JP6726421B2 - 液体含浸皮膚被覆シート用不織布および液体含浸皮膚被覆シート - Google Patents

液体含浸皮膚被覆シート用不織布および液体含浸皮膚被覆シート Download PDF

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Description

本開示は、液体、特に化粧料を含浸させた液体含浸皮膚被覆シートを構成する不織布、当該不織布を用いた液体含浸皮膚被覆シートに関する。
人体の皮膚を被覆して、人体の皮膚に所定の物質を付与するために用いられる、液体を含浸させたシートが種々提案され、実用されている。具体的には、有効成分を含む液体(例えば化粧料)を含浸させた液体含浸皮膚被覆シート(フェイスマスクや踵、肘、膝などに使用する角質ケアシート)等が挙げられる。液体含浸皮膚被覆シートの基材としては、不織布が一般的に用いられている。液体含浸皮膚被覆シートは、比較的長い時間、皮膚に密着させて使用することが多いため、液体の放出性、触感、密着性、および利便性等の点から様々な不織布が基材として提案されている。
例えば、特許文献1は、極細合成繊維層と、親水性繊維層の少なくとも二層を積層した積層不織布であって、積層不織布のうち親水性層を身体に接触させて使用し得る美容シート用不織布を提案している。特許文献1によれば、この不織布は、含浸させた美容薬液の蒸発を抑え、長時間潤い効果を保持させることが可能な美容シートを与えるとされている。特許文献2は、立体捲縮を有する立体捲縮繊維を50質量%以上含む第1繊維層と、親水性繊維を含む第2繊維層とを含み、第1繊維層が第2繊維層の一方の面または両方の面に配置されており、第1繊維層と第2繊維層とが繊維同士の交絡により一体化されており、立体捲縮は、第1繊維層と第2繊維層とが交絡一体化された後に、潜在捲縮性繊維において捲縮が発現したことにより形成されたものであり、不織布の表面が実質的に平坦であり、かつ実質的に開孔を有しない積層不織布を含む、液体含浸皮膚被覆シートを提案している。
特開2005−124916号公報 特開2007−211371号公報
本実施形態は一つの要旨において、含浸させた液体が皮膚にとどまりやすく、液体による保湿効果がより発揮される、または液体に含まれる有効成分が皮膚により移行しやすい、液体含浸皮膚被覆シートを与える不織布を提供することを目的とする。本実施形態は別の要旨において、当該不織布に液体を含浸させた液体含浸皮膚被覆シート、特に、フェイスマスクを提供することを目的とする。
本実施形態は、第一の要旨において、繊維長が1mm〜100mmである親水性繊維を50質量%以上含む第1繊維層と、第1繊維層に含まれる親水性繊維よりも疎水性であり、繊維長1mm〜100mmである疎水性繊維を50質量%以上含む第2繊維層とを含み、第1繊維層が一方の表面を形成し、第2繊維層がもう一方の表面を形成する不織布であって、
前記疎水性繊維が1.2dtex以上の繊度を有し、
第1繊維層を皮膚に接触させて使用する、液体含浸皮膚被覆シート用不織布を提供する。
本実施形態は、第二の要旨において、上記第一の要旨または第二の要旨に係る不織布に液体を600質量部以上2500質量部以下含浸させた、液体含浸皮膚被覆シートを提供する。
本実施形態は、第三の要旨において、上記不織布に液体を600質量部以上2500質量部以下含浸させた、フェイスマスクを提供する。
本実施形態の不織布は、これに液体を含浸させた状態で皮膚を被覆したときに、含浸させた液体が皮膚にとどまりやすく、液体による保湿効果がより発揮される、または液体に含まれる有効成分が皮膚により移行しやすい、液体含浸皮膚被覆シートを与える。
(本実施形態に至った経緯)
特許文献1は、極細合成繊維として、メルトブロー繊維、スパンボンド繊維、および分割型繊維により得られる繊維を使用することを提案している。これらのうち、メルトブロー繊維およびスパンボンド繊維は、それぞれメルトブロー不織布およびスパンボンド不織布の形態で用いられるところ、これらの不織布は親水性繊維層と積層して水流交絡処理に付しても、親水性繊維層と交絡しにくく、得られる積層不織布において層間剥離が生じやすい。また、極細合成繊維のメルトブロー不織布およびスパンボンド不織布は比容積(嵩)が小さく、それ自体が保持できる液体の量が小さくなりやすい。そのため、これらを用いた不織布に液体を含浸させたときに、液体を含浸した極細合成繊維層の重さが小さくなって親水性繊維層を押しつける力が弱くなり、親水性繊維層中の液体を皮膚に移行させにくい傾向にあることがわかった。
分割型繊維により得られる極細繊維を含む極細繊維層は、メルトブロー不織布等と比較して比容積が大きいものであり、これを用いた不織布に液体を含浸させたシートは、液体を皮膚に移行させやすくする。しかしながら、分割型繊維により得られる極細繊維を含む極細繊維層は、例えば、ロールに巻回された状態で保管され、あるいは液体含浸皮膚被覆シートとしてから複数枚のシートを積層した状態で包装袋に収容されて保管されていると、厚みが減少し、もって比容積が減少しやすい。そのため、極細繊維層を含む液体含浸皮膚被覆シートもまた、メルトブロー不織布等を含むシートと同様の傾向を示しやすい。
本発明者らは、液体の皮膚への移行がより促進され、シートと皮膚との間に位置する液体による皮膚への作用(例えば保湿)をより良好に発揮できる液体含浸皮膚被覆シートの構成を検討した。その結果、
・繊維長が1mm〜100mm程度であるステープル繊維を用いて、繊維同士を交絡させた不織布とすることによって、保持できる液体の量をある程度確保できること、ならびに
・不織布を親水性繊維層と疎水性繊維層とからなる二層構造のものとしたときに、親水性繊維層を皮膚と接触する側とし、かつ、皮膚と接触しない側の繊維層を繊度1.2dtex以上の疎水性繊維で構成することによって、液体の皮膚への移行がより促進されること
を見出し、本実施形態を案出するに至った。
本実施形態の液体含浸皮膚被覆シート(以下、単に「シート」とも呼ぶ)用の不織布は、繊維長が1mm〜100mmである親水性繊維を50質量%以上含む第1繊維層と、第1繊維層に含まれる親水性繊維よりも疎水性であり、繊維長が1mm〜100mmである疎水性繊維を50質量%以上含む第2繊維層とを含み、第2繊維層に含まれる疎水性繊維が1.2dtex以上の繊度を有するものである。以下、各繊維層の構成をまず説明する。
(第1繊維層)
第1繊維層には親水性繊維が50質量%以上含まれる。親水性繊維を含む第1繊維層は、不織布に含浸される液体(例えば、液体化粧料)を保持するとともに、保持した液体を対象物(具体的には、皮膚)に供給する役割をする。
親水性繊維は公定水分率が5%以上の繊維である。公定水分率は、JIS L0105(2006)に示されている。公定水分率が知られていない場合には、次の式から算出される値を公定水分率とする。
公定水分率(%)=[(W−W’)/W’]×100
ここで、Wは温度20℃、湿度65%RHの環境下における繊維の質量(g)、W’は繊維絶乾時の質量(g)をそれぞれ意味する。なお、温度20℃、湿度65%RHの環境下における繊維の質量は、温度20℃、湿度65%RHの環境下に繊維を放置し、一定の質量になった時の質量を意味し、繊維絶乾時の質量は、105℃に設定した乾燥機中に繊維を放置し、一定の質量になった時の質量を意味する。
親水性繊維は、具体的には、パルプ、コットン、麻、シルク、およびウールなどの天然繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維などの再生繊維、ならびに親水性を有する合成繊維、または疎水性の合成繊維(公定水分率が5%未満の合成繊維)に親水化処理を施したもの等である。親水化処理として、例えば、コロナ放電処理、スルホン化処理、グラフト重合処理、繊維への親水化剤の練り込み、および耐久性油剤の塗布が挙げられる。親水性繊維は、セルロース系繊維であることが好ましい。セルロース系繊維は、より具体的には、1)機械パルプ、再生パルプおよび化学パルプ等のパルプ、2)コットン(木綿)、麻などの植物性天然繊維、ならびに3)ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、レンチングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標))等の再生繊維である。
植物性天然繊維のうち、コットンは、天然素材として使用された実績が長く、衣服および衛生材料の素材として広く使用されていて、肌に優しい、触感がよい、および安全であるという印象を一般の消費者に与える。したがって、コットンを使用することにより、消費者により受け入れられやすい製品を提供することができる。コットンを使用する場合、コットンは不織布製造に一般的に用いられているものを任意に使用できる。具体的には、20〜60mm程度の繊維長(平均繊維長)を有するコットンを使用できる。繊維長および種類の異なるコットンを複数用いてよい。
再生繊維のうち、ビスコースレーヨンは、人の皮膚に接する化粧用パフおよびウェットシートの分野で使用されてきた実績があること、および比較的安価であること等の理由から、好ましく用いられる。
親水性繊維の繊度は0.1dtex〜6dtex程度であることが好ましく、0.3dtex〜3.5dtex程度であることがより好ましく、0.5〜2.5dtex程度であることがさらに好ましく、0.8〜1.8dtex程度であることが最も好ましい。この範囲内の繊度の親水性繊維は柔軟性を確保するのに適している。親水性繊維の繊度が小さすぎると、繊維ウェブを製造する際のカード通過性が悪化し、不織布の生産性が低下することがある。親水性繊維の繊度が大きすぎると、不織布が粗いものとなって、触感が低下することがある。また、親水性繊維の繊度が大きすぎると第1繊維層における繊維間の間隔や空隙が広くなり、第1繊維層が液体を保持する能力が低下し、液体の含浸量が低下したり、使用時に液体(例えば化粧料、薬液)が下に垂れる、いわゆる液垂れが発生して使用感が低下したりすることがある。
第1繊維層は、親水性繊維を50質量%以上含み、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上含む。第1繊維層は親水性繊維のみで構成されていてよい。親水性繊維の割合が小さいと、第1繊維層が液体を保持する能力が小さくなり、シートに所定量の液体を含浸させることができなくなる、あるいは液体が皮膚に移行する性質(以下、「液移行性」とも呼ぶ)が不十分となることがある、あるいは皮膚に十分な量の液体を供給できないことがある。第1繊維層が親水性繊維以外の他の繊維を含む場合、当該他の繊維は、疎水性繊維であってよい。疎水性繊維は、第2繊維層に関連して後述する。他の繊維として、1種の疎水性繊維を用いてよく、2種以上の疎水性繊維を用いてよい。
第1繊維層を構成する繊維の繊維長は、第1繊維層の形態に応じて適宜選択される。例えば、第1繊維層をカードウェブとして作製する場合、構成繊維の繊維長は25mm以上、100mm以下とすることが好ましく、30mm以上、70mm以下とすることがより好ましく、36mm以上、65mm以下とすることがさらに好ましい。第1繊維層をエアレイウェブとして作製する場合、構成繊維の繊維長は1mm以上、50mm以下とすることが好ましく、5mm以上、30mm以下とすることがより好ましい。第1繊維層を湿式抄紙ウェブとして作製する場合、構成繊維の繊維長は0.5mm以上、20mm以下とすることが好ましく、1mm以上、10mm以下とすることがより好ましい。
第1繊維層は、一つの層のみからなるもの(単層構造)であってよく、あるいは二以上の層が積層された積層構造を有していてよい。例えば、第1繊維層は、コットンを50質量%以上含む層と、パルプを含む層(例えばティッシュ)とからなるものであってよい。パルプを含む層が第1繊維層に含まれる場合、パルプを含む層は内側に位置して、不織布の表面を形成していないことが好ましい。パルプは繊維長が短く脱落しやすいためである。
第1繊維層の目付は、最終的に得ようとする不織布の目付に応じて適宜選択される。第1繊維層の目付は、好ましくは20g/m2以上、より好ましくは25g/m2以上、さらに好ましくは30g/m2以上、特に好ましくは35g/m2以上としてよい。また、第1繊維層の目付は、好ましくは80g/m2以下、より好ましくは60g/m2以下、さらに好ましくは50g/m2以下、特に好ましくは45g/m2以下としてよい。また、第2繊維層の目付に対する第1繊維層の目付の比(第1繊維層の目付/第2繊維層の目付)は、好ましくは0.5〜16、より好ましくは0.8〜6.0、さらに好ましくは1.2〜4.0、最も好ましくは1.4〜3.0である。
第1繊維層の目付が小さすぎる、または第2繊維層の目付に対する第1繊維層の目付の比が小さすぎると、液体含浸皮膚被覆シート全体が保持する液体の量が少なくなり、液体移行性が不十分となることがあり、あるいは皮膚への液体の供給量そのものが少なくなることがある。第1繊維層の目付が大きすぎる、または第2繊維層の目付に対する第1繊維層の目付の比が大きすぎると、不織布全体に占める第2繊維層の割合が小さくなって、シートの液体移行性が不十分となることがある。また、第1繊維層の目付が大きすぎる、または第2繊維層の目付に対する第1繊維層の目付の比が大きすぎると、液体を含浸させた状態の不織布全体が柔らかくなりすぎることがある。そのため、例えば液体を含浸させたシートが重ねられているときに1枚だけシートを剥がして取り出すことが困難になる、あるいは液体を含浸させたシートを第1繊維層を内側にして折り畳んだときにシートを広げにくくなるなど、使用感が低下することがある。
(第2繊維層)
第2繊維層は、特定の繊度を有する、疎水性繊維を50質量%以上含むものである。第2繊維層に含まれる疎水性繊維は、第1繊維層に含まれる親水性繊維と比較して疎水性の高いものであり、したがって第2繊維層は第1繊維層と比較して強い疎水性を示す。したがって、本実施形態のシートに液体を含浸させて、第1繊維層が皮膚と接触するようにシートで皮膚を覆ったときには、第2繊維層は、液体が親水性のより強い第1繊維層の側に移動するのを促進し、第1繊維層の側に移動した液体はさらに皮膚に移行することとなる。また、本実施形態の不織布において、第2繊維層は特定の繊度を有する疎水性繊維を含んでいるために嵩高性を有し、厚さ方向に力が加わったとき、および液体を含浸させたときでも、層内で繊維間の空隙を比較的保持することができる。繊維間の空隙は液体を保持する部分となるから、空隙の占める割合が多いほど、第2繊維層はより多くの液体を保持することが可能となる。したがって、本実施形態のシートに液体を含浸させたときには、嵩高な第2繊維層に保持された液体の重みによって、第1繊維層が皮膚の方に押しつけられ、このことによっても液体の皮膚への移行がさらに促進されるものと推察される。
第2繊維層に含まれる疎水性繊維は、例えば、熱可塑性樹脂からなる繊維、または親水性繊維の表面に疎水性を付与する処理(疎水化処理)を施したものである。熱可塑性樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン−1、エチレン−プロピレン共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66のようなポリアミド系樹脂等、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック、ならびにそれらのエラストマー系から任意に選択される。親水性繊維の表面が疎水化処理された繊維は、例えば、再生繊維の表面を疎水化剤で処理したものである。
液体の皮膚への移行性を良好にするという観点からは、疎水性が比較的強いポリオレフィン系樹脂が繊維表面の一部または全部を形成する、ポリオレフィン系繊維を疎水性繊維として用いることが好ましく、特にポリプロピレンから成る単一繊維を用いることが好ましい。ポリプロピレンは融点が比較的高いため、後述する流体流(特に水流)交絡処理法により不織布を製造するときに、乾燥処理を行いやすいことから好ましく用いられる。また、ポリプロピレンは熱伝導性が低いことから、皮膚から液体に移動した熱がシートから逃げにくく、利用者が使用中に皮膚が冷える感覚を軽減することができ、また、液体含浸皮膚被覆シートを温めて使用する場合に、シートの温度を下げにくくすることができる。また、ポリプロピレンは水の接触角が熱可塑性樹脂の中でも比較的大きく、疎水性が高いため、ポリプロピレンから成る単一繊維を使用すると、液体の皮膚への移行性をより良好にすることができる。
第2繊維層に含まれる疎水性繊維は、1.2dtex以上の繊度を有し、好ましくは1.2dtex以上3.5dtex以下の繊度を有し、より好ましくは1.2dtex以上2.6dtex以下、さらにより好ましくは1.3dtex以上2.0dtex以下、特に好ましくは1.4dtex以上1.8dtex以下の繊度を有する。繊度が1.2dtex未満であると、繊維同士の交絡が密になって、第2繊維層の比容積が小さくなる傾向にある。また、繊度の小さな繊維を交絡させた繊維層は、厚さ方向に力が加えられた状態で保管されたとき、または液体を含浸させたときに、嵩(比容積)が減少しやすい傾向にある。したがって、第2繊維層に含まれる疎水性繊維の繊度が小さすぎる場合には、シートにおいて所望の液体移行性を実現できないことがある。疎水性繊維の繊度が大きすぎる場合には、シートが硬い触感を有しやすい。また、繊度が小さすぎる疎水性繊維を使用して、流体流交絡処理法により繊維同士を交絡させる場合には、流体流が繊維ウェブを通過しにくく、均一に繊維同士を交絡させられないことがある。その場合には、不織布において毛羽が生じやすくなることがある。
第2繊維層は、疎水性繊維を50質量%以上含み、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上含む。第2繊維層は疎水性繊維のみで構成されていてよい。疎水性繊維の割合が小さいと、不織布の液移行性が不十分なものとなることがある。第2繊維層が疎水性繊維以外の他の繊維を含む場合、当該他の繊維は、先に説明した親水性繊維であってよい。
第2繊維層は、疎水性繊維として二種類以上の異なる繊維を含んでよい。二種類以上の異なる疎水性繊維は、疎水性の度合いが異なる二種類以上の疎水性繊維の組み合わせであるか、あるいは繊維表面を構成する熱可塑性樹脂の融点が異なる二種類以上の合成繊維の組み合わせである。第2繊維層は疎水性繊維として一種類の繊維のみを含んでよい。その場合には、不織布の製造が容易になり、また、二種類以上の繊維が均一に混合されないときに、第2繊維層の疎水性が均一なものでなくなるといった不都合が生じない。
疎水性の度合いは、例えば、親水性繊維に関連して説明した公定水分率によって評価することができ、あるいは水との接触角によって評価することができる。水との接触角は、評価の対象となる繊維のみからなる不織布に水滴(イオン交換水)を垂らし、水滴が試料に触れてから10秒以内に水滴を写真撮影し、撮影した写真から水滴と不織布との界面角度を測定することにより求められる。この角度が大きいほど繊維の疎水性はより強い。
繊維の疎水性は、繊維表面に存在する物質(例えば、熱可塑性樹脂または疎水化剤)によって決定される。したがって、シートを形成した後に上記の繊度をする限りにおいて、疎水性繊維は、単一繊維に限定されず、表面と内部とが異なる物質から成る複合繊維、例えば、芯鞘型複合繊維、および海島型複合繊維であってよい。あるいは、疎水性繊維は、複数の物質によって繊維表面が構成されている繊維、例えば、分割型複合繊維であってよい。その場合、繊維全体の疎水性が、第1繊維層に含まれる親水性繊維と比較してより強い疎水性を示す限りにおいて、例えば、疎水性繊維の表面の一部は、親水性繊維よりも、疎水性の弱い成分で構成されていてよい。
疎水性繊維が、二以上の成分から成る複合繊維である場合、二以上の成分の組み合わせとしては、ポリエチレン系樹脂/ポリエステル系樹脂、およびポリエチレン系樹脂/ポリプロピレン系樹脂の組み合わせを挙げることができ、具体的には、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−プロピレン共重合体/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリトリメチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリトリメチレンテレフタレート、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリトリメチレンテレフタレート、エチレン−プロピレン共重合体/ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリトリメチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン等の組み合わせを挙げることができる。
疎水性繊維を複合繊維とする場合には、より強い疎水性を得るために、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が繊維表面の少なくとも一部、好ましくは全部を占めるように、二以上の樹脂を配置させることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン系樹脂が鞘成分である芯鞘型複合繊維、またはポリオレフィン系樹脂が海成分である海島型複合繊維を、疎水性繊維として用いることが好ましい。
第2繊維層を構成する繊維の繊維長は、第2繊維層の形態に応じて適宜選択される。例えば、第2繊維層をカードウェブとして作製する場合、構成繊維の繊維長は25mm以上、100mm以下とすることが好ましく、30mm以上、70mm以下とすることがより好ましく、35mm以上、60mm以下とすることが最も好ましい。第1繊維層をエアレイウェブとして作製する場合、構成繊維の繊維長は1mm以上、50mm以下とすることが好ましく、5mm以上、30mm以下とすることがより好ましい。第1繊維層を湿式抄紙ウェブとして作製する場合、構成繊維の繊維長は0.5mm以上、20mm以下とすることが好ましく、1mm以上、10mm以下とすることがより好ましい。
第2繊維層の目付は、最終的に得ようとする不織布の目付に応じて適宜選択される。第2繊維層の目付は、好ましくは5g/m2以上、より好ましくは10g/m2以上、特に好ましくは15g/m2以上としてよい。また、第2繊維層の目付は、好ましくは40g/m2以下、より好ましくは30g/m2以下、特に好ましくは25g/m2以下としてよい。第2繊維層の目付に対する第1繊維層の目付の比については、第1繊維層に関連して説明したとおりであるから、ここでは省略する。
第2繊維層は、一つの層のみからなるもの(単層構造)であってよく、あるいは二以上の層が積層された積層構造を有していてよい。例えば、第2繊維層は、層aおよび層bから成り、層aおよび層bが、疎水性の度合いが互いに異なる二種類の疎水性繊維AおよびBをそれぞれ含んでいて、疎水性の勾配を形成していてよい。疎水性の度合いが異なる三種類以上の疎水性繊維を用いて、第2繊維層を三以上の層からなる構成としてもよい。
(他の繊維層)
本実施形態の不織布は、第1繊維層と第2繊維層のみからなるものでもよいが、第1繊維層と第2繊維層との間に、他の繊維からなる繊維層(以下、「他の繊維層」とも呼ぶ)を含んでいてもよい。他の繊維層は、例えば、繊度が1.2dtex未満の繊度の小さい疎水性繊維からなる層である。他の繊維層の目付は、好ましくは5g/m2以上、より好ましくは10g/m2以上、特に好ましくは15g/m2以上である。また、他の繊維層の目付は、好ましくは30g/m2以下、より好ましくは25g/m2以下、特に好ましくは20g/m2以下である。また、他の繊維層の目付に対する第1繊維層の目付の比は、好ましくは0.7〜16、より好ましくは1.0〜6.0、最も好ましくは1.2〜4.0である。
(不織布全体の構成および不織布の製造方法)
上記において説明した、第1繊維層および第2繊維層は、繊維同士の交絡、構成繊維の熱接着性を利用した熱接着、溶剤系接着剤による接着、またはホットメルト樹脂による接着などにより一体化されて不織布を構成する。本実施形態の不織布は、好ましくは繊維同士の交絡により一体化されたものである。繊維同士は、公知の方法により交絡されてよく、例えば、ニードルパンチ法、または高圧の流体(特に水)を繊維ウェブに噴射する流体流交絡処理法により交絡されていてよい。本実施形態の不織布は、繊維同士が水流交絡処理法により交絡されて一体化していることが好ましい。水流交絡処理法によれば、触感のよい、柔らかな不織布を得ることができるからである。
本実施形態の不織布において、第2繊維層に含まれる疎水性繊維が熱可塑性樹脂からなる合成繊維である場合には、該疎水性繊維によって、繊維同士が接着されていてよい。繊維同士の接着により、得られる不織布において毛羽立ちを抑制することができ、不織布の外観を良好にし、かつ不織布の触感を滑らかにすることができる。疎水性繊維による接着は、疎水性繊維が、繊維表面の一部または全部がポリエチレンのような比較的融点の低い成分(低融点成分)で形成されている場合には、加熱により低融点成分を溶融または軟化させて、熱接着部を形成する方法で実施してよい。あるいは、接着は、電子線等の照射または超音波溶着により実施してよい。
不織布全体の目付は、被覆する皮膚の部位等に応じて、液体の含浸量等を考慮して適宜選択される。不織布全体の目付は、例えば、25g/m2以上、特に35g/m2以上、より特には40g/m2以上、さらに特には50g/m2以上としてよい。また、不織布の目付は、例えば、120g/m2以下、特に90g/m2以下、より特には75g/m2以下、さらに特には70g/m2以下としてよい。目付が小さすぎると、不織布に含浸させ得る液体の量が少なくなって、所定量の液体を皮膚に供給できないことがあり、目付が大きすぎると、皮膚の曲面にシートを沿わせにくく、シートの皮膚への密着性が低下することがある。
不織布を、顔面を被覆するシート、すなわちフェイスマスクの基材として用いる場合には、不織布全体の目付は、好ましくは25g/m2以上、より好ましくは35g/m2以上、さらにより好ましくは40g/m2以上、特に好ましくは50g/m2以上としてよい。また、フェイスマスクの基材用の不織布全体の目付は、好ましくは120g/m2以下、より好ましくは90g/m2以下、さらに好ましくは75g/m2以下、特に好ましくは70g/m2以下としてよい。フェイスマスクの基材として用いる場合に不織布の目付が25g/m2未満であると、不織布に含浸させ得る液体の量が少なくなり、十分な液体を顔面に供給できないことがある。不織布の目付が120g/m2を超えると、顔面の凹凸(例えば鼻の周り)に沿ってシートを密着させることが困難となることがある。
不織布全体の厚さは、例えば0.04mm以上、好ましくは0.60mm以上、より好ましくは0.70mm以上、最も好ましくは0.80mm以上である。また、不織布全体の厚さは、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.3mm以下であり、最も好ましくは1.1mm以下である。不織布全体の厚さが小さすぎると、不織布に含浸させ得る液体の量が少なくなって、所定量の液体を皮膚に供給できないことがある。不織布全体の厚さが大きすぎると、皮膚の曲面にシートを沿わせにくく、シートの皮膚への密着性が低下することがある。なお、ここで言う不織布全体の厚さは、不織布1cm2あたり3gの荷重を加えた状態で測定したものを指す。
不織布全体の密度は、好ましくは0.085g/cm3以下、より好ましくは0.080g/cm3以下、最も好ましくは0.075g/cm3以下である。また、不織布全体の密度は、好ましくは0.050g/cm3以上、より好ましくは0.060g/cm3以上である。不織布全体の密度が大きすぎる、あるいは小さすぎると、不織布に含浸させ得る液体の量が少なくなって、所定量の液体を皮膚に供給できないことがあり、あるいは、皮膚の曲面にシートを沿わせにくく、シートの皮膚への密着性が低下することがある。なお、ここで言う不織布全体の密度は、不織布全体の目付と不織布全体の厚さとから求められるものであり、不織布全体の厚さは、不織布1cm2あたり3gの荷重を加えた状態で測定したものを指す。
不織布は、1cm2あたり3gの荷重を加えた状態で測定した全体の厚さ(3g厚さ)の、1cm2あたり20gの荷重を加えた状態で測定した全体の厚さ(20g厚さ)に対する比(3g厚さ/20g厚さ)が、好ましくは1.10以上、より好ましくは1.20以上である。また、不織布の3g厚さ/20g厚さは、好ましくは1.50以下である。
不織布の3g厚さ/20g厚さがこの範囲内にあると、例えば、皮膚を被覆した状態にあるシートを押さえたときに、第2繊維層の厚みが減りやすくなり、第2繊維層中の液体が第1繊維層に移行して、第1繊維層からより多くの液体が皮膚へ移行しやすくなる。
不織布は、第1繊維層となる繊維ウェブ(以下、「第1繊維ウェブ」とも呼ぶ)と、第2繊維層となる繊維ウェブ(以下、「第2繊維ウェブ」とも呼ぶ)とを積層し、必要に応じて第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとの間に、他の繊維層となる繊維ウェブ(以下、「他の繊維ウェブ」とも呼ぶ)を配置して、繊維ウェブを一体化させる処理に付すことにより製造できる。繊維ウェブを一体化させる処理としては、繊維同士の交絡処理、熱接着処理、溶剤系接着剤による接着処理、電子線等の照射による接着処理、超音波溶着、およびホットメルト樹脂による接着処理等がある。本実施形態の不織布は、繊維同士を交絡させる処理により、繊維ウェブを一体化させて製造することが好ましい。繊維を交絡させる処理は、例えば、ニードルパンチ処理、または流体流(特に水流)交絡処理である。
いずれの繊維ウェブも、その形態は、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、湿式抄紙ウェブ、ならびにスパンボンドウェブ等から選択されるいずれであってもよい。各繊維ウェブの形態は同じであってもよく、異なっていてもよい。各繊維ウェブは好ましくは、パラレルウェブである。パラレルウェブは生産性が高く、嵩高で比容積が大きい不織布を与えやすい。また、パラレルウェブを用いると柔らかい不織布が得られやすいことから、これを用いて製造される液体含浸皮膚被覆シートも柔らかく、風合いの優れたものとなりやすい。
水流交絡処理により繊維同士を交絡させる場合、水流交絡処理は、支持体に繊維ウェブの積層体を載せて、柱状水流を噴射することにより実施する。例えば、支持体は、80メッシュ以上、100メッシュ以下の平織の支持体であることが好ましい。水流交絡処理は、孔径0.05mm以上、0.5mm以下のオリフィスが0.3mm以上、1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧1MPa以上、15MPa以下の水流を、繊維ウェブの積層体の表裏面にそれぞれ1〜5回ずつ噴射することにより実施してよい。水圧は、好ましくは、1MPa以上、10MPa以下であり、より好ましくは、1MPa以上、7MPa以下である。
交絡処理後の繊維ウェブは、水分を除去する乾燥処理に付して、そのままシートの基材として用いてよい。第2繊維層が、疎水性繊維として、繊維表面の一部または全部が比較的融点の低い熱可塑性樹脂で占められている合成繊維を含む場合には、疎水性繊維によって繊維同士を熱接着させる熱接着処理に付することが好ましい。熱接着処理は、疎水性繊維の繊維表面を形成する樹脂が溶融または軟化する温度で実施することが好ましい。交絡処理が水流交絡処理である場合には、熱接着処理が、繊維ウェブから水分を除去する乾燥処理を兼ねてよい。あるいは、熱接着処理と乾燥処理は別々に実施してよい。
例えば、第2繊維層が、繊維表面がポリエチレンで構成された合成繊維を疎水性繊維として含む場合、熱接着処理は、130℃以上150℃以下の温度で実施することが好ましい。熱処理温度を調節することによって、低融点成分による熱接着の度合いを変化させることもできる。熱接着の度合いは、不織布の強度、柔軟性、および肌触り等に影響を与える。
熱接着処理は、公知の方法で実施してよく、具体的には、熱風貫通式熱処理機(エアスルー式熱加工機とも呼ぶ)、熱風吹き付け式熱処理機、赤外線式熱処理機、または熱ロール(熱エンボスロールも含む)加工機を用いて実施される。これらのうち、熱風貫通式熱処理機、熱風吹き付け式熱処理機、および赤外線式熱処理機を用いた熱処理は、不織布の嵩を減少させにくいので好ましい。
(液体含浸皮膚被覆シート)
本実施形態の不織布はこれに液体を含浸させることにより、液体含浸皮膚被覆シートを構成する。含浸させる液体および含浸量は、用途に応じて適宜選択される。シートを、対人用フェイスマスク、角質ケアシートおよびデコルテシートといった対人用液体含浸皮膚被覆シートとして提供する場合には、有効成分を含む液体(例えば化粧料)を不織布100質量部に対して、600質量部以上2500質量部以下の含浸量で含浸させてよく、特に600質量部以上1500質量部以下の含浸量で含浸させてよく、より特には700質量部以上1500質量部以下の含浸量で含浸させてよい。有効成分は、例えば、保湿成分、角質柔軟成分、クレンジング成分、制汗成分、香り成分、美白成分、血行促進成分、紫外線防止成分、および痩身成分等であるが、これらに限定されるものではない。
フェイスマスクは、顔を被覆するのに適した形状を有し、さらに、例えば、目、鼻および口に相当する部分に、必要に応じて打ち抜き加工による開口部又は切り込み部が設けられた形態で提供される。あるいは、フェイスマスクは、顔の一部分(例えば、目元、口元、鼻または頬)のみを覆うような形状のものであってよい。あるいはまた、フェイスマスクは、目の周囲を覆うシートと、口の周囲を覆うシートとから成るセットとして提供してよく、あるいは3以上の部分を別々に覆うシートのセットとして提供してよい。
角質ケアシートは角質が厚く、硬化しやすい踵、肘、膝などに使用される皮膚被覆シートであり、角質柔軟成分および保湿成分等を含む液体を含浸させることにより、角質に対し保湿や軟化を促すシートや、余分な角質の除去を促進する効果を発揮するシートである。本実施形態の不織布は、いずれの効果・効能を発揮する角質ケアシートにおいても、基材として使用することができる。角質ケアシート、例えば踵用の角質ケアシートは、貼り付ける際に、シートが踵の曲線に合わせやすくなるように、切り込みおよび/もしくは切り欠き、ならびに/またはシートの一部が打ち抜かれて開口部を有する形態で提供される。
液体含浸皮膚被覆シートは、身体の任意の部位(例えば、首、手の甲、首から胸元までの部位(デコルテとも呼ばれている))を保湿またはその他のケアをするために用いられる、保湿成分またはその他の有効成分を含む液体を含浸させた保湿シートであってよい。あるいは、液体含浸皮膚被覆シートは、痩身成分を含む液体を含浸させた、痩身用シートであってよい。痩身用シートは、例えば、大腿部または腹部に貼り付けて用いられる。
いずれの形態のシートも第1繊維層を皮膚と接触させて使用する。したがって、第2繊維層は皮膚と接触せず、外部環境に曝されることとなる。第2繊維層が疎水性であるために、液体は、第2繊維層から外部環境に蒸散するよりはむしろ、親水性の第1繊維層へ移動しやすく、第1繊維層に移動した液体はさらに皮膚へ移行することなる
親水性繊維1(表では「コットン」と表示):繊度1.0〜5.0dtex、繊維長10〜60mmのコットン
疎水性繊維1(表では「PP単一」と表示):繊度1.5dtex、繊維長51mmのポリプロピレンからなる単一繊維(融点163℃、商品名PN804、ダイワボウポリテック(株)製)
疎水性繊維2(表では「PET単一」と表示):繊度1.45dtex、繊維長38mmのポリエチレンテレフタレートからなる単一繊維(融点260℃、商品名T402、東レ(株)製)
疎水性繊維3(表では「PP/PE」と表示):繊度1.7dtex、繊維長51mmであり、ポリプロピレン(融点167℃)が芯成分、ポリエチレン(融点138℃)が鞘成分である、芯鞘型複合繊維(商品名HR-NTW、東レ(株)製)
疎水性繊維4(表では「PP単一太」と表示):繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリプロピレンからなる単一繊維(融点163℃、商品名PN、ダイワボウポリテック(株)製)
疎水性繊維5(表では「PP単一細」と表示):繊度1.0dtex、繊維長38mmのポリプロピレンからなる単一繊維(融点163℃、商品名PN、ダイワボウポリテック(株)製)
(試験1)
(実施例1〜3、比較例1〜2)
親水性繊維1(コットン)のみで、表1に示す狙い目付の第1繊維ウェブを作製するとともに、表1に示す種類の疎水性繊維を用いて、表1に示す狙い目付の第2繊維ウェブを作製した。第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブはいずれも、パラレルカード機を用いて作製した。なお、実際に製造されるウェブの目付は、必ずしも狙い目付けどおりとはならず誤差を有する(以下の試験においても同じ)。
第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとを積層した二層構造の積層ウェブ、または第1繊維ウェブのみを支持体に載せ、ウェブに水流交絡処理を施して繊維同士を交絡させた。水流交絡処理は、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いてウェブの一方の面に3.0MPaの柱状水流を2回噴射し、他方の面に4.0MPaの柱状水流を2回噴射して実施した。その後、乾燥処理を施して、不織布を得た。
得られた不織布の目付、厚さおよび密度を表1に示す。厚さは、厚み測定機(商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2あたり3gの荷重および20gの荷重をそれぞれ加えた状態で測定した。密度は、目付と1cm2あたり3gの荷重を加えて測定した厚さから計算して求めた。
(液移行性の評価)
得られた不織布を縦方向(機械方向)150mm、横方向(幅方向)70mmの寸法となるように切断した試料を作製し、試料100質量部に対して、700質量部の水を含浸させた。水を含浸させた試料を、予め質量を測定しておいたキムタオル(商品名)の上に載せた。試料は、第1繊維層がキムタオルと接するように、キムタオルの上に載せた。10分間、キムタオルに試料を載せた状態で放置し、放置後のキムタオルの質量を測定した。10分後のキムタオルの質量の増加分を、試料からキムタオルに移行した水の量とし、含浸させた液体の質量に対する、移行した水の量の割合を百分率で求め、この値により液移行性を評価した。
試験1においては、温度19.3℃、湿度60%の条件で液移行性を評価した。
液移行性の評価結果を表1に示す。
Figure 0006726421
実施例1から3はいずれも良好な液移行性を示した。親水性繊維のみからなる不織布(比較例1)、および第2繊維層が繊度の小さい疎水性繊維からなる不織布(比較例2)はともに、液移行性の低いものであった。
(試験2)
(実施例4〜7、比較例3)
親水性繊維1(コットン)のみで、表2に示す狙い目付の第1繊維ウェブを作製するとともに、表2に示す種類の疎水性繊維を用いて、表2に示す狙い目付の第2繊維ウェブを作製した。第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブはいずれも、パラレルカード機を用いて作製した。
第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとを積層した二層構造の積層ウェブ、または第1繊維ウェブのみを支持体に載せ、ウェブに水流交絡処理を施して、繊維同士を交絡させた。水流交絡処理は、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いてウェブの一方の面に3.0MPaの柱状水流を2回噴射し、他方の面に4.0MPaの柱状水流を2回噴射して実施した。その後、乾燥処理を施して、不織布を得た。
実施例4〜7、比較例3で得た不織布の目付および厚さを測定した。測定方法は先に説明したとおりである。測定結果を表2に示す。
また、実施例4〜7、比較例3で得た不織布の液移行性を、試験1に関連して説明した方法と同じ方法で評価した。但し、評価は、温度20.4℃、湿度58%の条件で行った。液移行性の評価結果を表2に示す。なお、試験2の液移行性の評価は、試験1のそれとは異なる環境下で実施されたため、評価結果として示される値は、試験1のそれとは異なることに留意されたい。
Figure 0006726421
実施例4〜6はいずれも良好な液移行性を示した。実施例4および6の液移行性の測定結果から、第2繊維層の目付が小さくても、不織布の液移行性を向上させ得ることがわかった。
本実施形態の不織布は液体を含浸させて、第1繊維層を皮膚に接触させて使用したときに、液体を皮膚に移行させやすいので、液体が皮膚にとどまりやすく、それにより液体による皮膚への作用を良好に発揮させうるため、フェイスマスク等の基材として有用である。

Claims (13)

  1. 繊維長が1mm〜100mmである親水性繊維を50質量%以上含む第1繊維層と、第1繊維層に含まれる親水性繊維よりも疎水性であり、繊維長1mm〜100mmである疎水性繊維を50質量%以上含む第2繊維層とを含み、第1繊維層が一方の表面を形成し、第2繊維層がもう一方の表面を形成する不織布であって、
    前記疎水性繊維が1.2dtex以上の繊度を有し、
    前記第1繊維層の側および前記第2繊維層の側から水流交絡処理を施すことで繊維同士が交絡して、前記第1繊維層と前記第2繊維層とが一体化しており、
    繊維同士が前記疎水性繊維によって接着されておらず、
    第1繊維層を皮膚に接触させて使用する、液体含浸皮膚被覆シート用不織布。
  2. 前記第2繊維層が、前記疎水性繊維として、ポリオレフィン系樹脂が繊維表面の一部または全部を形成する、ポリオレフィン系繊維を含む、請求項1に記載の液体含浸皮膚被覆シート用不織布。
  3. 前記ポリオレフィン系繊維がポリプロピレンから成る単一繊維である、請求項2に記載の液体含浸皮膚被覆シート用不織布。
  4. 繊維長が1mm〜100mmである親水性繊維を90質量%以上含む第1繊維層と、第1繊維層に含まれる親水性繊維よりも疎水性であり、繊維長1mm〜100mmである疎水性繊維を50質量%以上含む第2繊維層とを含み、第1繊維層が一方の表面を形成し、第2繊維層がもう一方の表面を形成する不織布であって、
    前記疎水性繊維が1.2dtex以上の繊度を有し、
    繊維同士が交絡し、かつ前記疎水性繊維によって、前記疎水性繊維と前記親水性繊維とが接着されている、液体含浸皮膚被覆シート用不織布(ただし、部分的熱圧着部を含むものを除く)。
  5. 前記疎水性繊維が、ポリエチレンを鞘成分、ポリプロピレンを芯成分とする、芯鞘型複合繊維であり、繊維同士が該鞘成分によって接着されている、請求項4に記載の液体含浸皮膚被覆シート用不織布。
  6. 0.050g/cm 以上0.085g/cm 以下の密度を有する、請求項4または5に記載の液体含浸皮膚被覆シート用不織布。
  7. 前記疎水性繊維が3.5dtex以下の繊度を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の液体含浸皮膚被覆シート用不織布。
  8. 第1繊維層と第2繊維層とを含み、第1繊維層を皮膚に接触させて使用する、液体含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法であって、
    繊維長が1mm〜100mmである親水性繊維を50質量%以上含む第1繊維ウェブと、前記第1繊維ウェブに含まれる前記親水性繊維よりも疎水性であり、繊維長が1mm〜100mmであり、1.2dtex以上の繊度を有する疎水性繊維を50質量%以上含む第2繊維ウェブとを積層して積層ウェブを得ること、および
    第1繊維ウェブの側から水流を噴射すること、および第2繊維ウェブの側から水流を噴射することを含む水流交絡処理を実施して、繊維同士を交絡させること
    を含み、前記製造方法において、
    前記積層ウェブは、繊維同士を前記疎水性繊維によって接着させる熱接着処理に付さず、
    前記積層ウェブは、一方の表面が前記第1繊維ウェブで形成され、もう一方の表面が前記第2繊維ウェブで形成されているものである、
    前記第1繊維ウェブが前記第1繊維層となり、前記第2繊維ウェブが前記第2繊維層となった、液体含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法。
  9. 前記第2繊維ウェブが、前記疎水性繊維として、ポリオレフィン系樹脂が繊維表面の一部または全部を形成する、ポリオレフィン系繊維を含む、請求項8に記載の液体含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法。
  10. 前記ポリオレフィン系繊維がポリプロピレンから成る単一繊維である、請求項9に記載の液体含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法。
  11. 前記疎水性繊維が3.5dtex以下の繊度を有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の液体含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法。
  12. 請求項1〜のいずれか1項に記載の不織布に液体を600質量部以上2500質量部以下含浸させた、液体含浸皮膚被覆シート。
  13. 請求項1〜のいずれか1項に記載の不織布に液体を600質量部以上2500質量部以下含浸させた、フェイスマスク。
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