JP4041276B2 - 清拭用不織布 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡、OA機器、家具、自動車などのガラス製品、セラミック製品、プラスチック製品、金属製品など対物の清掃、拭き取り、または磁気記憶媒体などの磁性体面、半導体面、精密ガラスレンズなどの精密機器類、自動車のボディーなどの塗装面、浴室、トイレ、台所、床、陶器、ホーロー、銅製品などの研磨、あるいは皮脂、化粧品、その他の汚れの付着した肌など対人の清掃、拭き取りに好適であり、ウェット状、ドライ状のいずれの状態でも使用可能な清拭用不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から親水性と親油性を両立した清拭用不織布が提案されている。例えば、実用新案登録第2525862号公報には、目付が50〜60g/m2からなる親水性繊維不織布の片面または両面に繊維径が0.01〜2μm、目付が15〜20g/m2からなる疎水性極細繊維不織布をウォーターニードリングまたはニードルパンチングにより交絡、一体化したワイピングクロスが開示されている。さらに、実開平4−33686号公報には、0.5デニール以下のポリオレフィン極細短繊維とポリエステル極細短繊維とからなる親油性層とレーヨン短繊維または綿繊維からなる親水性層とを交絡一体化し、親水性層の繊維の一部が親油性層の表面に露出させた清掃用不織布が開示されている。また、本出願人においても、特開平11−48381号公報に親水性繊維と熱接着性繊維からなる2層の繊維ウェブ層の間にパルプ繊維層を介在させ、高圧水流処理により三次元的に交絡させたワイパー用積層物を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの不織布には以下の問題点がある。例えば、実用新案登録第2525862号公報では、極細繊維不織布としてメルトブロー不織布やフラッシュ紡糸不織布のような比較的繊維長の長い繊維を使用しているため、ウォーターニードリングまたはニードルパンチングにより交絡、一体化させても十分に交絡せず、層間剥離を引き起こしたりする。さらに、親水性繊維不織布層の目付が極細繊維不織布層に比べて大きすぎるため、保液量は多くなるが、拭き取り時に液体が大量に流出し易く、対象面に液残りが生じ、べたついてしまう。実開平4−33686号公報では、親水性層の繊維の一部を親油性層の表面に露出させることにより、親水性と親油性を両立しようと試みているが、ウェット状で使用した場合、親水性繊維が多く表面に露出すると、清拭対象面に水分(水滴)が残り易く(液残り)、それが乾燥すると筋状や斑点状の水垢となって残存してしまったり、拭き取りが重くなってしまう。さらに、表面に露出した親水性繊維の量が多いと、親水性層内に吸水していた水分が蒸発し易く、保水性が途端に低下する。また、特開平11−48381号公報においても、対人向けには好適であるが、清拭対象面が対物であると対象面に水分が多く残ってしまう。
本発明はかかる実情を鑑みてなされたものであり、液残りの少なく、保水性に富む、ガラス製品、セラミック製品、プラスチック製品、金属製品など対物の清掃、拭き取り、または研磨、あるいは皮脂、化粧品、その他の汚れの付着した肌など対人の清掃、拭き取りに好適であり、ウェット状、ドライ状のいずれの状態でも使用可能な清拭用不織布を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、親水性繊維を50重量%以上含有する親水性繊維層の少なくとも一方の面に、分割型複合繊維を50重量%以上含有する極細繊維層を配し、三次元的絡合により一体化されてなる複合不織布であって、該親水性繊維層を構成する繊維の平均繊維長(Lh)が20mm未満であり、かつ極細繊維層を構成する繊維の平均繊維長(Ls)が30〜100mmとすることによって、液残りの少なく、保水性に富み、ウェット状で用いる場合であれば、親水性繊維層に含浸させた湿潤成分が極細繊維層から表面へ徐々にしみ出したり(液放出性)、ドライ状で用いる場合であれば、水分などを極細繊維層から親水性繊維層へと徐々に吸収させたり(液吸収性)することができる清拭用不織布が得られることが判り、本発明に至った。
【0005】
本発明において、極細繊維層/親水性繊維層における平均繊維長の比(Ls/Lh)が3〜60であると、極細繊維層表面への親水性繊維の露出が軽減される点で望ましい。
【0006】
本発明において、極細繊維層/親水性繊維層における目付の比(Ws/Wh)が0.8を超えると、対象面への液残りを解消することができる点で望ましく、さらに、極細繊維層における一方の面の目付が15〜35g/m2であることがより望ましい。
【0007】
本発明に用いられる親水性繊維が平均繊維長10mm未満のパルプ繊維であると、三次元的絡合時に解離しやすく、極細繊維層を構成する繊維と適度に絡合する点で望ましい。
【0008】
本発明において、極細繊維層が親水性繊維層の両面に配されていると、清拭用不織布の内部に薬剤や水分を含浸あるいは吸収させて使用することが容易である。
【0009】
そして、前記複合不織布には、湿潤成分が不織布100重量部に対して100〜350重量部含有することが望ましい。また、前記複合不織布には、研磨剤が不織布100重量部に対して5〜100重量部含有することが望ましい。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における親水性繊維層は、パルプ、コットン、シルク、ウールなどの天然繊維、レーヨン、キュプラ、テンセルなどの再生繊維、あるいは合成繊維に親水化処理を施したもの等の親水性繊維が50重量%以上を含有し、他の繊維を含めた構成繊維の平均繊維長(Lh)が20mm未満のものを用いる。より好ましい親水性繊維の含有量は、70重量%以上であり、より好ましいLhは、10mm未満である。平均繊維長(Lh)が20mm以上であると、三次元的絡合時に少なくとも一方の面に積層される極細繊維層を形成する繊維群と高度に絡合して、複合不織布の表面に親水性繊維が多量に露出してしまい、対象面に液残りが生じるからである。なかでも、親水性繊維が平均繊維長10mm未満のパルプ繊維であると、三次元的絡合時に解離しやすく、極細繊維層を構成する繊維と適度に絡合する点で好ましい。また、ここでいう他の繊維としては、親水性の有無にかかわらず、親水性繊維層の平均繊維長が20mm未満を満たすものであれば限定はされない。
【0011】
また、親水性繊維層の目付は、50g/m2以下であることが好ましい。より好ましくは、5〜40g/m2である。目付が50g/m2を超えると、保液量は多くなるが、拭き取り時に湿潤成分が大量に流出し易く、対象面に液残りが生じるからである。そして、親水性繊維層における最も好ましい形態は、目付が10〜30g/m2であり、平均繊維長10mm未満のパルプ繊維が50重量%以上からなるパルプ繊維層である。本発明に用いるパルプ繊維層は、パルプ100%のパルプ紙やティッシュペーパーのようなバインダーで軽く接着させた紙などが挙げられる。
【0012】
次に、本発明における極細繊維層は、分割型複合繊維を50重量%以上含有し、構成する繊維の平均繊維長(Ls)が30〜100mmのものが用いられる。より好ましい分割型複合繊維の含有量は、70重量%以上であり、より好ましいLsは、35〜60mmである。本発明に用いられる分割型複合繊維は、繊維断面において構成成分のうち少なくとも1成分が2個以上に分割し、構成成分の少なくとも一部が繊維表面に露出し、その露出部分が繊維の長さ方向に連続的に形成されている公知の断面構造を有したものが用いられ、分割後発現する極細繊維の繊度は、1dtex未満、好ましくは0.5dtex未満のものが用いられる。そして、上記分割型複合繊維のポリマー構成としては、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ナイロンなどが好ましく用いられる。例えば、後述する三次元絡合処理後、熱風や熱ロールなどにより熱接着を施す場合であれば、比較的低融点であるポリエチレンやエチレン−プロピレン共重合体を1成分とする分割型複合繊維を用いると、極細繊維の風合いを維持しながら熱接着性に優れる点で好ましい。分割型複合繊維の含有量が50重量%未満であると、細かい塵や汚れなどの清拭性に劣るだけでなく、液吸収性、保液性、液放出性においても不十分となるからである。また、極細繊維層の平均繊維長(Ls)が30mm未満であると、不織布表面の耐摩耗性に劣るだけでなく、不織布の地合い斑が生じ、Lsが100mmを超えると、三次元的絡合性に劣り、層間剥離を引き起したり、耐摩耗性に劣り、毛羽立ちが生じたりするからである。
【0013】
前記極細繊維層に用いられる他の繊維としては、極細繊維層の平均繊維長が30〜100mmの範囲を満たすものであれば特に限定はされないが、できるだけ疎水性繊維のみで形成させるのが好ましい。親水性繊維が混在すると、対象面に液残りが生じるからである。例えば、清拭時に対象面との摩擦により脱落繊維が生じないように、熱バインダー繊維を50重量%を超えない範囲で混合してもよい。そして、極細繊維層/親水性繊維層における平均繊維長の比(Ls/Lh)が3〜60であることが好ましい。より好ましくは、5〜30である。例えば、親水性繊維層の両面に極細繊維層を配した場合、極細繊維層のうち少なくとも一方の層が上記範囲を満たしていればよいが、両面とも上記範囲を満たした方がその機能を最大限に発揮する点で好ましい。Ls/Lhが3未満であると、三次元的絡合処理時に高度に絡合するため、極細繊維層表面へ親水性繊維が多量に露出してしまい、清拭時の液残りが解消されず、Ls/Lhが60を超えると、三次元的交絡処理時に親水性繊維が極細繊維層の表面に脱落繊維として多量に出てくるため、液残りが多いだけでなく、親水性繊維が対象面に紙粉となって残存するからである。
【0014】
次に、極細繊維層における一方の面の目付は、10g/m2以上であることが好ましい。より好ましくは、15〜35g/m2である。目付が10g/m2未満であると、極細繊維層の厚みが小さく、親水性繊維が表面に出やすくなるため、保液性が悪くなったり、液残りが多くなったりするからである。このとき、極細繊維層/親水性繊維層における目付の比(Ws/Wh)は、0.8を超えることが好ましい。より好ましくは、1.2以上である。Ws/Whが0.8未満であると、三次元的絡合処理時に高度に絡合するため、極細繊維層表面へ親水性繊維が多量に露出してしまい、清拭時に対象面への液残りが解消されないからである。
【0015】
そして、親水性繊維層の少なくとも一方の面に極細繊維層が積層され、後述する三次元的絡合により一体化され複合不織布となす。このとき、極細繊維層は親水性繊維層の両面に配されることが好ましい。極細繊維層が両面に配されると、平均繊維長(Lh)が短い親水性繊維層が極細繊維層により被覆されるので、耐摩耗性に優れるとともに、極細繊維層の清拭性を十分に発揮できるからである。勿論、親水性繊維層のもう一方の面を極細繊維の含有しない、あるいは分割型複合繊維の含有量の50重量%未満からなる繊維群やフィルムなどで被覆しても何ら差し支えない。
【0016】
次に、本発明の清拭用不織布の製造方法について説明する。まず、親水性繊維層の形態としては、湿式抄紙法による湿式ウェブ、またはエアレイ法による乾式ウェブからなる繊維ウェブが好ましい。一方、極細繊維層の形態としては、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブなどのカードウェブからなる繊維ウェブが好ましい。
【0017】
作製された繊維ウェブを親水性繊維層の少なくとも一方の面に極細繊維層が配されるように積層される。そして、ニードルパンチ、あるいは高圧流体流処理に代表される三次元的絡合処理により、繊維ウェブは一体化される。上記三次元的絡合処理のうち、高圧水流処理が最も効率的である。高圧水流処理は、従来から良く知られている方法で行えばよく、その条件は最終的に得ようとする複合不織布の目付や分割型複合繊維の分割度合いなどに応じて適宜設定すればよい。このとき必要に応じて、予備交絡処理としてニードルパンチ処理を施した後、高圧水流処理を施してもよい。例えば、目付20〜100g/m2の複合不織布を得ようとする場合は、孔径0.05〜0.5mmのオリフィスが0.3〜1.5mmの間隔で設けられたノズルから、水圧1〜10MPaの柱状水流を繊維ウェブの表裏面側からそれぞれ1〜4回ずつ噴射するとよい。特に、清拭用不織布の目付を小さく設定する場合、分割型複合繊維の分割度合いが損なわれない程度に水圧を低く設定するとよい。また、本発明においては、7MPa未満の低水圧で処理することにより、親水性繊維層の親水性繊維が極細繊維層表面に露出するのを抑制することができるので、拭き取り性が軽くなり、また湿潤成分の乾燥を防止することが可能となる。さらに、低水圧処理によれば極細繊維層の嵩高性が維持できてクッション層として作用し、親水性繊維層に含浸された湿潤成分が適度に拭き取り対象面に移行するので、好ましい。
【0018】
高圧水流によって交絡させた後は、水分を除去するために乾燥させる。そして乾燥後または乾燥と同時に、熱接着を施してもよい。熱接着の手段としては、熱風処理、熱カレンダー処理、熱エンボス処理など公知の手段を採用するとよい。そして、得られた清拭用不織布は、ウェット状、あるいはドライ状のいずれの状態であっても使用可能である。ウェット状の清拭用不織布として用いるときは、水、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの湿潤剤、アルコール類、抗菌剤、防かび剤、香料など薬剤、その他洗浄成分等の所望の湿潤成分を公知の方法によって付与させるとよい。湿潤成分の保持率としても、その目的に応じて適宜設定すればよいが、不織布100重量部に対して通常100〜350重量部で湿潤させるとよい。
【0019】
また、本発明においては研磨剤が不織布100重量部に対して5〜100重量部含有することが好ましい。用いられる研磨剤としては、公知の研磨剤であれば特に限定はされず、例えば、アルミナ、ケイソウ土、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、カーボランダム、金剛砂、ガラスビーズ、雲母などが挙げられる。そして、前記研磨剤は、公知の方法により不織布中に含有させることができる。例えば、研磨剤をバインダー材料により構成繊維に担持させる方法として、研磨剤を予めバインダー材料に混合しておき、不織布に含浸、コーティング、グラビア塗工、スプレーする方法、研磨剤を不織布に振り蒔き、バインダー材料で構成繊維に接着させる方法などが挙げられる。このとき、バインダー材料は、固体粒子状、エマルジョン状、液状、繊維状のいずれであってもよいが、前者はエマルジョン状あるいは液状、後者は固体粒子状あるいは繊維状が取り扱い性の観点から好ましい。また、バインダー材料は、不織布100重量部に対して5〜100重量部含有させることが好ましい。バインダー材料が5質量部未満であると、研磨剤が不織布にほとんど担持されないため、ワイピング時に粉落ちの現象となるからであり、100重量部を超えると、研磨剤がバインダー材料によりしっかりと固着してしまい、研磨効果が低下するだけでなく、不織布自体も硬くなり、拭き取り対象面の曲面などに沿いにくくなり、拭き取り効率に劣るからである。
【0020】
また、前記研磨剤は、前記湿潤成分の一成分として分散、混合させて不織布に付着させることも可能である。そして、前記研磨剤における不織布100重量部に対する含有量は、5〜100重量部であることが好ましい。より好ましくは、含浸法など不織布の内部にも多量の研磨剤が担持する場合であれば、20〜80重量部であり、コーティング法、グラビア塗工法など主として不織布表面に研磨剤が担持する場合であれば、10〜80重量部である。研磨剤の含有量が5重量部未満であると、研磨効果が十分に発揮されず、100重量部を超えると、研磨剤の量が多いために均一に不織布に分散されずまた、研磨剤の担持も不十分なものとなるからである。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例を挙げて説明する。なお、得られた複合不織布のワイピング性は次の方法で測定した。
【0022】
[ワイピング性]
(1)液残り性
不織布をタテ30cm×ヨコ21cm(A4サイズ)に切断し、不織布重量100重量部に対して200重量部の水分を含浸させてウェット状不織布を作製する。そして、ウェット状不織布を4つ折りにして、30cm×50cmの大きさのガラス面を3往復させた後の液残りの量を観察した。
◎:ほとんど液残りがなく、乾燥しても水垢が目立たない。
○:液残りが少しあるが、水滴が小さく、乾燥しても水垢が目立たない。
△:液残りしており、水滴が大きく、乾燥すると水垢が確認できる。
×:液残りが多く、水滴がかなり大きく、乾燥すると水垢が目立つ。
(2)拭き取り性
前記ウェット状不織布を4つ折りにして、予め泥汚れを付着させた30cm×50cmの大きさのガラス面を3往復させた後の拭き取り状況を観察した。
◎:汚れがきれいに落ちた。
○:汚れがほとんど落ちた。
△:汚れが少し残っている。
×:汚れ残りが多い。
【0023】
[実施例1]
極細繊維層として、繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの8分割型複合繊維100%からなる目付27g/m2のカードウェブ(平均繊維長51mm)を2層準備し、親水性繊維層として、パルプ繊維100%からなる平均繊維長が2mm、目付17g/m2のパルプ紙(ハビックス(株)製)を準備した。そして、極細繊維層2層の中間に親水性繊維層を挟み込み、この積層ウェブを孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いて繊維ウェブの表面側、裏側に水圧4MPaの柱状水流をそれぞれ2回噴射して、積層ウェブを交絡させ、110℃で乾燥させて複合不織布を得た。
【0024】
[実施例2]
極細繊維層の目付を14g/m2とした以外は、実施例1と同様の方法で複合不織布を得た。
【0025】
[実施例3]
親水性繊維層の目付を30g/m2とした以外は、実施例1と同様の方法で複合不織布を得た。
【0026】
[実施例4]
極細繊維層の目付を14g/m2とした以外は、実施例3と同様の方法で複合不織布を得た。
【0027】
[実施例5]
実施例1の不織布100重量部に対して、下記に示す配合に調製した溶液を含浸法により研磨剤を担持させた複合不織布を得た。
(1)バインダー材料:アクリル酸エステル系バインダー(日本カーバイド(株)製FX322) 15重量部
(2)研磨剤:酸化アルミニウム(日本軽金属(株)製) 20重量部
【0028】
[比較例1]
実施例1の8分割型複合繊維70重量%と、繊度1.5dtex、繊維長40mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製)30重量%とを混綿し、目付70g/m2のカードウェブを作製した以外は、実施例1と同様の方法で不織布を得た。
【0029】
[比較例2]
親水性繊維層として、比較例1のレーヨン繊維100重量%からなる目付20g/m2のカードウェブ(平均繊維長40mm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で複合不織布を得た。
実施例1〜5および比較例1〜2の諸性能を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例1〜4において、液残り性および拭き取り性に優れた複合不織布を得ることができた。実施例1および3については、極細繊維層/親水性繊維層における目付の比(Ws/Wh)も大きく、極細繊維層の目付Wsも大きいことから、親水性繊維の表面への露出も少なく、特に優れていた。さらに、実施例5では、不織布に研磨剤が担持されているので、拭き取り性に特に優れていた。一方、比較例1の親水性繊維と極細繊維とを混綿した不織布は、親水性繊維の露出の割合が混綿率に依存し、多量であるため、液残り性および拭き取り性ともに劣っていた。比較例2は、親水性繊維層の平均繊維長Lhが大きすぎるため、不織布表面への露出の割合が多く、液残り性および拭き取り性ともに不十分であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の清拭用不織布は、親水性繊維を50重量%以上含有する平均繊維長(Lh)が20mm未満からなる親水性繊維層の少なくとも一方の面に、分割型複合繊維を50重量%以上含有する平均繊維長(Ls)が30〜100mmからなる極細繊維層を配し、三次元的絡合により一体化することにより、液残りの少なく、保水性に富み、液放出性、液吸収性に優れた複合不織布が得られる。そして、極細繊維層が親水性繊維層の両面に配されていると、清拭用不織布の内部に湿潤成分を含浸あるいは吸収させて使用することが容易であり、その清拭材としての機能を最大限に発揮することができる。
本発明の清拭用不織布は、ウェット状、ドライ状のいずれの状態でも使用可能であり、眼鏡、OA機器、家具、自動車などのガラス製品、セラミック製品、プラスチック製品、金属製品など対物の清掃、拭き取り、または磁気記憶媒体などの磁性体面、半導体面、精密ガラスレンズなどの精密機器類、自動車のボディーなどの塗装面、浴室、トイレ、台所、床、陶器、ホーロー、銅製品などの研磨、あるいは皮脂、化粧品、その他の汚れの付着した肌など対人の清掃、拭き取りに好適である。
Claims (8)
- 親水性繊維を50重量%以上含有する親水性繊維層の少なくとも一方の面に、分割型複合繊維を50重量%以上含有する極細繊維層を配し、高圧流体流により三次元的に絡合し一体化されてなる複合不織布であって、該親水性繊維層を構成する繊維の平均繊維長(Lh)が20mm未満であり、かつ極細繊維層は、分割型複合繊維が分割された極細繊維を含み、構成する繊維の平均繊維長(Ls)が30〜100mmであり、かつ極細繊維層/親水性繊維層における平均繊維長の比( Ls / Lh )が3〜60であることを特徴とする清拭用不織布。
- 極細繊維層/親水性繊維層における目付の比(Ws/Wh)が0.8を超えることを特徴とする請求項1に記載の清拭用不織布。
- 極細繊維層における一方の面の目付が15〜35g/m2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の清拭用不織布。
- 親水性繊維が平均繊維長10mm未満のパルプ繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の清拭用不織布。
- 極細繊維層が親水性繊維層の両面に配されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の清拭用不織布。
- 複合不織布に湿潤成分が不織布100重量部に対して100〜350重量部含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の清拭用不織布。
- 複合不織布に研磨剤が不織布100重量部に対して5〜100重量部含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の清拭用不織布。
- 親水性繊維を50重量%以上含有し、構成繊維の平均繊維長( Lh )が20 mm 未満である、親水性繊維層の少なくとも一方の面に、分割型複合繊維を50重量%以上含有し、構成繊維の平均繊維長( Ls )が30〜100 mm である極細繊維層を配し、かつ極細繊維層/親水性繊維層における平均繊維長の比( Ls / Lh )が3〜60となるようにし、高圧流体流により三次元的に絡合させ、一体化させるとともに、分割型複合繊維を分割させて極細繊維を含む極細繊維層とする複合不織布であることを特徴とする、清拭用不織布の製造方法。
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