上であり、乾燥被清掃面における髪の毛捕集性は良好。
○:保持率60%以上80%未満であり、乾燥被清掃面における髪の毛捕集性は実用上十分なレベル。
△:保持率40%以上60%未満であり、乾燥被清掃面における髪の毛捕集性にやや劣るが実用可能なレベル。
×:保持率40%未満であり、乾燥被清掃面における髪の毛捕集性は実用不可レベル。
<湿潤被清掃面における髪の毛捕集性の評価方法>
前記<乾燥被清掃面における髪の毛捕集性の評価方法>において、被清掃面に髪の毛を10本散布した後、更に、イオン交換水1mlを散布してこれを髪の毛になじませる操作を行ってから、前記と同様の手順で捕集髪の毛の保持率(%)を求め、その保持率を以下の基準に基づき、湿潤被清掃面における髪の毛捕集性として評価した。
◎:保持率80%以上であり、湿潤被清掃面における髪の毛捕集性は良好。
○:保持率60%以上80%未満であり、湿潤被清掃面における髪の毛捕集性は実用上十分なレベル。
△:保持率40%以上60%未満であり、湿潤被清掃面における髪の毛捕集性にやや劣るが実用可能なレベル。
×:保持率40%未満であり、湿潤被清掃面における髪の毛捕集性は実用不可レベル。
<微細ダスト捕集性の評価方法>
清掃用シートを、花王株式会社製の清掃具であるクイックルワイパー(登録商標)のヘッド部に装着した。ほこりの捕集性の評価として微細ダストを用いる。評価においては、清掃用シートの製造過程において起毛処理を施した面(起毛処理面)を清掃面として用いた。起毛処理面が無い場合は、清掃用シートの任意の一面を清掃面として用いた。被清掃面としての乾燥状態のフローリング面(サイズ90cm×90cm、松下電工製、ウッディF)の略全面に、試験用ダスト7種(日本粉体工業技術協会製、「JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」に規定する試験用粉体1の7種」)0.2g(7種の合計重量が0.2g)を散布した後、前記ヘッド部に装着した清掃用シートで一定のストローク(60cm)で該フローリング面の全域を2回清拭し、清掃用シートに付着したダストの質量を測定する。清掃用シートに付着したダストの質量は、清拭後の清掃用シートの総質量から、予め測定した清拭前の清掃用シートの総質量を差し引くことで測定される。以上の操作を、1種類の清掃用シートにつき5枚連続して実施して、5枚の清掃用シートによって捕集されたダストの総質量(捕集総質量)を記録した。そして、この捕集総質量を1.0(散布されたダストの総質量)で除し、更に100を乗じて得た値を微細ダスト捕集率(%)とし、その捕集率を以下の基準に基づき微細ダスト捕集性として評価した。
◎:捕集率が70%以上であり、微細ダストの捕集性は良好。
○:捕集率50%以上70%未満であり、微細ダストの捕集性は実用上十分なレベル。
△:捕集率40%以上50%未満であり、微細ダストの捕集性にやや劣るが実用可能なレベル。
×:捕集率40%未満であり、微細ダストの捕集性は実用不可レベル。
<大きめ粒状ゴミ捕集性の評価方法>
清掃用シートを、花王株式会社製の清掃具であるクイックルワイパー(登録商標)のヘッド部に装着した。評価においては、清掃用シートの製造過程において起毛処理を施した面(起毛処理面)を清掃面として用いた。起毛処理面が無い場合は、清掃用シートの任意の一面を清掃面として用いた。被清掃面として乾燥状態のフローリング面(サイズ30cm×60cm松下電工製、ウッディF)を用い、該フローリング面上に、大きめ粒状ゴミとして粒径約1.0〜1.4mmのパン粉0.5g散布した後、その上に前記ヘッド部に装着した清掃用シートを載せて一定のストローク(60cm)で該フローリング面の全域を1往復清拭して清掃用シートにパン粉を捕集させ、捕集されたパン粉の質量を測定する。清掃用シートに捕集されたパン粉の質量は、清拭後の清掃用シートの総質量から、予め測定した清拭前の清掃用シートの総質量を差し引くことで測定される。以上の操作を、1種類の清掃用シートにつき5枚連続して実施して、5枚の清掃用シートによって捕集されたパン粉の総質量(捕集総質量)を記録した。そして、この捕集総質量を2.5(散布されたパン粉の総質量)で除し、更に100を乗じて得た値を大きめ粒状ゴミ捕集率(%)とし、その捕集率を以下の基準に基づき大きめ粒状ゴミ捕集性として評価した。
◎:捕集率が50%以上であり、大きめ粒状ゴミの捕集性は良好。
○:捕集率30%以上50%未満であり、大きめ粒状ゴミの捕集性は実用上十分なレベル。
△:捕集率15%以上30%未満であり、大きめ粒状ゴミの捕集性にやや劣るが実用可能なレベル。
×:捕集率15%未満であり、大きめ粒状ゴミの捕集性は実用不可レベル。
<シート伸度の評価方法>
測定対象の清掃用シートから、CDに100mm、該CDと直交する方向であるMDに30mmの寸法の長方形形状を切り出し、この切り出された長方形形状を測定サンプルとする。この測定サンプルを、そのCDが引っ張り方向となるように、引張試験機のチャックに取り付ける。チャック間距離は50mmとする。測定サンプルを300mm/分で引っ張り、荷重値が5Nの時における該測定サンプルの伸長時の長さを用い、次式によりCDの5N/25mm荷重時のシート伸度を求め、以下の基準で評価した。
シート伸度(%)=[(伸長時の長さ−50)/50]×100
◎:シート伸度が10%未満であり、被清掃面の清拭時や清掃具への装着時に清掃用シートが全く伸びることがなく、使用し易い。
○:シート伸度が10%以上20%未満であり、被清掃面の清拭時や清掃具への装着時に清掃用シートがほとんど伸びることがなく、実用上問題無いレベル。
△:シート伸度が20%以上40%未満であり、被清掃面の清掃時や清掃具への装着時に清掃用シートが伸びることがあり、使用性にやや劣るが実用可能なレベル
×:シート伸度が40%以上であり、被清掃面の清拭時や清掃具への装着時に清掃用シートが伸び、使用に適さない。
<繊維の脱落度合いの評価方法>
清掃用シートを、花王株式会社製の清掃具であるクイックルワイパー(登録商標)のヘッド部に装着した。評価においては、清掃用シートの製造過程において起毛処理を施した面(起毛処理面)を清掃面として用いた。起毛処理面が無い場合は、清掃用シートの任意の一面を清掃面として用いた。前記ヘッド部に装着した清掃用シートを用いて、被清掃面としての乾燥状態の畳1畳の全域を5往復清拭する。その後、畳上に清掃用シートの構成繊維が残っていないか目視で確認し、以下の基準に基づき繊維の脱落度合いとして評価した。
○:畳上に残った構成繊維が10本未満であり、繊維の脱落度合いが低く高評価。
△:畳上に残った構成繊維が10本以上であり、繊維の脱落度合いがやや高いが実用可能なレベル。
×:清拭によって清掃用シートが破れ、実用不可。
<清拭抵抗の評価方法>
清掃用シートを直径25mmの円形にカットしたものをサンプルとして5枚用意する。このサンプルの起毛処理面(起毛処理面が無い場合は、清掃用シートの任意の一面)について、新東科学株式会社製のHEIDON トライボギア ミューズ TYPE:94iを用いて静摩擦係数μを測定した。5枚のサンプルの静摩擦係数μの平均値を以下の基準で清拭抵抗として評価した。
○:前記平均値が0.40μ未満であり、清拭抵抗が小さく拭き心地が良い。
△:前記平均値が0.40μ以上0.60μ未満であり、清拭抵抗が大きく拭き心地にやや劣るが実用可能なレベル。
×:前記平均値が0.60μ以上であり、清拭抵抗が非常に大きく拭き心地に劣り、実用不可。
Figure 0005937306
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜9は、何れも、繊維集合体が構成繊維の絡合によって形成されている部位を含み且つ繊維集合体と支持体とが一体的な絡合状態を形成しており、且つ繊維端部の繊維集合体からのはみ出し長さが10mm以上であって、清掃用シートを側面視したときの該清掃用シートの一面(起毛処理面、清掃面)の輪郭を結ぶ直線BL(図3参照)よりも外方に、長さ10mm以上の構成繊維の繊維端部(長繊維端部)が存している清掃用シートであるところ、清掃性能(乾燥被清掃面の髪の毛捕集性)に優れ、また、その他の清掃性能(湿潤被清掃面の髪の毛捕集性、微細ダスト捕集性、大きめ粒状ゴミ捕集性)についても、起毛処理を施していない比較例1と比較して向上していることがわかる。更に、実施例1〜9は、シート伸度も低く清掃用に適したものであることがわかる。また、実施例8と他の実施例との比較から、支持体としてレーヨン製開孔スパンレース不織布を用いた場合でも、シート伸度が低く清掃用シートとして好適な構成となることがわかる。これに対し、比較例1及び5は、主として、起毛処理がなされておらず清掃面に長繊維端部が存していないため、清掃性能に劣る結果となった。また、比較例2及び3は、清掃面に長繊維端部が存しているものの、繊維集合体が主に構成繊維の融着や接着によって形成されているため、清掃性能に劣る結果となった。また、実施例9と比較例4との比較から、繊維集合体を支持する支持体が存在しないと、シート伸度が大きくなって清掃用シートが伸びやすくなるため、清掃用シートとしては使用に適さないものとなることが分かる。
また、実施例1、2及び3を比較すると、長繊維端部数(起毛処理面10cm2当たりの長繊維端部の本数)が最大の実施例1が最も清掃性能に優れる結果となり、長繊維端部数が多いほど清掃性能が向上することがわかる。特に、実施例2と実施例3との比較から、長繊維端部数が10本を超えると、髪の毛捕集性が向上することがわかる。
また、実施例4、5、6及び7を比較すると、何れも清掃性能は良好であるものの、実施例7は、主として、繊維径が8μm未満の構成繊維からなる繊維集合体を有するため、清拭抵抗が高く拭き心地にやや劣る結果となり、また、実施例4は、主として、繊維径が45μmを超える繊維が全体の50質量%以上を占める繊維集合体を有するため、繊維の脱落度合いがやや高く、清掃時にいわゆる毛羽抜けが見られる結果となった。このことから、繊維集合体に関しては、繊維径(直径)8〜45μm(更に好ましくは10〜40μm)の構成繊維の全構成繊維に占める割合が50質量%以上であることが、清拭抵抗及び毛羽抜けの低減の観点から好ましいことがわかる。尚、実施例4は毛羽抜けが見られる結果となり、また、実施例7は拭き心地にやや劣る結果となったが、実施例4及び7の何れも清掃用シートとして十分使用できるレベルではある。
また、実施例1と実施例9とを比較すると、何れも清掃性能は良好であるものの、同じ起毛処理を経て製造されたにもかかわらず、起毛処理面に凹凸を有する実施例1の方が、実質的に凹凸を有しない実施例9に比して、長繊維端部数が多く、それに伴って髪の毛捕集性及び大きめ粒状ゴミ捕集性が高い結果となった。このことから、起毛処理面が凹凸面であることが、長繊維端部数の増加及び清掃性能の向上に有効であることがわかる。
尚、凹凸を有する清掃用シート(実施例1〜3、5、6及び8並びに比較例1のサンプル)に関し、大きめ粒状ゴミ捕集性の評価においては、何れも、捕集された粒状ゴミの質量比が凹状部:凸状部=5:1程度となり、粒状ゴミは凹状部に優先的に捕集されていたことが確認され、また、髪の毛捕集性の評価においては、何れも、髪の毛は凸状部に絡むように捕集されていたことが確認された。
1 清掃用シート
1a 起毛処理面(清掃シートの一面)
1b 清掃シートの他面
11 凸状部
12 凹状部
2 繊維集合体
21 長繊維端部
3 支持体
30 支持体の孔
31 格子状のネット(支持体)
32 有孔フィルム(支持体)
4,4a,4b 繊維ウエブ
5 重合体
6 複合体
7 凹凸複合体
60 起毛加工ロール

Claims (4)

  1. 繊維集合体及び該繊維集合体を支持する支持体を有し、該繊維集合体の構成繊維が、該構成繊維どうしで絡合していると共に該支持体とも絡合して、該繊維集合体と該支持体とが一体的な絡合状態を形成している清掃用シートであって、
    前記清掃用シートの一面が、凸状部及び凹状部からなる凹凸を有しており、
    前記清掃用シートを側面視したときの該清掃用シートの一面の輪郭を結ぶ直線よりも外方に、起毛処理によって形成された、該直線からのはみ出し長さ10mm以上の前記構成繊維の繊維端部が存しており、
    前記凸状部の頂部及びその近傍における、前記構成繊維の繊維端部の前記繊維集合体からのはみ出し長さは、前記凹状部の底部及びその近傍におけるはみ出し長さに比して長い清掃用シート。
  2. 前記繊維端部が、前記清掃用シートの一面10cm2当たり10本以上存している請求項1記載の清掃用シート。
  3. 前記繊維集合体が繊維ウエブを水流交絡させて形成されている請求項1又は2記載の清掃用シート。
  4. 前記凸状部は前記凹状部に比して前記繊維端部が多い請求項1〜3の何れか一項に記載の清掃用シート。
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