JP2021179044A - スパンレース不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストであり、かつ、汚れ等の拭き取り用途として使用する場合には、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性・操作性を両立でき、また、払拭面を傷付けることがなく、化粧料等を肌に付与する化粧料含浸パックシートの用途として使用する場合には、柔らかさと取扱性を両立できる、スパンレース不織布の提供。【解決手段】、単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下の範囲内であるレーヨン繊維11と、レーヨン繊維11に対する単糸繊度の比率が1.0以上、4.0以下の範囲内である合成繊維12が水流交絡により一体化してなるスパンレース不織布。【選択図】図1

Description

本発明は、レーヨン繊維及び合成繊維を水流絡合させてなるスパンレース不織布に関するもので、例えば、床、雑貨、窓ガラス、車体、台所、家電製品等の清掃、手入れに用いられるクリーニングシートや、体拭き、化粧落とし等に用いられる対人用の拭き取りシートや、化粧料を含浸して用いられるフェイスマスク等のパックシート等として使用できるスパンレース不織布に関するものである。
従来、例えば、床上の埃や髪の毛等の固形ゴミ、しみ汚れ、付着液体等の除去や床の保護、つや出し等に用いられたり、窓ガラス、台所周り、家電製品、雑貨等の清掃や手入れに用いられたりするクリーニングシート、顔、身体の汚れや汗のべたつき等の除去に用いられるボディシート(身体用拭き取りシート)或いは口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧料の除去に用いられるクレンジングシート(化粧落とし、化粧拭き取りシート、化粧料含浸シート)等の対人用拭き取りシート、保湿液、美容液等の化粧料を含浸して顔に用いられるフェイスマスク或いは口元、目元、デコルテ、踵、肘、膝等に用いられるケアシート等の化粧料含浸パックシート等に使用される不織布として、アクリル繊維やナイロン繊維等からなる極細繊維、マイクロファイバを含む不織布が知られている。
例えば、特許文献1では、繊度0.01〜0.7dtexの極細繊維を生成する易分割型複合繊維10〜90重量%と、繊度1〜7dtexの非分割型繊維90〜10重量%を混合し、スパンレース法等で作製した清掃シートを開示している。
また、特許文献2では、合成繊維ウェブの上に、マイクロファイバを配合した吸水性を有する天然系繊維ウェブを積層した状態で、水流交絡処理することによって一体形成されたスパンレース型の不織布ワイパーの開示がある。
更に、特許文献3においては、水性繊維を50質量%以上含む親水性繊維層の一方または両方の表面に、繊度0.5dtex以下である極細繊維を10質量%以上含む極細繊維層が位置し、親水性繊維層と極細繊維層とが一体化されてなり、極細繊維層を皮膚との接触面とする化粧料含浸用皮膚被覆シートを開示している。
このような極細繊維、マイクロファイバの使用によれば、それが分割型複合繊維の割繊により形成された割繊糸であることでシャープなエッジの楔形状を呈して割繊された微細な隙間を有するために、例えば、床や雑貨等の清掃に使用するクリーニングシートの用途では、固形汚れ等の掻き取り性や液状汚れの吸水性を高めることができる。即ち、汚れ等を除去する拭き取り性能を高めることが可能である。また、体拭きや化粧落とし等の拭き取りシートの用途においても、顔や身体の汚れ、汗、化粧料等の拭き取り能力を高めることができる。更に、フェイスマスク等の化粧料含浸パックシートの用途では、極細繊維、マイクロファイバを含むと柔らかな風合いを付与できる。
特開2010−259633号公報 特開2019−115388号公報 再表2006/016601号公報
ところが、このような極細繊維、マイクロファイバを用いた不織布においては、繊維が極細であることでその取扱いが難しく、また、繊維の極細化或いは不織布化の工程で機械トラブルを生じさせることもあり、円滑な生産が困難で、コスト高となる問題がある。
更に、例えば、床や雑貨等の手入れ、清掃に使用するクリーニングシートの用途では、汚れを拭き取る能力を高めるために極細繊維、マイクロファイバを多量に配合すると、使用時において清拭すべき面との摩擦抵抗が高くなって滑りが悪くなる問題があった。また、使用時において清拭すべき面との摩擦抵抗が高いと不織布がヨレやすくもなり、不織布のヨレが滑り性を悪化させることにもなる。そして、このように清拭すべき面との滑りが悪いと、軽い力で拭ける操作性、作業性が低下し使い難さを感じるものとなる。特に、モップ状の掃除具に極細繊維、マイクロファイバ入りのシートを装着して床上を拭く用途の場合には、極細繊維の割繊された微細な隙間による高い吸水力及び清拭すべき面に対する大きな摩擦抵抗により含水状態では拭き始めに重たく感じる。更に、清拭すべき面に対する摩擦抵抗が大きく床面に引っ掛かりやすいと、使用時においてモップ状の掃除具に対する不織布の固定が安定せず動きやすくなるから、不織布がヨレやすくなる。そうなると、滑りが余計悪くなり、軽い力で拭ける操作性、作業性が悪化して拭き取り効率も低下する。
そして、極細繊維、マイクロファイバ入りのシートでは、それをモップ状の掃除具に装着して拭くにしても手作業で拭くにしても、清拭すべき面との滑りが悪いと、加える力のコントロールが難しく、時に過剰な力が加わってしまうことで、払拭面との高摩擦により極細の繊維が切れて毛羽立ちや、繊維屑の脱落(発塵)を生じる可能性があり、広い面積を清掃したくても拭き取り能力の持続性がなくなる恐れがある。
よって、極細繊維、マイクロファイバの使用では、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性、操作性との両立が困難である。
加えて、窓ガラス、車体、家電製品等の清掃や手入れの用途では、滑りが悪くて大きな力を加えたことで払拭面との高摩擦により極細の繊維が脱落(発塵)すると、逆汚染を生じる恐れもある。更には、過剰な力が加わった際には、繊維のシャープなエッジで払拭面を傷付ける恐れがあり、繊細な物、場所への使用に好適でないこともある。
また、口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧料の拭き取り用途においても、極細繊維、マイクロファイバの多量配合によって、拭き取り性能の向上は可能であるも、強く擦るといった使用態様によっては、繊維のシャープなエッジが皮膚を刺激し、傷付け、肌に負担を与える可能性がある。
更に、フェイスマスク等の化粧料含浸パックシートの用途では、極細繊維、マイクロファイバの配合によって、肌当たりの感触を柔らかくできるも、含水状態では不織布が極めて柔軟となるから、取扱性が低下する。例えば、使用時において、包装袋から含水状態のシートを取り出したり、折り畳まれた状態から含水状態のシートを広げたりするときに、互いに密着している複数枚の中から1枚を剥がしたりするときの取扱性が低下し、取り扱いかたによっては破れることもある。
このため、極細繊維、マイクロファイバの使用では、柔らかさと取扱性との両立が困難である。
そこで、本発明は、低コストであり、かつ、汚れ等の拭き取り用途として使用する場合には、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性・操作性を両立でき、また、払拭面を傷付け難く、化粧料等を肌に付与する化粧料含浸パックシートの用途として使用する場合には、柔らかさと取扱性を両立できるスパンレース不織布の提供を課題とするものである。
請求項1の発明のスパンレース不織布は、単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下、好ましくは、1.1以上、1.5以下、更に好ましくは、1.2以上、1.5以下の範囲内であるレーヨン繊維と、前記レーヨン繊維に対する単糸繊度の比率が1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下の範囲内である合成繊維が水流交絡により一体化してなるものである。
ここで、上記スパンレース不織布のスパンレースとは、繊維を織らずに、高圧のジェット水流でレーヨン繊維と合成繊維を絡み合わせて結合したもの、即ち、水流絡合処理でウェブ結合されたものであることを意味する。
上記レーヨン繊維としては、ビスコース法、銅アンモニア法、溶剤紡糸法等で製造されたものが使用でき、例えば、ビスコースレーヨン繊維、銅アンモニアレーヨン(キュプラ)繊維、ポリノジック繊維等が使用される。中でも、安価に入手でき、かつ、吸水性及び吸水膨潤性がよくて高い柔軟性が得られるも、絡合する強度を強くできる重合度が200〜400のビスコースレーヨンが好ましい。
そして、上記レーヨン繊維は、その単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下、好ましくは、1.1以上、1.5以下、更に好ましくは、1.2以上、1.5以下の範囲内であるものであり、非分割型繊維(非割繊糸)である。
また、上記合成繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリブチレンテレフタレート(PTT)、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等のポリエステル系繊維、ポリスチレン繊維、ナイロン繊維等のポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維等のポリアクリルニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル繊維等が使用される。
そして、上記合成繊維は、その単糸繊度が、前記レーヨン繊維に対する比率(合成繊維/レーヨン繊維)で1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下の範囲内であり、非分割型繊維(非割繊糸)である。即ち、合成繊維とレーヨン繊維は、その単糸繊度の比率が、合成繊維の単糸繊度/レーヨン繊維の単糸繊度=1.0〜4.0、好ましくは、1.0〜3.0、より好ましくは、1.1〜2.5の範囲内であるものである。
なお、上記単糸繊度(dtex)は、1種の原料から構成される繊維であることを意味するのではなく、多数の繊維の集積体である不織布の繊維(単糸)の1本の繊度を意味するものであり、正量繊度である。
請求項2の発明のスパンレース不織布の前記レーヨン繊維は、重合度が200以上、400以下、より好ましくは、200以上、350以下の範囲内であるビスコースレーヨンである。
ここで、上記重合度が200〜400の範囲内であるビスコースレーヨンは、一般的に、木材パルプや竹等のセルロース繊維をアルカリ(苛性ソーダ)処理し、二硫化炭素と反応させてセルロース誘導体を生成させ、それをアルカリ溶液中に溶解させてビスコースを作製し、そのビスコースを口金から硫酸ナトリウム等の酸性溶液中に押出し、引き伸ばして、化学反応させながらセルロースを凝固、再生する湿式紡糸法により得られるものであり、その製法によって、繊維の周囲にその長さ方向(軸方向)で線条を有し、繊維の断面は中実であるもその周囲が不規則な凹凸形状(鋸歯状、花弁状)を成すものである。
請求項3の発明のスパンレース不織布の前記レーヨン繊維は、その繊維長が、好ましくは、20mm以上、60mm以下、より好ましくは、20mm以上、55mm以下、更に好ましくは、30mm以上、40mm以下の範囲内の短繊維であり、前記合成繊維は、その繊維長が、好ましくは、20mm以上、60mm以下、より好ましくは、20mm以上、55mm以下、更に好ましくは、30mm以上、40mm以下の範囲内の短繊維であるものである。
ここで、上記短繊維とは、不織布のウェブ形成が、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等の紡糸直結法により長繊維(フィラメント)で形成されるものと区別され、好ましくはカーディング法の乾式法によりウェブが有限長さであるステープルで形成されたものであることを意味する。
請求項4の発明のスパンレース不織布の前記レーヨン繊維は、好ましくは、40質量%以上、80質量%以下、より好ましくは、45質量%以上、70質量%以下、更に好ましくは、50質量%以上、70質量%以下の範囲内であり、前記合繊繊維は、20質量%以上、60質量%以下、より好ましくは、30質量%以上、55質量%以下、更に好ましくは、30質量%以上、50質量%以下の範囲内であるものである。
請求項5の発明のスパンレース不織布の目付量は、好ましくは、25g/m2以上、200g/m2以下、より好ましくは、30g/m2以上、100g/m2以下、更に好ましくは、50g/m2以上、80g/m2以下の範囲内であるものである。
請求項6の発明のスパンレース不織布の前記合成繊維は、その単糸繊度が、好ましくは、1.3dtex以上、4.0dtex以下、より好ましくは、1.3dtex以上、3.0dtex以下、更に好ましくは、1.5dtex以上、2.5dtex以下の範囲内であるものである。
請求項1の発明に係るスパンレース不織布は、レーヨン繊維と合繊繊維が絡合してなり、前記レーヨン繊維は、その単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下、好ましくは、1.1以上、1.5以下、更に好ましくは、1.2以上、1.5以下の範囲内であり、前記合成繊維と前記レーヨン繊維の単糸繊度の比率が、合成繊維/レーヨン繊維=1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下の範囲内である。
本発明者らは、汚れ等の拭き取り用途としては、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性・操作性が両立し、更に、払拭面を傷付けることがなく、また、化粧料等を肌に付与する化粧料含浸パックシート等の用途としては、柔らかさと取扱性が両立する不織布を低コストで得るために、鋭意実験研究を重ねた結果、単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下の範囲内であるレーヨン繊維と、前記レーヨン繊維に対する単糸繊度の比率が1.0以上、4.0以下の範囲内である合成繊維の組み合わせにより、適度な柔軟性、しなやかさを有するも、繊維間が緻密で絡合強度が高く、かつ、繊維を極細化しないから低コストである不織布が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
即ち、単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下の範囲内であるレーヨン繊維と、レーヨン繊維に対する単糸繊度の比率が1.0以上、4.0以下の範囲内である合成繊維との組み合わせによれば、レーヨン繊維が所定の細繊度であることで、軽くて適度に柔軟性、しなやかさが確保されるも、繊維同士が緻密に絡み合って繊維密度及び絡合強度が高いことによって、また、所定繊度の合成繊維の特性によって、機械的強度、コシがある。
したがって、例えば、床等を清掃、手入れするためのクリーニングシート等の拭き取り用途としては、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維や合成繊維の緻密な絡み合いによる高い繊維密度及び高い絡合強度によって、また、その高密度で高い強度絡合により使用時に伸び難く変化量が少ないから緻密性が維持されることによって、更には、不織布の適度な柔軟性、しなやかさによる清拭すべき面に対する良好な密着性、追従性によって、埃、塵、髪の毛等の固形汚れを絡み取り、更に、それを保持する能力が高い。染み汚れ、付着液体等の液状汚れに対しても、レーヨン繊維の吸水、保水特性及び合成繊維の親油性によって、また、高密度繊維間の毛細管現象によって、更には、不織布の適度な柔軟性、しなやかさによる清拭すべき面に対する良好な密着性、追従性によって、液状汚れを吸収し、更にそれを保持する能力が高い。
一方、不織布が適度に柔軟性、しなやかさを有し清拭すべき面に対し良好な密着性、追従性を発揮しても、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維及び合成繊維は非分割型繊維(非割繊糸)でありシャープなエッジを有する分割型繊維(割繊糸)でないから、清拭すべき面に対する引っ掛かりが少なくて摩擦抵抗は小さく、ヨレも生じ難いから、良好な滑り性が確保される。
清拭すべき面との滑りがよいと、軽い力で拭くことができ、力加減も難しくないから、過剰な力が加わり難いことで清拭すべき面との摩擦によって繊維が切れて脱落(発塵)することもなく、また、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維や合成繊維の緻密な絡み合いによる高い繊維密度及び高い絡合強度によって高い機械的強度を有し破れ難くもあるから、拭き取り能力の持続性が高くなる。そして、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維及び合成繊維は、非分割型繊維(非割繊糸)でありシャープなエッジを有する分割型繊維(割繊糸)でないから、清拭すべき面を傷付ける恐れもない。
更に、口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧料の拭き取り、乳幼児等のおしり拭き、お手拭き、体拭き、ウェットティッシュ等の対人用の拭き取り用途においても、繊維同士がよく絡んで緻密であると共に、伸び難いから、含水状態でも高い緻密性が維持されることによって、更には、適度な柔軟性、しなやかさがあり肌に対する良好な密着性、追従性が得られることによって、強く擦ることなく汚れや化粧料を拭き取る拭き取り性が高いものとなる。そして、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維及び合成繊維は、非分割型繊維(非割繊糸)でありシャープなエッジを有する分割型繊維(割繊糸)でもないから、肌への刺激も少ない。
こうして、汚れ等の拭き取り用途においては、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性、操作性との両立を可能とする。
また、保湿成分、クレンジング成分、美白成分等の化粧料を含浸したフェイスマスク等のパックシートといったスキンケア用途としては、吸水性のあるレーヨン繊維が所定の細繊度であることで柔らかい感触や適度な柔軟性、しなやかさが得られるも、所定繊度及び所定繊度比率である繊維同士の緻密な絡み合いによる高密度で強い絡合強度により、また、合成繊維の特性により、コシがあるしっかりとした感触もある。そして、繊維が緻密に絡合していることにより伸び難くて変化量が少ない。よって、厚みを薄くしても取り扱いやすく、また、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維及び合成繊維の絡合強度が高くて機械的強度が高いから破れにくい。
よって、柔らかさと取扱性との両立を可能とする。
こうして、低コストであり、かつ、汚れ等の拭き取り用途として使用する場合では、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性・操作性を両立でき、更に、払拭面を傷付けることがなく、また、化粧料等を肌に付与するフェイスマスク等のスキンケア用途として使用する場合では、柔らかさと取扱性を両立できるスパンレース不織布となる。
請求項2の発明に係るスパンレース不織布によれば、重合度が200〜400の範囲内であるビスコースレーヨン繊維を用いたことから、柔らかくても、繊維同士の絡合を強くできる。よって、請求項1に記載の効果に加えて、高い柔軟性、しなやかさと高い強度、コシの両立を可能とする。
請求項3の発明に係るスパンレース不織布によれば、前記レーヨン繊維の繊維長は、20〜60mm、より好ましくは、20〜55mm、更に好ましくは、30〜40mmの範囲内の短繊維であり、前記合成繊維の繊維長は、20〜60mm、より好ましくは、20〜55mm、更に好ましくは、30〜40mmの範囲内の短繊維であるから、嵩高さ、柔軟性と高緻密、絡合強度との両立を可能とする。また、レーヨン繊維と合成繊維の地合いを良くできる。よって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、柔らかくて高強度である特性が安定して得られる。また、対人用途では、使用時に肌への負担を少なくできる。
請求項4の発明に係るスパンレース不織布によれば、前記レーヨン繊維は、40〜80質量%、より好ましくは、45〜70質量%、更に好ましくは、50質量%〜70質量%の範囲内であり、前記合繊繊維は、20〜60質量%、より好ましくは、30〜55質量%、更に好ましくは、30質量%〜50質量%の範囲内であるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、乾燥状態及び湿潤状態の何れでも破れ難い強度と高い吸水性、保水性との両立を可能とする。
請求項5の発明に係るスパンレース不織布によれば、その目付量が25〜20g/m2、より好ましくは、30〜100g/m2、更に好ましくは、50〜80g/m2の範囲内であるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、柔らかくて高強度である特性がより安定して得られる。
請求項6の発明に係るスパンレース不織布によれば、前記合繊繊維は、その単糸繊度が1.3dtex以上、4.0dtex以下、より好ましくは、1.3dtex以上、3.0dtex以下、更に好ましくは、1.5dtex以上、2.5dtex以下の範囲内であるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、柔らかくもコシがある特性が安定して得られる。
図1は本発明の実施の形態に係るスパンレース不織布の製造方法の一例を示す概略図である。 図2(a)は本発明の実施の形態の実施例1に係るスパンレース不織布に用いたレーヨン繊維を観察した走査型電子顕微鏡写真(×200)であり、図2(b)は本発明の実施の形態の実施例1に係るスパンレース不織布に用いたレーヨン繊維を観察した走査型電子顕微鏡写真(×1000)である。 図3(a)は本発明の実施の形態の実施例1に係るスパンレース不織布に用いたレーヨン繊維の断面を観察した走査型電子顕微鏡写真(×500)であり、図3(b)は本発明の実施の形態の実施例1に係るスパンレース不織布に用いたレーヨン繊維の断面を観察した走査型電子顕微鏡写真(×2000)である。 図4(a)は比較例1に係るスパンレース不織布に用いたレーヨン繊維を観察した走査型電子顕微鏡写真(×200)であり、図4(b)は比較例1に係るに係るスパンレース不織布に用いたレーヨン繊維を観察した走査型電子顕微鏡写真(×1000)である。 図5(a)は比較例1に係るスパンレース不織布に用いたレーヨン繊維の断面を観察した走査型電子顕微鏡写真(×500)であり、図5(b)は比較例1に係るスパンレース不織布に用いたレーヨン繊維の断面を観察した走査型電子顕微鏡写真(×2000)である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、図示の同一の記号及び同一の符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する詳細な説明を省略する。
本発明の実施の形態に係るスパンレース不織布は、その構成繊維が、細繊度のレーヨン繊維及び合成繊維からなり、レーヨン繊維は、その単糸繊度が1.0dtexを超えて1.5dtex以下、好ましくは、1.1dtex以上、1.5dtex以下、より好ましくは、1.2dtex以上、1.5dtex以下の範囲内であり、合成繊維は、その単糸繊度が、レーヨン繊維の単糸繊度に対する比率で、1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下である組み合わせである。
ここで、本発明者らの実験研究によれば、レーヨン繊維の繊度が1.0dtex以下のものでは、後述する不織布の製造ラインにおいてウェブ形成時におけるカード機を詰まらせやすく、カード通過性が低下することにより生産性が著しく低下するため、コスト上昇を招いてしまう。
一方で、レーヨン繊維の繊度が1.5dtexを超えるものでは、不織布の高い緻密性、絡合強度が得られず、機械的強度が低下し、柔軟さがあっても破れやすいものとなる。また、低密で絡合強度が弱くなるうえ、伸びやすくもなるから、クリーニングシート等の拭き取り用途では、使用時に埃、髪の毛等の固形汚れを絡み取って保持したり、水分、油分等の液状汚れを吸水、保持したりする拭き取り性能に劣るものとなる。特に、不織布が伸びやいと、それをモップ状の掃除具に装着して清掃する場合に、使用時に不織布が動きやすくなり不織布がヨレやすい。不織布にヨレが生じると、床面に引っ掛かりやすくなり滑り性が低下して、操作性、作業性が悪くなるから、使い勝手が悪いものとなる。また、化粧料等を肌に付与するフェイスマスク等のスキンケア用途では、不織布の繊維密度が低密になることで、更には、伸びやすいことで、肌への装着時に繊維密度が粗くなるから、水分が蒸発しやすく、水分の蒸発によって不織布が肌から浮きやすくなる。よって、肌に高密着する持続性、装着性が低下し、化粧料の肌への移行量が低下する恐れがある。
また、合成繊維とレーヨン繊維の単糸繊度の比率(合成繊維の単糸繊度/レーヨン繊維の単糸繊度)が1.0未満のものでは、柔軟さがあっても破れやすいものとなる。更に、コシがなくなり、フェイスマスク等のスキンケア用途では、取扱い難いものとなる。加えて、空隙が少なくなるから吸水性、保水性が低下する。
一方で、合成繊維とレーヨン繊維の単糸繊度の比率(合成繊維の単糸繊度/レーヨン繊維の単糸繊度)が4.0を超えるものでは、繊維密度が粗くなって伸びが大きくなる。また、合成繊維が太くなることで柔軟性が低下するから、清拭すべき面との密着性、追従性も悪くなる。よって、汚れ等の拭き取り用途では、低密で伸びやすく、柔軟性も低下するから、繊維間に埃、髪の毛等の固形汚れ等を絡ませたり、水分、油分等を吸水、保持したりし難いものとなり、拭き取り性に劣るものとなる。特に、モップ状の掃除具に装着して清掃するワイパー等の用途では、使用時に不織布の伸びや粗密によって不織布が動きやすくなるから、不織布がヨレやすい。不織布にヨレが生じると、床面に引っ掛かりやすくなり滑り性が低下して、操作性、作業性が悪くなるから、使い勝手が悪いものとなる。更に、繊維密度が粗くなって伸びやすくなることで、繊維が解けやすくなり、自己発塵による逆汚染や機械的強度の低下、破れが生じやすくなる。また、合成繊維とレーヨン繊維の単糸繊度の比率(合成繊維の単糸繊度/レーヨン繊維の単糸繊度)が4.0を超えると、レーヨン繊維及び合成繊維の繊度差が大き過ぎることで、細繊度のレーヨン繊維同士の絡みが増えて、細繊度のレーヨン繊維と合成繊維との絡みが少なくなり、地合いが低下する。当然、地合いが悪いことでも、機械的強度の低下、破れやすさの要因となり、また、繊維密度の粗密によって清拭すべき面との滑り性が低下し、操作性、作業性を悪化させる要因となる。また、化粧料等を肌に付与するフェイスマスク等の用途では、柔らかさが低下し、肌当たり感や肌触り感に欠けるものとなる。更に、繊維密度が低密で伸びやすくなることで、肌への装着時に繊維密度が粗くなるから、水分が蒸発しやすく、水分の蒸発によって不織布が肌から浮きやすくなる。よって、肌に長時間密着する装着性が低下し、化粧料の肌への移行量が低下する恐れがある。
単糸繊度が1.0dtexを超えて1.5dtex以下、好ましくは、1.1dtex以上、1.5dtex以下、より好ましくは、1.2dtex以上、1.5dtex以下の範囲内であるレーヨン繊維と、そのレーヨン繊維に対する単糸繊度の比率が1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下である合成繊維の組み合わせであれば、適度な柔軟性、しなやかさを有するも、レーヨン繊維と合成繊維が地合いよく緻密に絡みあって絡合強度も強くコシがあり、使用時にも伸び難いものとなる。また、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維及び合成繊維は、非分割型繊維(非割繊糸)であり、カード通過性も良いから、低コストで製造できる。
よって、例えば、床の清掃や手入れに用いられるクリーニングシート等として使用される汚れ等の拭き取り用途では、適度な柔軟性、しなやかさを有することで清拭すべき面との密着性、追従性が良いうえ、緻密で絡合強度が高く、使用時に伸び難いことで、使用時に緻密性が維持されその緻密な繊維間に埃、髪の毛等の固形汚れを絡める能力が高いものとなる。また、繊維密度が高いことによる毛細管現象並びにレーヨン繊維の吸水、保水特性及び合成繊維の親油性により、更には、不織布の適度な柔軟性、しなやかさによる清拭すべき面に対する良好な密着性、追従性により、水分、油分等の液汚れを吸水、保持する能力も高いものとなる。故に、高い拭き取り性能が得られる。
また、このように適度な柔軟性、しなやかさを有し、清拭すべき面との密着性、追従性が良好であるも、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維及び合成繊維は、極細繊維、マイクロファイバのようにシャープなエッジを有する分割型繊維(割繊糸)ではなく非分割型繊維(非割繊糸)であるから、清拭すべき面に対して引っ掛かりが少なく摩擦抵抗が小さい。更に、レーヨン繊維と合成繊維の繊度比が所定の範囲内であることで不織布の地合いがよく粗密が少ない。そして、適度な柔軟性があるも、繊維同士の緻密な絡合及び強い絡合強度により機械的強度があり、また、コシもあり、更に伸び難い。よって、拭き取り使用時に不織布がヨレ難くて、清拭すべき面に対する滑り性に優れ、スムースな拭き取りが可能である。
したがって、軽い力で拭くことができ、軽い力で拭いても、上述したように不織布の緻密さ及び清拭すべき面への高い密着性、追従性により汚れの絡み取り、吸液・保液に優れていることで汚れの除去性能が高いものである。
そして、不織布の滑り性がよいことで、拭くときの力加減も難しくないから、拭き取り使用時に不織布に過剰な力が加わり難く、更には、繊維密度が高く伸び難いため、払拭面との摩擦で繊維が切れたり解けたりし難く、繊維くず(リント)で払拭面を逆汚染することもない。故に、繊維が脱落し難いことで拭き取り能力の持続性も高いものである。
こうして、本実施の形態のスパンレース不織布によれば、低コストで、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性、操作性が両立する。
特に、使用時に不織布が伸び難いことにより、モップ状の掃除具に装着して清掃するワイパー等の用途にも好適である。即ち、使用時に不織布が伸び難いことによりモップ状の掃除具に不織布がしっかり固定されるから、使用時に不織布にヨレが生じ難い。このため、引っ掛かりが生じ難くて滑り性がよく、モップの柄を軽い力で操作でき、かつ、不織布の汚れの捕獲性が高いから、拭き取り効率にも優れる。
そして、柔軟性があるも、繊維同士の緻密な絡合及び強い絡合強度により機械的強度があり、また、コシもあり、更に伸び難いから、使うときに折り畳まれた状態から不織布を広げたり、包装袋から取り出したり、特に、互いに密着している複数枚の中から1枚を剥がしたりするときも取扱いやすく、モップの柄に装着するときも取扱いやすい。
また、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維及び合成繊維は、極細繊維、マイクロファイバのようにシャープなエッジを有する分割型繊維(割繊糸)でなく非分割型繊維(非割繊糸)であるから、払拭面を傷付ける恐れもなく、更に繊維が脱落しがたく逆汚染し難いから、台所用品、家電製品、車のボディ、窓ガラス、クリーニングルーム等の繊細な面に対して用いられるクリーニングシート等としても好適であり、それら繊細な面の拭き取り用途でも、傷付けずに軽い力での操作、作業で汚れの高い拭き取り効果が得られる。
特に、レーヨン繊維の吸水性、保水性及び合成繊維の親油性により、また、不織布の繊維同士がよく絡んで緻密であることによる毛細管現象により、液分の吸収スピードが速い一方で、繊維間の空隙は小さいから、少ない液量で不織布内部まで液分が充填され、過剰に液分を保持し難い。このため、例えば、床の保護、艶出し、ワックスがけ等の床材の手入れや、窓ガラスや車のボディ等の清掃に用いられるクリーニングシートとして湿潤状態(ウェットな状態)で使用する用途では、その払拭面に対する液残りを少なくできる。 よって、払拭面をキレイにする仕上がり性能が高いもとなる。また、少ない洗浄剤量で拭き取りの高い効果を上げることが可能であり、コストの低減化が可能となる。
更に、口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧料の拭き取り、乳幼児等のおしり拭き、お手拭き、体拭き、ウェットティッシュ等の対人用の拭き取り用途においても、適度な柔軟性、しなやかさがあり肌に対する良好な密着性、追従性が得られると共に、繊維同士がよく絡んで緻密で絡強強度が高く、また、伸び難くもあるから、含水状態でも緻密性が維持され、その繊維密度が高いことによる毛細管現象並びにレーヨン繊維の吸水、保水特性及び合成繊維の親油性により、強く擦ることなく汚れや化粧料を拭き取る拭き取り性能が高いものとなる。そして、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維及び合成繊維によれば、シャープなエッジを有する分割型繊維(割繊糸)ではなく非分割型繊維(非割繊糸)であるから、更には、不織布が伸び難いことで繊維の解けや毛羽立ちも生じ難いから、肌を傷付ける恐れはなく、肌への刺激、負荷が少ないものとなる。加えて、上述したように過剰に液分を保持し難いため、少ない液分量(洗浄剤量、クレンジング量)で拭き取りの高い効果を上げることが可能であり、コストの低減化が可能となる。
更にまた、繊維同士の緻密な絡合で繊維密度が高いことにより、また、レーヨン繊維の所定の細繊度による光の高い乱反射率により、不織布の白度が高くなるから、使用時の外観性も良く、かつ、汚れを拭き取った後の汚れの視認性にも優れる。よって、使用者は汚れを拭きとった効果の確認をしやすく、拭き取り感が得られる。特に、拭き取った汚れの視認性が良いと、対人用の拭き取り用途では、拭き残しの防止効果を高くできる。
加えて、所定繊度の吸水性、保水性のあるレーヨン繊維と所定繊度の合成繊維との絡合により、含水状態において柔らかい感触や適度な柔軟性、しなやかさが得られるも、繊維同士の緻密な絡み合い及び高い絡合強度並びに所定繊度の合成繊維の特性によりコシがあってしっかりとした感触があり、また、繊維の緻密な絡合及び高い絡合強度により伸び難くて変化量が少ないから、フェイスマスク等の化粧料含浸パックシートといったスキンケア用途にも好適である。
即ち、フェイスマスク等の化粧料含浸パックシートといったスキンケア用途では、伸び難くコシのある柔らかい感触により、厚みを薄くしても取り扱いやすく、使うときに不織布を包装袋から取り出したり、折り畳まれた状態から不織布を広げたり、互いに密着している複数枚の中から1枚を剥がしたりする操作性、作業性、取扱性もよい。更に、繊維の緻密な絡合及び高い絡合強度により機械的強度が高いから、それら取扱い時にも破れにくい。そして、不織布が伸び難いことで、繊維の解けや毛羽立ちが生じ難いから、肌への負荷も少なく、柔らかさにより肌触り、肌当たりもよい。特に、レーヨン繊維及び合成繊維の繊度比が所定の範囲であることで、合成繊維に細繊度のレーヨン繊維が緻密に絡み、不織布の表面に合成繊維に絡む細繊度のレーヨン繊維が高頻度で表出するから、コシがあっても表面は硬くならずに柔らかい風合いとなる。
よって、柔らかさと取り扱い性とが両立する。
また、このような化粧料等を肌に付与するフェイスマスク等のスキンケア用途では、吸水性、保水性のある所定繊度のレーヨン繊維及び所定繊度の合成繊維と絡合により、含水状態における適度な柔軟性、しなやかさにより肌への密着性が高いうえ、繊維密度が緻密であり、伸び難いから、肌への装着時も繊維が緻密であることで、水分が蒸発し難く、肌へ高密着する持続性を高くできる。特に、分割型繊維(割繊糸)では、割繊された微細な隙間等の繊維内部に化粧成分が残留する恐れがあるのに対し、所定繊度のレーヨン繊維及び合成繊維は、非分割型繊維(非割繊糸)であるから、繊維内部に化粧成分も残留し難い。よって、化粧料の肌への移行量を高めることが可能である。
ここで、本実施の形態のスパンレース不織布を構成するレーヨン繊維としては、ビスコースレーヨン繊維が好ましく、より好ましくは、重合度が200〜400程度のものである。このビスコースレーヨン繊維は、一般的に、木材パルプや竹等のセルロース繊維をアルカリ(苛性ソーダ)処理し、二硫化炭素と反応させてセルロース誘導体を生成させ、それをアルカリ溶液中に溶解させて作製したビスコースを口金から硫酸ナトリウム等の酸性溶液中に押出し、引き伸ばして、化学反応させながらセルロースを凝固、再生する湿式紡糸法により得られる。特に、重合度が200〜400程度のビスコースレーヨン繊維によれば、その製法に起因して、繊維の周囲側面に繊維の長さ方向(軸方向)に沿う細い縦の線条を有し、繊維の断面周囲はキザキザの鋸歯状(花弁状)で不規則な凹凸形状を有するから、その繊維形状により、柔らかくても、強く絡み合い強靭に一体化できて、安定した強さが得られる。なお、重合度が200〜400程度のビスコースレーヨン繊維は、その紡糸法に起因して、断面において組織成分が密なスキン層と組織成分の粗いコア層が存在する。
また、本実施の形態のスパンレース不織布を構成する合成繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリブチレンテレフタレート(PTT)、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等のポリエステル系繊維、ポリスチレン繊維、ナイロン繊維等のポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維等のポリアクリルニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル繊維等が使用される。ポリ乳酸(PLA)ベースの生分解タイプ等としてもよく、また、ポリプロピレンとポリエチレンの複合タイプ等、例えば、複数の樹脂からなる芯鞘構造、並列構造、貼り合わせ構造の複合繊維としてもよい。繊維形状も一般的には丸形であるが、楕円形、菱形、三角形、T形、井形等であってもよい。特に、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートは、安価に入手できるうえ、環境に優しい材料で、強度があるも軽くて柔らかい短繊維となることから、好ましい。より好ましくは、ソフトタイプの樹脂を使用することで、不織布が濡れたときでもやわらかいものとなる。
この合成繊維には、単繊維繊度が、好ましくは、1.3dtex以上、4.0dtex以下のものが使用される。
合成繊維が太すぎると、レーヨン繊維との交絡性が低下して緻密性が低下したり、柔軟性が低下したりするから、拭き取り性能が低下する。また、地合いが低下するから、滑り性も悪くなる。一方で、繊維が細すぎるものは、コスト高となり、また、コシが低下し、繊維が切れやすくもなる。更に、柔らかくて緻密になりすぎると払拭面に対する摩擦抵抗が大きくなり、滑り性が低下する。
合成繊維の単繊維繊度が、好ましくは、1.3〜4.0dtexの範囲内であれば、適度な柔らかさ、しなやかさと、繊維同士の緻密で高い絡合強度によるコシのある機械的強度とがバランスし、汚れ等の拭き取り用途では、拭き取り性と軽い力で拭ける操作性、作業性が安定して得られ、また、フェイスマスク等のスキンケア用途では、柔らかくもコシがある特性により薄くしても取扱い時に破れ難いものとなる。より好ましくは、1.3dtex以上、3.0dtex以下の範囲内であり、更に好ましくは、1.5dtex以上、2.0dtexの範囲内である。
また、これらレーヨン繊維と合成繊維は、何れも繊維長が、好ましくは、20mm以上、60mm以下の範囲内の短繊維である。
繊維長が短すぎると、繊維同士の絡合性が低下し、拭き取り性能や機械的強度等が低下する。また、繊維落ちや毛羽立ちが生じやすくなる。一方で、繊維長が長すぎると、地合いが低下し、その粗密によって滑り性が低下する。また、嵩高性が低下するから、柔らかい感触に劣るものとなる。
レーヨン繊維及び合成繊維の繊維長が、好ましくは、20〜60mmの範囲内であれば、地合いがよく、嵩高さや柔軟性と、緻密性や機械的強度とがバランス良く得られる。そして、滑りもよく、繊維落ちや毛羽立ちも少ないものとなる。柔らかく毛羽立ちが少ないと対人用途においても肌への刺激、負荷を少なくできる。より好ましくは、30mm以上、100mm以下、更に好ましくは、50mm以上、80mm以下の範囲内の短繊維である。
そして、レーヨン繊維と合成繊維の繊維長比が、レーヨン繊維/合成繊維=2:1〜1:2、より好ましくは、1.5:1〜1:1.5、更に好ましくは、1.1:1〜1:1.1の範囲内であれば、地合いよく絡合して均質な特性が得られ、粗密が少ないから滑りがよくなる。
これらレーヨン繊維及び合成繊維は、その混合比率(混綿比率)が、好ましくは、レーヨン繊維/合成繊維=40:60〜80:20の範囲内である。
レーヨン繊維の割合が多く合成繊維の割合が少なくなり過ぎると、機械的強度、特に湿潤時の機械的強度が不足する。このため、フェイスマスク等のスキンケア用途として用いる場合には、取扱性が低下する。また、合成繊維の割合が多くレーヨン繊維の割合が少なくなり過ぎると、吸水性が不足し、更に、柔軟性も低下する。このため、拭き取り性が低下する。
レーヨン繊維及び合成繊維の混綿比率が、レーヨン繊維/合成繊維=40:60〜80:20の範囲内であれば、用途に応じて所望とする機械的強度及び吸水性が両立する。
特に、本実施の形態では、所定繊度の細いレーヨン繊維によって、それが合成繊維に絡み合いやすく絡合強度も高いから、合成繊維の少ない含有量で、柔らかくあるもコシがあり高い機械的強度を確保でき、濡れたときでも所定の湿潤強度を確保できる。よって、レーヨン繊維の高配合率によって吸水性、保水性を高くしても高い強度が得られる。より好ましくは、レーヨン繊維/合成繊維=45:55〜70:30、更に好ましくは、50:50〜70:30の範囲内である。
そして、このような所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維及び合成繊維が絡合してなるスパンレース不織布の目付量(坪量)は、好ましくは、25g/m2以上、200g/m2以下である。
目付量が大きすぎると、繊維密度が緻密になり過ぎて重量も大きくなるから、操作性、作業性が低下する。また、硬くなり過ぎて密着性が低下するから、拭き取り性も悪くなる。フェイスマスク等のスキンケア用途として用いる場合でも、肌への密着性、追従性が低下し、肌への化粧料の移行率も低下する。一方で、目付量が少なすぎるものは、機械的強度が不足し、また、低密度で伸びも大きくなるから、汚れの掻き取り性や吸水性、保水性が低下する。
目付量(坪量)が、好ましくは、25〜200g/m2の範囲内であれば、機械的強度と柔らかさがバランスされ、高い拭き取り性及び軽い力で拭ける操作性、作業性が安定して確保される。フェイスマスク等のスキンケア用途として用いる場合でも、肌への高い密着が持続する。より好ましくは、30g/m2以上、100g/m2以下、更に好ましくは、50g/m2以上、80g/m2以下の範囲内である。
次に、このような所定繊度のレーヨン繊維及び合成繊維が絡合してなる本実施の形態に係るスパンレース不織布の製造方法の一例を、図1を参照して説明する。
図1においては、乾式法であるカーディング法にて繊維塊を所定の方向に梳ることによって、薄いシート用のウェブを形成し、そのウェブに対しウォータージェットを施すことでウェブの繊維を結合、一体化してスパンレース不織布1を形成している。
即ち、図1において、初めに、原料である塊状の原綿11、12が供給される。本実施の形態においては、原料として、所定繊度の短繊維であるレーヨン繊維の原綿11及び所定繊度の短繊維である合成繊維の原綿12が別々に供給され、次の開綿部20で各原綿の繊維塊が解される。続いて、計量・混綿部30で、各繊維の重量を計量し、所定割合で混綿される。混綿された繊維は、解繊部40で更に細かく解されて混ぜ合わされ、更に、カーディング部50でローラーカード機により、解されながら配列し、複数のローラを通過することでシート状のウェブに形成される。そして、シート状に形成されたウェブは、続く水流絡合処理部60で、ウォータージェットによる高圧水流が噴射されることで、その水圧により繊維同士が絡み合い、更に、乾燥部70で、水分が乾燥される。このようにしてスパンレース不織布1が得られる。
ここで、レーヨン繊維と合成繊維の混綿は、計量・混綿部30でのブレンドに限定されるものではなく、予めそれらをブレンドした状態の原綿を用いてもよいし、予め計量した原綿11、12を開綿部20で開綿してから、混綿部30でブレンドしてもよい。
また、開綿部20における開綿では、例えば、相互に逆回転する複数の凸ローラ、ファインオープナー等の使用により塊状の原綿が予備開繊される。
そして、計量・混綿部30では、所定の配合、重量でレーヨン繊維及び合成繊維が混合(混綿)され、次の解繊部40では、複数の刺ローラ等の使用により混綿された繊維の固まりが更に解される。
カーディング部50では、カード機における鋭利なワイヤーロールで繊維を梳って配列して送り出す。このときのカーディング部50によるウェブの形成では、繊維がほぼ一方向、即ち、カード機の進行方向に配列するパラレルウェブ、繊維が無配向となるランダムウェブ、それらの中間の配向であるセミランダムウェブの何れでもよく、スパンレース不織布1の用途に応じて選択される。緻密な絡合、絡合強度及び使用時の繊維の特定方向の伸びを抑える観点からすると、無配向としたランダム配列のウェブの形成が望ましい。また、ウェブを複数枚積層して水流絡合部60に供給するようにしてもよく、その場合には、ウェブの繊維が直交する状態で多数枚重ねることで、即ち、パラレルウェブをクロスレイドしたクロスウェブや、クリスクロスウェブであると、緻密な絡合、絡合強度及び特定方向の伸びを抑える点で好ましくなる。
水流絡合処理部60では、一列または複数列の多段階的に配列したスパンレースノズルから、ウェブに向かって、即ち、ウェブの進行方向と直交する方向でウォータージェットが施されるが、このときのウォータージェットのノズルは、例えば、ノズル径(φ)が0.01mm〜3mm、好ましくは、0.5mm〜1.5mm、より好ましくは、0.75〜1.25mmの範囲内のノズル孔(オリフィス)を有するオリフィスが、例えば、0.3〜10mmの間隔、好ましくは、0.5〜2mmの間隔で設けられる。そして、このウォータージェットのノズルからは、例えば、1×106〜1.5×107Pa程度の水圧の水が噴射される。複数列の多段階的のスパンレースノズルによるスパンレース処理では、上流側から下流側に向かって、同一の水圧で水柱流を施してもよいが、上流側から下流側に向かって徐々に水圧を高くするのが好ましい。特に、最初のウォータージェットのノズルでは、好ましくは、1×106〜2×106Pa程度の低水圧の水とすることで、ウォータージェットのジェット噴射による繊維の飛散、舞い上がりを防止し、地合い及び歩留まりを良くできる。なお、ノズルの個数や能力等は、スパンレース不織布1の用途、所望とする特性に合わせて適宜設定される。特に、本実施の形態では、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維と合成繊維の絡合であり、交絡しやすいから、ウォータージェットの水柱流を施した際に、繊維の舞上がり、飛散、流出が少ないものである。このため、ウォータージェットの使用後の水を回収し、フィルタ濾過して、ウォータージェットに再利用するときでも、その回収した水に繊維の混入が少なく、フィルタの目詰まりや、フィルタメンテナンスの負荷を少なくできる。更に、連続作業性もよくできる。また、回収せずに排水する場合でも、繊維の混入が少ないことで環境負荷が少ないものとなる。
こうして、水流絡合処理部60では、ウェブに対し、それらを貫通するようにウォータージェットのジェット噴流を噴射することで、ウォータージェットの水柱流によってレーヨン繊維と合成繊維を複雑に3次元的に一体に交絡させる。
なお、ウェブの一面(表面または裏面)側からのみのジェット噴流であってもよいし、ウェブの一面(表面または裏面)側からジェット噴流を施したのち、ウェブを反転させて、ウェブの反対面(裏面または表面)側にもジェット噴流を施して、ウェブの表裏の両面でジェット噴流を施してもよく、スパンレース不織布1の用途等によって選択される。
また、乾燥部70での乾燥方法としては、エアースルードライヤ(熱風通気方式)等のドライヤ、ヒータ(空気中乾燥処理)、赤外線放射法、蒸気缶、真空脱水法、超音波エネルギー法、超短波エネルギー法等の非接触型(非圧縮型)乾燥であってもよいし、乾燥ローラやヤンキードライヤ(熱板圧着方式)等の接触型(圧縮型)乾燥であってもよく、スパンレース不織布1の用途等に応じて選択できる。例えば、エアースルードライヤでは、筒状体の回転ローラの周表面に多数の貫通孔が設けられて、その貫通孔から熱風が噴き出すことにより乾燥を行うことから、嵩高な仕上げが可能である。なお、このときの乾燥の温度は、合成繊維の樹脂の融点よりも低い温度で乾燥され、樹脂の熱融着が生じない温度に設定される。
そして、乾燥を終えたスパンレース不織布1は、通常、その終端で巻取りロッドに巻き取られて一連の工程が完了する。
なお、上述のウェブの形成からスパンレース不織布1の巻き取りまでは、例えば、ネットコンベア上で搬送されるが、このネットコンベアの支持網体としては、合成樹脂製または金属製の縦糸と横糸からなる平織り等の20〜100メッシュのワイヤ等の網状の支持体やパンチングプレート等の多孔質支持体が使用される。水流絡合処理部60では、通常、このようなネットコンベア(織コンベア)または孔あきドラム上でウェブに高圧水流を施し、繊維を絡ませる。必要に応じ、エンボスローラや、エンボスパターンのコンベアまたはドラムでエンボス加工を施してもよい。
このように乾式法のカーディング法(カード法)で形成したウェブの繊維を高圧水流によるスパンレース法により絡合してなるスパンレース不織布1によれば、高い嵩高性が得られ、しなやかで柔らかな風合いを形成できる。また、乾式法のガーディング法によれば、均一な繊維の分散が可能であり、地合いにも優れたものとなる。更に、用途に応じた設計変更も容易であり、低コストで済む。しかし、本発明を実施する場合には、湿式法によりウェブを形成し、スパンレース処理してもよい。
こうして、所定繊度のレーヨン繊維の短繊維と、所定繊度の合成繊維の短繊維との混綿を乾式法のカーディング法(カード法)によってウェブ形成し、そのウェブに対し水流ジェットを施すことでウェブの繊維を絡合、結合し、更に、乾燥することにより、単糸繊度が1.0dtexを超えて1.5dtex以下、好ましくは、1.1dtex以上、1.5dtex以下、より好ましくは、1.2dtex以上、1.5dtex以下の範囲内であるレーヨン繊維の短繊維と、そのレーヨン繊維に対し単糸繊度の比率が1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下である合成繊維の短繊維とが水流絡合したスパンレース不織布1を得ることができる。
次に、本発明の実施の形態に係るスパンレース不織布1の実施例について、具体的に説明する。
本実施例1では、図1に示した製造方法でスパンレース不織布1を作製した。即ち、まず、繊維長が38〜40mmであり単糸繊度が1.2〜1.3dtexであるレーヨン繊維(単一繊維、非分割型繊維)の塊状の原綿11と、繊維長が38〜40mmであり単糸繊度が1.5dtexでレーヨン繊維の単糸繊度に対する単糸繊度の比率が1.15〜1.25であるPET繊維(単一繊維、非分割型繊維)の塊状の原綿12とをそれぞれ開綿部20で開綿してから計量・混綿部30で混綿した。このとき、本実施例1では、PET繊維を40質量%、レーヨン繊維を60質量%の配合で混綿した。また、本実施例1のレーヨン繊維としては、重合度が200〜400のビスコースレーヨン繊維を用いた。
混綿したPET繊維及びレーヨン繊維は、解繊部40で解繊してからカーディング部50に供給し、更に、カーディング部50のカード機(開繊機)によってシート状のウェブとした。その後、このPET繊維とレーヨン繊維が所定割合で混綿されたウェブに対し、水流絡合処理部60でウォータージェットの高圧水柱流を施すことにより繊維同士を水流絡合させ、更に、乾燥部70で乾燥して水分を蒸発させた。これにより、実施例1に係るスパンレース不織布1を得た。
このようにした得られた本実施例1に係るスパンレース不織布1は、繊維長が38〜40mmであり単糸繊度が1.2〜1.3dtexであるレーヨン繊維と、繊維長が38〜40mmであり単糸繊度が1.5dtexであるPET繊維とが3次元的に一体に絡合してなる単一層で、PET繊維とレーヨン繊維の単糸繊度の比率が、PET繊維/レーヨン繊維=1.15〜1.25であり、また、PET繊維とレーヨン繊維の配合比が、PET繊維が40質量%、レーヨン繊維が60質量%の配合である。
なお、本実施例1に係るスパンレース不織布1では、その目付量を約60g/m2としている。目付量については、例えば、JIS L 1906に準拠して、所定の面積をカットし、その重量を測定することで算出できる。
また、比較のために、比較例1として、上記実施例1で使用したビスコースレーヨン繊維に代えて、単糸繊度が1.7dtexで繊維長が38mm〜40mmのビスコースレーヨン繊維(重合度は200〜400)を用い、それ以外は、実施例1と同様の条件として、比較例1に係るスパンレース不織布も作製した。なお、この比較例1では、PET繊維とレーヨン繊維の単糸繊度の比率が、PET繊維/レーヨン繊維=0.88となる。
ここで、これら実施例1及び比較例1のスパンレース不織布について、重さ、厚み、引張強度、伸度、剛軟度及び白度の測定を行った。その測定結果は以下の表1に示す通りである。
なお、参考までに、実施例1で用いた単糸繊度が1.2〜1.3dtexのレーヨン繊維の電子顕微鏡写真を図2及び図3に示し、比較例1で用いた単糸繊度が1.7dtexのレーヨン繊維の電子顕微鏡写真を図4及び図5に示す。
Figure 2021179044
このときの引張強度及び伸度については、JIS L1913:2010 「一般不織布試験方法」の6.3「引張強さ及び伸び率」に準拠して、幅50mm×長さ300mmの不織布試験片を、定速伸長型引張試験機を用いて、つかみ間隔(チャック間距離)200mm、引張速度20mm/分の条件で引っ張り、破断したときの最大引張破断強度(N/50mm)を測定した。また、最大荷重時の伸びを測定し、伸長率(破断伸度)(%)を求めた。ここでは、MD方向及びCD方向にのそれぞれについて各引張強度(N/50mm)及び伸度(%)を測定した。
なお、MD方向とは、不織布の製造ラインにおいて不織布が移送される機械の流れ方向であり、CD方向とは、その機械の流れ方向対して直交する幅方向をいう。
白度(WI)については、JIS P 8123 準拠のハンター白色試験機により測定した。
剛軟度(mN・cm)については、JIS L1913:2010 「一般不織布試験方法」の6.7「剛軟度」に準拠して、幅15cm×長さ30cmの不織布試験片を用い、カンチレバー法で求めた。
また、厚度(厚み)については、不織布をそのMD方向に沿って垂直に剃刀で切断し、顕微鏡を用いてその不織布断面を観察して、厚さを計測した。
表1に示すように、実施例1に係るスパンレース不織布によれば、比較例1に係るスパンレース不織布とMD剛軟度が同等で高い柔軟性があるも、比較例1に係るスパンレース不織布よりもMD引張強度が16%増大し、また、CD引張強度が27%増大して、MD引張強度及びCD引張強度が顕著に高くなっており、高い柔軟性と高い機械的強度が両立していることが分かる。
これは、実施例1に係るスパンレース不織布によれば、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維及び合成繊維の組み合わせにより、繊維が細くて高い柔軟性がでるも、繊維同士が緻密に絡み合い、その絡合強度も強くなっているためである。
推測するに、重合度が200〜400のビスコースレーヨン繊維では、その繊維の紡糸法から、繊維の周囲にその長さ方向(軸方向)に沿う複数の線条を有し、繊維の断面周囲が不規則な凹凸形状(鋸歯状、花弁状)を成す非分割型繊維であるところ、図2及び図3に示すように、1.0dteXを超え、1.5dtex以下の単糸繊度であると、繊維の細径化に伴い、繊維表面の線状の溝、凹凸差が深くなる形状、即ち、よりシャープな凹凸形状により、絡みやすくなり、また、その絡み合いも強くなるものと考えられる。即ち、所定繊度としたレーヨン繊維では、合成繊維に対し高頻度、かつ、強く絡み、また、レーヨン繊維同士も高頻度、かつ、強く絡み、更に、それらレーヨン繊維によって合成繊維同士の絡合も高頻度とし、かつ、強くしているものと考えられる。更には、レーヨン繊維の凹凸の係合によっても絡合強度が強くなるものと考えられる。このため、所定の細繊度として柔らかさを確保しても、機械的強度は顕著に増し、柔軟さと機械的強度とが両立したと推測される。なお、図2及び図3に示すように、実施例1で用いたビスコースレーヨン繊維は、その周囲面の略全周に亘って複数の線条が走行して断面周囲に凹凸の連続する波形形状を有する非捲縮ステープルである。
即ち、このように周囲の側面に数本の線条が繊維長さ方向に走行し、断面周囲が凹凸形状である所定繊度のビスコースレーヨン繊維では、繊維の細さに加え、繊維表面の線状の溝が深く凹凸差(山部と谷部の差)が大きいことで、柔らかさにも優れ、特に、繊維内部のみならず繊維表面も含水するから、含水状態における柔軟性も高い一方で、強く、高頻度で絡み合うから、柔らかくても、コシが強く、機械的強度があるスパンパンレース不織布となる。
そして、このように側面周囲に数本の線条が繊維長さ方向に走行し、断面周囲が凹凸の波形状である所定繊度のビスコースレーヨン繊維では、繊維表面の線状の溝が深く凹凸差が大きいことで、緻密に繊維同士が絡んで高い繊維密度によって、更には、繊維表面の線状の溝が深いことによって、固形汚れの掻き取り性を高くでき、また汚れを内部に取り込んで保持する汚れの保持性、保持量を高くできる。液状汚れに対しても、吸液が速く、高い保液性、保液量を確保できる。よって、強固な汚れや微細な異物等の汚れに対しても、高い拭き取り性を発揮できる。
また、表1に示したように、実施例1に係るスパンレース不織布によれば、比較例1に係るスパンレース不織布よりCD伸度が10%減少していることからも、更に、白度が高くなっていることからも、レーヨン繊維を所定の細繊度とすることで、レーヨン繊維と合成繊維が緻密に絡み合い、そして、強く絡合していることが推測される。なお、レーヨン繊維を所定の細繊度とすることによる光の乱反射率の向上により白度が向上したことも考えられる。何れにしろ、実施例1に係るスパンレース不織布によれば、白度が高いことで、使用時の外観性も良く、かつ、汚れを拭き取った後の汚れの視認性にも優れるから、使用者が汚れを拭きとった効果、拭き取り感の確認性に優れ、拭き残しの防止効果を高くできる。
更に、実施例1に係るスパンレース不織布によれば、比較例1に係るスパンレース不織布よりもMD/CD伸度比が高いから、全体として縦横のびに対する抵抗力が強く形状変化し難いものとなっていることが分かる。よって、使用時に不織布にヨレが生じ難くて滑りがよくスムースな拭き取りを可能とし、軽い力で拭く操作性、作業性を良くできる。
特に、モップ状の掃除具に装着して清掃するワイパー等の用途として用いた場合には、使用時に不織布の形状が維持され変形し難いことによりモップ状の掃除具に不織布がしっかり固定されるから、使用時に不織布にヨレが生じ難い。このため、引っ掛かりが生じ難くて滑り性がよく、モップの柄を軽い力で操作できる。そして、不織布が形状変化し難いことでその高い繊維密度が使用時にも維持され、更に、不織布の柔軟性により清拭すべき面に良好に密着、追従することで汚れの捕獲性が高いから、拭き取り効率にも優れる。また、不織布が形状変化し難いと、払拭面との摩擦による繊維の抜け落ちも生じ難いから、拭き取りの持続性も高くできる。そして、不織布が形状変化し難いと、使うときに包装袋から取り出したり、折り畳まれた状態から不織布を広げたり、互いに密着している複数枚の中から1枚を剥がしたりするときの取扱性もよく、モップの柄にも装着しやすい。
こうして、実施例1に係るスパンレース不織布によれば、柔軟でしやなかさがあることで、更に、繊維が緻密に、かつ、強く絡合し、形状変化もし難いから使用時に繊維密度が高密であることで、そして、レーヨン繊維表面の線状の溝が深く凹凸差が大きいことで、固形汚れの絡み取り性や液状汚れの吸収性、保持性といった拭き取り性が高いものである。また、柔軟でしやなかさがあるも、繊維が緻密に、かつ、強く絡合して機械的強度が高くて伸び難く、また、コシがあることで、取扱性も良く、拭き取りの際でもヨレが生じ難いから滑りがよく、軽い力で拭ける操作性、作業性がよい。
なお、実施例1で用いたPET繊維については、その周囲側面は略平滑で断面が略円形の非分割型繊維である。
以上説明してきたように、上記実施の形態のスパンレース不織布は、レーヨン繊維と合繊繊維が絡合してなるスパンレース不織布であって、レーヨン繊維の単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下、好ましくは、1.1dtex、1.5dtex以下、更に好ましくは、1.2dtex、1.5dtex以下の範囲内であり、合成繊維とレーヨン繊維の単糸繊度の比率が合成繊維/レーヨン繊維=1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下の範囲内であるものである。
このように、単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下、好ましくは、1.1dtex、1.5dtex以下、更に好ましくは、1.2dtex、1.5dtex以下の範囲内であるレーヨン繊維と、そのレーヨン繊維に対し単糸繊度の比率が1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下の範囲内である合成繊維との水流交絡である本実施の形態のスパンレース不織布によれば、繊維を極細化した分割型繊維ではなく非分割型繊維の使用であるから、低コストであり、そして、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維と合成繊維との組み合わせによって、また、スパンレース法による水流絡合で繊維を一体化し、繊維同士を熱融着させていないことによって、適度な柔軟性、しやなかさ、柔らかさが得られるも、緻密な絡み合い及び高い絡合強度並びに合成繊維の特性により、機械的強度が高くコシがある。つまり、強度、コシと柔軟性、しなやかさとが両立する。
したがって、例えば、クリーニングシート等の拭き取り用途として用いた場合には、不織布の繊維同士の緻密な絡み合いによる高密度及び高い絡合強度によって、また、使用時でも伸び難く変化量が少ないことでその高緻密性が保持されることによって、更には、不織布の適度な柔軟性、しなやかさによる清拭すべき面への良好な密着性、追従性によって、埃、塵、髪の毛等の固形汚れを絡み取る能力が高いものである。また、高い繊維密度による毛細管現象並びにレーヨン繊維の吸水性、保水性及び合成繊維の親油性により、更には、不織布の適度な柔軟性、しなやかさによる清拭すべき面に対する良好な密着性、追従性により、染み汚れ、付着液体等の液状の汚れに対しても、それを吸収し、保持する能力が高いものとなる。そして、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維と合成繊維の組み合わせによって繊維密度が高くなるも、それら繊維が非分割繊維であり、かつ、繊度比率の規定により、繊維間に適度な空間を有するから、汚れの取り込み、汚れの保持量も高く、かつ、伸び難いことで、絡み取った汚れの保持力も高くて不織布から拭き取った汚れが離れ難く、再汚染し難い。また、使用時に伸び難いことにより繊維が解け難く、更に、機械的強度も高いことで破れ難いから拭き取りの持続性も高い。故に、高い拭き取り性能が得られ、頑固な汚れや微細な異物等の汚れに対する拭き取り効率も高く、汚れの拭き残りを少なくできる。また、掃き取り性能も高い。
そして、適度な柔軟性、しなやかさがあるも、単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下、好ましくは、1.1dtex、1.5dtex以下、更に好ましくは、1.2dtex、1.5dtex以下の範囲内のレーヨン繊維と、そのレーヨン繊維に対し単糸繊度の比率が1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下の範囲内である合成繊維の組み合わせであれば、それらの繊維は極細繊維、マイクロファイバのように繊維の分割で生じるシャープなエッジを有する分割型繊維(割繊糸)ではなく非分割型繊維(非割繊糸)であるから、払拭面に対する引っ掛かりが少なくて摩擦抵抗も大きくならない。更に、柔軟でしやなかさがあるも、繊維が緻密に、かつ、強く絡合して機械的強度が高くて伸び難く、また、コシがあるから、拭き取りの際でもヨレが生じ難い。よって、良好な滑り性が確保され、軽い力で拭ける操作性、作業性が確保される。
特に、モップ状の掃除具に装着して清掃する場合であっても、使用時に不織布が伸び難く形状維持性が高いことで不織布が掃除具にしっかり固定されて動き難くなるから、使用時に不織布がヨレ難く、床面との間で引っ掛かりが生じ難く滑りがよいものとなり、モップの柄の操作性、作業性に優れる。よって、清掃具の柄に加えた力を損失させることなく、不織布の大きな押圧力になるから、軽い力で払拭面を滑らせ汚れを拭き取ることができ、上述したように、汚れも捕獲しやすいからその拭き取り効率も高いものである。
加えて、適度な柔軟性、しなやかさがあるも、緻密な絡み合い及び高い絡合強度並びに合成繊維の特性により、機械的強度が高くコシがあり、更に、不織布が伸び難く形状変化し難いことで、特に含水状態であっても、使うときに包装袋から取り出したり、折り畳まれた状態から不織布を広げたり、互いに密着している複数枚の中から1枚を剥がしたりするときの取扱性もよく、モップの柄にも装着しやすい。
また、繊維が緻密に、かつ、強く絡合して不織布の機械的強度が高く伸び難いから、更には、滑りがよいことで過剰な力が加わりにくいから、払拭面との摩擦等で繊維が切れたり、繊維が解けて抜け落ちたりし難いものである。よって、解けた或いは切れた繊維くず(リント)の落下による払拭面の逆汚染が生じ難く、広い面積を清掃できる拭き取りの持続性及び拭き取り効率も高いものである。そして、含水状態で使用する用途であっても、繊維密度が高いことですぐに乾くようなこともなく湿潤状態の持続性も高い。また、機械的強度が高いから、頑固な汚れに対し大きな力を加えたときでも、破れ難いものである。
こうして、低コストであり、かつ、汚れ等の拭き取り用途としては、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性・操作性が両立する。
更に、単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下、好ましくは、1.1dtex、1.5dtex以下、更に好ましくは、1.2dtex、1.5dtex以下の範囲内であるレーヨン繊維と、そのレーヨン繊維に対し単糸繊度の比率が1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下の範囲内である合成繊維は、極細繊維、マイクロファイバのように繊維の分割で生じるシャープなエッジを有する分割型繊維(割繊糸)ではなく非分割型繊維(非割繊糸)であるから、払拭面を傷付ける恐れもない。加えて、上述したように、不織布の繊維が脱落し難いから、繊維落ちで払拭面を逆汚染する恐れも少ない。このため、窓ガラス、台所の調理器具や家電製品、車のボディ、クリーンルーム等の繊細な面を清掃、手入れするクリーニングシートの用途としても好適である。特に、薬品等で清拭すべき表面の付着物を溶解し拭き取る用途としても、繊維密度が高いことですぐに乾いてしまうことはなく高い湿潤状態の持続性、拭き取りの持続性が得られる。また、接着剤を使用することなく繊維を結合しているから、耐溶剤性も良い。
特に、レーヨン繊維の吸水性、保水性及び合成繊維の親油性と不織布の繊維同士がよく絡んで緻密であることによる毛細管現象により、液分の吸収のスピードが速い一方で、繊維間の空隙は小さいから、少ない液量で不織布内部まで液分が充填され、過剰に液分を保持し難い。このため、例えば、窓ガラスや車のボディ等を清掃した際でも、その払拭面に対する液残りが少ないものとなる。艶出しや撥水性付与等のためのワックス成分を含浸する用途でも、払拭面に対するワックス成分の付着ムラ、塗布ムラが生じ難くなる。加えて、所定繊度及び所定繊度比率であるレーヨン繊維と合成繊維の組み合わせによって繊維密度が高くあるも、非分割繊維であり、かつ、繊度比率の規定により、繊維間に適度な空間を有するから、汚れの保持量も高く、また、拭き取った汚れの保持力も高くて拭き取った汚れが不織布から離れ難い。即ち、払拭面に拭き取った汚れによる拭き筋が生じ難く、再汚染し難い。よって、払拭面をキレイにする仕上がり性能が高いものとなる。また、少ない洗浄剤量で拭き取りの高い効果を上げることが可能であり、コストの低減化が可能である。そして、適度な柔軟性、しなやかさがあるも、緻密な絡み合い及び高い絡合強度並びに合成繊維の特性により、機械的強度が高くコシがあり、更に、不織布が伸び難く形状変化し難いことで、払拭面に対する滑りがよいうえ、不織布を折り畳んだ状態、重ねた状態で使用しても、折り畳んで重ねたシート同士の滑りによる型崩れも生じ難い。よって、軽い力で拭ける拭き取りの作業性、操作性に優れる。加えて、単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下、好ましくは、1.1dtex、1.5dtex以下、更に好ましくは、1.2dtex、1.5dtex以下の範囲内であるレーヨン繊維と、そのレーヨン繊維に対し単糸繊度の比率が1.0以上、4.0以下、好ましくは、1.0以上、3.0以下、より好ましくは、1.1以上、2.5以下の範囲内である合成繊維の組み合わせであれば、含水状態でも適度にコシや剛性があるから、手指で把持したときに適度な反発力があり、手作業での拭き取りの作業性、操作性が良く、使いやすい。そして、非湿潤状態(乾燥時)であっても湿潤状態であっても、ソフトな感触で風合いが良好である。
また、口紅、ファンデーション、マスカラ等の化粧料の拭き取り、乳幼児等のおしり拭き、お手拭き、体拭き、ウェットティッシュ等の対人用の拭き取り用途に使用する場合でも、上述したように、適度な柔軟性、しなやかさがあり肌に対して良好な密着性、追従性が得られることにより、更には、繊維同士がよく絡んで含水状態でも緻密であると共に、伸び難く、使用時に繊維間が高密度であることによる毛細管現象並びにレーヨン繊維の吸水性、保水性及び合成繊維の親油性により、強く擦ることなく汚れや化粧料を拭き取る拭き取り性能が高いものとなる。そして、拭き取り能力が高いので大きな力を加えて擦らなくともよいうえ、極細繊維、マイクロファイバのように繊維の分割で生じるシャープなエッジを有するものではないから、更には、使用時に不織布が伸びることによる繊維の解れ、毛羽立ちも生じ難いから、皮膚への刺激、負荷が少ないものである。即ち、肌に負担をかけることなく高い拭き取り能力が得られるものである。
更にまた、繊維密度が高く、また、細繊度のレーヨンの乱反射による効果で、特に、白度が高くなる。よって、使用時の外観性も良く、かつ、汚れを拭き取った後の汚れの視認性にも優れるから、使用者が汚れを拭きとった効果、拭き取り感の確認性に優れ、拭き残しを防止できる。更に、レーヨン繊維の吸水性、保水性及び合成繊維の親油性と不織布の繊維同士がよく絡んで緻密であることによる毛細管現象により、液分の吸収のスピードが速い一方で、繊維間の空隙は小さいから、少ない液量で不織布内部まで液分が充填され、過剰に液分を保持し難いため、洗浄剤、クレンジング剤が肌に過剰に残るべたつき感も防止できる。また、少ない洗浄剤量、クレンジング量で拭き取りの高い効果を上げることが可能であり、コストの低減化が可能となる。
加えて、上述したように、適度な柔軟性、しなやかさがあるも、緻密な絡み合い及び高い絡合強度並びに合成繊維の特性により、機械的強度が高くコシがあり、更に、不織布が伸び難く形状変化し難いから、濡れた状態で使う対人用の拭き取り用途でも、包装袋から取り出したり、折り畳まれた状態から不織布を広げたり、互いに密着している複数枚の中から1枚を剥がしたりするときの取扱性もよい。
そして、人の顔の目元、口元、または顔全体や、手、首、肘、足、腹等の身体の一部を被覆する化粧料含浸シート等のスキンケア用途として使用する場合では、適度な柔軟性、しなやかさがあるも、緻密な絡み合い及び高い絡合強度並びに合成繊維の特性により、機械的強度が高くコシがあり、更に、不織布が伸び難く薄くしても形状安定性がよいから、カット等の加工性もよく、濡れた状態でも包装袋から取り出したり、折り畳まれた状態から不織布を広げたり、互いに密着している複数枚の中から1枚を剥がしたりするときの取扱性もよくて破れ難く、肌にも装着しやすい。
特に、所定繊度の比率のレーヨン繊維と合成繊維が緻密に絡むことで不織布の表面に合成繊維に絡む吸水性、保水性のあるレーヨン繊維が多く表出するから、コシがあっても表面は硬くならずに柔らかい風合いとなる。また、繊維の絡みが強く伸度が低いから、不織布を肌に装着する際でも、繊維の一部が解けて毛羽立つこともなく、所定繊度のレーヨン繊維及び合成繊維が非分割型繊維(非割繊糸)であるから肌を刺激することなく、所定の細繊度のレーヨン繊維によって、特に、重合度が200〜400のビスコースレーヨン繊維では、その繊維表面の凹凸形状により肌との接点も多くでき、柔らかくもあるから、肌への密着感に優れる。
こうして、柔らかさと取扱性が両立する。
また、このような化粧料等を肌に付与するフェイスマスク等のスキンケア用途では、吸水性、保水性のあるレーヨン繊維及び親油性の合成繊維と、不織布の繊維同士がよく絡んで緻密であることによる毛細管現象によって、液分の吸収性、保水性が確保されるうえ、不織布が緻密であり伸び難いことで肌への装着時に繊維の緻密さが維持されることで、吸水した液分が蒸発し難いので、肌に高密着する持続性が高い。即ち、含水状態で高い柔軟性、しなやかさがあることで肌への密着性が高いうえ、吸水した液分も蒸発し難いため、長時間肌へ高密着できる装着性が高い。特に、所定繊度のレーヨン繊維及び合成繊維は、非分割型繊維(非割繊糸)であるから、繊維内部に化粧成分も残留し難い。よって、化粧料の肌への移行量を高めることが可能である。
また、レーヨン繊維及び合成繊維は、好ましくは、繊維長が20〜60mm、より好ましくは、20〜55mm、更に好ましくは、30〜40mmの短繊維であると、不織布の地合いがよく、嵩高性、柔軟性を高くしても強度、コシが強いものとなる。特に、対人用途では柔らかい感触に優れ肌への刺激が少ないものとなる。
更に、レーヨン繊維が、40〜80質量%、好ましくは、45〜70質量%、50〜70質量%の範囲内であり、合繊繊維は、20〜60質量%の範囲内、好ましくは、30〜55質量%、30〜50質量%の範囲内であると、機械的強度と吸水性、保水性が両立する。
加えて、スパンレース不織布の目付量が25〜200g/m2、30〜100g/m2、より好ましくは、50〜80g/m2の範囲内あると、柔らかさと機械的強度の両立に優れ、広範囲の用途に使用できる。
そして、合成繊維の単糸繊度が1.3dtex以上、4.0dtex以下、好ましく1.3dtex以上、3.0dtex以下、より好ましく1.5dtex以上、2.5dtex以下の範囲内であると、柔らかさとコシの強さの両立に優れる。
ところで、上記実施の形態は、レーヨン繊維と合成繊維の混綿を乾式法のカーディング法(カード法)によってウェブ形成し、そのウェブに対し水流ジェットを施すことでレーヨン繊維と合成繊維を水流絡合したスパンレース不織布の製造方法であって、絡合したレーヨン繊維及び合成繊維は、レーヨン繊維の単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下、好ましくは、1.1dtex、1.5dtex以下、更に好ましくは、1.2dtex、1.5dtex以下の範囲内であり、それらの単糸繊度の比率が合成繊維/レーヨン繊維=1.0〜4.0、好ましくは、1.0〜3.0、より好ましくは、1.1〜2.5の範囲内であるスパンレース不織布の製造方法と捉えることも可能である。
なお、本発明を実施するに際しては、スパンレース不織布のその他の部分の構成、成分、配合、製造方法等については、上記実施の形態及び実施例に限定されるものではない。
また、本発明の実施の形態で挙げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は製造コスト、製造が容易な形態等から決定した値であり、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を許容値内で若干変更してもその実施を否定するものではない。
1 スパンレース不織布

Claims (6)

  1. レーヨン繊維と合繊繊維が絡合してなるスパンレース不織布であって、
    前記レーヨン繊維は、その単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下の範囲内であり、前記合成繊維と前記レーヨン繊維の単糸繊度の比率が、合成繊維/レーヨン繊維=1.0〜4.0の範囲内であることを特徴とするスパンレース不織布。
  2. 前記レーヨン繊維は、重合度が200〜400の範囲内であるビスコースレーヨンであることを特徴とする請求項1に記載のスパンレース不織布。
  3. 前記レーヨン繊維は、その繊維長が、20〜60mmの範囲内の短繊維であり、前記合成繊維は、その繊維長が、20〜60mmの範囲内の短繊維であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスパンレース不織布。
  4. 前記レーヨン繊維は、40〜80質量%の範囲内であり、前記合繊繊維は、20〜60質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載スパンレース不織布。
  5. 前記不織布は、その目付量が25〜200g/m2の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載のスパンレース不織布。
  6. 前記合繊繊維は、その単糸繊度が1.3dtex以上、4.0dtex以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載のスパンレース不織布。
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