JP2019210591A - 障子用不織布およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、適度な遮光性と採光性を有し、機械的強度に優れる障子用不織布を提供する。【解決手段】本発明の一実施態様の障子用不織布は、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる不織布であって、前記不織布の表面において、前記繊維の交点では該繊維同士が融着していて、かつ、該交点以外の繊維同士は互いに離間しており、さらに、少なくともシート片面のKES表面粗さが1.2μm以下であり、目付当たりのタテ引裂強力が0.50以上である障子用不織布に関する。【選択図】 なし
Description
本発明は、建築物の室内に設置される障子用不織布およびその製造方法に関するものである。
日本家屋等の建築物において、従来から和紙からなる障子紙貼られた障子が用いられている。障子は遮光性、プライバシーの保護、防寒や防熱、防音といった機能が求められており、その素材としては、和紙製の障子紙が多く用いられているが、その中でも、機械すきの障子紙が多く提案されている。一方で障子紙に強度を付与するために、例えば、良好な通気性を有し、熱接着性に優れるポリエステル不織布が提案されている(特許文献1参照)。
また、ポリ乳酸系重合体からなるスパンボンド不織布により構成され、エンボス加工された、環境配慮型の障子紙等のインテリア製品が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、機械すきの障子紙は遮光性、風合いといった点で優れるものの、非常に破れやすく、強度面で劣る問題や障子紙の貼り替え時に枠に紙が残り、除去作業に時間を要する等、作業性に劣るという課題がある。
また、特許文献1が開示する技術は、低目付、低厚さ、高通気量であり、機械的強度、遮光性や断熱性に劣るという課題がある。
またさらに、特許文献2が開示する技術は、ポリ乳酸系重合体からなるスパンボンド不織布であるため、機械的強度に劣る問題やエンボス品であることから意匠性に劣るという課題がある。
そこで本発明の目的は、適度な遮光性と採光性を有し、機械的強度に優れる障子用不織布を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明の一実施態様の障子用不織布は、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる不織布であって、前記不織布の表面において、前記繊維の交点では該繊維同士が融着していて、かつ、該交点以外の繊維同士は互いに離間しており、さらに、少なくともシート片面のKES表面粗さが1.2μm以下であり、目付当たりのタテ引裂強力が0.50N/(g/m2)以上である。
本発明の障子用不織布の好ましい態様によれば、前記障子用不織布の目付が20g/m2以上70g/m2以下であって、該障子用不織布の厚さが0.06mm以上0.22mm以下であって、該障子用不織布の通気量が60cc/cm2/秒以上220cc/cm2/秒以下であり、かつ、該障子用不織布の透過光輝度変動係数が10%以上30%以下である。
本発明の障子用不織布の好ましい態様によれば、前記不織布が、長繊維からなるスパンボンド不織布である。
本発明の一実施態様の障子用不織布の製造方法は、前記繊維の表面を構成する最も低融点の熱可塑性樹脂の融点よりも30以上120℃以下の温度に加熱された一対のフラットロールで線圧500N/cm以上1100N/cm以下で熱圧着させた後、連続的に所定時間フラットロールに接触させる工程を有する。
本発明によれば、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる不織布であって、前記不織布の少なくとも片面の表面繊維の交点が全て融着しており、かつ少なくともシート片面のKES法による表面粗さSMDが1.2μm以下であり、目付当たりのタテ引裂強力が0.50N/(g/m2)以上であることで、適度な遮光性と採光性を有し、機械的強度に優れる障子用不織布を得ることができる。
本発明の一実施態様の障子用不織布は、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる不織布であって、前記不織布の表面状態は、繊維同士の融着によるフィルム状態が見られず、繊維の形態を維持しており、エンボス加工による凹凸がなく、かつ少なくともシート片面のKES法(Kawabata Evaluation System)による表面粗さSMDが1.2μm以下であり、目付当たりのタテ引裂強力が0.50N/(g/m2)以上である障子用不織布である。
以下に、この詳細を示す。
(熱可塑性樹脂)
本発明の一実施態様の障子用不織布は、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる不織布であることが重要である。
本発明の一実施態様の障子用不織布は、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる不織布であることが重要である。
上記の熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、あるいはこれらの混合物や共重合体等を挙げることができる。なかでもポリエステルが、より機械的強度や耐熱性、耐水性、耐薬品性等の耐久性に優れることから好ましい。
ポリエステルは酸成分とアルコール成分とからなる。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができる。
また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを用いることができる。
ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、また、これらの共重合体等を挙げることができる。
本発明の一実施態様の障子用不織布には、結晶核剤や艶消し剤、滑剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、親水剤等を添加してもよい。特に長繊維不織布の熱圧着成形の際、熱伝導性を増すことで長繊維不織布の接着性を向上させる効果がある酸化チタン等の金属酸化物や、熱圧着ロールとウェブ間の離型性を増すことで接着安定性を向上させる効果があるエチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスアミド、および/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを添加することが好ましい。これら各種の添加剤は、熱可塑性連続繊維中に存在させてもよいし、熱可塑性連続繊維の表面に存在させてもよい。
(熱可塑性樹脂を主成分とする繊維)
また本発明における熱可塑性樹脂を主成分とする繊維は、高融点重合体の周りに当該高融点重合体の融点よりも低い融点を有する低融点重合体を配した複合繊維であることが好ましい。
また本発明における熱可塑性樹脂を主成分とする繊維は、高融点重合体の周りに当該高融点重合体の融点よりも低い融点を有する低融点重合体を配した複合繊維であることが好ましい。
このような複合繊維とすることにより、熱圧着により熱可塑性連続繊維が不織布内において強固に接着し、表面平滑性を得ることができ、障子に用いる不織布としての、機械的強度を向上することができる。
また、このような複合繊維とすることにより、不織布を構成するフィラメント同士が強固に接着することに加え、融点の異なる繊維同士を混繊させたものに比べ不織布における接着点の数も多くなるため、障子用不織布としての寸法安定性、耐久性も向上する。
ここで主成分とは、複合繊維の成分のうち、50質量%以上を占める成分のことである。
上記の高融点重合体と低融点重合体との融点の差としては10℃以上140℃以下が好ましい。融点の差を10℃以上、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは30℃以上とすることで、所望の熱接着性を得ることができる。また、140℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下とすることで、熱圧着時に熱圧着ロールに低融点重合体成分が融着し生産性が低下することを抑制することができる。
また、上記複合繊維における高融点重合体の融点としては、160℃以上320℃以下が好ましい。160℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上とすることで、熱が加わる加工工程においても形態安定性に優れる。また、320℃以下、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは280℃以下とすることで、長繊維不織布製造時に溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下するのを抑制することができる。
一方、上記複合繊維における低融点重合体の融点としては、前記の高融点重合体と低融点重合体の融点の差を確保した上で、150℃以上310℃以下であることが好ましい。150℃以上、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは170℃以上とすることで、熱が加わる加工工程においても形態安定性に優れる。また、310℃以下、より好ましくは290℃以下、さらに好ましくは270℃以下とすることで、長繊維不織布製造時に溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下するのを抑制することができる。
かかる高融点重合体および低融点重合体の組み合わせ(高融点重合体/低融点重合体)の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分としては、イソフタル酸等が好ましい。
なお、本発明において熱可塑性樹脂の融点は、以下のように測定される値を採用するものとする。
(1)示差走査熱量計を用いて、次の条件で1回測定を行う。なお、示差走査熱量計としては、TA Instruments社製「Q100」等が用いられる。
・測定雰囲気:窒素流(150ml/分)
・温度範囲 :30〜350℃
・昇温速度 :20℃/分
・試料量 :5mg
(2)吸熱ピーク頂点温度の平均値を算出して、測定対象の融点とする。ただし、繊維形成前の樹脂において吸熱ピークが複数存在する場合は、最も高温側のピーク頂点温度とする。また、繊維を測定対象とする場合には、同様に測定し、複数の吸熱ピークから各成分の融点を推定する。その際、複合繊維による吸熱ピークは、最も高温側の吸熱ピーク(A)と、経過時間の小さい側(早くピークが現れる側)に現れる吸熱ピークであって、最も高温側の吸熱ピークの次に高いピーク(吸熱ピーク(B))を示すピーク群であり、吸熱ピーク(A)が高融点重合体の融点を示すものであるのに対し、前記の吸熱ピーク(B)が低融点重合体の融点を示すものである。
(1)示差走査熱量計を用いて、次の条件で1回測定を行う。なお、示差走査熱量計としては、TA Instruments社製「Q100」等が用いられる。
・測定雰囲気:窒素流(150ml/分)
・温度範囲 :30〜350℃
・昇温速度 :20℃/分
・試料量 :5mg
(2)吸熱ピーク頂点温度の平均値を算出して、測定対象の融点とする。ただし、繊維形成前の樹脂において吸熱ピークが複数存在する場合は、最も高温側のピーク頂点温度とする。また、繊維を測定対象とする場合には、同様に測定し、複数の吸熱ピークから各成分の融点を推定する。その際、複合繊維による吸熱ピークは、最も高温側の吸熱ピーク(A)と、経過時間の小さい側(早くピークが現れる側)に現れる吸熱ピークであって、最も高温側の吸熱ピークの次に高いピーク(吸熱ピーク(B))を示すピーク群であり、吸熱ピーク(A)が高融点重合体の融点を示すものであるのに対し、前記の吸熱ピーク(B)が低融点重合体の融点を示すものである。
かかる複合繊維における低融点重合体の占める割合としては、複合繊維中10質量%以上70質量%以下であることが好ましい。10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上とすることで、所望の熱接着性を得ることができる。また、70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下とすることで、融着が進みすぎて引裂強力が低下することを抑制することができる。
かかる複合繊維の複合形態としては例えば、同心芯鞘型、偏心芯鞘型、海島型等を挙げることができる。なかでも同心芯鞘型、特に低融点重合体が鞘成分となる態様が、熱圧着により繊維同士を強固に接着させることができる点で好ましい。
また、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維の断面形状としては、円形、扁平、多角形、X型やY型等の多葉型、中空型等を挙げることができる。前記のような複合繊維で異形型の断面形状を採用する場合は、低融点重合体成分が熱圧着に寄与できるように繊維断面の外周部近傍に存在するのが好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂を主成分とする繊維は、その平均単繊維径が10μm以上24μm以下であることが好ましい。平均単繊維径を好ましくは10μm以上とし、より好ましくは11μm以上とし、さらに好ましくは12μm以上とすることにより、目付均一性、および機械的強度に優れた不織布とすることができる。
一方、平均単繊維径を好ましくは24μm以下とし、より好ましくは23μm以下とし、さらに好ましくは22μm以下とすることにより、適度な遮光性と採光性を有することができる。
なお、本発明においては、前記の熱可塑性樹脂を主成分とする繊維の平均単繊維直径(μm)は、以下の手順によって算出される値を採用するものとする。
(1)不織布からランダムに小片サンプル(100×100mm)10個を採取する。
(2)マイクロスコープで500倍以上3000倍以下の表面写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の単繊維の直径を測定する。
(3)測定した100本の値の算術平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して平均単繊維直径(μm)を算出する。
(1)不織布からランダムに小片サンプル(100×100mm)10個を採取する。
(2)マイクロスコープで500倍以上3000倍以下の表面写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の単繊維の直径を測定する。
(3)測定した100本の値の算術平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して平均単繊維直径(μm)を算出する。
(障子用不織布)
本発明の一実施態様の障子用不織布は、前記不織布の表面において、前記繊維の交点では該繊維同士が融着していて、かつ、該交点以外の繊維同士は互いに離間していることが重要である。繊維同士が互いに離間しているとは、繊維同士が融着していないことを意味する。このような状態、すなわち、繊維同士が過度に融着して膜状の部分を形成しないことによって、障子用不織布として好適な通気性を確保することができる。また、熱融着後においても、前記繊維同士の交点以外は、繊維同士が溶融して膜状とならず、繊維の形態を維持していることによって、障子として長期の使用に耐えうる機械的強度に優れたものとなる。さらには、交点においてのみ融着していることから、不織布の毛羽立ちを抑えることができ、印刷性に優れた障子用不織布とすることができる。
本発明の一実施態様の障子用不織布は、前記不織布の表面において、前記繊維の交点では該繊維同士が融着していて、かつ、該交点以外の繊維同士は互いに離間していることが重要である。繊維同士が互いに離間しているとは、繊維同士が融着していないことを意味する。このような状態、すなわち、繊維同士が過度に融着して膜状の部分を形成しないことによって、障子用不織布として好適な通気性を確保することができる。また、熱融着後においても、前記繊維同士の交点以外は、繊維同士が溶融して膜状とならず、繊維の形態を維持していることによって、障子として長期の使用に耐えうる機械的強度に優れたものとなる。さらには、交点においてのみ融着していることから、不織布の毛羽立ちを抑えることができ、印刷性に優れた障子用不織布とすることができる。
なお、本発明においては、前記の障子用不織布の表面における交点以外の繊維同士の融着の有無は、以下のように評価することとする。
(1)不織布からランダムに小片サンプル(100×100mm)10個を採取する。
(2)各サンプルの表面をマイクロスコープで500倍以上3000倍以下の倍率で顕微鏡写真を撮影する。
(3)前記の顕微鏡写真内において、全ての繊維を観察し、繊維2本以上が交点以外の部分で融着し、繊維同士が互いに離間しておらず、膜状の部分を形成しているものが、交点以外の繊維同士の融着が有るものとする。
(1)不織布からランダムに小片サンプル(100×100mm)10個を採取する。
(2)各サンプルの表面をマイクロスコープで500倍以上3000倍以下の倍率で顕微鏡写真を撮影する。
(3)前記の顕微鏡写真内において、全ての繊維を観察し、繊維2本以上が交点以外の部分で融着し、繊維同士が互いに離間しておらず、膜状の部分を形成しているものが、交点以外の繊維同士の融着が有るものとする。
本発明の一実施態様の障子用不織布は、シート片面のKES表面粗さSMDが1.2μm以下であることが重要である。
シート片面のKES表面粗さが1.2μm以下、好ましくは1.1μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下とすることにより、表面平滑であることから、意匠性を高めることができる。KES法による表面粗さSMDは、エンボス加工による凹凸を設けないことで達成され、さらに、繊維ウェブを一対のフラットロールで加工する条件を適切に調整することにより制御することができる。
なお、本発明においてKES法による表面粗さSMDは、以下のように測定される値を採用するものとする。
(1)不織布から幅200mm×200mmの試験片を、不織布の幅方向等間隔に3枚採取する。
(2)試験片を試料台に400gの荷重をかけてセットする。
(3)10gfの荷重をかけた表面粗さ測定用接触子(素材:φ0.5mmピアノ線、接触長さ:5mm)で試験片の表面を走査して、表面の凹凸形状の平均偏差を測定する。
(4)上記の測定を、すべての試験片の縦方向(不織布の長手方向)と横方向(不織布の幅方向)で行い、これらの計6点の平均偏差を平均して小数点以下第二位を四捨五入し、表面粗さSMD(μm)とする。
(1)不織布から幅200mm×200mmの試験片を、不織布の幅方向等間隔に3枚採取する。
(2)試験片を試料台に400gの荷重をかけてセットする。
(3)10gfの荷重をかけた表面粗さ測定用接触子(素材:φ0.5mmピアノ線、接触長さ:5mm)で試験片の表面を走査して、表面の凹凸形状の平均偏差を測定する。
(4)上記の測定を、すべての試験片の縦方向(不織布の長手方向)と横方向(不織布の幅方向)で行い、これらの計6点の平均偏差を平均して小数点以下第二位を四捨五入し、表面粗さSMD(μm)とする。
本発明の一実施態様の障子用不織布は、目付当たりのタテ引裂強力が0.50N/(g/m2)以上であることが重要である。
目付当たりのタテ引裂強力が0.50N/(g/m2)以上、好ましくは0.60N/(g/m2)以上、さらに好ましくは0.70N/(g/m2)とすることにより、機械的強度に優れ、障子として使用した場合には、耐久性に優れるものである。
なお、上記のタテ引裂強力は、低速伸長型引張試験機(例えば、ボールドウィン社製「RTG−1250」)を用い、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の6.4「引裂強さ」のa)トラペゾイド法に準拠して、以下のように測定される値を採用するものとする。
(1)不織布の横方向(不織布の幅方向)について、長さ150mm×幅75mmの試験片を10点採取する。
(2)試験片に等脚台形の印をつけ、この印の短辺の中央に短辺と直角に15mmの切り込みを入れる。
(3)試験片を定速伸長型引張試験機にて、つかみ間隔25mmとして台形の短辺は張り、長辺は緩めて、印に沿ってつかみ具に取付ける。
(4)引張速度100±10mm/minの条件で、引き裂く時の最大荷重(N)を引裂強さ(N)とし、10点の平均値を算出する。
(5)算出した引裂強さ(N)を目付(g/m2)で除し、小数点以下第一位を四捨五入する。
(1)不織布の横方向(不織布の幅方向)について、長さ150mm×幅75mmの試験片を10点採取する。
(2)試験片に等脚台形の印をつけ、この印の短辺の中央に短辺と直角に15mmの切り込みを入れる。
(3)試験片を定速伸長型引張試験機にて、つかみ間隔25mmとして台形の短辺は張り、長辺は緩めて、印に沿ってつかみ具に取付ける。
(4)引張速度100±10mm/minの条件で、引き裂く時の最大荷重(N)を引裂強さ(N)とし、10点の平均値を算出する。
(5)算出した引裂強さ(N)を目付(g/m2)で除し、小数点以下第一位を四捨五入する。
本発明の一実施態様の障子用不織布は、不織布の目付が20g/m2以上70g/m2以下であることが好ましい。不織布の目付を好ましくは70g/m2以下、より好ましくは65g/m2以下、さらに好ましくは60g/m2以下とすることにより、設置時の施工性に優れることや、十分な遮光性を備えた不織布を得ることができる。
一方、不織布の目付を好ましくは20g/m2以上、より好ましくは25g/m2以上、さらに好ましくは30g/m2以上とすることにより、軽量化と採光性に優れる不織布を得ることができる。
なお、本発明において、積層不織布の目付は、JIS L1913:2010「6.2 単位面積当たりの質量」に準拠して、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)25cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取する。
(2)標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量る。
(3)その平均値を1m2当たりの質量(g/m2)で表する。
(1)25cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取する。
(2)標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量る。
(3)その平均値を1m2当たりの質量(g/m2)で表する。
本発明の一実施態様の障子用不織布は、不織布の厚さが0.06mm以上0.22mm以下であることが好ましい。不織布の厚さを0.22mm以下、より好ましくは0.21mm以下、さらに好ましくは0.20mm以下とすることで、表面平滑であることから、意匠性を高めることができる。
一方、不織布の厚さを0.06mm以上、より好ましくは0.07mm以上、さらに好ましくは0.08mm以上とすることで、不織布の表面がフィルム化することなく、表面平滑であることから、意匠性を高めることができる。
本発明の一実施態様の障子用不織布は、不織布の通気量が60cc/cm2/秒以上220cc/cm2/秒以下であることが好ましい。
なお、本発明において、不織布の厚さ(mm)は、JIS L1906:2000の「5.1」に準じ、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)直径10mmの加圧子を使用し、荷重10kPaで不織布の幅方向等間隔に1mあたり10点の厚さを0.01mm単位で測定する。
(2)上記10点の平均値の小数点以下第四位を四捨五入する。
不織布の通気量を220cc/cm2/秒以下、より好ましくは215cc/cm2/秒以下、さらに好ましくは210cc/cm2/秒以下とすることで、冷気や暖気の過浸透を防ぎことができる。
一方、不織布の通気量を60cc/cm2/秒以上、より好ましくは65cc/cm2/秒以上、さらに好ましくは70cc/cm2/秒以上とすることで、不織布の表面がフィルム化することなく、表面平滑であることから、意匠性を高めることができる。
なお、本発明において、不織布の通気量は、JIS L1913:2010の「6.8.1 フラジール形法」に準じ、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)不織布から15cm×15cmの試験片10枚を切り出す。
(2)気圧計の圧力125Paで、試験片において測定する。
(3)得られた値の平均値について、小数点以下第一位を四捨五入して算出する。
(1)不織布から15cm×15cmの試験片10枚を切り出す。
(2)気圧計の圧力125Paで、試験片において測定する。
(3)得られた値の平均値について、小数点以下第一位を四捨五入して算出する。
本発明の一実施態様の障子用不織布は、透過光輝度変動係数が10%以上30%以下であることが重要である。
不織布の透過光輝度変動係数を30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下とすることで、障子用不織布として用いた場合、十分な遮光性を得ることができる。
一方、不織布の透過光輝度変動係数を10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上とすることで、障子用不織布として用いた場合、十分な採光性を得ることができる。
なお、本発明でいう不織布の透過光輝度変動係数は、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)不織布から15cm×15cmの試験片3枚を切り出す。
(2)試験片を黒色画用紙が背景となるように重ね合わせ、スキャナ(例えば、EPSON社製「GT−X750」)にセットする。
(3)1200dpiの解像度でイメージスキャナにより読み込む。
(4)さらに、読み込んだ画像ファイルを画像処理ソフト(例えば、「AT−Image Ver.3.2」)により、輝度平均値を数値化し、その標準偏差から変動係数を求め、小数点以下第一位を四捨五入して算出する。
(1)不織布から15cm×15cmの試験片3枚を切り出す。
(2)試験片を黒色画用紙が背景となるように重ね合わせ、スキャナ(例えば、EPSON社製「GT−X750」)にセットする。
(3)1200dpiの解像度でイメージスキャナにより読み込む。
(4)さらに、読み込んだ画像ファイルを画像処理ソフト(例えば、「AT−Image Ver.3.2」)により、輝度平均値を数値化し、その標準偏差から変動係数を求め、小数点以下第一位を四捨五入して算出する。
(障子用不織布の製造方法)
次に、本発明の一実施態様の障子用不織布の製造方法について説明する。
次に、本発明の一実施態様の障子用不織布の製造方法について説明する。
本発明の一実施態様の障子用不織布の製造方法としては、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法、湿式法、カード法およびエアレイド法等を挙げることができる。
中でも、スパンボンド法により製造されるスパンボンド不織布は好ましい態様の一例である。熱可塑性フィラメントから構成された長繊維不織布であるスパンボンド不織布は、生産性に優れる他、障子用不織布として使用する際に短繊維不織布を用いたときに起こりやすい毛羽立ちを抑制することができ、部分的に接着不良や加工不良が発生することを防ぐことができる。また、スパンボンド不織布は、機械的強度により優れていて、障子用不織布として使用した際に耐久性に優れる加工品を得ることもできるという観点からも好ましく用いられる。
本発明において、不織布を構成する繊維として芯鞘型等の複合型繊維を用いる場合、複合型繊維の製造には通常の複合方法を採用することができる。
熱可塑性重合体を紡糸口金から溶融押し出し後、これをエジェクターにより牽引、延伸して熱可塑性連続フィラメントとし、ノズルから送り出して帯電開繊したのち、移動捕集面上に堆積させ、繊維ウェブに形成される。
このとき、ノズルは、ウェブ進行方向に対し左右それぞれへ15度以上、より好ましくは20度以上、さらに好ましくは25度以上の所定の角度で、連続して揺動させる。上記のフィラメントは、この連続揺動するノズルを通過したのち上記の帯電手段で帯電開繊されて繊維ウェブとなることで、束状の繊維が少なくなるとともに、ウェブの長手方向に対する傾斜が大きいヨコ配向傾向となり、より具体的には、フィラメントの繊維配向度が35度以上70度以下となる。これにより単位重量当たりの繊維の表面積が広くなり、不織布とした際に目付均一性が向上し、また、タテ引裂強力が向上する。
なお、上記のノズルの揺動角度は、ウェブ進行方向に対して60度以下、より好ましくは55度以下、さらに好ましくは50度以下とすることで、移動捕集面上に堆積させて繊維ウェブを形成する際に、ウェブが捲れる欠点等の発生を抑制することができる。
前記熱可塑性連続フィラメントの帯電方法は何ら制限されるものではないが、コロナ放電法による帯電や、金属との摩擦帯電による帯電が好ましいものである。
上記の繊維ウェブは、一対のフラットロールで圧接処理されたのち、一方のフラットロールに所定時間押し当てられて片面が平滑化され、障子用不織布に形成される。
上記のフラットロールによる平滑処理は、フラットロールを繊維ウェブに接触させるものであれば何ら制限されるものではないが、所定温度に加熱したフラットロールを繊維ウェブに接触させる熱処理加工が好ましい。
この熱処理加工におけるフラットロールの表面温度は、繊維ウェブの表面に存在するフィラメントを構成する、最も融点の低い重合体の融点に対して、30℃以上120℃以下低いことが好ましく、40℃以上110℃以下低いことが好ましく、50℃以上100℃以下低いことが最も好ましい。即ち、この融点を(Tm)とした場合、フラットロールの表面温度は、(Tm−30)℃以上(Tm−120)℃以下であることが好ましく、(Tm−40)℃以上(Tm−110)℃以下がより好ましく、(Tm−50)℃以上(Tm−100)℃以下が最も好ましい。
フラットロールの表面温度が(Tm−120)℃よりも低い場合は、繊維ウェブの熱処理が不十分となって、目的のシート厚さが得られない問題や、接着が不十分となり、表面平滑性が得られず好ましくない。また、フラットロールの表面温度が(Tm−30)℃よりも高い場合には、熱処理が強くなりすぎ、表層部の構成繊維が融着状態となり、十分な機械的強度を得られず好ましくない。
また、フラットロールを繊維ウェブに接触させて熱処理する時間は、0.01秒以上10秒以下が好ましい範囲である。熱処理する時間が0.01秒以上であれば、不織布の熱処理効果が十分に得られ、熱処理が強くなりすぎず、十分な機械的強度を得られる。また熱処理の時間が10秒以下であれば、熱処理が強くなりすぎることがなく、引裂強力が低下することがない。より好ましい熱処理時間は0.02秒以上9秒以下であり、さらに好ましい熱処理時間は0.03秒以上8秒以下である。
また、本発明の一実施態様の障子用不織布の製造方法における、前記フラットロールによる平滑処理は、シート片面を平滑にするために、前記繊維ウェブを一対のフラットロールにより加熱圧接して不織布を形成し、この不織布を加熱圧接部から連続的に一方のフラットロールに接触させる方法が最も好ましい。即ち、一対のフラットロールにより加熱圧接部で繊維ウェブを加熱圧接して不織布を形成し、この不織布の片面を一方のフラットロールに加熱圧接部から連続的に接触させ、熱処理する方法が重要である。
上記のフラットロールと接触させる方法としては、前記の加熱圧接部から一方のフラットロールに連続的に接触させ、熱処理することが可能であればよく、特定の方法に限定されない。繊維ウェブを加熱圧接部で一対のフラットロール間で加熱圧接したのち、所定長さの接触部で一方のフラットロールに接触させる方法が一般的であるが、例えば、図1に示すように、一対のフラットロールに繊維ウェブをS字型(または、逆S字型)に巻き付ける様な方法であってもよい。
繊維ウェブを一対のフラットロールにより圧接する際の線圧は、500〜1100N/cmの範囲が好ましく、より好ましくは510〜1090N/cmの範囲である。線圧が500N/cm以上の場合であれば、シート形成に十分な線圧が得られる。線圧が1100N/cm以下の場合には、繊維同士の接着が強くなり過ぎることなく、したがって、得られた不織布の引裂強力が低下することがない。
また、前記不織布の加熱圧接部からの連続的なフラットロールによる接触は、不織布の走行方向に5〜200N/mの張力をかけた状態で実施することが好ましい。張力が5N/m以上であれば、フラットロールに不織布が巻き付いたりする傾向が少なくなり好ましい。張力が200N/m以下であれば、不織布の切断が発生しにくくなり、好ましい方向である。より好ましい張力の範囲は8〜180N/mである。
またさらに、前記不織布を加熱圧接部から連続的にフラットロールに接触させるにおいて、その接触距離は、40〜250cmの範囲が好ましい。接触距離が40cm以上であると平滑処理効果が十分となり、意匠性に優れる不織布が得られる。接触距離が250cm以下であれば、熱処理が強くなり過ぎて引裂強力が低下することがない。より好ましい接触距離は50〜200cmの範囲である。
次に、実施例に基づき本発明の一実施態様の障子用不織布とその製造方法について、具体的に説明する。各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
[測定方法]
(1)固有粘度(IV):
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度IVは、次の方法で測定した。オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを、下記式により求めた。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm3)、t0:はオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、d0はオルソクロロフェノールの密度(g/cm3)を、それぞれ表す。)
次いで、上記の相対粘度ηrから、下記式により、固有粘度(IV)を算出した。
・IV=0.0242ηr+0.2634。
(1)固有粘度(IV):
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度IVは、次の方法で測定した。オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを、下記式により求めた。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm3)、t0:はオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、d0はオルソクロロフェノールの密度(g/cm3)を、それぞれ表す。)
次いで、上記の相対粘度ηrから、下記式により、固有粘度(IV)を算出した。
・IV=0.0242ηr+0.2634。
(2)融点(℃):
使用した熱可塑性樹脂の融点は、示差走査熱量計(TA Instruments社製Q100)を用いて、上記の条件で測定し、吸熱ピーク頂点温度の平均値を算出して、測定対象の融点とした。
使用した熱可塑性樹脂の融点は、示差走査熱量計(TA Instruments社製Q100)を用いて、上記の条件で測定し、吸熱ピーク頂点温度の平均値を算出して、測定対象の融点とした。
(3)壁装材用不織布のKES法による表面粗さSMD(μm):
カトーテック社製KES−FB4−AUTO−A自動化表面試験機を用いて、非捕集ネット面の表面粗さを測定した。
カトーテック社製KES−FB4−AUTO−A自動化表面試験機を用いて、非捕集ネット面の表面粗さを測定した。
(4)壁装材用不織布の引裂強力(N):
低速伸長型引張試験機として、ボールドウィン社製「RTG−1250」を用いた。
低速伸長型引張試験機として、ボールドウィン社製「RTG−1250」を用いた。
(5)壁装材用不織布の通気量(cc/cm2/秒):
通気量試験には、テクステスト社製の通気性試験機FX3300を用いた。
通気量試験には、テクステスト社製の通気性試験機FX3300を用いた。
(6)不織布の透過光輝度変動係数
透過光輝度変動係数は、スキャナとしてEPSON社製「GT−X750」を用い、画像処理ソフトとして、「AT−Image Ver.3.2」を用いた。
透過光輝度変動係数は、スキャナとしてEPSON社製「GT−X750」を用い、画像処理ソフトとして、「AT−Image Ver.3.2」を用いた。
[実施例1]
(繊維ウェブ)
熱可塑性樹脂を主成分とする繊維として、芯成分、鞘成分からなる複合繊維を用いた。以下に、用いた熱可塑性樹脂について示す。
芯成分(高融点長繊維):固有粘度(IV)0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3質量%含むポリエチレンテレフタレート樹脂を水分率50ppm以下に乾燥したもの。
鞘成分(低融点長繊維):固有粘度(IV)0.66、イソフタル酸共重合率10モル%、融点230℃であり、酸化チタンを0.2質量%含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を水分率50ppm以下に乾燥したもの。
(繊維ウェブ)
熱可塑性樹脂を主成分とする繊維として、芯成分、鞘成分からなる複合繊維を用いた。以下に、用いた熱可塑性樹脂について示す。
芯成分(高融点長繊維):固有粘度(IV)0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3質量%含むポリエチレンテレフタレート樹脂を水分率50ppm以下に乾燥したもの。
鞘成分(低融点長繊維):固有粘度(IV)0.66、イソフタル酸共重合率10モル%、融点230℃であり、酸化チタンを0.2質量%含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を水分率50ppm以下に乾燥したもの。
上記の芯成分を295℃、鞘成分を280℃で溶融し、芯/鞘の複合比を質量比で80/20として円形断面の同心芯鞘型に複合し、口金温度300℃で細孔より紡出した後、エアサッカーにより紡糸速度4300m/分で紡糸して、熱可塑性連続フィラメントとした。そしてこのフィラメントを、ウェブ進行方向に対し左右へそれぞれ36度で揺動するノズルに通過させ、ノズル出口に設置された金属衝突板へフィラメントを衝突させて摩擦帯電により繊維を帯電して開繊させ、移動するネットコンベアー上に、繊維ウェブとして捕集した。このとき捕集した繊維ウェブが目付40g/m2となるように、ネットコンベアーの移動速度を調整した。
(熱圧着)
上記繊維ウェブを上下1対のフラットロールにてフラットロール表面温度160℃、線圧588N/cmで熱圧着し、この圧着されたシートをこの加熱圧接部から連続して一方のフラットロールの表面へ120cmにわたって1.3秒間接触させた。
上記繊維ウェブを上下1対のフラットロールにてフラットロール表面温度160℃、線圧588N/cmで熱圧着し、この圧着されたシートをこの加熱圧接部から連続して一方のフラットロールの表面へ120cmにわたって1.3秒間接触させた。
上記の処理により、繊維径14μm、目付40g/m2のスパンボンド不織布を得た。
得られた障子用不織布は、通気量が135cc/cm2/秒、厚さが0.11mm、平滑面の表面粗さSMDが0.79μm、目付当たりのタテ引裂強力が0.90N/(g/m2)、透過光輝度変動係数が25%であり、表面に交点以外の繊維同士が融着して膜状(フィルム状)となった部分は見られなかった。
[実施例2]
実施例1において、目付が50g/m2となるように、ネットコンベアーの移動速度を調整したこと以外は、実施例1と同じ方法で繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを上下1対のフラットロールにてフラットロール表面温度160℃、線圧588N/cmで熱圧着し、この圧着されたシートをこの加熱圧接部から連続して一方のフラットロールの表面へ120cmにわたって1.6秒間接触させた。
実施例1において、目付が50g/m2となるように、ネットコンベアーの移動速度を調整したこと以外は、実施例1と同じ方法で繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを上下1対のフラットロールにてフラットロール表面温度160℃、線圧588N/cmで熱圧着し、この圧着されたシートをこの加熱圧接部から連続して一方のフラットロールの表面へ120cmにわたって1.6秒間接触させた。
得られた実施例2の障子用不織布は、通気量が95cc/cm2/秒、厚さが0.12mm、平滑面の表面粗さSMDが0.86μm、目付当たりのタテ引裂強力が1.02N/(g/m2)、透過光輝度変動係数が23%であり、表面に交点以外の繊維同士が融着して膜状(フィルム状)となった部分は見られなかった。
[実施例3]
実施例1において、目付が60g/m2となるように、ネットコンベアーの移動速度を調整したこと以外は、実施例1と同じ方法で障子用不織布を得た。この繊維ウェブを上下1対のフラットロールにてフラットロール表面温度160℃、線圧588N/cmで熱圧着し、この圧着されたシートをこの加熱圧接部から連続して一方のフラットロールの表面へ120cmにわたって1.9秒間接触させた。
実施例1において、目付が60g/m2となるように、ネットコンベアーの移動速度を調整したこと以外は、実施例1と同じ方法で障子用不織布を得た。この繊維ウェブを上下1対のフラットロールにてフラットロール表面温度160℃、線圧588N/cmで熱圧着し、この圧着されたシートをこの加熱圧接部から連続して一方のフラットロールの表面へ120cmにわたって1.9秒間接触させた。
得られた実施例3の障子用不織布は、通気量が90cc/cm2/秒、厚さが0.15mm、平滑面の表面粗さSMDが0.90μm、目付当たりのタテ引裂強力が1.00N/(g/m2)、透過光輝度変動係数が20%であり、表面に交点以外の繊維同士が融着して膜状(フィルム状)となった部分は見られなかった。
[比較例1]
実施例3同様にして繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを上下1対のフラットロールにてフラットロール表面温度180℃、線圧588N/cmで熱圧着した。
実施例3同様にして繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを上下1対のフラットロールにてフラットロール表面温度180℃、線圧588N/cmで熱圧着した。
上記の処理により、繊維径14μm、目付60g/m2のスパンボンド不織布を得た。
得られた障子用不織布は、通気量が3cc/cm2/秒、厚さが0.10mm、平滑面の表面粗さSMDが0.66μm、目付当たりのタテ引裂強力が0.06N/(g/m2)、透過光輝度変動係数が8%であり、交点以外の繊維同士が融着して膜状(フィルム状)となった部分が見られた。
[比較例2]
実施例3同様にして繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを上下1対のフラットロールにてフラットロール表面温度160℃、線圧588N/cmで熱圧着し、この圧着されたシートをこの加熱圧接部から連続して一方のフラットロールの表面へ120cmに亘って3.2秒間接触させた後、エンボスロールによる部分的熱圧着を行い、繊維径14μm、目付60g/m2のスパンボンド不織布を得た。得られたカーテン用不織布は、通気量が50cc/cm2/秒、厚さが0.22mm、平滑面の表面粗さSMDが2.32μm、目付当たりのタテ引裂強力が0.94N/(g/m2)、透過光輝度変動係数が20%であり、交点以外の繊維同士が融着して膜状(フィルム状)となった部分は見られなかった。
実施例3同様にして繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを上下1対のフラットロールにてフラットロール表面温度160℃、線圧588N/cmで熱圧着し、この圧着されたシートをこの加熱圧接部から連続して一方のフラットロールの表面へ120cmに亘って3.2秒間接触させた後、エンボスロールによる部分的熱圧着を行い、繊維径14μm、目付60g/m2のスパンボンド不織布を得た。得られたカーテン用不織布は、通気量が50cc/cm2/秒、厚さが0.22mm、平滑面の表面粗さSMDが2.32μm、目付当たりのタテ引裂強力が0.94N/(g/m2)、透過光輝度変動係数が20%であり、交点以外の繊維同士が融着して膜状(フィルム状)となった部分は見られなかった。
<まとめ>
表1に示されるように、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる不織布であって、前記不織布の表面において、前記繊維の交点では該繊維同士が融着していて、かつ、該交点以外の繊維同士は互いに離間しており、さらに、少なくともシート片面のKES法による表面粗さSMDが1.2μm以下であり、目付当たりのタテ引裂強力が0.50N/(g/m2)以上とすることで、毛羽立ちが少なく、適度な遮光性と採光性を有し、機械的強度に優れる障子用不織布が得られた。
表1に示されるように、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる不織布であって、前記不織布の表面において、前記繊維の交点では該繊維同士が融着していて、かつ、該交点以外の繊維同士は互いに離間しており、さらに、少なくともシート片面のKES法による表面粗さSMDが1.2μm以下であり、目付当たりのタテ引裂強力が0.50N/(g/m2)以上とすることで、毛羽立ちが少なく、適度な遮光性と採光性を有し、機械的強度に優れる障子用不織布が得られた。
一方、表1に示されるように、比較例1の障子用不織布は平滑面のKES法による表面粗さSMDは良好であったが、目付当たりのタテ引裂強力が低く、機械的強度に劣り、透過光輝度変動係数も低く、採光性に劣るものであった。また、比較例2の障子用不織布は、目付当たりのタテ引裂強力は高く、機械的強度に優れ、透過光輝度も良好であり、採光性に優れるものであったが、平滑面の表面粗さに劣るものであった。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお、本出願は2018年5月31日付で出願された特許出願(特願2018−104589)に基づいており、その全体が引用により援用される。
本発明の一実施態様の障子用不織布は、毛羽立ちが少なく、適度な遮光性と採光性を有し、機械的強度に優れることから、特に、建築物の室内に設置される障子用不織布をはじめ、幅広い分野に好適に使用することができる。
1:繊維ウェブ
2:加熱圧接部
3:不織布とフラットロールの接触部
4a:上側ロール
4b:下側ロール
5:繊維ウェブの進行方向を示す矢印
2:加熱圧接部
3:不織布とフラットロールの接触部
4a:上側ロール
4b:下側ロール
5:繊維ウェブの進行方向を示す矢印
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる不織布であって、前記不織布の表面において、前記繊維の交点では該繊維同士が融着していて、かつ、該交点以外の繊維同士は互いに離間しており、さらに、少なくともシート片面のKES表面粗さが1.2μm以下であり、目付当たりのタテ引裂強力が0.50N/(g/m2)以上である、障子用不織布。
- 前記障子用不織布の目付が20g/m2以上70g/m2以下であって、該障子用不織布の厚さが0.06mm以上0.22mm以下であって、該障子用不織布の通気量が60cc/cm2/秒以上220cc/cm2/秒以下であり、かつ、該障子用不織布の透過光輝度変動係数が10%以上30%以下である、請求項1に記載の障子用不織布。
- 前記不織布が、長繊維からなるスパンボンド不織布である、請求項1または2に記載の障子用不織布。
- 前記繊維の表面を構成する最も低融点の熱可塑性樹脂の融点よりも30以上120℃以下の温度に加熱された一対のフラットロールで線圧500N/cm以上1100N/cm以下で熱圧着させた後、連続的に所定時間フラットロールに接触させる工程を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の障子用不織布の製造方法。
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JP2018104589 | 2018-05-31 | ||
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Cited By (1)
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JPWO2019230836A1 (ja) * | 2018-05-31 | 2021-07-01 | 東レ株式会社 | 壁装材用不織布およびその製造方法 |
-
2019
- 2019-05-31 JP JP2019102272A patent/JP2019210591A/ja active Pending
Cited By (2)
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JPWO2019230836A1 (ja) * | 2018-05-31 | 2021-07-01 | 東レ株式会社 | 壁装材用不織布およびその製造方法 |
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