JP3742034B2 - ワイパー用積層物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェットティッシュ、使い捨ておしぼり、クレンジング用ワイプ、特に赤ちゃんのお尻ふきに適したウェットタイプワイプ、あるいは大人用お尻ふき、汗とり用等のドライタイプワイプに適した柔軟性、表面肌触り、および保水性とを兼ね備えた特に対人向けに適したワイパー用積層物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からウェットティッシュや使い捨ておしぼりなどにはレーヨン等の親水性繊維または親水性繊維と熱接着性複合繊維の混綿からなる繊維ウェブに高圧水流処理を施した不織布、あるいは特開昭60−183139号公報のように乾式法不織布層と吸水性薄層がエンボス加工により一体的接着した複合不織布などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの不織布には以下の問題点がある。例えば、レーヨン等の親水性繊維に高圧水流処理を施した不織布であれば、不織布表面に親水性繊維がかなり露出しているため、空気中に曝しておくと吸水した水分の蒸発速度が速く、さらに水分の移行度合いも大きいため、保水性が途端に低下する。これをウェットティッシュに使用すると、例えばボックスタイプなどの容器に数十枚もの不織布を積層した場合、上の方の不織布が水分蒸発や水分移行のため乾燥し易くなり、一方、下方の不織布に水分が溜まり易くなり実用的でなくなる。また不織布の強力が小さく、伸度が大きいため製造工程上での取り扱いが不便である。
【0004】
これら問題を解消するため、親水性繊維に熱接着性複合繊維を混綿し繊維間を熱接着させることにより、ドライ時およびウェット時の不織布強力、伸度の低下を防止できるが、実用的な強力、伸度を得るには熱接着性複合繊維を多量に混綿する必要があり、混綿量が多くなると風合いが硬くなって表面にざらついた触感があり、使用者に不快な感触を持たせる。また吸水性のない熱接着性繊維を多量に用いるため、保水性に劣る。
【0005】
また、特開昭60−183139号公報のように乾式法不織布層と吸水性薄層がエンボス加工により一体的接着した複合不織布は、乾式法不織布層と吸水性薄層が層間剥離することは抑制されるが、エンボス部分の構成繊維は溶融しフィルムライクとなるため、風合いが硬く、使用者に不快な感触を持たせるだけでなく、エンボス部分にはほとんど吸水しないので保水性に劣る。
【0006】
したがって、風合いが柔軟で、表面肌触りにおいてべたつき感やざらつき感がなく、保水性に富むワイパー用積層物が未だ得られていないのが実情である。本発明はかかる実情を鑑みてなされたものであり、適度な柔軟性、良好な表面肌触り性、および保水性を兼ね備えたワイパー用積層物の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のワイパー用積層物の製造方法は、親水性繊維を20〜80重量%、ポリエステル繊維0〜40重量%、および熱接着性繊維20〜80重量%からなる2層の繊維ウェブ層の間に、5〜50g/m2のパルプ繊維層を介在させ、次いでオリフィスが0.3〜1.5mmの間隔で設けられたノズルから柱状水流を噴射し高圧水流処理を施してパルプ層を叩開させて、パルプ層を貫通して相互に各繊維群を三次元的に交絡させた後、熱接着性繊維のみが溶融する温度で熱処理を施して構成繊維を熱接着させることを特徴とする。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のワイパー用積層物の製造方法において使用する繊維は、少なくとも親水性繊維、パルプ繊維、および熱接着性繊維の3種類の繊維が用いられる。これら繊維の使用により、特に湿潤時に保水性のよいワイパーが得られる。親水性繊維が積層物の表面に露出することにより、湿潤して使う場合良好な肌触りが得られるのである。さらにポリエステル繊維を混綿することにより、湿潤時にへたりがなく、嵩のあるワイパーが得られる。前記親水性繊維は、綿などの天然繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維等が挙げられる。その中でもレーヨン繊維が取り扱い性、汎用性の観点から好ましく用いられる。レーヨン繊維を用いることにより、保水性および製造工程性に優れた不織布が得られる。
【0009】
前記親水性繊維は繊維ウェブ層に20〜80重量%含有される。好ましい親水性繊維の含有量は、40〜60重量%である。親水性繊維の含有量が20重量%より小さいと、積層物表面のウェット性が損なわれ、80重量%より大きいと、積層物の強力が損なわれるからである。
【0010】
前記熱接着性繊維は、熱可塑性樹脂からなる単一繊維、複合繊維、異形断面繊維等潜在的に熱接着性能を持つ繊維であれば特に限定はされないが、加工性の点で複合繊維が好ましい。前記ポリエステル繊維を混綿する場合であれば、繊維表面の少なくとも一部がポリエステル繊維より低融点の熱可塑性繊維を用いるのがよい。
【0011】
前記熱接着性繊維において複合繊維を用いる場合、複合繊維を形成する第一成分は、融点(T1℃)が130<T1<300の範囲にある熱可塑性樹脂であり、前記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド類、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等のポリオレフィン類のホモポリマー、コポリマ−、グラフト変性体あるいはこれらのポリマーアロイが都合良く用いることができる。
【0012】
また、前記複合繊維を形成する第二成分は、その融点が第一成分よりも20℃以上低い熱可塑性樹脂が好ましく、このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体等のプロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体を挙げることができる。
【0013】
そして、前記複合繊維は、これらの樹脂を組み合わせて、第一成分を芯、第二成分を鞘に配置した芯鞘型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維、あるいは両成分が非相溶性であり各成分の一部が繊維表面に露出している分割型複合繊維や一方の成分の熱収縮により分割する熱分割型複合繊維が用いられ、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン共重合体からなる芯鞘型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン、ポリプロピレン/ポリエチレンからなる分割型複合繊維、あるいはポリエチレンテレフタレート/エチレン−プロピレン共重合体からなる熱分割型複合繊維などが好ましく用いられる。
【0014】
例えば、生産性や不織布の寸法安定性を考慮する場合は芯鞘型複合繊維が好ましく、不織布のボリューム感を考慮する場合は偏心芯鞘型複合繊維が好ましい。また柔軟性を考慮する場合、分割型複合繊維や熱分割型複合繊維を用いると高圧水流処理時に各成分が容易に分割して極細繊維化されるので特に好ましい。
【0015】
前記熱接着性繊維は、融点(T1℃)が130<T1<300の範囲にある熱可塑性樹脂を第一成分、該第一成分の融点より20℃以上低い熱可塑性樹脂を第二成分とし、該第一成分を芯、該第二成分を鞘に配置した芯鞘型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維であることが好ましい。かかる熱接着繊維を用いることにより、繊維間の熱接着が容易となり、不織布の毛羽立ちを防ぐことができる。
【0016】
前記熱接着性繊維は、繊維ウェブ層に20〜80重量%含有される。好ましい熱接着性繊維の含有量は、40〜60重量%である。熱接着性繊維の含有量が20重量%未満であると、積層物としたときの強力が損なわれ、例えばボックスタイプ等の容器から取り出すときに容易に伸びてしまい、取り扱い性に劣る。熱接着性繊維の含有量が80重量%より大きいと、風合いが硬くなり、表面肌触りがざらついた触感となり好ましくない。
【0017】
さらに、嵩高性、風合いの柔軟性や表面肌触り性を向上させる場合は、疎水性でバルキー感のある熱可塑性合成繊維を混綿することが好ましく、その中でポリエステル繊維が最も好ましい。他の熱可塑性合成繊維、例えばポリオレフィン系繊維だと高圧水流処理したときの繊維交絡性が悪く、毛羽立ちや不織布強力で劣り好ましくない。またポリアミド系、例えばナイロン繊維だと親水性があり好ましくない。使用できる繊維としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートからなる繊維が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0018】
前記ポリエステル繊維は、繊維ウェブ層に0〜40重量%含有される。ポリエステル繊維の含有量が40重量%より大きいと、保水性の面で劣り、ウェットティッシュ用積層物として用いた場合、本来のウェット性が損なわれる。またポリエステル繊維は積層物表面に露出することにより、部分的に疎水性成分が露出し、湿潤時においても適度にさらりとした触感が得られる。
【0019】
前記親水性繊維、ポリエステル繊維、および熱接着性繊維の繊度は特に限定されないが、繊度を細くするとしなやか感が増大し風合いが柔軟になるので、繊度は0.7〜3デニールが好ましい。
【0020】
また、前記繊維ウェブ層の構成繊維は、親水性繊維が40〜60重量%、熱接着性繊維が60〜40重量%であることが好ましい。かかる構成により適度な柔軟性と保水性を兼ね備えたワイパーが得られる。
【0021】
本発明に用いるパルプ繊維層は、パルプ100%のパルプ紙やティッシュペーパーのようなバインダーで軽く接着させた紙などを介在させるとよい。前記パルプ層は、目付5〜50g/m2のものが用いられる。目付が5g/m2より少ないと、パルプの量が不足しウェットワイパーとして使用するとき十分な保水性を得られない。目付が50g/m2より大きいと、嵩高になり過ぎ使用感を悪くする。パルプ紙は製造時の高圧水流処理により叩開され、かつ両面の不織布層を構成する各繊維群がパルプ紙を貫通して相互に絡みあっている。このためパルプ紙は中間層としての元のパルプ紙の形態をなしておらず、パルプ繊維層となっている。特に、バインダーを有していないパルプ100%のパルプ紙が水流に対する水解性がよく好ましい。パルプ100%のパルプ紙は薄く、低目付であるため積層物に必要なだけ数枚を重ねて使用しても後述する高圧水流処理により繊維ウェブ層の構成繊維とパルプ繊維を効率よく交絡させることができる。またパルプ繊維は、ランダムに配向しているので、積層物の縦横強力のバランスがよい。
【0022】
得られる積層物は、このようなパルプ繊維層が中間層として介在することにより、特にウェットワイパーとして使用すると、水分は中間層に多く含まれるので表面の手触りはべたつかず、使用者の手と汚染部の皮膚の押圧力により水分が絞り出され、汚れをふきとるので都合がよい。また中間層に水分を保持できるため、吸水した水分の蒸発速度が遅く、さらに水分の移行度合いも小さいので、例えばウェットティッシュとしてボックスタイプなどの容器に数十枚もの積層物を積層した場合、上の方の積層物が水分蒸発や水分移行による乾燥が極力抑制され、下方の積層物に水分が溜まり難くなる。
【0023】
前記親水性繊維を20〜80重量%、前記ポリエステル繊維を0〜40重量%、および前記熱接着性繊維を20〜80重量%含有する2層の繊維ウェブ層の間に、目付5〜50g/m2の前記パルプ繊維層を介在させ、次いでオリフィスが0.3〜1.5mmの間隔で設けられたノズルからの柱状水流を噴射して高圧水流処理を施し、繊維同士を三次元的に交絡させた後、前記熱接着性繊維のみが溶融する温度で熱処理を施し、構成繊維を熱接着させることによってワイパー用積層物が得られる。
【0024】
前記繊維ウェブ層は、構成繊維を所定の割合で混綿させた後にカード機を用いて繊維ウェブに形成される。繊維ウェブの態様は特には限定されず、パラレルウェブ、クロスウェブ、ランダムウェブ、あるいはエアレイなどいずれであっても良い。
【0025】
作製された繊維ウェブ2層の間にパルプ紙を介在させた積層物は、オリフィスが0.3〜1.5mmの間隔で設けられたノズルからの柱状水流を噴射して高圧水流処理を施して繊維同士の三次元的な交絡が付与される。前記高圧水流処理は、従来から良く知られている方法で行えば良く、その条件は最終的に得ようとする積層物の目付、柔軟性、あるいは山部および谷部の畝数などに応じて設定すればよい。例えば、目付30〜60g/m2の積層物を得ようとする場合は、孔径0.05〜0.5mmのオリフィスが0.3〜1.5mmの間隔で設けられたノズルから、水圧20〜70kg/cm2の柱状水流を積層物の表裏面側からそれぞれ1〜4回ずつ噴射するとよい。
【0026】
高圧水流によって交絡させた後は、水分を除去するために乾燥させる。そして乾燥後または乾燥と同時に、前記熱接着性繊維によって構成繊維を熱接着させる為に熱接着性繊維のみ溶融する温度で熱処理を行う。例えば、熱接着性繊維として複合繊維を用いた場合、複合繊維の第二成分の融点以上、複合繊維の第一成分の融点以下の温度で熱処理される。そして、熱処理温度を上記の範囲内で変化させることによって、得られる積層物の柔軟性および肌触りを調節することは可能である。
【0027】
このようにして得られたワイパー用積層物の目付は、20〜100g/m2が好ましい。かかる目付の不織布を採用することにより、柔軟性と表面の肌触りのよさとを兼ね備えたワイパーが得られる。より好ましくは、25〜80g/m2である。目付が20g/m2より小さいと、構成繊維が粗に集合した溝状の谷部の交絡が弱くなり強力が得られず、目付が100g/m2より大きいと、積層物の重量や厚みが大きくなり過ぎ、また経済的でないからである。
【0028】
このようにして得られたワイパー用積層物は、図1に示すように、上記の3層が交絡一体化されると共に熱接着性繊維により熱接着されてなり、構成繊維が密に集合した畝状の山部と構成繊維が粗に集合した溝状の谷部が積層物の縦方向に交互に各々15〜100本/25mmずつ存在した構造となる。かかる構造により、山部が適度に対人の肌に接触して、適度の肌触り性が得られる。山部および谷部が15本/25mmより小さいと、山谷間が大きくなり山部の接触面積が小さく表面積を有効利用できないか、あるいは山部の面積を大きくし、谷部の面積を小さくすることも可能であるが、構成繊維の交絡が著しく低下するため強力が得られない。また100本/25mmより大きいと、構成繊維の交絡が大きくなり過ぎ、風合いが硬くなり好ましくない。
【0029】
前記ワイパー用積層物における初期強伸度比は、ドライ状態で0.6以下および/またはウェット状態で0.3以下である。ワイパー用積層物の初期強伸度比をかかる構成とするにより、適度な柔軟性、良好な表面肌触り性を兼ね備えたワイパーが得られる。より好ましくは、ドライ状態で0.01〜0.45、ウェット状態で0.01〜0.25である。初期強伸度比は、JIS L 1096に準じ、幅5cm、長さ15cmの試料片をつかみ間隔10cmで把持し、定速伸長型引張試験機を用いて引張速度20cm/分で伸長した時に得られる荷重−伸び曲線(図2)の立ち上がり(初期)のカーブに対して接線を引き、その傾きを求めたものであり、初期強伸度比が大きいと不織布のコシが強く、初期強伸度比が小さいと不織布のコシが弱い。つまり、人が弱い力で握ったりしたときに、不織布のコシの強いものは硬く感じ、コシの弱いものは柔らかく感じるものである。初期強伸度比がドライ状態で0.6、あるいはウェット状態で0.3より大きいと硬く感じるため好ましくない。なお、ここでいうドライ状態とは、構成繊維の公定水分率の範囲内で保水した状態のものをいう。またウェット状態とは、強制的に積層物全体に水分を付与し、水分率が積層物に対して230〜270%の状態をいう。
【0030】
得られるワイパー用積層物のドライ状態および/またはウェット状態における破断伸度は、80%以下が好ましい。かかる破断伸度に抑制することにより、ワイパー用積層物をボックスタイプ等の容器から引っ張り出すときに、ワイパーの伸びを抑制し、取り出しが容易となる。また、製造工程中での幅入り等を抑制することができる。より好ましくは、10〜75%である。さらに好ましくは20〜70%である。破断伸度が80%より大きいと、例えばボックスタイプなどの容器から引っ張り出すときにワイパーが伸びてしまい、容易に取り出せないからである。
【0031】
本発明のワイパー用積層物は、保水率変化量が70以下であることが好ましい。かかる保水率変化量に抑制することにより、水分が主としてパルプ繊維層で保持されるため、吸水した水分の蒸発速度が遅く、さらに水分の移行度合いも小さい。ここでいう保水率変化量とは、以下のとおり測定した。
▲1▼サンプルを20cm×20cmにカットし、約250%の水分率になるよう調整し、初期重量(g)を測定する。(n=5)
▲2▼室温25℃、湿度60%の雰囲気下に静置し、30分ごとに重量(経過時間重量)を測定し、計180分間になるまで評価する。
▲3▼次式により保水率経時変化量を算出する。
保水率経時変化量={(初期重量−経過時間重量)/初期重量}×100
▲4▼図3に示すように、Y軸に保水率経時変化量、X軸に各経過時間をプロットし、それを直線で結び、その囲まれた面積を算出し、保水率変化量とした。
【0032】
前記保水率変化量は、吸水した水分の蒸発速度や水分の下方への移行度合いを示す指標であり、数値が小さいほど変化量が少なく、水分の蒸発速度や移行速度が小さいといえる。保水率変化量が70より大きいと、水分の蒸発速度や移行速度が大きく好ましくない。
【0033】
得られたワイパー用積層物は、ウェットタイプワイプ、あるいはドライタイプワイプに好ましく用いられる。ウェットタイプワイプに用いるときは、所定の水分率、例えばウェットティッシュであれば、150〜350%の水分率で所要の成分が付与され、使用することができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例を挙げて説明する。なお、得られた積層物の引張強力、破断伸度、表面肌触り性および柔軟性はそれぞれ次の方法で測定した。
【0035】
[厚み]
厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデル CR-60A 株式会社大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2あたり20gの荷重を加えた状態で測定した。
【0036】
[引張強力、破断伸度]
JIS L 1096に準じ、幅5cm、長さ15cmの試料片をつかみ間隔10cmで把持し、定速伸長型引張試験機を用いて引張速度20cm/分で伸長し、切断時の荷重値および伸長率をそれぞれ引張強力、破断伸度とした。
【0037】
[表面肌触り性]
ドライ状態、およびウェット状態における積層物を机上に設置し、積層物の表面に手の甲を滑らせてそのときの触感を表1に示す三段階で評価した。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
【0038】
[柔軟性]
ウェット状態における積層物を手で握り、そのときの触感を表1に示す3段階で評価した。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
【0039】
【表1】
【0040】
[実施例1]
親水性繊維として繊度1.5デニール、繊維長40mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製)、熱接着性繊維として融点132℃の高密度ポリエチレンを鞘成分、融点165℃のポリプロピレンを芯成分とする繊度2デニール、繊維長51mmの芯鞘型熱接着性複合繊維(大和紡績(株)製)を用意した。それぞれレーヨン繊維を60重量%、熱接着性繊維を40重量%混綿し、セミランダムカードで目付10g/m2の繊維ウェブを作製した。
【0041】
上記で作製した繊維ウェブ層2層の中間に、目付18g/m2、厚み0.18mm、引張強力がタテ930g/5cm、ヨコ170g/5cmのパルプ100%紙を挟み、この積層ウェブを孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているノズルを用いて繊維ウェブの表面側に水圧20kg/cm2、40kg/cm2、45kg/cm2の柱状水流をそれぞれ1回ずつ、裏側に水圧35kg/cm2の柱状水流を2回噴射して、ウエブの構成繊維を交絡させ積層物となした。
【0042】
次いで、上記で作製された積層物を熱風貫通型乾燥機を用いて140℃で乾燥させながら同一温度で、積層物中の複合繊維の鞘成分を溶融させることにより構成繊維の熱接着加工を行い、ワイパー用積層物を得た。得られたワイパー用積層物には、構成繊維が密に集合した畝状の山部と構成繊維が粗に集合した溝状の谷部が積層物の縦方向に交互に各々36本/25mmずつ存在していた。
【0043】
[実施例2]
レーヨン繊維を40重量%、熱接着性繊維を60重量%とした以外は、実施例1と同様の条件でワイパー用積層物を得た。
【0044】
[実施例3]
レーヨン繊維を40重量%、ポリエステル繊維を20重量%、熱接着性繊維を40重量%とした以外は、実施例1と同様の条件でワイパー用積層物を得た。
上記実施例1〜3で作製されたワイパー用積層物の性能を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
[比較例1]
レーヨン繊維を80重量%、熱接着性繊維を20重量%混綿し、セミランダムカードで目付40g/m2の繊維ウェブを作製した。そして、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているノズルを用いて繊維ウェブの表面側に水圧20kg/cm2、40kg/cm2、45kg/cm2の柱状水流をそれぞれ1回ずつ、裏側に水圧35kg/cm2の柱状水流を2回噴射して、ウェブの構成繊維を交絡させ、次いで熱風貫通型乾燥機を用いて140℃で乾燥させながら同一温度で、複合繊維の鞘成分を溶融させることにより構成繊維の熱接着加工を行い、不織布を得た。比較例1で作製された不織布の性能を表2に示す。
【0047】
実施例1〜3で示すとおり、繊維ウェブ層の中間にパルプ紙を挟み積層物とすると、表面肌触りにおいてべたつき感がなく適度にさらっとした触感であり、柔軟性に富むワイパー用積層物が得られた。
【0048】
そして、実施例1〜3、および比較例1のワイパーを15cm×20cmにカットし、ウェット状態でボックスタイプの容器に90枚積層し、約1ヶ月放置しておくと、実施例1〜3のウェットワイパーの上方は若干乾燥していたものの下方のワイパーに水分が少量移行している程度であったが、比較例1においては、上方のワイパーはほとんど乾燥し、下方のワイパーには水分が多量に移行していた。また容器からの取り出し性においても、実施例1〜3はほとんど抵抗感無く取り出せるが、比較例1においてはワイパーが伸びてしまい、取り出し性は良好とはいえなかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られるワイパー用積層物は、不織布の中間にパルプ繊維層を介在しているため、良好な肌触り、柔軟性をもたせることができる。特に、湿潤時に水分が積層物の内部に保有されるため、ワイパーとしての皮膚への当たりがさわやかである。
【0050】
また、本発明の製造方法により得られるワイパー用積層物は、あらかじめ保湿加工を施すウェットティッシュ、使い捨ておしぼり、クレンジング用ワイプ等のウェットタイプワイプとして用いた場合、長時間の保湿効果をもち、あわせて拭き取り性およびウェット性を損なうことなく、使用者に心地よい触感を与える。また、大人用お尻ふきや汗とり用等のドライタイプワイプとして用いた場合、吸液性と表面肌触り性を兼ね備えているため、使用者に心地よい触感を与える。
【0051】
本発明の製造方法により得られるワイパー用積層物は、伸度を低く抑えた寸法安定性の良好な不織布であり、ボックスタイプなどの容器から取り出すときなどの取り扱い性に優れている。さらに各構成繊維を混綿させて用いる場合、その際の各構成繊維の混綿率を変化させることによって、柔軟性や肌触り等を容易に調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法により得られるワイパー用積層物の斜視図を示す。
【図2】 初期強伸度比を算出するのに用いる荷重−伸び曲線を示す。
【図3】 保水率変化量を算出するのに用いる保水率経時変化量−時間グラフを示す。
【符号の説明】
1.ワイパー用積層物
2.構成繊維が密に集合した畝状の山部
3.構成繊維が粗に集合した溝状の谷部
Claims (5)
- 親水性繊維を20〜80重量%、ポリエステル繊維0〜40重量%、および熱接着性繊維20〜80重量%からなる2層の繊維ウェブ層の間に、5〜50g/m2のパルプ繊維層を介在させ、次いでオリフィスが0.3〜1.5mmの間隔で設けられたノズルから柱状水流を噴射し高圧水流処理を施してパルプ層を叩開させて、パルプ層を貫通して相互に各繊維群を三次元的に交絡させた後、熱接着性繊維のみが溶融する温度で熱処理を施して構成繊維を熱接着させることを特徴とするワイパー用積層物の製造方法。
- 繊維ウェブ層が、カード機を用いて形成される繊維ウェブである請求項1記載のワイパー用積層物の製造方法。
- 高圧水流処理が、水圧20〜70kg/cm2の柱状水流を積層物の表裏面側からそれぞれ1〜4回ずつ噴射する請求項1または2に記載のワイパー用積層物の製造方法。
- 構成繊維が密に集合した畝状の山部と構成繊維が粗に集合した溝状の谷部が積層物の縦方向に交互に各々15〜100本/25mmずつ存在した積層物である請求項1〜3のいずれかに記載のワイパー用積層物の製造方法。
- パルプ繊維層がパルプ100%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のワイパー用積層物の製造方法。
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