JP2018090928A - スパンボンド不織布およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面が平滑であり、厚さ変化量が少なく、圧延油の吸収量と吸収性に優れ、金属薄板製造時の加工性に優れたスパンボンド不織布及びその製造方法の提供。【解決手段】熱可塑性繊維により構成され、表面に圧着部と非圧着部を有するスパンボンド不織布であって、熱可塑性繊維が、低融点重合体の周りに、前記の低融点重合体の融点よりも5〜140℃高い融点を有する高融点重合体を配してなる複合型繊維であり、且つ非圧着部において繊維断面の長軸長さをaとし、短軸長さをbとしたとき、繊維扁平度a/bが1.2〜5であるスパンボンド不織布。見掛密度が0.20〜0.60g/cm3の非圧着部を有し、低荷重時(荷重、2kPa)に対する高荷重時(荷重200kPa)の厚さの変化率が20%以下である、スパンボンド不織布。【選択図】なし

Description

本発明は、表面が平滑であり厚さ変化量が少なく、金属薄板製造時の加工性に優れた、金属表面保護材として好適に用いられるスパンボンド不織布とその製造方法に関するものである。
現在、多岐にわたる分野で不織布の特性や生産性が評価され、従来の紙、織物、編み物あるいはフィルム等が使用されている用途でも、不織布単体で代替したり、不織布を基材として樹脂等を塗布し、樹脂特性に応じた機能性や構造的な機能性を発現させることにより代替したりする取り組みが行われている。
このような取り組みの一例として、金属薄板製造時に用いられる表面保護材(金属表面保護材)が挙げられる。
銅、アルミニウムおよびステンレス等の金属薄板の厚さを薄くする圧延工程では、一方のリール上にコイル状に巻かれた金属薄板を、リール上から繰り出して圧延機で圧延し、その後、圧延された金属薄板を他方のリール上に再度コイル状に巻き付ける。一回の圧延パスが完了すると、次に金属薄板を逆方向に圧延しながら最初にリールに巻き戻される。このような往復圧延運動を繰り返すことにより、金属薄板が徐々に薄くなり、所定の厚さになると圧延工程が完了する。その後、所定の厚さに調整されたコイル状金属薄板は、洗浄、焼鈍、光輝および調質等の仕上げ工程を往復工程で行い、所定の表面特性が付与される。
前記の圧延工程および仕上げ工程においては、金属薄板をコイル状に巻き上げる際には、表面保護材を金属薄板と金属薄板の間に介在させて巻き取ることにより、金属薄板の表面に傷が発生することを防止し、また金属薄板を圧延機に繰り出す際には、その繰り出し繰り出しと同時に、表面保護材を回収してロール上に巻き取られる。
従来、このような圧延工程で用いられる表面保護材として、ポリエステル長繊維で構成され、エンボス圧着のみでポリエステル長繊維の脆化を抑制し、毛羽立ちがなく、十分な強度を有する不織布が提案されている。(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案は、エンボス圧着による部分的熱圧着処理が施された箇所は、不織布表面から熱圧着熱圧着処理が施された箇所の底部までの深さが25μm以上であることを特徴としているが、厚さの範囲が30〜400μmであり、厚さが30μmの場合では、熱圧着部分の非エンボスの厚さが5μm以下となり、十分な強度が得られないという課題があった。
また別に、特定の単繊維繊度を有し、 かつ特定の扁平断面を有する熱可塑性合成繊維を用いて、厚みが薄く高モジュラスであり、金属薄板の間に介在させてリール巻きする際の特性に優れ、かつ圧延工程のみならず表面仕上げ工程でも使用することができる不織布が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案は、繊維断面が偏平形状であり、厚さが薄いため、高温かつ高圧下で金属薄板を製造する圧延工程において、金属薄板および表面保護材の温度上昇や摩擦を抑制するために用いられる圧延油の吸収量が少なく、圧延条件によっては不織布が溶融するという課題があった。
特許第3408615号公報 特開2000−342941号公報
そこで本発明の目的は、表面が平滑であり厚さ変化量が少なく、かつ圧延油の吸収量と吸収性に優れたスパンボンド不織布とその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、表面が平滑であり厚さ変化量が少なく、金属薄板製造時の加工性に優れた金属表面保護材として好適に用いられるスパンボンド不織布を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明のスパンボンド不織布は、
熱可塑性繊維により構成され、表面に圧着部と非圧着部を有するスパンボンド不織布であって、前記の熱可塑性繊維が、低融点重合体の周りに、前記の低融点重合体の融点よりも5〜140℃高い融点を有する高融点重合体を配してなる複合型繊維であり、かつ前記の非圧着部において繊維断面の長軸長さをaとし、短軸長さをbとしたとき、繊維扁平度a/bが1.2〜5であることを特徴とするスパンボンド不織布。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記のスパンボンド不織布の見掛密度が0.20〜0.60g/cmの非圧着部を有し、低荷重時(荷重2kPa)に対する高荷重時(荷重200kPa)の厚さ変化量は0.00〜0.03mmである。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記のスパンボンド不織布のエンボス圧着率は、3〜40%である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記のスパンボンド不織布の熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂である。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法は、紡糸口金から、低融点重合体の周りに、前記の低融点重合体の融点よりも5〜140℃高い融点を有する高融点重合体を配してなる複合型繊維を押し出し後、得られた複合型繊維を高速吸引ガスにより吸引延伸し、移動するネットコンベア上に捕集して不織ウェブとし、得られた不織ウェブを、上下一対のフラットロールより、前記の不織ウェブの繊維表面を構成する最も低融点の熱可塑性樹脂の融点よりも60〜90℃低い温度で、かつ線圧98N/cm以上3920N/cm以下で熱圧着した後、少なくとも上下一方のロールが所定の凹凸パターンを有するエンボスロールにより、繊維表面を構成する最も低融点の熱可塑性樹脂の融点よりも5〜30℃低い温度で、かつ線圧196N/cm以上4900N/cm以下で熱圧着する工程を有することを特徴とするスパンボンド不織布の製造方法である。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法の好ましい態様によれば、前記のエンボス圧着率は、3〜40%である。
本発明により得られるスパンボンド不織布は、特に金属表面保護材用途のスパンボンド不織布として好適に用いられる。
本発明によれば、金属薄板製造時に用いられる表面保護材(金属表面保護材)とした場合、表面が平滑であり、厚さ変化量が少なく、十分な機械的強度を有し、かつ圧延油の吸収量と吸収性に優れることから、高速でコイル状に巻き付けられる金属薄板と金属薄板の間に介在させたときでも、その薄板に傷を発生させることがないスパンボンド不織布が得られる。
本発明の製造方法によれば、扁平形状の吐出孔からの紡出では得られない優れた曳糸性を得られ、かつ熱圧着によりスパンボンド不織布を構成する繊維を容易に扁平形状にすることができる。
本発明のスパンボンド不織布は、熱可塑性繊維により構成され、表面に圧着部と非圧着部を有するスパンボンド不織布であって、前記の熱可塑性繊維が、低融点重合体の周りに、前記の低融点重合体の融点よりも5〜140℃高い融点を有する高融点重合体を配してなる複合型繊維であり、かつ前記の非圧着部において繊維断面の長軸長さをaとし、短軸長さをbとしたとき、繊維扁平度a/bが1.2〜5であることを特徴とするスパンボンド不織布である。
本発明のスパンボンド不織布は、熱可塑性繊維により構成されたスパンボンド不織布であって、前記の熱可塑性繊維が、低融点重合体の周りに前記の低融点重合体の融点よりも5〜140℃高い融点を有する高融点重合体を配した複合型繊維であることが重要である。
上記の複合型繊維を構成する低融点重合体と高融点重合体との融点差は、5℃以上140℃以下である。融点差を5℃以上とし、好ましくは10℃以上とし、より好ましくは20℃以上とし、さらに好ましくは30℃以上とすることにより、熱ロールを用いた熱圧着時に丸形状に吐出された複合型繊維を容易に扁平形状に変形することができる。
一方、融点差を140℃以下とし、好ましくは120℃以下とし、より好ましくは100℃以下とすることにより、低融点重合体の熱劣化を抑制して生産性が低下することを抑制することができる。
本発明のスパンボンド不織布は、不織布を基材として樹脂等を塗布し、樹脂特性に応じた機能性や構造的な機能性を発現させることにより代替したりして、金属薄板製造時に用いられる表面保護材(金属表面保護材)として好適に用いられる。金属薄板製造時の圧延速度は通常100m/分程度であるが、圧延条件によっては1000m/分を超える場合があり、この時ときに発生する熱は180℃の温度に達成することがある。
このため、複合型繊維を構成する高融点重合体の融点は、200℃以上320℃以下であることが好ましい態様である。高融点重合体の融点を好ましくは200℃以上とし、より好ましくは220℃以上とし、さらに好ましくは240℃以上とすることにより、圧延時に熱が加わる工程を通過しても寸法安定性に優れ、耐久性に優れたスパンボンド用不織布とすることができる。一方、高融点重合体の融点を好ましくは320℃以下とし、より好ましくは300℃以下とし、さらに好ましくは280℃以下とすることにより、スパンボンド不織布製造時に溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下することを抑制することができる。
低融点重合体の周りにこの低融点重合体の融点よりも高い融点を有する高融点重合体を配した複合型繊維中に含まれる低融点重合体は、50質量%以上90質量%以下の範囲で含まれてなることが好ましい態様である。複合型繊維中に含まれる低融点重合体を好ましくは50質量%以上とし、より好ましくは70質量%以上とし、さらに好ましくは75質量%以上とすることにより、熱ロールを用いた熱圧着時に丸形状に吐出された複合型繊維を容易に扁平形状に変形することができる。
一方、複合型繊維中に含まれる低融点重合体を好ましくは90質量%以下とし、より好ましくは85質量%以下とし、さらに好ましくは80質量%以下とすることにより、低融点重合体の熱劣化を抑制して生産性が低下することを抑制することができる。
また、低融点重合体および高融点重合体の組み合わせ(低融点重合体/高融点重合体)としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸/ポリエチレンテレフタレート、および共重合ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート等の組み合わせを挙げることができる。また、ここに共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分としては、イソフタル酸等が好ましく用いられ、中でも特に、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートの組み合わせが好ましく用いられる。
複合型繊維の複合形態としては、効率的に熱ロールを用いた熱圧着時に吐出された複合繊維を容易に扁平形状に変形できるという観点から、例えば、同心芯鞘型および偏心芯鞘型の複合形態を挙げることができる。また、スパンボンド不織布を構成する複合型繊維の横断面形状としては、円形断面、楕円形断面、多角形断面、多葉断面および中空断面等の横断面形状を挙げることができる。中でも、複合型繊維の複合形態としては同心芯鞘型が好ましく、また複合型繊維の横断面形状としては、円形断面とすることが好ましい。このような複合形態とすることにより、複合型繊維を容易に扁平形状にすることができる。
本発明のスパンボンド不織布を構成する熱可塑性繊維に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、およびこれらの混合物や共重合体等を挙げることができる。中でも、繊維の曳糸性に優れており、かつ機械的強度、剛性、耐熱性、耐水性および耐薬品性等の特性に優れているという観点から、本発明で得られるスパンボンド不織布を構成する熱可塑性繊維は、ポリエステル系重合体からなるポリエステル繊維であることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂には、結晶核剤、艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、滑剤および親水剤等を添加することができる。
本発明で用いられるポリエステル系重合体は、酸成分とアルコール成分からなるポリエステルである。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸およびフタル酸等の芳香族カルボン酸、アジピン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコール等を用いることができる。
ポリエステル系重合体の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸およびポリブチレンサクシネート等が挙げられ、またこれらの共重合体を挙げることができ、中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
また、本発明においては、生分解性ポリマー(樹脂)も、使用後の廃棄が容易であり環境負荷が小さいことから、スパンボンド不織布を構成する繊維のポリマーとして用いることができる。生分解性樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸およびポリヒドロキシブチレート等が挙げられる。生分解性樹脂のなかでポリ乳酸は、石油資源を枯渇させない植物由来の樹脂であり、力学特性や耐熱性も比較的高く、製造コストの低い生分解性樹脂であることから好ましく用いられる。特に好ましく用いられるポリ乳酸としては、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体およびこれらのブレンド体が挙げられる。
本発明のスパンボンド不織布は、表面に圧着部と非圧着部を有する。圧着部と非圧着部については、後述する。
本発明のスパンボンド不織布は、非圧着部の繊維断面の長軸長さをaとし、短軸長さをbとするとき、繊維扁平度a/bが1.2〜5を満足することが重要である。繊維断面の長軸長さaとは、繊維軸方向から繊維断面を見たとき、繊維断面に外接するように引いた外接円の直径のことである。また、繊維断面の短軸長さbとは、上記の外接円と繊維外周との接点を結んだ直線(外接円の直径にあたる)に対し、鉛直に交わる方向に垂線を引くとき、その垂線が繊維断面を切り取る最大の長さのことである。
繊維扁平度を1.2以上とし、好ましくは1.5以上とし、より好ましくは1.7以上とすることにより、スパンボンド不織布表面の平滑性が得られ、繊維同士の接合面積が増大し、強固な繊維同士による接合効果が得られ、圧延工程での加工に耐えうる強度のスパンボンド不織布を得ることができる。また、部分熱接着されていない非圧着部でも厚みを低減することができるため、厚さを低減し、巻長を増大させることができる。
一方、繊維扁平度を5以下、好ましくは4以下とし、より好ましくは3以下とすることにより、適度な機械的強度と引裂強力を有し、圧延油の吸収量も確保することができる。
本発明のスパンボンド不織布は、見掛密度が好ましくは0.20〜0.60g/cmの非圧着部を有する。本発明において、圧着部とは、不織布の両面の繊維が凝集し、熱融着している部分を指し、また非圧着部とは、前記の圧着部以外の部分を指す。非圧着部は、少なくとも片面の繊維が熱融着していないため、圧着部と比較して単位面積あたりの不織布繊維の表面積が大きい。このことにより、非圧着部は、通気性を左右し、圧延油の吸収量と吸収性に影響する重要な部分である。
非圧着部の見掛密度を0.20g/cm以上とし、好ましくは0.25g/cm以上とし、より好ましくは0.30g/cm以上とすることにより、スパンボンド不織布の引裂強力や通気性を確保することができる。また、金属薄板製造時に用いられる表面保護材においては、毛羽立ちの抑制や圧延油の吸収量を確保し、金属薄板の表面傷を防ぐことができる。
また、非圧着部の見掛密度を好ましくは0.60g/cm以下とし、より好ましくは0.55g/cm以下とし、さらに好ましくは0.50g/cm以下とすることにより、機械的強度に優れまた外圧によって変形しにくいスパンボンド不織布とすることができる。
本発明のスパンボンド不織布は、低荷重時(荷重2kPa)に対する高荷重時(荷重200kPa)の厚さ変化率が好ましくは20%以下である。低荷重時(荷重2kPa)に対する高荷重時(荷重200kPa)の厚さ変化率は、0%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは0%以上17%以下であり、さらに好ましくは0%以上15%以下である。このようにすることにより、圧力がかかる環境下でもスパンボンド不織布の変形を少なくすることができる。また、金属薄板製造時に用いられる表面保護材の場合には、繰り返し使用時に巻形状が楕円状やタケノコ状になることを抑制することができる。
本発明のスパンボンド不織布は、上下一対のフラットロールにより、繊維表面を構成する最も低融点の熱可塑性樹脂の融点よりも60〜90℃低い温度で、かつ線圧98N/cm以上3920N/cm以下で熱圧着した後、少なくとも上下一方のロールが所定の凹凸パターンを有するエンボスロールにより、繊維表面を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも5〜30℃低い温度で、かつ線圧196N/cm以上4900N/cm以下で熱圧着する工程により製造される。
熱圧着に使用されるフラットロールとは、ロールの表面に凹凸のない金属製ロールや弾性ロールのことであり、金属製ロールと金属製ロールを対にしたり、金属製ロールと弾性ロールを対にしたりして用いることができる。ここで弾性ロールとは、金属製ロールと比較して弾性を有する材質からなるロールのことである。弾性ロールとしては、ペーパー、コットンおよびアラミドペーパー等のいわゆるペーパーロールや、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂および硬質ゴム等や、これらの混合物からなる樹脂製ロール等が挙げられる。
上記の熱圧着を行うロールの温度の好ましい範囲において、線圧を98N/cm以上3920N/cm以下の範囲で適宜調整することにより、非圧着部の繊維断面の繊維扁平度を1.2〜5とし、不織布の低荷重時(荷重2kPa)に対する高荷重時(荷重200kPa)の厚さ変化率が20%以下とすることができる。
本発明のスパンボンド不織布の部分的熱圧着率、すなわち圧着率は3〜40%であることが好ましい。圧着率を好ましくは3%以上とし、より好ましくは5%以上とし、さらに好ましくは10%以上とすることにより、スパンボンド不織布に十分な強度を付与し、また表面に毛羽立ちが発生することを抑制することができる。また、圧着率を好ましくは40%以下とし、より好ましくは35%以下とし、さらに好ましくは30%以下とすることにより、適度な機械的強度と引裂強力を有し、圧延油の吸収量も確保することができる。
圧着加工の方法としては、上下に所定のパターンの凹凸を有するエンボスロールを用いたり、上側または下側のみに所定のパターンの凹凸を有するエンボスロールを用い、もう一方の側にフラットロールを用いて熱圧着加工を施す方法や、超音波により熱融着させる方法が好ましく用いられる。
エンボスロールによる熱圧着加工を採用する場合には、上下両方のエンボスロールの凸部により加圧され、複合型繊維が凝集し融着している部分が圧着部となる。また、一方がフラットロールである場合には、上下片方のエンボスロールの凸部により加圧され、複合型繊維が凝集し融着している部分が圧着部となる。また、本発明における加工前の基材用不織布は、搬送性の改善や厚さを調整すること等を目的に、上記の圧着加工の前および後の工程において、上下一対のフラットロールによる熱圧着加工を施してもよく、当該加工により圧着部の定義が変わるものではない。本発明における非圧着部とは、既述のとおり上記のエンボスロールを用いた熱圧着部や超音波による融着部以外の部分を指すものである。
圧着部の形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形等が好ましく用いられる。圧着部は、基材用不織布の長手方向と幅方向のいずれにも一定の間隔で均一に存在していることが好ましい。このようにすることにより、スパンボンド不織布内の強度のばらつきを低減することができる。また、スパンボンド不織布全体に織り目柄等の模様を付与したり、長手方向あるいは幅方向に連続した圧着部を有するエンボスパターンを用いることもできる。
本発明のスパンボンド不織布の圧着部の深さは、スパンボンド不織布の厚さの30〜70%であることが好ましく、より好ましくは35〜65%であり、さらに好ましくは30〜60%である。このようにすることにより、スパンボンド不織布に十分な強度を付与することができる。
スパンボンド不織布が一対の凹凸パターンを有する彫刻ロールで両面から部分熱圧着される等して、両面が凹状となっている圧着部を有する場合、両面の圧着部の深さの合計値を、スパンボンド不織布の圧着部の深さとする。ここで圧着部の深さとは、圧着部を断面方向から見たときの底部と外周部の高さの差であり、走査型電子顕微鏡による断面画像を用いた寸法測定や、形状解析レーザ顕微鏡や3D形状測定機等の形状測定機器により測定することができる。
また、本発明のスパンボンド不織布の一つの圧着部の面積は、0.2〜5.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜4.0mmであり、さらに好ましくは0.4〜 3.0mmである。一つの圧着部の面積を0.2mm以上とすることにより、機械的強度と寸法安定性が向上し、耐久性に優れたスパンボンド不織布を得ることができる。また、一つの圧着部の面積が5.0mm以下とすることにより、適度な機械的強度と引裂強力を有し、圧延油の吸収量も確保することができる。
本発明のスパンボンド不織布の圧着部の個数密度は、5〜50個/cmであることが好ましく、より好ましくは10〜45個/cmであり、さらに好ましくは15〜4 0個/cmである。圧着部の個数密度を5個/cm以上とすることにより、スパンボンド不織布の機械的強度と寸法安定性が向上し、耐久性に優れた不織布を得ることができる。また、圧着部の個数密度を50個/cm以下とすることにより、適度な機械的強度と引裂強力を有し、圧延油の吸収量も確保することができる。
上記のエンボスロールの加熱温度は、繊維表面を構成する最も低融点の熱可塑性樹脂の融点よりも、5〜30℃低い温度とすることが好ましい。このエンボスロールの加熱温度を5℃以上、より好ましくは10℃以上とすることにより、熱接着を効率良く行うことができる。一方、エンボスロールの加熱温度を30℃以下、より好ましくは25℃以下とすることにより、不織布製造時に繊維がエンボスロールに融着することで発生するロール汚れの抑制が可能である。
本発明のスパンボンド不織布を構成する複合型繊維の平均単繊維径は、3〜20μmであることが好ましい。平均単繊維径を好ましくは3μm以上とし、より好ましくは5μm以上とし、さらに好ましくは7μm以上とすることにより、スパンボンド不織布製造時に紡糸性が低下することが少なく、またスパンボンド不織布内部の空隙を維持できるため、適度な通気性を確保し、金属薄板製造時に用いられる表面保護材においては、圧延油の吸収量を確保し金属薄板の表面傷を防ぐことができる。
一方、複合型繊維の平均単繊維径を好ましくは20μm以下とし、より好ましくは17μm以下とし、さらに好ましくは15μm以下とすることにより、スパンボンド不織布の目付のムラが悪化したり、表面の平滑性が低下したりすることを抑制し、金属薄板製造時に用いられる表面保護材においては、金属薄板の表面傷を防ぐことができる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法としては、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法、湿式法、カード法およびエアレイド法等を挙げることができる。
中でも、スパンボンド法により製造されるスパンボンド不織布は好ましい態様の一例である。熱可塑性フィラメントから構成された長繊維不織布であるスパンボンド不織布は、生産性に優れている他、金属薄板製造時に用いられる表面保護材として、紙等を用いたときに起こりやすい繊維の脱落を抑制することができ、加工不良が発生することを防ぐことができる。また、このスパンボンド不織布は、機械的強度により優れており、金属薄板製造時に用いられる表面保護材として使用した際に耐久性に優れているという特徴がある。
本発明のスパンボンド不織布の非圧着部の目付は、10g/m以上50g/m以下であることが好ましい。非圧着部の目付を好ましくは10g/m以上とし、より好ましくは15g/m以上とし、さらに好ましくは20g/m以上とすることにより、スパンボンド不織布製造時に搬送性が低下することが少なく、また機械的強度を維持できるため、金属薄板製造時に用いられる表面保護材においては、圧延油の吸収量を確保し、金属薄板の表面傷を防ぐことができる。
一方、非圧着部の目付を好ましくは50g/m以下とし、より好ましくは45g/m以下とし、さらに好ましくは40g/m以下とすることにより、スパンボンド不織布の厚さが高くなりすぎることなく、大幅な厚さ変化を抑制し、繰り返し使用時に巻形状が楕円状やタケノコ状になることを防ぐことができる。
本発明のスパンボンド不織布の非圧着部の厚さは、0.03mm以上0.20mm以下であることが好ましい。不織布の非圧着部の厚さを好ましくは0.03mm以上とし、より好ましくは0.04mm以上とし、さらに好ましくは0.05mm以上とすることにより、スパンボンド不織布を金属薄板製造時に用いられる表面保護材として使用する際に、実用上十分な剛性を保持し、高い機械的強度を得られる。また、圧延油の吸収量を確保し、金属薄板の表面傷を防ぐことができる。
一方、不織布の非圧着部の厚さを好ましくは0.20mm以下とし、より好ましくは0.16mm以下とし、さらに好ましくは0.12mm以下とすることにより、スパンボンド不織布を金属薄板製造時に用いられる表面保護材として使用する際に、機械的強度に優れ、また外圧によって変形しにくい不織布とすることができる。
次に、金属薄板製造時に用いられる表面保護材として好適に用いられる本発明のスパンボンド不織布の製造方法について、例示説明する。
本発明において、スパンボンド不織布を構成する繊維として芯鞘型等の複合型繊維を用いる場合、複合型繊維の製造には通常の複合方法を採用することができる。
スパンボンド不織布を製造する方法として、スパンボンド法の場合は、溶融した熱可塑性重合体をノズルから押し出し、これを高速吸引ガスにより吸引延伸して紡糸した後、移動コンベア上に繊維を捕集して繊維ウェブとし、さらに連続的に熱圧着等を施すことにより繊維ウェブを一体化して、(長繊維)スパンボンド不織布を製造することができる。
本発明のスパンボンド不織布は、特に金属薄板製造時の表面保護材等として好適に使用することができる。
本発明のスパンボンド不織布の用途は、上記に限定されるものではなく、例えば、フィルター、フィルター基材、電線押え巻材等の工業資材、壁紙、透湿防水シート、屋根下葺材、遮音材、断熱材、吸音材等の建築資材、ラッピング材、袋材、看板材、印刷基材等の生活資材、防草シート、排水材、地盤補強材、遮音材、吸音材等の土木資材、べたがけ材、遮光シート等の農業資材、天井材、およびスペアタイヤカバー材等の車輌資材等に用いることができる。
次に、実施例に基づき、本発明のスパンボンド不織布とその製造方法について、具体的に説明する。
[測定方法]
(1)熱可塑性樹脂の固有粘度(IV):
熱可塑性樹脂の固有粘度IVは、次の方法で測定した。オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηを、下記式により求めた。
・η=η/η=(t×d)/(t×d
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、ηはオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm)、 tはオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、dはオルソクロロフェノールの密度(g/cm)を、それぞれ表す。)次いで、上記の相対粘度ηから、下記式により固有粘度IVを算出した。
・IV=0.0242η+0.2634。
(2)熱可塑性樹脂の融点(℃):
使用した熱可塑性樹脂の融点は、示差走査熱量計(TA Instruments社製Q100)を用いて、次の条件で測定し、吸熱ピーク頂点温度の平均値を算出して、測定対象の融点とした。繊維形成前の熱可塑性樹脂において吸熱ピークが複数存在する場合は、最も高温側のピーク頂点温度とする。また、繊維を測定対象とする場合には、同様に測定し、複数の吸熱ピークから各成分の融点を推定することができる。
・測定雰囲気:窒素流(150ml/分)
・温度範囲 :30〜350℃
・昇温速度 :20℃/分
・試料量 :5mg。
(3)単繊維の扁平度と平均単繊維繊度(dtex):
スパンボンド不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の断面写真を撮影し、繊維軸に対して鉛直方向に撮影されている繊維を選定して、各サンプルから10本ずつ、計100本の単繊維の長軸長さa(μm)、短軸長さb(μm)、および繊維断面積(μm)を測定し、それぞれそれらの平均値を求めた。繊維断面の長軸長さaとは、繊維断面に外接するように引いた外接円の直径のことである。また、繊維断面の短軸長さbとは、上記の外接円と繊維外周との接点を結んだ直線(外接円の直径にあたる)に対し、鉛直に交わる方向に垂線を引くとき、その垂線が繊維断面を切り取る最大の長さのことである。
続いて、下記式により繊維扁平度および平均単繊維繊度をそれぞれ求め、小数点以下第二位を四捨五入した。ここで共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリエチレンテレフタラレート樹脂の密度は1.38g/cmとした。
・繊維扁平度=(長軸長さaの平均値)/(短辺長さbの平均値)
・平均単繊維繊度=(繊維断面積の平均値)×π×(樹脂の密度)/100。
(4)不織布の圧着部の部分的熱圧着率(%):
不織布の圧着部の圧着率(部分的熱圧着率)は、スパンボンド不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡を用いて20〜50倍の倍率で、各サンプルから1枚ずつ、1枚の写真の中に少なくとも5個以上の圧着部が入るように計10枚の写真を撮影し、各写真から圧着部の面積とエンボスの繰り返しパターンの最小単位の面積を求め、それらを平均した。その後、下記式を用いて部分的圧着率を算出し、小数点以下第一位を四捨五入した。
・部分的圧着率=(圧着部の面積)×(繰り返しパターンの最小単位に含まれる圧着部の個数)/(繰り返しパターンの最小単位の面積)。
(5)不織布の目付(g/m):
スパンボンド不織布の目付は、JIS L1913(2010年版)6.2「単位面積当たりの質量」に基づき、30cm×50cmの試験片を、試料の幅1mあたり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1mあたりの質量(g/m)で表した。
(6)不織布の非圧着部の厚さ(mm):
スパンボンド不織布の非圧着部の厚さは、JIS L1906(2000年版)の5.1に基づいて、直径10mmの加圧子を使用し、荷重10kPaで不織布の幅方向等間隔に1mあたり10点の厚さを0.01mm単位で測定し、その平均値の小数点以下第四位を四捨五入した。
(7)不織布の非圧着部の見掛密度(g/cm):
上記の(5)で求めた四捨五入前のスパンボンド不織布の目付(g/m)と、上記の(6)で求めた四捨五入前のスパンボンド不織布の厚さ(mm)から、下記式を用いて非圧着部の見掛密度(g/cm)を算出し、小数点以下第三位を四捨五入した。
・非圧着部の見掛密度 = 目付÷厚さ÷10
(8)不織布の低荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率(%):
低荷重時の厚さについて、面積200mmの加圧子を使用し、荷重2kPaでスパンボンド不織布の幅方向等間隔に1mあたり10点の厚さを0.01mm単位で測定し、その平均値の小数点以下第四位を四捨五入した。続いて、高荷重時の厚さについて、面積200mmの加圧子を使用し、荷重200kPaで不織布の幅方向等間隔に1mあたり10点の厚さを0.01mm単位で測定し、その平均値の小数点以下第四位を四捨五入した。
このようにして求めた低荷重時の厚さ(mm)と高荷重時の厚さ(mm)から、下記式により低荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率(%)を求め、小数点以下第二位を四捨五入した。
・厚さ変化率(%)=(低荷重時の厚さ−高荷重時の厚さ)/低荷重時の厚さ×100。
(9)不織布の通気性(cc/cm/秒):
JIS L1913(2010年版)6.8「通気性」に基づき、次の方法でスパンボンド不織布の通気性を測定した。10cm×10cmの試験片を10個採取し、フラジール形法によって測定した。測定時の設定圧は、125Paとした。通気量は、得られた10点の通気量の平均値の小数点以下第一位を四捨五入して算出した。
(10)不織布の引張強さ(N/5cm):
JIS L1913(2010年版)6.3「引張強さ及び伸び率」に基づき、次の方法でスパンボンド不織布の引張強さを測定した。長さ方向について、長さ30cm×幅5cmの試験片を10点採取した。試験片を、速伸長型引張試験機を用いて、つかみ間隔を20cmとし、引張速度を10cm/分として引張試験を実施し、破断するまでの最大荷重時の強さ(N)の平均値の小数点以下第一位を四捨五入して算出した。
(11)不織布の伸び率(%):
前記の不織布の引張強さ測定に基づき、最高強力時の伸び率を読み取り、その値の平均値の小数点以下第一位を四捨五入して算出した。
(12)不織布の5%伸長時のモジュラス(N/5cm):
前記の引張強さおよび伸び率測定時の強伸度曲線から試料の長さ、すなわち、つかみ間隔が5%伸長したときの強力値を読み取り、その値の平均値の小数点以下第一位を四捨五入して算出した。
[実施例1]
(芯成分)
固有粘度(IV)が0.66で、イソフタル酸共重合率が11モル%、融点が230℃であり、酸化チタンの含有量が0.2質量%の共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を、水分率50ppm以下に乾燥した樹脂を鞘成分として用いた。
(鞘成分)
固有粘度(IV)が0.65で、融点が260℃であり、酸化チタンの含有量が0.3質量%のポリエチレンテレフタレート樹脂を、水分率50ppm以下に乾燥した樹脂を芯成分として用いた。
(不織ウェブ)
上記の芯成分および鞘成分を、それぞれ270℃と295℃の温度で溶融し、口金温度が300℃の条件で、芯成分と鞘成分の質量比率を80/20として、同心芯鞘型(断面円形)の円形状の吐出孔から紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4300m/分で紡糸して、移動するネットコンベア上に捕集し、不織ウェブを得た。
(スパンボンド不織布)
捕集された不織ウェブを、上下1対の金属製フラットロール間を通し、金属製フラットロールの表面温度を190℃とし、線圧が588N/cmの条件で仮熱圧着した。その後、上ロールがドット柄であり、ドット柄の凸部の一つの面積が1.1mmであり、圧着部の個数密度が28個/cmのエンボスロールであり、下ロールがフラットロールである上下1対の金属製ロール間に通し、金属製ロールの表面温度を230℃とし、線圧が686N/cmの条件で部分熱圧着し、スパンボンド不織布を製造した。
得られたスパンボンド不織布は、繊維扁平度が2.2で、平均単繊維繊度が2.0dtexで、圧着率が28.0%で、目付が25g/mで、厚さが0.07mmで、見掛密度が0.36g/cmで、定荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率が14.8%、通気量が125cc/cm/秒、縦引張強度が110N/5cm、横引張強度が28N/5cm、縦伸び率が10%、横伸び率が11%、縦5%伸長時のモジュラスが90N/5cmであり、そして横5%伸長時のモジュラスが30N/5cmであった。得られたスパンボンド不織布をステンレス鋼板の冷間圧延工程で金属表面保護材として用い、繰り返し使用した。ステンレス鋼板への焼き付きによるスパンボンド不織布の破断や使用後の巻き取り性も問題なく、4回繰り返し使用が良好に行えた。結果を表1に示す。
[実施例2]
(スパンボンド不織布)
目付が20gとなるように移動するネットコンベアの速度を調整し、仮熱圧着の温度を170℃とし、線圧を490N/cmとし、部分熱圧着の温度を230℃とし、線圧を588N/cmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を製造した。
得られたスパンボンド不織布は、繊維扁平度が1.2で、平均単繊維繊度が2.0dtexで、圧着率が28.0%で、目付が20g/mで、厚さが0.06mmで、見掛密度が0.33g/cmで、定荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率が19.2%、通気量が153cc/cm/秒、縦引張強度が105N/5cm、横引張強度が22N/5cm、縦伸び率が12%、横伸び率が12%、縦5%伸長時のモジュラスが82N/5cmであり、横5%伸長時のモジュラスが26N/5cmであった。得られたスパンボンド不織布をステンレス鋼板の冷間圧延工程で金属表面保護材として用い、繰り返し使用した。ステンレス鋼板への焼き付きによるスパンボンド不織布の破断や使用後の巻き取り性も問題なく、4回繰り返し使用が良好に行えた。結果を表1に示す。
[実施例3]
(スパンボンド不織布)
仮熱圧着の温度を200℃とし、線圧を784N/cmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を製造した。得られたスパンボンド不織布は、繊維扁平度が3.5で、平均単繊維繊度が2.0dtexで、圧着率が28.0%で、目付が25g/mで、厚さが0.05mmで、見掛密度が0.50g/cmで、定荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率が11.0%、通気量が105cc/cm/秒、縦引張強度が121N/5cm、横引張強度が31N/5cm、縦伸び率が10%、横伸び率が11%、縦5%伸長時のモジュラスが98N/5cmであり、横5%伸長時のモジュラスが37N/5cmであった。得られたスパンボンド不織布をステンレス鋼板の冷間圧延工程で金属表面保護材として用い、繰り返し使用した。ステンレス鋼板への焼き付きによるスパンボンド不織布の破断や使用後の巻き取り性も問題なく、4回繰り返し使用が良好に行えた。結果を表1に示す。
[実施例4]
(スパンボンド不織布)
仮熱圧着の温度を200℃とし、線圧を686N/cmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を製造した。得られたスパンボンド不織布は、繊維扁平度が2.2で、平均単繊維繊度が2.0dtexで、圧着率が16.0%で、目付が25g/mで、厚さが0.07mmで、見掛密度が0.36g/cmで、定荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率が14.9%、通気量が110cc/cm/秒、縦引張強度が132N/5cm、横引張強度が34N/5cm、縦伸び率が15%、横伸び率が15%、縦5%伸長時のモジュラスが85N/5cmであり、横5%伸長時のモジュラスが30N/5cmであった。得られたスパンボンド不織布をステンレス鋼板の冷間圧延工程で金属表面保護材として用い、繰り返し使用した。ステンレス鋼板への焼き付きによるスパンボンド不織布の破断や使用後の巻き取り性も問題なく、4回繰り返し使用が良好に行えた。結果を表1に示す。
[実施例5]
(スパンボンド不織布)
捕集された不織ウェブを、上ロールがドット柄の凸部が規則的に配列したエンボスロールであり、下ロールがフラットロールである上下1対の金属製ロール間に通し、ロールの表面温度を230℃とし、線圧が686N/cmの条件で部分熱圧着した。その後、上下1対の金属製フラットロール間を通し、ロールの表面温度を180℃とし、線圧が490N/cmの条件で熱圧着したこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を製造した。得られたスパンボンド不織布は、繊維扁平度が1.5で、平均単繊維繊度が2.0dtexで、圧着率が16.0%で、目付が25g/mで、厚さが0.08mmで、見掛密度が0.31g/cmで、定荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率が19.6%、通気量が133cc/cm/秒、縦引張強度が119N/5cm、横引張強度が25N/5cm、縦伸び率が17%、横伸び率が18%、縦5%伸長時のモジュラスが65N/5cmであり、横5%伸長時のモジュラスが16N/5cmであった。得られたスパンボンド不織布をステンレス鋼板の冷間圧延工程で金属表面保護材として用い、繰り返し使用した。ステンレス鋼板への焼き付きによるスパンボンド不織布の破断や使用後の巻き取り性も問題なく、4回繰り返し使用が良好に行えた。結果を表1に示す。
[比較例1]
(スパンボンド不織布)
芯成分として、固有粘度(IV)が0.65で、融点が260℃であり、酸化チタンの含有量が0.3質量%のポリエチレンテレフタレート樹脂を、水分率50ppm以下に乾燥した樹脂を芯成分として用い、また鞘成分として、固有粘度(IV)が0.66で、イソフタル酸共重合率が11モル%、融点が230℃であり、酸化チタンの含有量が0.2質量%の共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を、水分率50ppm以下に乾燥した樹脂を鞘成分としたこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を製造した。得られたスパンボンド不織布は、繊維扁平度が1.1で、平均単繊維繊度が2.0dtexで、圧着率が28.0%で、目付が25g/mで、厚さが0.10mmで、見掛密度が0.25g/cmで、定荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率が28.0%、通気量が180cc/cm/秒、縦引張強度が90N/5cm、横引張強度が20N/5cm、縦伸び率が22%、横伸び率が24%、縦5%伸長時のモジュラスが45N/5cmであり、横5%伸長時のモジュラスが13N/5cmであった。得られたスパンボンド不織布をステンレス鋼板の冷間圧延工程で金属表面保護材として用い、繰り返し使用した。2回目の使用時にステンレス鋼板への焼き付きによるスパンボンド不織布の破断が発生した。また繰り返し使用時に巻形状が楕円状やタケノコ状になった。結果を表1に示す。
[比較例2]
(スパンボンド不織布)
2mm×0.4mmの長方形状の断面形状の吐出孔から紡出したこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を製造した。得られたスパンボンド不織布は、繊維扁平度が5.1で、平均単繊維繊度が2.0dtexで、圧着率が28.0%で、目付が25g/mで、厚さが0.04mmで、見掛密度が0.63g/cmで、定荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率が7.7%、通気量が70cc/cm/秒、縦引張強度が150N/5cm、横引張強度が44N/5cm、縦伸び率が8%、横伸び率が9%、縦5%伸長時のモジュラスが120N/5cmであり、横5%伸長時のモジュラスが52N/5cmであった。得られたスパンボンド不織布をステンレス鋼板の冷間圧延工程で金属表面保護材として用い、繰り返し使用した。3回目の使用時にステンレス鋼板への焼き付きによるスパンボンド不織布の破断が発生した。結果を表1に示す。
Figure 2018090928
<まとめ>
表1に示されるように、低融点重合体の周りに、前記の低融点重合体の融点よりも高い融点を有する高融点重合体を配した複合型繊維であって、繊維扁平度が1.2〜5の複合型繊維からなり、見掛密度が0.20〜0.60g/cmで、低荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率が20%以下である実施例1〜5のスパンボンド不織布は、表面が平滑であり、厚さ変化量が少なく、これをステンレス鋼板の冷間圧延工程で金属表面保護材として用い、繰り返し使用したところ、ステンレス鋼板への焼き付きによるスパンボンド不織布の破断や使用後の巻き取り性も問題なく、4回繰り返し使用が良好に行えた。
一方、繊維扁平度の小さい比較例1のスパンボンド不織布は、低荷重時に対する高荷重時の厚さ変化率が28.0%と変化量が多く、ステンレス鋼板の冷間圧延工程で金属表面保護材として用い、繰り返し使用したところ、2回目の使用時にステンレス鋼板への焼き付きによるスパンボンド不織布の破断が発生した。また繰り返し使用時に巻形状が楕円状やタケノコ状になるため、金属薄板製造時に使用するスパンボンド不織布として優れているものではなかった。また、繊維扁平度の大きい比較例2のスパンボンド不織布は、表面が平滑であり、厚さ変化量は少なかったが、圧延油の吸収量も劣るものであり、ステンレス鋼板の冷間圧延工程で金属表面保護材として用い、繰り返し使用したところ、3回目の使用時にステンレス鋼板への焼き付きによるスパンボンド不織布の破断が発生し、金属薄板製造時に使用するスパンボンド不織布として優れているものではなかった。

Claims (6)

  1. 熱可塑性繊維により構成され、表面に圧着部と非圧着部を有するスパンボンド不織布であって、前記熱可塑性繊維が、低融点重合体の周りに、前記低融点重合体の融点よりも5〜140℃高い融点を有する高融点重合体を配してなる複合型繊維であり、かつ前記非圧着部において繊維断面の長軸長さをaとし、短軸長さをbとしたとき、繊維扁平度a/bが1.2〜5であることを特徴とするスパンボンド不織布。
  2. 見掛密度が0.20〜0.60g/cmの非圧着部を有し、低荷重時(荷重2kPa)に対する高荷重時(荷重200kPa)の厚さ変化率が20%以下であることを特徴とする請求項1記載のスパンボンド不織布。
  3. エンボス圧着率が3〜40%であることを特徴とする請求項1または2記載のスパンボンド不織布。
  4. 熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のスパンボンド不織布。
  5. 熱可塑性繊維により構成され、低融点重合体の周りに、前記低融点重合体の融点よりも5〜140℃高い融点を有する高融点重合体を配してなる同心芯鞘型および偏心芯鞘型の複合形態の複合型繊維を押し出し後、得られた複合型繊維を高速吸引ガスにより吸引延伸し、移動するネットコンベア上に捕集して不織ウェブとし、得られた不織ウェブを、上下一対のフラットロールにより、前記不織ウェブの繊維表面を構成する最も低融点の熱可塑性樹脂の融点よりも60〜90℃低い温度で、かつ線圧98N/cm以上3920N/cm以下で熱圧着した後、少なくとも上下一方のロールが所定の凹凸パターンを有するエンボスロールにより、繊維表面を構成する最も低融点の熱可塑性樹脂の融点よりも5〜30℃低い温度で、かつ線圧196N/cm以上4900N/cm以下で熱圧着する工程を有することを特徴とするスパンボンド不織布の製造方法。
  6. エンボス圧着率が、3〜40%であることを特徴とする請求項5記載のスパンボンド不織布の製造方法。
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