JP3139215B2 - パルプ複合シート - Google Patents

パルプ複合シート

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JP3139215B2
JP3139215B2 JP05128655A JP12865593A JP3139215B2 JP 3139215 B2 JP3139215 B2 JP 3139215B2 JP 05128655 A JP05128655 A JP 05128655A JP 12865593 A JP12865593 A JP 12865593A JP 3139215 B2 JP3139215 B2 JP 3139215B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使い捨て手拭き、ウェ
ットティシュ、ワイパー、使い捨て雑巾等のいわゆる拭
き布として使用されるパルプ複合シートに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、使い捨て手拭き等の拭き布と
して、パルプ繊維をかさ高に集積してなる水や薬液等を
しみ込ませたものが使用されている。しかし、乾式パル
プシートは、水や薬液等をしみ込ませた後の湿潤強度が
低く、使用中に破れやすいという欠点があった。
【0003】一方、親水性繊維であるレーヨン繊維を集
積した後、レーヨン繊維相互間をゴム系結合剤で結合し
た不織布に水等をしみ込ませたものも使用されている。
この拭き布は、レーヨン繊維相互間が結合されているの
で、高い湿潤強度を示すものである。しかし、拭き布に
ゴム系結合剤が含有されているため、異臭がするという
欠点があった。また、ゴム系結合剤のざらざらとした手
触りのため、拭き布の使用感が悪いという欠点もあっ
た。このため、ゴム系結合剤を使用せずに、レーヨン繊
維相互間を結合させた不織布を使用するという試みも行
われている。この場合、レーヨン繊維相互間の結合に
は、レーヨン繊維が集積された不織布に水柱流を施すこ
とが考えられる。しかしながら、レーヨン繊維からなる
不織布をいわゆる拭き布として使用する場合、以下に示
すような致命的な欠点があった。即ち、レーヨン繊維は
親水性の不織布であるために、水を吸収して膨潤し、そ
の剛性が極端に低下するということがあった。そして、
剛性の低下によって、手指で把持したときの反発力が低
下し、いわゆる拭き布として使用する際、使用しにくい
ということがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、本発明者等
は、親水性のレーヨン繊維ではなく、ポリプロピレン繊
維やポリエステル繊維等の疎水性の繊維を使用して不織
布シートを製造することを試みた。しかしながら、疎水
性の長繊維単独よりなる不織布シートは、十分な吸水性
を持たないため、水等の液体をしみ込まして使用するこ
とができず、また水等の液体を拭き取ることもできなか
った。そこで、疎水性の長繊維が集積されてなる不織布
に、レーヨン繊維よりなる不織布を積層し、不織布複合
シートとすることを試みた。しかし、この場合には、レ
ーヨン繊維よりなる不織布が積層された面のみが吸水性
で、他面(レーヨン繊維よりなる不織布が積層されてい
ない面)は吸水性がほとんどなく、いわゆる拭き布とし
て使用できなかった。このため、疎水性長繊維が集積さ
れてなる不織布の両面に、レーヨン繊維からなる不織布
を複合することも考えられるが、このような三層積層物
は厚みが厚くなって、柔軟性が極端に低下し、拭き布と
して使用しにくいということがあった。
【0005】このため、疎水性長繊維よりなる不織布の
両面に紙シートを積層し、この積層物の表裏面に水柱流
を施すことによって、パルプ複合シートを製造すること
も考えられる。しかしながら、この方法は積層工程及び
水柱流処理工程が煩雑になるということがあった。更
に、水柱流処理が不十分であると、パルプ繊維と疎水性
長繊維との絡合が十分でなく、いわゆる拭き布として使
用する際に、紙シートが剥離しやすかったり、或いはパ
ルプ繊維が表面にだけ偏在しているため水等の液体の吸
水性が悪く、液体の拭き取り性が非常に劣っていた。ま
た、濡らして拭き布として使用するウェットティシュ等
の場合、液体の吸水性が劣っていると、濡らした拭き布
が簡単に乾燥してしまい、拭き取り性が非常に劣ってい
るということがあった。
【0006】そこで、本発明は、全く水を吸収しない疎
水性長繊維よりなる長繊維不織布と紙シートとを積層し
た積層体に、一定の条件で高圧水柱流を施すことによ
り、紙シートが積層していない、長繊維不織布の面にも
パルプ繊維が露出するようにすると共に、疎水性長繊維
とパルプ繊維とを緊密に絡合させ、紙シートと疎水性長
繊維が剥離することなしに、いわゆる拭き布として使用
した場合、紙シート単独よりも水の吸収性が優れ、拭き
布の両面における吸水性、拭き取り性が良好で、且つ吸
水後においても剛性の低下が少なく、使用中の取扱いに
も優れたパルプ複合シートを提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は多数の疎
水性長繊維が集積されてなる長繊維不織布と、多数のパ
ルプ繊維よりなる紙シートとが、紙シート側から高圧水
柱流により積層されると共に、該疎水性長繊維と該パル
プ繊維とは相互に緊密に絡み合った該パルプ複合シート
であり、該パルプ複合シートを構成するパルプ繊維の構
成成分が60〜69重量%であるパルプ繊維主体のパル
プ複合シートにおいて、JIS P8141に示される
紙のクレム法による縦方向の水吸水高さが30〜70m
m/分の範囲にあることを特徴とするパルプ複合シート
に関するものである。
【0008】本発明によるパルプ複合シートは、多数の
疎水性長繊維が集積されてなる長繊維不織布と、多数の
パルプ繊維よりなる紙シートとが積層され、該パルプ複
合シートを構成するパルプ繊維の構成成分が60重量%
以上のものである。長繊維不織布を構成している疎水性
長繊維としては、従来公知のものであれば、任意に使用
することができる。例えば、ナイロン等のポリアミド系
長繊維、アクリル系長繊維、ポリプロピレンやポリエチ
レン等のポリオレフィン系長繊維、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル系長繊維、ポリウレタン系長
繊維等を、単独でまたは混合して使用することも、或い
は製造時に原料となる樹脂を紡糸時に、複数の樹脂を、
または同じ樹脂でも分子量や分子量分布の異なる樹脂を
同時に紡糸して一本の繊維とする複合繊維を使用するこ
とも可能である。本発明において、長繊維を使用する理
由は、長繊維は短繊維よりも繊維間が絡合している場
合、引張り強度や形態安定性に優れているからである。
更に長繊維の場合、高圧水柱流を施しても、水柱流と共
に流失しにくく、水柱流で疎水性長繊維の間にパルプ繊
維が交絡しやすいからである。
【0009】また、疎水性長繊維の繊度は、1〜10デ
ニールであるのが好ましく、より好ましくは1〜4デニ
ールである。疎水性長繊維の繊度が10デニールを越え
ると、疎水性長繊維の曲げ剛性が高くなりすぎて、いわ
ゆる拭き布として使用した場合の柔軟性が低下する傾向
が生じ、また疎水性長繊維不織布の坪量が30g/m2
以下の場合に繊度が太いため繊維が存在していない空隙
が大きく且つ多くなる傾向のため、紙シートを積層して
高圧水柱流を施した際にその空隙部分よりパルプ繊維が
過剰に高圧水柱流と共に流失してしまうということが生
じる。逆に、疎水性長繊維の繊度が1デニール未満にな
ると、疎水性長繊維の製造条件が厳密になって、疎水性
長繊維を高速度で製造しにくくなり、紙シートと積層し
て高圧水柱流を施してパルプ複合シートとして水で濡ら
して使用する際に、剛性が低くなりやすいという傾向が
ある。
【0010】また、長繊維不織布の坪量は、5〜30g
/m2であるのが好ましい。長繊維不織布の坪量が30
g/m2を越えると、紙シートと長繊維不織布の積層体
に、紙シート側から長繊維不織布側に向けて高圧水柱流
を施しても、紙シートを構成するパルプ繊維が、長繊維
不織布の裏面(紙シートと積層していない面即ち非積層
面)に移動しにくくなり、得られる不織布複合シートの
片面にのみパルプ繊維が偏在した状態となって、パルプ
繊維の少ない長繊維不織布の非積層面における吸水性が
低下する傾向が生じる。逆に長繊維不織布の坪量が5g
/m2未満になると、長繊維不織布の形態安定性が低下
し、得られるパルプ複合シートの湿潤強度が低下する傾
向が生じる。更に、疎水性長繊維相互間の空隙が大きく
なって、高圧水柱流を施したときに、その空隙から多量
のパルプ繊維が流失してしまい、使用後の高圧水柱流を
回収した場合に、その中にパルプ繊維が大量に混入す
る。なお、本発明において使用する長繊維不織布は、疎
水性長繊維相互間が自己融着した、いわゆるスパンボン
ド不織布であってもよいし、また疎水性長繊維相互間が
結合していないフリース状の長繊維不織布であってもよ
い。
【0011】本発明において用いる紙シートを構成する
パルプ繊維としては、従来公知のパルプ繊維を任意に使
用することができる。例えば、針葉樹または広葉樹木材
をクラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルフ
ァイド法等で処理した化学パルプ繊維、またはリファイ
ナーやグラインダー等で処理した機械パルプ繊維を使用
することができる。また、このパルプ繊維は晒しパルプ
繊維として使用してもよいし、未晒しパルプ繊維のまま
で使用してもよい。また、以上のパルプ繊維を単独で使
用してもよいし、混合して使用してもよい。針葉樹パル
プ繊維と広葉樹パルプ繊維とを混合して使用する場合に
は、針葉樹パルプ繊維/広葉樹パルプ繊維=100/0
〜20/80、好ましくは100/0〜40/60の範
囲であるのが好ましい。広葉樹パルプ繊維の混合比が8
0重量%を越えると、広葉樹パルプ繊維は針葉樹パルプ
繊維に比べて、疎水性長繊維と交絡しにくいため、高圧
水柱流によって作製したパルプ複合シートの表面強度が
低下する傾向にある。
【0012】また、多数のパルプ繊維よりなる紙シート
としては、坪量が、JIS P 8124に示された方
法で測定して、10〜120g/m2が好ましい。紙シ
ートの坪量が10g/m2未満であると、パルプ繊維の
絶対量が少なく、得られるパルプ複合シートに十分な吸
水性や保水性を与えにくくなるという傾向が生じる。逆
に、紙シートの坪量が120g/m2を越えると、パル
プの繊維の絶対量が多すぎて、紙シートに高圧水柱流を
施しても、一個一個のパルプ繊維に疎水性長繊維と絡合
いしうる程度の運動量を与えにくくなる傾向が生じる。
更に、パルプ繊維の絶対量が多すぎて、得られるパルプ
複合シートの柔軟性が低下する傾向が生じる。また、紙
シートの密度は、JIS P 8118に示された方法
で測定して、0.6g/cm3 以下であるのが好まし
い。紙シートの密度が0.6g/cm3 を越えると、紙
シートに高圧水柱流を施しても、パルプ繊維の運動が抑
制されて、疎水性長繊維とパルプ繊維とが交絡しにくく
なる傾向が生じる。また、用いる紙シートのJIS P
8141による紙のクレム法による吸水度は、縦方向
と横方向共に水吸水高さが10mm/分以上であるのが
好ましく、10mm/分未満であると、パルプ複合シー
トを用いて水等の液体を取り去るのに拭き残りが生じた
り、水等を浸して、いわゆるウェットティシュとして使
用する場合、濡れ性が不良であったり、水等が不均一に
濡れていたり、乾燥しやすいという問題が生じる。
【0013】以上説明した長繊維不織布と紙シートと
は、積層されて高圧水柱流を施してパルプ複合シートと
なる。この高圧水柱流は、微細な直径のノズル孔を通し
て、高圧で水を噴出させて得られるものである。例え
ば、孔径0.01〜0.4mm程度のノズル孔を通し
て、30〜150Kg/cm2程度の圧力で水を噴出さ
せて得られるものである。この高圧水柱流を、紙シート
側から疎水性長繊維不織布側に貫通するようにして行う
と、高圧水柱流はまず紙シートに衝突する。そして、紙
シートが疎水性長繊維にセットされ、次いでセットされ
た状態で紙シートの破壊が生じる。この破壊によってパ
ルプ繊維に曲げやねじれ等の変形を起こさせると共に、
パルプ繊維に運動エネルギーを十分に与え、このパルプ
繊維にランダムな運動を生じさせる。その結果、これら
の複合作用によって、パルプ繊維と疎水性長繊維とが絡
み合い、更に、この疎水性長繊維同士も絡合することに
なる。このようにして、親水性であるパルプ繊維が疎水
性長繊維の中へ密に絡み合うことにより、水が毛細管現
象によりパルプ複合シートへ吸収されるようになるので
ある。
【0014】このパルプ複合シート中における、長繊維
とパルプ繊維の重量比はパルプ繊維が60重量%以上で
あることが好ましい。このパルプ複合シート中における
パルプ繊維が60重量%未満であると、親水性であるパ
ルプ繊維が、疎水性長繊維の中に絡合いしても十分な吸
水性が得られず、いわゆる拭き布として使用する場合
に、液体等の拭き取り性に劣り、また濡らして使用する
場合にも親水性であるパルプ繊維が不足しているため、
表裏で濡れ性に差が生じやすく、保水性、および拭き取
り性がムラに生じやすい。また、高圧水柱流を施した後
のパルプ複合シートのパルプ繊維の構成比率は、高圧水
柱流を施す前の紙シートの坪量と疎水性不織布の坪量を
合わせた重量中のパルプ繊維の構成比率より一般的に低
くなる。疎水性長繊維不織布より、パルプ繊維のほうが
高圧水柱流によって流失しやすいため、高圧水柱流を施
した後の方が、パルプ繊維の構成比率が低くなる傾向に
ある。パルプ複合シート中のパルプ構成比率の測定は、
セルロース分解酵素(Cellulase T.C.,
生化学工業製)を用いて、パルプを溶解させて測定する
ことができる。
【0015】本発明によるパルプ複合シートは、以上の
ようにして製造されるものであり、疎水性長繊維不織布
と紙シートとが積層されると共に、疎水性長繊維不織布
を構成する疎水性長繊維と紙シートを構成するパルプ繊
維とが相互に絡合しているものであって、該パルプ複合
シートを構成するパルプ繊維の構成成分が60〜69重
量%のものにおいて、JIS P 8141に示される
紙のクレム法による吸水度試験方法で測定した縦方向の
水吸水高さが30〜70mm/分の範囲にあるものであ
る。ここで紙のクレム法による吸水度試験における縦方
向の試料採取方向は、製造時の進行方向を長手方向とし
て採取する。該パルプ複合シートの紙のクレム法による
吸水度試験方法で測定した縦方向の水吸水高さが30m
m/分未満であると、いわゆる拭き布として使用した場
合に水等の液体を拭き取る吸水性、および水等を浸して
ウェットティシュとして使用する場合に保水性等に劣
り、拭き布としては好ましくはない。また、水吸水高さ
が70mm/分を越えるものであると、吸水性には優れ
ているものの、ウェットティシュ等として手や物を拭い
たときに過剰の水分が残り、不快感を与え、かつ水等の
液体を拭き取る際に手に軽く力を込めて持つだけで水等
の液体が滴り落ちる傾向が見られる。
【0016】以上のようなパルプ複合シートは、いわゆ
る拭き布として、或いは所望に応じて、水やエチレング
リコール、プロピレングリコールとうの湿潤剤、アルコ
ール類やパラ安息香酸等の抗菌剤、防黴剤、香料等の薬
剤等が付与されて、ウェットティシュ、赤ちゃんのお尻
拭き、使い捨て手拭き、ワイパー、使い捨て雑巾等とし
て使用される物である。
【0017】
【0018】
【0019】
【実施例】 実施例3 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着区域を
多数持つ疎水性長繊維不織布を準備した。この長繊維不
織布を構成するポリプロピレン長繊維の繊度は、3.0
デニールであり、長繊維不織布の坪量は、23g/m2
であった。また、針葉樹晒しクラフトパルプ繊維を湿式
抄紙して得られた、JIS P 8124に示された方
法で測定した坪量55g/m 2 の紙シートを用意した。
この坪量55g/m2のパルプ繊維よりなる紙シートと
前記長繊維不織布を、この紙シートが上に位置し、長繊
維不織布が下に位置するように積層し、移送コンベア上
に載せた。この移送コンベアで積層体を移送させなが
ら、孔径0.15mmのノズル孔が、10個/cmの間
隔で並んでいる高圧水柱流噴出装置を用いて、90Kg
/cm2の水圧で高圧水柱流を噴出させ、紙シートの表
面から長繊維不織布の背面に貫通するようにして噴出さ
せた。以上のようにして紙シートを構成しているパルプ
繊維と、長繊維不織布を構成しているポリプロピレン長
繊維とが交絡して、パルプ繊維が68重量%のパルプ繊
維主体のパルプ複合シートが得られた。得られたパルプ
複合シートを、JIS P 8141に示される紙のク
レム法による吸水度試験方法で測定した結果、縦方向の
水吸水高さは35mm/分であった。
【0020】
【0021】
【0022】比較例1 高圧水柱流の水圧を15Kg/cm2 とした以外は、実
施例2と同様な方法でパルプ複合シートを得た。得られ
たパルプ繊維が82重量%のパルプ繊維主体のパルプ複
合シートを、JIS P 8141に示される紙のクレ
ム法による吸水度試験方法で測定した結果、縦方向の水
吸水高さは20mm/分であった。
【0023】比較例2 高圧水柱流の水圧を15Kg/cm2 とした以外は、実
施例3と同様な方法でパルプ複合シートを得た。得られ
たパルプ繊維が70重量%のパルプ繊維主体のパルプ複
合シートを、JIS P 8141に示される紙のクレ
ム法による吸水度試験方法で測定した結果、縦方向の水
吸水高さは24mm/分であった。
【0024】比較例3 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着区域を
多数持つ疎水性長繊維不織布を準備した。この長繊維不
織布を構成するポリプロピレン長繊維の繊度は、8デニ
ールであり、長繊維不織布の坪量は、50g/m2であ
った。実施例1で用いた坪量42g/m2のパルプ繊維
よりなる紙シートと長繊維不織布を、この紙シートが上
に位置し、長繊維不織布が下に位置するように積層し、
移送コンベア上に載せた。この移送コンベアで積層体を
移送させながら、孔径0.15mmのノズル孔が、10
個/cmの間隔で並んでいる高圧水柱流噴出装置を用い
て、50Kg/cm2 の水圧で高圧水柱流を噴出させ、
紙シートの表面から長繊維不織布の背面に貫通するよう
にして噴出させた。以上のようにして紙シートを構成し
ているパルプ繊維と、長繊維不織布を構成しているポリ
プロピレン長繊維とが交絡したが、裏面に抜けているパ
ルプ繊維は非常に少なく、パルプ繊維が40重量%のパ
ルプ繊維主体のパルプ複合シートが得られた。得られた
パルプ複合シートを、JIS P 8141に示される
紙のクレム法による吸水度試験方法で測定した結果、縦
方向の水吸水高さは12mm/分であった。実施例1〜
5及び比較例1〜3によるパルプ複合シートを、いわゆ
る拭き布として、下記のテストに供し、その品質を評価
した。その結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】物性の評価方法: 1)表面性:パルプ複合シートを濡らした際に、表裏差
があるかどうかを官能評価によって判定した。官能評価
は、次の5段階で行った。5…表裏差は全く感じられな
く、表裏共に濡れ性は良好である。4…長繊維側の方が
若干濡れ性に劣っている。3…長繊維側の濡れ性が悪
い。2…長繊維不織布側が所々しか濡れていない。1…
表裏差が明らかに判り、長繊維不織布側が全く濡れてい
ない。 2)吸水性:パルプ複合シートを拭き布として、長繊維
側の水の吸水性を官能評価によって判定した。官能評価
は次の5段階で行った。5…極めて速やかに水を吸収し
た。4…速やかに水を吸収した。3…吸水性は普通であ
った。2…ゆっくりと水を吸収した。1…水をほとんど
吸収しない。 3)拭き取り性:パルプ複合シートを水に濡らした後、
軽く絞った状態で、長繊維不織布側で机に付いた水飴の
拭き取り性を官能で評価した。官能評価は次の5段階で
行った。5…拭き取り性は極めて優れている。4…拭き
取り性は優れている。3…やや力を込めて拭けば、拭き
取れた。2…余り濡れていないため、拭き取り性はやや
不良である。1…ほとんど濡れていないため、パルプ複
合シートが水飴に接着し、机の水飴が広がった。
【0027】表1の結果から明らかなように、実施例1
〜5のパルプ複合シートに比べて、比較例1〜3のパル
プ複合シートは、疎水性長繊維とパルプ繊維が十分に交
絡していないため、吸水性に劣るものであった。また疎
水性長繊維不織布が紙シートと積層していない面におけ
るパルプ繊維の露出割合が少ないため、表裏差が明らか
に判り、あるいは水飴が完全に拭き取れないという、濡
れ性、表面性、拭き取り性に劣るものであった。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、全く水
を吸収しない疎水性長繊維よりなる長繊維不織布と紙シ
ートとを積層した積層体に、一定の条件で高圧水柱流を
施すことにより、紙シートが積層していない、長繊維不
織布の面にもパルプ繊維が露出するようにすると共に、
疎水性長繊維とパルプ繊維とを緊密に絡合させ、紙シー
トと疎水性長繊維が剥離することなしに、いわゆる拭き
布として使用した場合、紙シート単独よりも水の吸収性
が優れ、拭き布の両面における吸水性、拭き取り性が良
好で、且つ吸水後においても剛性の低下が少なく、使用
中の取扱いにも優れたパルプ複合シートを提供しようと
するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 B32B 1/00 - 35/00 EPAT(QUESTEL) WPI/L(QUESTEL)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の長繊維が集積されてなる長繊維不
    織布と、木材パルプからなる紙シートを積層した後、紙
    シート側から高圧水柱流を施すことにより絡合一体化し
    て作製されたパルプ複合シートであって、該パルプ複合
    シートを構成するパルプ繊維の構成成分が60〜69重
    量%であるパルプ繊維主体のパルプ複合シートにおい
    て、JIS P 8141に示される紙のクレム法によ
    る吸水度試験方法で測定した縦方向の水吸水高さが30
    〜70mm/分の範囲にあることを特徴とするパルプ複
    合シート。
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