JP7121619B2 - 複合不織布を用いたウエットティシューおよび複合不織布の製造方法 - Google Patents
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そして、近年にあって、必要とする強度やコスト低減を重視することから、特許文献1などで開示する技術で製造されるスパンボンド不織布とパルプ繊維ウエブとからなる複合不織布を原反として使用するウエットティシューも提供されるようになっている。
これに対して、スパンボンド不織布とパルプ繊維ウエブとによる複合不織布は製造コストを抑制でき、スパンボンド不織布による強度を確保し易いので好ましいが、一方、スパンボンド不織布は親油性繊維であるため、保水性が期待できない。これをウエットティシューの原反として使用する場合に、ウエットティシューに基本的に求められる、保水性や湿潤強度と共に、外観、風合い、拭取り性などについて改善の余地がある。更に、リント(発塵)の発生が少ないウエットティシューに設計できれば、より好ましい製品としてユーザに提供できる。
よって、本発明の目的は、スパンボンド不織布とパルプ繊維ウエブとによる複合不織布を原反として使用して製造コストを抑え、保水性や湿潤強度と共に、外観、風合い、拭取り性なども改善されているウエットティシューを提供することにある。
ウエブの搬送方向TDで、これらの装置2、3、4より下流には、上流側から順に、水流交絡処理を行うためのウォータジェットを噴射する水流交絡装置5、サクション装置6、乾燥装置7が配置されている。上記乾燥装置7の下流には連続して製造される不織布WPを巻き取るための巻取装置8が更に設けてある。
上記積層位置24の下側にはサクション装置4が対向配備してある。より詳細には、サクション装置4は装置本体41の上面にサクション部42を有しており、サクション部42が上記パルプ繊維ウエブPFWに吸引力(負圧)を作用させるべく積層位置24に対して設定してある。
なお、図1では、エアレイドホッパ23とサクション装置本体41とを1つずつ一段での配置として、パルプ繊維ウエブPFWを形成する場合を例示している。しかし、これに限らず、上記パルプ繊維ウエブPFWの目付(坪量)や製造速度に応じて、上記エアレイドホッパ23とサクション装置本体41を2つ以上の多段とする配置に変更してもよい。
搬送ワイヤ43はサクション部42の吸引力が、反対側(上側)に及ぶような目開き形態(メッシュ)で形成されている。
そこで、本製造装置1では、予備的積層体PWebを上下から挟んでスパンボンド不織布SW上でのパルプ繊維ウエブPFWの載置状態を安定化させる為の挟持ローラ28、そして水流交絡装置5の上流側に繊維飛散防止用に水分を付与するプレウエット装置30が配備してある。プレウエット装置30は、好適には、予備的積層体PWebの上方からウォータミストを吹き付ける噴霧ノズル31と予備的積層体PWebの下側(すなわち、パルプ繊維ウエブPFWの下面)から吸引力を印加するサクション装置32とを含んで構成されている。
水流交絡処理を行うのに十分な、ウォータジェットヘッド51とサクション装置52とのセット数が確保されている水流交絡装置5の場合、上記のように先頭のウォータジェットヘッド51とサクション装置52をプレウエット装置として活用することは、装置設備コストの抑制に効果的である。
図1で例示的に示している水流交絡装置5は、搬送方向TDに沿って多段(図1では例示しているのは4段)にウォータジェットヘッド51が配置されている。
なお、図1では、搬送方向TDに対して直角な方向(ウエブの幅方向)において延在しているウォータジェットヘッド51に設けたノズルの様子は図示していないが、幅方向において複数のウォータジェットノズルが適宜の位置に配置してある。このウォータジェットノズルの穴直径φは、好ましくは0.06~0.15mm、より好ましくは0.10~0.12mmである。また、ウォータジェットノズルの間隔は0.4~1.0mmとするのが好ましい。
化が促進される。
よって、搬送ワイヤ55上を搬送される予備的積層体PWebは、搬送方向TDで下流に向かう程に、より多くの水流交絡処理を受けることになり、水流交絡装置5を出るときには上側のパルプ繊維ウエブPFW層と下側のスパンボンド不織布SW層との十分な交絡処理が実現される。
水流交絡装置5を出た直後の不織布にあっては、ウエット状態にあり、パルプ繊維同士などの結合は十分に確立されてはいない。
サクション装置6は、例えばバキューム式で水流交絡後の不織布を脱水する。乾燥装置7は非圧縮型のドライヤ、好適にエアスルードライヤを採用することが好ましい。図1で、エアスルードライヤの回転可能なドライヤ本体71は筒状体であり、その周表面には多数の貫通孔が設けてあり、図示しない熱源で加熱された熱風がドライヤ本体の外周から中心部側に向かって吸い込む構成とするのがよい。
このように連続的に製造される複合不織布WPは巻取装置8のロール81に巻取られて一連の工程が完了する。
まず、上記パルプ繊維ウエブPFWについては坪量15g/m2以上とされている。これによりウエットティシューの原反として用いる複合不織布に求められる十分な保水性能力が確保される。
そして、上記スパンボンド不織布SWについては坪量8g/m2以上とされている。これによりウエットティシューの原反として用いる複合不織布に求められる十分な湿潤強度を確保できる。
なお、スパンボンド不織布SWとパルプ繊維ウエブPFWとの質量構成比である、スパンボンド不織布/前記パルプ繊維ウエブは15/85~50/50(wt%)の範囲にしておくのが好ましい。
紡糸された直後のスパンボンド繊維は繊維の流れ方向(縦方向)MDでは伸び率が小さく、強度が高く、これに対して横方向CDでは伸び率が大きく、強度が低いという、製造由来の特性がある。これでは縦横方向での強度がアンバランスになるので、結果としてウエットティシューの強度低下を招くことになる。そこで、上記複合不織布におけるスパンボンド不織布では、低負荷時(0.5N)における、横方向での伸び率を5%以下、より好ましくは2%以下であるものが好ましい。これはスパンボンド不織布を製造する際に実施される熱融着処理で、熱融着点の配置を調整することで横方向の伸び率を抑制したスパンボンド不織布を得ることができる。
湿潤テーバ試験は、JIS L 1096に規定されたテーバ試験機を用いて、回転する水平円盤に水で湿潤させた試料を取り付けて、砥粒結合体で成形された一対の摩擦輪(H-18)を規定荷重(4.9N)のもとに加えて、耐摩耗性を調べた。判定は、摩耗によるシートの穴が13mmとなるまでの円盤の回転数で判定した。この回転数が20回以上となる複合不織布WPをウエットティシューの原反とした。
エンボス装置EAは、例えばパルプ繊維ウエブPFW側に接触するエンボスロールと反対側のプレーンロールとを備えている。エンボスロールの外周面にはパルプ繊維ウエブPFWに形成する凹凸部パターンが刻設してあり、内部にヒータなどの加熱手段が配設されている。一方、プレーンロールは外周面が平坦に形成され、エンボスロールと同様に加熱手段を配設している。このようにパルプ繊維ウエブ側への片面エンボス処理を施すようにすると、前述したリントの発生を抑止でき、拭取り性や風合いが向上した不織布を形成できる。
望ましくはエンボスロール、プレーンロール間は20~70kgf/cmの線圧で圧接し、エンボスロールの凹凸パターンについて、ドット要素を点在したパターンで押し込み、その押込み面積率を5~17%とするのが望ましい。或いは、ドット要素に替えて、中抜き環形状要素を点在したパターンで押し込み、その押込み面積率を10~30%かつ環状パターンの線幅を0.5~2.0mmとするのが望ましい。
なお、上述したように図1の不織布製造装置に追加でエンボス装置EAを設けるのがコスト面からは好ましいが、いったん複合不織布WPをロール81に巻き取り、別に設けたエンボス装置EAでオフラインによりエンボス処理するようにしてもよい。
また、スパンボンド不織布を構成する合成繊維としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等から選択することができ、ポリプロピレンを用いるのが好ましい。
図2に示したウエットティシューは前述した複合不織布を原反として使用して、例えば以下で示す薬液等を用いて製造される。なお、複合不織布を原反として準備し、これを折り畳む工程、薬液を不織布に含侵させる工程、切断する工程などを経て、最後に包装して図2に示す製品パッケージPGの形態に仕上げるウエットティシューの製造装置は公知のものを使用すればよい。
以下では、使用する薬液等について具体的に例示する。
薬液を原反の乾燥重量に対して、200~500wt%以下の割合で含浸させてウエットティシューを製造した。原反の保水量(TWA:Total Water Absorbency)は、8.0g/g以上14.0g/g以下であった。
この他、薬液には、医薬部外品及び化粧品等に一般的に用いられる各種成分、例えば、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、ゲル化剤、乳化剤、増粘剤、pH調整剤、金属封鎖剤、界面活性剤、安定化剤、変色防止剤、香料、着色剤等を適宜に配合してもよい。
そして、パルプ繊維ウエブ側にエンボス処理を更に施してある、複合不織布の原反を採用すればリントの発生を抑え、更に風合や拭取り性を向上させたウエットティシューとして提供できる。
また、図1に示した製造装置によれば、ウエットティシュー用の原反となる複合不織布を効率よく、低コストにて製造できる。
2 エアレイド装置
3 スパンボンド不織布供給装置
4 サクション装置
5 水流交絡装置
6 サクション装置
7 乾燥装置
8 巻取装置
21 解繊機
22 ダクト
23 エアレイドホッパ
24 積層位置
28 挟持ローラ
30 プレウエット装置
31 噴霧ノズル
32 サクション装置
41 サクション装置本体
42 サクション部
43 搬送ワイヤ
51 ウォータジェットヘッド
52 サクション装置
55 搬送ワイヤ
SW スパンボンド不織布
MD 繊維流れ方向(縦方向)
CD 横方向
PF パルプ繊維
PFW パルプ繊維ウエブ
PWeb 予備的積層体(積層ウエブ)
WP 複合不織布
TD 搬送方向
Claims (3)
- スパンボンド不織布とパルプ繊維ウエブとを水流交絡して得た複合不織布を原反としているウエットティシューにおいて、
前記パルプ繊維ウエブは坪量15g/m2以上、且つ、前記スパンボンド不織布は坪量8g/m2以上であって、スパンボンド不織布/パルプ繊維ウエブの質量構成比が15/85~50/50(wt%)であり、
前記スパンボンド不織布を構成している樹脂繊維の繊維径は0.6~5.6デシテックスであり、
前記スパンボンド不織布は繊維流れ方向に対して直角な横方向に0.5Nの負荷を作用させたときの前記横方向における伸び率が5%以下に形成してあり、
更に、JISで規定されている湿潤テーバ試験で20回以上の耐摩耗性を備えている、ことを特徴とするウエットティシュー。 - 前記スパンボンド不織布上に前記パルプ繊維ウエブが積層されている形態である前記複合不織布の、前記パルプ繊維ウエブ側にエンボス処理が施されている、ことを特徴とする請求項1に記載のウエットティシュー。
- 請求項1または2に記載のウエットティシューの原反として用いる複合不織布を製造する方法であって、
前記スパンボンド不織布と前記パルプ繊維ウエブとを水流交絡処理する水流交絡工程を少なくも含み、
前記水流交絡工程でウォータジェットを噴射するウォータジェットノズルの穴直径φが0.06~0.15mmであり、
前記ウォータジェットノズルが不織布搬送方向に沿って3段以上で配置され、前記ウォータジェットの打込み圧が10MPa以上である、こと特徴とする複合不織布の製造方法。
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