JP3699332B2 - 湿潤シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡、OA機器、家具、自動車などの製品、セラミック製品、プラスチック製品、金属製品など対物、あるいは皮脂、化粧品、その他の汚れの付着した肌など対人の清掃、拭き取りや、肌に保湿成分や制汗成分などの機能剤を付与するのに好適な、液体含浸性に優れるとともにべたつき感が少なく、かつ使用時の耐摩耗性、触感、ボリューム感、手持ち感に優れた湿潤性不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からウェットティッシュや使い捨ておしぼりなどにはレーヨン等の親水性繊維または親水性繊維と熱接着性複合繊維の混綿からなる繊維ウェブに高圧水流処理を施した不織布、あるいは前記不織布を機能的な改善を施した様々な不織布が提案されている。例えば、特開平11−49641号公報には、セルロース系繊維が50重量%以上からなり、平均繊度3デニール以下、反射率45%以上の水流交絡不織布からなる皮膚洗浄用シートが提案され、特公平1−44821号公報には、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維などの高融点繊維または軟化溶融しない繊維からなる繊維ウェブの両面に熱接着性繊維を含有する繊維ウェブを積層し、非圧縮性流体流噴射により立体的に絡合した後、熱接着性繊維を軟化溶融させたワイパー用不織布が提案され、特開昭54−82481号公報には、部分的熱圧着によって結合された再生セルロース繊維のみからなる不織布に短繊維ウェブを積層し、水流絡合により一体化した不織布が提案され、特開平3−227442号公報には、単繊維直径0.5〜5μmの合成繊維ウェブ層と単繊維直径3〜30μmのセルロース系繊維ウェブとを積層した湿潤性不織布が提案され、特開平4−153351号公報、特開平8−170263号公報、特開平11−19015号公報には、スパンボンド不織布を基材とし、短繊維ウェブを積層した不織布、清拭材用不織布が提案されている。
【0003】
しかしながら、上記不織布は、以下の問題点が挙げられる。例えば、特開平11−49641号公報では、セルロース系繊維が50重量%、好ましくは70重量%以上含有するため、湿潤時にへたりボリューム感がないだけでなく、含浸させた液体が不織布全面を湿らせることとなり、べたつき感があり、拭き取り後も液体が肌に必要以上に残存し、使用者が不快感を与える。特公平1−44821号公報では、不織布表面が熱接着性繊維で覆われるため、触感が硬く、中間層にレーヨン繊維ウェブを採用してもへたりが大きく、ボリューム感のある不織布が得られない。特開昭54−82481号公報においても、上記同様、中間層の再生セルロース繊維不織布の乾燥時および湿潤時のへたりが大きく、ボリューム感のある不織布が得られない。特開平3−227442号公報では、表裏で水分の含浸率が異なるため、取り扱い性が悪いだけでなく、単繊維直径0.5〜5μmの合成繊維ウェブ層としてメルトブロー法、フラッシュ紡糸法から得られた不織布を採用しているため、厚みが薄く、不織布自体にコシがないため、ボリューム感のあり、手持ち感のある湿潤性不織布が得られない。特開平4−153351号公報、特開平8−170263号公報、特開平11−19015号公報においても、基材としてスパンボンド不織布を採用しているため、積層不織布として厚みが薄く、ボリューム感、保液性に優れた清拭材用不織布が得られないのが実情である。
本発明はかかる実情を鑑みてなされたものであり、液体含浸性に優れるとともにべたつき感が少なく、かつ使用時の耐摩耗性、触感、ボリューム感、手持ち感に優れた湿潤性不織布を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、繊維長が25〜100mmの疎水性合成短繊維(A)を50質量%以上含有し、構成繊維同士が部分的熱圧着部により接合された熱接着不織布の両面に、親水性短繊維を40質量%以上含有してなる繊維ウェブが積層され、絡合されてなる複合不織布に、液体が含浸されてなる湿潤シートであって、前記熱接着不織布における3g/cm2荷重時の厚みをTAとし、前記複合不織布における3g/cm2荷重時の厚みをTとしたとき、前記熱接着不織布の厚みT A が0.3〜0.8 mm であり、厚みTAと厚みTとの厚み比(TA/T)が0.4〜0.7とすることにより、液体含浸性に優れるとともにべたつき感が少なく、かつ使用時の耐摩耗性、触感、ボリューム感、手持ち感に優れた湿潤シートが得られることが判り、本発明に至った。
【0005】
【0006】
本発明の湿潤シートに用いられる疎水性合成短繊維(A)は、繊度0.8〜7dtexであることが望ましい。
【0007】
本発明の湿潤シートに用いられる繊維ウェブは、親水性短繊維を60〜90質量%含有し、疎水性合成短繊維(B)を40〜10質量%含有することが望ましい。また、前記疎水性合成短繊維(B)は、熱接着性繊維であることが望ましい。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる疎水性合成短繊維(A)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなるポリオレフィン系繊維、あるいはそれらの樹脂を2成分以上組み合わせた複合繊維など、加熱により熱接着性を有する合成短繊維が1種類、または2種類以上用いられる。その繊維断面の形態も特に限定されず、円形、異形、中空などいずれであってもよい。特に、低温で接着性を有する繊維、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、共重合ポリエステル繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレートの組み合わせからなる鞘芯型、偏芯鞘芯型、並列型、分割型の繊維断面からなる複合繊維が取り扱い性、不織布の強力、嵩高性の点で優れ、好ましい。
【0009】
前記疎水性合成短繊維(A)の繊維長は、25〜100mmの範囲とする。繊維長が25mm未満であると、複合不織布として適度なコシがなく、繊維長が100mmを超えると、コシのある引張強力の大きい不織布となるが、ボリューム感に劣るだけでなく、柔軟性にも劣るからである。より好ましくは、40〜70mmである。
【0010】
また、疎水性合成短繊維(A)は捲縮数が8個/25mm以上有することが好ましい。より好ましくは10〜18個/25mmである。捲縮数が8個/25mm未満であると、不織布のボリューム感が得られず、あまり大きすぎると、不織布加工時に収縮を伴い、表面に凹凸が生じて所望の厚み比を得るのが困難となるからである。捲縮の形態は、二次元的な機械捲縮、三次元的な立体捲縮、その中間的な自然捲縮のいずれであってもよい。例えば、三次元的な立体捲縮やその中間的な自然捲縮を得るのであれば、熱収縮率の異なる成分を偏心鞘芯型あるいは並列型に配置した複合繊維を用いるとよく、不織布の寸法安定性を得るのであれば、同心円鞘芯型複合繊維に二次元的な機械捲縮を付与したものが好ましい。
【0011】
前記疎水性合成短繊維(A)の繊度は、用途に応じて適宜設定すればよいが、繊維ウェブとの絡合性を考慮すると、0.8〜7dtexであることが好ましい。より好ましくは、1.5〜4dtexである。繊度が0.8dtex未満であると、熱接着不織布自体が緻密になりすぎて、繊維ウェブとの絡合性に劣るだけでなく、適度にコシがあり、ボリューム感のある湿潤性不織布が得られず、繊度が7dtexを超えると、柔軟性に劣るからである。
【0012】
本発明に用いる熱接着不織布における前記疎水性合成短繊維(A)の含有率は、50質量%以上である。より好ましくは、80質量%以上、特には100質量%である。含有率が50質量%未満であると、不織布の引張強力が劣るだけでなく、コシがなく、手持ち感のある湿潤性不織布が得られないからである。疎水性合成短繊維(A)が上記範囲を満たすのであれば、他の繊維、例えば、パルプ、コットン、シルク、ウールなどの天然繊維、レーヨン、キュプラ、テンセルなどの再生繊維、アクリル系繊維などを含有させてもよい。
【0013】
そして、前記疎水性合成短繊維(A)は、必要に応じて他の繊維と混合されて、カード機など公知の繊維ウェブ形成装置を用いて繊維ウェブとなし、構成繊維同士が部分的熱圧着部により接合されて熱接着不織布となす。本発明の繊維ウェブとしては、パラレルカードウェブ、セミランダムカードウェブ、ランダムカードウェブ、クロスレイウェブなどのカードウェブで構成されるのが好ましい。また、部分的熱圧着部は、熱ロールあるいは超音波、高周波処理を用い、所定の凹凸部を繊維集合体に押圧することにより得ることができる。その熱圧着面積率は、10〜30%であり、熱圧着面積は、0.2〜3mm2であることが好ましい。さらに、本発明においては、熱圧着部以外の非熱圧着部の構成繊維同士が熱接着されていない方が上下層に配設される繊維ウェブとの絡合性に優れるからである。非熱圧着部の構成繊維同士を熱接着させないようにするには、熱圧着温度を疎水性合成短繊維の融点より5℃以上低い温度とし、熱圧着線圧を300〜1000N/cmの範囲で処理するとよい。
【0014】
前記熱接着不織布の3g/cm2荷重時の厚みTAは、0.3〜0.8mmであることが好ましい。より好ましくは、0.35〜0.6mmである。厚みTAが0.3mm未満であると、コシがなく、ボリューム感に劣り、0.8mmを超えると、嵩高すぎて湿潤性不織布としたときの取り扱い性に劣るだけでなく、含浸された液体が手などの押圧によって必要以上に液体が浸出してしまうからである。また、熱接着性不織布の目付は、20〜70g/m2であることが好ましい。目付が20g/m2未満であると、手持ち感に劣り、70g/m2を超えると、湿潤性不織布としたときの取り扱い性に劣るだけでなく、コスト高となるからである。
【0015】
次に、前記熱接着不織布の両面に積層される繊維ウェブに用いられる親水性短繊維としては、パルプ、コットン、シルク、ウールなどの天然繊維、レーヨン、キュプラ、テンセルなどの再生繊維などが1種類、または2種類以上用いられる。なかでも、レーヨン繊維が取り扱い性、汎用性の観点から好ましく用いられる。その繊度は、3dtex以下であることが不織布にしたときの触感が柔らかく、保液性に優れる点で好ましい。
【0016】
前記繊維ウェブにおける親水性短繊維の含有率は、40質量%以上である。より好ましくは、60〜90質量%である。親水性短繊維の含有率が40質量%未満であると、湿潤性不織布にしたときの液体含浸性に劣るからである。上記範囲内であれば、繊維ウェブに親水性短繊維以外に疎水性合成短繊維(B)を60質量%を超えない範囲で含有させてもよい。より好ましい疎水性合成短繊維(B)の含有率は、40〜10質量%である。疎水性合成短繊維(B)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなるポリオレフィン系繊維、あるいはそれらの樹脂を2成分以上組み合わせた複合繊維などの合成短繊維が1種類、または2種類以上用いられ、もちろん前記疎水性合成短繊維(A)と同じ繊維を採用しても何ら差し支えない。その繊維断面の形態も特に限定されず、円形、異形、中空などいずれであってもよい。例えば、繊維ウェブにボリューム感を得るには、ポリエステル系繊維を用いるとよく、繊維ウェブの毛羽立ちを抑制するのであれば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、共重合ポリエステル繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレートの組み合わせからなる鞘芯型、偏芯鞘芯型、並列型、分割型の繊維断面からなる熱接着性繊維を熱接着させるとよい。また、拭き取り材として用いる場合であれば、分割型複合繊維、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエステル、エチレン−プロピレン共重合体/ポリエステル、ポリエチレン/ポリエステル、ポリアミド/ポリエステルなどの組み合わせのものを用いるとよい。
【0017】
また、前記親水性短繊維および疎水性合成短繊維(B)の繊維長は、25〜100mmであることが好ましい。より好ましくは、40〜70mmである。繊維長が25mm未満であると、三次元的な絡合性に劣るだけでなく、所望の引張強さが得られず、繊維長が100mmを超えると、触感が硬くなるだけでなく、三次元的な絡合性に劣り、ボリューム感に劣るからである。繊維ウェブの形態としては、パラレルカードウェブ、セミランダムカードウェブ、ランダムカードウェブ、クロスレイウェブなどのカードウェブで構成されるのが好ましい。
【0018】
そして、前記熱接着不織布の両面に前記繊維ウェブが積層され、公知の絡合方法により絡合一体化され複合不織布となす。本発明においては、特に水流絡合処理により一体化すると、柔軟で、触感に優れた湿潤性不織布を得ることができる。得られた複合不織布において、熱接着不織布における3g/cm2荷重時の厚みTAと複合不織布における3g/cm2荷重時の厚みTとの厚み比(TA/T)は、0.4〜0.7となるように調整される。より好ましい厚み比は、0.45〜0.6である。厚み比が0.4未満であると、適度なコシ、ボリューム感の点で劣り、手持ち感が得られず、厚み比が0.7を超えると、熱接着性不織布部分に含浸された液体が手などの押圧によって必要以上に液体が浸出してしまうからである。また、複合不織布における3g/cm2荷重時の厚みTは、0.7〜1.2mmであることが好ましい。厚みTが0.7mm未満であると、ボリューム感、手持ち感で劣り、厚みTが1.2mmを超えると、嵩高すぎて湿潤性不織布としたときの取り扱い性に劣るからである。
【0019】
本発明の複合不織布の目付は、40〜130g/m2であることが好ましい。目付が40g/m2未満であると、厚みが薄くなり過ぎ、引張強さも劣り、手持ち感が得られないばかりか地合も悪くなり、130g/m2を超えると、湿潤性不織布としたとき使用者の取り扱い性が悪く、コスト高となるからである。
【0020】
次に、本発明の湿潤性不織布の製造方法について説明する。まず、上記で説明した熱接着不織布を準備し、親水性短繊維を含有する2枚の繊維ウェブとの間に挟まれるように積層される。次いで、ニードルパンチ装置、水流絡合装置などの公知の三次元的絡合処理装置により、三次元的に絡合される。例えば、水流絡合処理を用いた場合、その条件は、所望の厚み比となるように、水圧や水流絡合後のロール加圧処理などにより調整すればよい。例えば、孔径0.05〜0.5mmのオリフィスが0.5〜1.5mmの間隔で設けられたノズルから、水圧4〜15MPaの柱状水流を不織布の表裏面側からそれぞれ1〜4回ずつ噴射するとよい。水流絡合処理後は、水分を除去するために乾燥させる。このとき、繊維ウェブに前記疎水性合成短繊維(B)として熱接着性繊維を用いた場合、乾燥後または乾燥と同時に熱接着性繊維が溶融する温度で熱処理を行うとよい。
【0021】
このようにして得られた複合不織布には、目的に応じて、水、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの湿潤剤、アルコール類、抗菌剤、防かび剤、香料など薬剤等の所望の液体を公知の方法によって付与させるとよい。液体の保液率としても、その目的に応じて適宜設定すればよいが、不織布質量に対して通常100〜300質量%で湿潤させるとよい。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例を挙げて説明する。なお、得られた不織布の厚みは、以下の方法で測定した。
【0023】
[厚み]
厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデル CR-60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2あたり3gの荷重を加えた状態で測定した。
【0024】
[実施例1]
疎水性合成短繊維(A)として、繊度2.2dtex、繊維長51mm、捲縮数12個/25mmのポリプロピレン繊維(ファイバービジョン社製、T−192)を用い、セミランダムカードウェブを作製し、エンボス温度147℃、エンボス面積0.79mm2、エンボス面積率19.7%の円形エンボス柄からなる目付約30g/m2、厚み0.44mmの熱接着不織布を作製した。このとき、非エンボス部分の構成繊維は熱接着されていなかった。
【0025】
一方、親水性短繊維として、繊度1.7dtex、繊維長40mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製)70質量%と、疎水性合成短繊維(B)として、繊度1.5dtex、繊維長44mmのポリエステル繊維(東洋紡績(株)製)30質量%とを混綿し、2台のセミランダムカード機を用いてそれぞれ目付約20g/m2の繊維ウェブを作製した。そして、2台のセミランダムカード機の出口の間に熱接着性不織布を挿入し、積層した後、水流絡合処理装置を用い、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているノズルから繊維ウェブの表面側に水圧2MPa、6MPa、8MPaの柱状水流をそれぞれ1回ずつ、裏側から水圧8MPa、5MPaをそれぞれ1回ずつ噴射し、繊維ウェブの構成繊維を絡合させるとともに熱接着不織布とも絡合一体化させ、熱風貫通型乾燥機を用いて140℃で乾燥することにより、目付約70g/m2の複合不織布を得た。
【0026】
[実施例2]
疎水性合成短繊維(B)として、実施例1のポリエステル繊維を15質量%、鞘成分を高密度ポリエチレンとし、芯成分をポリプロピレンとした繊度2.2dtex、繊維長51mmの鞘芯型熱接着性複合繊維(大和紡績(株)製、NBF(H))を15質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で複合不織布を得た。
【0027】
[比較例1]
熱接着不織布の代わりにポリプロピレン繊維からなる目付約30g/m2のセミランダムカードウェブを用いた以外は、実施例1と同様の方法で複合不織布を得た。
【0028】
[比較例2]
熱接着不織布の代わりにポリプロピレン繊維からなる目付約15g/m2、厚み0.18mmのスパンボンド不織布(出光石油化学(株)製、ストラティック)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で複合不織布を得た。
【0029】
[比較例3]
熱接着不織布の代わりに実施例2の鞘芯型熱接着性複合繊維からなり、熱風貫通加工機を用い、133℃で熱処理を施した目付約30g/m2、厚み1.4mmのエアースルー不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で複合不織布を得た。
【0030】
そして、実施例1〜2および比較例1〜3の不織布に不織布質量に対して水を200質量%含浸させた湿潤シートを下記の項目により評価した。
【0031】
[触感性]
湿潤シートを手で握り、そのときの触感をモニター10名によって評価した。
○:手持ち感があり、柔らかい。
△:柔らかいが手持ち感がない。
×:硬い。
【0032】
[べたつき性]
湿潤シートをMD方向30cm×CD方向30cmに切断し、シートを4つ折りにして、肌を1拭きしたときの肌への液残りの量を観察した。
○:適度な液体残存量である。
△:液体残存量が少ない。
×:液体残存量が多過ぎる。
上記実施例1〜2および比較例1〜3の物性を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明の湿潤性不織布は、繊維長が25〜100mmの疎水性合成短繊維(A)を含有し、構成繊維同士を部分的熱圧着部により接合させた熱接着不織布の両面に、親水性短繊維を含有してなる繊維ウェブを積層し、絡合した複合不織布からなり、熱接着不織布の厚みと複合不織布の厚みとの厚み比を所望の範囲とすることにより、液体含浸性に優れるとともにべたつき感が少なく、かつ使用時の耐摩耗性、触感、ボリューム感、手持ち感に優れた湿潤性不織布を得ることができる。
本発明の湿潤性不織布は、眼鏡、OA機器、家具、自動車などの製品、セラミック製品、プラスチック製品、金属製品など対物、あるいは皮脂、化粧品、その他の汚れの付着した肌など対人の清掃、拭き取りや、肌に保湿成分や制汗成分などの機能剤を付与するのに好適である。
Claims (4)
- 繊維長が25〜100mmの疎水性合成短繊維(A)を50質量%以上含有し、構成繊維同士が部分的熱圧着部により接合された熱接着不織布の両面に、親水性短繊維を40質量%以上含有してなる繊維ウェブが積層され、絡合されてなる複合不織布に、液体が含浸されてなる湿潤シートであって、
前記熱接着不織布における3g/cm2荷重時の厚みをTAとし、前記複合不織布における3g/cm2荷重時の厚みをTとしたとき、
前記熱接着不織布の厚みT A が0.3〜0.8 mm であり、
厚みTAと厚みTとの厚み比(TA/T)が0.4〜0.7の範囲であることを特徴とする湿潤シート。 - 前記疎水性合成短繊維(A)が繊度0.8〜7dtexであることを特徴とする請求項1に記載の湿潤シート。
- 前記繊維ウェブが親水性短繊維を60〜90質量%含有し、疎水性合成短繊維(B)を40〜10質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の湿潤シート。
- 前記疎水性合成短繊維(B)が熱接着性繊維であることを特徴とする請求項3に記載の湿潤シート。
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