JP5802373B2 - 薄型分離膜支持体 - Google Patents

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本発明は、限外濾過膜、逆浸透膜などの分離膜の支持体に関する。
限外濾過や逆浸透濾過に使用されるフィルターとしては、平膜状の分離膜をらせん状に巻いたスパイラルタイプ、複数の中空糸状分離膜を引き揃えたタイプ、平膜状の分離膜を円筒状に加工したチューブラータイプなどがあり、いずれのタイプも一定の容積を有するカートリッジ内に収められて使用されている。
これらの分離膜の中で、平膜状の分離膜は、不織布などの支持体上に分離機能を有する樹脂をコーティングすることによりシート状に製造されたものである。支持体として使用される不織布は、分離膜の製造時においては均一膜を製膜するためのコーティング基布としての機能を有し、使用時には濾過媒体の圧力によって分離膜が破裂することを防止する強度保持を基本的な機能として有している。従って、高い均一性が得られる短繊維抄造不織布が用いられる。
近年、この様な分離膜が広く使用されるようになり、同時にカートリッジ当たりの処理効率の向上が重要な課題となっている。従って、カートリッジ内に出来るだけ多くの分離膜を配置するため、また、分離膜の圧力損失を下げて通水量を大きくするために、支持体を含めた分離膜の薄型化が望まれている。
即ち、薄く均一なコーティング膜を得るため、支持体自体も、表面平滑性と強度を維持したまま、薄くすることが望まれている。しかしながら、支持体を薄くするために繊維量を下げると、コーティング時に樹脂が支持体の裏面まで浸み出す、いわゆる裏抜けという問題が発生する。支持体の裏側に抜けた樹脂は、製膜装置を汚染し、連続して製造される分離膜の欠陥の原因となる。
また、繊維量を下げて支持体を薄くすると、通液性が高くなるが、支持体の厚み斑が顕著となり、裏抜けが発生し易い部分が多くなる。更に、強度の低下も大きな問題であり、特に短繊維抄造不織布の場合、繊維量を下げることにより極端な強度低下が発生する。また、繊維径を小さくし、見かけ密度を高くして薄型化する方法もあるが、抄造原液中で繊維が絡まらないように均一に分散させるためには、繊維径(D)と繊維長(L)の比率(L/D)を一定の範囲内にする必要があるため、繊維長を短くしなければならず、不織布の極端な強度低下を引き起こす。
特許文献1および特許文献2には、熱接着性を高める目的で、低結晶性ポリエチレンテレフタレート短繊維を使用する方法、低融点繊維を併用する方法などが提案されている。しかし、前述した理由により、繊維径が4.5μm以下では強度が著しく低いものとなってしまうため、薄型化および裏抜け防止性を十分に満足することはできない。
また、特許文献3には、繊維長の異なる短繊維を混合する方法が記載されているが、薄く且つ十分な裏抜け防止性および高い強度を有する支持体は得られていない。
特許文献4には、非コーティング面を粗な構造として空隙を設け、厚みが80μm以下の薄型化された不織布を支持体として用いることによって、裏抜け防止性を向上させた分離膜が提案されている。この支持体は、コーティング樹脂が密な層から粗な層へ浸透する際、粗な層の空隙を埋めるために多量の樹脂を必要とするが、そのために厚み方向への浸透速度が低下するという効果を利用している。
上記の特許文献4には、粗密構造の例として、2種類の構造の短繊維抄造不織布が記載されている。その1つは、温度差のあるカレンダーを用い、高温接着で接合強度の高い高密度なコーティング面と、低温接着で面方向に均一な構造の低密度な非コーティング面を形成させた構造の不織布であり、他の1つは、エンボス接合で非コーティング面に凹凸を形成することにより、面方向に不均一性もしくは周期的な不均一性を有する構造の不織布である。
しかしながら、前者の構造の不織布では、繊維の50wt%以上が弱い接合状態となっており、強度の不足あるいは剛性が低いため、分離膜の製造工程で皺が発生するなどの問題がある。また、コーティング面が弱い接合であるため、樹脂コーティング工程でガイドロールとの接触により毛羽立ちが発生しやすく、樹脂コーティング時の安定性に欠けるという問題があった。
後者の構造の不織布では、凹部は繊維密度が高く浸透しにくいので、コーティング樹脂は凸部に優先的に浸透するため、凹部にコーティング樹脂が浸透する前に凸部の先端までコーティング樹脂が到達し、均一なコーティングが得られない。
このような問題を回避するため、穴あき不織布、あるいは、コルゲートなど別工程で凹凸形状を作成した不織布を積層した支持体もあるが、この場合、裏面の凹凸が樹脂コーティング層の厚み斑の原因となり、膜性能の安定性に欠けるという問題がある。このような樹脂コーティング層の厚み斑は、エンボス接合の場合でも同様に発生し、また、不織布を薄型化するほど顕著に発生するという問題があった。
特許文献5には、従来、均一性に欠けるため使用し難いと考えられていた熱可塑性樹脂長繊維不織布を上下層とし、その間に繊維径が5μm以下の少量のメルトブロー繊維を配置した可塑性長繊維不織布/メルトブロー不織布/熱可塑性長繊維不織布の3層からなる支持体が記載されており、特定の見かけ密度となるように積層した後、熱接着により複合することによって、高い強度と優れた裏抜け防止性を実現している。
しかしながら、この文献に開示された支持体は、メルトブローの繊維径が1.6〜5μmと太い繊維径であるため、中間層であるメルトブロー不織布の繊維量を多く必要としてしまう。またメルトブローの繊維量を少なくした場合、表面層と裏面層の熱可塑性長繊維不織布の量を多く必要としてしまい薄型化を十分満足することができない。
特開2002−095937号公報 米国特許第6156680号明細書 米国特許出願公開第2005/6301号明細書 特開2003−245530号公報 国際公開第2006/68100号パンフレット
本発明の目的は、上記のような従来技術の問題を解決し、薄く且つ裏抜け防止性およびコーティング樹脂との一体性に優れ、実用的な強度を有する積層不織布で構成された分離膜の支持体を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、熱可塑性長繊維不織布/メルトブロー不織布/熱可塑性長繊維不織布の3層からなる支持体にて、繊維径が5μm以下の少量のメルトブロー繊維を配置して、特定の結晶化度となるように積層した後、熱接着により複合することにより、強度と裏抜け防止性を保持したまま薄型化が実現され、樹脂コーティングに適した積層不織布が得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は下記の通りである。
[1]樹脂のコーティング面となる表面層、中間層及び裏面層が熱接着により一体化された積層不織布で構成されており、且つ、下記(1)〜(6)を満足することを特徴とする分離膜支持体。
(1)表面層は、繊維径が7μm以上12μm未満である熱可塑性樹脂長繊維の層を少なくとも一層有する。
(2)中間層は、繊維径が5μm以下であるメルトブロー繊維からなる層を少なくとも一層有する。
(3)裏面層は、繊維径が7μm以上12μm未満である熱可塑性樹脂長繊維からなる層を少なくとも一層有し、繊維量が3〜20g/m2である。
(4)積層不織布の見掛け密度が0.80〜0.91g/cm3である。
(5)積層不織布の厚みが45μm未満である。
(6)中間層のメルトブロー繊維の結晶化度が28.5%以下である。
[2]コーティング面となる表面の平滑度がKES表面粗さSMDで0.2〜2μmであることを特徴とする上記[1]に記載の分離膜支持体。
[3]メルトブロー繊維の繊維径が1.6μm以下であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の分離膜支持体。
[4]中間層の繊維量が3g/m2以上で且つ全繊維量の25wt%以下であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の分離膜支持体。
[5]熱可塑性樹脂長繊維およびメルトブロー繊維の融点が180℃以上であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の分離膜支持体。
[6]熱可塑性樹脂長繊維および/またはメルトブロー繊維の主成分が、ポリエステル繊維もしくはポリエステル共重合体の繊維、または、ポリエステルとポリエステル共重合体との混合物の繊維であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の分離膜支持体。
[7]下記(a)〜(d)を満足することを特徴とする分離膜支持体の製造方法。
(a)融点180℃以上の熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂長繊維をコンベア上に紡糸して少なくとも1層の不織布を形成し、
(b)次いで、その上に、メルトブロー法で、融点180℃以上の熱可塑性樹脂を用い、結晶化度が28.5%以下、繊維径が5μm以下の繊維層を少なくとも1層積層し、
(c)さらに、融点180℃以上の熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂長繊維の不織布を少なくとも1層積層し、
(d)熱可塑性樹脂長繊維の融点よりも50〜120℃低い温度で、線圧100〜1000N/cmでフラットロールを用いて熱接着した後、前記の熱接着温度より10℃以上高く且つ熱可塑性樹脂長繊維の融点よりも10〜100℃低い温度で、線圧100〜1000N/cmでカレンダー処理する。
[8]熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることを特徴とする上記[7]に記載の分離膜支持体の製造方法。
本発明により、機械的強度及びコーティング時の樹脂の裏抜け防止性を持たせつつ、繊維量を下げた薄い支持体とすることで、従来よりカートリッジ内に分離膜を多く配置することができ、有効膜面積を大きくしたカートリッジとすることができる。したがって分離膜の圧力損失を下げて通水量を大きくすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の分離膜支持体の特徴は、結晶化度を下げたメルトブロー繊維(中間層)が表面層と裏面層を構成する熱可塑性樹脂長繊維不織布間に挿入されて熱接着された積層不織布で支持体を構成している点にある。このような構造の積層不織布において、メルトブロー繊維(中間層)の結晶化度を特定の範囲に設定することにより、少ない繊維量の薄い不織布においても、機械的強度とコーティング時の樹脂の裏抜け防止性という互いに相反する性能を両立させることが可能となった。
即ち、本発明の第1の特徴は、結晶化度を特定の範囲に設定したメルトブロー繊維(中間層)が表面層と裏面層を構成する熱可塑性樹脂長繊維不織布間に挿入されて熱接着された積層不織布で支持体を構成している点にある。
樹脂コーティング時の裏抜け防止性のよい不織布を得るためには、メルトブロー繊維を多く配置するか、または加熱空気の流量を増加してメルトブロー繊維径を細くする必要があるが、前者では熱可塑性樹脂長繊維量が低下し支持体の強度は低下してしまい、後者ではメルトブロー繊維の結晶化度が増加してバインダー効果が減少してしまい支持体の強度は低下する。
しかし、メルトブロー繊維の紡糸温度を高くしポリマーの粘性を下げることで細繊化を行うと、配向結晶を抑えることが出来、結晶化度を特定の範囲に設定できることを見出した。そのためバインダー効果の減少がほとんどなく、十分な強度を持った支持体の作製が可能となった。
本発明においては、コーティング面に長繊維を使用しているため、繊維の端面が少なく、毛羽の発生がきわめて少ないので、平滑なコーティング面を得ることが可能である。
本発明の第2の特徴は、中間層にメルトブロー繊維不織布を配置し、熱プレスなどの方法により熱接着を行う点にある。このような構造においては、結晶性の低いメルトブロー繊維が熱可塑性樹脂長繊維層のバインダーとしても機能するため、いっそう高強度の不織布が得られる。具体的には、紡糸されたメルトブロー繊維を、熱可塑性樹脂長繊維層上に直接打ち込むように捕集する製造方法によって、顕著に高い強力を得ることが可能となる。
本発明の第3の特徴は、積層不織布の見掛け密度が0.80〜0.91g/cm3である。このような見掛け密度とすることによって、メルトブロー繊維層における繊維間隙が十分に小さく、かつ、その上下に位置する表面層と裏面層の熱可塑性樹脂長繊維が強固に固定されるため、中間層の微細な繊維のずれが起こりにくくなり、そのため、コーティング樹脂の裏抜けが効果的に防止される。
また、本発明の支持体においては、中間層であるメルトブロー繊維層にコーティング樹脂が滞留して固化し、錨を打ち込んだような構造(以下、投錨効果という)をとるため、繊維と樹脂との界面が剥離しにくく、高い接着性を得ることが可能である。このような構造においては、錨部分、即ち、メルトブロー繊維層に含浸された樹脂と表面に存在するコーティング樹脂を結ぶ鎖部分の切断強力が、界面剥離強力に増分として加えられるため、きわめて高い剥離強力を得ることが可能となる。
本発明においては、積層不織布の見掛け密度が0.80〜0.91g/cm3であるため、メルトブロー繊維層とコーティング面に存在する空隙に十分な樹脂量が入ることが出来るので、高い剥離強力を得ることが可能となる。さらに、裏抜け防止性と密着性という互いに相反する性能を両立させることができる。
本発明の支持体を構成する積層不織布において、特定の見掛け密度を得るためには、加熱ロールなどによる熱接着が好ましく用いられる。
加熱ロールなどによる熱接着の際、支持体の上層および下層は直接熱源に接触するため、軟化による変形や融着により部分的なフィルム様の不透液部が形成され易い。このような不透液部は、コーティング樹脂による投錨効果が得られにくいため、樹脂との接着性を損なう原因となり、分離膜が圧力変動や逆洗を受けた時に、剥がれや破れを生じる原因となり易い。
しかし、本発明の支持体においては、熱接着性の良好なメルトブロー繊維層が中間層に存在するため、低温の熱処理条件でも上下層の熱可塑性樹脂長繊維層と熱接着して積層一体化することが容易であり、上下層の繊維のフィルム化が少ない積層不織布が得られる。
次に、本発明の分離膜支持体の構成について説明する。
逆浸透膜などに使用される場合は、180℃以上の熱処理を受ける場合があるため、耐熱性が要求される。したがって、本発明においては、熱可塑性樹脂長繊維およびメルトブロー繊維の融点が180℃以上であることが好ましい。
本発明において、表面層は、熱可塑性樹脂長繊維の層を少なくとも一層有する長繊維不織布であり、スパンボンド法によって得ることができる。
表面層に使用される熱可塑性樹脂長繊維としては、耐熱性の高いPET、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどをはじめとするポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などのポリアミド系繊維、または、これらの樹脂を主体とする共重合体もしくは混合物などの繊維が好ましく使用される。中でも、ポリエステル系繊維は、強度や寸法安定性が高いため、好ましく使用される。また、実用的な強度に影響の無い範囲において、少量のポリオレフィンなどの低融点成分を加えて改質を行うこともできる。
表面層に使用される熱可塑性樹脂長繊維の繊維径は12μm未満のものが使用される。12μm以上では繊維同士の接合点が多くなり、同一紡速であるにも関わらず、機械的強度が少なからず低下してしまう。また繊維径は、7μm以上12μm未満、より好ましくは7〜10μmの範囲である。7μm以上であれば、コーティング樹脂の浸透が十分となり基材とコーティング樹脂との接着力を持たすことが出来る。
中間層は、メルトブロー繊維からなる層を少なくとも一層有する。メルトブロー繊維の繊維径は5μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.6μm以下、特に好ましくは1.0μm以下である。繊維径が5μmを越えると、繊維間隙が大きくなり過ぎ、コーティング樹脂の裏抜け防止性が不十分となる。
下限は特に限定されないが、極細繊維を狙う場合、吐出量を下げる為、例えば0.1μm以上が製造における生産性などから好ましい。
分離膜の製造工程においては、熱処理が必要な場合もあるため、メルトブロー繊維としては、耐熱性の高いPET、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどをはじめとするポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などのポリアミド系繊維、または、これらの樹脂を主体とする共重合体もしくはそれらの混合物などの繊維が好ましく使用される。中でも、ポリエステル系繊維は強度や寸法安定性が高いため、好ましく使用される。また、実用的な強度に影響のない範囲において、少量のポリオレフィンなどの低融点成分を加えて改質を行うこともできる。
中間層においては、繊維量は3g/m2以上で且つ、支持体全体の繊維量に占める割合は25wt%以下であり、20wt%以下であることが好ましい。
繊維量が3g/m2以上であれば、十分な裏抜け防止性の点から好ましい。また、メルトブロー繊維が支持体全体の繊維量に対し25wt%を越えると、支持体に占める熱可塑性樹脂長繊維の量が少なくなり過ぎる。熱可塑性樹脂長繊維は支持体の主たる強度保持機能を果たすので、中間層のメルトブロー繊維がバインダーとして機能しても、支持体の強度が低下する結果となり好ましくない。中間層においては、繊維量は3〜10g/m2が好ましく、また、支持体全体の繊維量に対して1.5wt%以上が好ましく、3〜20wt%がさらに好ましい。
本発明において、裏面層は、熱可塑性樹脂長繊維の層を少なくとも一層有する長繊維不織布であり、スパンボンド法によって得られる。
裏面層に使用される熱可塑性樹脂長繊維は、表面層の熱可塑性樹脂長繊維と同様の繊維が使用可能であり、耐熱性の高いPET、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどをはじめとするポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などのポリアミド系繊維、または、これらの樹脂を主体とする共重合体もしくは混合物などの繊維が好ましく使用される。中でも、ポリエステル系繊維は強度や湿潤時の寸法安定性が高いため、より好ましく使用される。また、実用的な強度に影響のない範囲において、少量のポリオレフィンなどの低融点成分を加えて改質を行うこともできる。
裏面層においては、熱可塑性樹脂長繊維の繊維径は7μm以上12μm未満である。繊維径が7μm未満の場合は、繊維間隙がメルトブロー繊維層(中間層)に近くなり、メルトブロー層に滞留しているコーティング樹脂を毛細管力により吸引する力が強くなるため、十分な裏抜け防止性能が得られない。
また、繊維径が12μm以上となる場合は、長繊維同士の繊維間隙が広くなり過ぎてメルトブロー繊維を十分に固定することができなくなり、コーティング時に生ずる圧力によってメルトブロー繊維が移動して中間層の繊維間隙が大きくなるため、結果的に裏抜け防止性能が低下する。好ましい繊維径は10μm以上12μm未満である。
裏面層においては、使用される繊維量は3g/m2以上である。裏面層の熱可塑性樹脂長繊維は、中間層のメルトブロー繊維を固定する役割を果たすので、繊維量が3g/m2未満の場合は、メルトブロー繊維の固定が不十分となって、メルトブロー繊維が移動しやすくなり、裏抜け防止性能が低下するため好ましくない。繊維量の好ましい範囲は5〜20g/m2である。20g/m2以下であれば、表面層および中間層に配置できる繊維量の点から好ましい。
また、上記の表面層、中間層、裏面層ともに、同種の熱可塑性樹脂からなる繊維を使用することが、積層不織布全体の接着性が高くなるので好ましく、中でも、ポリエステル系樹脂からなる繊維を統一して使用することが、良好な寸法安定性、高い強度を得るために好ましい。
本発明の支持体は、表面層の熱可塑性樹脂長繊維ウェブ(S1)、中間層のメルトブロー繊維ウェブ(M)および裏面層の熱可塑性樹脂長繊維ウェブ(S2)が積層したS1/M/S2の構成を有する。表面層、中間層、裏面層は少なくとも1層から構成されており、例えば、中間層を2層とするS1/M/M’/S2の構成とすることもできる。また、表面層、中間層、裏面層をそれぞれ2層としてS1/S’1/M/M’/S2/S’2の構成とすることもできる。
本発明の支持体は、見掛け密度が0.80〜0.91g/cm3の積層不織布で構成されている。見掛け密度が0.80g/cm3未満であると、メルトブロー繊維の繊維間隙が大きくなると同時に熱可塑性樹脂長繊維との接着も弱くなるため、裏抜け防止性に劣るものとなり好ましくない。また、見掛け密度が0.91g/cm3を超えると、密度が大きくなり過ぎて、コーティング樹脂の侵入すべき空隙が少なくなるため、樹脂と支持体との一体化が不十分となり好ましくない。見掛け密度は、好ましくは0.83〜0.90g/cm3である。
積層不織布の内部にまで十分に熱接着させて、このように高い見掛け密度の積層不織布を得ようとする場合には、熱接着を高温及び/又は高圧で行う必要がある。しかし、高温及び/又は高圧で行うと、表面の繊維が変形あるいはフィルム化しやすく、また、低温および低圧で熱接着を行った場合、繊維間の接着が弱いためにケバが出やすい。
しかし、本発明においては、結晶配向が低く、ガラス転移点以上の温度で接着し始めるメルトブロー繊維が中間層に使用されているため、従来よりも低温で容易に内部までの充分な熱接着を実現することが出来、表面の繊維が変形あるいはフィルム化したりケバが発生することがない。
本発明においては、積層不織布全体の厚みは45μm未満にすることが必要である。厚みはより薄い方が好ましいが、好ましくは25μm以上、さらに好ましくは35μm以上である。25μm以上の場合は、メルトブロー繊維を細くすることで樹脂の裏抜けは十分に防止することが可能となる。45μmを越える場合は、支持体が厚くなりすぎ、薄型化が目的である本発明の目的が達成されない。厚みは、支持体としての強力を考慮し、好ましくは35μm以上45μm未満、より好ましくは40μm以上45μm未満の範囲である。
本発明の支持体は、熱接着により積層一体化されている。即ち、熱可塑性樹脂の自己接着のみを接合力としているため、支持体から不純物が流出することが無く、分離膜により分離された精製液に不純物が混入することがない。
本発明の支持体は、コーティング面となる表面の平滑度が、KES表面粗さSMDで0.2〜2μmであることが好ましい。より好ましくは、0.2〜1.5、さらに好ましくは、0.2〜1.0である。表面の平滑度がこの範囲であると、コーティング樹脂のピンホールが低減される。
本発明の支持体は、地合指数が120以下であることが好ましい。地合指数は均一性の指標であり、120以下であると、コーティング樹脂の局所的な裏抜けが低減される。
本発明の支持体の引張強力は155N/5cm以上が好ましく、より好ましくは170N/5cm以上。
本発明において、コーティングに用いられる樹脂は、分離膜としての性能を発揮するものであれば特に限定されない。例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリオレフィンなどが挙げられる。
次に、本発明の支持体の好ましい製造方法を述べる。
本発明の支持体を構成する積層不織布は、下記(a)〜(d)を満足する製造方法により得られる。
(a)融点180℃以上の熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂長繊維をコンベア上に紡糸して少なくとも1層の不織布を形成し、
(b)次いで、その上に、メルトブロー法で、融点180℃以上の熱可塑性樹脂を用い、結晶化度が28.5%以下、繊維径が5μm以下の繊維層を少なくとも1層積層し、
(c)さらに、融点180℃以上の熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂長繊維の不織布を少なくとも1層積層し、
(d)熱可塑性樹脂長繊維の融点よりも50〜120℃低い温度で、線圧100〜1000N/cmでフラットロールを用いて熱接着した後、前記の熱接着温度より10℃以上高く且つ熱可塑性樹脂長繊維の融点よりも10〜100℃低い温度で、線圧100〜1000N/cmでカレンダー処理する。
熱可塑性樹脂長繊維の紡糸方法は、既知のスパンボンド法を適用することが好ましい。
本発明の製造方法の最大の特徴は、熱可塑性樹脂長繊維ウェブの上に、メルトブロー法により微細な繊維層を直接吹き付けて、メルトブロー繊維を熱可塑性樹脂長繊維ウェブ内に侵入させる点にある。前述のように、メルトブロー繊維が熱可塑性樹脂長繊維ウェブ内に侵入することにより各層が強固に固定され、積層不織布の強度が向上するだけでなく、中間層の微細繊維が外力によって移動しにくくなるため、優れた裏抜け防止性が得られると考えられる。
上記の侵入の程度をコントロールするためには、メルトブロー紡糸ノズルと、コンベア上の熱可塑性樹脂長繊維ウェブ表面との相対距離を12cm前後に設定し、コンベアの裏側から吸引する吸引力を調整する方法が好ましく用いられる。
更に、意外なことに、理由は明確ではないが、メルトブロー繊維を構成する熱可塑性樹脂として、融点の比較的高い樹脂を用いるほど、よりいっそうメルトブロー繊維が侵入しやすいということが判明している。したがって、前記したように、熱可塑性樹脂として、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの180℃以上の高い融点を有する樹脂が好ましい。
また、メルトブロー繊維の結晶化度が28.5%以下でメルトブロー繊維の持つ、バインダー効果がより強く発現しやすく、強力の高い積層不織布が得られる。
PETの場合、還元粘度(ηsp/c)が好ましくは0.2〜0.8、さらに好ましくは0.2〜0.6の樹脂を用いることにより、一般的なメルトブロー紡糸条件で、メルトブロー繊維の結晶化度を28.5%以下に調整することが可能である。
また、ポリアミドの場合、相対粘度(ηrel)が好ましくは1.8〜2.7、さらに好ましくは1.8〜2.2の樹脂を用いることにより、一般的なメルトブロー紡糸条件で、メルトブロー繊維の結晶化度を28.5%以下に調整することが可能である。
また、メルトブロー繊維の結晶化度は軟化点の低下の点から、15%以上が好ましい。
本発明の支持体においては、湿潤時の寸法安定性が高いことが好ましいので、ポリエステル樹脂が好ましく使用される。具体的には、メルトブロー繊維を構成する樹脂は、還元粘度(ηsp/c)が0.2〜0.8さらに好ましくは0.2〜0.6のPETが好ましく使用される。
メルトブロー繊維の侵入の形態は、具体的には、単繊維がひげ状や絡みついた様な形状になって、熱可塑性樹脂長繊維の層に侵入するのではなく、複数の繊維の集合として侵入部分を形成しており、侵入した層が長繊維の一部を取り囲むように包埋または交絡した配置をとっている。また、その侵入したメルトブロー繊維の一部が熱可塑性樹脂長繊維と接着している構造が、メルトブロー繊維と熱可塑性樹脂長繊維の混和層として、全面に存在する形態となっている。
本発明の支持体では、中間層であるメルトブロー繊維は加熱空気の吹き飛ばしにより細繊化を行うため、細繊化を行うにつれて配向結晶が強くなり繊維の結晶化度が高くなる傾向がある。結晶化度が高いとメルトブロー繊維と熱可塑性樹脂長繊維との接着力が低下し、またメルトブロー繊維の熱可塑性樹脂長繊維への進入が減少して、積層不織布の層剥離が生じたり、積層不織布の強度が低下する。しかし、紡糸温度を高くしポリマーの粘性を下げることで細繊化を行うと、配向結晶を抑えることができる。
熱接着工程は、熱可塑性樹脂長繊維の融点よりも50〜120℃低い温度で、線圧100〜1000N/cmで、フラットロールを用いて接合した後、前記の熱接着温度より10℃以上高く且つ熱可塑性樹脂長繊維の融点よりも10〜100℃低い温度で、線圧100〜1000N/cmでカレンダー処理することにより行なわれ、十分な強度が得られ、見掛け密度を本発明の範囲内とすることができる。
カレンダー処理における温度が熱可塑性樹脂長繊維の融点より低くても、その差が10℃未満である場合は、見掛け密度が高くなり過ぎ、また、その差が100℃を越える場合は、十分な強度が得られないうえに、表面に毛羽立ちが生じてコーティング層に欠点を生じる。
熱接着工程およびカレンダー処理における線圧が100N/cm未満であると、十分な接着が得られず、十分な強度が発現されない。また、1000N/cmを越えると、繊維の変形が大きくなりすぎ、見掛け密度が高くなり過ぎて本発明の範囲内とすることが出来ない。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、測定方法及び評価方法は下記の通りである。
(1)繊維量(g/m2
JIS−L−1906に従った。縦20cm×横25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3箇採取して質量を測定し、その平均値を単位面積当たりの質量に換算して求めた。
(2)厚み(μm)
JIS−L−1906に従った。接圧荷重100g/cm2にて幅方向に10箇所測定し、その平均値を厚みとした。厚み測定装置は、PEACOCK製No.207を用いた。最小目盛が0.01であるため、小数点第3位まで読み取って平均した後、有効数字を2桁としてμmに換算した。
(3)見掛け密度(g/cm3
上記(1)にて測定した繊維量(g/m2)、上記(2)にて測定した厚み(μm)を用い、以下の式により算出した。
見掛け密度=(繊維量)/(厚み)
(4)繊維径(μm)
試料(不織布)の両端部10cmを除いて、試料の幅20cm毎の区域から、それぞれ1cm角の試験片を切り取った。各試験片について、マイクロスコープで繊維の直径を30点測定して、測定値の平均値(小数点第2位を四捨五入)を算出し、試料を構成する繊維の繊維径とした。
(5)引張強力(N/5cm)
試料(不織布)の両端部10cmを除き、幅5cm×長さ20cmの試験片を切り取った。試験片が破断するまで荷重を加え、試験片の最大荷重時の強さの平均値をMD方向(マシン方向)で求めた。
(6)結晶化度(%)
試料(繊維)約8mgを秤量して、サンプルパンに入れ、サンプルシーラーを用いてサンプルを調整した。SIIナノテクノロジー社製のDSC210を使用し、下記の条件で測定した。
測定雰囲気:窒素ガス50ml/min
昇温速度:10℃/min
測定温度範囲:25〜300℃
ポリエステル繊維は、冷結晶化部があるので、以下の式で結晶化度を求めた(小数点第2位四捨五入)。
結晶化度(%)=〔(融解部の熱量)−(冷結晶部の熱量)〕/(完全結晶の熱量)
なお、熱量の値は、下記の文献に記載の値を用いた。
PET完全結晶の熱量:126.4J/g(“Macromol Physics”Academic Press, New York & London Vol.1, P389 (1973))
PP完全結晶の熱量:165J/g(J.Chem.Phys.Ref.Data,10(4)1981 1051)
ナイロン66の完全結晶の熱量:190.8J/g(J.plymer Scial,1 2697(1963))
(7)融点(℃)
上記(6)と同様にして測定を行い、融解ピークの導入部分における変曲点の漸近線とTgより高い温度領域でのベースラインが交わる温度を融点とした。
(8)還元粘度(ηsp/c)
0.025gのサンプルをオルソクロロフェノール(OCP)25mlに溶解する。90℃に加温して(溶けなければ120℃に加温)溶かす。測定温度35℃で、粘度管により測定し、下記式で計算する。サンプル数3点の測定値を算術平均し、小数点第3位を四捨五入して算出する。
ηsp/c=〔(t−t)/t〕/c
式中、tは溶液通過時間(秒)、tは溶媒通過時間(秒)、cは1000mlあたりの溶質(g)を表す。
(9)相対粘度(ηrel)
0.025gのサンプルを98%硫酸25mlに常温で溶解する。測定温度25℃で、粘度管により測定し、下記式で計算する。サンプル数3点の測定値を算術平均し、小数点第2位を四捨五入して算出する。
ηrel=t/t
式中、tは溶液通過時間(秒)、tは溶媒通過時間(秒)を表す。
(10)裏抜け防止性
コーティング樹脂の原液として、ポリスルホンをジメチルホルムアミド(DMF)に溶解したポリスルホン溶液(20%wt濃度)を用いた。この原液を、ステンレス板上に固定した支持体上に200μmの厚みにてコーティングし、2秒後に20℃の純水中に浸漬して凝固させ、洗浄脱水した後、80℃の熱風乾燥機にて乾燥することにより分離膜を得た。評価は下記の基準で行った。
良好:ステンレス板上に樹脂の付着が見られないもの。
不良:ステンレス板上に樹脂が付着しているもの。
(11)密着性(剥離強力:N/1.5cm)
上記(10)にて得られた分離膜をサンプルとして、コーティング樹脂膜の剥離強力を測定した。引張試験機を用い、1.5cm幅にて200mm/minの速度で、支持体とコーティング樹脂膜を剥離させる時に必要な応力を測定した。測定はサンプル数3点で実施し、その平均値をもって密着性の指標とした(小数点第2位を四捨五入した)。
(12)表面粗さSMD(μm)
カトウテック社製KES FB−4を使用し、支持体のコーティング面となる表面の平滑度を測定した。標準条件(布張力400gf/20cm、初期荷重10gf)にてMD方向の表面粗さSMDを、サンプル数3点で測定し平均した。この数値が小さい程、表面の平滑性に優れる。
(13)地合指数
フォーメーションテスターFMT−MIII(野村商事株式会社 特許No.1821351)を使用し、CD方向に1mあたり4点測定し、地合指数を得た。この数値が小さい程、地合が均一で斑がない。
[実施例1〜2、比較例1〜2]
裏面層として、汎用的なPETを用い、スパンボンド法により、紡糸温度300℃でフィラメント群を移動する捕集ネット面に向けて押し出し、紡糸速度4500m/minで紡糸し、コロナ帯電で3μC/g程度帯電させて十分に開繊させ、熱可塑性樹脂長繊維ウェブを捕集ネット上に調製した。繊維径の調整は、吐出量を変えることにより行った。
次いで、中間層として、PET(還元粘度:ηsp/c=0.50)を用い、加熱空気1000Nm3/hr/mの条件下で、メルトブロー法により紡糸して、上記の熱可塑性樹脂長繊維ウェブ上に吹きつけた。この際、メルトブローノズルから熱可塑性樹脂長繊維ウェブまでの距離を10cmとし、メルトブローノズル直下の捕集面における吸引力を0.2kPa、風速を7m/secに設定した。繊維径及び結晶化度の調整は、吐出量及び紡糸温度を変えることにより行った。
更に、上記で得た積層ウェブ上に直接、最初の熱可塑性樹脂長繊維ウェブと同様の方法で、表面層として、熱可塑性樹脂長繊維を所定の繊維径及び繊維量になるように積層して、表面層:熱可塑性樹脂長繊維(S1)/中間層:メルトブロー繊維(M)/裏面層:熱可塑性樹脂長繊維(S2)からなる積層ウェブを得た。得られた積層ウェブを、表2に示す条件でフラットロールにて熱接着を行った後、表2に示す条件でカレンダーロールにて表2に示す見掛け密度となるように厚み、見掛け密度の調整を行い、積層不織布を得た。
得られた積層不織布で構成された支持体及びその評価結果を表1、2に示す。
実施例1はメルトブロー繊維の繊維径を1.6μm、結晶化度を25.4%に調整し、8.2g/m2を配置した。樹脂をコーティングしたところステンレス板にはほとんど樹脂の付着は見られなかった。この不織布の引張強力を測定したところ197N/5cmであり、分離膜支持体として十分であった。
実施例2はメルトブロー繊維の繊維径を1.0μm、結晶化度を28.5%に調整し、6.0g/m2を配置した。樹脂をコーティングしたところステンレス板にはほとんど樹脂の付着は見られなかった。この不織布の引張強力を測定したところ176N/5cmであり、実施例1には劣るが分離膜支持体として十分であった。
比較例1は厚みが大きすぎ薄型には不十分である。
比較例2はメルトブロー繊維の繊維径を1.6μm、結晶化度を30.0%に調整し、4.7g/m2を配置した。樹脂をコーティングしたところステンレス板には樹脂の付着が見られた。裏抜けが発生した原因は、中間層のメルトブロー繊維の繊維重量比が低いことにより裏抜け防止性が不良であった。
[比較例3〜4、実施例3〜5]
裏面層として、汎用的なPETを用い、スパンボンド法により、紡糸温度300℃でフィラメント群を移動する捕集ネット面に向けて押し出し、紡糸速度4500m/minで紡糸し、コロナ帯電で3μC/g程度帯電させて十分に開繊させ、熱可塑性樹脂長繊維ウェブを捕集ネット上に調製した。繊維径の調整は、吐出量を変えることにより行った。
次いで、中間層として、PET(還元粘度:ηsp/c=0.50)を用い、加熱空気800Nm3/hr/mの条件下で、メルトブロー法により紡糸して、上記の熱可塑性樹脂長繊維ウェブ上に吹きつけた。この際、メルトブローノズルから熱可塑性樹脂長繊維ウェブまでの距離を10cmとし、メルトブローノズル直下の捕集面における吸引力を0.2kPa、風速を7m/secに設定した。繊維径及び結晶化度の調整は、吐出量及び紡糸温度を変えることにより行った。
更に、上記で得た積層ウェブ上に直接、最初の熱可塑性樹脂長繊維ウェブと同様の方法で、表面層として、熱可塑性樹脂長繊維を所定の繊維径及び繊維量になるように積層して、表面層:熱可塑性樹脂長繊維(S1)/中間層:メルトブロー繊維(M)/裏面層:熱可塑性樹脂長繊維(S2)からなる積層ウェブを得た。得られた積層ウェブを、表2に示す条件でフラットロールにて熱接着を行った後、表2に示す条件でカレンダーロールにて表2に示す見掛け密度となるように厚み、見掛け密度の調整を行い、積層不織布を得た。
得られた積層不織布で構成された支持体及びその評価結果を表1、2に示す。
実施例3はメルトブロー繊維の繊維径を1.0μm、結晶化度を26.7%に調整し、6.0g/m2を配置した。樹脂をコーティングしたところステンレス板にはほとんど樹脂の付着は見られなかった。この不織布の引張強力を測定したところ205N/5cmであり、実施例2よりも強力の高い分離膜支持体であった。これは中間層のメルトブロー繊維の結晶化度を紡糸条件にて下げたことにより、バインダー効果がより強く発現しているためである。
実施例4はメルトブロー繊維の繊維径を1.6μm、結晶化度を23.0%に調整し、8.2g/m2を配置した。樹脂をコーティングしたところステンレス板にはほとんど樹脂の付着は見られなかった。この不織布の引張強力を測定したところ206N/5cmであり、実施例1よりも強力の高い分離膜支持体であった。これは中間層のメルトブロー繊維の結晶化度を紡糸条件によって下げたことにより、バインダー効果がより強く発現しているためであると考えられる。
実施例5はメルトブロー繊維の繊維径を0.8μm、結晶化度を25.1%に調整し、5.0g/m2を配置した。樹脂をコーティングしたところステンレス板にはほとんど樹脂の付着は見られなかった。この不織布の引張強力を測定したところ204N/5cmであり、実施例3よりも薄く、十分な強力を持つ分離膜支持体であった。これは中間層のメルトブロー繊維の結晶化度を紡糸条件にてコントロールし、バインダー効果がより強く発現させながらも、繊維径を細くしたことで繊維量を少なくすることが出来、より薄くすることが可能となった。
比較例3は、表面層の繊維径を6μmと細くした以外は、実施例3と同様にして不織布を得た。
表面層が密である為、コーティング樹脂の浸透が不十分となり基材とコーティング樹脂との接着力が低下しコーティング基材には不適であった。
比較例4は、裏面層の繊維径を6μmと細くした以外は、実施例3と同様にして不織布を得た。
繊維間隙がメルトブロー繊維層(中間層)に近くなり、メルトブロー層に滞留しているコーティング樹脂を毛細管力により吸引する力が強くなるため、十分な裏抜け防止性能が得られなかった。
Figure 0005802373
Figure 0005802373
本発明の分離膜支持体は、薄く且つ実用的な強度を有し、裏抜け防止性および樹脂コーティング性に優れるため、分離膜の生産性が高くなる。また、モジュール内の分離膜の使用量を増やすことが可能となり、モジュール当たりの処理能力の向上、長寿命化、小型化が可能となる。また、本発明の分離膜支持体は、コーティング樹脂との密着性が高いため、逆洗を伴う用途の分離膜にも使用可能である。そのため、本発明の支持体を用いた分離膜は、廃液処理、純水製造、海水淡水化、食品濃縮、薬品精製など広範囲の分野において利用価値が高いものである。

Claims (7)

  1. 樹脂のコーティング面となる表面層、中間層及び裏面層が熱接着により一体化された積層不織布で構成されており、且つ、下記(1)〜(6)を満足することを特徴とする分離膜支持体。
    (1)表面層は、繊維径が7μm以上12μm未満である熱可塑性樹脂長繊維の層を少なくとも一層有する。
    (2)中間層は、繊維径が1.0μm以下であるメルトブロー繊維からなる層を少なくとも一層有する。
    (3)裏面層は、繊維径が7μm以上12μm未満である熱可塑性樹脂長繊維からなる層を少なくとも一層有し、繊維量が3〜20g/m2である。
    (4)積層不織布の見掛け密度が0.80〜0.91g/cm3である。
    (5)積層不織布の厚みが45μm未満である。
    (6)中間層のメルトブロー繊維の結晶化度が28.5%以下である。
  2. コーティング面となる表面の平滑度がKES表面粗さSMDで0.2〜2μmであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜支持体。
  3. 中間層の繊維量が3g/m2以上で且つ全繊維量の25wt%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の分離膜支持体。
  4. 熱可塑性樹脂長繊維およびメルトブロー繊維の融点が180℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離膜支持体。
  5. 熱可塑性樹脂長繊維および/またはメルトブロー繊維の主成分が、ポリエステル繊維もしくはポリエステル共重合体の繊維、または、ポリエステルとポリエステル共重合体との混合物の繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分離膜支持体。
  6. 下記(a)〜(d)を満足することを特徴とする分離膜支持体の製造方法。
    (a)融点180℃以上の熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂長繊維をコンベア上に紡糸して少なくとも1層の不織布を形成し、
    (b)次いで、その上に、メルトブロー法で、融点180℃以上の熱可塑性樹脂を用い、結晶化度が28.5%以下、繊維径が1.0μm以下の繊維層を少なくとも1層積層し、
    (c)さらに、融点180℃以上の熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂長繊維の不織布を少なくとも1層積層し、
    (d)熱可塑性樹脂長繊維の融点よりも50〜120℃低い温度で、線圧100〜1000N/cmでフラットロールを用いて熱接着した後、前記の熱接着温度より10℃以上高く且つ熱可塑性樹脂長繊維の融点よりも10〜100℃低い温度で、線圧100〜1000N/cmでカレンダー処理して、厚み45μm未満の分離膜支持体を得る
  7. 熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の分離膜支持体の製造方法。
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